法科大学院等特別委員会(第87回) 議事録

1.日時

平成30年7月30日(月曜日)13時00分~15時00分

2.場所

文部科学省 第二講堂(旧文部省庁舎6階)

3.議題

  1. 法科大学院等の教育の改善・充実について
  2. その他

4.議事録

【井上座長】
 会議に入ります前に,事務局の方からお話があります。

【義本高等教育局長】
 まず,大変申し訳ございませんけれども,おわびを申し上げなければなりません。去る7月24日,火曜日,佐野前文部科学省科学技術・学術政策局長が,受託収賄容疑で起訴されました。また,7月26日,木曜日,川端前文部科学省国際統括官が収賄容疑で逮捕されました。国家公務員に対する国民の厳しい目が注(そそ)がれている中で,行政に対する国民の信頼を大きく損なう事態に立ち至ったことは,誠に遺憾なことでございまして,深くおわび申し上げたいと存じます。
 現在,文部科学省としましては,捜査に全面的に協力しつつ,事実関係の確認に基づいて適切に対処していくこととしております。文部科学省といたしましては,この事態を深刻に受け止め,再びこのような事態が生じないよう,綱紀の粛正を徹底するとともに,行政に対する国民の信頼回復に向けて全力を挙げてまいりたいと存じます。

【井上座長】
 それでは,所定の時刻ですので,第87回中央教育審議会大学分科会法科大学院等特別委員会を開催させていただきます。
 本日は,法科大学院等の教育の改善・充実方策のうち法学未修者コースの改善・充実のための共通到達度確認試験につき,事務局から報告等を頂いた後,法曹コースの制度設計,特に法科大学院における入学者選抜の在り方等について御審議いただきたいと考えております。時間は限られていますが,その中で,充実した審議となるよう,是非,御協力くださり,活発な御議論をお願いしたいと思います。
 初めに,前回会議から委員の異動がありましたので,事務局の方から,新任委員の御紹介をお願いします。

【大月専門職大学院室長】
 事務局からの配布資料の御説明前でございますが,お手元に参考資料を御用意願います。第9期中央教育審議会大学分科会法科大学院等特別委員会の委員名簿でございます。
 法務省大臣官房司法法制部司法法制課長には本委員会の委員を務めていただいておりまして,吉川崇課長の同省刑事局総務課長への異動に伴い,その後任である福原道雄司法法制課長に,7月27日付けで本委員会の委員に御就任いただいております。

【福原委員】
 福原です。どうぞよろしくお願いします。

【井上座長】
 次に,事務局の方から配布資料の確認をしてもらいます。

【大月専門職大学院室長】
 お手元に議事次第を御用意願います。
 議事次第にありますとおり,本日の配布資料は,資料1-1から資料5と,先ほどお手元に御用意いただきました参考資料でございます。
 また,過去の資料につきましては,タブレットに保管されております。
 また,そのほか,資料の落丁,不足等ございましたら,お気付きの際にお知らせ願います。
 以上でございます。

【井上座長】
 それでは,議事に入ります。
 まず,共通到達度確認試験(仮称)についてであります。これについては,事務局から報告と説明をお願いしたいと思います。

【大月専門職大学院室長】
 お手元に,資料1-1,1-2,1-3を御用意願います。
 共通到達度確認試験につきましては,本委員会の下に,山本和彦座長代理に主査を務めていただいております,共通到達度確認試験ワーキング・グループを設置して,本格実施に向けて必要となる専門的な調査,分析,検討を行っていただいてまいりました。本年度も6月と7月,2度にわたりましてワーキング・グループを開催して,3月に行われました第4回試行試験を分析するとともに,第5回試行試験の実施のための取扱いと実施要綱を決定いただきました。
 資料1-1が,ワーキング・グループでお決めいただきました,取扱いについてでございます。資料1ページ目の「はじめに」の三つの丸のところに,これまでの経緯が書かれております。改めて御説明させていただきたいと思います。
 共通到達度確認試験(仮称)については,中央教育審議会大学分科会法科大学院特別委員会の下に設けられたワーキング・グループにおいて,未修者教育の質保証を図る観点から構想されたものであるが,平成25年7月の関係閣僚会議決定においても,これを既修者にも適用できるものとして,その基本設計を検討することとされたところでございます。
 その後,特別委員会に設けられたワーキング・グループにおきまして基本設計が示されて,平成26年度から試行が開始されたところでございます。
 さらに,平成27年6月の,いわゆる推進会議決定におきまして,平成30年度をめどに本格実施に移すべく,法科大学院関係者を中核としつつ,法曹三者の理解と協力を得ながら試行を毎年度行い,試行対象者を法学既修者にも順次拡大する。また,将来的に云々(うんぬん)と書かれたことが,決められたところでございます。
 その下,四つ目の丸でございますが,本ワーキング・グループでは,これまでに実施された試行試験により得られた成果と課題を踏まえつつ,今年度の第5回試行試験が本格実施前の最後の試行試験となる予定であることに十分留意しながら,今年度の試行試験は以下のとおり取り扱うものとするとされたところでございます。
 この取扱いについて,2ページ以降でまた,沿って御説明させていただければと思います。2ページ目をお開きください。
 これまでの試行試験で明らかになった成果ということで,これまでの4回の試行試験を通じて,主に以下の成果が得られています。
 正誤式問題と多肢選択式問題の併用により,基礎的な知識や,一定の知識を前提とした思考力を確認することが可能。
 マークシートによる回答方式が適切。
 憲法・刑法については30問程度,民法については45問程度の出題で全般的な理解を確認することは十分に可能。
 憲法,民法,刑法については,1年次と2年次において同一の問題を使用しても,既修・未修別,学年別に学修の到達度において一定の差異が認められる一方で,短答式の問題を用いて基本的な学修到達度を確認する観点からは,学年別問題の作成には困難が伴うこと。
 また,憲法,民法,刑法の成績と,その他,民事訴訟法,刑事訴訟法,商法,行政法,4科目の成績との間には,強い正の相関が見られる。
 また,民事訴訟法,刑事訴訟法,商法,行政法については,学修の進度が法科大学院によって大きく異なるなど,修得するべき水準の設定には困難な点があるということ。
 また,法曹実務家が点検委員として参画することは,出題内容の適切さを確保する上で重要とされております。
 続きまして,2.第5回試行試験の主目的でございます。
 今回の試行は以下の点を主眼に行うこととするということ。
 1年次の法科大学院生が到達すべき学修の水準を確認するための試験内容等の知見をより高めること。
 進級判定に当たって必要となる,判定基準の設定の在り方について検証・分析すること。
 全ての法科大学院の1年次学生が原則として受験することになる本格実施時の実施体制や運営の在り方について検討すること。
 また,3ページ目でございますが,本格実施の際に法科大学院が全体として主体的に参画することを前提として,引き続き,文部科学省も実施体制の構築に関与することとする。その際,これまでの試行試験で得られた知見が適切に引き継がれるよう留意するということ。
 (考え方)の三つ目でございますが,本格実施時に共通到達度確認試験の成績を進級判定に活用する方策については,各法科大学院において決定することを前提とした上で,試行試験を通じて関係する情報を収集・整理し,各大学が検討する際の参考となるよう,その結果を共有する。
 その下でございますが,本格実施に当たっては,本試験が適切かつ継続的に実施されるよう,適切な実施体制を構築し,試験を運営する必要がある。そのため,本格実施時の実施体制や運営の在り方について,本格実施団体において検討・検証を行うこととするとされております。
 4ページ目は,対象者・試験科目,出題範囲・難易度,これは基本的に,第4回に倣って行うこととされております。
 5ページ目からの受験者情報の把握・取扱いのところでございますが,6ページの部分でございます。各法科大学院において,司法試験短答式試験合格状況等と確認試験の結果との相関関係を分析できるようデータを保管することとしています。
 また,6.実施方式。第5回試行試験については,各法科大学院共通の日程で,平成31年3月14日に実施するとしているところでございます。
 資料1-2は資料1-1と重複するところが多いので,説明を省略させていただきますが,資料1-3を御覧いただきますと,これまでの第1回から第4回に掛けまして,先ほどの平成27年の推進会議決定を踏まえ,対象者を拡大し,科目や問題数を変えて実施してきたことが分かると思います。
 第5回の試験については,第4回の試行試験と同じ,憲法,民法,刑法の3科目とし,問題数なども同じ形式で実施することとしております。
 一方で,共通到達度確認試験の本格実施については,ワーキング・グループにおける検討と並行する形で準備,検討が進められ,全ての法科大学院が加盟する法科大学院協会と日弁連法務研究財団において,それぞれの団体の手続の中で,実施主体となることが決定しております。
 つきましては,本日の特別委員会におきまして,第5回試行試験をワーキング・グループで取りまとめられた形で実施すること,科目や問題の形式等,基本的な枠組みについて第5回試行試験のものを継承する形で,法科大学院協会と日弁連法務研究財団が実施主体となって,来年度から5年間,本格実施することを,御了承いただければと思います。
 なお,資料1-1を御説明する中で申し上げたように,本格実施においては,法科大学院1年生が原則として全員受験すること,また,共通到達度確認試験の成績を活用する方策は,各法科大学院において決定することとして,文部科学省においては,共通到達度確認試験を活用して未修者教育の改善につながる法科大学院の取組が推進されるよう,支援を行いたいと考えているところでございます。
 事務局からの説明は以上でございます。

【井上座長】
 ありがとうございました。
 ワーキング・グループの主査を務めていただいている山本委員,何か補足説明がございましたら,どうぞ。

【山本座長代理】
 補足ということではありませんけれども,この議論が開始されてから,これで6年,7年ということになろうかと思います。当初は,未修者教育の充実のための提案ということだったわけで,その後,いろいろと議論がなされましたが,最終的には,言わば元に戻ったということになって,未修者教育の充実ということに焦点を当てて,今後,本格実施がされることになったということで,私自身としては,非常に結構なことかなと思っております。
 今回で試行試験は最後ということになりますけれども,先ほど室長からもありました,新しい体制の下で本格実施がなされていくということですので,この試行試験の結果が円滑に本格実施に引き継がれて,本格実施が実りあるものになっていくように,私としてもお祈りしております。
 以上です。

【井上座長】
 ありがとうございました。
 以上の御説明等について,御質問等,御発言がございましたら,挙手の上,御発言願います。
 どうぞ,潮見委員。

【潮見委員】
 確認のためだけの質問です。
 来年の試行試験については特に異論はございませんが,本格実施の場面で,協会と法務財団が実施主体になって具体化していく。また,文科省もそこに関与していくという御趣旨だったと思いますが,本格実施をする場合のスケジュールとか,例えば,これは12月に実施するのか,1月にやるのか,2月にやるのかとか,あるいは,先ほどの資料1-1のところにも少し書かれていたように思いますけれども,欠席した者の扱いなど非常にセンシティブな問題等もあると思います。
 実施主体が法科大学院協会であり,また,日弁連法務研究財団であるということ自体は,別に何も申し上げることはございませんが,スケジュールや具体的な方策について,この特別委員会に事前にどのような形でその内容が示されるのか,あるいは示されないのか,そういう辺りについて,御教示いただけませんでしょうか。

【大月専門職大学院室長】
 今後,どのような形で特別委員会に報告するかについては,決まっておりませんけれども,実施主体となる法科大学院協会,日弁連法務研究財団との打合せをする中で,文部科学省がしっかりと関与して,試行試験から本格実施につながるようにしていきたいということ,また,適宜,本委員会等で御説明する必要があるだろうということが意見の中で出ておりますので,適時適切に御相談しながら行いたいと考えているところでございます。

【潮見委員】
 ありがとうございます。これは私個人の感覚ですけれども,例えば12月に実施ということになりましたら,まだ授業中であり,習っていないような分野もたくさんあるであろうと思います。それから,1月とか2月になりましたら,法科大学院は後期試験もありますし,それ以外のいろいろな学内行事等々もございますので,特に実施時期については慎重に検討をしていただきたいなと思うところもございます。
 協会の理事長もいらっしゃいますから,よろしくお願いいたします。

【井上座長】
 大貫委員にプレッシャーが掛かるようですが,当然,法科大学院協会は法科大学院の集まりですから,そういう実情を踏まえて検討が進むだろうと思いますし,そう期待したいと思います。ほかに何かございましたら。
 他に御発言がないようですので,これまでの審議を踏まえまして,本委員会として,平成31年度から共通到達度確認試験を本格実施するということについて合意ができたものと理解します。つきましては,これを本委員会の決定事項とさせていただいてよろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)

【井上座長】
 ありがとうございます。
 次の議題に移りまして,文部科学省の委託事業である,法科大学院における法学未修者への教育手法に関する調査研究につきまして,これも事務局の方から,まず説明をお願いしたいと思います。

【大月専門職大学院室長】
 お手元に,資料2「法科大学院における法学未修者への教育手法に関する調査研究概要」を御用意願います。
 資料にありますように,調査研究の目的としまして,3月13日付けで,本委員会で取りまとめていただきました,「法科大学院等の抜本的な教育の改善・充実に向けた基本的な方向性」で示された法学未修者教育の質の改善に関する提言を踏まえ,法学未修者に対する効果的な教育手法について,司法試験の累積合格率や教育活動の成果に関する客観的状況を踏まえた分析・検討を行い,法学未修者教育を行う法科大学院全体にその成果を還元するため,実施するものでございます。
 「内容及び方法(予定)」と書いておりますけれども,優れた法学未修者教育の実例やその手法等の体系化のために以下の調査を行うとされています。法科大学院に対するヒアリング及び実地調査や法科大学院教員の授業視察と教員・学生からのヒアリング調査,他学部卒,社会人経験者の学生,元学生からのヒアリング,アンケート調査等を行うということで,また,今後の法学未修者教育の改善に向けた提言を行うため,上記の調査結果を整理,分析した上で,研究者教員,実務家教員,法曹三者により構成される検討有識者会議において検討し,提言を行うとされております。
 スケジュール,こちらも,(予定)ですが,下の公募の経緯につきましては,6月19日に公募が一般競争入札で開始され,7月23日に開札で落札者が決定して,現在,契約手続を進めておりまして,8月上旬には契約,そして事業が開始されると考えているところでございます。
 その上の「スケジュール(予定)」のところでございますが,10月下旬頃に成果報告書の方向性(案)を作成いただいて,その後,本特別委員会において,その方向性について御説明を頂いて,御議論いただくことを考えているところでございます。
 また,参考として委託事業の仕様書を付けておりまして,別紙の2ページ目,7.調査研究の内容というところでございます。
 丸1,ヒアリング調査や実地調査等を通じて,各大学において行われている優れた法学未修者教育の実例やその手法等を体系化する。対象は,国内の10大学程度を想定する。
 丸2,上記を通じた知見を基に,教育課程や入学者選抜の在り方を含めて今後の法学未修者教育の改善に向けたエビデンスに基づく提言を行う。提言に当たっては,過去の本特別委員会のワーキング・グループなどの提言の成果や課題について分析し,多様なニーズに対応した種々の方策をパッケージとして提示すること。また,現在試行されている「共通到達度確認試験」を進級判定の資料として活用することを前提とした提言とすることとされているところでございます。
 簡単でございますが,事務局からの説明は以上でございます。

【井上座長】
 ありがとうございました。
 これは基本的には御報告ということだと思いますけれども,今の御説明について,御質問等がございましたら御発言を願います。
 どうぞ,有信委員。

【有信委員】
 一応,一般公開入札で対象者をお選びになったということですけれども,いつも気になるのは,一般公開入札をやると,一番大きな影響因子が価格ですよね。これはこれで,当然のことかもしれませんけど,価格の比重が大きいために,結果的に言うと,実力不十分なところが採択をされて,安値を入れて,結果的に出てきた報告書が,実は余り役に立たないという例もないわけではないような気がしています。
 この点に関して,例えば企画競争だとか,そういう御配慮をされたかどうかというのをお伺いしたいのですけれども。

【大月専門職大学院室長】
 価格の比重が大きいために,不適切なところが落札することがないように,技術点等に関してしっかり審査を行って,基準を満たさない者については落札にならないようにしているというところでございます。
 最初の手続からしっかりとした形で行われていると思いますが,なお一層,気を付けてやっていきたいと考えております。

【有信委員】
 まあ,それしか答えはないですか。

【井上座長】
 有信委員の御指摘の点は,共通到達度確認試験に限らず,一般競争入札一般に言えることですし,本案件については今説明のあったような配慮をしている。そのような説明を受けたということで,よろしいのではないかと思いますが。
 清原委員,どうぞ。

【清原委員】
 ありがとうございます。清原です。
 先ほどの共通到達度確認試験につきましても,資料2に基づく,法学未修者への教育手法に関する調査研究につきましても,未修者に対してしっかりと焦点を当てて,司法制度改革の趣旨にのっとって取組を進めていただいていること,大変重要だと思います。
 そこで,今回,単なる金額だけではなくて,技術点,あるいは,企画調整能力等も含めて評価されたということとともに,資料2によりますと,研究者教員,実務家教員,法曹三者により構成される検討有識者会議において検討して提言を行うということになっていること,とても重要だと思いまして,是非,このようなヒアリング,アンケート調査に法科大学院が御協力をしていただくことになるわけですから,それなりの時間的なこと,あるいは,コーディネートの御協力も頂かなければならないので,その成果物が必ず法科大学院の法学未修者教育へ還元されるようなプロセスの運営を,事務局としてはしていただきたいというお願いです。
 それから,1点質問でございますが,この資料の4ページ目に,調査研究の内容としては,国内の10大学程度を想定して行うとあります。この10大学を選択することにつきましても,有識者会議において御検討の上,対象を決められるのでしょうか。すなわち,法科大学院の特徴,これまでの未修者教育への実績等,幾つか類型化されて,その分析をされていくということが実態把握,つまりエビデンスの把握に重要だと思いますのと,あわせて,今後これを充実していくときの提言とも結び付くと思いまして,10大学となっていることにつきましての,現時点での選び方などについて,イメージがありましたら教えていただければと思います。よろしくお願いします。

【井上座長】
 大月室長,どうぞ。

【大月専門職大学院室長】
 10大学につきましては,これまで加算プログラムで選出されております未修者教育の優れた事例等を参考にしながら,本研究を受託される団体におきまして,設置される検討有識者会議を通じて決められると認識しているところでございます。

【清原委員】
 分かりました。今までの取組と,総合的に,関連付けながら取り組んでいただくことが有効な成果が上がることになると思いますので,加算プログラム等も含めて,是非この成果が,今までの御努力の評価とともに,今後の改善に結び付くように期待しています。
 ありがとうございました。

【井上座長】
 これまでも,本委員会でもワーキング・グループなどを作って検討してきたところでありますが,なかなか妙案に結び付くまでには至らなかったことは御承知のとおりだと思います。10大学についてはそういう点にも配慮して,できるだけ効果的な,生産的な結果に結び付くような調査をしていただければと思います。 次が,法務省及び文部科学省が共同実施しました,平成29年度法学部在籍学生に対する法曹志望に関するアンケート調査結果でございます。これについて,事務局の方から説明をお願いします。

【大月専門職大学院室長】
 お手元に,資料3「法学部に在籍する学生に対する法曹志望に関するアンケート調査結果」を御用意願います。本資料は昨年度,平成29年度になりますけれども,法学部に在籍する学生に対して行ったものでございます。
 この調査の趣旨でございますが,法学部に在籍する学生を対象に志望動向等に関する意識調査を行い,調査を通じて得られたデータを収集・分析することによって,法曹志願者の減少に関する要因等を把握し,今後の施策の検討に活用することを目的としているところでございます。
 この調査の対象は,アンケートの実施時点において,平成30年度以降,入学者の募集を継続することとされていた法科大学院を設置する大学のうち,法学部を設置している38大学の法学部1年生から4年生でございます。
 2ページ目が,対象者等でございます。対象者数は7万9,801人で,そのうち12.1%に当たる9,658人から有効な回答を得たところでございます。
 なお,本調査は平成28年に続き,2度目の実施となるものでございますが,前回調査におきましては,平成27年司法試験合格者数上位20校の法科大学院を置く大学の法学部生の1年生から4年生を対象として実施したものであり,本調査と前回調査とでは対象大学,対象者数が大きく異なることから,調査結果を比較する際には十分御留意いただく必要があると考えているところでございます。
 1ページおめくりいただきまして,第1,回答者の属性,1と書いているところを御覧ください。回答者の学年,年齢,性別の分布を記載しておりますけれども,やや1年生の数が多いですけれども,1年生から4年生まで,大体バランス良く回答を得ているという状況でございます。
 2ページ目でございますが,第2,進路の選択について,表及び円グラフは,将来の職業として考えているものの分布でございます。割合の高い順で,「国内企業」が27.5%,「地方公務員」が24.4%,「国家公務員」が16.3%,「法曹等」が13.2%で4番目となっているところでございます。
 続きまして,3ページ目が将来の志望に関する学年別の内訳でございます。学年が上がるにつれて国内企業を志望する学生が増加することが,4ページ目を御覧いただくと分かると思います。法曹を志望する学生は,1年次から4年次に掛けてほぼ横ばいという状況でございます。
 5ページ目を御覧ください。職業選択に当たり重視することでございます。割合の高い順として,「自分の興味・関心のある分野で活躍できること」,「経済的に安定していること」,「社会への貢献度が高いこと」などとなっております。
 6ページが,その学年別の内訳でございますけれども,ワークライフバランスは,学年が上がるごとにほぼ均等的に伸びているということでございます。
 7ページ目が,法曹等志望の有無でございます。「現在,志望している」が11.2%,「現在,選択肢の1つとして考えている」が11.7%であり,合計22.9%が現在志望又は選択肢の一つとして考えているということ,他方,「過去に志望していた」というのか8.0%,「過去に選択肢の1つとして考えていた」が21.2%,「志望していない(選択肢の1つとして考えたこともない)」というのが47.9%。
 8ページ目が,学年別の内訳でございます。
 9ページ目が,第3,法曹等志望の時期・進路・契機,法曹の魅力等についてでございます。9ページが,法曹等を志望した時期でございます。「現在志望・選択肢の1つとして考えている」学生,「過去に志望・選択肢の1つとして考えていた」学生,いずれも,「高校生」が高い割合となっているところでございます。
 10ページは,法曹等としての進路の分布でございます。「現在志望・選択肢の1つとして考えている」学生及び「過去に志望・選択肢の1つとして考えていた」学生のいずれについても,志望が高い順に,「弁護士」,「検察官」,「裁判官」となっているところでございます。
 11ページからは,法曹等志望の契機の分布でございます。「現在志望・選択肢の1つとして考えている」学生については,「法律に興味があり,法律に関する専門的知識を使った仕事をしたい」,「社会的弱者や困った人を助けるなど,人に役立つ仕事をしたい」,「テレビやドラマ等を見て法曹等に憧れを持った」の順に高いということでございます。
 13ページ,14ページを御覧いただきますと,「過去志望・選択肢の1つとして考えていた」学生についてもほぼ同様でございますが,テレビやドラマの影響が2番目に高くなっているというところでございます。
 15ページから18ページ目が,法曹等の魅力の分布でございます。「法律に関する専門的知識を使った仕事ができる」ことや「社会的弱者や困っている人を助けることができる」こと,「社会的地位・信用が高い」ことといった選択肢が高い割合を占めております。
 16ページ目を御覧いただきますと,「仕事の内容に多くの選択肢があり,自由度が高い」ことという選択肢が3年生,4年生で伸びているところでございます。
 次に,19ページ目から22ページ目は,法曹有資格者の活動領域の拡大についての現状認識や興味・関心の有無についての調査結果でございます。
 23ページ目は,法曹等の活動領域が拡大している分野のうち興味・関心がある分野の分布でございます。「現在志望・選択肢の1つとして考えている」学生においては,「中央省庁等の国の機関での勤務」,「企業内弁護士」,「地方自治体での勤務」の3点が高い割合となっているところでございます。
 続きまして,26ページ目から28ページ目が,法曹等を「現在志望・選択肢の1つとして考えている」学生が,法学部教育に期待することでございます。「一般的な法律知識や法律の考え方を身に付けること」が64.7%,「法的思考に基づいた議論や交渉を行う能力を身に付けること」が58.0%,「法曹等として活躍するために必要な専門的な法律知識や法曹実務の素養を身に付けること」が44.1%,「司法試験のために必要な能力を身に付けること」が37.3%となっているところでございます。
 29ページは,同じく,法曹等を「現在志望・選択肢の1つとして考えている」学生の司法試験予備校の利用の有無の分布でございます。平均すると,「講義・講座を利用したことがある」は27.2%でありますけれども,3年次は44%,4年次になると54.6%と5割を超えているところでございます。
 30ページから41ページ目までが法曹等を志望するに当たっての不安や迷い,断念の理由等に関する分布でございます。
 30ページは,「現在志望・選択肢の1つとして考えている」学生の迷いの有無であり,「不安や迷いを感じている」が48.6%,「少し不安や迷いを感じている」が34.6%であり,これらを合わせると8割を超えております。
 31ページ目は,その不安や迷いの内容でありまして,一番高いのが,「司法試験に合格できるか,自分の能力に自信がない」が64.0%,その次が,「自分に法曹等としての適性があるか分からない」が43.1%,「他の進路にも魅力を感じている」が37.0%。
 32ページ目と33ページ目が学年別の内訳でございます。
 33ページ目を御覧いただきますと,3年次,4年次に,「大学卒業後法科大学院修了までの経済的な負担が大きい」,「大学卒業後法科大学院修了までに2~3年の期間を要し,時間的負担が大きい」,「司法試験の受験資格を得るまでに複数の試験を受けなければならず,負担が大きい」など,時間的,経済的負担を不安や悩みに上げる割合が増えているところでございます。
 34ページ目から36ページ目は,「過去に志望・選択肢の1つとして考えていた」学生の不安や迷いの分布でございますが,説明は省略させていただきます。
 37ページ目は,「法曹等を選択肢の1つとして考えたこともない」学生の法曹等を志望しない理由の分布でございます。「他の進路に魅力を感じている」が61.9%,「自分に法曹等としての適性があるとは思えない」が52.2%,「司法試験に合格できるか,自分の能力に自信がない」が43.5%,「法曹等の仕事に魅力を感じない」が35.2%でございます。
 38,39ページ目が学年別の内訳でございます。
 40ページは,「法曹等を選択肢の1つとして考えたこともない」というものを選択し,その選択しない理由につき,「法曹等の仕事に魅力を感じない」を選択した学生のみを対象として,魅力を感じない理由の分布を示したものでございます。1が,「体力的・精神的に負担が大きい仕事だと思う」が58.4%,「訴訟対応が仕事の中心で活躍の場が限られている仕事だと思う」が24.3%,「ワークライフバランスの実現が困難であると思う」が20.7%。
 41ページ目が学年別の内訳でございます。
 42ページ目以降が,「現在,志望している・選択肢の1つとして考えている」学生を対象とした法科大学院への進学,大学在学中の予備試験の受験に関するものでございます。
 42ページ目は,法科大学院への進学予定の分布でございます。「進学するつもりである」が40.1%。
 43ページ目が学年別の内訳でございます。4年次以上になると,「進学するつもりである」が73.6%でありますが,他方で,「進学するつもりはない」が14.8%となっているところでございます。
 44ページは,「法科大学院に進学するつもりである」と回答した学生を対象とした,法科大学院の選択において重視する点でございます。1が,「法科大学院修了生の司法試験合格率が高い」が75.5%,「法科大学院における学修環境や大学の設備が充実している」が61.9%,「奨学金などの経済的支援制度が充実している」が33.4%でございます。
 45ページ,46ページ目が学年別の内訳となっております。
 47ページ目は,大学在学中の予備試験の受験予定に関することでございます。「受験するつもりである,又は受験したことがある」が40.9%。
 48ページ目が学年別の内訳でありますが,4年次以上となると,「受験するつもりである(受験したことがある)」が65.1%となっているところでございます。
 49ページ目は,法科大学院への進学予定・大学在学中の予備試験の受験のクロス集計の結果でございます。「法科大学院への進学予定・大学在学中の予備試験受験,両方を考えている」学生が21.7%,「法科大学院への進学は現時点では決めていないが,大学在学中の予備試験の受験を考えている」学生が10.8%等となっております。
 50ページ目は,大学在学中の予備試験の受験理由でございます。「少しでも早く法曹資格を取得し,実務に就きたい」が58.3%,「経済的負担を少しでも軽減したい」が52%,「就職等の面で有利であると考えている」が33.4%,「自分に適性があるか見極めたり,実力を試したり,法律の知識を身に付けるのに役立つと考えている」が28.5%でございます。
 51ページ,52ページが学年別の内訳でございます。
 53ページ目は,大学在学中に予備試験に合格した場合における法科大学院への進学予定の分布でございます。「進学しないつもり」が42.6%と最も高く,これに,「どちらかと言うと進学する可能性は低い」を加えると,6割以上にもなります。
 55ページは,大学4年次までに予備試験に合格しなかった場合の進路の分布でございます。「学部を卒業して,すぐに法科大学院に進学する」が68.7%。
 56ページ目が学年別の内訳でございます。
 58ページ以降に,このアンケートの調査票を添付しているところでございます。
 事務局からの説明は以上でございます。

【井上座長】
 ありがとうございました。
 それでは,御質問等がございましたら。
 磯村委員。

【磯村委員】
 確認ですけれども,今回と前回で,調査対象校が全然違うというのは,御説明があったとおりですけれども,調査項目自体は統一されているんでしょうか。あるいは,そこにも変化があるのでしょうか。

【井上座長】
 大月室長,どうぞ。

【大月専門職大学院室長】
 基本的に,同じ調査項目が多いわけでございますが,新たに三つ,調査項目を加えたところでございます。法学部教育に期待することなどについては,昨年度新たに調査したものでございます。

【磯村委員】
 今の前提で,同じ20校が含まれているとすると,期間の経過による変化については,このうちの20校に絞ってデータを見るというのは,できるという状況にあるということでしょうか。

【大月専門職大学院室長】
 そのような形は,取ることはできます。

【井上座長】
 有信委員,どうぞ。

【有信委員】
 全体をざっと見た印象ですが,前回の調査でも,法曹志望者が約3割いたと記憶しています。今回はそれが2割ぐらいになっており,全体の母数と回答した人との関係もありますけど,全体で考えると,法科大学院を受けるというポテンシャルのある人が,ざっと数千人入るわけですよね。
 例えば今回,900人のうちの2割という計算をしていって,母数が実際には大体8万人,9万人,いるわけですよね。ですから,その部分の比率で考えると,ポテンシャルとして法科大学院を受ける可能性のある学生はそれだけいるはずなのに,実際には,前回の調査も併せて考えても同じことが言えると思いますけど,受験生の数は極めて少ないということになっています。それから,様々調査をやっていて,法曹にどういうところで魅力を感じる,感じないというような調査もやられているので,できるだけ受験者数を増やすという観点で,幾つか,今回と前回の調査というのは,打つ手があるような気がするのですね。だから,是非,有効に活用していただければと思います。

【井上座長】
 どうぞ,丸島委員。

【丸島委員】
 学生に対するこのようなアンケートは大変貴重なものだと思いますが,より大事なことは,この結果から何を読み取り,どう発信するのかということだろうと思います。今日,拝見させていただいたばかりですので,更によく読み込みたいと思いますが関係者間ではこの結果から学生の状況についてできるだけ共通の理解を得るように努めなければいけないだろうと思います。
 一読したところで,私自身が印象に残るところは,一つは,法曹を志望する人,特に学部の4年生の段階で法曹を目指している人たちの中で,法曹を目指す動機や法曹の魅力は何かという問いに対して,社会的に弱い人々の立場に立って活動すること,そのほか何らかの社会的な役割を果たしたいということ,人権擁護や社会正義のために仕事をするということ,あるいは仕事の多様性や,選択の幅が広いことなどを挙げる人が比較的多く,そういう人が4年生になって増えているようでもあります。この点は,非常に有り難く喜ばしいことだと受け止めたいと思います。
 もう一つは,この間,法曹の活動領域の拡大を目指して様々な取組がされてきていますが,法曹を希望しない人たちの中では,こうした活動領域拡大の取組について知らないという人が極めて多いようであり,法曹希望者の認識とはかなり違っているようです。こうした多彩な分野での法曹の活動の広がりということについて,もっと学生に知ってもらう必要があるのかなという印象をもちました。
 さらに,法曹を志望する人の中でも様々な不安があり,法曹を志望しない人の理由も様々にあるようですが,やはり,その中で一番多いのは,司法試験合格に対する不安と,企業の就職状況がよいこともあって法曹以外の他の進路の魅力も高いということがあります。このように,司法試験の高いハードルと就職状況の改善傾向という二つは,法曹への志望をためらわせている大きな要素だろうと思います。
 後の議論にも関わりますが,司法試験のハードルの高さは,いまだに学生にとって大きな課題となっているわけであり,現在の制度が,選抜試験の制度ではなく,教育課程でしっかりと学修しその課程を経た多くの者が司法試験に合格していくというシステムをとっている以上,「3+2」であれ,「4+2」であれ,そうした制度がきちっと実質化していくことが重要なのではないかと改めて思いました。

【井上座長】
 ありがとうございます。
 よろしいですか。
 それでは,次の議題に移ります。法曹コースの制度設計及び法科大学院における入学者選抜について,御議論いただきたいと思います。
 事務局において3月13日付けで取りまとめられた,「法科大学院等の抜本的な教育の改善・充実に向けた基本的な方向性」や前回の議論を踏まえ,法曹コースの制度設計及び法科大学院における入学者選抜に関する事務局案を作成しているということですので,これについて,事務局の方から説明をお願いします。

【大月専門職大学院室長】
 お手元に,資料4「法曹コースの制度設計について(案)」を御覧ください。
 「1.法曹コースの意義について」でございます。
 法学部等が,自校又は他校の法科大学院と連携して体系的・一貫的な教育課程を編成し,法曹志望者や法学の学修に関心を有する学生に対して,学部段階からより効果的な教育を行うものであるということでございます。
 注として,法曹コースから法科大学院に進学するに当たっては,今回,後ほど出てきますけれども,書類審査や面接等を重視するような推薦方式の導入も可能とすることで検討が行われているわけでございますが,入学者選抜はあるということで,コースを修了した者が無条件に進学を保証されるわけではないということを,注意的に記載させていただいているところでございます。
 「2.法曹コースの要件について」でございます。
 教育課程の部分でございます。
 一以上の法科大学院と教育課程について協議し,その結果に基づき,当該法科大学院における教育との接続に配慮した体系的・一貫的な教育課程を編成することということで,これをブレークダウン,詳しく説明したものが枠囲いの部分でございます。
 法律基本科目に相当する科目を中心に,連携先の法科大学院における教育課程との連続性及び全体としての体系的バランスを確保し,より一層効果的な学修成果が得られる教育課程を編成することが求められるというところでございます。
 前回同様,実務基礎科目など理論と実務を架橋する教育については,原則として引き続き法科大学院で行うということ。
 一方で,法科大学院における双方向の少人数授業への導入として,法学部法曹コースにおいては,ゼミや演習科目の学修が期待されるということ。
 また,連続性に配慮した教育課程の編成の一つとして,優秀な学部生等を対象に,法科大学院科目の科目等履修等を推進するということでございます。
 その下,要件でございます。法科大学院の法律基本科目に相当する科目等について,法科大学院の既修者コースへの進学に必要な学識を培うことができる充実した教育を行うこと,これは抽象的な書きぶりでございますが,下の書きぶりがより具体的で分かりやすいかと思います。
 法律基本科目に相当する科目である憲法等の7科目については,法学部法曹コースにおいて開設することを必須とし,連携先の法科大学院既修者コースの学修に円滑に接続するための十分な範囲の履修を求めるということで,開設と履修の範囲をこのような形で整理しているところでございます。
 2ページ目でございますが,厳格な成績評価を実施することでございます。
 その趣旨として,特別選抜の対象となるから,評価を厳格に行う必要があるというのが一つ目です。
 二つ目は,これも注意的なものでございますが,繰り返し,厳格な成績評価が必要であると御議論されているところでございますけれども,既存の法学部や学科,またコースなどで,しっかりとした厳格な成績評価を行われているのであれば,それを上回るような成績評価は必要ではないということでございます。
 また,三つ目でございますが,法律基本科目に相当する科目については,最低限,論文式試験を課すことを求めるとしています。
 その下が,前回の本委員会で御紹介した,法科大学院と法学部の連携に関する調査研究のことを記載しているところでございます。
 その下が,希望する学生が3年間で無理なく必要な単位を修得し,早期卒業をすることが可能となるよう,教育課程編成上の配慮や,適切な学習指導の実施等についての教育上の配慮を行うこととしているところでございます。
 二つ目の丸でございますが,法曹コースの形態として,いわゆるコース制というのを採用するというのは一つありますけれども,それのみならずプログラムに登録した学生が指定された科目,例えば,法曹コースの学生のみを対象として,先ほど1ページ目で期待されるとした,ゼミや演習科目を受講することを必須とすることや,そのほか,学部・学科の全学生を対象とした科目を履修するような方式も可能とするとしています。
 その下の(留意事項)でございますが,二つ目の丸,法曹コースへの学生の振り分けは,時期や方法について各大学の柔軟な運用を可能とするということ。
 その下でございますが,大学教育の目的を踏まえて,一般教養科目については,他の学生と同様に履修することが必要であるということ。
 また,法学部の一般論としてでございますが,法学部においては,社会において法律が実際にどのように適用され,法曹がどのような活動をしているかを学ぶことができるように,法律実務家等による講義や講演の機会を設けるなどの一層の工夫が期待されるとしています。
 3ページ目が,制度の枠組みでございます。
 法曹コース(修了者)の質保証でございます。
 枠囲いのところの方が分かりやすいので,枠囲いのところに移りますけれども,法曹コースの質保証の観点から,少なくとも,法曹コースの要件設定・認定又は法科大学院における法曹コース出身者の特別選抜のいずれかを厳格に行うことが必要だが,制度開始当初は特別選抜に求める比重が大きくなると考えております。
 法曹コースから法科大学院に進学した者については,法科大学院に対する認証評価や加算プログラムにおいて,法曹コース出身者の司法試験合格率を厳正に評価するとしています。
 すなわち,「3+2」,学部3年で法科大学院既修者コースに進学する者の司法試験の修了後1年目の合格率については,これまでの実績以上となることを求めるということでございます。
 「4.法曹コース設置の効果について」でございます。
 法学既修者として,法科大学院の単位を修得したものとみなすことができるような上限については,これまで30単位とされておりましたが,一定程度,例えば10単位程度,緩和する。「基本的な方向性」3月13日付けではそのようにされているところでございます。
 その下がブレークダウンしたものでございますが,新たに法科大学院での既修得単位として認定する対象とする科目については,基礎法学・隣接科目や一部の展開・先端科目を想定しつつも,各大学の判断とするという形にしているところでございます。また,少し細かいのでございますが,法学未修者が2年次になって初めて学修する法律基本科目についても,既修得単位として認定する対象とすることとしています。
 続きまして,4ページ目でございますが,法科大学院との接続,すなわち,法科大学院の既修者コースの入学者選抜についてでございますが,これまでは法律基本科目について論文試験を課すということが必須とされてきたところでございますが,法学部法曹コースにおいては一定の質の保証がなされるということから,書類審査や面接等を重視する推薦入試も含めて,特別選抜の対象とするとしております。
 特別選抜の規模感でございますが,特別選抜枠は,各法科大学院の定員の5割を上限として,かつ,原則として実入学者数の2分の1を超えないこととするということ。推薦方式の対象については「定員等」と書いておりますが,これは基本的に,その上の書き方と同じで,定員が原則でございますけれども,実入学者数で定員が満たされていない場合には,実入学者数を基本として,その4分の1以下とするということでございます。
 ただし,「実入学者数」の考え方につきましては,志願者に不利益を及ぼさないように留意しつつ,事務局において検討することとしております。
 特別選抜の方法でございますが,原則として,学生自らが応募する方式であり,指定校推薦というような形ではないということでございます。
 推薦方式の対象は,連携先の法曹コース修了予定者に限定するということ。なお,推薦方式を導入するか否かは,各法科大学院の判断に委ねることとするとしております。これは,推薦方式の対象について連携先に限定するというのは,前回机上資料としてお出しした二つの違う考え方のうちの一つを採用するということでございます。
 その下,法曹コース修了予定の3年生が,法律基本科目に相当する科目の履修が終わらない状況で既修者コースの特別選抜を受験することが一般化する可能性を踏まえまして,過去の整理を改める。すなわち,8月や11月の選抜において,例えば憲法,民法,刑法,また,それに加えて,例えば商法だけを課して,2月に訴訟法や行政法について既修者認定を行うような配慮を認めるべきではないかということでございます。
 開放性の理念との関係でございますが,同一の選抜方式の中で,自大学の法曹コース出身者と,連携先の他大学の法曹コース出身者について異なる取扱いをしないことを原則とするとしております。
 その下でございますが,特別選抜及び一般選抜において自大学の優先枠を設けることは認められず,推薦入試を含めて,特別選抜枠の合格者についても他大学の受験を認めることとするということ。ただし,地方においては,十分な司法サービスの提供を担う法曹を確保することが不可欠であるに鑑み,地方大学枠は認めることとしております。
 この地方大学の考え方でございますが,従来,加算プログラムにおいて,7大都市圏,かつ加算プログラム第1類型があるところが大都市,それ以外が地方という形に整理しておりまして,基本的にその整理を適用することを考えているところでございます。
 その他,特別選抜枠の設定に伴いまして,競争倍率に係る客観的指標,これは入試の選抜ですけれども,2倍以上というのが望ましいとしておりますけれども,推薦で採られることによって,一般選抜枠の倍率が下がるというようなことがあることから,事務局において,そのような場合にも適切に,2.0倍を切ったから,また,1.9倍を切ったから駄目だということにならないように,検討するとしているところでございます。
 この点で,資料4は別紙を用意しまして,「連携先の法科大学院においてのみ推薦方式の選抜を受験可能とする場合」ということでございます。
 先ほど申し上げたようなことを書いているところでございますが,特別選抜枠には,いわゆる推薦入試とそれ以外のものがあり,推薦入試の対象となるのは,法科大学院と連携している法学部の法曹コースです。これは,自大学の法曹コース出身者と,できれば他大学ができることが望ましいわけでございます。自大学の法曹コース出身者と連携先の他大学の法曹出身者について,試験の選抜に関して,他大学については特別な何か試験を課すとか,異なる取扱いをしないことを原則とするとしておりますけれども,連携を促進するに当たり,入試の連携がハードルとなるということであるのであれば,その部分については考慮する必要があることから,「原則とする」というような,一定程度,例外の余地を認めているところでございます。
 一方で,連携先及び連携先でない法科大学院の特別選抜でございますが,このような部分に関しまして,特定科目の試験について,自大学だからとか連携先だから免除するというようなことは,認めないとしているところでございます。
 また,その下に書いていますけれども,推薦方式は,書類審査や面接等を重視する入学者選抜で,繰り返しになりますが,推薦方式を導入するか否かは各法科大学院の判断としているところでございます。
 資料4の最後,4ページ目でございますが,法曹コースのスケジュールについてでございます。平成32年度の学部2年生を対象に制度を始めることができるように,国,当省が必要な制度的措置を講じるということを考えているところでございます。
 事務局からの説明は以上でございます。

【井上座長】
 ありがとうございました。
 まず,意見交換に入る前に,この案の記載と今の大月室長による説明について,不明な点がございましたら御質問いただければ。どうぞ。

【日吉委員】
 確認的な質問です。3ページの上の,いわゆる質保証の箇所の枠組みの中の丸の上の部分でございますけれども,「制度開始当初は特別選抜に求める比重が大きくなる」という記載の読み方というか,その心なのですけれども,その2行前に,「法曹コースの要件設定・認定又は」,「特別選抜のいずれかを厳格に行うことが必要」なところというような記載がある中で,「制度開始当初は特別選抜に求める比重が大きくなる」と書いてあるという,その理由ですが,制度開始当初は,各大学に特別選抜のやり方も,裁量を認めて,考えてもらって,やってみるけれども,やってみて必要に応じて,必要だということになったら,法曹コースの要件設定,あるいは認定制みたいなものの導入も考慮していく,こういうふうに読むべきなのでしょうか。その辺り,お教えいただければと思います。

【大月専門職大学院室長】
 事務局としては,先生の解釈とは違う趣旨で記載させていただいたところでございます。本委員会でも繰り返し議論が出ておりますけれども,法曹コースの要件設定か,特別選抜のいずれかを厳格に行うことが必要であろうと,たくさんの委員から御発言がなされているところでございますけれども,それは当然そのとおりだと認識している中で,最初においては,全てのところが厳格な成績評価,どこの法曹コースにおいても,修了生の質保証が一定水準以上でなされているということは,なかなか難しいだろう,少し時間が掛かるだろうということで,やり方はいろいろあると思いますが,最初はやはり特別選抜においてしっかりと行っていただく必要があるという趣旨で書いているところでございます。
 ちょっと不明確な点があり,誤解を招いたところがあるかなと思います。

【井上座長】
 よろしいですか。

【日吉委員】
 すみません,「制度開始当初は」と書いてあるというところにちょっと,どういう意味なのかなと思ってしまうわけですが,制度を導入してからしばらくたったら,特別選抜とは違う考え方で質保証をしていくという意味が込められているのでしょうか。

【井上座長】
 今,説明を伺った限りでは,「必要だが」のところまでの文章と後の文章の意味合いが違うのですね。つまり,どちらかを取ることが必要だというのは,パーマネントなことなので,最初から要件設定でもできるならば,そちらを選んでもいい。特別選抜の方を選んでもいい。しかし,後の文章は,観測みたいなものですよね。
 ですから,この後半部分は分けた方がよい。あるいは括弧付きとか注付きにするのがいいかもしれません。後の文章は,事実上はこっちの方の占める比重が大きくなるだろうということですよね。

【瀬領委員】
 関連して,前回の事務局ペーパーでは,法曹コースの要件に関しては,公的な認可というか,認証という制度を作るというようなことが一文あったと思うのですけれども,今回それがないということは,それは今回やらずに,質保証を選抜の方に委ねると。したがって,どういうものを作るのかということは,基本的にはここで一定の水準を確保するということだけれども,制度的に認可認証というプロセスは取らないという趣旨と理解してよろしいでしょうか。

【井上座長】
 どうですか。

【大月専門職大学院室長】
 もともと認可というようなことは考えておりません。ただし,認定等々については,そういうやり方もあるかなと考えてきたところでございます。
 ただし,今回,その記述を全く落としているところにつきましては,事務局において,様々な観点から,全体の法曹養成改革の中で,どのような制度設計をしていくか,法制的な点について詰めている中で,まだ,認定というような形にするのか,届出というような形にするのか,そのような点について詳細を詰めており,ちょっと固まっていないということから,このような,特に記述としては入れていない。今回は基本的に,固まっている部分についてお示しさせていただいているということでございます。

【井上座長】
 よろしいですか。
 どうぞ,大貫委員。

【大貫委員】
 大分,法曹コースの概要が分かってきて,何よりだと思います。学部の先生からよく聞かれるのは,法曹コースの内容は一体どういうふうになるのかが分かりにくいので,できるだけ明確にしてほしいということをよく言われますので,大分まとまってきて,大変良いことだと思っています。
 質問ですが,2ページの「厳格な成績評価を実施すること」というところで,丸の二つ目,「相対的に厳格な成績評価を実施することを求めるものではなく,特別選抜時の判断材料として利用可能な水準である限り,評価基準は他のコースと同じものであることも認める」,やや分かりにくいのですが,ここの書き方で,次のような成績評価の仕方は可能かということをお聞きしたいんです。
 多分,認定基準を変えるというのはなかなか難しい。例えば法曹コースの科目として開講されていて,ほかのコースの学生さんが受けるという事態もあるので,これを二重基準にするのは非常に難しいだろうと思います。そういったケースなどを考えますと,一応,基準は一つであっても,法曹コースの卒業の単位等を取ったという認定をしてもらうのは,例えばAとBを取ったときだと。AとBを取らなければ法曹コースの単位は認定できないとか,そのような評価の仕方はあり得ると思いますが,それは認められないということでしょうか。

【大月専門職大学院室長】
 厳格な成績評価については,どのような形で例示をすることになるのか,これからしっかりと詰めていかないといけませんけれども,今,大貫委員がおっしゃったようなことは,一つ考えられるものかなと思います。

【井上座長】
 この記載事項,あるいは先ほどの説明についての質問は,このぐらいでよろしいでしょうか。また適宜,意見交換の中で,質問を含めて御発言いただければと思います。
 それでは,意見交換に入りたいと思います。
 法曹コースの制度設計,特に今回は事務局として,法科大学院における入学者選抜について,初めて具体的な形で,一つの案が示されたわけですけれども,これを中心に,御発言を頂ければと思います。
 どなたからでも。どうぞ。

【瀬領委員】
 今の座長の発言もありましたので,そちらの接続の方からお聞きしたいのですけれども,一つは開放性のところで,「異なる取扱いはしない」と書いてありますけれども,例えば出願資格のところで,例えば自大学出身者と他大学出身者の間で,GPAで差を付けるというようなことも,考えようによっては考えられると思うのですけれども,そこで,GPA等によって,自校は少し低め,他校は高めとかそのようなことも,ここで言う異なる取扱い,差別というふうに理解していいのかどうなのかということ。もう一つは,先ほどの御説明だと,法曹コース修了者については,連携先以外のところも含めて,全部オープンに受験を認めるということだったと思いますけれども,資料4には記載されていませんが,そんな理解でよろしかったでしょうか。

【大月専門職大学院室長】
 1点目のGPAのところでございますが,自大学の学生の方が相対的に優秀であって,他大学の連携するところの方が相対的にそれよりは高くないということであるのであれば,いわゆる推薦入試に限っては,それを踏まえた上で設定していただくことについては問題ないと考えているところでございます。
 2点目について,繰り返しの御説明になりますけれども,特別選抜,一般選抜においても,自大学の優先枠を求めることは認められない。また,推薦入試を含めた特別選抜枠の合格者についても,他大学受験を認めることとする。一方で,連携先につきまして,結果的に自大学だけしかなければ,推薦入試の対象は自大学だけとなるということかなと考えております。

【井上座長】
 では,片山委員。

【片山委員】
 法曹コースの制度の枠組みがかなり明確になってきたと思いますし,それから,入学選抜における特別選抜枠のイメージもかなり具体化してきたということで,非常に議論が進んでいるのではないかと思いました。
 他方,特別選抜枠の推薦制度に関しまして,4ページの説明ですと,特別選抜の方法の二つ目の丸ですけれども,「推薦方式を導入するか否かは,各法科大学院の判断に委ねる」,あるいは一番下のその他のところで,「競争倍率に係る客観的指標については」,「限定適用する」というような書きぶりになっているという点で,質保証ができるのかという点が若干気になっているところでございます。
 推薦制度に関しては,学部成績をメーンで選抜しますということが書かれているわけですけれども,他方,2ページの一番上の厳格な成績評価を実施するということで,二つ目の丸のところですけれども,「評価基準は他のコースと同じものである」ということですので,それを前提としたGPAの成績での評価ということだけで,果たして推薦が可能なのかという点は非常に危惧されるところでございます。
 法科大学院におきましては,授業等ではソクラテス・メソッドとか,あるいは,特に今,ケース・メソッドを中心とした授業をきちんと行うことが前提となった上で,その上で期末試験を行い,そして成績評価を行っているということが大前提となりますので,やはり学部の成績評価に関しましても,少なくともそのようなケース・メソッドを行うような演習形式の授業,そこでの成績といったものを前提とした上での推薦制度といったものを確保していくような方法が必要ではないかなと思っているところでございます。
 要するに,従前,既修者の認定は,既修コースに関しましては,入試の事例問題を前提としたような問題で力を評価していたわけですけれども,それを学部の法曹コースの中における授業の定期試験で確実に実施できるような枠組みがあることが推薦の大前提になるのではないかと思っているのが1点でございます。
 それから,競争倍率に関しましては,現時点で志願者が減っている中でも,法科大学院の水準が一定程度維持されている理由の一つに,入試段階での競争倍率の確保ということがございまして,どのような制度設計にするとしても,その中で競争原理が機能するということは非常に重要かと思っております。現時点の既修者に関しましては,既修者の入試での2倍ということが確保されているわけですが,推薦制度を導入するということであれば,法曹コースの中で,自主的な競争倍率の確保ということが必要で,少なくとも2年生の段階で法曹コースに入った学生に対して,全員修了できるとか,あるいは全員推薦の対象になるとかということであっては困ると思いますので,その点で,法曹コースにおける競争倍率の確保ということが何らかの形で記載されていることが必要ではないかと思った次第でございます。
 以上,2点でございます。

【井上座長】
 1点目は,必ずしも全ての法科大学がそういうポリシーを取っているわけではないのではないかと思います。大学によって違うのではないですか。既修者認定は事例問題的な授業を前提にするということについても,むしろ多くの大学がそういうことを前提にしていないと思います。そして,この書き方でも,特定のロースクールがそういうことを要求することは可能なのでしょう。 2点目は御意見ということでよろしいでしょうか。
 どうぞ,樫見委員。

【樫見委員】
 2点お伺いしたいのですが,まず,最初のところにあります,1ページ目,「教育課程」のところで,法科大学院科目の共同開講科目の履修ですが,ここのところで,法科大学院の科目を学部生に開放するとした場合に,クラス規模といいますか,クラスの人数については認証評価基準が適用されるかと思うのですが,その場合,法学部生が共同開講されたクラスに非常に多く参加した場合,人数編成の基準といいますか,評価基準を逸脱した場合には,2クラス設けなければいけないとか,そういう話になるのかというのが1点です。
 もう1点の御質問は,4ページ目にあります「特別選抜の規模感」のところなのですが,この基準そのものについて異論を申し述べるつもりはないのですが,例えば非常に小規模校の場合に,金沢大学法科大学院ですと15人程度なのですが,一人,二人で大分,この基準を厳格に適用されると,かなり厳しい状況になってくるのではないかと思いますので,やはり少し,中規模,大規模校と比べて,非常に小規模校における特別選抜の規模感については,柔軟な対応をお願いしたいというのが1点でございます。

【井上座長】
 1点目は,御質問ということですか。

【樫見委員】
 質問です。

【井上座長】
 大月室長,どうですか。

【大月専門職大学院室長】
 基本的に,今回,制度改正を行って,必要なものについては行う必要があると考えております。それに伴って,認証評価基準についても見直しをしていただく必要があろうかと思っておりますけれども,今の委員の御指摘の部分については,基本的には,現時点ではやはり守っていただく必要があるのかなと。その基準を超えるのであれば,2クラス設けるとかいうことが基本ではないかなと思っています。

【井上座長】
 有信委員,どうぞ。

【有信委員】
 非常に詳細な検討で構成ができているので,これはこれで,よく考えられていると思います。
 ただ,2点あります。1点,気になるのは,法曹コースの学生についても,ベースとしての一般教養等々について十分に学修すべきことを補足としてきちんと書くことを絶対に忘れないでほしいということです。つまり,完全に法律しか知らない人が法科大学院に進むという形にならないようにと是非強調してほしいというのが一つ。
 それから,今まで議論されている部分で気になるのは,いわゆる三つのポリシーで,アドミッション・ポリシー,カリキュラム・ポリシー,ディプロマ・ポリシーを明確にしなさいという話になっているのだけれども,ここで書かれているところの一部は,各大学が作るべきアドミッション・ポリシーにかなり関わる部分になっているわけですね。ですから,別にアドミッション・ポリシーをここで一律に決めるべきだということではなくて,各大学が,こういう形を取るとアドミッション・ポリシーを見直さなければいけない。それからもう一つは,カリキュラム・ポリシーに関しても多分,一定程度の見直しは必要だろうということで,そういう観点からの大学に対するガイドが必要になるかなというのは,ちょっと老婆心ながら心配をしているので,是非よろしく御指導をお願いしたいと思います。

【井上座長】
 ほかにいかがでしょうか。

【加賀委員】
 入試のことなのですけれども,ここに書かれていないだけで,今後,検討されることになる,また,示されることになると思うんですけれども,入試を考えた場合に,一般選抜と特別選抜,いわゆる推薦入試というのは,順序的には推薦入試の方が先になる可能性が非常に高いわけですよね。そうなると,各大学がどのぐらいの時期に推薦入試を設けてくるのかというのは,先ほどの片山先生の質保証,実力の涵養(かんよう)ということと絡んで,すごく大事なことになるように思います。
 特に,3年で早期卒業してくるというときに,3年前期,春学期に推薦入試が行われるというのは,学部成績メーンで選ぶというのは一体どういう意味なのかといったら,2年間の成績で考える。もっと言うと,法曹コース,一般論で言うと,2年次から頭から入るといったときには,1年間の学部成績を重点的に見て考えるということになりかねないと思うんですね。
 ですから,恐らくは法曹コースの修了を条件とする推薦入試合格みたいなお話にならざるを得ないのかなと,具体的に言うと。こんなことを,具体化していくときには考えてしまうのですけれども,その意味で,学部の場合は,9月までは推薦入試をやるなというのが固く入試の世界では打ち出されていて,守られているような話になっていますけれども,それが,法科大学院の世界で全く同じ時期設定でいいとは思いませんけれども,そこのところは,先ほどの質保証の観点とあいまって,どうするかということは今後検討が必要かなと思います。

【井上座長】
 では,磯村委員。

【磯村委員】
 3点についてなんですけれども,まず,1ページ目の一番下の箱書きのところですけれども,基本7科目について,「開設することを必須」とされているので,これは,履修することは必ずしも全部が要件にはならないという趣旨だと思いますけれども,そうすると最後の行の,「円滑に接続するため十分な範囲の履修を求める」というときの「十分な範囲の履修」について,何か要件設定を考えているのか,あるいはそれとも,それは当該連携先の法科大学院との協議で決まるということでいいのかというのが,よく分からないところがありました。
 2点目が,今度は,3ページ上の制度の枠組みの箱書きの二つ目の丸のアスタリスクの部分ですけれども,「「3+2」の対象者については」という限定があるのですけれども,法曹コースとして考えるときに,仮に,「4+2」型の法曹コースを想定する法科大学院特別選抜枠を考えるのであれば,そこは同じではないかなという気がするので,「3+2」に限定することがいいのかどうかということをお尋ねしたいと思います。
 最後が,4ページの特別選抜枠の方法のところの三つ目の丸ですけれども,従来,法学既修者認定試験については一括認定を行うというのが原則であったけれども,それを修正するということですが,これが特別選抜の関係で例外を設けるのか,あるいは,一般入試についても同じように2段階式の入学試験を認めるのかというのがよく分からないので,その点についてもお伺いしたいと思います。
 以上です。

【井上座長】
 三つ御質問ということですか。

【磯村委員】
 はい。いずれも質問です。

【大月専門職大学院室長】
 1点目でございますが,これは連携先の法科大学院との協議で決まると理解しております。
 2点目でございますが,前回も御意見がございましたが,基本的にこれは,2ページ目にありますように,希望する学生が3年間で無理なく必要な単位を修得するということなので,3年プラス2年で,結果的に4年プラス2年になることも想定していますが,3年プラス2年というのを推進していこうという中で,ただ,先ほどの片山委員からの御発言も,質の保証等に対する懸念であったと理解しておりますので,3年プラス2年について,修了1年目についてはやはり厳格に見ていく必要があるのではないかという趣旨でございます。
 そのほかにどういうことを考えていく必要があるかというのは,また検討していく必要があろうかと思っております。
 3点目でございますが,まず,基本的に特別選抜について,これまでの一括認定について見直すということでございます。一般入試についても広げるかどうかという点については,先ほども加賀委員から,推薦入試の時期等々について何らかのルールが必要ではないか等もありましたので,今後の入学者選抜の在り方について議論する中で,必要であるのであれば,一般入試についても認めることは検討することがあろうかと思っております。
 なお,事務局としては,入学者選抜に関しまして,大学の自治に関することで,極めてデリケートなことですので,余り国がどうこうと言うべきではないというのは理解をしていながらも,一方で,学生の動向や,学生が,ある法学部に入ったからある法科大学院には行きづらいという事態を避けるために,最低限のものは決める必要があろうかということで,今,御議論いただいているところでございます。
 以上でございます。

【井上座長】
 2番目の点は,恐らく特別選抜の中でも,「3+2」という,学部の年限を短縮していますので,その質保証のために,今までの実績以上ということが出てきているのだろうと思います。これを「4+2」に広げた場合,そこのところがなくなってしまう。そういう趣旨から区別されていると理解しましたけれども。
 それでは,中島委員。

【中島委員】
 加賀委員の御質問と関連して,実はちょっと確認をしたい点がまず1点ございまして,特別選抜の時期に関しては,この間,私も発言をしてまいりました。先ほど加賀委員の方から,推薦の方が,順序が先というような御趣旨の発言があったと伺っておりましたけれども,学部入試の場合にはそういうイメージでいいのかなと思うのですが,この書面では「推薦」という呼称を採用しておりますけれども,学部の推薦入試でイメージするとちょっと誤解を招くのではないかと思います。
 つまり,学生自らが応募する方式というわけですから,最終的に入学するロースクールは学生が決めるということになるのではないか。推薦で合格したロースクールに入学しなければならないというのではなくて,最終的には,一般選抜で第1志望のロースクールに合格すれば,そこに入学するというような制度設計になっている,そのように理解してよろしいのでしょうかというのが1点目の質問です。
 それから,2点目は意見のようなものですけれども,加賀委員がおっしゃった,つまり早期卒業で学生を選抜する場合に,どの成績を評価対象とするのか。それはロースクールから御覧になる場合にはそういうことになろうかと思いますけれども,学部の方から学生を卒業認定して送り出すということでいいますと,やはり質を保証して,責任を持ってロースクールに進学できるような条件を整えるというのは,学部側も責任を持った判断をしなければならないかと存じます。
 現在,私の所属している大学では,早期卒業の場合,GPAが3.6という高い基準になっていまして,どうも幾つか他の大学を調べましたところ,ここまで高い例がないらしく,少し緩和をする方向で検討を始めております。それにしても,学生さんが逆に誤った進路選択をしないような責任も負うことになろうかと思いますので,学部側もそれなりに見極めが必要なのかなというのが2点目の意見でございます。
 3点目が,樫見委員の御発言に触発されてということなのですが,特別入試の規模感についてですけれども,この書面にも,志願者の不利益にならないような形での具体案を事務局の方で検討していただけるということで,大変安心しておりますけれども,この制度をうまく生んで育てるためには,安定的な運用というか,何とか軌道に乗るまでは,かなり柔軟な考え方を取る必要があるのではないでしょうか。
 つまり,規模と質の面で,ある程度制度が結果を出せるような状態になるためには,とりわけ実人数を分母とした制約を課すというのは,非常に難しい事態が予測されますので,その辺り,制度の予測可能性とか安定性といったところに配慮していただいて,円滑な制度の滑り出しに配慮していただけないかという,3点目はお願いでございます。
 以上です。

【井上座長】
 1番目は御質問ということですね。

【中島委員】
 はい。

【井上座長】
 では,大月室長。

【大月専門職大学院室長】
 すみません,1番目だけ,ちょっと正確に理解できなかったので,もう一度おっしゃっていただけますでしょうか。

【中島委員】
 すごく単純に言いますと,受験生は推薦入試,それから,連携先以外の特別選抜,一般選抜,どれも受験することができて,最終的には受験生,学生さんは,自分の志望度の高いロースクールの入学を決めていくのではないか,そういう制度設計になっているという理解でよろしいでしょうかということです。

【大月専門職大学院室長】
 推薦入試については,設けるところと設けないところがあって,連携先以外も対象とする特別選抜についても同様で,一般選抜と「同一試験日に同一内容の試験を実施することも可能」としております。
 ですので,学生が2種類以上の試験を受けて,結果的にはどのルートで合格しても,推薦方式の特別選抜を受けても,他大学の試験を受けることを認めるわけでございますが,先生のおっしゃるような形になるのかなと考えております。

【井上座長】
 清原委員,どうぞ。

【清原委員】
 ありがとうございます。清原です。一つの質問と一つの意見を申し上げます。
 一つの質問はこういうことです。このたびの法曹コースというのは,一以上の法科大学院と教育課程について協議して,体系的・一貫的な教育課程を編成することとなっています。最近,法科大学院で募集を停止するところがあり,地方に行くと法科大学院の数が減り,全国的な偏在が課題となっています。したがって,法科大学院がない大学の法学部でも法曹コースを,別の地域にある法科大学院と提携しながら,作ることができるというところにも意味があると思っています。
 そういう認識でおりましたところ,4ページの法科大学院との接続というところでは,例えば特別選抜の場合には,いわゆる指定校推薦というのはしないというような説明があったように聞こえました。また,しかしながら,開放性の理念との関係では,同一の選抜方式の中では,自大学の法曹コース出身者と連携先の他大学の法曹コース出身者について異なる取扱いはしないということを確認の上で,あわせて,地方大学枠は認めるとあります。
 ですから,地方大学の法学部の法曹コースの法科大学院との連携を奨励しつつ,しかしながら,いかに公正中立にしていくかというところで,こういう記述があるのかなと思いますけれども,それでは,この場合の地方大学枠というのは,どういうふうに考え,そして,その意義を実現していったらいいのかということについて,もう少し具体的なイメージをお示しいただければなというのが質問です。
 2点目は意見です。今回,先ほどの法学部の学生へのアンケートで,法科大学院の司法試験等に関する不安の第1位が,司法試験に合格できるか,自分の能力に自信がないという,謙虚といえば謙虚ですが,自己肯定感をなかなか持てない悩みが披瀝(ひれき)されました。これが1位でした。私,法曹コースの意義というのは,やはり法学部で法曹コースを受講した学生におかれては是非,自分の能力に自信がないというような答えを,未来のアンケート調査では1位にならないような教育というか,自信を持たせてあげたいなと感じたものですから,これは意見というか,願望ですけれども,もっと自信を正直に披瀝(ひれき)できるような法曹コースが作れればなと思いました。
 以上です。よろしくお願いします。

【井上座長】
 1点目は御質問ということですが。

【大月専門職大学院室長】
 原則などをもう少し整理する必要があろうかと思っておりますが,繰り返しになりますが,地方に在住するような法学部法曹コースの学生に関しては,各法科大学院において地方大学枠を認めるということで,当該大学に合格したら当該大学に進学してもらいますという条件の下で,優遇枠を,各法科大学院の御判断でありますが,認めるということでございます。
 それを促進する具体的な方策については,一つは,各法科大学院に御紹介した加算プログラムがあろうかと思っておりますが,制度的にどのようなことができるのか,そのほかにどういうことができるのか,もう少ししっかり考えていく必要があろうかなと考えております。

【井上座長】
 どうぞ。

【笠井委員】
 今回,この制度設計について事務局案を出していただき,「3+2」の輪郭が相当程度明らかになっている点を,まず事務局に感謝したいと思います。
 ただ,ちょっとひっかかる部分として,2ページの四角の3番目,揚げ足取りに聞こえるかもしれませんけれども,「希望する学生が3年間で無理なく必要な単位を修得し」と,この「無理なく」というのは一体どういう意味なのかと。
 これまで「4+2」と「3+2」の議論がありましたけれども,4年でやるところを3年でやるということが,もともと無理を象徴,暗喩しているとも読めるわけですね。それを3年でやるということは,法曹コースにおいても,基本的には法律基本科目(実務基礎科目を含めて)を中心とするカリキュラムを組むことになってくる可能性があるかなと。
 早期卒業をさせ,次の3ページにある,法科大学院の修了後の司法試験合格率が,どうにか,これまでに比較して良い結果が得られる場合,「3+2」はもともと無理をはらんだ期間ではないかと読めないわけではないわけです。表現の問題であろうと私は思っているのですけれども,もうちょっとうまく何か表現できないのかと思います。
 以上です。

【井上座長】
 「無理なく」の趣旨はどういうことかに関わってくると思うのですけれども。

【大月専門職大学院室長】
 表現については,より適切な表現があろうかと思っております。
 ただ,先ほども書いておりましたようなプログラム的なやり方もあろうかと思っておりますが,ここの趣旨としては,コース在籍者,プログラムの登録者については,3年間で学生個々人が何か特別なことをしなくても,きちんと成績等基準を満たしていればということもあろうかと思いますが,必修単位と選択必修の科目等について,特段,学生が苦労せずに,修得できるよう配慮されているとか,そのような趣旨として書かせていただいているところでございます。

【井上座長】
 良い成績を取ってもらうためには頑張ってもらわないといけないですけれども,今の趣旨だと,「無理なく」というのはなくてもいいわけですよね。3年間で可能となるような配慮をするということでいい。そう書いても,頑張れば可能という趣旨になるのではないですか。
 表現の問題だと思いますので,今のような趣旨に沿って,また,削るなり,別の表現をするなり,お考えいただければと思います。
 どうぞ。

【鎌田委員】
 関連で,この新しい制度は,法科大学院との接続だけじゃなくて,3年早期卒業を従来よりも容易にできるようにするということが狙いの一つだというふうに,これまでの議論の中で理解してきたのだけれども,従来の早期卒業と比べて,どこがどう容易になるのかというのが,これを読んでいると,やっぱりよく分からないので,どういう要件を備えたときには,今までではちょっと無理そうだったのを,これからは3年卒業させるのか。その中に,どこかの法科大学院に入るという要件が付け加わるのかどうか。
 卒業制度からいくと,卒業した後,どこへ行こうが,そこまで干渉して卒業認定を判断するというのは難しいのではないかと思っているので,新しい制度の3年卒業はどういう要件かについて,分かりやすい整理を,していただかないと,学部の方の判断が難しくなるのではないかと思いますので,そこを明確に記述してほしいと思います。

【井上座長】
 そろそろおしまいの時間を意識しながら御発言いただきたいと思いますので,御意見のある方は早めに御発言を頂きたいと思います。
 では,どうぞ。

【酒井委員】
 少し細かい点になってしまうのですけれども,教育課程の部分も,先ほども出ましたが,科目等履修や共同開講科目の履修を推進するという部分に関して,これは当然想定されることかと思うんですけれども,例えば,未修1年生の法律基本科目ですとか法情報検索等の周辺,関連科目なども,共同の受講が想定される科目に入ってくると思うんですけれども,そのときに,優秀な法学部生の方で最短で司法試験をクリアしようという勢いの学部生と未修1年生が一緒に勉強するということが当然想定されるかと思うんですけれども,そのときに相互に,もちろん良い影響があれば,当然それが一番だと思うんですが,未修1年生の最初の時期というのは,未修者が導入に非常に苦しむ時期でもありますので,そういったときに,未修者の方の勉強のペースが乱れるとか,あとは,実質その授業が学部生の方の,共同受講生の方が実際のメーンターゲットになってしまうというような事態はあってはならないことで,今回,未修教育の研究も本格的に開始するところかと思いますので,その運用状況ですとか現状については,慎重に検討しながら進めていくべきところかなと考えております。
 以上です。

【井上座長】
 では,岩村委員。

【岩村委員】
 では,短く。今回,法曹コースの制度設計についての案をおまとめいただいて,ありがとうございます。当初危惧していたような,がちがちに固めてしまうというものではなく,各法科大学院,あるいは法学部のそれぞれのチョイスに幅広く委ねるというような形になっているので,大変良い内容になったかなと思います。
 最終的には全部,各法科大学院の司法試験の合格率のところに返ってくる話だろうと私は思っていますので,そうゆるゆるの運用を各法学部,あるいは法科大学院が取ることというのはないのではないかと考えています。
 1点だけ,要望ですけれども,今日の最後の,資料4別紙の一番右側のところで,「「3+2」での進学者のみ入試科目の一部を免除し,入学前に別途,単位認定試験を実施も可能」というのが,矢印が,「一般選抜」と「連携先・連携先でない法科大学院の特別選抜」というところだけに伸びていて,「連携先の法科大学院の特別選抜」には伸びていないというのは,そちらにはここの考え方は適用されないということでよいのかどうか。
 恐らくそういう趣旨だと思いますが,もしそうだとすると,連携先の法科大学院の特別選抜のところの,例えば既修者認定の問題とかというのが,資料4の4ページにも書いてあるのですけれども,その辺のイメージをなるべく早めに提示していただけると,制度設計を考える際に非常に役立ちますので,是非その点をお願いしたいと思います。

【井上座長】
 どうぞ。

【瀬領委員】
 実際,制度設計する責任者になりますと,いろいろ細かなことを考えるもので,2点ほど。
 厳格な成績評価に関してなのですけれども,留意事項として,途中離脱を認めるという形にしてありますけれども,その離脱者について,例えば,成績は法曹コースに属していたときのままにしなくてはいけないのか,一般に戻ったときには1.5倍にするとか,そのような対応が認められるのかどうなのかということを一つ確認したい。これは,先ほど大貫先生がおっしゃったように,例えば,A,B,C,Dで,C,Dを取っちゃったら離脱しないといけないのかとかそういう話にもなってくるところで,成績評価の離脱後の扱いを確認したいというのが一つ。
 もう一つは,2ページの上から二つ目の白丸の「特別選抜時の判断材料として利用可能な水準」ですけれども,これは,本当は客観的に,どういうものを使うのかということを示していただくと一番いいのでしょうけれども,これは連携する法科大学院と協議するという趣旨なのかどうなのか,お教えいただきたい。
 この二つです。

【井上座長】
 大月室長,よろしいですか。

【大月専門職大学院室長】
 すみません,先生,すごく端的に御説明いただいたので,逆に,ちょっと正確に理解できなかったかなというところでございますが……。

【井上座長】
 では,一つずつ区切ってお願いします。

【瀬領委員】
 分かりました。1点目は,離脱後の学生の成績の扱いについてですけれども,これは例えば,離脱後も法曹コースに属していたときのまま,別評価したときには,その成績のままなのか,法曹コースを離脱して一般に戻ったときには,一般のコースの学生だから,法曹コースに在籍していたときの成績評価とは別評価になってしまうので,例えば1.5倍して考えるというようなことができるのかどうなのか。それは多分無理なのかなと思いますけど,その点を。

【井上座長】
 それはちょっと,大月室長の答えることではないのかもしれません。各大学で……。

【瀬領委員】
 判断するという。

【井上座長】
 そんなこと,そもそも認められるのですか。

【瀬領委員】
 ということですね,はい。確認です。

【井上座長】
 一回,単位認定してしまっているわけでしょう。

【瀬領委員】
 そうですよね。

【井上座長】
 CならCを付けておいて,ほかのコースに移ったら,それをBとかAにかさ上げするということができるのかという御質問ですよね。

【瀬領委員】
 そうです。難しいということ,それはそれで結構です。

【井上座長】
 2番目はどうですか。

【瀬領委員】 
 2番目は,2ページ目の上から二つ目の白丸で,「特別選抜時の判断材料として利用可能な水準」というのは,客観的な何か指標みたいなもの,例えばGPAでいいとか,そういうものをお示しいただけるといいのかもしれませんけれども,もしそうでないとしたら,これは連携する法科大学院との協議等の上でというような趣旨なのでしょうかという。

【大月専門職大学院室長】
 それは後者でございます。なかなかそこまで示すことはできないのだろうなと考えております。

【井上座長】
 では,丸島委員。

【丸島委員】
 先ほど触れられました3ページの「3+2」のコースの修了後1年目の合格率確保の点ですが,もともと法曹コースを学部に設けるという議論は,法学部と法科大学院が連携して学部段階から教育内容を充実させ,法学部の学生の多くが既修者コースに進み,修了後はできるだけ早く高い合格率を確保しようというものでした。そして,その中で,とりわけ早くから法曹志望が明確であり優秀な資質能力を持った者には「3+2」のコースも用意しようということであったと思います。したがって,「3+2」のコースの修了後一年目の司法試験合格率が従来の57%の実績以上,つまり,6割程度以上を確保するというここの点は大事なところだろうと思います。
 学部の法曹コースから法科大学院に進む通常の「4+2」のコースも,また早期卒業の「3+2」も,充実した教育課程を経て早期に高い司法試験合格率を確保しようとするものであり,また未修者の「4+3」の充実も図ろうとするなど,大きな制度改革が様々にされようとしているときに当たり,今一度,改めて,大学関係者と法曹サイドも含めて,司法試験の合格水準といいますか,法曹として活動する前提としての水準というものと,法学部,法科大学院を通じての教育課程の到達点とが,うまくアジャストするような見直しということを,この機会に是非取り組んでいただく必要があるのではないかと思います。
 以上です。

【井上座長】
 そろそろ時間が迫っていますので,あと,お二人くらいということでお願いしたいと思いますが,どうぞ。

【木村委員】
 簡単なことですけれども,今の御指摘のあった3ページの57%という数字のことですけれども,今までの飛び入学とか早期卒業は,かなり絞られた人たちを対象にしてこの割合が出てきていると思うのですけれども,それを今度の「3+2」にそのまま当てはめるというふうに読む必要はないと私は理解していたのですけれども,それでいいかどうか。つまり,これまでの実績以上となっていればいいというふうに読んでいいのかということを,今ちょっとお話があったので,気になったので確認したいという点で,それだけです。

【井上座長】
 この文章の意味ですね。大月室長,どうぞ。

【大月専門職大学院室長】
 各大学それぞれの基準で絞られた方が,これまで飛び入学者や早期卒業者として法科大学院で学修されていたというのはそのとおりかなと思うのですけれども,逆にいろいろな方がいらっしゃったということもあって,司法試験に合格できなかった方もいると認識しております。一方,これからは制度的にやっていこうということでありますので,丸島委員がおっしゃったような,57%以上ということをしっかり確保していくという趣旨で書かせていただいております。

【木村委員】
 そういう趣旨ということですか。

【井上座長】
 そういう趣旨ということですよね,この文章は。それについての御意見は,またお伺いするということです。
 では,日吉委員。

【日吉委員】
 今の段階でなくてもいいかもしれませんが,正に今日,これだけの質問だとか意見が出ている。なおかつ,各法科大学院あるいは大学が,自分たちの考えに基づいて,今後は特別選抜,入試の方法を考えていく。結局,最終的に,どういう進め方,どういう制度設計になるかということを,何よりも一番心配するのは,選んでもらう利用者の学生さんに理解してもらうということが非常に大事で,なおかつ,それが願わくば,より魅力的な制度に改定されてきているんだなと思われ,選んでもらう業界にならなければならない。
 だとすると,非常に難しいことだと思うのですけれども,これだけのいろいろな要素を盛り込み,かつ,各法科大学院,大学に広範な裁量を認めた上で,各利用者の学生さんの方が,先ほどのアンケートだと,中学校,高校の段階で進路を選択するというような割合もかなりあるということでしたけれども,そういう方たちが自分たちの進路として考えたときに,どういうふうに勉強をして進んでいけばいいんだなと分かっていただけるというふうにまとめることが大事であり,みんなで工夫をしてやっていかなければいけないことであり,文部科学省の方々にもその御努力をお願いしたいと思っております。

【井上座長】
 そろそろ予定した時刻なので,今,手を挙げられているお二人で最後にさせていただきます,今日これで決めるというわけではありませんので。 大貫委員,それでは。

【大貫委員】
 いつも駆け込み的で,今,簡単に,委員の皆さんがおっしゃったこと,木村委員がおっしゃったことですが,「3+2」が57%というふうに,私,これはちょっときついかなと思っています。なぜ申し上げるかというと,中島委員がおっしゃったように,この制度はこれから育てていくようなところがあるので,最初からこのような,これまで対象者かなり絞ってきた中での合格率を基準とすることはちょっときついので,これまでの既修1年目の合格率は少なくとも超えるという程度にしていただけると有り難いというのが1点です。
 もう1点は,質保証の問題と関わるので,1ページ目の枠囲いの大きな点線の枠のところで,「ゼミや演習科目の学修を期待する」と。「期待する」というのはちょっと残念な感じがしたのですけれども,要するに,法曹コース固有の科目である必要は必ずしもないので,やっぱり法曹コースには,学生が受ける科目には,ある程度少人数の演習科目,ゼミ科目が必要だというのを入れていただいた方がいいかなという気がしています。質保証に密接に関わるところですが,別段,ゼミや演習を設けて,それが固有の法曹コースの科目である必要は必ずしもないと私は思って,先ほどそれで,成績の付け方,A,Bを法曹コース認定にすればいいというのは,そういう趣旨で申し上げたのです。
 以上,御考慮いただけると幸いです。以上です。

【井上座長】
 では,髙橋委員。

【髙橋委員】
 決め打ちではないということでしたので,1点,次回までに御検討いただければと思いまして,既に何人もの委員の先生からお話が出ておりますけれども,できれば,推薦に応募して,そちらで合格となったとしても一般入試の受験は可能である,あるいは,一般入試で合格した場合にはそちらに進学できるということを明示していただくといいのではないかと思っております。
 一つには,入学試験の開放性確保という観点もありますし,また,そのような明示があれば推薦の合否判定を必要以上に前倒しにすることは少なくなるのではないかなと思いますので,文章にしていただくということを御検討いただければと思います。
 以上です。

【井上座長】
 まだ御意見がおありになる方もおられるとは思いますが,予定の時刻ですので,この点についてはこの辺で終わらせていただきます。
 事務局の方で,本日の御意見も踏まえて,更に制度設計を進めていただければと思います。
 こちらの方で用意しました議事は以上でございます。何もなければ,これで本日の会議を終了したいと思いますが,よろしいでしょうか。
 次回の日程につきましては,事務局の方で調整中ですので,決まりましたらそれぞれの方に御連絡を差し上げるということにしたいと思います。
 どうもありがとうございました。

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