法科大学院等特別委員会(第102回)議事録

1.日時

令和3年2月3日(水曜日)10時00分~12時00分

2.議題

  1. 令和2年司法試験の結果等について
  2. 法学未修者教育の充実について
  3. その他

3.議事録

【山本座長】それでは,所定の時間になりましたので,ただいまより第102回法科大学院等特別委員会を開催したいと思います。本日も新型コロナウイルスの感染拡大予防の観点から,オンラインミーティングという形で開催をさせていただきます。また,本員会は公開が原則のため,この会議の模様については,YouTubeにてライブ配信をさせていただいておりますので,ご承知おきください。
さて,本日の議題ですが,報告案件として,令和2年司法試験の結果等について,審議案件として,法学未修者教育の充実についての2件があります。まず,この令和2年司法試験の結果等については,法務省大臣官房司法法制部司法法制課長である丸山委員より御報告を頂き,その後,今期の中心的な課題であった法学未修者教育の充実について,当特別委員会としての取りまとめを行いたいと思います。本日も活発な御議論をどうかよろしくお願いいたします。
それでは,初めに事務局から配付資料の確認をお願いいたします。

【西川専門職大学院室長】本日の資料は,お手元の1枚目議事次第にございますとおり,資料の1-1から1-6,2-1から2-3,最後に参考資料の1をお付けしております。資料の不備,あるいは接続不良等,もしお困りの点がございましたら,開催案内に記載しております事務局の連絡先まで電話をいただければと存じます。以上でございます。

【山本座長】ありがとうございました。それでは早速,議事に入ります。初めに1月20日に発表された令和2年司法試験の結果につきまして,丸山委員から御説明をお願いいたします。

【丸山委員】委員の丸山です。よろしくお願いいたします。それではお手元の資料1-2,こちらの総括表が一番見やすいと思いますので,こちらを御覧ください。令和2年の司法試験の結果について御説明を申し上げます。令和2年司法試験は,新型コロナウイルス感染症の感染拡大により,昨年5月の実施予定が8月に延期され,これに伴いまして,昨年9月に予定していた合格発表が,去る1月20日行われました。
資料1-2 ,司法試験の結果の概要の最上段を見ていただきますと分かりますように,合格者数は1,450人で,前年比マイナス52人であったのに対し,合格率は39.16%で,前年比プラス5.53ポイントでした。
また,予備試験合格資格に基づく受験の合格者数は,378人でした。この他司法試験における法科大学院別の結果など,法科大学院に関連する資料,予備試験合格に基づく司法試験受験状況などの資料が続いておりますので,こちらは適宜御参照ください。御説明は以上です。

【山本座長】ありがとうございました。それではただいまの御説明につきまして,何かご質問等ございましたら,お出しをいただければと思います。前回までと同様ですけれども,「手を挙げる」の機能を使って挙手をいただければと思いますし,また,うまくそれが機能しない場合には,ミュートを解除して,直接御発言いただいても構いませんので,何かあればお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。特段ございませんか。
それでしたら,また後で何かありましたら,御発言いただいても結構ですけれども,便宜,次の議題に移りたいと思います。それでは議題の2になりますけれども,法学未修者教育の充実についてという点であります。前回,この点につきまして,取りまとめ案について,御議論を頂き,また会議後に各委員から個別に御意見を頂いたところもございますが,それらを踏まえまして,事務局の方で資料2-1,第10期の議論のまとめ(案),それから,資料の2-2で,その概要について作成を頂きましたので,まずはこの資料の説明について,事務局からお願いいたします。

【西川専門職大学院室長】それではお手元の資料の2-1から2-3につきまして,順次御説明させていただきます。まず,資料の2-1ですけれども,こちらは前回お示ししました「議論のまとめ(案)」につきまして,前回の会議での御意見と,会議後に各委員から頂いた御意見とを,座長との御相談の上で反映させていただいたものでございます。本日の資料は,前回とは異なり,変更箇所を見え消しにはしておりませんけれども,前回からの主な変更箇所につきまして御説明をしてまいります。
まず,1枚目のところは表紙を単に付けておりますので,少し見栄えが変わっておりますが,内容は変更ございません。少し飛びまして,5ページを御覧ください。一番上の文のところですけれども,前回の案では,「法科大学院創設が提言された当時の司法制度改革では,・・・の法曹を養成することを目指していた」というふうに過去形で表現をしていたのですけれども,御指摘を受けまして,現在進行形の表現に改めてございます。
それから,次の6ページの15行目を御覧ください。こちらは,これまでの成果を記述しているところですが,2つほど変更しておりまして,1つは,先ほど丸山委員から御説明いただきましたとおり,令和2年の司法試験の結果が発表されましたので,まず16行目の数字,8,124人という数字と,それから脚注の9番,一番下の累積合格率の数字をそれぞれ更新しております。またもう一つは,前回,片山委員からの御指摘を受けまして,19行目のところに,前回の案では合格率と標準修業年限修了率だけを書いていたのですが,新たに志願者数,入学者数,という言葉を補っております。
続きまして,9ページを御覧ください。27行目の下の方のところに,「多様なメディアを高度に利用した授業(遠隔授業)」という記載がございますが,ここにつきまして,前回,大貫委員から,遠隔授業には通常のものと,コロナ禍において特例的に認められているものとがあるので,ここで念頭に置いている遠隔授業の定義を明確化してはどうかという御提案を頂きましたけれども,遠隔授業につきましては,その有効な使い方でありますとか,在り方全般,特に対面とのバランスといった点も含めて,今後の継続課題であるということも考慮いたしまして,ここでその詳細を記述するに至っておりません。ただ実際には一つは,今回の提言を受けまして,今後,文科省として法科大学院におけるオンデマンド方式の在り方を位置付け直すということを御提言いただいておりますので,例えばそれを通知等においてお示しするという場合に,現行制度に基づく遠隔授業の定義等については改めてお示しさせていただくことになるかと考えております。
続きまして,15ページを御覧ください。こちらはまずタイトルなのですけれども,この「2.社会人学生等の実態に配慮した学修体制」というタイトルにつきまして,前回,中川委員から,学修体制というよりも,ここも「1.」と同様に,学びの選択肢を増やすということであって,広い意味では,学修者本位の教育,その中で社会人学生等に焦点を当てた部分ということなので,そういうことがもう少し表現できるタイトルに改めてもいいのではないかという御指摘を頂きました。更に会議後には,具体的な案も頂きました。それは,「学修者(特に社会人学生等)本位の教育の実現」という案でございます。これにつきまして,まず座長とも御相談をさせていただきましたけれども,このタイトルの変更というのは,少し大きなお話ですので,これについては,本日この場で議論をしていただいて決めようとの御意向が示されましたので,いったんこの資料の上では変更を加えずにお示ししております。ですので,後ほどここは御意見を頂戴できればと考えております。
続きまして次の16ページの下の方にあります,「入学前の学修機会の提供」の項目は,当初は1番目の章にあったものを,こちらの章に前回から移動させてきたところですけれども,前回御欠席の大澤委員から,ここについては,文章はそのまま移動されているのだけれども,ここはどちらかというと未修者の中でも,非法学部の方に特に当てはまるところであるので,そのような主語にした方がいいのではないかという御指摘を会議後に頂きました。そこで,一番下の行から次のページにかけてのところの主語を,「非法学部出身者など」というふうに変更させていただいております。
ただ,ここは一方で大貫委員から,未修者の属性というのは多様なので,余り限定的にし過ぎるべきではないという御意見も頂きましたので,それを考慮して,「など」としております。
続きまして,17ページの16行目,「また,ICTの活用は」とあるところに,新たに脚注の36番を追加させていただきました。ここは前回の会議で髙橋委員から,入学前の学生のLMSなど学修環境の整備について検討の必要性があるということをご指摘頂きましたので,その旨を記載させていただいております。
続きまして,20ページを御覧ください。幾つか変更がございまして,ここは法科大学院間の協働の最後のところですけれども,まず前回の大貫委員からの御指摘を受けまして,3行目から4行目のところ,前回は「必要に応じて法律実務家の意見を取り入れながら」としていたところを「必要に応じて」という文言を削除いたしまして,「法律実務家の協力も得ながら」との前向きな表現に改めております。
それから続く6行目のところに,新たに脚注の40番を追加させていただきまして,前回,片山委員から,法科大学院協会内の新たな動きについて御紹介を頂きましたので,その内容を簡単ですけれども,追記させていただいております。
更にもう一つ,最後の7~8行目のところでは,前回,菊間委員からの御提案を受けまして,学生間の情報交換といったところは,修了生との情報交換も有益であるということがございましたので,その言葉を追記させていただいております。
続きまして,23ページを御覧ください。19行目に法科大学院修了資格での合格者総数を記載しておりますが,ここに新たに脚注の46番を追加させていただきまして,予備試験合格資格での合格者の中にも,相当数の法科大学院修了生や在学生等が含まれているという旨を,ここは事務局として御提案させていただきまして,座長に御了解を頂き,記載させていただいております。具体的には,中退者を含めての数字ですけれども,累計で768人ということでございます。
それから,最後に26ページを御覧ください。ここではまず8行目のところに「新たな日常」という表現がありますが,ここはポストコロナに関する表現であることが後世にも理解されるようにという御指摘を頂きましたので,少し言葉を補わせていただきました。
最後に18行目のところにございます,下から2つ目の箇条書きに,継続課題として1項目追加しております。ここは,前回,北居委員から,入学が決まる前のお試しも含めて,未修者の入学者選抜の在り方にはさらなる検討の余地があるだろうという御指摘がございましたので,その趣旨で追加をさせていただいているものでございます。資料の2-1に関しては,以上でございます。
続きまして,前回,多数の御意見を頂きました概要版,資料の2-2を御覧いただければと思います。全体としましては,まず今回のキーワードですとかメッセージが強く引き立つものとするべきではないかと。また各対応策につきましては,少し紙面の都合上,言葉足らずの部分であるとか,メリハリの弱い部分があるので,そういったところの記述はもう少し丁寧にした方がいいといったような観点で,御意見を頂いたと理解しております。
そこで,座長とも御相談の上で事務局にて整理をしてみたものが,御覧の1枚紙でございますが,まずレイアウト的には,前回はA4の縦型にしておりましたけれども,今回は,A3版での活用も視野に入れながら,横型とさせていただいた上で,左側に現状と課題,そして右側に具体策を,それぞれ並べる構成としております。
それから,内容面での変更箇所でございますけれども,まず左下の課題のところに,今回の大きなメッセージとなります「学修者本位の教育の実現」と「法科大学院間の協働」という言葉を強調させていただいた上で,キーワードであります「複数の選択肢を用意」するといった表現を新たに追加させていただいております。
また,右側の5つの対応策の関係では,まず1つ目の,「学修者本位の教育の実現」の中の1つ目のICTの活用に関しまして,今回のポイントの1つであるという御指摘がありましたので,まずメリットを強調させていただき,その促進をしていくというメッセージを強めつつ,ただ同時に,「一方で」としまして,潮見委員等からも御指摘いただきました留意点についても併せて記載をさせていただいております。また,2ポツ目の補助教員のところですけれども,ここは括弧書きのところ,法律実務家だけに閉じていたものを,修了生等も読めるようにさせていただきました。
その下の2つ目の社会人学生等の項目,これは先ほど申し上げましたように,タイトルそのものについては後ほど御議論いただきたいと思いますが,いったん今ここは変えておりません。この中の上から3つ目の入学前の学修機会に関しまして,前回の案ではここが特に言葉足らずであるという御指摘がありましたので,本文に即して,少し記述を補っております。
また同じく5つ目のキャリアパスの多様化のところにつきましても,特に井上委員などから,本文の方でしっかり書かれていることが概要版にも表現された方がいいという御指摘がございましたので,少し丁寧に記述を加えさせていただきました。以上が,概要版の方の御説明でございます。
そして最後に,資料の2-3の参考資料も少し御覧いただきたいと思いますが,資料の2-3の参考資料は,基本的に前回と同じなのですけれども,司法試験関係のデータについて更新をしておりますので,少し御紹介申し上げます。
具体的には更新したものは⑥番から⑩番でございますけれども,まず未修者の関係に着目して御説明いたしますと,まず右肩に⑦番とありますもの,少しおめくりいただいて御覧いただけますでしょうか。右肩に⑦番とあります縦の棒グラフで,タイトルが「司法試験合格者数のこれまでの推移」というもの,こちらを御覧いただきますと,一番右の令和2年の合格者数,未修者は赤いところで244人,そして平成19年以降の累計では,先ほど本文でも触れましたとおり,8,124人となっております。
また,その下の⑧番,こちらは単年度合格率を既修・未修コース別,また法学部・非法学部別に見たものでございますが,まず一番下の青い点線のところ,こちらは未修者コースの中でも非法学部出身者ですけれども,ここの数字は残念ながら昨年に比べても少し下がっているという状況ですが,一方で,法学既修者コースの方の非法学部出身者,黄色の折れ線ですけれども,これについては,昨年から8ポイントほど伸びまして,32.6%となっているところでございます。
また,次のページの⑨番を御覧いただきますと,こちらは修了直後の合格率でございまして,今回これが全体で初めて50%を超えた,これは法科大学院制度創設以来初めてということで,新聞報道もされておりましたけれども,これについては,未修者だけを見ましても,依然として既修との開きは大きいものの,昨年比で6.5ポイントほど上昇して,約28%となっております。
最後に⑩番の累積合格率ですけれども,これは,募集継続校35校に限ったデータになりますが,今回が5年目となります平成27年度修了者について見てみますと,最終的な累積合格率は64.7%ということで,政府の目標であります7割には若干届いておりません。また,更に未修者につきましては,44.8%と,依然として5割にちょっと届かないというところは引き続きの課題であろうかというふうに認識しているところでございます。
以上,駆け足になりましたけれども,資料の2-1から2-3につきましての御説明は以上でございます。

【山本座長】ありがとうございました。それでは,この取りまとめ案,前回,前々回もかなり御議論を頂き,また期日間で各委員から御意見も頂戴して,基本的にはそれらの趣旨はこの取りまとめ案について反映されているのではないかというふうに思いますが,なお御意見があれば,お出しを頂きたいと思いますが,まずは先ほどの事務局からも御紹介がありました,ペンディングに若干なっている点として,表題の点があります。3の課題を踏まえた対応策のところの,現在の案では,1,学修者本位の教育の実現,2,社会人学生等の実態に配慮した学修体制ということになっているわけでありますが,前回,中川委員から,この1も2も,大きく言えば学修者本位の教育についてということに変わりはないのだから,それらをより適切に表現できる項目にした方がいいのではないかという御発言があったということであります。
事務局と協議し,私も考えたのですが,中川委員の御指摘は誠にごもっともというか,そういうことであろうというふうに思っているところでありますけれども,仮にそれを反映した修正案にするとすれば,1も2も,本題というか,やるとしたら学修者本位の教育の実現ということであるということで,それに副題的に,ハイフン等で副題的に,1の方は学修者本位の教育-法学未修者全体について-,2の方を,学修者本位の教育-社会人学生について-,という形にして,両方とも学修者本位の教育というのが主たる目標である,目的であるということを明らかにし,1と2ではその主たる対象が異なるということを副題で明らかにするというようなことも考えられるかなというふうに思ったところでありますけれども。
いずれにしても,しかしこの表題に関わることは,かなり大きなお話でもあるので,委員の皆さまの御意見を伺った方がよいのではないかということで,本日,是非御意見を伺いたいと考えている次第であります。この点につきまして,もし委員で御意見がありましたら,是非お出しを頂きたいところであります。いかがでしょうか。大貫委員,お願いします。

【大貫委員】失礼いたします。中川委員の提案,誠にごもっともだろうと思います。清原委員が委員会で発言されていたこともここに関わっていて,2ポツの社会人学生等の実態に配慮した学修体制では,当初の案では,ICTの項目とか初期履修制度というのが再掲という形になっていて,当然,学修者本位の教育の実現というところと重なるということは我々もずっと意識してきたものであります。
いずれも事務局と議論したときも,実は私は,学修者本位の教育の実現にまとめたらどうだという話をしたくらいで,そこでその中で,社会人等の話を特出しということを申し上げましたが,大分議論した結果,やはりここの2ポツは,特に打ち出す必要性があるのだと。だから重なるのだけれども,項目としてこのような形で明確に打ち出す必要性があるのだという議論に説得されまして,現状のタイトルに賛成しております。
私は実は,こだわるものではありませんが,先ほど座長がおっしゃったように,副題を付けて,基本的に1ポツと2ポツは同じだというふうにしましたのには,絶対反対だというわけではありませんが,私はやはり社会人学生等に特にメッセージを送るという意味でも,私は現状でもよろしいのかなというふうに思っているということでございます。以上です。

【山本座長】ありがとうございました。他にいかがでしょうか。今,お名前が挙がりました,恐縮ですが,清原委員,もし何かご示唆があれば。

【清原委員】はい,ありがとうございます。私も,当初の案から悩んでいるところで,全体として今回,「未修者教育」を考えるときに,「学修者本位」であるというキーワードが打ち出されたというところは,大変重要ですので,「1.学修者本位の教育の実現」とあることが,全体として「未修者教育」についても,もちろん既修者でも同じなのですが,特に「学修者本位」で考えているというメッセージになるのかなというふうに受け止めています。
加えて,今,大貫先生がおっしゃいましたように,しかしながら,「未修者」といっても多様であるから,特に今後,「社会人学生」について注目することで,「未修者」とは、いわゆる法学部出身者でないという趣旨だけではなくて,働いていた上で,改めて法曹を志す人も幅広く迎え入れたいというメッセージを出すには,「2.社会人学生等の実態に配慮した学修体制」とあるのは,項目だけでもインパクトがあるというふうに思います。内容はいずれにしても重複しますので,私としても本当に悩ましいところではありますが,「学修者本位」というキーワードと,「社会人学生」というキーワードをしっかりと項目に明記するという意味で,原案を受け止めている状況です。以上です。ありがとうございます。

【山本座長】ありがとうございました。それでは菊間委員,お願いいたします。

【菊間委員】菊間です。よろしくお願いします。社会人学生のところを再掲にしないで詳しく書いてくださいと私が言った手前もあるので,私の意見もお伝えさせていただくと,今回の議論の中で,先生方の中からもお話があったと思うのですけれども,未修者といっても,未修者と社会人というのは全く違うよねっていうところについては,皆さん,そういう思いを持ってくださったのかなという気がしています。
そういう意味では,文章をきちんと分かりやすくまとめるという観点からは,今御提案があった学修者本位の教育の実現の中の,(1)未修者全般,(2)社会人学生というまとめ方はきれいなのですけれども,ただ社会人として,様々な分野で活躍している多様な人材をもっとこの法曹界に入れていくということを考えると,今,清原委員もおっしゃってくださったように,2番の大きなタイトルの一番冒頭に,社会人学生と入れることはとてもインパクトが大きいということと,社会人の方たちがぱっと見たときに、法曹界が自分たちのような人材を必要としてくれているのだと感じることができる、という気がするので,私も,できたら現行案のままでお願いできたらなというふうに考えております。

【山本座長】ありがとうございました。他にいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは,皆さまの多くの意見として出された,特にこの社会に対して与えるインパクトという点からいうと,この社会人学生等というのを特出しにして,表題で大きく持ってきた方がよいのではないかという御意見を頂きました。
法律家というか,大陸法的法律家か何か総論各論というか,パンデクテン方式みたいな感じについついなるわけですが,社会的な,読む人はもちろん法律家以外の人に読んでいただきたいところが強くあるわけですので。また中身をよく読んでいただければ,中川委員御指摘の趣旨というのは,記載全体を読んでいただければ,これは当然表れているということだと思いますので,それでは,恐縮ですけれども,この表題の問題については,現在の案を維持するということにさせていただければというふうに思います。中身の説明等につきましては,誤解が生じないように,是非事務局には配慮いただきたいと思います。
それでは,以上,表題の点ですが,他の点につきまして,この報告書全体,資料2-2も含めてですが,全体につきまして,御意見があればお出しいただければというふうに思います。いかがでしょうか。おおむねこれまでに出していただいた意見は反映できているのではないかというふうに思いますけれども。よろしいでしょうか。
それでは,この案につきまして,特段の御意見,御議論はないというふうに了解をいたしましたので,この本日の案をもって本委員会の取りまとめ,議論のまとめとしたいと思いますが,御異議はございませんでしょうか。

【全員】 異議なし。

【山本座長】ありがとうございます。それでは,このような形で取りまとめをさせていただきたいと思います。なお,公表のタイミングにつきましては,文科省内の手続等もあろうかと思いますので,事務局の方にお任せしたいと思いますので,事務局におかれましては,どうかよろしくお願いをいたします。
それでは,以上で本日の議題の中心は終わりということなのですが,本日は第10期,今期の最終回ということになりますので,今回の議論全体の振り返り,あるいは感想,また次期に向けて,今後の法科大学院教育の展望,あるいは希望等,何でも結構ですので,もし可能であれば委員の皆さまから一言ずつコメントを頂戴できればと思います。時間の関係がありますので,恐縮ですけれども,1人3分以内というのをめどとして,御発言をおまとめいただければというふうに存じます。
便宜上,参考資料1の委員名簿の順に上からお伺いできればというふうに,恐縮なのですけれども,まず有信委員からお願いできますでしょうか。

【有信委員】私は,中教審の大学院部会長として,この法科大学院等特別委員会にかなり長期間出席させていただきました。当初は,プロセスとしての法曹養成や,多様なバックグラウンドを持った法曹の養成ということで,専門的職業資格のグローバルスタンダードとの関係等も含めて,相当大局的な視点からの議論がありましたけども,だんだん個別の問題点にフォーカスを当てながら,様々議論が進められたと思っております。
特に今回に関して言うと,学修者の視点での教育とか,法学未修者の教育,あるいは制度としての法学部と法科大学院の連携等々,個別に相当深く議論が進められたと思っています。私は法律の専門家ではないので,議論の詳細についていけないことは多々ありましたけれども,相当議論が深められたことは非常に良かったと思っています。
その一方で,キャリアパスの多様化ということで,一応記述は盛り込まれていますけれども,現在,いわゆるグローバル化という観点が,コロナ禍の状況で,見方が変わってきたとはいえ,国際的に活動する企業の法的なサポートや科学技術への対応に関して,国際的な視点で,先ほど言いましたように,専門職資格の相互承認がWTOでの暗黙の合意の中で,本来は,グローバル化の流れの中で,進んできたものが今頓挫しているという状況なので,これが具体的にどういう形で出てくるかということも多分考えていく必要があるのではないかと思います。今後,状況を見ながら,一層の議論の深化が進められることを期待したいと思います。
それから,当初から議論がありましたけれども,中教審のスコープではないということで,議論が進まなかった,本来ならばプロセスとしての法曹養成とその出口とのつながりという非常に重要になる出口側の司法試験,順次改善はされてきているとは思いますが,議論の対象から外れてしまった。あるいはもっと深刻な予備試験の問題も,現状の中で何となく曖昧化されてきているような気がして,気になっています。私からは以上です。

【山本座長】ありがとうございました。続きまして清原委員,お願いできますでしょうか。

【清原委員】はい,ありがとうございます。杏林大学及びルーテル学院大学客員教授の清原慶子です。
まず1点目は,今期の検討の期間を振り返りまして,法科大学院関係者の皆さまの特別の御苦労に心を向け,深く感謝したいと思います。特に昨年の春から直面した,いわゆる「コロナ禍」にあって,法科大学院,法学関係者の皆さまは,日々の教育に前例のない御苦労をされたと思います。特に2020年度は,「法学部と法科大学院の連携に関する新制度」のスタートの年度でした。新制度の開始にコロナ禍が襲ったことは,関係者に大きな努力を求めたと拝察します。司法試験も実施が延期されました。また,通常の授業についても,オンライン同時事業,オンデマンド教材の作成など,ICTの活用が進みました。対面による授業が困難な中の創意工夫に敬意を表します。
特別委員会も,専らオンラインで開催されることになりました。山本座長,松下座長代理を始め委員の皆さま,そして事務局の皆さまのこれまでにない格別の御努力に感謝申し上げます。そして,法科大学院,法学部等でのオンライン授業の経験,本特別委員会でのオンライン会議の経験を踏まえて,酒井委員にデジタル教材の試作をしていただいて,議論ができました。
また,山野目委員の御配慮により,作成された教材を拝見することもできました。法科大学院における,いわゆるデジタル教材のイメージをつかむことができましたし,そのことが報告書に反映されたことも有意義であると思います。
2点目に,今回の「未修者教育の充実に関する検討の意義」について申し上げます。実は私は,司法制度改革推進本部の「裁判員制度・刑事検討会」の委員を務めた経験から,2019年というのは,ちょうど「裁判員制度10年」に当たりますので,東京地裁,高裁,同立川支部で,刑事・民事の裁判をたくさん傍聴しました。その際,本当に司法の現場が多様化している現状が分かりました。事件内容の国際化,情報化等と,高齢者や障害者の被告・原告対応など,裁判官,検察官,弁護士等の皆さまがいかに幅広い分野に精通することが求められているかということを痛感しました。
そこで今回の報告書では,未修者に焦点を絞って,多様性を尊重し,教育課程において複数の選択肢を用意するなど,法科大学院が未修者を歓迎する柔軟性を示すことができ,大変に心強く思っています。
3点目に,そのためにもキーワードとして,この資料2-2におまとめいただいた概要に,「学修者本位の教育の実現」と「法科大学院間の協働」というところが赤く書かれていることの意味です。「学修者本位」は当然のことですが,そのために,法科大学院協会や日弁連(学修者対象)等によるアンケート調査を共有できたことを本当に心強く思います。しかも,法科大学院協会が既にカリキュラムや,あるいはシラバスのことについても検討を開始されているということですし,丸島委員におかれては,日弁連も専門家としてもっともっと法科大学院と連携していきたいとおっしゃってくださいました。このことが「今後のさらなる検討課題(25頁)」に示されている「入学の在り方」とか,望ましい「法科大学院教育(カリキュラム)の在り方」などにしっかりとつながっていく原動力になると思います。
本当にコロナ禍で大変な特別委員会でしたけれど,山本座長を始め皆さまに感謝して,今期のまとめの感想とさせていただきます。本当にありがとうございました。以上です。

【山本座長】ありがとうございました。それでは続きまして土井委員,お願いできますでしょうか。

【土井委員】それでは私から一言申し上げます。前期,第9期の本委員会の最大の課題は,法学部に法曹コースを設置して,法科大学院と接続し,既修者に対する教育をより効果的なものにすることで,法曹養成のために必要な時間的,経済的コストを軽減することでした。それに続いて今期は,未修者教育の改善のために必要な方策について,熱心な議論が行われ,学修者本位の教育という視点が示されることになりました。法科大学院教育と予備試験の関係をどうするのか。またいかにして未修者が,3年の教育課程を通じて法曹に必要な能力を身に付けることができるのか。この2つは法科大学院制度がその創設時から背負い続けてきた課題です。
時としてそのために制度を揺さぶられる事態をも経験してきました。しかし,法科大学院制度15年を超える積み重ねを経て,ようやく進むべき方向性が定まってきたのではないかなと思います。とはいえ,法曹コースには,これから力強く歩みを進めていただかなければなりません。未修者教育については,残された論点を更に深めていただく必要もあります。
以上です。

【山本座長】ありがとうございました。それでは続きまして,一場委員からお願いできますでしょうか。

【一場委員】はい,司法研修所で事務局長を務めております一場と申します。本委員会には,去年の秋から参加させていただいておりまして,先生方の御意見,御議論を拝聴させていただいて,大変勉強になりました。どうもありがとうございました。
こちらの方といたしましても,本当に多様なバックグラウンドを持った若い方がたくさん法曹を目指して,修習に入ってきてくださることを切望しておりますので,今回の取りまとめを踏まえまして,是非,できればたくさんの,いろんなバックグラウンドを持った方が,法曹を目指して法科大学院に入って,司法修習に入ってきていただくということになっていただくことを願ってやまないところであります。
こちらとしましても,司法修習の内容というのは、不断に改善しているつもりでありますけれども,今回の議論の内容も研修所の教官室にも周知して,これまで以上に,恐らく法科大学院との連携というものが必要になってくるかと思いますので,引き続きよろしくお願いしたいと思います。どうも今日はありがとうございました。

【山本座長】ありがとうございました。それでは続きまして,井上委員は御欠席ですが,コメントを寄せていただいているということですので,事務局の方で代読をお願いできますでしょうか。

【西川専門職大学院室長】はい,それでは失礼いたしまして,井上委員からのコメントを頂戴しておりますので,代読させていただきます。
「1年間,ありがとうございました。法学教育,法曹育成に関わる法科大学院を始め,多様なバックグラウンドを持つ委員の方々と意見交換,議論をさせていただき,大変勉強になりました。私は企業法務に長年携わってきた立場から,企業が法曹や法科大学院修了生に何を期待し,どのような人材を求めているかの視点で,折に触れて発言させていただきました。今回の議論のまとめが今後の法務系学生の育成に役立ち,多様で,実力のある人材が育つ教育が実現できることを期待しております。山本座長,事務局の皆さまの御尽力にも感謝申し上げます。ありがとうございました。」
以上でございます。

【山本座長】ありがとうございました。それでは,続きまして大澤委員,お願いできますでしょうか。

【大澤委員】はい,大澤でございます。今期に関していうと,どうしても新型コロナの話に触れざるを得ないかなと思うわけですが,新型コロナウイルスの感染症拡大により,今期の後半部分について,対面会議ができないという中で,しかしオンライン会議を通じて,このまとめまでこぎつけることができたということは,一委員としてたいへん喜ばしいことと思います。そして,ここまで会議を導いていただきました座長,そして事務局の皆さま方の御尽力にまずは御礼申し上げたいと思います。
法曹コース等の設置を踏まえた法科大学院教育の充実ということが一つの大きな課題でありますけれども,法学部との連携強化が進む中で,もう一つの未修者教育が置き去りにならないように,しっかりその充実も図っていくということは,我々に課題として与えられたことだというふうに思います。そういう方向で,しっかりと現場で取り組んでまいりたいと思います。
最初にコロナの話をいたしましたが,コロナは非常に教育の現場としてはつらいし,今も非常につらい状況が続いています。ただ,こういうことがなければ恐らく本気で取り組まなかっただろうオンライン教育に取り組む機会になったということも,これは間違いなくて,我々は今後に活かせる財産を得た部分というのもあり,そしてオンライン教育のメリットなりデメリットというのも,実体験を通じてつかむことができたということかと思います。時間と場所を選ばないというオンラインの特徴,特性というのは,様々な可能性を持っているということは,今期の議論の中でも指摘されたところですけれども,是非そういうものを生かした方向というのを考えていきたいというふうに思っております。
未修者教育というのは,多様な法曹の養成という観点から大事だといわれます。多様な法曹というのは,法律家になってからいろんなバックグラウンドを生かして活躍するというだけではなくて,多様な人が集まって一緒に学ぶということが,法科大学院という教育の場を豊かにするということでもあろうと思っています。法科大学院は専門知を鍛えるというところもありますが,同時に法律家としてやっていく上での人としての力を鍛える場ということでもあるのだろう,そういうことを考えたときに,多様性ということは非常に大事なのだろうというふうに思っています。
多様性ということでいえば,大学も置かれている条件は様々で,多様性を持っているわけで,そういう多様な各大学の状況を踏まえながら,創意を生かしたチャレンジをし,その良い例を持ち寄ってまた充実させていくということが大事であり,それが今期のまとめが示している方向性だろうと思います。そういうことに向けて,我々としても努力したいですし,またそういう実践が進んでいくことを期待したいと思います。

【山本座長】ありがとうございました。それでは大貫委員,お願いできますでしょうか。

【大貫委員】はい,失礼いたします。委員の先生方がもう全体を見渡した適切なコメントをされると思いますので,私は2点だけ考えているところを申し上げます。
本報告では,本取りまとめでは随所で法科大学院間の協働がうたわれております。このことは大変重要だろうと思います。ただ,経験を申し上げますと,各法科大学院に授業や指導のやり方をお尋ねしたことがありました。そのとき,当該やり方が一定の特色あるものであると,時としてそれを外に出すことをためらうということが見られました。競争相手に知られたくない工夫だという意識があるようでした。こうした対応は,法科大学院がこれまで一定の競争状態に置かれてきたこととは無縁ではないというふうに私は思っております。
各法科大学院が切磋琢磨(せっさたくま)し,競争し,伸びていくことも必要ですが,むしろ互いの良い点や課題を共有して,共に高めていくことの方が良い成果を生み出せるのはないかと思っています。これは今,正に大澤委員が御指摘になったことで,清原委員も御指摘になったことだと思います。ちょっとエピソード的なことを申し上げますと,最近テレビを見ていたら,著名な大リーガーが,日本でパ・リーグがなぜ強いのかと聞かれて,パ・リーグは情報を共有し合うことによって高め合っていくところがあるのだと,非常に印象的なことを語っておりました。法科大学院も,競争よりもあえて協働と連携をというふうに申し上げたいと思います。これが1点です。
2点目は,今回の取りまとめも,申すまでもないことですが,教育の成果を修了生という形で社会に適切に還元していくには,どのような教育をすべきかという観点で書かれていると思います。適切な成果を生み出さねば,社会によって淘汰(とうた)されるのだろうと思います。しかし,法科大学院はそれだけで社会に受け入れられるものでもないと私は思っております。教育活動そのものを通じて,社会に貢献し,社会から受け入れられる,あるいは社会とともに歩む存在であるべきであるというふうに思っております。
この経験を申し上げますと,数年前,これは固有名詞を挙げてもいいのですが,早稲田大学が主催したカリフォルニア大学のバークレー校のロースクールと臨床教育に関するシンポジウムを行いました。当該ロースクールは,リーガルクリニックを通じて社会的弱者の法的サポートを行い,それによって,社会によって受け入れられているのだということを実に誇らしげに語ってくれました。この発言は,私がパネラーとして,うっかりというところがあるのかもしれませんけれども,法科大学院の成果を発信していく,多分宣伝と訳されたのじゃないかと思うのですが,発信していくことが,社会に生きるために必要だと発言したことを受けて,このような応答がなされました。
今,申し上げたことは,未修者教育だけの問題ではありませんが,法科大学院は,人材供給ということで,社会に受け入れられる。もちろん大事ですが,それとともに,それにプラスして,社会に貢献し,社会とともに歩むということを忘れてはならないのだと思います。以上,2点でございます。

【山本座長】ありがとうございました。それでは加賀委員,お願いできますでしょうか。

【加賀委員】はい。私は小規模大学院,法科大学院の代表のつもりでおりました。その役割が果たせたかどうか,自信はありませんけれども,今後も,小規模校も大いに個性を発揮して,是非生き残っていきますように,どうぞ応援のほどをお願いしたいというふうに思っています。小規模校というのは,刀の刃の上を歩いているような,そんな印象があります。いつ駄目になるか,本当に分からない。実際,司法試験ということを考えたときも,大体学生が司法試験に合格する実力まで達しているかどうかというのが,個々の状況が分かってしまいますので,今年はどうなのだとか,来年はどうかということが,ある程度予測できるようなところにまでいっちゃうのが,小規模の学校の特性でもあるわけですね。
しかし,バラエティーに富む法科大学院が存在してこそ,私は法曹界,法曹教育界というのは繁栄するというふうに信じておりますので,本当に支援をお願いしたいと思います。以前,中川先生がおっしゃっていらっしゃったように,今回の未修者教育の内容というのは,規制というよりはむしろ支援的色彩が強いというふうにおっしゃったかというふうに思いますけれども,私も本当にそう思います。
個人的な意見ですけれども,もう法科大学院が淘汰(とうた)される時代は終わったのじゃないのかなというふうに思います。これ以上少なくなっては,むしろいけないのではないかというふうに思っているわけです。今後は,規制色ではなく,本当に支援する方向でお願いをしたいと思います。文科省の西川室長を始め,職員の方々,それから座長の山本先生,座長代理の松下先生,全員の諸先生方,本当にありがとうございました。
なお,ちょっと心配しておりますのは,法科大学院協会のお仕事がたくさん出たような気がいたします,今回の取りまとめの内容というのは。理事長の片山先生,本当に大変な状況下になるかと思いますけれども,心配をしておりますというだけで,密(ひそ)かに応援をしたいというふうに思います。どうもありがとうございました。以上です。

【山本座長】ありがとうございました。それではちょうどお名前が出ましたが,片山委員,よろしくお願いいたします。

【片山委員】慶応大学の片山でございます。この9月から協会の理事長に就任したということで,委員に加えていただきました。今,加賀委員から過分の御配慮・激励の言葉を頂き、大変重く受け止めておりますが,改めて今期の特別委員会に参加させていただいた感想めいたことを述べさせていただきたいと存じます。
今回の特別委員会では,未修者教育の充実に関しまして,かなり踏み込んだ様々な提言をしていただきました。今後,改革の実行は,現場のロースクール,そしてロースクール間の協働ということをおっしゃっていただきましたので,協会に委ねられたということになるかと思います。未修者コースの改革に魔法の杖はなしということをよくいわれますとおり、短期間で一朝一夕に改革の成果を上げるということは非常に難しいかと思いますので,まず問題意識,危機意識を各ロースクール,それから現場の教員間で広く共有して,あせらず,粘り強く改革を進めていきたいと思っております。
ただ,改めて考えてみますと,次の次の年度,2022年度は,いよいよロースクールが3プラス2の学生さんを受け入れることになり,恐らく新旧のカリキュラムを並行して進めていくという,ロースクール始まって以来,最もハードな1年になることも想像されますし,その翌年には,初めての司法試験の在学中受験もスタートするということを想定しますと,実は比較的余裕があるのは、来年度,2021年度、1年間ということになるかと思いますので,その時期に,改革のある程度の道筋をつけておく必要があるのではないかと改めて考え直しているところではございます。その辺りのスケジュール感を会員校とも共有して,一体感を高めて改革を進めていきたいと考えております。
次の協会理事長という立場を離れて,飽くまでも委員の1人として,2つのことを今回,述べさせていただければと存じます。
第1点は、この会議の中でも何度か申し上げてきた点ですが,未修者教育の充実化ということに関しましては,教育内容の充実化ということはもちろん重要ですけれども,それと同時に、やはり入り口の問題,学生の構成の問題という点が非常に重要かと思います。今現状では,社会人,多分野人材,それぞれ約3割ということになっております。
3プラス2の法曹養成制度改革を経て,3プラス2と既修者コース,それから未修者のコースで,それぞれ異なる役割分担が与えられるようになったと考えるべきかと思います。是非,未修者コースでは、多様なバックグラウンドを持った人材を受け入れて,直ちに数値目標ということにはならないでしょうが,近い将来、実質7割を社会人とか多分野人材が占めるというような未修者コースとなるよう改革していく必要があるのではないかと強く思っております。
第2点は、今回の主たる御提言が,主として法律基本科目の教育をいかに充実させるかとであったわけですけれども,本来,未修者教育の在り方を考えますと,他分野の人材の専門性を生かして,更にその専門性を高めるということに,そのコースの意義があるのかと思います。特に有信委員からの御指摘もありましたとおり,グローバル化対応は急務で,それに関して未修者コースの役割は非常に大きいものがあると確信しております。
そういう意味では,専門家の養成、専門性の涵養という点から,更に未修者コースで何を行うべきかということを,今後も議論を続けていく必要があると思っている次第でございます。
長くなりましたので,以上にさせていただきますけれども,今回,非常に貴重な御提言を頂きました特別委員会の委員の皆さまに,改めて心より御礼を申し上げたいと思います。今後とも引き続き御指導のほど,よろしくお願い申し上げます。

【山本座長】ありがとうございました。それでは菊間委員,お願いできますでしょうか。

【菊間委員】2年間,どうもありがとうございました。自身が通っていた15年前と比べると,今回の10期の議論のまとめを改めて見まして,未修者,社会人に対して,本当に支援体制が整ってきた制度ができたのではないかなという気がいたしました。
私は,自分が社会人出身で弁護士になったということで,社会人についてということで,多く発言をさせていただいたのですけれども,未修者の中で,有職社会人はもちろんなのですが,社会人経験者で、会社を辞めてロースクールにいくという場合,ほとんどの方は,収入を一旦途絶えさせてロースクールに賭けるわけですから,ある程度合格の道筋が見えない限り,そんな博打みたいな人生を歩むという人は少ないと思います。
そうすると,私もそうですけど,働きながら,保険をかけつつ,まずやってみよう、ロースクールを選ぼうというときに,夜間主じゃないと難しい中,夜間主の学校が少ないなというのが,すごく気になっているところです。今企業の中では,インハウスロイヤーの数が増えています。各企業が,外の弁護士事務所を使うのではなく,企業の中で,ある程度のことをやっていこうという流れの中,新人の弁護士を新入社員としても採用しても,ビジネスを理解していないので,育てるまでに時間がかかる。会社の中である程度ビジネスが分かっている30代,40代が司法試験に受かってくれたら,あとはリーガルマインドを養ってくれたら,ビジネスに直結してとても便利だと,有り難いという話はいろんな企業からお聞きします。
そこで例えば今後の考え方として,企業とロースクールが提携をして,海外のMBAのように,司法試験を受けるということだけではなく,一定期間そのロースクールで勉強することで,その企業にまた戻って,リーガルマインドを身に付けた人材が活躍する,そういう形でのロースクールの在り方というのも,社会人にもう少し法曹界に目を向けてもらうという中では必要ではないかと思います。
最後に,私は社会人に,オンデマンドは大事だけれども,やはり対面で話し合ったりすることで様々なことが見えてくると話してきたのですが、それは今回のこの会議でも同じように思っていて,委員になってすぐこのオンラインになってしまったので,先生方と対面でお会いすることがなく,雑談をすることもできず,何かこの議論だけでしかお話ができなかったことが残念でした。2年間,ありがとうございました。

【山本座長】ありがとうございました。それでは北居委員,お願いできますか。

【北居委員】はい,北居でございます。私は現場を預かる身として,その立場から一言お話しさせていただければというふうに思っております。今期の課題でございました未修者教育の問題というのは,各法科大学院に共通する非常に大きな課題ということで,これについて,各法科大学院がそれぞれではなく,協働してこの問題に取り組んでいくべきだということが,今回取りまとめとして出てきたということは,非常に有意義なことであるというふうに思っております。
ただ半面で,各法科大学院の自由な創意工夫があってこそ,様々な新しいアイデア,新しい試みということが出てきて,その実績も試せるのではないかということを思っておりまして。まず出発点としては,各法科大学院の自由な創意工夫の余地ということが非常に重要ではないか,それが,各委員が今までおっしゃった多様性を支えるその基礎であるというふうに私は考えておりまして,法科大学院を取り巻く環境,体制,制度,これらの中で,できるだけ自由な法科大学院の教育研究活動というのが許される,あるいは広く認められていくようなことが,まず大前提にあるということを是非ともお認めいただいて,その上で協働といった次の段階のことを考えていくべきではないかというふうに考えております。
誠に僭越(せんえつ)ではありますが,一言御挨拶の代わりに言わせていただきました。ありがとうございます。

【山本座長】ありがとうございました。それでは木村委員,お願いできますか。

【木村委員】はい,ありがとうございます。木村でございます。本日の冒頭で,今年の司法試験結果について御報告がありました。それで今年の合格発表に関する報道で,予備試験が司法試験の抜け道であることが明確になったという見出しの報道がございました。社会的に見て,抜け道があると認識されていることは,ロースクールだけではなくて,法曹養成の制度全体にとって不幸なことであると思っております。
今更そんなことを言っても,という御批判があることは重々承知しておりますけれども,予備試験の位置付けについては,改めて考えるべきであるということは言い続ける必要があると思います。一般論で申し訳ありませんけれども,まずそのことを指摘させていただきます。
今期の未修者教育につきまして申し上げますと,何といっても実際にロースクールの未修コース出身の先生方が,この委員会のメンバーとして参画されて,非常に具体的な議論をしていただいたというのは有り難かったと思っております。正にこのような方々が活躍されることこそ,法学部出身に限らない優秀な人材が法科大学院を目指してくれることにつながると思っております。以上です。ありがとうございました。

【山本座長】ありがとうございました。それでは久保野委員,お願いいたします。

【久保野委員】はい,ありがとうございます。東北大学の法科大学院で教育に携わる立場から参加しておりました。その中で特に意義深いと感じている点を2点お伝えさせていただきます。
ここまでの現場で教えていらっしゃる委員の先生方とかなり重なりますけれども,1つ目が,実質を重視して,各法科大学院の創意工夫を尊重するという方向性が打ち出されたということでございます。これは,現実には新型感染症に対する対応に迫られたためという面もありましたけれども,認証評価についての基本的姿勢ですとか,未修者教育の拡充の在り方についても,この各法科大学院の実質を重視した工夫というものが強調されたと受け止めております。
大学の教員というのは,基本的に教えるのが好きで,分かってもらうのが好きという人がそろっているように感じています。創意工夫を認めていただけるということが,そのような現場の士気を高めるように思いますし,それはもうおのずと学修者本位というのにつながっていくのではないかと思っておりまして,大変意義深いと思っております。もちろん,その分,各法科大学院が,ではどのように取り組むのかということが,より見られるといいますか,期待されることが大きくなるということでありますけれども,この点につきまして,何度も出ておりますように,協働ということが,これも正面から打ち出されたということがとても重要だと思っております。
私の感覚としましては,このような協働ということも法科大学院ができて以来,法曹養成のために何ができるかということで模索をしてきた教員が,本当は望んでいたことだけれども,なかなかできていなかったということではないかというふうに感じておりまして,プラットフォームの形成ということに期待をしておりますし,期待というよりも自身も含めて,本法科大学院も含めて努力をしていきたいと思っているところでございます。
最後に個人的なことにもなりますけれども,この2年間というのは,たまたま東北大学の法科大学院で院長を務めた時期にも重なりまして,そのようなタイミングでこのような,より俯瞰(ふかん)的に,幅広い御意見を伺いながら,法科大学院全体,そして自らの法科大学院の在り方ということを考える場を頂いたということも非常に有り難く思っております。どうもありがとうございました。

【山本座長】ありがとうございました。それでは酒井委員,お願いいたします。

【酒井委員】ありがとうございます。酒井です。今期,未修コースの改革を中心として議論がされ,改革案がまとまりまして,未修コースの出身者としては,やっと未修コース全体についての改革が始まるところまでたどり着いたなという,非常に思い入れの深い期となりました。改革の内容としても,社会人学生を中心として,学修者本位の教育を実現するということを主眼にした,オンデマンドを含むICTの活用,またロースクール間で協力をして,未修コース全体の教育水準を向上させるという取り組みのスタートという,全体的な方向性に関わるものが大きな柱となりました。
これは具体的かつ本質的な点が盛り込まれた改革とできたと言ってよいのではないかと感じております。前者については,社会人の方にロースクール入学という選択肢をまずは現実的なものとして考えていただく,さらに,入学後の学習を効率的なものとするために機能させていけるものと考えています。また,後者については,これまで各ロースクールの先生方が試行錯誤を重ねられて,しかし全体の現状としては,合格率の低迷という大きなハードルがなかなか越えられない未修者教育の全体について,協働体制で教育の改善に取り組むという新たなフェーズを迎えるという意味で,非常にエポックメーキングな改革であったのではないかと感じております。
一方で,今期取りまとめられた改革が実行されるのは,正にこれからであって,その過程では思うように機能しない,すぐに成果が上がらないというような困難に直面する可能性も当然あると思われます。この改革をベースに,トライアンドエラーを繰り返しながら,多様性のある法曹を輩出するという未修コースの意義が実現することが重要と考えますので,正にその過程がロースクール間で共有されて,さらなる改善につながっていくことを期待したいと思います。
また,未修コースに限らず,法曹志望者獲得という大きな観点からは,まず数ある職業の中から,法曹を選択してもらうこと,更にその先に法科大学院と予備試験受験という2つのルートが混在する中,志願者の進路選択がスムーズにできるような情報発信がされているということが非常に重要と考えております。これは正にロースクールが選ばれる教育機関としての真価を問われている時代ということに他ならないと思いますので,今後も適時に必要な改革を重ねながら,ロースクールと法曹三者が一丸となって教育の質を向上させるということが必須と考えております。
最後になりますが,今期は,改革私案ですとか,サンプル動画の発表の機会を頂きまして,改めて御礼を申し上げます。私のようなロースクール出身世代からの御提案を委員の皆さまが懐深く受け止めて議論の素材としてくださり,大変光栄でございました。また,今後の中教審においても,在学生や卒業生からの意見にも耳を傾けていただいて,風通しのよい議論を行いながら,改革を進められるということが非常に重要と思いますので,このような体制を継続していただければと考えております。
また動画の作成に当たっては,山野目委員を始め複数の委員の御協力を頂きましたので,再度感謝申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。酒井からは以上になります。

【山本座長】ありがとうございました。それでは潮見委員,お願いいたします。

【潮見委員】はい,潮見です。改めまして御礼を申し上げます。今回の取りまとめに関しましては,山本座長他,事務局の皆さま方,大変な御苦労があったと思います。心より感謝を申し上げます。今回の取りまとめですが,先ほどから委員の先生方がおっしゃっておられますように,未修者,それから社会人学生への学修支援に関して,委員の皆さまの知恵を結集して,意味のある取りまとめができたのではないかと思います。この内容をいかに具体的に実現に移すか,これが肝要だと思います。
その上で,今回のミッションで扱われなかった点について,2つ感想を申し上げたいと思います。1点目は,先ほどの木村委員の御発言に関わることといいますか,ほぼ方向を同じくする感想でございます。今回の配布資料にもございましたが,法科大学院入学後の予備試験転身組が非常に多い。また,全国レベルでこの傾向が広がっているという側が大変気になります。法科大学院が腰掛け的に使われているのではないか,二股をかけているものが全国的に増えているのではないかということが危惧されます。法科大学院にとっては,正に正念場といえる状況が続いています。
法科大学院修了者の合格率が50%を超えた,先ほどの御紹介にもございましたが,50%を超えたからといって,決して喜んではいけないと思います。法曹コースがうまく機能すること,それから在学中受験制度が法科大学院への魅力を高めることを祈ってやみません。これが第1点です。
第2点ですけれども,法科大学院制度ができて以降,研究者の養成面というものが,これは前からいわれていることですけれども,最近ますます弱体化しております。これは,研究者養成,あるいは研究をしている私どもの学会のみならず,実務を扱っておられる法曹界の皆さまにとりましても,その将来にとって,大変由々(ゆゆ)しきことではないかと私は思っております。法科大学院で学んだ者が,その学修成果を生かして研究者としての道を進めるように,政府の支援もお願いしたいと思いますし,この特別委員会においても,将来的には,真摯な検討をお願いしたいと思ってやみません。これが第2点です。私からの感想は以上です。どうもありがとうございました。

【山本座長】ありがとうございました。それでは髙橋委員,お願いできますか。

【髙橋委員】ありがとうございます。まずは報告書の取りまとめを頂きました山本座長,それから事務局の皆さまに心より御礼申し上げます。法学部と法科大学院の両方で教鞭を執っております,教育現場の末端におります一教員として,今期の議論につきまして,若干の感想を述べさせていただきます。
既に複数の委員からも言及がありましたけれども,未修者コースは,そもそもの特性から,個々の法科大学院のカリキュラムや,あるいは各学生の状況に合わせて,きめ細かな対応が必要であると思われますので,その教育改善の在り方についても,全国的に統一された改革というのは非常に難しく,日々変化していく状況の中で,地道な教育改善を積み重ねていくところに負うことが多いことは避けられないものと存じております。
そのような中で,導入教材の作成であるとか,あるいは法科大学院に共通の課題について情報を共有するであるとか,一部に具体的な対応策が見いだされたということは,一定の成果ではなかったかという感想を持っております。
その一方で,今一歩,具体的な議論が必要であるように思いましたのは,一つは本日報告書にも追記がなされましたけれども,未修者コースの選抜段階についての検討であります。法学未修者等選抜ガイドラインが定められたのは,4年前と記憶しておりますけれども―その意味では今期の検証は若干早い段階だったのかとも思いますが―今般お試し受講などの提案も示されているところですので,ガイドラインに基づく選抜の方法の検証であるとか,その他の工夫の在り方といったものを検討することを始めてもよいのではないかと思っております。
もう一つが広報についてであります。有用な人材に法曹になっていただくためには,選抜の在り方と同時に,法科大学院に関心を持ってくださる志願者の裾野を広げるということが必要で,そのことは報告書にも記載されているのですが,残念ながら今期の改革では,教育自体の改善にはつながっても,法曹の仕事や法科大学院の魅力が大きく伝わるかというと,非常に難しいものであるということも否めないのではないかと思っております。
また,既修者コースの志願者の広報はターゲットも分かりやすいのですが,社会人向けとか他学部向けということになりますと,せいぜいパンフレットを作るとか,ウェブサイトを改訂するとかといった程度しか知恵がないというのが現状であります。この辺りは,むしろ法科大学院以外の方の知恵をお借りしつつ,法科大学院の魅力が伝わるような具体的な工夫というのを,引き続き検討する必要があると思いました。今後とも,この中教審の場で御検討いただければと存じております。

【山本座長】ありがとうございました。それでは続いて富所委員,お願いいたします。

【富所委員】皆さん,どうもありがとうございました。議論の終盤から参加をさせていただきました。残念ながら,一度も対面する機会がないまま,今日に至ってしまいまして,そこは残念に思っておりますが,何より皆さんと改革への熱い気持ちを共有できたことは本当に良かったと思いますし,私自身も大変勉強になりました。
司法制度改革の初期の議論や,法科大学院が開設された当時の状況などを取材していた立場から,今回議論に参加させていただきました。法科大学院の関係者でもありませんし,法学部の出身でもありません。ということで,外部から今,法科大学院はどう見えているのかというところを申し上げるのが役割なのかなという思いで、これまで発言をさせていただきました。
その上で2点ほど申し上げたいなと思ったことがあります。1つは先ほどから何度も出ていますけれども,やはり連携の重要性だと思います。大学間の競争もあるでしょうし,文化の違いなどもあると思いますので,難しい面があるというのはよく分かります。それでも、未修者教育というのは,多様な人材を活用するという司法制度改革の中核の部分ですので,一番連携しやすいところだと思います。今回の議論を機に,大学間の連携がより深まってほしいなと思っています。
それからもう1点は,マーケティング機能の強化です。議論の中でも,学生の声をどう拾うかとか,修了生の就職先、つまり「出口」をどう把握するかといった課題が指摘されましたが、この点はもう少し強化する必要があるように思います。大学というと、どうしても「教える側」と「教えてもらう側」という図式になりがちだと思います。でも、そこは,「教育サービスを提供して,対価を頂いている」という意識を持って,学生たちがそのサービスに対してどう考えているのか,それから保護者はどこでどう見ているのかというところを,もう少し拾い上げて、不断の質の向上に生かしていく仕組みがあってもいいと思いました。
いずれにしましても、本日取りまとめを迎えることができて,感謝しております。事務局の皆さん,それから山本座長,いろいろ御苦労があったと思いますけれども,本当にありがとうございました。私からは以上です。

【山本座長】ありがとうございました。それでは中川委員,お願いいたします。

【中川委員】はい,中川です。まずは座長を始め,関係の皆さま,大変御苦労があったと思います。ありがとうございます。私からは2点,1つが感想,1つは具体的な課題を申し上げたいと思います。
1点目は感想ですが,これは何人かの委員がおっしゃいましたが,学生の多様性,ひいてはロースクールもそれぞれ多様なのだから,一つのルールに当てはめるのではなくて,様々な工夫を許容しましょうと,こういう雰囲気で議論ができたことが,私は一つの大きな成果であったと思います。
以前はそうではなくて,全ロースクールが従うべき一つのルールをビシッと決めるというスタンスでやってきたわけですが,様変わりで,やっとここまで来たかという感がいたします。
各大学で,例えばコロナ禍の対策をどうしようかと考えた場合に,まず執行部が考えるのが,新しい取組をするとルール違反にならないかという心配なのですが,そうではなくて,学修者にとって何が必要かをまず考えて,それが結果的にルール違反なのであれば,それはルールがおかしいだろうというふうに,そういう発想をすることによって,それぞれの法科大学院が抱えている課題を解けるということになると思います。そういう雰囲気をこの中教審において持つことができたというのは非常に大きな成果であると思います。これが感想です。
2点目は課題です。課題はたくさんありまして,先ほど潮見委員がおっしゃった研究者養成も正にこれは課題どころかもう深刻,もう学界が崩壊するのじゃないかと思うほど深刻なのですが,それは,今日は,申し上げません。私が申し上げたいのは,これまで余り議論がなかったと思われることです。今後の課題としてICTを活用した法学教育ということが挙がってございますが,その中で,試験の実施の仕方ですね。期末試験,ひいては司法試験になると思いますが,いまだに手書きで筆記試験を受けなければならないのか,このアナクロニズムは何とかならないのかということです。
具体的にはパソコンの持込みをオプションとして認めるということなのです。そうしますと,当然ながら,オープンブックの試験になるということになろうかと思います。何を見てもよいということですね。それについて,正に賛否が分かれるところなのですけれども,そもそも大学院レベルの教育をふまえた法曹資格の試験について,何を問うべきなのかを考えると,オープンブックでなぜいけないのかという問題になります。これはもうフィロソフィーに関わることですので,こういう問題は,司法試験の管理者あるいは実施機関に任せるというのは非常に難しくて,むしろ教育の在り方の問題ですので,正に文科省において議論すべきではないかと思います。なかなか大変な議論になろうかと思いますが,そういったところも,このICTを活用した法学教育の重要な課題ではないかと思います。私からは以上でございます。ありがとうございました。

【山本座長】ありがとうございました。それでは松下座長代理,お願いいたします。

【松下委員】松下です。まず本日,第10期の取りまとめにこぎつけることができたことについて,山本座長及び事務局に深く敬意を表したいと思います。今,御紹介ありましたとおり,私は今期,座長代理を拝命しておりましたが,私にとって座長代理の仕事というのは,熱い議論で盛り上がって,つい延びがちなこの会議が定刻から大きく遅れて延びないように心配をするというのが主な仕事でございました。
今期は,法曹養成について,非常に変化が大きい時期でございました。制度面でいえば,昨年の法改正で近々,法科大学院在学中に司法試験を受けられるという制度ができましたし,未修者教育については,本委員会で改めて抜本的な検討がされ,例えばサンプル動画などの提供があり,具体的な提案がされたという点は議論を深めるのに非常に有用であったと考えております。
加えまして,既に何回も指摘されていることですけれども,新型コロナウイルス感染症の問題で,教育のオンライン化が一気に進み,これが特に未修者教育の改革に大きな影響を与えたというのも非常に印象的でございました。専ら個人的な考えですけれども,去年の2月の段階では,授業をオンラインでやること,Zoomの使い方について何も知らなかったことを思い起こしますと,この1年の重みというのをひしひしと感じる次第でございます。
以上が今期でございますけれども,次の期とは,今期にいろいろ変化のあったことが現実化する時期であろうと思います。在学中受験もそうですし,未修者教育の改革もそうであります。こういった変化の大きい時期だからこそ,原点である司法制度改革の理念に改めて立ち返るべきであるというふうに強く思う次第でございます。質と量ともに,豊かな法曹を社会に輩出するというそこに改めて立ち返るべきであり,特にその質の豊かさの確保のためには,法律家のバックグラウンドの多様性の確保に向けた尽力が必要だろうというふうに思います。
先ほども御指摘がありましたけれども,本委員会の委員に法科大学院の未修者コースの出身の先生がいらっしゃるというのは,私も象徴的であるというふうに思いました。
この取りまとめを改めて拝読しますと,これからこういうことをすべきであるということは多々書かれているわけですけど,誰がというのがとても大事だと思っていまして,各法科大学院,各教員,法科大学院協会,あるいは文科省がそれぞれ何をすべきかということを改めて自覚した上で,今期の取りまとめにおける施策の具体化に向けて,それぞれが尽力すべきということだと思っております。私からは以上です。どうもありがとうございました。

【山本座長】ありがとうございました。それでは丸島委員,お願いいたします。

【丸島委員】はい,丸島です。今回,各委員の活発な意見とともに学生の意見をも踏まえて,大変丁寧な取りまとめをしていただきました。そのことをまず感謝申し上げたいと思います。
今回の取りまとめは,委員の皆さまがおっしゃるとおり,多様な未修学生の状況に配慮した学修者本位の教育を実現するということと,個々の法科大学院を超えて法科大学院間の協働により全体の教育水準の向上を図るという,この2つの点が強く打ち出されたことが大きな特徴となっています。協働という点では,私は大学の先生方とともに,弁護士をはじめとする法曹の後継者養成教育への積極的な参加ということを申し上げました。この点については,法科大学院のスタート時から学者研究者と実務家の連携協働ということが,新しい専門家養成教育の一つの大きな特質とされました。
時間がたつとそのような原点が次第に薄れがちとなりますが,過去には,実務家の間では,学者の先生方は実務から離れた高邁(こうまい)な議論ばかりしていると言ってみたり,あるいは学者の先生方からは,実務家は日々の実務に追われ理論研究により実務の変革を目指す動きに乏しいというふうに,互いに力を寄せ合うことも少なかったように思います。しかし,法科大学院教育が始まって,理論と実務の連携,学者と実務家の協働ということが本格的にスタートし,学者の先生方と実務家がこうして意見交換し協働する場をいろいろなところで持てるようになったとことは,大きな前進であると思っています。それが,更に実りのあるものになるような環境づくりということを,お互いに努力していく必要があるなと思います。
また,法科大学院間の協働を具体化するべく,未修者教育の課題や方策を議論する協働プラットフォームを設置するとされたことはとても意味あることだと思います。このプラットフォームは,議論をするプラットフォームに止まらず,そこで生まれたものを実際の実践に生かしていく場となることも併せて期待したいと思います。
さらに,今後のことでいいますと,充実した法曹の体制を作るという意味では,急速に少子化が進み,人材の流動化が激しくどの分野でも人材の奪い合いをしている時代にある中で,社会人を含めて志ある有為の人材を,どれだけ法曹の分野に確保していけるのかということは大変重要な課題です。これは法科大学院の入学選抜の在り方にも関わることだと思いますが,その入口から始まって,法科大学院における十分な教育,そして司法試験,継続研修,法曹としての活躍という一連の流れの中で,今回はその全過程を意識しながら未修者教育の議論がされたということであります。
この人材確保の重要性という点からは,出口論といいますか,法科大学院修了後の活躍の場をどう広げるかということがやはり大きな課題だと思います。今回のまとめの中で,キャリアパスの多様化,あるいは社会人を含む未修者の人たちの様々な分野での活躍の姿を積極的に発信していくということが掲げられました。
このことは改めて大事なことだと思うのですが,同時に,いろいろな学生の状況を見聞きしていますと,特に社会人経験のある女性に感じることがありますが,法曹として,また企業や組織体の中で,うまくキャリアパスを形成できるかどうかというところで壁もあり,悩みを抱えておられる方もおられるように感じます。活躍の状況の発信ということはもとより大切ですが,合わせて,活躍が広がるための環境や基盤を整えていくことにも取り組まなければなりません。これには法曹界や大学のほか,企業や国際機関,あるいは公的機関などの協力も得て,社会人や未修者の方々が活躍する場を広げていくよう,大いに力を入れていかなければならないと思います。
たくさんの課題がある中で,全て一挙にというわけにはいきませんが,全体の方向性を共有しながら、引き続き,ここにお集まりの先生方をはじめ各地の法科大学院の先生方のお力をもいただいて,よりよい法曹を未来に残していくということに力を尽くしていきたいなというふうに感じております。どうもありがとうございました。

【山本座長】ありがとうございました。それでは丸山委員,お願いできますか。

【丸山委員】はい,丸山です。昨日,法務大臣の記者会見で,法曹養成制度に関する質問がありましたので,それに対する大臣のお答えをこの機会に紹介させていただきます。大臣はお答えの最後で,「様々な制度改革を積み上げてきているところでありますので,是非有為な人材がどんどん法曹の世界に入っていただくことができるように,この試験制度につきましても適正にしっかりと取り組んでいきたいと思っております」とお答えになりました。法務省のやるべきことは,ある意味ここに尽きているかなと思っています。
法曹志望者の回復増加に加え,多様な方々が法曹を目指していただくということが非常に大事であり,今回の未修者教育に関する御議論は非常に有意義だったと思います。私事ですが,今,司法法制部で,主に法曹養成を担当している法律実務家の若手2人はいずれも未修者なのです。日々,その人間力と能力に大変助けられていますので,こういう人材をどんどんこれからも輩出できるようにしていくことが非常に重要なことだと思っています。
そして,法曹志望者の回復という点について申し上げますと,今,私がいる司法法制部の業務に,法教育の推進がありまして,子どもたちに法的なものの考え方を伝える,そういう取組も進めています。法教育では,若手の法律実務家が,小学生,中学生を相手に授業をしたりもするのですが,そういう場での子どもたちの目というのは,きらきらしている,弁護士や裁判官の実物を見て興味津々で授業を受けています。息の長い取組かもしれませんが,法曹志望者の回復のためにも,こういう取組も続けていきたいと思います。
何で子どもたちが目をきらきらさせて見てくれているかといえば,話し手である法律実務家の皆さんたちが誇りを持って,やりがいを持って仕事をしているということが,子どもたちに伝わっているからだと感じます。私自身も正に誇りを持って,生き生きとやりたいな,という自戒を込めて今後も取り組んでまいりたいと思います。今期,本当にどうもありがとうございました。

【山本座長】ありがとうございました。それでは水島委員,お願いいたします。

【水島委員】はい,大阪大学の水島です。まず本日の取りまとめに当たり,山本座長そして事務局の皆さまに御礼申し上げます。私は司法試験の選択科目を専門としていますので,未修者1年目の教育には関わっておりません。そのため,本委員会の議論や,先生方の御意見はとても勉強になりました。ありがとうございました。そして,既に複数の委員が御指摘されていることですが,法科大学院の競争から,法科大学院同士の協働へという考えが共有できつつあることに明るい未来を感じました。
選択科目について一言述べさせていただきます。本日の取りまとめでも,多様な法的サービス,幅広い専門的知識の必要性が確認されました。選択科目は今後も司法試験科目としてあるべきと考えますが,本日の資料からも分かりますが,選択科目の科目選択には偏りがあります。本委員会におかれましても,選択科目の議論も次期以降,行っていただけると有り難く存じます。私からは以上です。ありがとうございました。

【山本座長】ありがとうございました。それでは山野目委員,お願いいたします。

【山野目委員】2年間を振り返りまして,座長の山本先生,文部科学省の事務当局の皆さん,委員の先生方に大変お世話になりました。ありがとうございました。私からはこの第10期を顧みての課題と成果という申し上げ方で,感じていることをお話しさせていただきます。
成果ということで申し上げますと,もちろん本日お決めいただきました取りまとめの中に,たくさんの事項が盛り込まれておりまして,どれも重要でありますけれども,なかでも既に多くの委員の皆さんがおっしゃっておられるとおり,法科大学院の各校の間のコラボレーション,そしてまた各校が有している創意工夫がもたらすオリジナリティー,このコラボレーションとオリジナリティーをどのように調和させて,これからの法科大学院制度を発展させていくのかということについて,議論の出発点となる良い方向付けが得られたのではないかと感じます。それは決して未修者教育に限ったことではなくて,この法科大学院の制度全体にとっての新しい活路を示す上でのヒントになっているとも感ずるものでございます。
課題ということで申し上げますと,今後更に議論を深めていかなければいけない事項として,司法試験の在り方,そのことをにらみながら,法科大学院の教育の内容,進め方をどういうふうにするかということがあると感じます。申すまでもなく,司法試験の実施の仕方そのものは,この審議会の所掌事項ではございませんけれども,しかしながら中川委員が御指摘になったように,司法試験が法科大学院教育の仕上げの一つの重要なチェックの契機であるとしますと,そこで試されるものは,当然のことながら法科大学院の教育を受け止めたものでなければなりません。
象徴的な出来事として,オープンブック方式の試験というものを,今も私は,ちょうどそのシーズンですから,採点している途中でございますけれども,偶然に促されて,このオープンブック方式というものに付き合うことになり,最初は戸惑いもありましたけれども,しかし,これも中川委員がおっしゃったように,これからを考えるうえでの一つのヒントであるかもしれません。今,手元で答案を採点しておりますと,余り見たことがない,現場で考えなければならない設問を突き付けられた学生たちが,あるものは手元で判例を調べて,近しい判例があるから,これと同じにやろうではないかというふうに書いてくる。それはそれで情報収集の力があることを示しますけれども,肝腎の法律の規定,法文との関係をどう考えるかという説明が余りされていない。
そういう答案がある一方で,今度はがちがちの文理解釈をして,法文と向き合って,一所懸命考えてくれる答案があり,そちらぱ判例への言及などは余りありません。限られた時間で,初めて出される問題ですから,そこは完璧を求めることは元々してはいけないことですけれども,果たしてそれらの多様なタイプの答案を見たときに,どれが将来,我々が輩出させていくべき法律家として才ある者であるというふうに評価すべきであるかという論点は,そのこと自体が,単なる採点の事務ではなくて,法曹養成制度の理念に関わるという側面があるであろうと感じます。これは今後また,いろいろなところで議論が深められていけばよいと考えます。
顧みまして,この10期の審議の中で思い出深いできごとは,酒井委員が動画を作ってくださいまして,審議会でお披露目(ひろめ)をなさいました。政府審議会への参画の在り方として,余り見ない風景でありまして,大抵は会議に出て,発言をして議論するものですが,こういうふうに自分で素材を作って出すという,いわば実践的といいますか,参加型といいますか,あるいはもっというと,劇場的でドラマチックな参加の仕方というものは楽しかったと感じます。
幸いにして,酒井委員お1人のお取り組みではなくて,当初は大貫委員,そして現在は片山委員に御尽力いただいて,法科大学院協会が弁護士会とも連携しながら,そこでの問題提起を受け止めた具体のお進めをなさっていかれるというふうに理解しておりますから,そういうものにも期待をしてまいり,関係の皆さんの御尽力をお願いしたいと考えます。誠に意義深い審議に参加させていただきましたことに御礼を申し上げます。ありがとうございました。

【山本座長】ありがとうございました。これで一通り,委員の皆さまから御発言を頂きましたが,最後に私からも一委員の立場として一言感想を述べさせていただければと思います。
私自身,この法科大学院等特別委員会で一つの役割を果たしたのは,2012年になると思いますけれども,未修者問題のワーキンググループで座長を務めさせていただいたときでありました。これが委員会として,恐らくこの未修者問題に正面から取り組んだ最初の機会だったのではないかというふうに記憶しております。その後,私自身は共通到達度の確認試験の創設に向けての議論などに携わりながら約10年間,この未修者問題というものに取り組んできたわけであります。
その意味で,初めてこの特別委員会として,この未修者教育に中心的なスポットを当てた形で,報告書を取りまとめられたということについては,個人的にも大変感慨が深いものがあります。既に各委員から様々な御指摘があったとおり,この取りまとめ,従来のものに比べると,規制から援助というようなお話もありましたけれども,どちらかといえば,この制度の改革というような部分は相対的に小さくて,むしろ各法科大学院,あるいは各教員の対応に大きな期待をかけるものになっているというふうに思います。
これは,この未修者の教育という問題の性質上,ある種必然的なものがあるのではないかというふうに思う一方,それであるだけに,様々な形で,今後フォローアップをしていく必要があるという報告書になっているのではないかと思っております。当然,当委員会としても,フォローアップの機会を持つということになるのだろうと思いますけれども,特に今回の報告書,これも多くの委員が御指摘していただいたとおり,3の法科大学院間の協働というところで,法学未修者教育についての継続的な検討という項目を立てているところは重要であろうというふうに思っています。
協働プラットフォームというような形で名付けられているような継続的な議論の場というのを設けていただき,またそれに多くの人々を巻き込んだ形で,今後議論を継続していただくということ,法曹界との連携というのは指摘されております。先ほども御報告いただいたように,未修者だけに限っても,既に8,000人以上の司法試験合格者が出て,法曹になっていると。これは法曹の中でも一大勢力といってもいいと思うわけですが,こういったような方々にも,是非議論に関与していただいて,大きな波をつくっていくということが重要なことなのかなというふうに思って,それを期待したいというふうに思っております。
それでは,本日の議事は以上になりますが,最後に事務局の方から御挨拶を頂きたいと思います。

【伯井高等教育局長】文部科学省の高等教育局長,伯井でございます。本日,第10期の法科大学院等特別委員会の最後の委員会ということで,一言御礼の御挨拶を申し上げます。この第10期の法科大学院等特別委員会につきましては,令和元年6月の第92回の開催以降,新型コロナウイルスの感染拡大という厳しい状況の中での本日に至るまで,合計11回,議論を積み上げていただきました。
今期前半では,令和元年6月に成立いたしました法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律一部改正を受けまして,専門職大学院設置基準等の関係政省令案を始め,法曹養成連携協定の認定要件,認証評価の見直し,KPIの設定等について御審議を頂き,また後半では,法学未修者教育の充実について,正に法科大学院教育の大変大きな転換期におきまして,多角的かつ精力的な御議論を頂きました。ありがとうございました。
来期の委員会では,今期の議論を土台といたしまして,3プラス2の新制度のフォローアップや,法学未修者教育についての継続課題などのテーマにつきまして,法学に深い知見と経験を有する委員の先生方の皆さま方のお力を頂きまして,さらなる法科大学院教育の充実に向け,御審議を深めていただければと思っております。今期中の闊達(かったつ)な御議論に改めまして御礼申し上げますとともに,来期以降のさらなる充実した御審議を申し上げまして,私からの挨拶とさせていただきます。本当にありがとうございました。

【山本座長】伯井局長,ありがとうございました。最後に私からも座長として一言御挨拶をさせていただければと思います。
今期の中心的なテーマが,未修者教育の問題になるということは,当初から想定されていたところでありました。ただ,今局長の話もありましたが,今期の前半は,前期の大きな改革,法曹コース,あるいは在学中受験等の大改革に伴う様々な付随的な議論が必要になり,そのことに委員の皆さまの御議論を頂いてきました。後半にいよいよ未修者教育というところで,このコロナが発生してしまったものですから,若干時間が,この重要なテーマに対して,時間が十分な形で取れなかったということがあったとすれば,議長として,大変申し訳ないことであったというふうに思っております。
ただ,それにもかかわらず,本日取りまとめいただいた,極めて重要な御提案を取りまとめという形で作っていただいたことについては,心より感謝を申し上げたいと思います。ただ,そういう制約もある中で,積み残しといいますか,更に議論をしていただかなければならないテーマ,今日の報告書では,今後の検討課題というところで幾つかの項目が挙がっておりまして,これは次期への積み残しということになりますし,また,今これも局長からお話がありましたとおり,次期は法曹コースというものが本格化して,法曹コース出身の最初の法科大学院生というのが出てくるという中で,その改革のフォローアップというのも,大きな一つのテーマになるのだろうというふうに思います。
そのような今後の継続的な議論について,期待しますとともに,委員の皆さまにおかれましては,この任期の2年間にわたって,本特別委員会での御審議に御協力いただき,大変活発な御議論を頂いたことに改めて御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。
それでは,以上をもちまして,今期第10期の法科大学院等特別委員会を終了したいと思います。長い間,本当にありがとうございました。


―― 了 ――

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