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法科大学院等特別委員会(第95回)議事録

1.日時

令和2年1月31日(金曜日)10時00分~12時00分

2.議題

  1. 法科大学院教育等に関する動向について
  2. 法学未修者教育の充実と共通到達度確認試験について
  3. 認証評価の改善・充実について
  4. KPIの設定について
  5. その他

3.議事録

【山本座長】 おはようございます。定刻少し前ですけれども,既に委員の皆さん御出席ですので,ただいまより第95回中央教育審議会大学分科会法科大学院等特別委員会を開催いたします。
前回は,少し前になりましたが,法科大学院関連法の改正を踏まえた省令の改正案等について御議論を頂きましたが,御存じのとおり,その後,政省令・告示の制定・改正が行われるとともに,法曹養成連携協定の大臣認定の申請・審査が開始するなど,いわゆる「3+2」の新しい制度が少しずつ動き始めたところであります。
本日は,この新制度を適切な形で実現させていくためのKPIの設定や認証評価の改善・充実等について御議論いただくとともに,その後を見据えて,懸案であった法学未修者教育の充実や共通到達度確認試験についても,忌たんのない御意見を伺いたいと考えております。
本日も,限られた時間ではございますが,活発な御議論をよろしくお願いいたします。
初めに,本日初出席の委員について,事務局より御紹介をお願いいたします。

【西川専門職大学院室長】 事務局から失礼いたします。このたび,法務省の大臣官房司法法制部司法法制課長として委員をお務めいただいておりました福原委員が,法務省内の訟務局審議官に御異動されまして,後任の丸山嘉代課長に本日付けで委員に御就任いただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
以上でございます。

【丸山委員】 1月9日付けで司法法制課長になりました丸山です。どうぞよろしくお願いいたします。

【山本座長】 よろしくお願いいたします。
それでは続いて,事務局から配布資料の確認をお願いいたします。

【西川専門職大学院室長】 本日お手元に,机上にはドッチファイルで配布資料をお配りさせていただいております。中を開けていただきますと,議事次第に続きまして,お手元に議事次第と座席表は別途お配りをしておりますほか,配布資料でございますけれども,資料1から,かなりのページ数にわたっておりますけれども,資料7-2まで,それから,後ろに参考資料1から4まで,今回,429ページまでの通しページ数を振った形で,お手元にお配りをさせていただいております。
もし不備等がございましたら,会議の途中でも結構ですので,事務局までお申し出くださいませ。
以上でございます。

【山本座長】 それでは早速,議事に入りたいと思います。
まず,議題(1)法科大学院教育等に関する動向についてということで,前回以降の動きを中心に,事務局から御報告をお願いいたします。

【西川専門職大学院室長】 それでは,前回の委員会が9月でございまして,それから4か月ほど経過してございます。この間の動きにつきまして幾つか,資料を基に御説明をさせていただきたいと思います。お手元の資料2-1から2-4までを順次御説明申し上げます。
まず,お手元の資料2-1,2ページでございますけれども,こちらは前回9月の委員会で,法律改正を受けました政省令・告示の改正案をお認めいただきまして,それに沿った政省令・告示の改正が10月31日付けで公布となり,施行通知の形で各大学院にお送りしたものです。
こちらが144ページまで続いておりますけれども,最後の方に当たります143ページと144ページに,それぞれ通知と省令の一部,少し細かい点なのですけれども,誤りがございましたので,正誤表を添付させていただいておりますので,御確認いただきたいと思います。
また,10月31日同日に,法曹養成連携協定の大臣認定に係る手続についての通知も,本日はここには付けておりませんけれども,これまで御議論を頂いておりましたガイドラインも添付した形で,同じく各大学院に発出をさせていただいているところでございます。
以上の通知の内容につきましては,11月11日に文部科学省におきまして,各法科大学院向けの説明会も実施させていただいたところでございます。
続きまして,資料2-2,145ページからでございますけれども,こちらは,設置基準の改正を受けまして,認証評価の細目省令の改正を行ったことについての通知でございます。こちらは12月16日付けで発出をさせていただいておりまして,中にも書いておりますが,法科大学院に関する部分は,本日のテーマにもなっておりますけれども,令和4年度の施行という形となっております。
次に,資料2-3,ページで言いますと159ページ,それから,お手元に本体をお配りしております新制度のパンフレット,表紙に「法曹コース3+2」と書いているものでございますけれども,このたび新しいパンフレットを作成させていただきました。こちらは,これから進路を決めていく高校生向けということを主眼に置いておりますものですから,全国の高校にも郵送させていただいたほか,ウエブサイトなどにも掲載させていただいております。各大学におかれても,是非積極的に御活用いただきたいと思っております。
また,表紙にもQRコードが載っておりまして,中でも御紹介しているのですが,同時にスマホ対応の新しいウエブサイトも立ち上げさせていただきました。新制度の説明のほかに,先輩法曹からのメッセージ動画なども掲載しております。それから,今後は,大臣認定を受けました連携協定の内容なども随時アップしてまいりたいと思っています。
なお,本日お手元に資料は御用意しておりませんけれども,連携協定につきましては,その後,11月末,12月末の2回の申請を受け付け済みでございまして,本日が1月末日ですけれども,3回目の今年度最後となる申請締切日となってございます。11月申請分につきましては,1月中にも大臣認定をお出しするとアナウンスをしておりましたけれども,これについては,本日の午後,公表予定としております。
資料に戻っていただきまして,資料2-4,161ページでございます。こちらは来年度予算に関する,いわゆる加算プログラムの審査結果の概要でございまして,1月24日付けで公表させていただいたものでございます。
それぞれの大学院には既にお伝えしている内容でございますけれども,加算プログラムにつきましては,昨年度より加算部分の審査方法を抜本的に見直しをしていただきまして,従来は,年度ごとに優れた取組を提案していただいて,個別の取組ごとに評価をしていたわけですけれども,昨年度からは,各法科大学院の5か年の構想,対象期間は今年度から令和5年度にわたる5年間ですけれども,この5か年の機能強化構想に基づく取組と目標値につきまして,年度ごとの達成状況を評価する形に変更しておりまして,今年度はその進捗状況の評価の2年目に当たる形となります。
最終的な評価結果が,166ページに赤と青の入った一覧表で掲載をしておりますけれども,こちらが,基礎額の算定率と加算の評価結果を含めました最終的な加算率の一覧となっております。
なお,本審査結果の全体版は,参考資料1として,320ページ以降にお配りさせていただいております。こちらには,各法科大学院の個別の取組ごとの評価ですとか,あるいは,各法科大学院の参考となり得る優れた取組の例といったものも記載をしておりますので,適宜御参照いただければと思います。
私からは以上でございます。

【山本座長】 ありがとうございました。
法務省からも,もし御報告があれば,丸山委員から御説明をお願いいたします。

【丸山委員】 それでは,若干時宜に遅れた御報告になりますが,令和元年の司法試験,それから,司法試験予備試験の結果につきまして御説明をいたします。
資料3-1-1からですが,通し番号でいいますと,167ページから202ページまでを司法試験の資料としてお付けしております。詳細につきましては,恐縮ですが,資料を御参照いただければと存じます。
概要を申し上げますと,通し番号167ページの資料3-1-1にありますとおり,令和元年の司法試験の結果は,合格者数が1,502名になっております。うち予備試験合格資格に基づく受験の合格者数ですけれども,少しおめくりいただいて,181ページに法科大学院別合格者数を記載しておりますが,一番下に別欄として,司法試験合格者の欄がございます。こちらにありますとおり,予備試験合格資格に基づく受験の合格者数は315人でございました。
このほか,司法試験における法科大学院別の結果など,法科大学院に関連する資料,予備試験合格者資格に基づく司法試験受験状況などの資料が続いておりますので,こちらは適宜御参照ください。
続いて,令和元年の予備試験の結果です。資料3-2,通し番号の203ページを御覧ください。こちらにありますとおり,令和元年の予備試験についての合格者数は476人です。予備試験に関しましても,大学あるいは法科大学院別の受験状況や,職種別の合格者数の推移などの資料が続いておりますので,適宜御参照ください。
また,試験結果に加えまして,アンケート結果についても若干,御報告をいたします。213ページから始まります資料3-3を御覧ください。こちらは法務省,それから文部科学省におきまして,平成30年度,タイトルにありますとおり,法学部に在籍する学生に対して実施した法曹志望に関するアンケート調査結果について,お配りしているものです。こちらにつきましても適宜御参照いただければと思います。
令和元年の調査につきましては取りまとめ中で,本年の夏頃に公表を予定しております。
私からの報告は以上です。

【山本座長】 ありがとうございました。それでは,ただいまの文科省及び法務省の御説明について,御質問等があればお願いしたいと思います。
よろしいでしょうか。それでは,もし何かあれば,この後の議事の中でも,関連する点,御質問を頂ければと思いますが,便宜,先に進ませていただきたいと思います。
次の議題,今日の実質的な中身の議題ですが,そこに入ります前に,大沢委員が途中で御退席ということですので,御退席前に一言,御発言を頂ければと思います。よろしくお願いいたします。

【大沢委員】 貴重な時間を申し訳ありません。もう一つ別の委員会と重なってしまったものですから,そちらへも出なければいけない関係上,途中退席しますので,一言だけ申し上げさせていただきたいと思って,発言の機会を頂きました。
皆様には周知のことかもしれませんけれども,私は第9期の委員もたまたま務めさせていただきまして,第9期は大きく言うと,法学部教育と法科大学院教育の連携強化というテーマと未修者教育の改善という二つのテーマがあったと理解しています。ただ,前者の文脈である法曹コースの新設というのが途中から議論の中心を占めるようになったことも周知の事実だと思います。そして,未修者の方では,純粋未修者や社会人経験者の入学者割合を3割以上というのを見直すという,そのことによって入学者の質を保証する,あるいは,共通到達度確認試験の活用によって進級時の質を保証していく,そういうところは出てきたんですけれども,これはどちらかといえば,前向きの改革というのではなくて,少なくとも未修者の人に希望を与えるような改革ではなかったように感じました。ですから,未修者教育に関する議論というのは残念ながら,十分できなかったという印象を持って,今期に臨みました。
たまたま第9期の最後の会議が,ちょうど1年前の1月28日に開かれたんですけれども,私はその席でも,未修者で社会人経験者の人が是非挑戦したいと思えるような環境整備というのを議論すべきじゃないかという趣旨のことを申し上げたんですけれども,あれから1年たって,あの時点から議論がほとんど進んでいないことにじくじたる思いをしています。
前回,94回の会議で,キックオフ的な位置付けのフリートーキングが行われて,その中で,様々な貴重な意見があったように思います。私がその中で一番,ある意味衝撃を受けたのは,今日は御欠席されていますけれども,社会人から弁護士になられた菊間先生の御発言でした。菊間先生は,今は仕事を辞めてロースクールへ入るのは非常に危険であると。働きながらということになるとロースクールはかなり難しいのではないかと思い,菊間先生自身も予備試験を勧めているんだと。今の状況で社会人がロースクールへまず来ないのではないかという御発言をされました。これは極めて重い発言で,深刻に受け止めなければいけないんじゃないかと思いました。
もちろん,これまで法科大学院の皆さんが未修者教育に様々な努力をされてきたということは事実だと思います。ただ,いろいろやったんだけれども,これ以上いい方法がなくて万策が尽きましたと。これからは予備試験を受けてもらうことにして,その代わり予備試験のルートを前よりも太くしましょうという方向に行くのか。それとも,飽くまで法科大学院を法曹養成の中核とするという路線を堅持して,多様なバックグラウンドを持った人を法科大学院で育てるという道を続けるのか。今はその選択を迫られているというか,瀬戸際に立たされていると言っても過言ではないんじゃないかなと認識しています。
そういう意識からすると,9月以降に議論の機会もないまま年を越えている現状というのは甚だ理解に苦しみます。批判ばかり言っても仕方がないので,ここからは本当に素人の拙い意見を申し上げます。私は法曹でもありませんし,法科大学院の関係者でもありませんので,聞き流していただいても結構だと思うんですけれども,未修者の問題でも,未修者の中にいろいろな特性がありますので,今回は社会人経験者に限って意見を言わせていただきたいと思います。
現状を見れば,仕事を辞めるリスクというのは非常に高いと思います。ですから,仕事を持ちながら勉強できる夜間の法科大学院というものを,やはり拡充すべきなんじゃないかなと思います。現在,夜間コースは筑波大学や,あるいは昼夜のコースで日大とか,福岡大や琉球大がお持ちだということですけれども,こういった取組を後押ししたり,優れた授業をICTの活用で,いろいろな複数のサテライトの教室で受講したりすることができるのではないかと思うんです。また,今日の資料にも入っていますけれども,法科大学院におけるICTの活用に関する調査研究協力者会議の貴重な蓄積もあるわけですから,是非それを生かした議論をしていただきたいと切に希望します。
更に一歩踏み込んで,通信制を取り入れることも検討してもいいのではないかと私は感じています。対面授業の必要性など,様々なハードルがあるということは分かりますけれども,例えば休日とか夏季休暇などを利用したスクーリングなどで補うことはできるんじゃないかということを考えます。社会福祉士などほかの資格では,多くの人が通信制大学を履修して,その課程を修了して受験資格を得ています。また,そういった通信制では,web授業を活用して優れた取組もあると私は理解しています。ですから,そういったものを参考にできないのかなと考えます。
今般,今日の資料でも,改めて新しいパンフレットが出ていましたけれども,法曹コースと在学中受験を組み合わせた法曹養成期間の短縮という方向に,議論がどうしても集中しがちだと思います。それはそれで結構なんですけれども,やはり多様な経験を持つ人が,たとえ時間は掛かっても,じっくり学んで法曹を目指すという道を確保するということも,法曹全体の奥行きを深める上でも必要ではないかなと感じています。
本当に素人考えで,笑われることを承知で発言しているんですけれども,まだ法科大学院が取り組む,いろいろ工夫する余地は残っていると私は信じています。
それから,この前の御意見の中で,せっかくいい取組をしたんだけれども,認証評価で駄目出しを食らっちゃったんですよねという御意見もありました。従来の認証評価基準を意識する余り,新たなチャレンジができていないという現状があるのであれば,これはやはり問題なんじゃないかなと私は感じています。ですから,国民のために豊かで頼りがいのある法曹を養成するという,もともとの司法制度改革の原点に立って,新たな取組を認証評価も後押しするような形を議論できたらいいのではないかなと思っています。
以上です。

【山本座長】 貴重な御意見を頂戴しました。特に議論の進め方につきまして,昨年のこの委員会がどうしても,「3+2」の施行の準備に向けたところに議論が集中してしまったというところについては,私自身も内心じくじたるところがあります。本日以降,特に来年度に入ってからは,集中して未修者の議論に取り組んでまいりたいと私自身も思っておりますので,今日,大沢委員からも幾つか貴重な御提言を頂きましたので,それも踏まえて議論を進めてまいりたいと思います。ありがとうございました。
それでは,議論の中身に入りたいと思いますが,議題(2)から(4)まで,本日用意されておりますけれども,これらにつきまして,まず,事務局の方からまとめて説明をしていただいて,その後,少し区切って議論をしたいと思います。
まず,事務局の方から説明をお願いいたします。

【西川専門職大学院室長】 それでは,議事(2)から(4)に関する事柄につきまして,お手元の資料4-1から7-2に当たる部分をまとめて順次,御説明を申し上げます。
初めに,290ページの資料4-1を御覧いただきたいと思います。議事の順番に御説明をさせていただきます。
まず,議事(2)は,法学未修者教育の充実と共通到達度確認試験ということでございますけれども,今,大沢委員からも御指摘を頂きました,未修者教育の充実ということにつきましては,10期の重要なテーマでございまして,ここから議論を加速していくために,非常に基本的なことからで恐縮でございますけれども,未修者について考えていく前提として,究極の目的であります法曹の人材像について,まず触れておきたいと思っております。
290ページ上のところは,大本の平成13年司法制度改革審議会の意見書でございまして,制度創設時の理念ということになりますけれども,こちらにありますように,法の支配の担い手たる法曹は,「国民の社会生活上の医師」としての役割を期待されるということが言われてきた中で,資料の真ん中の辺り,290ページのローマ数字3にもありますように,豊かな人間性や感受性,幅広い教養と専門的知識,柔軟な思考力,説得・交渉の能力等の基本的資質に加えて,社会や人間関係に関する洞察力,人権感覚,先端的法分野や外国法の知見,国際的視野と語学力等といったことを備えることが求められているということが言われる中で,そうした文脈の中で,幅広い人材の力を司法に生かすために,法科大学院には,多様なバックグラウンドを有する人材を多数受け入れることが必要というところが原点であると,皆様御認識のとおりでございます。
少し飛びますけれども,次のページの26年の中教審,こちらの委員会でまとめていただいている内容,それから,同趣旨の部分の抜粋ですけれども,30年3月のまとめを少しずつ載せさせていただいておりますけれども,昨今の認識としては,さらに,ロースクールの出口としまして,法廷活動を中心とした法曹の養成のみならず,民間企業や公務部門における様々なニーズに応え,かつグローバルな視点をも有しつつ,法やその他のルールを駆使して課題を分析し,解決策を立案し,交渉・調整を有効に進めることのできる法曹や,あるいは福祉・教育分野をはじめとする地域における司法サービスやADRを担う法曹の養成など,社会の様々な分野で活躍できる法律人材が多数輩出されることが求められているところでございまして,また,その観点から,30年のまとめのところにも,3行目辺りからありますけれども,創造的な思考力の育成,先端的な法領域について基本的な理解を得させることや,多様なバックグラウンドを有する方が法の分野でその知見を生かせるようにすることが一層求められていると繰り返し御提言を頂いているところでございますし,また,少し引いてみますと,現在,社会が非常に変化している中で,変化する社会ニーズに対応できる人材の育成というのは,もっとも法曹養成にとどまる話ではございませんで,教育界全体の課題でございます。
高等教育はもちろんのこと,高校以下義務教育を含めた教育におきましても,「社会に開かれた教育課程」という理念の下で,新しい学習指導要領が正にスタートしようとしているところでございまして,多様な方々と協働して社会課題を解決できる人材育成の取組というのは,教育界全体の課題として既に取組が進んでいるというところにも改めて意識を向けていただきながら,議論を深めていただきたいと思ってございます。
次の資料4-2,292ページを御覧いただきたいと思います。「いわゆる未修者コースと既修者コースの法制上の関係について」ということで,こちらも非常に基本的なことの確認で恐縮ですが,法科大学院はそもそも標準修業年限を3年とし,93単位以上の修得を要件とする教育課程でございまして,飽くまでもその例外として,いわゆる法学既修者が,1年を超えない範囲で在学期間を短縮できる,そうしたものを既修者コースと称する場合が多いわけですけれども,つまり法制上は,2年次からは既修も未修も全く同じ扱いであるということになっているわけです。けれども,一方で,様々な属性の方がいらっしゃり,実際に未修と既修とで合格率などには大きな差が生じているというのが現在の状況でございます。
続けまして,資料4-3以降に,これまでの資料と重複いたしますが,10期で議論を深めるべき論点,それから,既に頂いている様々な御意見を振り返るための資料を付けておりますので,簡単に御説明をさせていただきます。
資料4-3,293ページでございます。先ほど来,御指摘がありますように,今般の法改正に基づく制度改正によりまして,いわゆる「3+2」の制度が実現しまして,この対象は法学既修者でございますから,このルートに乗らない未修者への教育について,どのように充実・改善を図っていくかという観点で,未修者教育を論点としているわけですけれども,6月にお示しをしております第10期の論点の中では,御覧いただきますように,(2)未修者教育の在り方についてということで,3点ほど論点をお示ししたところです。まず,3年間のカリキュラムをどう考えるか。また,多様な属性から来る未修者の個人の特性に応じた柔軟な学修の在り方をどう考えるか。また,ICT技術の活用,先ほど大沢委員からもありました,有職者が仕事を継続しながらという観点を特に持ちながら,ICTの活用ですとか,あるいは教育拠点の在り方について,どう考えるかといった論点案をお示ししてきたところでございます。
次の資料4-4,294ページでございます。9期来,様々に既に議論を深めていただいているところでございます。かいつまんで申し上げますと,9期の中では,御覧いただいておりますように様々な貴重な御提言を頂いておりまして,例えば修業年限につきましては,3年の課程で現在あるけれども,実際には,司法試験に未修者が3年間で合格することはそもそも困難であるといった御指摘もありましたし,また,教育課程につきましては,未修者と既修者を分けることについて,完全に切り離すべきという御意見もあれば,それに反対する御意見もあったと承知しております。そうした中で,いわゆる未修者教育の拠点化についての賛成,反対の御意見,それから,学部の法曹コースができたわけだから,それを未修者教育に活用する可能性についての御提案なども頂いております。
また,次のページに行きまして,教員につきましては,例えば学修補助者の確保ですとか,各校の優れた取組を有機的に共有していくことが大事であるとか,経済的支援につきましては,標準年限を超えるケースへの対応が必要であるといったようなこと,あるいは教育手法について,ICTの活用や入学前の導入的な学習など,中には認証評価で不適当との指摘を受けていることについても,重要なものについてはしっかりと取り組んでいけるように見直していくべきではないかといった御意見があったと思います。
次に,資料4-5は,前回意見の集約でございますけれども,先ほどの9期の御意見と重ならない部分だけをかいつまんで御紹介いたしますと,一番上の,まずは世の中の変化を取り入れて教育を行っていくべきという御指摘ですとか,あるいは,先ほど修業年限3年では厳しいというお話がありましたが,一方で,3年である以上,3年でしっかり受かっていくということを前提に方策を立てるべきという御意見も頂いております。また,未修者と一口に言っても,多様な属性の方がいる中で,どこに焦点を当てて議論をするかということを考えるべきではないか,あるいは,社会人と新卒者とは分けて考えるべきではないかという御意見もございました。
それから,いわゆる拠点化構想につきまして,右の297ページですけれども,具体的に考えると実現が難しいのではないかといった御意見もありましたし,趣旨として,未修者は既修者と切り離すべきではなく,逆に,共に学ぶことによって高められるので切り離すべきではないといった御意見も,頂いております。それから,先ほどもありました,社会人に対してそもそももっとポジティブな情報を法科大学院に関して届けていくことが重要であるといった御意見を既に頂いてきているところでございます。
続けて御説明いたします。資料4-6,298ページ,こちらも6月の本委員会で既にお配りしまして,調査研究に取り組んでいただきました弁護士の椛嶋先生から御紹介いただきました,文科省の委託調査研究の概要でございます。既に御報告を頂いておりますので,詳細は割愛させていただきますけれども,ここでは未修者教育の具体的な手法について,各法科大学院の優れた取組を具体的に多数明らかにしていただきましたほか,今後の課題としまして,そもそもコストの掛かる未修者教育というものにどのような財政的な投資がなされるべきかといったようなこと,それから,今回の調査では未修者ということを一くくりに提案したけれども,今後は未修者の代表的なパターン,例えば社会人であるとか,他学部出身者,あるいは理系出身者といったような代表的なパターンについて,それぞれの対応策を考えることも今後の課題であるといった御指摘を頂いているところでございます。
今までの関係で,何度かICTというお話が出てきましたので,次の資料4-7として,302ページですけれども,ポンチ絵が1枚付いておりますが,こちらが,先ほど大沢委員からも言及いただきました,過去に行った調査研究協力者会議のまとめでございます。平成28年度のものですけれども,ICTの活用につきましては,今後の議論を深めるに当たって,この内容を踏まえて行っていく必要があると考えております。これは概要ですけれども,全体版は本日,参考資料2として404ページ以降にお付けしておりますので,適宜御参照いただければと思います。
関連して一つ,資料としては飛びますけれども,先ほど加算プログラムの評価結果を簡単に御紹介いたしましたけれども,本日,その全体版を参考資料1としてお付けしていると申し上げました。その中で,よろしければおめくりいただきたいのですが,394ページ,本資料の中のページ数で言うと74ページ以降なのですが,この中に,各法科大学院に期待される主な取組ということで,未修者教育の改善充実に資する取組ですとか,マル3のICTの活用による社会人など多様な人材が学びやすい環境整備に関する取組というものの中で,特に高い成果を得られたものを掲載させていただいております。未修者教育につきましては,御覧いただくとおりなのですが,中でも若手の補助教員による個別指導の取組といったものが,早稲田大学や一橋大学といった,比較的評価の高いロースクールで共通して見られましたので,その点についても併せて御紹介させていただきたいと思います。
ここまで,資料4のシリーズを御説明いたしました。
次に,関連いたします未修者教育の質保証の観点から構想されまして実施されている,共通到達度確認試験につきまして,関連テーマとして御紹介をしてまいりたいと思います。
資料の方は,一旦お戻りいただきまして,資料5-1,303ページを御覧いただきたいと思います。確認試験につきましては,これまでの経緯は御覧のとおりでございまして,5回の試行の試験を経まして,今年1月12日に第1回の本格実施に至ったところでございます。
こちらに至る経緯としましては,委員の先生方にも随分御尽力を頂きまして,まずは平成25年のワーキングによる基本設計を頂きまして,この基本設計も参考資料後ろの方に付けておりますけれども,次いで,資料を1枚おめくりいただきまして,305ページの資料5-2にありますように,その後,平成27年の推進会議決定におきましては,確認試験につきまして,試行を経て,本格実施に移すという中で,1段落目の最後の方ですけれども,対象者を法学未修者から法学既修者に順次拡大をするということが言われ,また,その次の段落ですけれども,将来的に確認試験の結果に応じて司法試験短答式試験を免除することを想定し,確認試験と司法試験との結果の相関関係を検証・分析することなどといった提言がなされているところでございます。
その後,おめくりいただきまして資料5-3,こちらは本委員会の昨年度の資料でございますけれども,306ページです。現時点では,こちらにありますように,第2段落を御覧いただければと思いますが,今年度からは,法科大学院協会と日弁連法務研究財団が主体となって本格実施をしていただいております。また,この体制で当面5年間,実施をしていただくということについては,昨年度の本委員会でお認めいただいているところでございます。また,試験結果につきまして,各法科大学院において,1年次から2年次への進級判定の資料の一つとして活用することと現にされているところでございます。
このような状況を踏まえまして,今後は引き続き未修者教育の観点を中心に,厳格な進級判定によって学修の質を確保していくための,5年と言わず継続的な実施体制についての在り方の検討ですとか,また,推進会議決定で御指摘のあった事項の今後の道行きについても,本委員会で御議論いただく必要があると考えてございます。
特に継続的な実施体制という面も含めて,資料5-4として,308ページを御覧いただきたいと思いますが,これは参考ですけれども,ほかの分野の類似の試験の状況について,厚労省の資料をお借りしてお配りしておりますけれども,例えば確認試験ワーキングの基本設計でも触れられております医学の分野では,御存じの先生方も多くいらっしゃると思いますが,医学部の5年次以降の臨床実習に参加するための条件となります共用試験を,この表で言うと上から4行目に書いてあるものですが,コンピューターベースドテスト,CBTで実施されておりまして,大量の問題ストックを活用して正確な能力測定を実施するものをコンピューターでやるということで,類似のスキームが,現在では歯科医師ですとか獣医師といった他分野にも拡大をしていると承知しております。こういったことも今後の参考としながら,議論を深めていただきたいと思ってございます。
以上が,まず,10期において特に議論を深めていただきたいと考えております,未修者教育の論点に関しての御説明でございます。これが本日の大きな議事の(2)に当たる部分でございます。
続けて,次に議事(3),認証評価の改善・充実に関する御説明でございます。
資料の番号では6-1,ページ数では309ページを御覧いただきたいと思います。認証評価につきましては,これは一番初めの報告事項で申し上げました,今回の関連法の改正を受けました省令・告示の改正の概要を改めて付けておりますけれども,1枚おめくりいただきまして2枚目,310ページの赤枠の囲みのところを見ていただきますと,御案内のとおり今回,設置基準において,御覧の様々な新たな項目を,告示から引き上げるような形も含めて,規定をしております。それを受けまして,一番下にあります認証評価の観点の見直しということで,細目省令の改正も行いましたところでございます。
ちなみに,細目省令につきましては,令和4年度からの施行,つまり令和4年度の認証評価から当てはめていくということになっているわけでございます。これは新たな設置基準を順次施行して,一定の実践が行われた後に評価をする必要があるという観点もございますし,評価基準の見直しですとか一定の準備期間が必要であるということも加味して,令和4年度からとしているところでございますけれども,ここから逆算しながら今後,各評価機関におきまして,各大学評価基準を見直していただくわけですが,今回の法改正の趣旨を実現するために,基本的には新たに設置基準等に規定した項目を新たに追加するということが必要になってくるわけですけれども,あわせて,この機会にどのような対応が必要かということを御議論いただきたいと考えている次第でございます。
なお,次の資料は参考ですけれども,資料6-2,311ページのところには,これまでの認証評価の状況について,表をお付けしております。1枚目は,現在募集継続をされている法科大学院についての3巡目までの適合・不適合の状況と,それから一番右側に,直近の司法試験の合格率を参考までに掲載させていただいておりますけれども,適合・不適合は御覧いただくとおりなのですが,合格率を御覧いただきますと,適合という丸が付いている大学院におきましても,合格率という一義的な成果の部分では大きな差があるということについて,この際,御確認を頂きたいと思っております。
ここまでが,認証評価についてのこちらからの御説明でございます。
最後に,まとめて失礼いたします。議事(4)のKPIについてという関係の御説明をもって終わらせていただきます。
KPIに関して,資料7-1,313ページでございます。そもそもKPIとは何かということでございますけれども,KPIはキー・パフォーマンス・インディケーターといって,様々な政策分野で使われております,いわゆる定量的な数値目標でございます。ここで言うKPIというのは,連携法等の改正を踏まえまして,改革の進捗を検証していくために必要な数値目標ということで,具体的には,国会答弁の中でも私ども,あるいは大臣の方から,その必要性について繰り返し答弁をさせていただいているところでございます。
特に答弁の中では,下の方に当時の柴山大臣の答弁を載せておりますけれども,下から3行目のところ,今回の法改正の成果の検証としてという文脈の中で,「法科大学院への入学者数や司法試験合格率といった数値目標はしっかりと設定をして,継続的に把握,検証を行って,そういった法改正の趣旨が実現されるようしっかりと取り組んでいきたい」と答弁をしているところでございますので,これについて最終的には文科省として,政府として責任を持って立てて,検証していくものでありますけれども,中教審の御議論を頂きながら設定をしてまいりたいという趣旨でございます。
次のページをおめくりいただきまして314ページ,関連する現状の数字を簡単に御紹介させていただきたいと思います。
そもそもは推進会議決定におきまして,累積合格率がおおむね7割以上という目標がございまして,これが30年度までの集中改革期間の目標としてございました。これについて最終的には,(2)のところでございますけれども,現状,最新の累積合格率の数字は,全体で64,8%となっております。ちなみに,既修者,未修者と分けて見ますと,既修者については74%,未修者については49,5%ということで,平均で約65%というのが現状でございます。
また,客観的な状況としまして,(3)ですけれども,加算プログラムの方では別途,大学院ごとに目標を立てていただいているのですが,ここでは共通の指標として,必ずこの二つについては目標を立ててくださいとお願いをしておりまして,一つは修了後1年目の司法試験合格率,いま一つが標準修業年限の修了率でございます。ただ,それぞれの数値については大学院ごとに,令和5年度を目標時点として立てていただいているところでございます。
最後に,(4)でございますが,今般,「3+2」の制度ができまして,これにつきましては国会答弁でも一部申し上げているのですが,「3+2」のルートに限った合格率の目標というのは,例えばどんなものが考えられるかといったときに,文科省の説明会でも,ここに書いてありますような,修了後1年目で少なくとも7割以上といった目安をお示しさせていただいておりますのは,これは根拠としましては米印にありますように,既に,数は少ないんですけれども,実質的に「3+2」のルートで司法試験に受かっている方がいらっしゃいます。こういった方々の合格率を見てみますと,直近の修了直後の合格率が57.9%ということで,おおむね6割という状況が既にございまして,国会答弁では,これを当然上回っていくということも申し上げていることがありますので,それを踏まえて,少なくとも7割以上といったような期待値を,文科省としてお示しをさせていただいてきたところでございます。
今申し上げたような数値をグラフなどでお示ししているものが,その後ろの4ページほどでございます。
こういった状況も踏まえまして,新しい制度の下での改革の進捗状況をどういった指標で測っていくかということでございますが,本日は項目の案だけ,事務局からお示しさせていただきたいと思います。
資料7-2,319ページでございます。項目案としましては,国会答弁も踏まえますと,少なくとも大きく2点,合格率の目標と入学者数。究極の目的が有為な法曹志望者を増やしていくということでございますから,入学者数を項目の一つとしてお示ししております。
特に合格率につきましては,例えばこういうものが考えられるのではないかと思いますのは,まず一つは,修了後1年目の合格率,従来は累積合格率と言ってきまして,これも引き続き残すということを考えられますけれども,とはいえ,今回の法改正の趣旨の一つが時間的・経済的負担の短縮ということで,それをまた,5か年掛けて合格してもいいということだけではないという観点からいきますと,修了後1年目といったような,時間的短縮の効果も見た合格率の目標というのが必要ではないかと考えているところでございます。
そして,マル1の内訳になりますけれども,マル3として,法曹コース修了者のうち,学部3年で進学した方の修了後1年目,いわゆるストレートで「3+2」で合格した方の合格率,これも修了後1年目のものを見ていくということが考えられるのではないかと思っております。
ここで,「(在学中を含む)」としているところ,本日御意見を頂きたいと思っておりますが,一つの考え方としては,在学中受験というのが今回新しく,機会として設けられますので,在学中の合格者だけを特出しして見ていくという考え方も一つあろうかと思いますけれども,ただ,事務局からお示ししております案は,在学中,受験するかどうかというのは,学生それぞれの選択であって,いわゆるオプションであって,それだけを取り上げて目標とするのではなく,それも含めた修了後1年目まで,要するに,人によっては2回目の受験までということになりますけれども,その合格率を一義的な目標としていくことが適当ではないかと考えているところでございます。
また,入学者数については,文字のとおりでございます。
目標時点でございますけれども,そもそも今回の新制度で,来年度から法曹コースを選択する方は,最短で令和6年度に修了後1年目の合格率が出てくるということになりますので,一番早い数字がとれるのが令和6年度ということで,まず一つの中間的な目標時点としては令和6年度があるかと思っておりますし,さらに,その数字を見て,こういうルートができたのであれば私も進学しようという方が新たに進学をした結果として,その5年後ぐらいに出てくる数字ということで,現在から見ますと約10年後ということになるわけですけれども,それぐらいの目標時点を置いてKPIを設定してはいかがかと思っておりますが,本日はこの項目の案,それから,それをそれぞれ,検討すべき観点のところに書いてありますような,法科大学院全体のKPIということで,飽くまで平均がこれという捉え方とするのか,あるいは,大学院ごとに達成すべきKPIと捉えていくのか,あるいは先ほど少し御紹介した,現状の数値に照らしてどれぐらいの水準の数値が妥当であるかという御意見がもしあれば,頂きたいと思っております。
以下,様々な観点を示しておりますが,特に在学中受験者の合格率ということについて,特出しすべきかどうかといったところについて,御議論いただきたいと思っております。
大変長くお時間を頂戴して御説明してまいりましたけれども,以上が議事(2),(3),(4)についての事務局からの御説明でございます。最後になりますが,このうち認証評価とKPIにつきましては,来年度以降,具体的な準備ですとか検証を進めていくことが既に求められるという状況にございますことから,今年度中にも一定の方向性を出していく必要がありまして,本日,優先してまず御議論いただきまして,そして,未修者教育に関しましては,今後どういった観点で深めていくかという論点出しをお願いしたいと考えているところでございます。
事務局からは以上でございます。

【山本座長】 ありがとうございました。
それでは,御議論いただくべき内容は多岐にわたりますが,今,事務局の方からもお話がありましたように,認証評価の改善・充実という問題とKPIの設定という問題が,年度内に一定の結論を出す必要があるということですので,まず,本日はこちらを御議論していただきたいと思います。
もちろん未修者教育の問題,共通到達度確認試験の問題についても,議論の時間を設けたいと思いますので,恐縮ですが,おおむね11時半ぐらいを目途に,認証評価,KPIの問題について御議論を頂きたいと思います。その二つは特に区切りませんので,どちらでも結構ですので,御発言を頂ければと思います。どなたからでも結構です。
それでは,大貫委員。

【大貫委員】 認証評価とKPI,それぞれについて意見を申し上げます。
認証評価は何度も,既に法科大学院は経験しておりますが,率直に申し上げますと,膨大な資料を準備して,細かい形式的基準に合わせることを強いられていると思います。これは大学関係者にとって極めて負担が重いということは事実だと思います。しかも,認証評価をクリアしても,法科大学院のパフォーマンスの向上につながっているか,疑問がないわけではありません。先ほど西川室長からお話があったように,司法試験の合格率とは必ずしも連動していないところがあるということが見られます。
今申し上げたように,認証評価の指標は,それに合わせることにより法科大学院の教育が向上するようなものでなくてはならないだろうと思っています。もちろん形式的な指標をなくすべきだと申し上げているのではありません。形式基準を簡素化しつつ残し,実質的な基準とうまく組み合わせて評価することが必要だろうと思っております。また,結果とプロセスという使い古された言葉ですけれども,教育活動の結果を重視する評価基準と結果をもたらすプロセスを重視する評価基準を,事項ごとに使い分けて評価するべきだろうと思います。
時間もございませんので,端的に申し上げますと,現状の認証評価基準は見直しが必要だろうと思っております。また,認証評価の改善は,これまで文科省と中教審,あるいはワーキンググループで,主導的に改善の提案などしてきたのですが,認証評価も,先ほど冒頭に申し上げました,大分歴史を重ねておりますので,各認証評価機関が前面に出て,この問題を検討していただければと思います。これが第1点,認証評価に係るところであります。
KPIのところは,これも認証評価と似たようなことになるんでしょうけれども,定量的な数値目標は,設定自体は重要なことだと思います。しかし,定量的な数値目標に縛られ過ぎて,各校の自由で裁量的な教育活動が縛られてはよろしくないのだろうと思います。
従いまして,大まかに申し上げますと,KPIの指標は重要なものに限ると考えるべきだろうと思います。事務局の御提案でいう,資料7-1,通し番号で言うと319ページに案が書かれておりますが,1ポツのKPI項目案,これは必要なんだろう。(1)というのは必要であろう。法科大学院入学者数というものもあってしかるべきだろうと思っております。
まだ精査しておりませんので,今の感覚で申し上げますと,(4)のところに問題提起がされているわけですけど,恐らく,マル1の未修者・既修者を分けた合格率は望ましいんだろうと思いますが,現状においてパフォーマンスが相当違いますので,ここはきちっと分けた目標にした方がいい。
在学中受験の合格率は,先ほど事務局がおっしゃったように,オプションであるものについて,これをKPIに入れ込むのは,私もいかがなものかと思っています。
3番目の法曹コースを設置する法学部数,これは結構だろうと思います。
4の共通到達度確認試験に係る数値目標は,これは結構だと思うのですが,まだ始まったばかりで,そもそもどういう最低基準を設けるのが適切かという議論が進んでおりませんので,1回本試験が行われた段階で,その分析も踏まえて,具体的にどういう数値目標が可能なのかどうかということを検討していただきたいと思っております。
それと,事務局の問題提起で,法科大学院全体のKPIか,法科大学院ごとに達成すべきKPIかということであります。これももう少し熟考しなければいけないんですが,基本的には,個別の法科大学院のKPI,法科大学院のKPIというのが両方あってしかるべきだ,重なってあるべきだと思いますが,事項によっては違うのかもしれないと思っています。
例えば法科大学院入学者数というのは,これは柴山大臣の答弁にもあったということを先ほどリマインドしたのですが,法科大学院全体としてはKPIに入れざるを得ないんだろうと思いますが,各校の入学者数というのは非常に微妙で,定員充足率などということでかつて運用されたんですが,レベルが達していない者を,入学者数を増やすために入れるという方向に働くのではよろしくありませんので,例えば法科大学院入学者数ということであるならば全体のKPIだけにとどめるとか,そういう違いは設けるべきだろうと思っております。
現在,事務局の御提案を聞いて思ったところは以上でございます。

【山本座長】 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
どうぞ,土井委員。

【土井委員】 まず,認証評価については,私も大貫委員のお考えに基本的に賛成です。やはり設置審査と認証評価の違いをしっかり前提にしなければならないと思います。設置審査は,大学等が実際に開設される前に審査を行うものですので,基本的には設計図をチェックするということになりますから,各評価要素について,形式的基準を用いて審査せざるを得ないということになります。
ただ,認証評価は,現に存在する学校等が適切に運営され,目標を達成できているかを確認して,問題があればその改善を促すというものですので,本来,設置基準違反など違法な運営がなされているかどうかは,形式的基準によるべきなのだろうと思いますが,教育の品質保持という点では,学生の資質・能力の育成という目標にとって,実質的に重要な基準を重点的に審査するのが望ましいと思います。
また,認証評価機関も,言わば検査機関にとどまるべきではなくて,問題を抱えている教育機関の自己評価,改善の努力を支援する機関として機能すべきなんだろうと思います。そのためには,全ての教育機関に対して同様のリソースを割くというのは非効率的で,問題を抱えている教育機関に対して重点的かつ継続的に関与を行う方向で,転換をするのが望ましいと思います。
とすれば,一定程度,成果に係る基準を用いて,言わばスクリーニングをする。その上で,どの程度,各機関について精密に認証評価を行うか,継続的に支援を行うかという意味でも,めり張りのあるものにしていただくのが望ましいんじゃないかと思います。
次に,KPIにつきましては,本来,法科大学院が目指していた理念を大切にしつつも,現状を踏まえて,現実的に達成可能な数値を定めていく必要があるんだろうと思います。先ほどの御説明にもありましたし,本日の資料316ページにグラフも示されているんですけれども,現在,学生募集を継続している35校を対象にするなら,平成26年度修了者の5年目までの累積合格率は全体で64,8%に達してます。これは,司法制度改革審議会意見書が示した,おおむね7割以上の合格率という法科大学院教育の目標を,全体としてほぼ達成できる状況に改善してきているということだと思います。
少々愚痴めいたものを申し上げるんですけれども,これまで非常に厳しい批判を受けつつ長年懸命に努力を続けて,ようやく目標達成というのが目に見えてきているにもかかわらず,それが報道されることもなく,なかなか広く理解を得られないという状態にあるんだと思います。私は,それはやっぱりおかしいと思いますので,そうであるならば,例えば再度意見書に立ち返って,累積合格率に着目しつつ,7割以上の合格というのをはっきり目標に掲げて実現を,達成していくということも考えられると思います。
ただ,合格率のよい法科大学院が牽引してくれれば,合格率の低い大学はそれでよいというのも,それは変な話でございますし,また,認証評価で活用していくということも考えますと,各法科大学院が目指すべき基準として,全体の基準を示し直していくということも十分考えられるんだろうと思います。
優秀な学生を法曹に導くためには,司法試験合格に長期間が必要になるということは適切ではありませんので,やはり修了後1年目の司法試験合格率を問題にする必要はあると思います。ただ,在学中受験は,先ほど室長もおっしゃいましたように,オプションという面もありますし,そういうことを考えると,修了後1年目までを含めて,基準を設定していただくということが考えられるんだろうと思います。
具体的な数値については,先ほど例を挙げましたけれども,累積合格率7割の達成を想定したときに,各基準がどうなるのかというようなことをシミュレーションしていただければ,全体が見えてくるのかなという印象を持っております。
以上です。

【山本座長】 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
どうぞ,松下委員。

【松下座長代理】 まず,認証評価についてですけれども,法科大学院における,法曹養成の究極の目的は,質の高い法律家の育成ですので,そこを測れればもちろん一番いいわけですけれども,なかなかこれは定量的な判断にはなじまないということです。従来,3巡,認証評価をして,それまでは各法科大学院一律の形式的な基準で認証評価を実施してきたわけです。3巡目まではそれでよかったのかもしれませんけれども,ここで新しいステージに入ったということだと思いますので,全ての法科大学院に対して同じ評価を行うのではなくて,何らかの客観的な指標を根拠に,重点的に確認する必要が高い大学というのを抽出して,そこでは丁寧に評価を行う,重点的に確認する必要が相対的に低いところについては一定の合理化を図るということを考えてよいのではないかと思います。
それから,資料7-2にあったKPIの項目案ですけれども,事務局からここを御議論いただきたいということで,在学中受験を特出しした合格率の話が先ほど出ました。先ほど事務局から正に御説明があったとおり,オプションであって,オプションであるという意味は,在学中受験しなくても5回にはカウントしない,受験回数にカウントしないということからオプションだということだと思いますので,そこを特出ししてKPIにするというのは,どうもなじまないような感じがいたします。
ということで,私の取りあえずの意見は以上でございます。

【山本座長】 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
中川委員,どうぞ。

【中川委員】 認証評価につきましては,3委員と同じ意見でございます。ちょうど今,松下委員が新しいステージとおっしゃいましたけれども,正にそういうことだろうと思います。今までは,非常にたくさんの法科大学院があって,一律の基準を作って,これができないところは退場いただくとか,そういう機能を果たしていた。認証評価とはいえ,実質的な自主規制といいますか,そういう部分が大きかったと思うんですけれども,法科大学院の数も少なくなりまして,今後は,うまくいっていないところをちゃんと育てるといいますか,どのようにすればもっとよくなるのかということを,本来,認証評価はそういうところだったと思うんですけれども,本来の趣旨に戻ってやるべきだろう。
そうすると,機械的な基準ではない。これまでの認証評価は,非常に形式的な基準で,全ての科目について見ていて,例えば採点がどのようにやられるかとかまで細かくやっているんですけれども,そんなこと必要でない科目も,たくさんとは言いませんが,あるわけです。にもかかわらずそこを非常に根掘り葉掘りやっているような印象があります。例えば法律基本科目であるとか,必修の実務系科目であるとか,そういうところに重点を置いて,それについて,形式的な基準ではなくて,これはかなり大変なことになると思うんですが,実際の審査をされる委員が,ピアレビューとして自らが教育研究者として,どのように工夫の余地があるかとをお互いに話をするというような形で,そして,言わばカルテを作って,前回こういう話をしたんだけど,その後どうですかと,各個別校に合わせたやり方に変えていかなければいけないのかなと思います。
それは当然,全部の大学にできませんので,これも何名かの方から御発言がございましたが,例えば司法試験合格率であるとか,その他の客観的な指標で,どの程度か分かりませんが,細かなチェックの対象から外すというような思い切ったことをしてリソースを効率的に配分するという,かなり思い切った考え方の変更が必要じゃないかと思います。これが認証評価についてです。
KPIにつきましては,まず,確認といいますか,今,資料7-2の1の(1)で三つ上がってございますが,土井委員の発言にございましたように,(1)のマル2というのは,もともと法科大学院を作るときの目標ですね。それはほぼほぼ達成に近い。なので,マル2は必ず必要だろうと思います。
その上で,マル1の修了後1年目合格率というところですが,これは法科大学院制度を作った当初から考えるとかなり思い切ったものです。今でいうところの現役合格ですよね。現役合格まで踏み込むというのは,かなり立ち入ったといいますか,更に司法制度改革審議会のときよりも目標を上げていくということですので,これは当然にできますよと考えられると非常に困るといいますか,これ自体,非常に野心的なKPIの設定だということは申し上げておきたいと思います。
なので,これをどの程度に設定するかというのは,そんなに踏み込んだことを言われても困るというところがありまして,大体,入試や資格試験というのは,通るべき人は現役か一浪両方を足すとほぼ七,八割が通るというイメージを持っております。そのうち現役に限定するというわけですから,かなりリスキーな部分もございます。そう簡単に高めのKPIの数値を設定されると,これは難しいだろうと思います。
その観点からすると,マル3で,法曹コース修了者のうち,学部3年で進学した者に限定したKPIというのは,更に厳しいというか,なかなか設定が難しいし,かつ,これに該当する学生が各大学に何人いるのかということになると数は多くない。その人たちは,君たち一人でも落ちるとこれが達成できないぞという,ややハラスメント的な効果もあるんじゃないかとちょっと心配しております。既修者のほぼ全員がこのカテゴリーに入るならば別なんですけど,最初は少ないと思いますので,マル3は余りにも勇み足なんじゃないかなという気がしておりまして,マル1とマル2で,マル1でさえ十分これは野心的なんだということの認識が必要ではないかと思います。
(在学中を含む)とありますが,この部分を内数としても明示しないということが私は重要だと思います。これもハラスメントをといいますか,特出しだけじゃなくて内数という形であっても,それは結局,そこでの競争,そして,それをしろとかそういう方向に行きますので,在学中受験はオプションであるという趣旨からは外れてしまいますから,計算基礎数としては在学中を含むんですが,記載としては,在学中かどうかの別を書かないという形でのKPIの設定が望ましいと思います。
現状の数値との関係で少し申し上げたいのが,先ほど事務局から御説明のあった,法曹コースの設定の説明会での数値のことなんですけれども,通し番号で314ページの一番下の(4)なんですが,「法曹コース修了者については,法科大学院修了後1年目で少なくとも7割以上」,当然上回るとおっしゃるんですが,これはちょっとどうかなと思います。というのは,過去の早期卒業・飛び入学,これは本当に例外中の例外の優秀な学生しかいなくて,今,少し増えてきましたけれども,極めて少ないんですね。何も早期卒業の制度もないときに飛び入学とか早期卒業をしてきた,本当に上澄み層ですので,これを少し拡大していこうというときは,母体となる学生の質が違うことに注意する必要がある。
決して中途半端な人を入れるという意味じゃないんですけれども,過去の早期卒業・飛び入学に比べると,もう少し制度に乗っかってきているタイプがこの法曹コース修了者ですので,ここはやっぱり層が少し違うといいますか,やや薄まった感じになるんじゃないかなというのが私の実感で,ですから,過去が57,9%だから,法曹コース修了者については,修了後1年目で少なくとも7割以上が当然かと言われると,それは飛躍があります。法曹コース作りの方針として,このように説明されること自体は別に異議ありません。法曹コースの作り方については余りゆるゆるでは困りますよというのはよく分かるんですけれども,KPIを作るときにこの発想では,かなり非現実的になるんじゃないかという危惧がございまして,例えばKPIも,取りあえず低めからだんだん高めていくというような形で,エビデンスベーストで作っていただくのがよろしいのではないかと思います。
エビデンスベースドの関係で言うと,共通到達度確認試験に関する数値目標も,大貫委員がおっしゃいましたけれども,やってみなければ分からないところがあって,まずは1回目,2回目,3回目をやって,統計的に出して,やっぱりこの点では司法試験は駄目だねというのが分かってこなければいけなくて,これは簡単に分かりそうで,意外に分からないんですね。学生の伸びというのは,最初の学年で駄目でも,どこで伸びるか分からないという例を幾らでも見ておりますので,余り簡単に最初ではねてしまうというのは,学生の可能性をつまむことになりますので,そう簡単じゃないんですね。結構低い数値になる可能性が高いんですね。
ですので,ここも腰だめで作らない方がいいだろうと思いますので,KPIは,各大学で勝手に目標を作る分には構いませんが,そう簡単に,当然ここでしょうとは言えないという意味で,慎重に設定をお願いしたいと思います。

【山本座長】 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
有信委員,どうぞ。

【有信委員】 認証評価とKPIについて,それぞれ具体的な御意見が出ていて,基本的に,出ている御意見は,私ももっともだろうと思っていますが,素人というか,外側から見た感覚で言うと,今回の認証評価については,認証評価の在り方を基本的に変えるということで,もちろん認証評価の思想は変わっていないんだけれども,基本的に大学評価基準に適合しているかどうかというところで,厳しく認証評価をやる。これは法科大学院だけではなくて,全体の認証評価についてそういうことが決められた。
それに従って,法科大学院の認証評価の中で個別にあった,いわゆる適合評価というのは取り外しましょうということですよね。個別の適合性の評価についてはやめて,大学評価基準に適合しているかどうかというところで見直すという考え方に沿っていったときに,具体的にここで上げられている個別の評価項目というのが,ある意味,また元に戻っているのではないかというところを,少し議論していただければと思うんですね。つまりここでの議論が,実際には大学に,あるいは大学全体の認証評価にも影響を及ぼすという部分がありますので,それが一つ。
それから,KPIというのをここで定めるのはもちろん賛成だし,ここでの思想についても,基本的に異論はないんですが,もう少し慎重に考えなければいけないのは,ここで定めたKPIが,今度は認証評価と絡んできて,認証評価のときにKPIの達成度で実際に評価をされる。これは,実は認証評価の基本的な思想とは,実行の仕方によっては相入れなくなってしまうわけですね。認証評価というのはそもそも,教育システムが人材育成目的に沿って正当かつ適正に作られていて,それがPDCAという観点で不断に改善される構造になっているかというのを,法科大学院の立場できちんと見なければいけないというところを,是非忘れずに議論していただければと思います。
ほかにも影響がある部分がありますので,よろしくお願いします。

【山本座長】 ありがとうございました。ほかに。
山野目委員,どうぞ。

【山野目委員】 通しページ319ページの資料7-2において,KPI項目案として検討すべき観点についての論点整理メモを御提示いただいております。その中の3の(2)の法科大学院全体のKPIか,法科大学院ごとに達成すべきKPIかということについては,感ずるところを意見として申し述べておいた方がよいと考えます。来年度に向けての作業を進めていただくに当たって,ここのところが作業上の前提として重要であると考えることによります。
大貫委員の方から,各校の事情等があり,法科大学院ごとに達成すべきKPIを設定することの当否については慎重に考えてほしいという御発言がありまして,私も誠にそのとおりであると感じます。大貫委員は,例えば入学者数については,とおっしゃいましたが,入学者数に限らず,ほかの項目を見渡しても,狭い意味での,あるいは厳密な意味での法科大学院ごとに達成すべきKPIというものを設けることに親しむ事項が果たしてあるかということは,全般的に見ても疑問なのではないかと感じます。
有信委員の御発言にもありましたように,認証評価との絡め方等についても,適切な運用をよほど慎重に考えていかないと,また具合の悪い問題が生ずるのではないかと考えます。そもそもKPIは政府の施策の実効性を検証するためのものでありますから,政府の目標の数値として設定することが,本来の姿に適合するものではないでしょうか。
申し添えますと,ここの(2)は,全体のKPIか,各校ごとのKPIかという二者択一で御提示いただいていますが,そのように深刻に二者択一で詰めなくても,ある成果を達成した校が何校以上になっていることが求められるとか,ある状態になっている校は,そういうところはなくなっていただくということを目標にしようとか,そのような法科大学院の状況全体についての数値目標を掲げる中でも,各校の状況との対話を続けていくための糸口になるようなKPIの設定の仕方というものは,工夫の仕方によっていろいろ考えられるものであろうとも感ずるところがございますから,意見として申し上げます。

【山本座長】 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
どうぞ,酒井委員。

【酒井委員】 まず,認証評価に関してなんですけれども,私,前期から発言をさせていただいてきたところであるんですが,論述の能力指導における司法試験過去問の活用について,現状でも,認証評価との兼ね合いで非常に消極的にならざるを得ない,余り正々堂々とはというところがいまだにあるようなことが聞こえてまいりますので,このように全面的に見直しという機会があるのであれば,是非,司法試験の過去問を論述指導に正面から使えるような形で,決して現場がシュリンクすることがないような形での改定をしていただきたいと考えるところです。
特に,これは未修者教育の改善にも大きく関わってくるところかと思うんですけれども,未修者は,私も教えてきた経験があるものですから感じるところで,非常に書くことに対するハードルが高いということが,大きな学習障壁になっているのではないかと感じるところがございます。経験上,インプットとアウトプットというのは両輪ですので,これが双方適切にできていないと,司法試験合格まではなかなか届きませんし,それに当たって当然,司法試験というのは法曹実務家になるための最終試験ですので,本来,最も優れた論文素材であろうと思うところです。
それを正面から先生方に御指導いただけないとか,補助教員からも,実際には教えているんですけれども,しっかりと堂々と教えてもらえないような環境というのは,学生にとっても非常なマイナスだと思いますので,ここに関しては是非クリアにしていただきたいと思うところです。また,このような指導がしっかりと受けられるということは,学生の余裕にもつながると思いますので,これによって,例えば実務科目ですとか,クリニックですとか,非常に今,学生たちが選択を尻込みしてしまうような,試験科目に関係ない科目にも向けられる余裕が生まれるのではないかということも考えるところです。
次に,KPIに関してなんですけれども,これは多くの委員の先生方の御意見に賛同するところが大きいのですが,1点だけ,資料319ページの検討すべき観点の(4)の①に上げられております,法学未修者と法学既修者を分けた合格率の設定という部分なんですけれども,これは現状の合格率の格差を見ますと,定めることに一定の合理性があることは否定できないところなんですが,これがひいては法学未修者と既修者の教育を完全に分断するというようなことにつながっていくとすると,そこに関しては,私は非常に懸念を覚えるところです。前回か前々回,菊間委員からもあったかと思うのですが,未修者と既修者が同じ教室で学ぶことで相乗効果が生まれる,現状では,恐らく既修者が未修者を引っ張り上げるという面が強いのかなと思うんですけれども,そういうことがあるということは強く実感としてございますので,決してそのような分断にはつながらない形で運用していただければと考えるところです。
以上です。

【山本座長】 ありがとうございました。ほかに。
では,清原委員から。

【清原委員】 委員の皆様の認証評価に関する御意見は,正に法科大学院を担い,進めてこられた経過の中での御意見だと思いまして,私は,その実感を込めた問題提起と今後の取組について,賛同いたします。
その上で,KPIについて,とりわけこの間の機能としては,先ほどお話もありましたが,法科大学院が,改革,そして教育の質の向上のために御努力をされてきた成果が現れていると思います。一方で,最近のデータによりますと,法学部そのものへの進学者数の減少であるとか,せっかく「3+2」で法曹コースという取組をする中で,法科大学院への進学者数を増やし,あるいは関心を高めるということで進めてきているはずですが,現状としてはなかなか厳しい状況があります。
従いまして,KPIの在り方でございますが,もちろんこれまでの司法制度の改革,法科大学院の改革を検証するために,目安としておくということはあると思うんですが,他方で,KPIによって改善すべき内容,あるいは実態というものも把握し,そこから法曹コースや「3+2」が生まれてきたことも事実です。
従いまして,KPIを評価するときに,その数字を目安にして,満ちていないから努力が足りないとか,法科大学院だけが責めを負うのではなくて,高等教育全体の在り方,あるいは,これからSociety5.0とか第4次産業革命と言われている中の司法に求められる期待が,理念的にはあるんですが,現実の学生,あるいは,何らかの形で司法の世界で貢献したいと思う方に,躊躇させるような現状であってはいけないわけですから,これは,ロースクールだけがKPIを踏まえて検証・評価されるのではなくて,実は社会全体への改革のメッセージがKPI(の数値)に表れると受け止めなければいけないと思うんですね。
したがって,改革を,法科大学院,ロースクールだけが担っているわけではなくて,社会全体が担っているというような発信の方向性というんでしょうか,それをKPIには込めなければいけないと思います。
他方で,現実的に,(市長として)行政で責任を果たしてきた立場としては,「3+2」を(新制度として)入れたものですから,それを検証するものをKPIに入れなければいけないということで,319ページの資料7-2の(1)のKPI項目欄に,「法曹コース修了者のうち,学部3年で進学した者の修了後1年目合格率」というのを入れざるを得なかった事務局の責任というのも感じるんですね。
ですから,飽くまでもKPIというのは目安というか,指標であって,その結果を受けて改革をするべきは,法科大学院の皆様だけではなくて,ほかの関係機関,例えば自治体が法律家をもっと入れるとか,企業が(採用に)貢献するとか,社会全体の中での仕組みとしての問題提起もしていかなければいけないと思いますので,KPIの位置付けについては,数値を出すのも評価を受けるのも法科大学院だけではないということを確認させていただければと,委員の皆様の御意見を伺っていて感じましたので,発言をさせていただきます。ありがとうございます。

【山本座長】 ありがとうございました。
それでは,井上委員。

【井上委員】 井上でございます。認証評価については,ちょっと難しいところがございますので,KPIについて,少しお話をさせていただきたいと思います。
企業でもKPIというのはよく使いまして,様々な目標設定をするわけですけれども,作るときは,実現可能でありそうであるけれども,ストレッチな目標ということで,いつも我々も作っております。ですから,先ほどどなたかおっしゃったように,いきなり70%必達というような目標の作り方は恐らくしないのではないかと思います。そういう意味で,皆さんがこれを目指して頑張りたいと思えるような数字を是非,ここの議論の場等々を踏まえて,作っていただくのがよろしいのではないかと思っております。
また,当然,万一達成できなかったからといって,それで罰則があるとかそういうものでもあるべきではないと思っております。316ページを見ますと,修了者1年目というところですと,まだまだ70%というのは厳しいということが見てとれますけれども,特に,2年目になりますと急に割合が上がるというのもよく見えます。先ほど中川先生がおっしゃったように,この一,二年での伸び率を踏まえた現実的な目標を作るというのも,非常によろしいのではないかと思って意見させていただきました。ありがとうございます。

【山本座長】 ありがとうございました。
大澤委員,どうぞ。

【大澤委員】 済みません,一つ確認させていただきたいんですが,KPIに関してですけれども,このKPIは,資料の国会議事録等の御発言を拝見すると,中教審,この特別委員会において,今回の制度改正のパフォーマンスを測るために使う数値だという理解でよろしいんでしょうか。要するに,KPIを設定して,どこでそれを使って,目標達成しているのかどうかを測るのかということですけれども。

【山本座長】 事務局,どうぞ。

【西川専門職大学院室長】 資料の方では,中教審においてという言及はありますけれども,基本的にはこれを参考に政府として定めるKPI,つまりは国会に対して,政策を実施している政府の側として,法律の改正の効果,成果について,責任を負って説明していくための数字ということでございますから,国としての取組の進捗状況を一義的には測るものでございます。

【大澤委員】 やっぱりその性格を踏まえて,どういうものを測るのかということは考えないといけないと思います。先ほど御議論もありましたけれども,例えば,検討すべき観点の(2)の法科大学院全体なのか,法科大学院ごとなのかといったときに,ただ今御説明いただいたような性格の数字だということになってくると,法科大学院ごとのものを直接測っていくというのはどうなのかといった議論が出てき得るのかなという感じがいたします。その辺りをしっかりと踏まえて考える必要があるのかなと思う次第です。
それともう一つ,これも最初に多くの先生方が言われましたけれども,法科大学院のパフォーマンスを測るもの,インディケーターとしては,資料に書かれているようなものしか,数字でとってこられるものはありませんけれども,ただ,本当に優れた法曹を育てるということは,数字に表れない部分というのもありますので,そのような部分がこの数字によって殺されないようにしていくということは,是非留意していく必要があるかなと思います。

【山本座長】 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
髙橋委員,どうぞ。

【髙橋委員】 一つ目の認証評価基準は,他の委員の先生方がおっしゃったとおり,改善の必要性があるだろうと思っております。特にこの機会に,認証評価基準の中にある形式的な基準も併せて見直していただきたいと思います。
今回議題になっております未修者教育の充実であるとか,あるいは,在学中受験が導入されたことによって,3年の後期に合格者と不合格者が混在することへの対応なども図らなければならないといった課題のある中で,例えば新しい科目を置こうと考えても,認証評価基準の形式的基準によってそれが非常に難しいという現状がございます。認証評価基準によって教育の工夫が縛られることのないように,こうした基準についても併せて見直していただきたいと思います。
もう一つのKPIの方ですが,資料7-2のKPI項目案の(1)の③に出てきている,「法曹コース修了者のうち,学部3年で進学した者の修了後1年目合格率」ですけれども,この書き方によると,法曹コースを修了しても法科大学院に進学しない者や,進学しても途中で退学する者は全て除外されるのだろうと思います。法曹コースから法科大学院にかけての年月の中で,予備試験に合格される方が何人ほどいるのか,進路を変更する学生がどの程度いるのか,法科大学院の修了にまで至る学生層がどうなるのか,こういった要素は毎年大きく変動することになり,予測は困難だと思います。KPIは目標値として機能するものですが,予測が非常に困難なものを目標値にされるというのは非常に難しいというのが実感としてございます。③をKPIとして設定するのであれば,その点を勘案して数値を設定していただかないと,実際上,達成はできないだろうと考えております。

【山本座長】 ありがとうございました。ほかに。
北居委員,どうぞ。

【北居委員】 認証評価ですけれども,先生方の意見に全く賛成でございます。
先ほど,認証評価委員のリソースの配分についてのお話がございましたが,実はロースクール側のリソースの配分もありまして,本来教育に向けるべきリソースを認証評価対応に向けるのが,果たして合理的な話なのかどうか,その観点もございますので,できるだけ合理化して運用していただきたいという希望がございます。
それから,KPIでございますが,先ほど清原委員から,これは社会に向けての改革のメッセージであるという点も踏まえて,特に改革の目玉である「3+2」がある以上,在学者も含んだ形にせざるを得ないのではないかという御意見を頂きまして,誠にもっともだと思う反面,在学中受験を率で表すことの合理性がどこにあるのかという点でございます。
と申しますのは,5回のうちの1回を在学中に使うというつもりの,ある種,お試し受験も母数に入ってくるとすると,余り実態を反映するような率,あるいはKPIになじむような数字にはならないのではないかという危惧を私は抱いておりまして,在学中についてのKPIに数字を上げることには,私はかなり躊躇を覚える次第でございます。
以上です。

【山本座長】 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
どうぞ,加賀委員。

【加賀委員】 本当は余りKPIについて,意見を言いたくない気分でおります。余り賛成しておりません。
数値目標は大事なんだろうと思っています。でも既に,報告がありましたように,加算プログラムの方ではKPIを導入されているわけですよね。だから,各大学においては相当これに神経質に,もう既になっている状態だから,新たなストレスが,KPIというものが出てきて,掛かっている世界にするのかなということを考えると,なるべく大まかなKPI設定を望みたいと思います。
以上です。

【山本座長】 ありがとうございました。ほかには,おおむねよろしいでしょうか。
それでは,ほぼ予定していた時間になりましたので,この二つの問題についてはこの程度とさせていただきたいと思います。
先ほどもありましたように,これらの点については,今年度中に一定の結論を出す必要があるということです。御議論を伺っていて,かなりの部分については基本的な認識が一致していたのではないかと思いますけれども,個々の部分については,なお意見のニュアンスが違う部分もあったように思いましたので,恐縮ですけれども,本日の議論を踏まえて事務局の方で,認証評価については,各認証評価機関に示す評価基準改定の方針について一定の案を,それからKPIについては,今日は項目の案を出していただいていましたが,具体的な数値も含めて,それは更に議論が紛糾するおそれがあるのかもしれませんが,そこまで議論する必要はあると思いますので,具体的な数値も含めた案を準備いただいて,次回はそれを基にして,できれば,ある程度の結論をまとめたいと思います。
よろしいでしょうか。どうぞ。

【森大臣官房審議官】 1点だけ補足で,KPIについては,基本的には,要は政策の検証のために設定されるものでございまして,現在,法科大学院に関して,政策について何らかの改善をする必要があるのかどうか,そういうものについて当然,この中教審の法科大学院特別委員会の動きを聞きながらやっていくわけでありますけれども,それに際してのというのがまず第一になろうかと思います。
各法科大学院において,それを参考にしながら自己の取組について検証されるというのはあるかもしれませんけど,それは飽くまでも,各大学でどう考えていくかということだろうと思っていまして,基本的には政策の検証のためということになっています。
なおかつ,全体か,個別かということになりますと,細かく言えば,個別に関して考えるというと,あるKPIが,法科大学院のうちどれぐらい達成しているかとか,そういうものまで見るかどうかとなれば,個別の大学院まで見るということになりますし,全体で,平均で達成していればいいかどうかというのを見るのであれば全体のと,そういう意味合いかと思っております。

【山本座長】 ありがとうございました。
それでは続きまして,残りの時間で,残っている問題,法学未修者教育の充実,あるいは共通到達度確認試験の問題について,御議論を頂きたいと思います。
こちらのテーマにつきましては,先ほど事務局からも御説明がありましたとおり,10期の委員会で年度をまたいで,特に,恐らく来年度4月以降は集中的に,最初に大沢委員からも御指摘がありましたけれども,議論をしていかなければならない課題であると思いますので,本日のところは時間も余りありませんので,今後の議論で優先的に取り上げるべき事項,あるいは観点について,各委員からアイデア出しというんでしょうか,大沢委員から通信制のようなお話もありましたけれども,そのような新しい観点を含めてお出しいただければ,事務局が今後検討していく中でも,大変役に立つのではないかと思います。
それでは,これもどなたからでも構いませんので,御発言をお願いしたいと思います。
どうぞ,土井委員。

【土井委員】 私の方からは,未修者教育と,とりわけ共通到達度確認試験との関係について,意見を申し上げさせていただきます。
現在の法科大学院制度を前提にしますと,法科大学院教育課程は,未修者教育と既修者教育をダブルトラックにしているわけではなくて,標準修業年限を3年とする一つの教育課程になっているわけです。この理念を基本的に維持するとしましても,現実には法学部教育を経た既修者とそうでない純粋未修者の間で,学力の向上を示していく,言わば成長曲線が異なるという事実も踏まえる必要があるのだろうと思います。未修者教育の改善のためには,この理念と現実をどういう形で調整していくのかということを,先ほど大沢委員も強くおっしゃったように,今後,集中して検討を行う必要があるんだろうと思います。
ただ,いずれにしましても,多くの法科大学院で2年次の段階から,未修者と既修者の混合クラスにおいて,事例等を用いた双方向,多方向形式の授業が行われているわけです。そうした授業を通じて,未修者の皆さんが法的思考力,判断力などを高めていくということになりますと,一定水準の法的知識,あるいは理解というのが必要になってくるだろうと思います。それを欠いたまま授業に出席していても,結局,十分に勉強できていないという状況に陥るということだろうと思います。
その意味で,未修者の皆さんについて,1年次終了時点で獲得しておくべき知識,あるいは能力の基準を明確にして,それを達成していくということが必要になると思いますし,そのために共通到達度確認試験を活用するということは,必要があるのだろうと思います。
ただ,共通到達度確認試験も持続可能な形で運用していかないといけないということになりますので,その意味では,利用範囲の拡大,あるいは作題方法等について,工夫していかないといけないと思います。それを考えますと,複数回実施が可能かどうか。しかし,そうはいっても作題負担を軽減しないといけませんので,広く全国の法科大学院,法学部の教員にも作題に関わっていただくというような形を検討していく必要があるんだろうと思います。
それを考えますと,先ほど室長からの御説明にもありましたように,医学,薬学などの共用試験を参考にしながら,項目反応理論なんかを用いて,コンピューターベースドテスト等を導入していくかどうかという点についても,検討の対象になり得るんだろうと思います。
その場合には,立ち上げ時の初期投資の問題をどうするかとか,あるいは法科大学院,法学部の教員の先生方が,司法試験もありますし,各種試験のために割くことができるエフォートというのは極力抑えていく必要がありますので,そういう点を総合的に考えた上で,中長期的に共通到達度確認試験の在り方を検討していただく必要があるだろうと思います。
以上です。

【山本座長】 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
大貫委員,どうぞ。

【大貫委員】 この論点については,三つほど申し上げたいと思います。拠点化とICTの活用の問題と,1年次修了終了時の質担保の在り方,土井委員が発言された問題,それから,それと絡めまして,共通到達度確認試験について申し上げます。
まず,先ほど室長の方からも言及がありましたように,通しページで言うと298ページ以降に,文科省の委託研究で,法学未修者への教育手法に関する調査研究というものがございます。これは椛嶋先生が非常に短時間で報告されたので,まだ十分共有されていないという感じはするんですが,この報告書を精査しますと,分かっていることですけれども,法学未修者,とりわけ非法学部出身者,社会人経験者に対する教育というのは,語弊がありますけど,大変手間の掛かる教育になります。コストという言い方で,未修者教育には非常に大きなコストが掛かります。
従いまして,先ほど西川室長の御説明にも何度も出てきたと思うんですけれども,それから,前の期の中教審の論点でも拠点化の話が出てきたのは,これは賛否両論あるんですが,それはそういう観点で,要は,財源と人的資源をどこかに集中させて未修者教育を行ったらいいのだという話はどうしても出てくるわけでございます。
ただし,この場合,ふと振り返ると多分,私もそうだったんですけど,特定の校に未修者専門の法科大学院になってもらうというようなイメージがあったと思うんですけど,これは余り現実的ではなくて,先ほどこれも大沢委員が御発言されたように,ICTを使って,教育資源に関しては,いろいろな法科大学院の定評がある,憲法であれば土井教授の講義を,ちょっと冗談も言わないと……,冗談ではなくて,それは本当に……,語弊がありましたが,大変優れた土井教授の講義を未修者にICTで聞かせるというようなことも行われていいのだろうと思います。
この場合,要するに拠点化というのは,ICTを使った教育などをうまくコーディネートするような幹事校みたいな形になるんだろうと思うんですね。そういうやり方もあるのだろうと思っていますので,是非とも拠点化の話は検討していただきたいと思います。本日添付されている加算プログラムのところをICTで調べますと,非常に多くの大学が既にICTを実施していて,経験もございますので,ICTの活用の在り方については本格的に検討していただく必要性があると思います。大沢委員がおっしゃった通信制大学院というのも非常に魅力的だろうと思っております。これが1点です。
先を急ぎますと,1年次修了終了時の質担保の在り方についてですが,土井委員は共通到達度確認試験というのを大いに使うべきだということをおっしゃって,それはそのとおりだと思うんですが,質担保の仕方は,点によるものもあればプロセスによるものもありまして,先生方,今,開いていらっしゃると思うんですが,298ページから299ページの調査研究を見ますと,299なんですが,法学未修者教育の改善方策で様々なことが書いてあります。
ちょっと時間もないのであれですけど,例えば入学直後のフォローが大切だと。創価大学ではやっているんですけど,入学前にきちっとした教育をやるとか,それから,カリキュラムは科目間の連携をきちっとするとか,そういうことが書いてあります。それから,正課外のサポートをきちっとすべきだと。
こういうものは当然,質保証につながっているわけですし,それから大沢委員が,これまで我々中教審は,未修者にとって希望のある政策を示してこなかったと。それはそのとおりで,共通到達度確認試験だけでは負担だけですから,こういう教育をきちっとやれるのだということも,我々は共有して,発信していかなければならないと思います。
さらに,必ずしも1年次の時点の質保証の問題ではありませんが,先ほど土井委員がおっしゃったように,未修者と既修者は異なった成長曲線を描くというのが経験的に知られております。そのことを考えますと,必要な学生は1年次の学びをじっくりやるというような選択肢もあっていい。つまりこれは,長期履修という制度についてもじっくり検討するべきで,例えばこれも委託調査報告書に書いてあることなんですけれども,個々の学生に応じた柔軟なメニューを提供するようにするということと奨学金制度の運用をきちっとやっていくというようなことが課題としてあるだろうと思っています。これが質保証の観点です。
長くなって恐縮ですが,最後に,これを言わないと帰れないので,まず,共通到達度確認試験管理委員会委員長として,お礼を申し上げます。無事,先般の1月12日の共通到達度確認試験は大過なく実施されることができました。これは実施に当たった法科大学院の皆様,それから,実務を取り仕切ってくれた商事法務研究会の方々など,関係者の皆様の御努力のたまものだと思っています。適切ではないかもしれませんが,この場をかりて御礼を申し上げたいと思います。
それで幾つか申し上げますと,先ほど土井委員の発言にも出てきたんですが,しかも,推進会議決定にも入っているということをまたリマインドしたのですが,既修コース入学者にもこの試験を導入するということも考えていただきたいと思います。これは質保証の観点もさることながら,土井委員もおっしゃったんですが,これは財政基盤の確立という観点からいっても必要なことだろうと思っております,受験者が増えますので。
ただ,共通到達度確認試験というのは,現状では非常に基礎的なところにとどまっていて,それを全部の既修入学者に受けさせていいのかどうかというところなども,検討課題としては残りますので,いろいろ検討しなければならないことはあるのですが,既修入学者,予定者にも受けさせるということも,テーマとして考えていただきたいと思います。
土井委員が頭出しでおっしゃったことですが,共通到達度確認試験の財政上の問題は,どうしてもここで申し上げておかなければいけません。今回,第1回は予想を上回る受験者がありました。それから,各会員校の御負担により,今年度の収支は幸い黒字でございました。しかし,内実を申し上げれば,各科目の作題会議は必要最小限にしてもらっています。それと,あろうことか,遠距離で来なければいけない作題委員はできるだけ避けてほしいという要望をしております。それから,自分が関わっていることもあって言いにくいんですが,管理委員会は,全て会議は手弁当でございます。待機も全て手弁当でございます。自分が関わっているので言いにくいんですけど,こういう無理な体制,あるいはボランティアに依存する体制というのは,継続性がありませんので,これを是非とも解消していただかなければいけないと思います。
その一つの方策として,既修入学予定者に受けてもらうというのがありますが,これはいろいろ問題がありますので,方策としてはどういう手が打てるかということで,実は試験実施費用の最大のものは作題費用なんです。問題作成の費用が極めて多くを占めます。これをどうするかということを考える必要性があって,これは一つのアイデアなんですけれども,既に先生方御承知のように,法学の能力を測る民間の試験が,既に法科大学院教員の協力を,法学部の先生ももちろん関わって,長年実績を積み,信頼度のある試験が既に行われております。この問題を何らかの形で利用できないかということを考えていただけないかと思っております。
もし,そのような方向で検討いただくか,そのような方向でいくということになるのであれば,準備期間が必要ですので,そういう決定はできるだけ早くしていただければと思います。といいますのは,一例を挙げますと,最近,民間の試験を利用することについてやや,民間試験が全て悪いわけではないので,これは絶対そうですので,それは物によるのでありまして,民間試験を活用する,問題を活用する,これはストックを増やすという意味ですけれども,のであれば,いろいろ手順が必要です。信頼度をチェックするために,例えば来年度から,民間試験の問題を共通到達度確認試験の中に入れ込ませてパフォーマンスを測るというのが必要になりますので,もし民間試験の活用ということを考えるのであれば,早い段階で決めていただかないと,導入はそう簡単にはできないということです。
長くなりましたけれども,私の意見は以上でございます。

【山本座長】 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
どうぞ,松下委員。

【松下座長代理】 時間も限られていますので,1点だけ申し上げます。
今日の資料5-2,推進会議決定についてです。先ほど,試行対象者を未修者から既修者に徐々に拡大する点について言及がございましたけれども,その次の段落では,将来的に司法試験短答式試験を免除することを想定するという記述がございます。こういう決定がされたこと自体,もちろん,動かし難い事態なわけですけれども,しかし,将来的にどのぐらいのスパンで見るかというのは多分,いろいろなニュアンスがあるんだろうと思います。
私の意見としては,当面はまず試験それ自体を磨くことに集中する。短答式の免除を直接目指しながら何かするというのではなくて,試験それ自体のクオリティーを上げていくということにしばらくは専念し,そのうち将来的に何か見えてきたら,そのとき考えるということでもよろしいのではないかという気がいたします。短答免除が至上命題で物事が突っ走ることがないようにということを,是非強く申し上げたいと思います。
以上です。

【山本座長】 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
どうぞ。酒井委員。

【酒井委員】 私からは1点,補助教員の拡充,正規カリキュラムとの連動ですとか,正規教員との連携強化という点をアイデアとして提案させていただきたいと思います。
といいますのも,未修者というのは様々な属性,バックグラウンドがありますので,学習特性も千差万別で,学習曲線も様々というところがありまして,正規カリキュラムですとかハード面を整備するということで学力を向上させていくということに,やはり一定の限界があると言わざるを得ないのではないかということを強く感じています。
個別的な,本当に個人の特性に合わせたサポートというものをいかに充実させていけるかというのが,最後のサポートの必要な範囲かなという気がしておりまして,それに関して,全て正規教員の先生方になっていただくということには,非常に負担が重く,限界もあるというところが実情かと思います。既に補助教員を多数活用しておられるロースクールもあると思いますし,さらに,先ほど加算プログラムに関する御報告で,補助教員を活用するプログラムを提案して,既に運用されているロースクールがあるという御報告もありましたので,そちらとの兼ね合いも検討しながら,より有機的に成果と連動させていく,情報共有をしていくというような観点をも踏まえながら,効果的に補助教員を使っていただくというような形での改革を是非視野に入れていただきたいと考えております。
また,先ほど大貫委員からも,拠点校化というようなお話もあったんですけれども,私も,極端な拠点校化というイメージはなかなか抱きにくいなと思っているところですが,そのような加算で既にいろいろな優れた取組をしているロースクールの中から,補助教員も含め,例えば何校かをピックアップして,未修者教育の報告書にもありましたような取組と,全てをパッケージで,これが未修者教育の一つの理想形だというようなことを追求するような,重点校を幾つか設定をして,そこで研究を深めていって,その成果を共有して,かつ,その成果に関してはポジティブな情報発信ができるような検証を行っていくというような体制を一つ改革として作っていくことができれば,意義が大きいのではないかなと考えるところです。
以上です。

【山本座長】 ありがとうございました。
そろそろ予定された時間が来ているんですが,もし御発言の予定のあるというか,したいという方がおられれば,今の段階でちょっと挙手をお願いできますか。
よろしいですか。それでは,最後になると思いますが,加賀委員,お願いします。

【加賀委員】 すぐ終わると思います。未修教育については,298ページからの4ページ分ですよね。椛嶋先生がやっていただいた調査研究で,私は尽きているような気がしているんです。アイデアと委員長がおっしゃったんですけれども,この中に幾つものアイデアが含まれておりますので,ここをよく精査しながら,今後の検討課題にした方がいいと思っています。
もう1点は質問なんですけれども,これは私の理解が間違っていたら教えていただきたいんですけれども,もし拠点化がなされたとすると,拠点化にならない法科大学院は,既修教育だけをやることになるわけですよね。そうなると,292ページで,大前提として,どだい法科大学院というのは3年教育で成り立っているんだということが説明されましたけれども,ここを変えることになるんでしょうか。拠点校だけがこの大前提で,ほかは違うという,制度が変わるということもあり得るんでしょうかね。これは質問です。

【山本座長】 今の御質問ですが,今後,拠点化を含めて,もう少し深めて議論をしていく予定ですけれども,今の段階で,もし事務局から何か,今の御質問に対してお答えがあれば。

【西川専門職大学院室長】 現には,資料4-2のような制度になっているということ以上のことはございませんので,今後の議論の中で,こういったそもそものことを見直す必要があるか,なしかも含めて,徹底的に御議論いただければと,この際,考えております。

【山本座長】 恐らくその点も含めて,今後の議論ということになろうかと思います。

【加賀委員】 はい。

【山本座長】 ありがとうございました。先ほど申し上げたとおり,未修者教育は今期の特別委員会の最大の課題であると私自身も認識をしておりますので,来年度に掛けて丁寧に,あるいは集中的に議論をしていくことにしたいと思いますけれども,まずは,本日いろいろ御意見を頂きました,今あった拠点化のお話とかICTの活用の話,あるいは未修者の類型ごと,社会人のお話を大沢委員などからも,夜間のお話もありました。それから,共通到達度確認試験については,具体的な問題も含めて,幾つかの御指摘があったところであります。
そこで,このようなテーマごとに議論を深められるように,問題点ごとに事務局に整理をしていただくとともに,共通到達度確認試験については,もう少し具体的なデータといいますか,土井委員からは医学との話がありましたし,大貫委員からは民間試験の活用のようなお話もありましたけれども,そのようなものの活用の状況でありますとか,これまでの試験結果についての統計的な分析結果等,議論のベースとなるようなデータがもう少し必要なのではないかという印象を受けましたので,その点も事務局の方で整理をいただければと思います。
これでおおむね,今日予定された御議論を頂きましたが,ほかに,この際,各委員から何かございましたらと思いますが。
どうぞ,丸山委員。

【丸山委員】 中教審の直接のテーマではないんですけれども,司法試験の実施時期に関する現在の議論の状況について,少しお時間を頂いて御報告したいと思います。
昨年6月,この委員会におきまして前任の福原委員から,在学中受験資格の導入を前提とした実施時期を含む司法試験の在り方については,司法試験委員会と連携をしたしかるべき会議体を設置して,必要な検討を行っていく予定と御説明しておりましたので,その後の検討状況について御報告いたします。
昨年7月に開催されました司法試験委員会におきまして,改正法施行後の司法試験の実施時期の検討などを行うために,司法試験委員会を補佐する者ということで,幹事10名を置くことが決定されました。その後,幹事による幹事会が複数回開催され,司法試験の実施時期について検討,議論が行われております。その検討状況につきましては適時,司法試験委員会に報告をされ,委員会においても,その報告結果を基に検討,議論が行われてきました。詳細については,司法試験委員会会議の議事要旨として法務省のホームページから御覧いただけますが,概要について御報告をいたします。
幹事会におきましては,各幹事が把握している意見,アンケート結果等を基に,検討対象となる候補につきまして五つに整理をしました。候補は,まず5月,それから,7月,8月を中心としてその前後を含む夏頃,あるいは,10月又は11月,更に12月末頃,そして,2月又は3月という,五つでございます。
この実施時期を検討する際の主な考慮要素としましても三つございまして,法科大学院教育と司法試験との連携,司法試験の実施に関わる者の負担を踏まえた無理のない試験実施,時間的・経済的負担を軽減するという今回の法改正の趣旨でございます。複数回にわたる意見交換,協議の結果,幹事会としましては,7月及び8月を中心として,その前後を含む夏頃説を採用すべきとの結論で意見が一致しまして,幹事会の報告を受けた司法試験委員会においても,協議の結果,幹事会の結論を支持することとされました。
引き続き司法試験委員会におきまして,更に実施時期を絞るための検討を行っているところですので,また適時,検討状況などについては御報告いたします。
なお,昨年6月のこの委員会におきまして,在学中受験資格を取得するために修得が必要となる所定科目単位の具体的内容,修得時期について御質問を頂いておりましたので,現在の状況を踏まえて再度,この点も御説明をいたします。
これも以前,御説明をいたしましたが,在学中受験資格の取得に当たって修得が必要となる所定科目単位の詳細につきましては,専門職大学院設置基準の改正内容などを踏まえて,今後,法務省令によって定めることになります。そして,所定科目単位といいますのは,裁判官,検察官,弁護士となろうとする者に必要な学識及びその応用能力を有するかどうかを司法試験により判定するために必要なものでありますので,基本的には司法試験の試験科目に対応する科目の単位とする方向で考えております。
具体的な単位数につきましては,在学中受験資格の導入後も,飽くまで法科大学院修了資格が原則的な受験資格であることからすれば,法科大学院課程の修了要件として定められた単位数と基本的に同一となるものと考えております。すなわち,今般の専門職大学院設置基準の改正により,法科大学院課程の修了要件がより具体的に定められましたことを踏まえて,法律基本科目については基礎科目30単位以上,応用科目18単位以上,選択科目については4単位以上とすることが考えられます。
その上で,所定科目単位の修得時期につきましては,司法試験の実施時期が夏頃となるということを前提とした場合,在学中受験資格取得に係る要件充足の確認手続のために要する期間などを考慮すると,法科大学院3年次の学生が在学中受験をする場合には,法科大学院2年次の修了終了時までの修得単位が基準となり,所定科目単位は2年次修了終了時までに全て修了,修得しておく,そういう必要があるということになります。
長くなりましたが,報告は以上です。

【山本座長】 ありがとうございます。よろしいでしょうか。ほかには特段,あれでしょうか。
それでは,事務局の方から,次回の日程等について。

【西川専門職大学院室長】 本日も熱心な御議論を頂きましてありがとうございました。
最後に,次回の日程でございますけれども,調整させていただきまして,3月13日の金曜日,15時から17時を予定しております。先生方には改めて御案内申し上げます。
また,本日の資料をドッチファイルにとじておりまして,大変大部にわたっておりますので,郵送させていただきます。御希望の方は,お手元にあります附箋にその旨を書いて,資料に張ってお残しいただければと思いますので,よろしくお願いいたします。
以上でございます。

【山本座長】 それでは,本日の会議を終了したいと思います。時間を超過してしまい申し訳ありませんでしたが,熱心な御議論,ありがとうございました。

―― 了 ――



 

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