法科大学院等特別委員会(第94回)議事録

1.日時

令和元年9月10日(火曜日)10時00分~12時00分

2.議題

  1. 法曹養成連携協定の文部科学大臣の認定に関する省令、専門職大学院設置基準及び認証評価に関する省令について
  2. 法学未修者教育の充実について

3.議事録


【山本座長】 おはようございます。それでは定刻前ではありますけれども,委員の皆様既におそろいですので,これより第94回中央教育審議会大学分科会法科大学院等特別委員会を開催いたします。
本日は前回の議論に引き続いて,法科大学院関連法の改正を踏まえた省令の改正等について御議論を頂きたいと思います。この点につきましては本日,本特別委員会として一定の合意を形成できればと考えております。本日も活発な御議論をよろしくお願いいたします。
初めに,第10期委員として本日初めて御出席の委員について,事務局より御紹介をお願いいたします。

【西川専門職大学院室長】 本日第10期となりまして初めて御出席いただいておりますのは,水島委員でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【水島委員】 水島でございます。よろしくお願いします。

【西川専門職大学院室長】 以上でございます。

【山本座長】 どうかよろしくお願いをいたします。
続いて,事務局から配付資料の確認をお願いします。

【西川専門職大学院室長】 本日お手元にお配りしております議事次第の4,配付資料にありますように,資料1-1から資料4,参考資料として1と2をお配りしております。合わせまして,机上資料として大学設置審査要覧を置かせていただいております。
以上でございます。

【山本座長】 それでは,早速議事に入りたいと思います。まず法曹養成連携協定の文部科学大臣の認定に関する省令,専門職大学院設置基準及び認証評価に関する省令につきまして,事務局から御説明をお願いいたします。

【西川専門職大学院室長】 それでは私から省令関係の資料として,まずお手元の資料1-1から資料1-3について御説明させていただきたいと思います。まず,資料1-1でございますけれども,こちらは前回御審議,御了承いただきました省令概要を条文化したものでございます。三つの省令の案となっております。
続いて資料1-2,1枚紙ですけれども,こちらは8月9日から9月7日に掛けて実施した,この省令概要のパブリックコメントの結果でございます。またその後ろの資料1-3は,今回の改正法及び一連の関連する政省令についての留意事項についてと書いておりますが,こちらは最終的には省令が固まりました後の大学等向けの施行通知としてお示ししたいと考えている内容をまとめたものでございます。
それでは初めに,資料1-2によりパブリックコメントの結果をまず御紹介させていただきたいと思います。御覧いただきますように,総数として28件の意見を頂いております。主な意見を御紹介させていただきます。まず全体を通じて,改革の着実な実施に期待をするといった声を頂いております。また,連携協定の大臣認定に関しては,学部段階である法曹コースにおきまして法科大学院と連携した措置とは具体的に何か。また,その内容についての御意見などを頂いております。設置基準関係につきましては,法律基本科目の48単位以上の修了要件に関して,その科目ごとの内訳を示すべきではないかといった御意見を頂いております。また最後ですけれども,専門科目の開設につきまして,いつまでに対応が必要なのか,といった御質問も頂いております。これらの御意見につきましては主に追って資料1-3の留意事項の中で対応したいと考えておりますので,その点,それぞれ御紹介をさせていただきたいと思っております。
それでは,続きまして資料1-1,条文案について御説明をさせていただきたいのですが,この三つの省令については,基本的には御了承を既に頂いております省令概要,これを本日の参考資料1としてお配りしております。前回の資料をそのまま,これがすなわちパブリックコメントに係っている内容でございますが,この内容を基本的にはそのまま条文に規定をしているという作りになっておりますが,それぞれ御確認をお願いいたします。
初めに,概要の1ページの1に当たります一つ目の省令,連携協定に関する大臣認定に関する省令の関係でございますけれども,資料1-1の条文におきましては2ページから3ページに掛けまして,具体的には第2条と第3条でそれぞれ概要と同じ内容を規定させていただいております。ここで関連する留意事項についてあわせて,行ったり来たりとなりまして恐縮ですが,御紹介させていただきたいと思います。
資料1-3の中で,この新省令に関する事項として幾つか記載をしておりますが,まずは資料1-3の1ページ目,1の(1)のところでございます。こちらに概要で言うところの1の(1)の関連で,法曹コースからの特別選抜による入学定員については,法科大学院の入学定員の2分の1を超えないものとするという省令に関連して,従来から御議論を頂いておりましたように,法曹コースにおける成績に基づく5年一貫型教育選抜を通じての入学者については,入学定員の4分の1を超えないことを原則とする。これも従来から基本的な考え方としておまとめいただいていた内容ですけれども,通知でお示しできるようにこのように記載をしたいと考えております。
続きまして,一つ飛ばしていただきまして資料1-3の(3)でございます。これはパブコメの御意見の対応の一つにもなりますけれども,連携法科大学院における教育との円滑な接続を図るための法曹コースに関する措置に関してでございます。この具体的な内容としてこういった例示をさせていただいてはどうかと考えております。具体的には,「例えば,」というところでマル1番,教材の統一ですとか,少人数,双方向又は多方向で行う科目の開設であったり,法科大学院における導入科目の開設でありましたり,またマル3番として書いております,科目等履修を応用科目についてできるようにする。あるいは,共同開講科目として応用科目を履修できる。これはあくまで例示でございますけれども,こういったようなことで法科大学院として法曹コースの教育に関して必要な協力の措置を講じていただくということが考えられるということで,例示をさせていただいております。
それから,資料3,1枚おめくりいただきまして2ページの(4)のところでございます。早期卒業の関係で,省令の方では早期卒業の認定基準を整理するといったことについて書いておりますけれども,その関係で留意事項という形でこのようにお示ししようと思っております。まず,少し長いのですけれども,前段の方は基本的な考え方の確認でございますが,早期卒業の要件そのものに関して,今回,制度変更はない訳でございますので,学校教育法の89条に定めがありますけれども,基本的な考え方としては単位を優秀な成績で修得したと認める場合ということに変わりはないということでございます。
したがって,第一段落の中段のところに書いてありますように,連携法曹基礎課程の創設によって学習期間の短縮が図られることになる訳ですけれども,各大学の学部段階における法学教育の質の確保,向上に向けた更なる努力であったり,その単位の実質化及び学修成果の可視化が求められるものであるということをまず書かせていただいた上で,「一方で,」とつないでおりますけれども,一方で今回の制度改革におきましては,この学部の早期卒業を標準的な運用とするということを想定している訳でございます。連携法曹基礎課程,すなわち法曹コースにおいては厳格な成績評価基準,修了認定基準を設けて法学既修者として学ぶ前提としてふさわしい水準の到達目標を設定していただくことになっておりますから,これを総じて十分達成したとして各大学の判断によって,その法曹コースを修了していることをもって単位を優秀な成績で修得したと認定して早期卒業を認めるといった運用は可能であるということについて補足説明をさせていただいております。
最後に,前回も御議論いただきましたように,法科大学院の特別選抜の合否を早期卒業の可否を判断される場合に,判断材料の一つとして総合的判断の中で取り扱っていただくことについては差し支えないという旨も,併せて通知の中で書かせていただきたいと考えております。この新省令に関することにつきましては簡単ですが以上でございます。
続きまして,設置基準の関係の御説明をさせていただきたいと思います。こちらは,参考資料1の前回資料でいいますと2ページから3ページに掛けて,2の(1)から(10)として御了承いただいている部分でございます。こちらの内容に関して,条文では資料1-1の条文の中でいきますと,少しおめくりを頂きまして,8ページから条文が新旧対照表の形で載っております。こちらも基本的にはこの概要の(1)から(10)の内容を基本的にそのまま条文に盛り込んでいる訳でございますが,具体的に御確認いただきたいと思います。まず概要の(1)から(7)に当たる内容につきましては,条文の8ページ以降11ページまでに掛けてですが,まず第二十条からスタートいたしまして第二十条の二,第二十条の三,第二十条の七に掛けましてそれぞれ基本的に概要の内容をそのまま規定をさせていただいております。第二十条の七が11ページになりますけれども,ここの公表事項のところにつきましては,一号から五号までとなっております。一方で概要の中でもともとお示ししておりましたのが,更に2項目加わって7項目あった訳でございますけれども,概要でいうところの(7)のマル6とマル7につきましては,これは実は施行期日が異なってくる関係で条文では少し離れたところに書いております。御紹介させていただきますが,まずマル6に当たるところは18ページの第二十条の七の六号でございます。これが法曹コースからの入学者の全体に占める割合や合格率といった公表事項のことでございます。
また,概要の7番に書いておりました在学中受験資格の関係は,22ページに飛びまして,第二十条の七の七号という形で記載をさせていただいております。このように飛んでおりますのは,初めに一連御紹介した第二十条からスタートする最初のかたまりが令和2年度からの施行となりますのに対して,マル6番に当たります18ページの部分は令和4年度施行,そして最後に御紹介した22ページの七号のところは令和5年度からそれぞれ適用になるという関係で,技術的な整理の中でこのように飛び飛びの記述となってございます。
続けて参考資料1の概要でいうところの(8)と(9)についてでございますけれども,この内容につきましては条文でいいますと,資料1-1でいいますと18ページの,第二十条の八,履修科目の登録の上限のところと,それに続きます第二十二条,入学前既習得単位の認定の上限を引き上げる。更には次のページ,19ページにまいりまして第二十五条のところは既修者のことを書いております。既修者認定に関しても同様に,30単位を46単位に引き上げるという規定をこちらの方で書かせていただいております。ここはちなみに場所として,それぞれ法曹コースから初めての進学者が出ます令和4年度からの適用となる部分でございます。
それから概要の中で(10)としてお示しをしておりました修了要件となる単位数,これにつきましては条文では14ページの第二十三条という形で規定をさせていただいております。これも内容としては基本的に概要をそのまま入れておりますけれども,若干,書きぶりとして変えておりますので御確認いただきたいと思いますが,概要の方では最後のページのところで,「基礎科目は全て必修(30単位を標準として想定)」としていたところでございますけれども,条文上では修了要件として全てという定め方をするのではなく,まず14ページの条文の方で,授業科目のところで第二十条の三というのがありますが,こちらの方でまず下線を引いておりますところですけれども,法科大学院は基礎科目の30単位以上を必修として定めるものとするとしました上で,次のページの第二十三条の三のイにおきまして,基礎科目は30単位以上としまして,かつ,かっこ書きで法科大学院が定める履修科目の単位を含む,ということにして全ての必修の基礎科目が含まれるように,最低が30単位以上,ただし大学ごとに,基礎科目について30単位を超えて必修とする場合にはそれを含む,といった書き方にしております。
飛び飛びで恐縮でございましたが,以上が条文の確認でございます。今御説明した設置基準の関連で,今度は留意事項を御説明させていただきたいと思います。お手元にもう一度資料1-3を御用意いただきまして,2ページの下の方,2番,設置基準の関係でございます。主なところを御説明いたします。まず2の(1)といたしまして,条文では第二十条に定めました今回の連携法の改正を受けましての入学者選抜の在り方を規定しているところの関連で,地方大学枠,後で地方大学の定義も御審議いただきたいと思いますが,地方大学枠を定められるという方向性を頂いておりますけれども,この地方大学枠についても,入学者選抜において地方大学枠だからといって適性及び能力を有していない場合も入学を認めていい訳ではないということについて確認的に書かせていただいてございます。
それから少し飛びまして,3ページを御覧いただきまして,(5)の授業の方法,論述の能力の関係の部分でございます。ここも前回も先生方に御議論を頂きまして,それも踏まえて少し補足の説明が必要であろうということで,こう書かせていただいております。第二十四条に当たりますが,「論述の能力その他の専門的学識の応用能力を涵養するために必要な方法により授業を行うよう適切にしなければならない」というのが省令の書き方ですけれども,これに関しては多様な方法が考えられるので,各法科大学院の創意工夫によって多様に行われるべきであるという前提をまず確認した上で,第2段落ですけれども,平成26年の高等教育局長通知を改めて引用させていただいております。ポイントとして下から5行目ぐらいになりますが,司法試験の問題やそれに類する形式の事例教材が教材の一つとして使われることをもって直ちに受験指導に偏った指導であり,すなわち不適切ではないとの方向性を通知で示していたところです。この方向性は依然として変わるものではないということで,更に加えて,「例えば,」という形で,論述式の答案を教材として論述の能力を向上させるための指導を行われることなどについては,次のページにまいりまして,むしろ積極的に行われるべきである。同様に司法試験の問題やそれに類する形式の事案が教材に使われることのみをもって受験指導に偏った指導であると判断されることは適当ではなく,むしろ論述の能力を涵養する上で適切な教材となり得るものであれば司法試験の問題であれ,それに類するものであれ,積極的に活用されるべきである。
そして,次の段落ですけれども,こういったことを考えた上で認証評価においても特定の授業の形式など,特定の工夫自体が目的化して特定の方法を押し付けるものとなってはならないということについて,念のため留意事項としてお示しをさせていただいてはどうかと思っております。
続く(6)でございますけれども,これは公表事項の関係でございます。前回,委員からも御指摘を頂きまして,数字が独り歩きをしてその意味するところが必ずしも伝わらないケースもあるのではないかといったような御指摘に対応する部分として,公表する数字につきましては必要に応じ,その意味するところに注釈を付記していただくなど,必要に応じてですけれども,意味を分かりやすく伝えていただくことを検討していただいてはどうかと書かせていただきました。
続きまして,一つ飛ばしまして(8)に参らせていただきます。公表事項の続きで六号に書いておりました法曹コースからの入学者の割合や合格率といったことを公表事項に入れている関係で,前回御議論で,ここで言う法曹コースというのは協定先のものだけを言うのか,あるいは開放型等を通じて入ってくる協定先ではない法曹コースも含めるのか,はっきりさせた方がいいということでございました。ここについては趣旨を考えますと,協定を結んでの3プラス2を標準的とする制度の一つの成果を見ていくという観点からも,協定先のみに限ってまず公表していただくのが基本形であろうと。協定先でないものは含まないということが,その数字を出していただくことが基本であろうと考えております。併せまして最後の行に書いておりますのは,その中でも3年で卒業ないし飛び入学をして,大学院に進学した方の割合というのを出していただくという趣旨ですということを書かせていただいております。
続く(9)も定義の確認でございまして,公表事項のマル7番,最後に当たります在学中受験資格,これについても受験資格という資格に着目するとその捉え方が様々にある訳だけれども,これはどの数字を指しているのかということ。これは一義的には,在学中にストレートでと言いますか留年をせずに,かつ法科大学院に在籍をした中で受験をした方を指すということが一義的に必要ではないかと考えております。ただし,その際,併せて在学中受験資格によって,例えばもう一度受験された方,留年をした方といった方の数字も併せて公表することも考えられる,あるいは望ましいというふうにも書かせていただいております。
続く(10)でございますけれども,重ねてこの関連で,在学中受験資格による受験者数ですとか合格者数というのを数として出した場合に,10人とか20人といった数字が出た時に,それが最終学年の中のどれぐらいの割合がそうしたのかということについても,世の中に示す上では分かりやすい公表の仕方として必要ではないかという御意見がありましたので,それを踏まえまして,最終年次,既修でいうと2年目の全体の学生の中でどれぐらいの割合の人が在学中受験をされたのかといった割合についても,併せて公表していただくことが望ましいということを書いております。
続いて一つ飛ばしまして(12)を御覧いただきたいと思います。こちらは入学前の既修得単位,それから既修者認定の単位の上限を引き上げるというのを今回省令で書かせていただくということですが,その関連で前回,委員の土井先生の方からもこれは上限を引き上げるといっても,既修者認定に関しては基本的に基礎的な学識の部分を指している訳だから,どの科目であっても認めていいということではないのではないかということで御議論がありまして,前回このようにしましょうというふうにまとめていただいたと理解しております内容を,確認のため書かせていただきました。具体的には,既修者認定に関しましてはマル1番に書いていますように法律基本科目の基礎科目及び,基礎法学・隣接科目までを認定することができる。一方で入学前の既習得単位といたしましては,それらに加えて応用科目であるとか,展開・先端科目のうちの選択科目等についても前倒しで単位認定をできるという理解でよろしいのではないかと。で,最後に書いておりますのは,さはさりながら,いろいろと先取りで大学院に入る前に単位認定できるとはいいながらも,例えば法律実務基礎科目といったように法科大学院ならではの教育内容に関して,これは大学院でこそ学ばれるべきという科目もあるという考え方も頂きましたので,それについても併せて念のため書かせていただいております。
続いて(13)でございますけれども,こちらはパブコメの意見でもございましたし,前回委員からも御質問を頂きました,こういった課程の修了要件,単位数については何年の入学者から適用になるのかということをはっきりした方がいいということで,前回,実は概要として,全体として制度が令和2年からスタートというまとめた書きぶりにしておりましたが,先ほど条文の御紹介の中でも触れましたように,それぞれ適用年度が変わってくるべきであるというふうに整理をし直しました。その中で課程の修了要件につきましては,基本的に来年度からスタートする法曹コースから早期卒業等で既修者コースに進学する第1期生が令和4年度になるはずですので,その学年からスタートするという意味合いでそれと同じ学年に当たる未修者コースの令和3年度入学者から適用になるということでありますから,各法科大学院におかれましては関連の規定を令和3年の未修者に間に合うように御準備いただきたいということを書かせていただいてございます。
続けて,6ページ,(14)を御覧ください。こちらは同じく課程の修了要件の関連で,パブリックコメントの中でも48単位といった時にその内訳を全く示されていないので,それをどう考えているのかといった御質問もございました。これの関連で,結論としてはそれぞれ何単位というお示しはしない訳ですけれども,書いておりますのは公法,民事,刑事といった科目をそれぞれに偏りなく履修することが当然でありますけれども必要であるということ。ただ一方で,それぞれを何単位にするかということについては一律ではなく,各法科大学院ごとに決めていただくべきことであると考えておりまして,分類ごとに何単位以上といったようなことを例えば認証評価でも厳密に求めることは不要であるということを確認的に書かせていただいております。
続いて(15)ですけれども,これは前回,公表事項の一つとして案としては入れておりました,様々な者が3年次の後期に混在するという問題。より正確に言いますと在学中受験の時期によりますけれども,その前後でいろいろなステータスの者が混在するということに対しての対応が必要ということについては,これは公表事項ではなく留意事項,通知の中で示すことでいいのではないかというような御議論を頂きましたので,それをそのようにこちらに書かせていただいているということでございます。
以上が設置基準の関係でございます。
最後に,もう一つの省令があります。参考資料1の前回資料でいきますと5ページの3番,認証評価に関連する細目省令というものでございます。こちらが条文でまいりますと,資料1-1の26ページから27ページ,最後の部分で新旧の形で載せさせていただいております。内容は網羅的には御紹介いたしません。といいますのは,基本的には設置基準の内容をそのまま当てはめる形で規定をし直しているということでございますが,幾つか御説明をいたします。例えば,第四条の一号の「ニ」のところでございます。教育上の目的を達成するために必要な授業科目の開設その他の段階的かつ体系的な教育課程の編成といったことでありますとか,飛びまして「ヘ」のところに,今回の論述の能力も含めましての連携法に掲げる学識及び能力並びに素養を涵養するための授業の方法に関して。それから,最後の「チ」のところは情報の公表という形で,従来は情報提供ということでしたけれども,積極的な公表という形で書いております。また,次のページの「ル」を御覧いただきますと,課程の修了要件に関することといって,具体的には先ほどの修了要件単位数を指しているといったような内容でございます。
細目省令につきましては,以上とさせていただきたいと思います。施行期日は従来お話ししているとおり令和4年度ということで考えております。
それから,最後に触れさせていただきたいのが資料1-3の省令関連ではないのですが,一番後ろ8ページの,5その他というところを御覧いただきまして,1番目に定員管理関係とあります。定員管理の関連につきましては,政令と告示により収容定員の上限を今年度の定員総数とするという予定で皆様御案内のとおりでございますけれども,これは制度としましては仮にですけれども,いずれかの大学院で定員が減ることがあった場合に,その分をプラスマイナスで増加することも制度上可能ということでございます。これについて,もし増加するという場合が生じた場合に増加することができるのは,司法試験の合格率が高く推移している場合,その他高い実績を示している場合に限定するべきではないかと考えておりまして,そのようなことをこちらの方にも書かせていただいてございます。ということだけ御認識をいただければと思ってございます。
以上が駆け足になりましたけれども,省令の条文案,それからその補足であります留意事項の御説明でございます。最後に念のため,今後の公布に向けましたプロセスの中で,この条文の細かな書きぶりについて一部,法技術的な修正があり得るということをあらかじめ御了承をいただけたらと思います。
以上が資料1-1から資料1-3の関連でございまして,あと少しだけお付き合いいただきたいのですが,資料2-1から資料2-3までも簡単に触れさせていただきます。これに加えまして資料2-2が前回お示ししておりましたガイドライン,こちらにつきましては前回の内容をベースに先ほどの従来からの条文,それから留意事項の内容との整合を取りまして,更には後ろの方にはQ&Aが付いておりますが,Q&Aの中にもかなり先ほどの通知などと重複があるものがございましたので,この際重複を削らせていただいて,少しスリム化した内容となってございます。
この中で一点だけ本日御確認,御審議いただきたいのが,地方大学の定義の部分でございます。それは資料2-2として別の資料で抜粋をしておりますので,資料2-2の方で御説明させていただきたいと思います。ガイドラインの中でも前回御紹介しましたが,例えばの考え方として,七大都市圏という考え方をお示ししておりました。七大都市圏以外の大学が地方大学という基本的な考え方をお示ししておりましたが,これについてその後,文科省としてもいろいろな御意見を伺いながら検討をさせていただきまして,結論としては少し見直しをして,このようにしてはどうかと考えております。すなわち1ページ目の下でございますけれども,直近の国勢調査,平成27年における大都市圏というのが実は11ございまして,この11の大都市圏以外の地域に設置されている大学というのを基本的な定義とし,また大都市圏であっても当該都市圏に法科大学院が設置されていない地域については地方と考えるということでどうかという考え方でございまして,それが具体には2ページ目でございます。
11の大都市圏というのが国勢調査で定義付けられておりまして,御覧の関東大都市圏以下,新潟までを含む11の大都市圏でございます。具体の定義は上の四角囲みにありますけれども,基本的には政令市を中核とする大都市圏というような定義でございまして,ここで従来7と言っておりますのは余り明確な根拠のある線の引き方ではありませんでした。一方で11というのは国勢調査で定義付けられているものですので,この11の大都市圏以外を地方大学と呼ぶことにしますと,次の3ページを御覧いただきまして,まず3の(1)の「その他の地域」というのがそもそも11の大都市圏に当てはまらない。中でも法曹コースを現在検討されていると伺っております大学の名称で言いますと,金沢大学,信州大学,鹿児島大学などが該当し得ると。加えまして,大都市圏であってもその県内にロースクールのない大都市圏については地方とみなすという考え方を取った場合には,その上の熊本大学と新潟大学につきましても地方大学の定義に当てはまるという一定の整理ができると考えております。ちなみに前回との違いで申し上げますと,七大都市圏を11に広げましたものですから,一番下の広島,岡山がこちらの定義でいきますと都市の方に入ってきますので地方からは外れるという整理になりますが,こういった考え方について本日,お決めいただければと思っております。
なお,後ろにいろいろ地図をお付けしておりますのが大都市圏の具体的な定義といいますか,範囲でございます。色が付いている部分が濃いところと薄いところとありますけれども,薄いところまでを含めて大都市圏と称されているということでございます。こちらの関連が以上でございます。
最後に,資料3の1枚紙全体のスケジュールまで申し上げて,私からの説明を終わりたいと思いますが,本日パブリックコメントも含めて最終的な条文の御審議を頂きました後に,仮にお認めいただきましたら9月18日の大学分科会にお諮りをさせていただきまして,最終的な御審議を頂き,手続を経て10月中に省令公布,そして下にありますように施行通知・ガイドラインの最終版の発出をさせていただいて,以下御覧のような前回お示しした日程で進めてまいりたいと考えているところでございます。
非常に行ったり来たりの説明になりまして恐縮でございますが,私からの説明は以上でございまして,本日は繰り返しになりますけれども,資料1-1の内容についてこれでよろしいかということを御議論いただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【山本座長】 ありがとうございました。大変詳細に御説明を頂いたところでありますけれども,基本的には前回当委員会でお認めを頂いた改正概要案を条文に反映したということかと思います。お気付きの点,御質問,御意見,いずれも結構でございますので,お出しをいただければと思います。どうぞ,有信委員。

【有信委員】 別に蒸し返すつもりはないのでけれども,留意事項のところの書き方をもう少し詳しく,今の説明で私が誤解しているかもしれませんが,早期卒業の認定を法科大学院の修了をもって早期卒業の認定をするという説明がありましたよね。この時に,例えば同じ大学から同じ大学に設置している法科大学院であれば教育の一貫性ということでそういうことも可能かもしれませんが,もし例えば違う大学の法科大学院に進学した場合に,どちらの大学がどういう形で早期卒業の認定をするかというのは,これはきちんと書いておかないとまずいような気がするのですね。つまり大学の卒業資格については基本的にその学部での判断が必要なので,その大学の学部が判断をするというふうにするのか,その際に法科大学院側とどういう形で折り合いをつけるのかというところ。ただ,この書き方だと,印象的には大学の学部そのものの教育プロセスが何となくないがしろにされているような気がするものですから,その点,少しお考えがあれば。

【山本座長】 事務局,いかがでしょう。

【西川専門職大学院室長】 失礼いたします。御質問ありがとうございます。早期卒業の制度は変更がないということでございますから,先生がおっしゃっていただいたように学部の方で判断をする。そしてその根拠としては優秀な成績ということでございますけれども,おっしゃっていただいたように異なる大学間で協定を結んで法曹コースと法科大学院を接続するという場合に,その協定の中身の中で法曹コースの設ける科目,それから成績認定の基準,修了認定の基準というのも大学院ときちんとそれぞれ個別の大学間のそれぞれの協定の中で結んでいただいて,この基準に基づいてそのコースを修了するのであれば,うちの法科大学院にとるに値するという内容の担保を協定の中でしていただいている前提の中で学部としての単位認定があり,それに基づく早期卒業の認定があると考えているところでございます。

【有信委員】 それで結構だと思うのですけれども,何というかこの辺,分かりにくいので,留意事項の説明であるとすればもう少し丁寧に書いておいた方がいいかと思いますので,よろしくお願いします。

【西川専門職大学院室長】 御指摘ありがとうございます。工夫させていただきたいと思います。

【山本座長】 お願いします。清原委員。

【清原委員】 ありがとうございます。この間丁寧に検討していただいた内容が説明されて,ありがとうございます。2点質問があります。
1点目は本日資料1-2にパブリックコメントの結果が紹介されました。大変重要な内容ですが,各大学関係者がそんなに提出されていなくて,28件というのは他の問題に比べたらそんなに多くはないのかと思ったのですが,内容としては大変重要なポイントが提起されていると思います。先ほど御説明の中でパブリックコメントの関係で幾つか御説明もありましたけれども,このパブリックコメントに寄せられました内容によって,これが9月7日が締切りなので,皆様のやっていらっしゃる作業と手続がパブリックコメントの内容が寄せられたのが同時進行だとは思うのですけれども,今後寄せられた御意見の中で特段今日御説明していただいたことに包含されないというか,検討しなければいけないようなことはなかったでしょうか。大体今日説明していただいたことで大丈夫ではないかと私は聞き取ったのですけれども,それでよろしいかどうかが1点です。
2点目は,前回地方大学の考え方について質問をさせていただいた立場としては,改めて国勢調査の大都市圏などについて確認をしていただいて,今回新しく分かりやすい考え方を示していただいたことに感謝いたします。先ほど詳細な御紹介はなかったのですが,資料1-3の留意事項の7ページ以降に地方大学についても説明をしていただいています。この内容については,法科大学院のない地方にある大学,あるいは地方に住む志願者については現実的で柔軟な対応が留意事項にまとめられていると思うのですね。例えば,下から3段落目ですけれども,「地方においても十分な司法サービスの提供を担う法曹を確保することが重要であることに鑑み,地方大学出身者を対象とした特別選抜枠を設けることが可能であること。そして,この場合自大学を含めて地方大学出身者を対象とした専願枠を設けることや推薦入試による特別選抜を実施することも可能であること。」。かなり柔軟に提案をされています。また,次の段落でも,「大都市圏であっても当該都市圏に法科大学院が設置されていない地域にある大学とする。」と。そして,「大学本部が大都市圏内に設置されている場合でも,法曹コースを開設する学部がその圏外に設置されていれば地方大学とする。」と。しかしながら入学者選抜に際しては,アドミッション・ポリシーも含めてきちんと公表し,明記するということが但し書きとして書かれています。
これらの方向性で私はよろしいのではないかと思っておりますけれども,こういう内容については各法科大学院が公表し,ホームページ等で明らかにすることになると思うのですけれども,私は志願者の立場になりますと,例えばこのような地方大学に対しての何らかの特別選抜とか,あるいは連携をしているケースについては文部科学省のホームページで総合的に分かれば利便性があるのではないかと思ったりしました。地方大学という定義だけではなくて,志願者を厚く受け入れる改革としていく方向性のためにも,何か地方大学に関して文部科学省としても見える化について検討していただければと,このように問題意識を持っているものですから,その可能性はいかがかと質問させていただきます。
以上です。よろしくお願いします。ありがとうございます。

【山本座長】 ありがとうございました。それでは,事務局からお願いできますか。

【西川専門職大学院室長】 御質問2点ありがとうございます。まずパブリックコメントの関係ですけれども,御意見を主なものとしてまとめてはおりますが,いろいろ御意見を頂いている中で,先ほど申し上げた具体的な省令の中身に関する部分は留意事項という形ですけれども一定反映させていただいているほか,例えば御覧いただきますと,この改正によってどのように3プラス2を推進し標準化していくのかであったり,今後の実際の道行きを期待も込めてと理解しておりますけれども,御指摘いただいている部分もあるので,そこは今後の運用の話でございますので,併せて今後注視をしていきたいということも含めますと,全体として踏まえさせていただいているつもりでございます。
それから地方大学の関係につきまして,私は説明では省略をしてしまったのですが,定義を留意事項の方にも書かせていただこうと思ってございますけれども,この地方大学の定義もなかなか大都市圏の定義も含めて分かりづらさもある中で,なるべく分かりやすくお示ししてくことは重要であると考えておりますし,国として一定線を引くということであれば,分かりやすくお示しする工夫は是非させていただきたいと思います。

【山本座長】 どうぞ。清原先生。

【清原委員】 ありがとうございます。パブリックコメントにおいてもおおむね改革の着実な実施を期待するというお声が多かったということでございまして,正に着実に実施するとともに検証していくということが必要で,今後,私達の役割もそういうところにもあるのかと思っています。まずスタートとして,とりわけ留意事項について分かりやすく書いていただく御努力を最後まで重ねていただければとお願いします。よろしくお願いします。ありがとうございました。

【山本座長】 ありがとうございました。それではほかにいかがでしょうか。中川委員。

【中川委員】 資料1-3について2点ほど現場からの意見と申しますか,違和感を抱いたところがありますので申し上げたいと思います。まず5ページの(10)でございます。公表事項の詳細についての通知ということですけれども,在学中受験について非常に詳細な数を出すという通知をしてはどうかということになってございますが,公表事項につきましては前回,法学未修者,社会人の入学者の割合,司法試験合格率ですとか,連携法曹基礎課程からの入学者の割合及び司法試験の合格率,そして在学中受験資格による司法試験の受験者数とその合格率,これを公表しようと。一応私も少し異論はあったのですが,概要をそういうことで示すというのはいいだろうということで納得はいたしました。それに比べますと,この(10)というのは,更に非常に細かく数字を出すということになっている。在学中受験者について,なぜこれを出す必要があるのか非常に理解に苦しみます。現在決まっている先ほどの省令の文言で決まっているところによりますと,在学中受験資格による司法試験の受験者数,これはその法科大学院の1学年何人かから見れば大体何人ぐらいが受験して何人通ったかとすぐに分かる話でございます。それを超えてこれほど細かく在学中受験についてのみここまで出すというのは,なぜこの必要があるのかというところが解せないと思いました。
在学中受験については,まだ我々神戸大学もどれぐらいこれにシフトするべきか全く決められていない状況でございます。もちろんこれは司法試験の実施時期がいつになるかということもありますし,それからそれが決まった後も,実際学生がそれに対応できるような人が何人ぐらいいるかというのも,これもまた全く分からないのですね。無理やり在学中受験に引っ張るような受験指導をやろうと思えばできるかもしれませんが,それが学生にとってハッピーなのか。逆に法科大学院離れを引き起こすかもしれない。法科大学院が何かひたすら厳しいだけで,予備校で自分のペースでやった方がいいと言われては元も子もない訳ですね。いずれにせよ,余りこの在学中受験でいくのだとしゃかりきにやるようなイメージを出すような通知は,私としては非常に時期尚早ではないかと思います。これが1点目です。
2点目は6ページの(15)番でございます。これも在学中受験に関わることですが,混在問題について各法科大学院で工夫を行いなさいということですが,工夫は限度がございまして,卒然と投げられても困る。司法試験の実施時期がまず決まって,あと合格発表時が決まりますと対応ができる。その対応の仕方も,例えば9月,ちょうど今頃ですね,9月の上旬に合格発表があるのか,あるいは10月下旬にあるのか,あるいは1月頃にあるのかによって,変わる。最終学年の後期の科目の選択をする時期の直前あたりで合格がわかると,合格した人が取る科目とそうではない人の科目という対応をせざるをえません。あるいは後期を更に二つに分けてクウォーター制ですか,クウォーター制にして例えば10月,11月期と12月,1月期に分かれますので,11月下旬に合格発表があればその時点で12月,1月のクウォーターについては合格者用の科目を汲むということができる訳です。それ以外に授業をやっている間に,両方混在したら,カリキュラム上の工夫はしようがないのですね。ですので,できることは非常に限られていて,ひたすら合格発表の時期がいつになるかということに限られている訳ですね。これだとどんな時期に合否発表があっても,大学の工夫次第で何でもできるというような書きぶりですけれども,それはあり得ない話です。工夫をするのは当たり前ではあるのですが,できることには限度がある。どうすればいいかというアイデアがはっきりある訳ではないのですが,まだこれは書かないでほしいという気がします。法科大学院側はどうにでも対応できるという前提で司法試験の実施時期であるとか,あるいは合格発表時期を決められてしまっても困るというように思いますので,この(10)番については違和感を持ちました。
以上でございます。

【山本座長】 ありがとうございます。事務局から何かコメント。

【西川専門職大学院室長】 失礼いたします。御指摘ありがとうございます。お二つ頂きまして,資料1-3の5ページの(10)の関係の在学中受験資格の公表の部分につきましては,先生からの御意見も御意図として十分承る訳ですけれども,私どもと言いますか政府として,今回3プラス2に加えまして在学中受験も含めましての全体を今回改正法として一つの制度として実現をさせていただいている以上,制度全体の成果を一定見ていくということが基本的には必要であるという中の部分として,在学中受験資格の状況というのを見ていく必要があろうという一般的なこと。それから,これは技術的な問題もひとつあると思っておりまして,と言いますのは,公表事項の中で例えばその上に書いております法曹コースからの入学者については入学者数ではなくて割合としておりますのは,これはもともと入学者の全体の母数が分かっているからであるのに対しまして,在学中受験資格による受験者数が,最終年次の中の割合というふうに省令に書ければ書くという選択肢もあるのですが,法制上大学院が学年制を取っていないものですから最終年次を法令上に書くことができないこともございまして,留意事項の中で省令には書けていないけれども,最終年次に占める割合というのを入学者に占める割合と同じように割合として出してくださいという意味合いがあるという状況ではございます。けれども,先生がおっしゃるように,3プラス2の早期卒業を前提とした運用は標準的な運用として実施をしていきたいと国会の審議の中でも大臣を含めて答弁させていただいているのに対しまして,在学中受験資格というのは標準的と言いますよりはオプションとしてということも答弁の中でも申し上げておりますように,もちろん最終的にはきちんと合格していくというところが目標な訳でございますので,そこについては同じ認識を持っているということを事務局としては申し上げたいのですが,これについても先生方のいろいろな御意見を頂ければ有り難いと思っております。
またもう一点の方も,先生方のいろいろな御意見を頂きたいと思っておりますけれども,先生がおっしゃるように司法試験の在学中の時期が決まらない,合格発表の時期も決まらない中で,後期のカリキュラムについてももう履修登録の時期を過ぎている等々の事情,十分想定ができるところでございます。一方で,混在することに対してどう対応するのかということも,これも国会の審議の中で繰り返し御指摘を頂いて必要な対応をしなければ駄目だということで,それを前提に法律も御了承いただいているという状況がございますので,当然対応してくことが求められることにはなろうと思っておりますけれども,確かに司法試験の時期等々の状況による部分もあるとは理解しておりますので,その状況の中で,このタイミングでどういう書き方が適当であるかということについては,是非先生方からも御意見を頂きながら,我々の方ももう少し工夫させていただければしていきたいと思っております。

【山本座長】 よろしいですか。ほかにいかがでしょうか。どうぞ,大沢委員。

【大沢委員】 先ほどの説明の中では特になかったのですけれども,この留意事項の資料1-3の大きな4の(1)の指摘というのは,私は大事なのではないかと感じました。というのは,先般,参考資料2の方で配られた現在の法曹コースの検討状況というのを見させていただいて,いろいろな大学が手を挙げているのだということを感じました。その中には当然,これまで法科大学院をお作りになったのだけれども,最終的には募集停止されたような大学さんも入っていると思いました。そのこと自体には全く問題はなくて,特に地方の大学については地方在住の法曹志願者の受皿になるということで意味があると私も感じています。一方で,これらの中には先ほど少し申し上げましたけれども,かつて法科大学院を設置しながら法学者を十分に輩出できなかったというところがあるのも,これも事実だと思います。この留意事項の4の(1)の下の方で,「未来ある若者を受け入れる立場から,準備を進める必要があること。」と書いてあるとおり,法曹コースを開設するのであれば,そこに入れた学生について責任を持って教育して,力を付けて法科大学院に送り出すという重い責任が法曹コースを設置する大学にはあるのだと思います。次のようなことはないと信じていますし,少々失礼な物言いになっていることは御容赦願いたいのですが,まかり間違っても法学部の存続のために,あるいはとにかくバスに乗り遅れないようにということでコースを設けて,あとは法科大学院に丸投げというような姿勢だけはあってはならないと私は思っています。また法科大学院の方も連携協定を結ぶ以上は,きちんとした成績評価に基づいて,受けた学生をきちんと法曹に育てるという責務があるのだと思います。そのところをもう1回確認しておきたい,是非そうなってほしいと思っております。
それからもう一つ,現在法曹コースと法科大学院の在学中受験を組み合わせると,これまでより2年短縮できるということが言われているのですけれども,しかしこれはあくまで早期卒業を前提にする訳ですから,かなりハイレベルの能力が要求されるということ。それはきちんと学生にも分かりやすく伝えていくべきなのではないかと思うのですよね。そうしないと,かつて法科大学院がスタートした時に,法科大学院修了の7割,8割が合格するということが宣伝されて,それが結局幻に終わってしまったように,学生に過度に期待をさせて結果的に裏切ってしまうと,そういうことになるのではないかと危惧します。ですから繰り返すようですが,法曹コースを設ける大学と,それから連携協定を結ぶ法科大学院の方々には重い責任があるという自覚と,丁寧で正確な情報公開ということを是非お願いしたいと思います。

【山本座長】 ありがとうございます。大変重要な御指摘を頂いたかと思います。ほかにいかがでしょうか。大澤委員。

【大澤委員】 本日議事として議決するのは資料1-1の省令の改正案を議決するということで,資料1-3はあくまでもそれとの関連で参考として示されているという理解でよろしいですね。

【西川専門職大学院室長】 はい。

【大澤委員】 資料1-3については資料1-1との関係で少し自由に御意見を頂きたいという趣旨なのかと思いますが,こういう形で施行通知に当たり留意事項について詳しいことをいろいろと具体的に書いていただけるということは,現場にとって非常に重要なことだと思います。他方で具体的に書くとそれがどうしても独り歩きして,後で思わぬ形で我々の手足を縛ってくるということもありますので,その辺りについてはこれからまだ時間もあるということだと思いますので,十分に慎重に練っていくことが大事かと思っております。
そういう観点から,先ほど中川委員が言われた混在問題に対する対応として工夫が求められる対象が「カリキュラム編成」と書かれているのは少し狭過ぎないかという感じもするし,その前の個々の学生への支援を充実するというのは,果たして「カリキュラム編成」と結び付くのだろうかということも少し気になりました。
それから,そういうことの例でもう一つ申し上げますと,いろいろと文章を練っていただいたのかと思いますが,例えば論述能力の涵養の部分で,最初に多様な方法が考えられて各法科大学院の創意工夫により行われるべきものであることと書かれ,これが大原則であるというのは御説明でよく分かりました。ただ,「べき」という言葉は可能を示す場合と当為を示す場合があって,どうも「べき」と書かれると当為としてのニュアンスが強く出るかという気もする訳です。そういう頭で後の方を見ていくと,結構「積極的に行われるべきものであること」というのが続く訳で,これが独り歩きをするとまた案外怖いかという感じもいたします。そういったところの言葉の選択についても少し慎重に考えていただく必要があるかと感じた次第です。とりあえず思ったところを申し上げました。

【山本座長】 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。おおむねよろしいでしょうか。どうぞ,久保野委員。

【久保野委員】 久保野でございます。少し細かいところの確認ですけれども,パブリックコメントの中にも選択科目を1科目4単位以上を必修とする修了要件について,いつまでに対応が必要なのかという質問が出ておりますけれども,ここは御説明の中で結論としてどこを根拠にどうだということだったのかというのを確認させていただけますか。

【山本座長】 よろしくお願いします。

【西川専門職大学院室長】 失礼いたします。それでは条文の方で御説明をさせていただきたいと思います。資料1-3の方が分かりやすいので同じことを説明しておりますのが,5ページの(13)のところでございます。条文もこういう作りになっておりますけれども,御指摘いただきました選択科目を含めまして法科大学院の課程の修了要件の単位数につきましては,令和4年度の既修者コース進学者から適用する,が基本形という考え方で,それと同じ学年に当たります1年前に入学する未修者については,令和3年度入学者からが修了要件に縛られるということでございますので,具体的な御準備ということでいきますと,来年度令和2年度中に翌年の入学者に間に合うような形でアナウンスをして,御準備いただければと考えております。

【山本座長】 よろしいでしょうか。どうぞ。

【久保野委員】 重ねてで申し訳ないのですけれども,今の御返答で明らかになったとは思うのですが,令和2年の4月からというお話ではなくなったという御説明を頂いたと理解しております。

【西川専門職大学院室長】 おっしゃるとおりでございます。前回の資料では全体として設置基準が令和2年4月1日からと書いておりましたが,そこは今回一部訂正をさせていただいておりまして,先ほど申し上げたとおりでございます。

【山本座長】 非常に細かい施行期日の相違ということで,細かく条文を読んでいただきまして,私も一応これは確認しましたが,条文を読んでいただくとそういう構造にはなっていると思います。よろしいでしょうか。どうぞ,髙橋委員。

【髙橋委員】 先ほどからお話に出ている資料1-3の6ページの(15)ですけれども,在学中受験をされない方などを支援するカリキュラム編成上の工夫の一例として法律基本科目を改めて学ぶ機会が挙がっておりますが,在学中受験が導入されたことによって様々な学生が在学するということに応じた柔軟なカリキュラムを設計しようとしても,認証評価基準との関係でなかなか難しいというのが現場から聞こえてくる声だろうと思います。その点もあわせて,この令和3年のカリキュラムの改編に合わせる形で見直していただければと思います。

【山本座長】 よろしいでしょうか。どうぞ,山野目委員。

【山野目委員】 大澤委員から御確認を頂いたとおり,資料1-3の留意事項の案はこれからの運用を期して御検討を頂いたものを本日段階の資料として御提示いただいていると理解いたしました。今後バージョンアップされていくと理解いたしますから,本日委員から頂いた意見等も踏まえ,二つほど参考として意見を申し上げさせていただきます。
6ページの(15)のところでございますけれども,中川委員及び髙橋委員から御指摘があった御懸念はごもっともなことでありまして,恐らくここで示されていることは事務局から説明があったように,述べておいた方がよい事項であると考えられますとともに,合わせて,当分の間司法試験の実施日程等を勘案して,円滑で適切な運用が可能となるということも必要であるということを文言上読み取ることができるような文案の配慮を望まれると感じます。
もう1点申し上げます。3ページの(5)のところでございますけれども,大澤委員から御指摘のあったとおり,3ページの(5)の最初の段落のところで御指摘いただいているところはごもっともであると同時に,まことに重要なことであろうと考えます。ウエイトとしてはここがかなり重要であるということは大澤委員の御指摘でも御示唆いただいたところであります。そのことを踏まえて申し上げますと,その後の平成26年7月16日の高等教育長通知の引用は少し長いのではないですかね。何か同じ趣旨のことが何度も繰り返し述べられています。この通知は文部科学省の見解として出されたものですから,それが邪魔であるとまでも申し上げるつもりはありませんけれども,もう少し簡略にして引用する方が,第一段落との比重の関係が,大澤委員が御心配のように読み手から見て危惧のない仕方になるのではないかということも感じます。参考となる提案として申し上げましたから,特段御所見はいりません。

【山本座長】 ありがとうございました。ほかには,中川さん。

【中川委員】 再度恐縮でございますが,大澤さんからありましたように,こういう通知というのは現場は非常に丁寧に読むといいますか,押し頂いていますので,そういう意味ではニュアンスが非常に重要で,先ほど私が申し上げました5ページの10番目ございますが,4ページの(9)と5ページの(10)が今までの立法過程での議論では明らかに違うものが書かれているのは,非常に困惑します。先ほど室長からも御指摘がございましたけれども,(9)の3プラス2は標準としてやっていくものだという形では置かれていると。それに対して5ページの(10)の方ですね,在学中受験というのはあくまでオプションであると。これからどうなるか分からないけれども,そういう道も開いておこうと。そういうかなり位置付けの違うものですけれども,これだとむしろ(10)の方が標準化するというふうに読めますよね。「公表すること」となっていますので。そこら辺はニュアンスが分かるように,ないし,僕はニュアンスが分かる方法としては(9)は残して(10)はなくすというのが非常に分かりやすいと思うのですけれども,そうでないとしても(10)について少し書きぶりを工夫するなりとか,この形では,通知として今までの議論の仕方の反映になっていないのではないかという点を懸念いたします。
以上でございます。

【山本座長】 ありがとうございました。おおむねよろしいでしょうか。

【木村委員】 細かい点で申し訳ないのですけれども,1-3の5ページの(11)ですけれども,これは27条の規定は,で始まっていますが,20条の8の2項でしょうか。これは認定学生のことなのかと思うのですが「最終年次に在籍するなど」というのですが,「など」というのは具体的に何かお考えがあるのでしょうか。

【山本座長】 お願いします。

【大根田専門教育課専門官】 専門職大学院室の大根田でございます。冒頭今御指摘いただいた点,条文番号に関しては最終的にそろえた形にさせていただきたいと思っております。20条の8のことでございます。大変失礼いたしました。
それで御指摘の「など」の部分でございますけれども,現行例えば授与機構の認証評価におきましても,例えば最終年次における学生に関しては,それまでの積み上げを念頭に36を超える履修も可能としているところがあろうかと思います。それも念頭に置きながら,ここは各法科大学院の御判断があるであろうということで「など」と書かせていただいておりますが,それまでの積み上げを踏まえれば36を超えることも可能である学生がいる場合に,そういった措置もできるということで「など」と書かせていただいたということでございます。ありがとうございます。

【山本座長】 よろしいでしょうか。

【木村委員】 はい。

【山本座長】 それでは,短くお願いします。

【清原委員】 再度失礼いたします。本日,資料2-1として法曹養成連携協定に関する運用ガイドラインの案も示されておりまして,17ページ以降に法曹養成連携協定の案も例示されています。先ほど,大沢委員がこのような協定を交わすというこ
とに関する責務というか,そういうことを強調されたので私も1点だけ申し上げます。このガイドラインの別添というのは,法曹養成連携協定を交わす法科大学院及び大学にとって有意義な例示だと思うのですが,目的の解説のところで「必要に応じ
で規定する任意のものであり,必須ではない。」とあります。協定を交わす以上,目的は私は必須だと思っておりまして,ここで遠慮する必要はないのであって,法の趣旨に則って法曹養成が質高く責任を持って法曹を志望する志願者のためになされるためにこそ,法科大学院と大学が協定を交わすというような,私は少し高邁なことが,理念的なことがあってもいいと思うので,「必須ではない」なんて書かなくていいのではないかと思っているので,発言させていただきました。よろしくお願いします。

【山本座長】 ありがとうございます。御注意を踏まえていただければと思います。それでは,もう一つ今日は大きな議題がありますので,第1の議題については以上の限りにさせていただければと思います。
各委員の御意見を承ったところ,この資料1-3の留意事項案につきましては様々な御意見があり,内容面にもわたっていろいろな御注意を頂いたところかと思います。事務局においてはその御意見を踏まえて,更に御検討を進めていただければと思いますが,大澤委員からも御指摘があったとおり,本日お決めいただくのはこの資料1-1の省令の改正案でございまして,この点については私が伺ったところ,その中身について特段の御異論はなかったように承りました。そういうことですので,先ほど室長からも少しありましたけれども,法技術的な修正というのは更に進めていただくとしても,内容面での変更は今後生じないという前提で,技術的修正については事務局で作業を行っていただき,私がそれを確認するということとした上で,この原案どおり本委員会として了承したいと思いますが,よろしゅうございましょうか。
ありがとうございます。それではこの資料1-1の原案については,本委員会として了承をしていただいたということにさせていただきます。
ありがとうございました。それでは,本日もう1点,法学未修者教育の充実についてという議題が用意されております。これについてもまず事務局から御説明をお願いいたします。

【西川専門職大学院室長】 失礼いたします。それでは,私の方から資料4につきまして御説明させていただきたいと思います。こちらの資料4は本日の御議論の一つの材料という形での御提供でございます。法学未修者教育に関する議論については前々回の6月27日の特別委員会の方でも第10期の審議に関する主な論点の中の大きなかたまりの一つとして御提示をさせていただいておりまして,また今回の先ほど御審議いただいた新たな制度が発足するに当たりましても,この中での未修者教育の位置付けについては更に3プラス2が走る中での新たな在り方についても検討を深める必要があるということが言われているという状況がございますので,今後の大きなテーマの一つでございますが,本日はキックオフという形でこの資料には基本的には余り新しい情報は入っておりません。と言いますのも,論点に続きましてこれまでに頂いた御提言ですとか,数々の基礎的なデータなどについて御議論のキックオフの材料として御提供差し上げるという性質のものでございますが,私の方から少しお時間を頂いて,順に御説明をさせていただきたいと思います。
今申し上げましたとおり,前々回の資料の抜粋を1ページ目に載せております。この中で個別の論点ということで,これも案ですけれども,未修者コース入学者に対する教育の在り方について,例えば第10期でこういうことを扱っていただく必要があるのではないかと御提示したものを改めて確認させていただきますと,一つ目としては多様なバックグラウンドを有する方が法の分野でその知見を生かせるようにすることが一層求められているということから,未修者コースの3年間のカリキュラムを改めてどのように考えるかということ。
それから,個人の特性に応じた柔軟な学習メニューの提供ですとか,きめ細やかな学習支援を行う上で改めてどのような課題があり,必要な方策がどのようなものであるかということ。更には有職者,社会人の方が仕事を継続しながらでも法曹を目指せるような,例えばICT技術を活用した教育の在り方等についてどう考えるかといったようなことを御提示し,6月の会でもいろいろ御意見を頂きました。中でも山野目先生の方からはペーパーの御提出も頂きまして,平成22年に公表された共通的な到達目標モデルについての所要の見直しということも,ひとつ考えられるのではないかという御意見も頂いているところでございます。
両面にページを振っておりますので,1枚おめくりいただいて3ページを御覧ください。こちらは前期第9期で,これも未修者教育についてはかねてよりたくさんの御議論を頂いておりますが,第9期の主な御意見を載せさせていただいております。簡単に御紹介させていただきます。例えば上の方からいきまして,修業年限の関係では未修者が初年度の1年間で既修者に追い付くことは相当に困難であり,例えば1年でやることを2年掛けるといった発想が必要ではないか,といった御意見でありますとか,あるいは養成課程の関係でいきますと,基本的に既修者と切り離して,あるいは拠点化という考え方もあるのではないかというような御意見でありますとか,あるいは四つ目の丸でございますけれども,五つ目の丸も同じでございますが,未修者につきましては大学院からということではなく学士編入,あるいは法曹養成コースから学習をスタートすることも必要ではないかといったような御意見。一方では学士編入については社会人にとってはハードルが高いといった御意見も出ております。また,未修者コースの対象となる学生につきましては,本来は純粋未修者に限定をすべきではないかといったような御意見ですとか,次のページにまいりまして,一方で法学部から未修者コースへ様々な状況があるので,進学するルートは閉ざすべきではないという御意見も頂いております。
また教員に関してでございますけれども,非常にきめ細やかな指導が未修者に対しては必要になるという観点から,教育能力の高い教員や学習補助者を確保するようなことが重要だという御意見ですとか,実務経験年数をおおむね5年以上としている実務家教員の要件について緩和することを検討すべきではないか。あるいは,幾つかの法科大学院で既に行われている優れた取組を有機的に共有して,次世代の教員につなげていくことが重要といったような御意見もございます。
また経済的支援に関しては,教育訓練給付金が特に社会人にとってより活用しやすいものとすべきではないかといった御意見ですとか,現状の奨学金は一度でも留年をすると打ち切られてしまうので,一方で時間を掛けての学習ということも認める中で,それをサポートする奨学金制度を構築すべきではないかといった御意見。
更には,教育手法に関する御意見として,先ほどもテーマの案にも挙げましたICT等を活用した教育の在り方についても検討すべきでありますとか,既修者とはっきりと分かれるような方向でありますとか,あるいは純粋未修者につきまして,合格発表から入学前までの期間の活用が重要であるといった御意見などを頂いてきているところでございます。
続く5ページ以降につきましては,6月27日の特別委員会でこの研究に携わられました椛嶋先生から御発表を頂きました調査研究の概要でございます。こちらは6月の会で詳細に御報告を頂いておりますので詳細の御説明は省略させていただきますけれども,簡単におさらいさせていただきますと,昨年度,文部科学省からの委託事業という形で調査結果を御覧の5ページのような方法により行っていただきまして,6ページから7ページに掛けまして2の(1)から(8)に当たるようなそれぞれの項目について多様な問題意識の提示,あるいは御提言を頂いているところでございます。
それから,8ページのところでは,今後に向けたこういった対応が必要だといった御提案も頂いているところでございます。
こういったことも踏まえまして,また改めて本日いろいろな御意見を頂きたいと思っておりますが,最後に基本的な状況の,現状の御紹介をして終わりたいと思います。皆様御承知のとおりかもしれませんけれども,9ページ以降データを載せております。未修者に関連するところをピックアップさせていただきますと,一番上の入学者数の推移の中で,平成31年度で言いますと,純粋未修者,法学系課程以外の出身者の割合というのが36.9%となっております。未修者に占める割合でございます。人数で言うと233人という状況でございます。また下は,未修者コースに占める社会人経験者の割合,こちらの方も38%といった割合になってございます。
続いて10ページにまいりまして,標準修業年限での修了の状況を見てみますと,法学未修コースがオレンジ色で,全体が青でございますけれども,法学未修者コースの直近の数字でいきますと標準年限以内で修了している方の率が46.7%。しかしながら,その内訳を更に非法学部系課程の出身者で見てみますと,4割を下回っているような状況でございます。それからその下の進級率で見ましても,未修の,こちらは1年次から2年次への進級率でございますけれども,こちらは法学部出身者と非法学部で従来少し差があったものが直近のデータでは少し詰まっておりますけれども,67%ぐらいということになっております。
続きまして11ページの合格者数を見てみますと,直近の平成30年度の合格者についての数字ですけれども,合格率全体でその年度で29.1%に対してこちらは法科大学院ルートが24.8%と示しておりますが,それについてその下ですけれども,下にも同じく24.8%と出ておりますところに,その下に矢印を引っ張って内訳を書いている中で,うち法学未修者について取り出した場合の合格率は15.5%ということで,既修者と倍近いの差があるという状況でございます。
続けて12ページでございますけれども,既修,未修,法学部,非法学部別の合格率の推移でございます。こちらも先ほどと同じ15.5%という数字がございますが,未修コースの中で法学部と非法学部には差がない状況となっております。それから下の既修コース,未修コース修了直後の司法試験合格率でございますけれども,こちらは未修コースの修了直後の合格率について17.3%という状況でございます。長いトレンドで見ますと,一番上に書いておりますように,かつて32.3%であったものが17%に低下をしているという状況がございます。
次に13ページにまいりまして,累積の合格率で見てみましても,赤いところで囲っている既修コースの方は,修了後3年目の累積合格率で7割近くに達しているのに対して,未修コースについては3年目では36.7%,5年経っても約5割という状況でございます。それから直近の修了年度別の累積合格率を更に未修コースの内訳を非法学部について見ていますと,非法学部出身者に限った場合につきましては,3年目の数字は未修コース全体とさほど変わりなく36.8%でございますが,純粋未修の場合,5年目で見ますと43.6%という形で少し開きが出ている状況でございます。
最後に大きな紙でお付けしておりますのが,これまでの中教審でかつて様々に御議論を頂いてきました御提言等の内容を,簡単にですけれどもまとめさせていただき,またそれに対応した施策を右側に並べている表でございます。こちらの方も先生方の十分御認識いただいている内容が多いかと思いますけれども,簡単に振り返らせていただきますと,平成21年度のまず法科大学院特別委員会での御報告を受けまして,まず未修者の基本的な科目の部分の量的充実,あるいは進級判定の厳格化といったようなことが実際に行われてきましたし,また24年の御提言を頂きまして,優れた取組の共有化などを含めてワーキンググループで更に御検討を頂いて取りまとめ,また共通到達度確認試験の実施の提言なども頂いて,現に実施をしてきている試行を開始し,今年度スタートですけれども実施をしてきているというところでございます。
等々の御提言を頂いてまいりまして,また平成28年では特別委員会の御提言を受けまして,未修者等選抜ガイドラインを29年の2月におまとめを頂いておりますし,直近では平成30年の3月,基本的な方向性の中で未修者の割合,従来告示の基準として3割以上と掲げていたものを見直すべきということで,これを見直しているという状況。それから,法科大学院公的支援見直し強化・加算プログラムの予算措置におきまして,未修者教育に重点的に取り組まれている大学院を積極的に支援するということなどについて,それぞれ実施をされていきているところでございます。
また最後,一番新しいところでは,今回の法律改正の中で皆様御承知のとおり,法律の中で職業経験を有する者や未修者を含めました多様な入学者選抜ということへの配慮について,法律で明確化をされているというような流れがございます。
こういうことを踏まえまして,また今後更なる御議論のテーマとしてどういったものがあるか,あるいは問題意識としてどういったものがあるかということにつきまして,本日は自由な御意見を頂ければありがたいと思っております。
以上でございます。

【山本座長】 ありがとうございました。それでは,本日はこの委員会の今期の一つの主要なテーマになるであろうと思われるこの未修者教育の充実について,委員の間でフリートーキングの形で御意見をお述べいただきたいと思います。残された時間は30分余りですけれども,どなたからでも結構ですので,是非活発な御議論をいただければと思います。
いかがでしょうか。どうぞ,加賀委員,お願いします。

【加賀委員】 大変難しいテーマであるということだと思うのです。だからなかなか手が挙げにくいというのもあるのだろうと思います。先ほど大沢委員が責任を持って教育にというお話をされて,大変重要なことだと思ったのですけれども,それは既修者教育は無論のこと,特に未修者に強くそれが求められるような気もするのですね。こうやって未修者教育をやっているにも関わらず,司法試験の結果が振るわない。その結果,入学者数も下がっていくという,一種の負のスパイラルに入ってきているような感もある訳ですよね。
ただ,この議論の目標というのは一体何にするのかというのが,私もなかなか難しいと思っている点ですけれども,それは未修者の司法試験の合格率を上げるのだと,これが目標になるというような議論の持って行き方をせざるを得ないと思うのですよね。そのためにはどうしたらいいのか。いろいろここに今までの意見として取り入れられていた学士入学を学部の法学部に入ってもらった方がいい的なことがあったりする訳ですけれども,そういうことも言われても,そういう人は出てこないと思うのですよね。未修者に入って3年間で合格をしていく道を提示している限りは,その中で合格できる実力をとにかく付けさせるというような方策が望ましいのかと思うのです。
未修者の拠点化ということも言われますけれども,拠点化されたところが一体どういう教育体制を敷かれるのかと,大変難しいことを背負うことになると思うのです。これは,私は余り拠点化ということについては賛成をしておりませんで,各大学でしっかり取り組むべきことだと思います。椛嶋先生のレポートの中にあった補助教員ということが出てきましたけれども,これは大変重要なことだと思っているのですね。きめ細かにやるしか,とにかく未修者の実力向上はない。孤独感とかいろいろな表現がされておりますけれども,そのとおりだと思うのですね。そういうものを分野が違うところから来た人達を支える制度,うまくリードして学習効果を上げていくということは,今後の必須の課題なのかと。そういう意味で補助教員制度の制度化とか,そんなことかと思っています。
以上です。

【山本座長】 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。どうぞ,では菊間委員から。

【菊間委員】 菊間です。私は未修者で社会人で4年コースの夜間のロースクールに行った経験からお話しさせていただきますけれども,未修者といっても社会人と,あと仕事をしないで未修の人とでは全く違うので,そこをまず分けて考えなければいけないかと思っています。私も社会人から弁護士になったので,弁護士になってから本当にたくさんの社会人の方から法律家になりたいのだという御相談は受けています。ただ,皆さんロースクールには行っていません。私がいた頃よりも夜間が減っているということがあるのと,今こういう現状だと,仕事を辞めてロースクールに,私が行った2期生の頃は仕事を辞めてロースクールに入る人が多かったのですが,今は非常にそれは危険だということで,働きながらとなるとロースクールは難しいので予備試験を私も勧めていますし,予備試験の方に社会人の方は今受かっている。その社会人の方もロースクールの中に取り込んでいきたいということであれば,大きく考え直さないといけないのではないかと。今の状況で社会人がロースクールにはまず来ないのではないのかという気がしています。
学習の未修者のことを考えた場合もですけれども,例えば私も加賀先生と同じ御意見で,既修者との切離しというのは違うのではないかと思います。自分の経験からいっても,先生方は未修者からするとできない人の気持ちが分かっていないというか,何が分からないのかが分かってくれないのですね,先生方が。私も法学部出身ですけれども,ここで先生方にこんなことを言うのも何ですが,大学には全く行っていなかったので,本当に何も分からないままロースクールに入ってしまったので,一からだったのですね。その時に何が一番役に立ったかというと,既修者の人に勉強の仕方を教わったことですよ。既修者の方はどう勉強したら物事が分かるかとか,どういうノートの取り方を取ったらいいかとか,どう論文を書いたらいいかとか,今まで自分達がいっぱい悩んで考えてきたことを未修者の人に教えてくださった。私がいた大宮法科大学院というのはもうなくなってしまって,合格率も非常に低かったのですが,その中でも私は6人で勉強会をやっていて,5人受かっているのですが,一人だけ既修者で,あとは全員未修者ですね。既修者が引っ張っていってくれたというのがすごく大きくて,既修者と一緒に勉強することで未修者はすごく引っ張られると思います。授業だけではなかなか未修が既修に1年間で追い付くのは私も難しいと思っているので,既修者の方と未修者がもっと勉強会だ何だと,授業以外のところで結び付く接点を作るためにも,拠点化というのは少し違うのかという気がしています。
あとは,幾つかの法科大学院で優れた取組があると,ここに4ページのところに書いているので,是非それは教えていただいて,共有していきたいと思っています。
感想になりました。

【山本座長】 ありがとうございます。それでは有信委員。

【有信委員】 ありがとうございます。この議論はもう随分長い間やっていて,結局またいつもそもそも論まで戻らないとだめなのかという気がするのですけれども,多様なバックグラウンドを持った法曹を養成するということが,逆に言うと法曹側からのリクワイヤメントとして出てくるようにならなくてはいけなくて,一生懸命未修者を司法試験に受かるように押し込もうという発想ではだめなような気がするのですよね。現実に世の中は一方でAIがどんどん進んできているし,その中でエルシーのようなことをきちんとやらなければいけない。あるいは電子マネーが様々な格好で出てきて,支払の形態もあっという間に変わってきてしまっている訳ですよね。そういう状況の中で,旧来どおりの法曹の養成の仕方をしていたのでは,多分,世の中の進歩に対応しきれない状況になってくる。
今まで知財高裁というところで知財に関してはそれなりの対応を取ってきていますけれども,具体的な日常活動の中で多分,余り言うとまたオオカミ少年になってしまうのだけれども,そういうニーズがいっぱい出てきているのに,法曹サイドが従来の枠組みのなかでどうやって多様なバックグラウンドを持っている人間を法曹の中に押し込もうかという,これはこれで重要な部分はプロセスとしての法曹養成という考え方が本当にきちんと実行されているのかというところを見ながら,そのプロセスとしての法曹養成が司法試験にきちんと結び付くような形になって,司法試験の議論をやるところになるといつもそこでつっかえてしまうのですけれども,そこの部分の接続に対して今の世の中の変化をそれが取り込むようにしていかないと,多分今の法曹の世界だけがずっと取り残されて,そのうち役に立たないということになりかねない。議論はプロセスとしての法曹をどう司法試験に結び付けるかということと,あるいは法曹サイドにどうやって今の状況の危機感を認識してもらうかとの双方が必要。言い方は少し変なのだけれども,それをやらないと,多分企業サイドからは様々なニーズが出てきているはずなのだけれども,それには今の法学部の出身者は応えられていないということもあると思うのですよね。だからその辺を少し議論ができればいいかという気はします。

【山本座長】 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。どうぞ,酒井委員。

【酒井委員】 各委員の先生方の御発言は非常に共感するところが大きいのですけれども,結局,今本来未修者コースに来てほしい学生として想定されるような,非法科学部出身者ですとか社会人経験者の方が,今年度若干また右肩上がりになったというデータがありますけれども,減ってきているという原因は,このコースで学んで合格できるのかどうかというところの見通しが非常に暗い状態が続いてしまっているということに,非常に大きく影響していると思うところです。なので,先ほど加賀委員がおっしゃったように,合格に対して見通しを立てられるコースとして建て直していくということが非常に必須と言ってもよいと私は思っています。
ただ,先日椛嶋先生から説明がありました調査研究の報告を見ますと,各法科大学院,現場の先生方は私が想像していた以上に個々に非常に努力をしておられて,かつ今があるというところもあるかと思いますので,先生方の現状の御努力に全て委ねてしまうというのは非常に難しい局面に,もう既に来ていて長いと思っております。先ほどの資料の4ページにも指摘されて,これも繰り返し出てきているところではありますけれども,若手の実務家教員をもっと活用していただくことと,そちらの実務家教員の方もこういった法科大学院で教えることを積極的に選択できるような体制を整えていただくことは非常に重要なのではないかと考えるところです。
特に司法試験の前倒しと,前倒しになるのか,どの程度の前倒しになるのか時期の問題はありますけれども,在学中受験という問題が出てきますと,結局更に今までよりも未修者が厳しい戦いを強いられるのは必須だと思いますので,そこはもう先生方の努力だけで何とかしてくださいということを申し上げるのは,これは無理だと思う訳です。そこは正課にしても,正課外にしても,きちんと予算を付けて実務家の若手を使っていただく,そのような体制をきちんと作っていただくということはもう必須だと考えるところです。
あとはもう1点,特に社会人の方がキャリアを一度終えて法科大学院に入るということを考える時に,特に社会人であれば御家庭をお持ちの中そういう選択をするということも当然想定をされる訳ですので,費用の問題ですね。それがどの程度担保できるのかというところも選択の要素として非常に大きいのではないかと考えるところです。私は本当に気楽に他学部を卒業して結婚もしていない状況で,単に学生として入りましたので,そのような大きな悩みはなかったのですけれども,一橋当時,家族を持って未修コースに進学したという方もおられて,これは本当に重い重圧を背負って勉強していて,絶対に受からないと家族が,というような方も多くおられたと記憶しています。これは話が出て長いと思うのですけれども,奨学金が留年をすると打ち切られてしまうとか非常に柔軟性が低い状況が続いてしまっていると思いますので,その辺りの見直しから一歩でも進めていただきたいと思うところはあります。また,日本は結局,ローンですよね。奨学金という名目であっても返さなければいけないので,それは給付ではない結局のところローンなので,そこが割と奨学金という言葉でお化粧されてしまっているところがあります。結局返さなければいけないということは,返す当てがないと借りられない訳ですよね。それは無利息であっても同じなので,給付型の奨学金をより,こちらも各大学の自助努力に委ねられてしまっているところが非常に大きいと思うので,是非公的な制度として給付型の奨学金をより,特に社会人の方が受けやすいような形のもので充実をさせていくことも,本当に待ったなしの検討課題かと思いますので,是非議論すべきところかと思っております。
以上です。

【山本座長】 ありがとうございます。ほかに。どうぞ,水島委員。

【水島委員】 ありがとうございます。水島でございます。この問題,難しいのは先ほどからも先生方の御意見がありましたように,非常に状況が様々で,例えば法学未修者コース入学者がイコール法学未修者でもなければ純粋未修者でもないというところではないかと思います。非法学部出身者や社会人経験者でも,最近は法学予備校を経て未修者コースあるいは既修者コースに入ってくる学生が相当数います。むしろ非法学部生の方が法学部生よりも法律の素養を身に付けているケースもございます。そういう中で,例えば既修者コースで非法学部出身者や社会人経験者が孤立してしまうケースもありますし,未修者コースで法学部出身者で法律の素養を積んだ人が勉強会などでリーダー的な存在となって,本人も周りも勉強して能力を引き上げていく成功例も見ています。ですので,この問題を考える際には未修者コース入学者の中でもどのような人々に焦点を当てて検討していくかを考えていかなければいけないと思いました。
以上です。

【山本座長】 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。どうぞ,大沢委員。

【大沢委員】 この問題では今いろいろ御意見が出てそのとおりだと思いまして,特に酒井先生がおっしゃった経済的負担というのは大きいと思いますので,確かに給付型というのも重要な検討課題だとは感じています。一方で,一般の国民からすると,そうは言っても給付型となると何らかの説明がいると思いますので,給付型を設ける場合には,例えば法曹になったら法テラスで何年間やるとか,そういった公的な仕事に就いていただくと。そういうものを組み合わせていくような形で理解を得ていくということが必要なのではないかと感じました。
あと,これはお願いベースですけれども,先ほど在学中受験の制度設計の関係があると思いまして,これと未修者教育というのはかなり影響を受けると思いますので,今後在学中受験の時期がどうなるのかという検討が今法務省で進められていると思うのですけれども,そことの情報を共有して議論してくということが大事なのではないかと感じました。

【山本座長】 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。せっかくのキックオフですので,できるだけ多くの方に御発言を頂きたいと思うのですが,どうぞ。

【森大臣官房審議官】 1点だけ,事実関係で奨学金の関係でございますけれども,各法科大学院,大学等におかれては給付の形の奨学金を設けられているかとは思います。そのほか日本学生振興の奨学金に関しては,お話のように貸与制でございますけれども,大学院生に関しては返還免除の仕組みというのがございまして,それは成績優秀者に対しての返還免除ということでございます。実際割合としては,奨学金を受けた方の30%は適用になっていまして,これは半額免除の方も含めてですけれども,そういう仕組みは現状ではあるということではございます。
【山本座長】 ありがとうございます。ただ,なかなかそれが未修者のところまで,全体での30%ということであれば難しいというところはあるのかもしれません。ほかにいかがでしょうか。どうぞ,清原委員。

【清原委員】 まだ私の中でもまとまっていないのですけれども,今回の資料4の個別の論点の中に最後「有職者が仕事を継続しながら法曹を目指せるような最先端のICT技術を活用した教育の在り方や教育手法」とあります。実際にこれは法科大
学院やきちんとした高等教育の中でというよりも伏線としてある,例えば学習塾の取組とか就学前の子供達の学びの実態を見ますと,本当に今はタブレット型端末と,そしてインターネットを介した国際的な幼児教育なども進んでいたりして,驚くべき状況が進んでいます。また,高等教育においてもMOOCというような形で国内でも,あるいは国外の専門的なビジネススクールであるとかロースクールであるとかが学生を求めていくというような動きがあります。そうであるならば,例えば有職者であって時間的な制約がある方の場合,必ずしも教室に集まって授業を聞けないのであれば,遠隔の授業でもきちんと履修しているということが確認できる,出欠状況が確認できれば職場とか自宅とか,あるいはサテライトなオフィスのところで授業を聞くというようなことも,今後は現実的なことかもしれません。
ただ,大学におかれてはその制度を作っていく際には,技術的に可能性を確保するだけではなくて教員の負担とかがあるかもしれません。そうであるならば,例えば教員が昼間の大学院の授業を夜,所属している学生が自宅等で聞くことについても単位認定できる制度的な保証がなければ,そうしたことは技術的に可能であっても制度的には不可能になる訳です。ただ,幅広い実践の中で,先ほど有信委員もおっしゃいましたけれども,キャッシュレス化が進んでいく金融界の中のいろいろな中で,改めて新しい法律を作ることも含めて,法曹の勉強をしたいという人達が少なからずいるとも思いますので,そうした皆様がロースクールできちんとした専門の教育を受けたいという時のツールとして技術的にも制度的にも,そしてこれはどこかの大学院が先駆的にやるといってもなかなか困難があるでしょうから,文部科学省の高等教育局で専門職大学院のICTの活用に関しての一定の技術改革と制度的な課題などを整理していく一つに,この法科大学院の未修者教育,あるいは多様な職業を持つ人の教育環境ということを位置付けて検討していくのは重要ではないかと感じましたので,発言をいたしました。
以上です。ありがとうございます。

【山本座長】 ありがとうございました。ほかに,どうぞ。

【久保野委員】 久保野でございます。東北大学という地方にある大学の観点からですけれども,数は多くないのですが,隣県で個人事業主として仕事をなさっている方が未修者コースに入って,正直仕事をしながら継続したり少しほかの人の助けを借りながら勉強されて,もちろん合格率が高いとはなかなか言えないのですけれども,合格をなさっていく方もいらっしゃるということがありまして,ICTと組み合わせましたときに,それを地方大学でやらなくてはならないかということはまた考えなくてはならないとは思いますけれども,既修者において議論があるのと同様に,地方で法曹の基盤を充実するという観点から,社会人の方の未修者教育に地方の観点も入れて考えていくとよいのかと思います。

【山本座長】 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。どうぞ,北居委員。

【北居委員】 ロースクールが受け入れた未修者の方々をどう教育して,先ほど委員がおっしゃったように司法試験に合格させるかという問題はもちろん難しいのは当然,司法試験を志望した人が全て受かる訳ではない試験ですので,はなからこれは未修者に限った話ではない訳です。その場合に,未修者へ勉強をどう支援するのかというのがあるのですけれども,入り口でどう対応するのかということは,もう少しロースクール側でいろいろ検討するべき問題ではないかと思っております。若干手前味噌ではございますが,我々の慶応大学では入試の合格から入学までの半年間をお試しという形で授業を取ることができるということをやっておりますけれども,残念ながらなかなか人数が集まりませんので,それほどどういう効果があるのかということまではなかなか測れてはいないのですけれども,入学してしまうと,会社を辞めて決断をしてにっちもさっちもいかないという状況もありますが,そのようなある種のお試し的なことというのは,自分の適性を測った上でこの先会社を辞めてやれるのかどうかという一つの判断の材料と機会を提供できるという点で,ある意味で検討すべき問題なのではないかと思っております。ただ残念ながら認証評価でダメ出しを食らってしまいましたので,何卒全体の未修教育の文科省の在り方と認証評価との歩調をきちんと整えていただきたい。先ほど髙橋委員もおっしゃいましたけれども,その辺はもう少し工夫していただきたいと思いますけれども,そのような実態もあるということを御紹介いたします。

【山本座長】 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。これで議論は出たと……。髙橋委員,どうぞ。

【髙橋委員】 非常に難しい問題で,こうすればいいというアイデアは現時点で持ちあわせていないのですけれども,社会人の方・他学部の方に法曹という道,それから法科大学院というものを知っていただくというのがまだ十分に行われていないのかという気がいたします。他学部の学生に法科大学院という進路について紹介しても法学部の学生ほど関心を持ってもらえないという現状があり,情報が行き届いていないというところがまだあるのかとは思っておちます。ただし,ではどうやって社会人や他学部の学生さんに情報を伝えて行けばよいのかということに関しては,ネガティブな情報がたくさんある中でポジティブな情報をピンポイントで届けるというのが必ずしも容易でないというところがあるので,その辺はアイデアを出し合わないといけないのかと感じております。

【山本座長】 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。
それでは,よろしいでしょうか。
この論点につきましては,当委員会の今後の会議を通じて活発に御議論を頂いていくテーマかと思います。次回以降,本日の意見を踏まえて事務局の方でも何らかのたたき台といいますか,資料を用意していただけるのではないかと思いますので,引き続き御議論の方をよろしくお願いしたいと思います。
それでは,本日,おおむね以上になりますが,事務局から御説明をお願いいたします。

【西川専門職大学院室長】 最後に失礼いたします。参考資料2について簡単に御紹介させていただきたいと思います。参考資料2としてお配りしているのは,前回もお配りいたしました法曹コースの検討状況に関する調査結果の時点更新版でございます。前回,7月1日現在でお配りしていたものを9月1日現在でリバイスしたもので,現在状況としては法曹コースの数として47の大学において検討されている状況でございます。前回に加えて加わりましたのが右下の欄にあります,時期等について検討中の欄の香川大学,学習院大学の二つでございます。
それから最後,スケジュールの改めての御確認でございますけれども,資料3にも書いておりますけれども,本日,資料1-1の条文案について基本的な御了承を頂きましたので,今後のスケジュールとしては9月18日水曜日の大学分科会に省令の条文をお諮りさせていただきまして,所要のプロセスを経て10月上旬を目途に省令の公布ということに進めてまいりたいと考えております。並行して本日頂いた御意見を留意事項,ガイドライン等に反映をさせながら,最終的に公布のタイミングで各大学にお出しできるように進めてまいりたいと思っております。
以上でございます。

【山本座長】 ありがとうございました。それでは,これにて本日の会議を終了いたします。本日は長時間にわたりまして熱心な御議論を頂き,ありがとうございました。

―― 了 ――



 

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