法科大学院等特別委員会(第101回)議事録

1.日時

令和3年1月18日(月曜日)10時00分~12時00分

2.議題

  1. 法学未修者教育の充実について
  2. その他

3.議事録

【山本座長】それでは,予定の時刻になりましたので,ただ今より第101回法科大学院等特別委員会を開催いたします。本日も新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点からオンラインミーティングという形で開催させていただいております。また,本委員会は公開が原則のため,この会議の模様はYouTubeにてライブ配信をさせていただきますので,あらかじめご承知おきください。
さて,本日の議題は,前回に引き続きまして,法学未修者教育の充実についてであります。今回と次回の2回の議論で,本委員会として今期の最終的な議論の取りまとめをしていきたいというふうに考えておりますので,本日もどうか活発な御議論をよろしくお願いいたします。
それでは初めに,事務局から配布資料の確認をお願いいたします。

【西川専門職大学院室長】本日は配布資料といたしまして,お手元の資料1-1から1-3,資料2,参考資料の1と2をお配りしております。資料の不備や接続不良等のお困りの点がございましたら,開催案内に記載の事務局の連絡先にお電話をいただければと存じます。
併せまして,事務局に異動がございましたので御紹介申し上げます。令和3年1月1日付で高等教育局担当の大臣官房審議官の森が私学部長へと異動となり,後任に森田正信が着任しております。どうぞよろしくお願いいたします。
事務局からは以上でございます。

【山本座長】どうかよろしくお願いいたします。
それでは,議事に入りたいと思います。先ほども申し上げたとおり,本日は前回の議論に引き続いて,議論のまとめについて御議論を頂くということですが,前回の会議における各委員の御発言,更に会議後に委員から個別に頂いた御意見を踏まえて,事務局において,第10期の議論のまとめ(案),資料1-1でございますが,これを作成していただいていますので,まず事務局から資料の説明をお願いいたします。

【西川専門職大学院室長】それでは,お手元の資料の1-1から1-3につきまして,御説明を申し上げます。
まず資料の1-1ですが,こちらは前回お示しした議論のまとめの素案につきまして,前回の御意見と会議後に頂いた御意見とを反映させまして,議論のまとめ(案)として今回取りまとめたものでございます。また,前回は記載がありませんでした「はじめに」の部分とローマ数字ⅠとⅣの章は,今回新たに記述を加えております。なお,本文中,前回からの変更箇所について網掛けでお示ししています。
それでは,章ごとに中身を説明してまいります。まず資料1-1の2ページを御覧ください。こちらの「はじめに」の章は今回新たに記述をした部分ですが,まず1ぽつ目で,近年の法科大学院全体の状況について,また,2ぽつ目では,昨年度の制度改革について,それぞれ触れました上で,3ぽつから4ぽつのところでは,法学既修者を前提とする制度改革がなされた今こそ,そしてまたデジタル化やポストコロナといった大きな社会構造の変化を見据える今こそ,多様な法曹人材を確保するための法学未修者教育の充実が必要であるという認識を述べております。
続きまして,4ページを御覧ください。こちらの「Ⅰ これまでの施策と成果」という章も今回新たに記述をした部分でございます。ここではまず,これまで長年にわたって未修者教育改善のための様々な努力が続けられてきたということ。特に2ぽつ目の辺りですが,平成24年の未修者ワーキンググループによる提言等を受けまして,16行目以下に掲げるような,様々な制度改革がこれまでに行われてきているということや,各法科大学院におきましても様々な創意工夫が続けられており,次のページの辺りですけれども,加算プログラム等でもそれぞれの取り組みが評価されてきたということについて,記述をしております。その上で,5ページの12行目ですけれども,こうしたことの成果として,ごく近年では志願者の減少に一定の歯止めがかかるような兆しが見られるということですとか,この十数年の間に8,000人近い未修者の修了生が法曹として多様な分野で活躍をしているといったことが挙げられる一方で,最後のところですけれども,全体としては,今なお,司法試験合格率や標準修業年限での修了率等が伸び悩み,さらなる対応が必要な状況であるという認識を記述させていただいております。
続きまして,6ページを御覧ください。こちらの章は,前半部分は前回お示ししたものと同じですが,28行目以降のところで前回,椛嶋弁護士から御紹介いただきました学生の声を取り上げまして,こうした学修者の率直な声に真摯(しんし)に向き合わねばならないといった記述を加えさせていただいております。
更に7ページの8行目からのところでは,改めまして今後の法科大学院は,連携や協働によって,共に高め合っていくフェーズを迎えているという中,各大学に共通する課題が特に多い未修者教育において,この協働の観点が特に強調されるべきという旨の記述を加えております。
続きまして,8ページを御覧ください。ここからは前回まで御議論いただきました課題を踏まえた対応策のところですけれども,ここからの御説明は前回からの変更箇所であります網掛けの部分を中心に行ってまいりたいと思います。
まず,7行目の辺りの網掛けを御覧ください。こちらは学修者本位の教育についての説明を補充いたしまして,少し分かりやすくいたしました。
続きまして,次に,ICTの項目がございますけれども,この中の9ページ17行目の辺りのところですが,ここでは今回オンデマンド方式を授業の形態として解禁ことの趣旨につきまして,より本質的な双方向・多方向型の教育の実現である旨の説明を補充しつつ,また,見え消しになっておりませんけれども,前回の清原委員や富所委員からの御指摘を踏まえまして,前回書いておりました面接授業に相当する十分な教育効果が大前提といった,ややブレーキをかけるように受け取れる表現を削除しております。
続きまして,10ページの1行目のところですけれども,こちらは前回,中川委員からの御指摘を受けまして,オンデマンド方式を含めた活用のところに,「教育目標や科目の特性等に応じて」との文言を追記いたしました。さらに,その下の5行目からのところですけれども,前回の案では,「反転授業の導入等によって,これまで講義に割いていた時間を演習等のよりきめ細かい授業に振り分けることができる」というふうに書いておりましたが,これについて髙橋委員より会議後ですけれども,必ずしも講義に割く時間が減るわけではなく,むしろ講義動画の作成に時間を費やすという面もあるので書きぶりを少し修正すべきではないかという御指摘を受けまして表現を改めてございます。
続きまして,前回の素案では,このICTの項目の次に,入学前の学修機会の提供について記述をしておりましたけれども,ここは後ほど御説明いたしますように,次の第2章が他学部出身者や社会人経験者などのいわゆる純粋未修者に焦点を当てた章となりますことから,座長とも御相談の上で,この入学前の学修機会の文章は,基本的な内容をそのままに丸ごと次の章へと移しております。
続きまして,補助教員の項目にまいりまして,10ページの23行目のところですけれども,こちらは前回,清原委員からの御指摘を受けまして,補助教員の名称等が多様であることについて,脚注にのみ記載していた記述を本文の方に追加いたしました。
また,最後の行から次のページ,11ページにかけてのところ,さらには11ページの6行目からの網掛けにつきましては,前回御発表のありました学生の声を新たに追記し引用しております。
続きまして,14行目の一部網掛け部分になっておりますところ,ここは補助教員の説明を従来は「法科大学院修了生の弁護士等」というふうにしておりましたところ,ここは弁護士に限らず検察官,裁判官を含めるような表現が適切ではないかという御指摘がございましたので,「法律実務家」という表現に改めさせていただきました。
次に,12ページにお進みいただきまして,2行目からのところ,ここは網掛けがありませんけれども,文部科学省が留意事項等を整理するという点につきまして,補助教員によるゼミ等を単位認定することも可能であるという旨を明記できないかということを前回,酒井委員から御指摘いただきましたが,一方で,加賀委員からは慎重に検討すべきという御意見もあったところでございます。ここは実際のところ,補助教員の活動は非常に多様である中で,担当教員の管理の下でシラバスに沿って学修補助を行うと,そのような場合には正課の授業の一環として補助教員が活動するということは可能になるわけですけれども,正にそういったことをここで言っている留意事項の中で,今後,具体的に整理をしていくということにさせていただきまして,ここの表現はこのままとすることでいかがかというふうに考えてございます。
また,関連しまして,前回,水島委員,木村委員からは,認証評価に耐え得るような補助教員の定義や範囲の定義が必要ではないかといった御指摘を頂きましたけれども,これにつきましても具体的にはこの留意事項の中で必要な整理を行い,それに従って認証評価が行われるように促していくという整理にさせていただければと考えております。
以上が第1章の学修者本位の教育の実現に関する変更点でございます。
続きまして,14ページを御覧ください。こちらは,「2.社会人学生等の実態に配慮した学修体制」ですけれども,まずここの章の前の「1.」との違いが分かりにくいという御指摘を複数の委員から頂きました。そこで書きぶりを一部修正いたしまして,「1.」の章では,法学部出身者を含めたいわゆる法学未修者コース入学者全体についての対応策を述べているのに対し,この章では中でも他学部出身者や社会人経験者などのいわゆる純粋未修者をターゲットとしていることをまず書きまして,そして中でも特にここでは,働きながら学ぶ有職社会人について特別な配慮が必要と考えられる点について焦点を当てているという旨の説明を冒頭のところで追記をいたしました。
続きまして,ICTの活用とその次の長期履修の項目ですけれども,ここは前回,単に【再掲】と記載しておりましたが,社会人学生等に固有の観点から記述を追記すべきという菊間委員からの御指摘なども踏まえまして,そのような観点で記述を追加しております。具体的にはICTにつきましては,有職社会人など時間的な制約のある学生にこそオンデマンド方式等の活用が有効であるといったこと。また,その際,仕事と両立しながらしっかり学修に専念できる環境をつくることも併せて必要であるということ。さらには,27行目からのところですが,オンデマンド方式は科目の特性等に応じた使い方が有効であるといった文脈の中で,前回の中川委員からの御意見を引用しながら具体的な遠隔授業の在り方については,各大学院の実情に応じた検討が求められるというふうに記載をしております。
続く長期履修制度につきましては,有職社会人等の場合,とりわけ学修スタイルが多様であって,よく各法科大学院において柔軟な制度設計がなされることが期待されるといった旨を記述しております。
続いて,この15ページの16行目からのところに,先ほど申し上げましたように従来は前の章に置いておりました,「入学前の学修機会の提供」の項目を純粋未修者向けの対応策であるという趣旨で,こちらの場所に移しておりますが,内容的には網掛け部分に少し学生の声を追記したほかは特に変更はしてございません。
続きまして,17ページのにお進みいただきまして,基本科目に注力できる工夫のところ。こちらは記述の内容について変更はございませんけれども,引き続き検討するという結びになっておりますことから,後述いたします今後の課題の中にも位置付けることとしております。
続きまして,次の18ページを御覧ください。こちらは第3章,法科大学院間の協働でございますが,ここはまず冒頭のところで今回この協働ということの意義や有効性について少し丁寧な説明を追加しております。
また,25行目の網掛けですけれども,先ほどの補助教員と同様,未修者教育充実のための協働に当たっては,法科大学院間だけではなく,法律実務家を含めた法曹界を挙げての取り組みも重要という御指摘がございましたので,「法律実務家」という文言を加えております。
さらに,27行目の辺りで言及をしております導入的な講義動画の説明といたしまして,脚注に酒井委員の御発表資料を追記させていただいております。
次の19ページにまいりまして,3行目のところですが,法科大学院間で継続的に議論をする場について,「協働プラットフォーム」という言葉を入れ込みまして,後に御説明いたします概要資料の方にも記載をしております。
さらに,8行目から最後にかけての網掛け部分ですけれども,ここは前回の大貫委員からの御指摘を受けまして,ICTを使って意見交換を日常的に行うことが重要といったことについての追記をさせていただいております。
続きまして,20ページを御覧ください。こちらは共通到達度確認試験の関係ですけれども,こちらは9行目からの辺りで,現在の進級判定の課題についての説明がやや分かりにくいという御指摘を受けまして,御覧のような具体的な説明に改めております。
変更箇所としては以上でございますけれども,この共通到達度確認試験につきましては,先日ちょうど第2回の試験が実施されましたので,併せてここで御報告申し上げたいと思います。お手元の参考資料1を御覧いただけますでしょうか。参考資料1が今回の確認試験の実施要領ですが,今月の10日の日曜日に第2回となる試験が御覧の要領で実施をされまして,今回は各大学の御判断で一部オンライン方式も活用しながら,無事に実施をされたところでございます。受験者数等については現在集計中と伺っておりますけれども,今後,管理委員会の事務局において結果の集計ですとか各大学へのフィードバック等が行われ,今後の進級判定や学修指導に活用される予定となっております。
それでは,もう一度本文の方にお戻りいただきまして,22ページを御覧ください。こちらは対応策の最後の第5章,キャリアパスの多様化のところですけれども,こちらについては前回,有信委員や片山委員からグローバルの視点を入れるべきという御意見ですとか,技術革新に伴うELSIへの対応など本来の法曹に求められる新たな知見に触れるべきであるといった御意見,さらには,会議後に丸島委員から,グローバルといったことに加えて,地域への貢献や司法ソーシャルワークといったことの重要性についての視点も入れるべきとの御意見を頂きましたので,主に18行目以下のところでこういった記述を追加させていただきました。
この章は以上でございまして,最後に25ページを御覧ください。ローマ数字Ⅳの今後のさらなる検討課題ですけれども,こちらは今回新たに記述をした箇所でございますが,ここでは今回示しました対応策について,今後とも本委員会において進捗(しんちょく)の確認や成果の検証をしていくということとともに,今期で必ずしも十分に議論を深めるに至らなかった幾つかの事項について,次期以降の継続課題として示す形としております。具体的には一番下の箇条書きのところですけれども,1つ目は政府全体での今は検討が続いているICTの活用,特に対面と遠隔授業のバランスについてといったこと。2つ目は,先にも言及いたしました他学部出身者や社会人経験者が有する知識や経験等を踏まえた教育の在り方について。3つ目としまして,前回御発表のあった筑波大学など夜間主コース特有の課題についてさらなる研究が必要ではないかといったこと。そして最後の4点目が,今年度スタートいたしました法曹コースの教育と1年次教育との連携についてということで,この最後の点は今後,本委員会としてまた改めて3+2の新制度のフォローアップも進める必要があると認識しておりますけれども,それと並行して扱うということも考えられるところかと考えております。
以上が長くなりましたけれども,議論のまとめ(案)本文の変更箇所の御説明となります。
加えまして本日は,資料の1-2としまして,オレンジ色ベースの概要1枚紙の案,その後ろに資料1-3としまして,議論のまとめに添付いたします参考資料集を,それぞれお配りしております。
参考資料集の方は適宜御確認頂くことにしまして,本日はこの資料1-2の概要版の書きぶり,こちらは基本的には,今御覧いただいてきた本文の方を,正に要約している内容でございますけれども,この書きぶり等についても併せて御議論いただければと思っております。
私からの資料の御説明は以上でございます。

【山本座長】ありがとうございました。それでは早速議論に入りたいと思います。本日の議論の進め方ですけれども,ただ今御説明があった資料1-1及び資料1-2について,前回まであるいは期日間において各委員から寄せられた御意見の趣旨というものが,適切に反映されているかどうか,あるいはこの際,この報告書(案)全体について新たにお気付きの点,あるいは御意見がありましたら,どの箇所からでも結構ですので御自由に御発言を頂きたいと思います。なお,前回までと同様,御発言を希望される委員は,このWebexの手を挙げる機能を使って挙手をしていただければと思います。万が一,手を挙げる機能がうまく機能しない場合には,ミュートを解除して直接御発言を頂いても構いません。それから発言に当たりましては,発言の都度お名前をおっしゃっていただくこと。発言時以外はマイクをミュートにしていただくこと。資料を参照する際は,資料のページ番号あるいは何行目かなど分かりやすくお示しいただくこと等の御配慮をお願いしたいと思います。なお,マイクが入っていないなどの場合は,こちらから聞こえませんということでお声掛けしますので,発言時にその都度,聞こえているかどうか確認を頂く必要はありません。それから発言を終えられた委員は,Webexの手を下ろす操作を行っていただくよう御協力をお願いしたいと思います。
それでは,どなたからでも結構です。どの点からでも結構ですので,御発言又は挙手をお願いしたいと思います。
それでは,北居委員,お願いいたします。

【北居委員】恐れ入ります。慶應義塾大学の北居でございます。
今回の案の取りまとめを,いろいろ事務局の方で御苦労いただいたことと思います。どうもありがとうございます。
若干1点だけ気になりましたのは,それほど検討が進んだ話ではないということは十分認識しておりますけれども,この全体が入学後の未修者教育について,基本的に重点が置かれているということで,その重点の置き方について異論はございませんけれども,かねてより入学試験の在り方,ないしは選抜の在り方自体を見直すと申しますか,更に検討していく余地があるのではないかということを多少提案させていただいた記憶がございまして,入学前の学修というのも,入学が決まった方を対象にした学修であるという内容だと私は認識しておりますので,それだけではなくて,まだ入学しようかどうしようか迷っている,とりわけ社会人の方等々に対して,こういうことを法科大学院で学んでいくから,こういうことについてあなたは御自身で適性を,あるいは法科大学院側も適性を判断するといったような機会を設けられるような,そういう検討余地もあるのではないかというふうに考えておりまして,今回というか,さらなる検討課題になるのかもしれませんけれども,この点についても多少御配慮いただければということを考えております。
以上でございます。

【山本座長】ありがとうございました。ごもっともな御指摘かと思います。今回はそこまで議論をすることはなかなか難しかったわけですが,統一適性試験が認可された後の状況等も踏まえて,今後のさらなる課題のところに記していただくということかと思います。ありがとうございました。
それでは続きまして,片山委員,お願いいたします。

【片山委員】慶応大学の片山でございます。
まず,協会理事長といたしまして,先ほど事務局の方から御報告いただきましたとおり,この10日に共通到達度確認試験を無事終えることができました。
新型コロナウイルスの感染が拡大する中でありましたし,また一部地域では大雪も重なりましたけれども,おかげさまで関係各校の皆さまの御協力を得て無事,第2回の共通到達度確認試験の実施をすることができました。関係各校にはこの場を借りて感謝の言葉を述べさせていただきます。
では,今回のペーパーに関してですが,4ページから5ページにかけて,今回新しくこれまでの法学未修者教育に関する施策及び成果ということでおまとめいただいておりますが,そこでの書きぶりについて一言意見を述べさせていただきます。おそらく、ここではその後の章立てが未修者全般と,それからいわゆる純粋未修者とを切り分ける構成になったことが反映しているのかとは思いますが,基本的には法学未修者を十把一絡(から)げというわけではないですけれども,純粋未修者もそうでない者も同一に論じられています。その上で、志願者や入学者の減少傾向には歯止めがもうかかっており,むしろ問題なのは,司法試験の合格率や標準修業年限の修了率が伸び悩んでいることなのだという書きぶりになっていますわけではありますが,やはり社会人とか他学部出身者の志願者数がまだまだ十分ではない,あるいは入学者の中におけるその割合がまだまだ低いのではないかという問題意識を持っているところではあります。
今回の資料ですと,最後に一覧表がございますが,入学者数の推移で社会人経験者の割合が30%前後,それから非法学部出身者の割合が30%前後というその図表がございます。これで良しとするか否かというのは賛否両論分かれるところかも知れませんが、本来の未修者コースの趣旨からしますともう少し割合が増えて欲しいところです。いずれにしましても,教育内容の充実とともに,あるいはそれ以上に重要なことかもしれませんが,とにかく志願者を増やして、ロースクールはすばらしいところだと社会人の方々にも思っていただき,どんどん志願していただくという状況をつくる必要はあろうかと思っております。その点からは、志願者,入学者の増大,その中でも特に社会人とか他学部出身者の志願者数やその割合の増大は,引き続き課題の一つであるということは書いていただきたいと思います。いろいろ御意見もあるでしょうけれども,未修者コースについては本来の制度の趣旨は、社会人や他学部他研究科出身の他分野人材の教育の場ということでございますので,できる限りその割合を増やすとメッセージを,是非お書きいただければと思っているところでございます。

【山本座長】ありがとうございました。先ほどの北居委員との御意見ともつながるところはあろうかと思いますけれども,ごもっともな御指摘だと思いますので,修文して反映していただければというふうに思います。
ほかにいかがでしょうか。
清原委員,お願いいたします。

【清原委員】ありがとうございます。杏林大学及びルーテル学院大学客員教授の清原慶子です。新年おめでとうございます。
今回の資料の1の案につきまして,幾つか気付きを申し上げたいと思います。1点目は,「1,これまでの法学未修者教育に関する施策及び成果」として4ページから5ページにかけて,「法科大学院公的支援見直し強化・加算プログラムの取り組み」について紹介をしていただいています。私はこれまで法科大学院の皆さまがこの「強化・加算プログラム」において,未修者教育に力を入れて一定の成果を上げてこられたということは,やはり再確認することが望ましいと思っています。加えてその内容について,今回提案のあります「連携」とか「協働」ということとも関連して,各法科大学院で共有をして,それぞれの法科大学院独自の対応をする際の大いなる参考にしていただければというふうにも思います。
法科大学院においては,今,門外漢が申して恐縮ですが,競争の時代よりも連携,協働の段階に入っていると思います。ただし,内容については「各法科大学院の実情に応じた創意工夫が求められる」ということは言うまでもありませんし,今回のこの提案にもそのような記述があるということは重要だと思っていますが,是非適切な情報共有と、そしてそれぞれの活用に向けての協働が必要なことだと思っています。
続きまして,6ページの28行以降でございますが,前回,椛嶋先生から御紹介いただいた「学生ヒアリングやアンケート結果」について御紹介がなされています。委員として菊間先生や酒井先生という未修者当事者の委員の皆さまの実体験に基づいた説得力ある御意見が内容に反映されていることはもちろんですが,「学修者本位」でまとめるというときに,私たちが共有したこうした学修者の生の声を報告書に含めるということは,極めて重要だと思っています。本当に生の声が載せられているのでむしろ「挫折していた」とか「孤独で情報がない」とか,ネガティブな声が載っているわけですが,しかし私たちはそれを直視して今回議論したということを明確に示すということは重要だというふうに思っています。
3点目に,8ページ以降の「学修者本位の教育の実現」で,ICTを活用した法学教育の在り方について述べられており,また,14ページ以降に更に詳しくICTを活用した法学教育の在り方が書かれており,今回の私たちの報告書の中では「ICTの活用」というのは極めて重要なメッセージだと思っています。特にコロナ禍において各法科大学院におかれては,これまでの取り組みを踏まえつつも,かなり臨機応変にICTを活用されてこられました。その実体験が裏付けとなって,単なる提案ではなくて実績に基づいた提案になっているということが重要だと思います。
そこで資料の2におまとめいただいた法学未修者教育の充実の第10期の議論のまとめなのですが,どうしても報告書の内容に沿っているので章ごとに説明が入ってきますから,「ICT(オンデマンド方式を含む)の活用」というのがちょっとぼやけてしまうかなという懸念があります。内容としてはかなりのページ数を割いて,「望ましいオンデマンド」あるいは「対面の活用」なども述べているので,正しく概要をまとめてはいるのですが,ICTについてちょっと目立った強調ができるといいのかなと感じました。
そして18ページ以降に,「効果的・効率的な学修に向けた法科大学院間の協働」という,正にその中にも「ICTを活用した先進的な取り組みなどは,複数の法科大学院が連携して,ある程度の規模で行うことでリソースやノウハウを有効活用する方向性」というのが示されています。私は今回,酒井先生が試作してくださった動画の教材などは,本当に複数の法科大学院で活用していただく導入教材として適切だというふうに思いました。私の立場としては,法科大学院の先生方が過重な働き方になるのではなくて,「働き方改革」の一環としてもこのICTの活用が負担感なく生きればよいと願っている者の一人です。
従いまして,このような「教材の共有」といいますか,連携といいましょうか,そういうことは,正にポストコロナの時代に本当に重要な課題になっていくと思いまして,報告書に書かれているのですが,更に具体的に法科大学院の先生方の取り組みをお願いしたいと思います。
最後に,私も「入学前のPRと入学試験」のことについては,先ほど2人の先生が言われたように,やはり極めて重要なポイントだというふうに思っています。今回,入学前,必ずしも強制はしないけれども,社会人などでICTを活用して履修した場合は,「科目等履修生」として認めるという,そのことについても記述がなされています。16ページでございますね。16ページの13行以降や,あるいは22行以降なのですが,こうしたことがPRされることによって,少しでも社会人の受験生が負担感を取り除いて入学試験を受けていただくことを願いたいなと思っております。このような取り組みについて,概要の中でも整理するのか,あるいは概要とはまた別に未修者の皆さまの法科大学院へのモチベーションを高めるような,制度の改善のリストアップというのでしょうか。それを別紙として作っていくということも,今回の私たちの検討が,法学未修者であっても法科大学院を志す人たちの琴線に触れるのではないかなと願っているところです。そんな点も御検討いただければと思い発言をさせていただきました。
以上です。どうもありがとうございます。

【山本座長】ありがとうございました。どれも貴重な御指摘だったと思います。特に資料1-2というか,この概要のまとめ方についても幾つか御提言を頂いたかと思いますので,次回の取りまとめに御反映いただければと思います。ありがとうございました。
それでは,潮見委員が少し早く退出されるというふうに伺っていますので,潮見委員,お願いできますでしょうか。

【潮見委員】京都大学の潮見です。
今,清原委員の御発言がございましたので,あえて一言発言させてください。何を申し上げたいのかというと,ICTの活用それ自体が私は試行錯誤している状況だと思います。今回の検討においてICTの活用の方向にブレーキをかけないようにしたいという趣旨は、理解いたしました。またICTの活用について1つにまとめて整備をしていくということで,再度メッセージを与えようということについても特に反対しているわけではございません。繰り返し今日の特別委員会で私が申し上げていることを再度もう一度申し上げたいと思います。法科大学院,現場を預かり,また教育の最前線に立っている人間としては,この間,対面での授業がいかに重要であるというのをひしひしと感じているところです。これは法科大学院に限りではありません。私も京都大学で基本科目、専門科目等を担当しています。そこでの授業,あるいはそこで実際に実地試験等で確認ができた学生の理解度を過去のものと比較してみますと,今回のオンラインでの授業が中心になりICTを活用したことによって,もちろんそこは試行錯誤のところはございましたが,どこまで学修できたかという点では、修得度は正直言って落ちているというような感じがいたします。
対面の授業というものが正に重要であるかは私も繰り返しここで申し上げてきました。そうした中で,もちろん先ほど言いましたように,ICTを活用するというのは私も賛成したいところではありますものの、それでもなお、対面授業というものの重要性を絶対に忘れてはいけないのだということを強く申し上げておきたいと思います。今回の取りまとめの案ととして、先ほどの29ページで、今後のさらなる検討課題,ポストコロナ期におけるICTを活用した法学教育の在り方の箇所で,西川さんの方から口頭でですけれども,対面とオンライン併用の在り方というものを今後検討していくということがございましたので,私はまとめ方としてはそれに共有をいたしますし,それで結構だとは思いますけれども,今言ったような意見がICTの活用と並んで存在しているということは,意識しておいていただきたいと思います。その趣旨をおくみ取りいただければ幸いでございます。
以上です。

【山本座長】ありがとうございました。前回のこれまでの議論を通して,対面教育とオンライン教育のべストミックスといいますか,それについて議論されてきたということだと思います。それは恐らく全ての日本全体の教育の中においても,正に教育再生実行会議の議論が引用されておりますけれども,引き続き今のちょっと考えていかなきゃいけない問題ということだろうと思います。両委員からの重要な御指摘を頂けたのだろうというふうに思っております。
それでは,続きまして,木村委員,お願いできますでしょうか。

【木村委員】都立大学の木村でございます。
資料の1-2の取りまとめ方法についてでもよろしいでしょうか。

【山本座長】はい,結構です。

【木村委員】2点確認とお願いなのですけれども,1点目は共通到達度確認試験についての書きぶりです。本文では非常に丁寧に進級要件の一つの材料であるということは書いていただいているのですけれども,ここで大きく4番で項目立てすること自体に反対するわけではないのですけれども,この共通到達度確認試験だけが客観的な進級判定が実施できるものであるようにも読めなくはないので,それこそ大学院の現場の人間からすると期末試験等できちんと進級判定はしているはずで,共通到達度確認試験は飽くまでも一つの材料であるというふうに認識はしております。なので, 4番のかっこの題名の付け方が確認試験を活用したとなっておりますが,これだけで進級判定をしているように読めてしまうのは,共通到達度確認試験のみを重視しすぎるように見え,ちょっと気になるところで,本文ではきちんと説明されているとは思うのですけれども,もし,何か工夫の仕方があればお願いしたいというのが1点です。
もう1点更に細かいことで大変恐縮なのですけれども入学前の学修機会という点で(2)の2つ目のぽつに関係する部分です。これも本文に関して私は全く異存がなくて,入学前の学修機会の提供は非常に重要だというふうに思っております。ただ,ここでの書きぶりですと,入学前に学修機会を提供するということと,入学前の既修得単位認定が同じところに書かれていて同じもののように読めなくもないので,例えば「又は」を入れるとかちょっともう一つ工夫していただけると有り難いというふうに思いました。
以上でございます。

【山本座長】ありがとうございます。資料1-2のまとめ方について2点御提案いただきましたので御検討をいただければと思います。
続きまして,髙橋委員,お願いいたします。

【髙橋委員】一橋大学の髙橋でございます。事務局の皆さまにおかれましては取りまとめを整理いただきまして,誠にありがとうございました。
細かいところで恐縮なのですが,教育の現場の観点から1点指摘させていただきます。
純粋未修者の入学前教育について,16ページでICTの活用が挙げられておりますけれども,先ほど御指摘のあったような科目等履修生といった身分を取得させない限り,入学前の方に入学後の学生が利用できるような学内の学修支援システムを利用していただくことにはハードルがあるというのが実際上の問題になるのではないかと思っております。例えば,全国の法科大学院で共有するような導入教材の動画を作成したとして,それをどのように入学前の方に見ていただくか,あるいは,各法科大学院で入学前の方に双方向的な指導を一部取り入れたいというときに,学内のシステムが使えないということになるとどういう仕組みが考えられるのかというような,技術的な課題があるのではないかと思っております。そこで15行目辺りですけれども,入学前の学修のための環境整備の在り方といったものも検討していただいて,その工夫を各法科大学院間で共有するとか,あるいは物理的な仕組みを継続的に確保する必要性があるという趣旨を,盛り込んでいただければ有り難いとに存じております。
以上です。

【山本座長】ありがとうございました。
それでは続きまして,富所委員,お願いできますでしょうか。

【富所委員】読売新聞の富所です。
事務局の皆さん,このたびは取りまとめいただきまして,どうもありがとうございました。私自身は議論の終盤から参加させていただきましたけれども,非常に丁寧に書き込んでいただき、感謝申し上げます。
細かいところで2点ほど指摘させていただきます。まず4ページの「これまでの施策及び成果」ですけれども,「法科大学院創設が提言された当時の司法制度改革では」という冒頭の部分が、「目指していた」と過去形になっています。一方、22ページの9行目は「当初の理念を改めて心に留(と)める必要がある」という形になっています。冒頭に「目指していた」と過去形にすると、既にこの当初の理念は諦めた、というような印象を持たれる可能性もあるかなと思いました。なので「目指した」ぐらいにしておくのがいいのかなと思います。それが1点目です。
2点目は、最後の25ページ目の8行目のところにある「新たな日常」のくだりです。「法科大学院がもつ知見やノウハウを結集して,『新たな日常』に向かう」と書かれていますが、コロナの最中の今読むと、ポストコロナの話だと理解できますが、何年か後に読んだ場合に,法科大学院が何か新たな日常に向かっていくのだというような誤読をされる可能性があるのではないかと思いました。間に「ポストコロナの」とか「コロナ終息後の」とかいうような言葉を補った方がいいと思います。
あと1点、質問です。この「新たな日常」というのは、政府の他の資料を見ると、「新しい生活様式」という言葉が使われているようですが、「新たな日常」というワードも使っているのでしょうか。

【山本座長】事務当局から西川さん,お願いします。

【西川専門職大学院室長】西川ですけれども,すみません。ちょっとそこの言葉遣いは私どもの方でも改めて確認して統一するようにしたいと思います。御指摘ありがとうございます。

【富所委員】すみません。細かい点2点でした。
以上です。

【山本座長】ありがとうございました。いずれも適切な御指摘だったと思いますので反映をしていただければと思います。
それでは,続きまして,大貫委員,お願いいたします。

【大貫委員】ありがとうございます。事務局におかれては,非常に様々な御意見がある中でおまとめいただいたように思っております。各委員から既にいろいろさらなる御指摘がありましたけれども,私は細かい点になりますが指摘をさせてください。3点になりますかね。
1点目は,8ページのところです。8ページからずっと続いて10ページまで続いているところに関わるのですが,ここは遠隔授業という言い方をしております。その定義がきちんとされていないような気がいたします。9ページには例の検討報告書で触れられているモバイル方式とオンデマンド方式,サテライト方式,これについては定義はなされているのですけれども,遠隔授業そのものについては明確な定義がなされていなくて,後ろの方で単に遠隔授業と使っているところがあって,それは多分,文脈からするとオンデマンドだろうというふうに分かるのですが,注の中でも遠隔授業の定義をされておいた方がよろしいのではないかと思います。というのは,文科省は御案内のように,このコロナ禍において遠隔授業についてかなりちょっと柔軟な運用をして,自学自習型とか資料配信型授業というのをそれも遠隔授業の一種としたわけですけれども,ここで我々が想定しているのは明らかにいわゆる双方向的な遠隔授業,それから動画配信型,オンデマンドとかそれは明確にしておいた方が,紛れがないのじゃないかと思います。これが第1点でございます。
第2点目が19ページのところに小さいのですけれども,19ページの5行目のところ,「必要に応じて実務家の意見を取り入れながら」とありますけれども,まさかそのような趣旨はないと思うのですが,当然のことながら意見を得て関係させないということではないでしょうから,ここは積極的に実務家の協力を得ながらというような書き方にしていただいた方がよろしいかなと思います。
最後のちょっと表現ぶりなのですが,ちょっと全体に関わることですけれども,資料1-2のところです。資料1-2の議論のまとめのところですが,これは前にも申し上げたと思うのですが,今回の報告は大変慎重に検討して,きちっと検討したと思います。恐らくこういう報告書がメッセージ効果というのが非常に重要だと思います。メッセージ効果が極めて強いのは,このまとめの案のところだろうと思うのです。もちろん本文を読んでいただけるのですけれども,いろんな方がこの問題に関心を持っていますので分かりやすく伝える。それから今後法科大学院を志望する人もちゃんとメッセージを伝えるというのが大変重要だろうと思います。
その観点からいうと,ちょっと幾つか申し上げたいのですが,(1)の課題を踏まえた5つの対応策の(1)のところです。先ほど潮見委員や清原委員の間で議論をされて,全くお二人の意見に賛同するもので,今回は座長が言われたようにベストミックスを探るということですので,決してICTだけの一本やりということではないのですが,やはりメッセージとしてはそういう手法も使っていくのだということをきちっと打ち出すべきだろうと私は思っています。潮見委員の御指摘を留保しつつも,そういう観点からいうと,(1)のぽつの1つの書きぶりなのですよ。反転授業の導入も可能というのは何か非常に可能であると,我々はこれを活用,積極的に検討するとか,そういう趣旨で書いているのじゃないでしょうか。そういうふうにしていただいた方が,可能というのは何か,少し勢いがないような気がいたします。それが1点と,それと(2)のところ,先ほど木村委員からだったと思うのですが,言及があった入学前既修得単位の認定,これも可能なのですが,確かに本文を見ると可能と書いてあるのですが,これは長々になりますけれども,余りこの辺に打ち出すものがちょっと少ないという検討課題が大変多くて,清原委員の御指摘なんかも検討課題になっていますけれども,ここは,我々は入学前既修得単位認定を積極的に活用してくださいというメッセージじゃなかったかと思うのですが,いかがでしょうかということです。
それと,全体の構成に関わることで,今のところなのですが(2)のところで,これは事務局の説明にもいみじくも表れていたのですけれども,入学前学修機会の提供ということが,場所が大きく変わりました。つまりこれを異存があるわけではないのですが,入学前の学修機会の提供というのは,いわゆる純粋未修という言葉は使わない方がいいと思っているのですが,非法学部出身者,社会人経験者以外にもこれは妥当することなのだと思っているのですけれども,ここでかなり限定的に見えちゃうのを,少しこれを工夫の余地がないかなという気がしているのです。場所を移してくれという趣旨ではありませんが,これだと非法学部出身者,社会人経験者に対してだけこのようなことがあるというふうに読まれるのも,ちょっとどうかなという気がしているということです。
以上3点でございます。

【山本座長】ありがとうございます。特に最後の点は事務局と私も含めてかなり悩んだところなのですけれども,やはり中心的なところとしては,他学部あるいは社会人のところに最も効果が大きいといいますか,そういうことの問題ではないかというところでこちらに移したというところでありますけれども,もちろんそれ以外の未修者について,入学前の科目とか全く不要であるという趣旨ではもちろんありませんので,書き方の工夫かと思いますけれども,ちょっと事務局で更に工夫をいただければというふうに思います。
加賀委員。

【加賀委員】私からは10ページの補助教員による学修支援についてのむしろこれは確認です。ここに書かれているのは補助教員が学修支援において大変重要な役割を果たしているというふうに10,11ページにかけて書いてあり,どういうふうに導入するかということについては11ページに補助教員に協力を求めることが重要であると,11ページの17行,18行に書かれていて,補助教員を導入するかしないかというのは各大学の自由であるというのは私も本当にそのとおりだと思いますし,その上で補助教員というのが何か要件,前から多少議論になっていた条件を付けるかどうかということになるということを,ちょっと整理しておきたい気がして発言しておりますけれども,もう既に導入している大学が多い中,今からその要件はこういう人を補助教員の要件にするというようなことをすると,今まで使っている大学としては非常に縛られてしまうという現状が出てきますし,これから導入するというときにも割合硬直化したようなそれに従うということになると,結構面倒くささがあるのかなというふうに思うわけですね。したがって,補助教員については何か補助教員というのを,定義をして要件を付けるとかそういうことにはしないと,そういう方向性だということでよろしいですね。座長,事務局,いかがでしょうか。

【山本座長】そうですね。12ページの2行目からのこの丸のところの第2文章といいますか,4行目のところからですけれども,この学修支援を行う場合の留意事項のところを整理していくというところで,今,加賀委員が正に言われたように,厳格な要件等を出しているというのは,かえって何か,角を矯めて牛を殺すといいますか,そういうところがやはり出てくるということですので,こういうこの留意事項は少しふんわりとしたようなところで一定の整理を行って,それに基づいて各法科大学院に活用していただこうと,そういうような感じの取りまとめになっているということだろうと思うのですけれども,加賀委員,いかがでしょうか,そういう形で。

【加賀委員】賛成です。確認をさせていただいた次第です。よく分かりました。その方向が望ましいかと思います。ありがとうございます。

【山本座長】ありがとうございます。重要な指摘を頂いたかと思います。
それでは,続きまして,井上委員,お願いいたします。

【井上委員】井上です。
今回は非常に精緻な取りまとめ,事務局の方々ありがとうございました。私は,今回は5番のキャリアパスの多様化のところについて,ひとつお話させて頂きたいと思います。本文は非常によく取りまとめて頂いていると思うのですが,それを反映した資料の1-2のところの(5)の書きぶりについてお願いがございます。まずこの多様化という言葉で終わっている対応策が,これは多様化をさせることが対応策なのかあるいは多様化についての情報発信が対応策なのかについては,ちょっと分かりにくいのかなとも思いましたのでそこが1点。
それから中身のところで「社会ニーズの高まる多様な領域」というのがあって,それだけ読むとどんなところで多様になっているのか分かりにくいのですが,本文では今回追加頂いたとおり,グローバルな場所あるいはソーシャルワークと,そういったトピック性のあるキーワードがあったと思います。そういうものも入れていただくと,このまとめを閲覧した方々にもメッセージが伝わりやすくなるのではないかと思いました。
それから,その後の文章「法曹を多数輩出していく」と書いてございますけれども,ここは本文では「法曹に留(とど)まらずその他実務家を養成する」というふうにあるのですが,これだとまた法曹だけに読めてしまうので,法曹や法務に関わる実務家というような言い方にするのもあるのかなというふうに思いました。本文は非常によくまとめて頂いていて,新しく今回網掛けで追加頂いたところも多数ございますので,それを一番世の中の皆さんの目に留(と)まるであろう,この「まとめ」にも反映いただけるとよろしいかなと思いますので,一言意見させていただきます。

【山本座長】ありがとうございます。いずれもごもっともな御指摘だと思いますので,何とか一枚紙にまとめようという事務局の苦労の中で,いろいろと省略せざるを得ないところは出てきているかと思いますけれども,ただ,今の点は非常に重要なことだと思いますので,更にこの資料1-2については工夫をしていただければと思います。
続きまして,松下委員,お願いいたします。

【松下委員】松下です。事務局には非常に精緻なおまとめを御提示いただき,どうもありがとうございます。
私も資料の1-2のまとめ方について少し気が付いたところがございます。本文では,15ページの16,17行目から「入学前の学修機会の提供」というのがあり,本文でいうと15ページの17行目から次の16ページの16行目までは,法学への適性を見極めるためのお試し受講という話が書いてあり,17行目から始まる丸では,カリキュラムの前倒しは適切でないとある。そして,22行目からは科目等履修の話。入学前既修得単位の認定の話が丸1つ分出てくるわけですけれども,1-2のまとめを見ますと,5つの対応策の(2)の2つ目のぽつでは,「ICTも活用し入学前の学修機会の提供」,その後に「入学前習得単位認定も可能」とあって,お試しとか見極めるというニュアンスは出ていないような気がします。むしろ最後の入学前既修得単位の認定という話の直前に学修機会の提供とあると,これは単位が付与されるような,本格的な授業のことを学修機会と呼んでいるような印象も与えかねないので,この学修機会の提供というのは,見極めとかお試しということを言っているのだということを,分かるような書きぶりにしていただけないかなというのが,気が付いた点です。
以上です。

【山本座長】ありがとうございます。それではこの点も1-2について事務局の方で更に工夫をお願いしたいと思います。
ほかにいかがでしょうか。私のところで挙手されている方が確認できないのですが,今回は次回が最終回ということになりますので,できればできるだけ多くの委員から御発言をいただければというふうに,むしろ強制する趣旨ではございませんけれども,御発言を可能な範囲で頂ければと考えてはおるのですが,いかがでしょうか。
それでは菊間委員,お願いいたします。

【菊間委員】菊間です。よろしくお願いします。
非常に分かりやすくまとめて頂き、ありがとうございました。本題からは外れますが、このコロナ禍で,ロースクールに入ろうかどうか悩んでいるという社会人の複数の方から私のところに相談が来ていまして,その方たちが皆さん,この検討会議を見ているとおっしゃっていました。社会人の方たちもすごく注目して今回のやりとりを見てくださっているというところでの責任を改めて感じたということをお伝えさせていただきます。
さて、皆さまからも御指摘があるように資料の1-2についてです。議論のまとめなのでどうしても抽象的な文言にはなると思うのですが,やはりこの1-2の議論のまとめから新聞ですとかテレビとか雑誌などでキーワードが抜かれて記事が作られていくということを考えると,やはりここに具体的な言葉を入れないと抽象的な記事になって終わってしまうと思います。今回,報告書を読んでいて,15ページの長期履修制度の11行目のところに書いてあるのですが,「複数の選択肢を用意しておく」、この言葉がキーワードだと思いました。それはまとめの1-2の法学未修者教育の充実に向けた課題認識というところの左側で,「個々の学生にとって最適と考えられる方法を選択できるような学修環境の提供」と書いてもあるのですけれども,「複数の選択肢を用意する」と書いた方がより明確に伝わるかなと思いました。
前回の報告で、法学部出身者じゃない人が,自分は受け入れられていないとか求められていないような疎外感を受けたというのは,私もロースクール生のときにもそういう思いをしましたが,その理由は、自分がこういう状況なのだということを認めてくれない,制度としてこれは決まっているから応じられませんと言われることがたくさんあって,それが社会人の人が,自分のような環境の人は,ロースクールは求めていないのだなというふうに思って,諦める方も多かった、という文脈だと思うので,そういう方に対してロースクールの方が,皆さんが学修を続けていけるようにバックアップする複数の選択肢を今後どんどん用意していくのだよというアピール。これは社会人にとってもものすごいアピールだと思うので,是非そこを強く書いていただきたいなと思いました。
あと,これは今回の報告書に書くということではないのですが,法科大学院間の協働というところで,是非合格者の方の協働もしてほしいと思っています。今,1年目が終わると既修者の方たちと一緒に勉強するというカリキュラムになっていますけれども,自分の経験を振り返ると,2年生のときに既修者の方と同じ能力を持っていたかというと,とてもそんな状況ではありませんでした。ようやく1年たってノートをどういうふうにまとめるかということが分かってきたみたいな状況でした。在学中に一橋LSでは、合格者の方からノートのまとめ方等の勉強法を伝えていくことが行われていると聞いて,それを一橋の方から聞いて参考にさせてもらっていました。合格者が少ない学校は合格モデルがないので,どういうふうにやっていったらいいのかというのが分からないのです。
それを例えば,もちろんどの先生の授業をどういうふうにまとめるということは,ロースクールごとになるとは思うのですけれども,全体として少ない時間の中で,特に未修者とか社会人の合格者が、どういうノート作りをしたとか,どういう参考書を使って,どういう教科書を読んで,こういうふうに自分が成長していったみたいな具体的な勉強法の話を入学前でもいいですし,1年生のガイダンスでもいいですし,それは法科大学院の協働という中で,あらゆる法科大学院の中の合格者の方が決まるフォーラムみたいなのをつくっていただくかして,具体的な勉強法を教えていただける機会があると,未修者の方はどういうふうに自分は生活スタイルをつくっていったらいいかとか,今から何をしなければいけないかとかということがより明確になるのではないかなと思うので,是非協働の中にその部分も入れていただけたらなと思いました。
以上です。

【山本座長】ありがとうございました。特に最後の点は私も非常に重要な問題だというふうに思っています。19ページの一番後のところで,ICTの活用により法科大学院間で日常的な関係性を築くという,例えば法科大学院の間という感じですけれども,今,菊間委員が御指摘されたように,正に法科大学院の学生,未修者の学生の間でのこういう正にICTを活用した情報交換とか,そういう具体的な勉強の仕方についてのいろんな情報交換とか,意見交換の場みたいなものができていくというのが,非常に重要なことかなというふうに思いますので,是非何らかの形で反映をしていただければというふうに思います。
ほかにいかがでしょうか。
久保野委員,お願いします。

【久保野委員】すみません。遅れまして,御説明は伺わずにコメントさせていただきます。失礼いたします。
それで,まず感想めいたことが先になりますけれども,論述能力の涵養につきまして,補助教員を活用しつつ強化していくというところは本当に非常に重要なことだと思っております。とりわけ、当然のことではありますが,司法試験の論述試験というものは実務家として備えるべき論述能力が培われているかを図るものでありますから,その司法試験の準備をするということと,論述能力の涵養というものが相いれないものではないということについて,改めて認識をしてしっかり取り組んでいく基礎が整えられたということは,大変有り難く重要なことなのではないかと思っております。
それで,それと関連しまして質問になるのですけれども,その補助教員の活用につきまして,資料の1-2の方ですと,(1)の2つ目のぽつのところで,「補助教員等」の後に「(法律実務家)」と書いてございます。この点について,先ほどの補助教員について定義を入れるかというところの議論とも関係しますけれども,法律実務家に限るという強い意味があるのかどうかというところを,確認的に質問させていただきたく思います。と申しますのは,10ページや11ページの辺りに関連する議論が載っているのですけれども, 10ページの23行目のところでは,「法科大学院修了生や弁護士等の補助教員を活用した学修支援が広く行われている」と書いてあるのに対して,11ページの14行目の方では,これが「法律実務家」というふうになっていまして,ここを受けて先ほどのまとめになっているのではないかと思うのですけれども,必ずしも法律実務家になっている人に限らず活用している例もあるかと思いますので,ここは、文言を是非変えた方がいいとまで申し上げるつもりはないのですけれども,確認といいますか,それに限るという強い意味を持っているものではないかどうかというところを御質問させていただきます。お願いします。

【山本座長】それでは,西川さん,お願いします。

【西川専門職大学院室長】先生の御指摘のとおり,10ページの23行目からの辺りに書いておりますように,例えばTAなど非常に様々であるという補助教員の実態を今回動かそうという意図はございませんので,少し概要版の方の表現を改める必要があると考えてます。座長とも御相談させていただければと思います。御指摘ありがとうございます。

【山本座長】ありがとうございました。久保野さん,よろしいでしょうか。

【久保野委員】はい,結構です。ありがとうございます。

【山本座長】ありがとうございました。それでは,ほかにいかがでしょうか。
片山委員から御発言はおありでしょうか。片山委員,お願いします。

【片山委員】それでは,ほかの委員の方から特に御発言がないようですので,今回のペーパーについてというわけではありませんけれども,今回のペーパーに関連してということで,法科大学院協会において、どのような取り組みをしているのか簡略に報告させていただければと存じます。お時間を頂戴してよろしいでしょうか。

【山本座長】お願いします。

【片山委員】1つは,やはり今回の中教審での御議論も踏まえますと,協会においても、やはり未修者教育の充実化,特に基礎教育の充実化が重要であるということで,今までの講義スタイルの授業から予習教材としてオンデマンド教材を活用した学修者主体の演習授業へ移行していくという点、更に教育内容を重点化して行くという点、そういった視点から各大学の取り組みを支援して協力体制を確立することが第一の課題であると考えております。そのためにカリキュラム検討委員会という専門委員会の中に,未修者の教育の充実化に関する小委員会を,主任にこの特別委員会の委員でもある早稲田大学の山野目教授,それから副主任に慶応大学の刑法の小池教授を中心に組織しまして,その中で,憲法,民法,刑法の3科目について、好事例を横展開して会員校で共有できるような枠組みを作り、さらには,未修者の基本科目の教育のガイドライン,授業時間であるとか内容とか方法に関するガイドラインの策定を目指すとこととし,もう既に活動がスタートしております。また同時に、日弁連の法科大学院センターとも連携をし,未修者プロジェクトということで,ロースクールの定評のある先生がどのような授業を行っているのか,シラバス,教材等のご提供を頂き,ヒアリングをし,調査研究した上で、その成果をシンポジウムにおいて報告するというようなプロジェクトを今進めているところでございます。また,このたび法曹養成ネットワークという修了者の若手の弁護士さんたちを中心とした団体,社団法人が設立されましたので,そちらの方々と連携を取りながら導入教材の開発であるとか,補助教員のプラットフォームの形成等について,協議を何回か重ねているというところです。
以上のような形で法科大学院協会におきましても,この特別委員会で今回のペーパーでまとめられている内容について、できるところから進めているところでございます。
以上、報告でございます。

【山本座長】ありがとうございます。大変力強い御発言を頂きました。引き続きどうかよろしくお願いをしたいと思います。
それでは,丸島委員から発言。

【丸島委員】ありがとうございます。

【山本座長】よろしくお願いします。

【丸島委員】前回の委員会の後に,法科大学院間の協働とともに法曹との連携協働の重要性や社会人を初め未修者コース出身の法曹の活躍について意見を申し上げました。その点も含めて今回のまとめ案では,この間の委員会での議論の内容をかなり丁寧に書き込んでいただいております。表現ぶりなどについてはいろいろあるかと思いますが,基本的に充実した内容にしていただいていると思います。私が申し上げた意見については,この機会ですので,その趣旨などを付言して申し上げたいと思います。
一つは22ページのキャリアパスの多様化の部分についてですが,グローバル化に関する記述だけでなく,司法と福祉の連携強化を初めとする地域社会の諸課題への取組を巡り法曹に期待される役割の重要性についても言及していただきました。
2000年代以降の一連の司法改革の中で,21世紀の日本社会における司法,法曹部門の充実強化ということは一貫して求められてきたのだろうと思います。今日の時代状況を見ますと,現下の感染症の問題ももとよりなのですが,そのほかにも環境の問題,人権,あるいは水,食料,エネルギーの問題などを初め国連のSDGs17目標に示されているような様々な課題を克服していくことが求められている社会状況にあります。その中には,すべての人々に司法への平等なアクセスを提供することという目標も掲げられております。こうした中で,法曹が取り組むべき社会課題には,国際的な分野から地域的な課題まで相互に関連しあう広範なものがあるというふうに思います。そういう意味で,地域共生社会の実現やあるいは司法と福祉の連携強化,その中での様々な権利擁護の課題,こうした分野での法曹に期待される役割の重要性に言及していただいたことは大変ありがたいというふうに思います。そして,こうした諸課題の根底には,自然科学や社会,人文科学などの諸科学の学問的基盤にも関わるものがあるのだというふうに思います。そういう意味で他学部修了者や社会人など純粋未修と言われる方々がより多く法曹となり幅広い領域で活躍することは,今日の社会情勢に適したものであるというふうに思います。
他方で,法科大学院教育には本来ならば教員と学生の密度の濃い関係や学生間で切磋琢磨(せっさたくま)する関係,そうしたものに大きな魅力もあるわけですが,社会人学生の方々からは,今日の困難な状況の下で,ともすれば非常に孤立感を覚えることがあるということを訴えられる話も聞くことがあります。そういう状況下において今回,法科大学院の協働ということが掲げられたことは非常に大事なことだと思います。法科大学院の先生方は法曹養成教育に大変な御苦労をしていただいていると思いますが,今回,個々の法科大学院のみならず,それを超えて学修者本位の教育の実現を目指して法科大学院総体として総力を挙げて協働の取り組みをしていただくということが大きなテーマだったというふうに思います。それに加えて私が申し上げたのは,その協働に実務法曹も積極的に関わっていくことの重要性をもう一度ここで強調しておきたいということです。元々今回の法曹養成制度改革については,大学という学術的な環境の下における法曹養成に特化した教育の重要性とともに,学者と実務家の協働ということが強く謳われてきたわけであります。しかし,一定の期間が経過してくると,どうしても学者の先生方にお任せするという面が出てまいります。後継者養成の課題はプロフェッションとしての法曹の重要な責務でありますし,弁護士においても人権擁護や司法アクセスの拡充などと共に重要な社会的責務として位置付けられてまいりました。また弁護士の質の確保や弁護士の自律機能の向上などの点からも自らの後継者養成に積極的にコミットすることが重要であると考えられています。そのような意味で今回法科大学院の協働とともに実務法曹,とりわけ弁護士などが法科大学院教育,未修者教育に積極的に関与し,連携協働するということが各所に加わえられたこと,そしてまたそのような連携ができるような環境整備を図ることはとても重要なことだと思います。実際には,既に若い弁護士の方々が法科大学院教育の充実や学生支援に積極的に多数参加していただいておりますし,司法修習や継続研修の課程ではベテランの弁護士たちも熱心に指導にあたっておりますが,今一度未修者教育の充実を推し進めるに当たり,このことを強調しておきたいというふうに思います。
最後に,資料1-2の概要のまとめ方についてですが,先ほど来,御意見が出ており,また座長がおっしゃるとおり,なかなかこの限られた枠組みの中でどこまで書くのか難しいところです。概要となるとどうしてもタイトル的なものを並べるということになってしまいますが,最低限のこととしては短文であるがゆえに誤解を与えないような言葉遣いの工夫が必要であると同時に,先ほど井上委員もおっしゃいましたように,少し具体的な中身が1つ,2つ入るとか,菊間委員が言われましたように,キーワードになるようなものを入れるとか,ただまとめたというに止まらない,プラスアルファの発信性のあるものがやはり必要かなと思います。とはいえ私もアイデアがあるわけではありませんので,次回までに各委員の方々から具体的に提案や意見をいただいて取り上げていただければありがたいというふうに思います。
以上です。

【山本座長】ありがとうございます。大局的な観点から重要な御指摘をただいたと思います。資料1-2に付しては,誠にごもっともな御指摘で,できるだけキャッチーなものにしていくということで,是非各委員からのアイデアを引き続き募集したいというふうに思いますのでよろしくお願いいたします。
それでは,清原委員,お願いいたします。

【清原委員】ありがとうございます。先ほどの片山先生の御発言について,大変うれしい気持ちで聞かせていただいておりまして,そのことについて,ちょっと申し上げます。法科大学院協会におかれては,既に「カリキュラム検討委員会」において,「未修者教育の今後の在り方」について御検討を開始されているということ。すなわちこの特別委員会の報告書が出る前に,検討の過程で重要だと認識されたことについては,もう既にアクションを起こされていることを大変心強く伺いました。
そこで25ページの4の「今後のさらなる検討課題」ということでございますが,これについてもう既に「ポストコロナ期におけるICTを活用した法学教育の在り方」,あるいは「他学部出身者や社会人経験者が有する多様な知識,能力や経験を踏まえた法科大学院教育の在り方」について,「カリキュラム」やあるいは「シラバス」ということについても踏み込んだ研究を始められるということで,そうであればこの2番目の「法科大学院教育の在り方」というところに,もう既にアクションを起こされたことは包含されているのかなと思います。また,今の丸島委員のお話では,「実務家についてももっと連携,協働を」ということであると,さらには,片山先生は,社団法人の法曹の皆さまの養成ネットワークですか,そういうところとも,もう連携を始めていらっしゃるということなのです。何かそういう話を聞いてしまうと「今後のさらなる検討課題」というのは,もう少し未来志向の前広のことが入ってもいいのかなというふうにも受け止めまして,すなわち「カリキュラム」だとか「シラバス」だとかあるいは「導入教材の開発」などという具体的なことが入ってまいりましたので,何か法科大学院教育の在り方の包容力というか,それをすごく期待させていただいたなと思っています。ですからこのままでいいのかな,など思いながら,何か現実のアクションの方が先行していますし,それを更にこの委員会としては踏まえつつ,より未来志向の、しかも制度的にそうした御検討が,きちんと法科大学院教育に定着するようなものにしていかなければいけないのですよね。そういう意味では,必要な法改正があるかもしれませんし,設置基準の見直しが必要なのかもしれないしと,何かそんなことを受け止めました。従いまして,この法科大学院教育の在り方に包含されるので,あんまり先取りした言葉は言いたくないと思いながら,これだけ現場の皆さまが頑張っていただいていると,中教審の検討会としては,「制度の在り方」について皆さまの活動を支えられるような具体的な検討ができたらなという思いを新たにしました。
以上です。ありがとうございます。

【山本座長】ありがとうございます。誠に中教審の役割としては,清原委員御指摘のとおりということだろうと思います。次期の中教審,次期の特別委員会に向けてどういうことが期待されるかということについては,恐らく次回もそういうような御議論が出てくるのではないかというふうに思いますので,その点は引き続き議論をしてまいりたいというふうに思います。ありがとうございました。
だいたい各委員御発言を頂いてきたように思いますが,酒井委員,もし何かご発言があればお願いできればと思うのですが。

【酒井委員】ありがとうございます。非常に丁寧な取りまとめを頂きまして感謝しております。では,御指名いただきましたので,若干の補足の発言をさせていただきたいと思います。
補助教員に関する議論の部分で,私が前回会議で単位認定をするという方向で積極的に記載をいただけないかという意見を申し上げましたが,ほかの委員の御意見も伺いまして,最後,認証評価等の課題をクリアしていくというような点もハードルがございますし,また特に加賀委員からご指摘いただいた現在,補助教員を活用されているロースクールでの活動を阻害するような方向になってはいけないというのは,これはもうそのとおりと感じました。そのようなことも踏まえて文科省主導で留意事項をまとめていただいて,活用する方向で進めていくということで現段階では十分かなというふうに考えたところです。
また,複数の委員から出ておりますが,資料1-2の取りまとめ案のところですね。私もこれは非常に重要な文章になってくると思いますが,一方でA4,1枚にまとめるということの難しさというのは大変大きいと思います。原案では本体の方の流れに従って取りまとまっているという状況かと思うのですけれども,冒頭にその取りまとめの重要部分を頭出しし,バンとアピールをするとか,そういったこのドキュメントの作り方をもう少し知恵を出し合って検討すべきかと思います。今期は今までになかった議論がされてきた,非常に重要な期だったかなと思いますので,その辺りを十分に発信できるような形で取りまとまると,よろしいかなと考えているところです。
以上です。ありがとうございました。

【山本座長】:ありがとうございました。ほかには御発言はございますか。
中川委員,お願いします。

【中川委員】今頃こういうことを言ってもいいのかなと思いながら迷っているのですけれども,資料1-2の5つの対応策の(1)と(2)のタイトルは,結局どちらも学修者本位の教育の実現とするべきだったのではないかというふうに思えます。先ほど酒井委員がおっしゃったかなと思うのですけれども,今回の委員会で私も印象的だなと思ったのは,いろんな選択肢を認めていこうという発想だったことです。これまでは,統一的にこうでなければいけないとがちがちに固めてきたのですけれども,今回からはむしろ様々な選択肢があっていいじゃないかというように,かなり議論の方向性が違っていて,私はとてもいいことだと思うのですが,それがこの(1)と(2)の内容に表れているように思います。ということは,どちらも学修者本位の教育の実現ということではないか。1)は教育手法としていろんな選択肢があるのでそれをベストミックスしていくという発想で,(2)はは学修者として特に社会人学生等の実態に配慮していこうというわけで,学修の体制というよりは,恐らく学修上の選択肢です。体制というとなんかがしっと決まっているイメージがありますけれども,そうではない。(1)と(2)は我々のマインドをもう少し緩やかにしていくのだ,自由にしていくのだという,そういうふうな方向を打ち出していることを分かるようなタイトルにした方がいいのかなというふうに思いました。そういう目で見ていると,(1)の最後の黒ぽつ,「長期履修制度の」というのも,これも多様な学修計画ですから(2)の社会人学生等の方にむしろフィットする内容かなと思ったり,そうすると,ここは順番も変わったりするかもしれません。(1)と(2)が一番重要だと思いますので,そういう打ち出し方といいますか,タイトルの作り方も含めて考えてみてもいいのかなと思いました。じゃあ,どう書けばいいのか,なかなか今思い付かなくて発言を控えていたのですが,そのように申し上げたいと思います。
以上です。

【山本座長】ありがとうございます。全体の位置付けは中川委員御指摘のとおりで,1がどちらかというと総論的な未修者全体に関わる多様な学生がいるということを踏まえて,ここの学修者本位ということを打ち出し,(2)の方はその中でも特に社会人,非法学部出身者の問題にフォーカスを当てたということで,いずれにしても学修者本位であるということには変わりはないというのはそのとおりの位置付けかと思います。具体的な表題については引き続き確認,特に中川から具体的なもし御提案があれば御提案を期日外でもお出しを頂いて,事務局の方でも検討をいただければと思います。
ほかにいかがでしょうか。だいたいよろしいでしょうか。御意見は全て出たと理解してよろしいでしょうかね。
それでは,まだ少し時間はあるのですけれども,御議論が出尽くしたということであれば,本日のところはこの程度にしたいというふうに思います。先ほど来申し上げておりますように,今期第10期の特別委員会も残すところあと1回ということになりました。事務局においては本日の議論を踏まえて,この資料1-1の取りまとめ案,それから資料1-2のそれをまとめたペーパーについて,本日の議論を踏まえた形での修正版を次回用意していただいて,それを基に次回で最終的なまとめを行っていきたいと思います。前回同様,この間また更に気が付いた点等があった委員については,細かな点,字句の修正等でも結構ですので,是非前回同様,個別に事務局まで御連絡をいただければ幸いに存じます。
それでは最後に今後の日程等について事務局から説明をお願いいたします。

【西川専門職大学院室長】事務局でございます。次回の日程を申し上げる前に1点,法曹養成連携協定に関しまして直近の状況を御報告申し上げたいと思います。実は今月15日付で新たに4件の協定について大臣認定を行いました。これに関してお手元の参考資料の2を御覧いただけますでしょうか。この中で赤字になっているところが,今回新たに認定を行った協定でございます。具体的には神戸大学法科大学院と新潟大学,慶応大学法科大学院と立教大学,中央大学法科大学院と立教大学,最後に早稲田大学法科大学院と立教大学という4件でございまして,立教大学の法曹コースは今回が初の認定となったところでございます。今回の4件につきましては,いずれも来年度,令和3年度からの発効が予定されておりまして,これで来年度以降合計しますと60件の認定協定が発効することとなります。
以上が御報告でございます。
最後に,今後のスケジュールを申し上げたいと思います。資料2に記載のとおり,次回第10期の最終回を2月3日水曜日10時から12時に開催予定としております。
以上でございます。

【山本座長】ありがとうございました。特段,御質問等はございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは,長時間にわたりまして活発な御議論を本日も賜りまして,誠にありがとうございました。それでは,本日の委員会はこれにて終了とさせていただきます。ありがとうございました。


―― 了 ――

 

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