法科大学院等特別委員会(第86回) 議事録

1.日時

平成30年5月14日(月曜日)14時00分~16時00分

2.場所

文部科学省 第二講堂(旧文部省庁舎6階)

3.議題

  1. 平成30年度入学者選抜実施状況調査及び平成29年度修了認定状況について
  2. 法科大学院進学希望者に対する法科大学院と法学部の連携に関する調査研究について
  3. 法科大学院等教育の改善・充実について
  4. 法科大学院公的支援見直し強化・加算プログラムについて
  5. その他

4.議事録

【井上座長】
 所定の時刻になりましたので,第86回中央教育審議会大学分科会法科大学院等特別委員会を開催させていただきます。本日はお集まりいただきまして,ありがとうございます。
 本日の議事のおおよその予定ですけれども,最初に,平成30年度法科大学院入学者選抜実施状況等について,事務局の方から報告をしていただきます。
 また,これも報告事項ですが,昨年度,慶應義塾大学を幹事校として実施していただきました,法科大学院進学希望者に対する法科大学院と法学部の連携に関する調査研究の報告書がまとまったということですので,こちらについても事務局の方から報告をしていただきます。
 続きまして,前回の特別委員会において大筋で御了承いただきました,「法科大学院等の抜本的な教育の改善・充実に向けた基本的な方向性」というまとめの文書を受けまして,特に法曹コースの制度設計について,具体的に御議論いただきたいと考えております。
 その後,法科大学院公的支援見直し強化・加算プログラムについて,事務局の方から報告していただきます。
 大体これが本日の議事の概要でございます。本日も活発な御議論をよろしくお願いしたいと思います。
 早速ですが,まず事務局の方から,配布資料の説明をしていただきます。お願いします。

【大月専門職大学院室長】
 議事次第をお手元に御用意願います。
 議事次第のとおり,本日の配布資料は,資料1-1から資料4と参考資料となっております。また,委員のお手元には,法科大学院の入学者選抜方式に係る簡便な2枚の図を机上配布資料として配布しております。
 また,資料の不足,落丁等ございましたら,お気付きの際に事務局までおっしゃってください。また,過去の資料については,お手元にありますタブレットに収納しております。使い方等不明な点がございましたら,こちらも事務局までおっしゃってください。
 あと,4月1日付けで事務局の異動の関係もございましたので,御紹介させていただきます。
 内藤敏也主任大学改革官が着任しております。

【内藤主任大学改革官】
 よろしくお願いいたします。

【大月専門職大学院室長】
 以上でございます。

【井上座長】
 それでは,議事に入ります。
 最初に,法科大学院の平成30年度入学者選抜実施状況調査及び平成29年度修了認定状況について結果がまとまったということですので,事務局の方から説明をお願いします。

【大月専門職大学院室長】
 お手元に資料1-1,資料1-3,参考資料を御用意願います。
 まず,資料1-1「志願者数・入学者数等の推移(平成16年度~平成30年度)」を御覧ください。
 こちらの2ページ目でございます。2.入学者数についてというところの平成30年度の部分でございますが,既修者コース入学者が1,112人,未修者コース入学者が509人,合計が1,621人,昨年度の1,704人から83人減となっているところでございます。
 また,そのうちの社会人入学状況でございますが,その下の図の一番下の部分で,既修者については135人,全体に占める既修者の割合としては12.1%,未修者コースにおける社会人入学者が140人,未修者コースの占める割合が27.5%,計が275人となっているところでございます。
 続きまして,資料1-3を御用意願います。「法科大学院修了認定状況の推移(平成17年度~平成29年度)」でございます。
 こちらは両面刷りでございますが,3ページ目を御覧ください。修了者数の平成29年度という部分でございます。こちらは標準修業年限修了者が1,293人,率としては64.9%,うち未修者コースに限れば,47.9%で人数が369人,既修者コースに限れば,75.6%で924人となっております。率と人数,それぞれ減少しているところでございます。
 ページをおめくりいただきまして,2.標準修業年限で修了しなかった者の事由でございます。資料1-3の最後のページでございますが,平成29年度ということで,退学等をされたという方が338人,うち司法試験合格者が50人,その他が288人,退学以外の理由で標準修業年限を修了できなかった者が361人,計699人となっているところでございます。
 これらの関係で,参考資料をお手元に御用意願います。
 1ページおめくりいただきまして,右下に「1」と書いている,1ページ目でございます。先ほど申し上げたとおり,平成30年度の入学定員が2,330人,それに対しての入学者数が1,621人,入学定員充足率が0.70となっているということでございます。
 続きまして,9ページ目を御覧ください。早期卒業・飛び入学制度を利用した入学者数でございます。図にありますとおり,平成29年度,法科大学院3年で既修者コース2年に入った方が47人,それが平成30年度は58人になっております。法科大学院3年コースも含めると,早期卒業・飛び入学制度を利用して入学された方は64人から79人となっているところでございます。
 続きまして,21ページ目を御覧ください。「入学者数の推移」と書いているところでございます。こちらは未修者コースに占める法学系課程以外出身者の割合,純粋未修者の割合でございますが,平成30年度は27.3%となっているということでございます。
 また,その右上の22ページ目で,社会人経験者の割合でございますが,先ほど申し上げた数字と割合を,グラフとして表しているところでございます。
 事務局からの説明は以上でございます。

【井上座長】
 ありがとうございました。
 ただいまの説明につきまして,御質問等があれば御発言をお願いします。
 どうぞ。

【片山委員】
 御質問させていただきます。
 今,最後の参考資料で申し上げますと,21ページと22ページの図ですが,今後,未修者コースの改革をいろいろ進めていく上において,未修者コースの構成はどうなっているのか,現状をきちんと把握していかなければいけないと思います。その点からしますと,いわゆる純粋未修者の割合が27.3%ということですが,一つは,学部の修了が法学系か,それ以外かということと,それから,社会人経験者かどうかということが,それぞれ別のグラフになっていますが,数の上において,重複があるということだと思います。
 その意味では,実数といいますか,法学系の学部以外の出身者と,それから,社会人経験者,こちらの方では法学部出身の方でも,社会人経験者はまた別かと思いますので,その両方の数がどのぐらいになっているのかという点を把握していく必要もあるかなと思いましたので,その点について,何か統計の数が把握されているということであれば,お教えいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【大月専門職大学院室長】
 御指摘の数字につきましては,平成29年度の数字は公表させていただいているところでございますが,平成30年度の数字については作業が間に合っておりません。基本的な数字でございますので,早急に確定させて,それを皆様に共有させていただいて,今後の未修者教育の改善につなげていきたいと考えております。

【片山委員】
 よろしくお願いします。

【井上座長】
 ほかにいかがでしょうか。
 よろしいですか。特に御質問がなければ,次に進まさせていただきます。
 法科大学院進学希望者に対する法科大学院と法学部の連携に関する調査研究の報告書につきまして,これも事務局の方から説明をお願いします。

【大月専門職大学院室長】
 お手元に資料2を御用意願います。
 平成29年度,昨年度の文部科学省先導的大学改革推進委託事業として行われました,法科大学院進学希望者に対する法科大学院と法学部の連携に関する調査研究報告書でございます。慶應義塾大学が受託して,研究を進めていただいたところでございます。
 ページをおめくりいただきまして,3ページ目でございます。
 概要でございますが,本調査研究は,法学部と法科大学院を一貫する教育課程を編成することにより,法曹等を志望する法学部生に充実した教育を行うとともに,法科大学院の入学者選抜等の在り方等について検討を深めることに資するという観点から,法科大学院(既修者コース)への進学を希望する法学部生が,法学部段階において履修すべき法科大学院の法律基本科目に相当する科目,憲法等の7科目に係る知識・能力の水準と学修すべき内容,これらの科目に係るカリキュラム編成方針を明らかにすることを目的として実施されたということでございます。
 二つ目の丸の後段でございますが,本調査研究では,法学部を実質3年で修了する教育課程「3年+2年コース」を導入した場合に,法律基本科目について法学部段階で十分な履修が可能かということを明らかにしたということでございます。こちらは後ほど出てきますが,「4年+2年」というものの場合も併せて記載しているところでございます。
 本調査研究は,7科目を取り上げ,各科目について,法科大学院コア・カリキュラムの内容を法学部のカリキュラムに割り当てる作業を実施しました。法科大学院における各科目の到達目標は差し当たり維持し,これを前提に,法科大学院既修者コースへの進学を希望する法学部生が法学部段階で履修すべき法律基本科目の内容・水準を具体的に明らかにしたということでございます。
 その下の丸でございますが,本調査研究では,法学部レベルで当該科目のどの「項目」につきいかなる「到達度」が求められるか,対象の「広さ」と内容の「深さ」に十分意を払った上で,法科大学院既修者コースへの進学を希望する法学部生が法学部で履修・修得すべき内容・水準を示したということでございます。
 法学部生の進路は多様であることから,法学部段階では「初歩」を学ぶという考えを取るべきではなく,法学部に固有の教育ニーズに応えるカリキュラム編成が必要とされたということであります。
 4ページに移っております。
 憲法・民法・刑法の3科目は,「4年+2年コース」,「3年+2年コース」のいずれにおいても,基本的には法学部1年次・2年次に配当すべきと考えられ,そこで履修すべき内容・水準も両コースで本質的な差異はないと考えられます。これら3科目について,法学部3年次以降,発展科目・演習等を配当する必要性が示されました。また,法科大学院の授業形式(少人数・双方向)を先取りした授業,法律を「使う」能力を養う演習形式の授業等を工夫する必要性が指摘されました。
 また,商法等の4科目については,カリキュラム編成上,憲法・民法・刑法の履修が一定程度進んだ段階に配当されるべきで,基本的には,法学部3年次以降に配当されるべきであります。このため,「3年+2年コース」を想定した場合,本来は法学部3年次~4年次で履修・修得すべき内容・水準について,法学部3年次でどのように履修・修得するかが課題となるということ。また,少し飛ばしまして,「3年+2年」のカリキュラム編成については,法学部3年次に法科大学院の入学試験を受験することを考慮する必要があるということです。
 その下の丸でございますが,法科大学院既修者コース進学者が法学部において履修・修得すべき各科目の内容・水準の要点は,以下のとおりであると書いています。
 憲法については,法学部段階では「法科大学院での学修に耐えうる基礎の確立と実務法曹教育への架橋という観点からの判例理解」というようなこと。
 また,民法,刑法については,法学部段階と法科大学院,やる範囲には変わらないけれども,「深さ」が違うというような形。
 商法については,「3年+2年」となった場合には,会社法等々を中心としてやるか,逆に,民法を学んでいると同時に,2年でやるかというようなこと。
 また,民訴,刑訴,行政法等々についてもまとめられているところでございます。
 また,最後に6ページの一番下,こちらの丸が大事なところでございますが,法学部のカリキュラムは各大学により多様であること,本調査研究は法学部と法科大学院を一貫する教育課程に係る何らかの具体的な制度設計を前提とするものではないことから,本調査研究は,一個の具体的なカリキュラム案を提示するものではないが,議論が深められる際に,議論全体の土台として生かされることが期待されるとしております。
 簡単でございますが,事務局からの説明は以上でございます。

【井上座長】
 ありがとうございました。
 それでは,ただいまの説明につきましても,御質問等がございましたら,どなたからでも御発言願います。どうぞ。

【磯村委員】
 今,御説明いただいた内容について,個別のモデル案がどうかという話の前提として,このモデル案のイメージは,従来の法学部で行われていた法律基本科目とは別個に,新しい科目を設定するという前提なのか,あるいはそうではなくて,例えば,人的リソースの関係で,以前から開講されている科目を利用しながら,その内容を組み替えていくというイメージなのか,ちょっとそこが分かりにくくて,例えば民法の例を拝見すると,かなり大胆なモデルになっているのですけど,学部の一般的な民法の科目でこの内容の授業をするのかというと,ちょっとどうかなという気もするので,そのスタンスを,その問題についてお伺いしたいと思います。

【井上座長】
 これはどなたから。大月室長,お願いします。

【大月専門職大学院室長】
 こちらに関しましては,個別の各科目の考え方を御覧いただくと,先生がおっしゃった,二つのイメージがそれぞれありまして,特に民法だと,全く大胆な改編をするという形になっています。
 特にその辺りについては,何ら,文部科学省として明確にお願いしたものではございませんが,基本的に,そんなに大胆に変えるというのはあまり考えておりませんが,法学部で一番単位が多い民法については,そのようなことが考えられるのではないかという案が示されたと理解しています。
 今後,このような一つの案をベースに,各法科大学院,法学部での御議論が進められることを期待するところでございます。
 以上でございます。

【井上座長】
 それでよろしいですか。
 どうぞ,清原委員。

【清原委員】
 清原です。1点だけ質問をさせていただきます。
 大変貴重な研究をおまとめいただいて,門外漢の私にとりましても,大変建設的な御提言がなされていると感じたのですが,10ページ目のところに,基本的な出発点でございますが,調査研究の方法の中に,直接の対象として,法律基本科目(必修科目)の中心となる七つの科目,すなわち,憲法,民法,刑法,商法,民事訴訟法,刑事訴訟法及び行政法を取り上げるとあります。
 これは,大変重要な実定法に係る法律基本科目としての位置付けだと思うのですが,このことにつきましては,私は全くの門外漢なのですが,恐らくその立場でも,この7科目というのは極めて重要だなと思うのですが,これにつきましては,この特別委員会でも共通の7科目として位置付けられるものでしょうか。
 この報告書は大変有意義だと思いつつ,改めて,今後これを,本日の重要な案件の法学部と法科大学院とのカリキュラムの関係や入学試験の在り方などを考えていく上で,極めて重要な出発点であり,共通認識なのかなと思いまして,委員の先生方の共通認識を確認させていただければと思います。よろしくお願いします。

【大月専門職大学院室長】
 御指摘ありがとうございます。
 基本的に,この7科目を取り上げた趣旨というのは,ここの報告書に書いてある,実定法に係る法律基本科目の中心となる7科目で,司法試験の必修科目にもなっているということでございます。
 ほかの科目の在り方については,このようなレベルでの検討というのはなかなか難しいと考えているところでございますが,本日御議論いただく中でも,法学部,法科大学院でどういう役割分担を図るかというような視点から御議論いただくこととしておりますので,また必要に応じて,いろいろ考えていきたいと考えております。

【井上座長】
 よろしいですか。

【清原委員】
 このメンバーの中でも,それが大変重要な7科目だということが確認されているわけですよね。

【井上座長】
 現行の司法試験論文試験の科目になっているというのは,それらが最も基本だという共通認識があるからだと理解しており,前から共通認識だと言って良いのだろうと思います。

【清原委員】
 ありがとうございます。確認させていただきました。

【井上座長】
 どうぞ,木村委員。

【木村委員】
 先ほどの磯村委員の話とちょっとかぶるのかもしれないですけれども,これは具体的に単位数まで上げて,かなり詳しく検討していただいていて,取りまとめに大変御苦労をお掛けしたのではないかと思って,非常に有り難いと思うんですが,ただ一方で,これがどの程度拘束力のあるものなのかというのは,ちょっと気になっておりまして,先ほど室長から御説明があったように,カリキュラム案を提示するものではないがというふうに書いてあるのですけれども,これをどのように読めばいいのか,各大学でかなり自由に,ここから発展させて考えていいのかというのは,もし可能であれば,教えていただければと思います。

【井上座長】
 私の理解しているところでは,これは一つの案として,どういうことが考えられるか,どういうことが可能かという御検討であったと思います。
 連携の在り方については,これから,その点を含めて詰めていただいて,どういうところまでが共通要素で,どういうところからが個々の法科大学院の創意と工夫に任せられるのか,あるいは,全部任せられるということになるかもしれませんけど,それはこれからの話ということです。
 本日の後半は,そういう点も含めて議論していくことになります。

【木村委員】
 ありがとうございました。

【井上座長】
 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。
 この調査研究につきましては,携わっていただいた皆様には大変御苦労をお掛けしました。心から感謝申し上げたいと存じます。
 それでは,次に進ませていただきます。
 次の議題ですが,法科大学院等の教育の改善・充実に向けた基本的な方向性について,前回までの会議で御議論いただき,大筋で了解が得られ,最終的な修正については座長の私に御一任いただきました。それを踏まえ,私の方で,文章のいろいろ気になるところを含めて修正いたしました。修正した点はかなりに及びますが,実質は御了承いただいたところをほぼそのまま維持していると考えております。
 それをお手元にお配りさせていただいておりますけれども,取りまとめに至る過程で皆様の御協力を頂きましたことを,改めて感謝申し上げます。
 本日は,この基本的方向性を踏まえて,より具体的に御議論いただきたいと思います。この基本的な方向性を御覧いただきますと,改革の大きな柱は二つあり,一つは法曹コースの設置等による法科大学院と法学部等との連携強化,二つ目は法学未修者教育の質の改善,この二つですけれども,本日は,法曹コースの制度設計にテーマを絞りまして御議論いただければと思います。法曹コースのより具体的な中身について,立ち入って御意見を頂ければということです。
 事務局において,検討に当たっての論点をまとめた資料を用意いただきましたので,まずその説明をお願いします。

【大月専門職大学院室長】
 お手元に,資料3-2と机上配布資料を御用意願います。
 資料3-2は,今,座長からお話がありましたように,前回3月13日までの約1年間の御審議で取りまとめられた,資料3-1でお配りしております「法科大学院等の抜本的な教育の改善・充実に向けた基本的な方向性」を受けて,法曹コースの制度設計について御審議いただくために,事務局において作成,用意したものでございます。
 資料3-2の1ページ中段辺り,法曹コースの要件の基本的な考え方でございますが,専門の教授とともに,幅広く教養及び総合的な判断力を培い,豊かな人間性を涵養(かんよう)するように適切な配慮をしなければならないこと。
 一つ丸を飛ばしまして,三つ目の丸でございますが,一以上の法科大学院とその内容について協議した結果に基づき,当該法科大学院の教育との有機的連携が確保された一貫性ある教育課程を編成すること。
 また,その下にありますように,授業科目として,憲法をはじめとする7科目を開設し,他の法学分野の科目と併せて,法科大学院教育との接続を考慮して,学生に体系的かつ偏りなく履修させること。
 その下でございますが,希望する学生が3年間で無理なく必要な単位を修得できるよう,十分な教育上の配慮を行うこと。
 適切な方法により,学修の成果に係る評価を行うことなどとしております。
 なお,その下,(参考)と書いている部分でございますが,3月13日の基本的な方向性において,法学部において,法律実務家等による講義や講演の機会を設けるなど一層の工夫が期待されるとされておりますけれども,これらの取組は法学部1年生でしっかり行い,例えば学部2年生から法曹コースにつなげるというやり方も考えられることから,法曹コースの要件とは考えておりません。
 2ページ目以降が,個別の論点となります。
 まず,論点1の体系的・一貫的な教育課程とは何なのか。こちらについては,先ほども少し話が出ました,法学部法曹コースと法科大学院で,法律基本科目や,実務基礎科目,展開・先端科目,基礎法学・隣接科目等々について,どのように割り振りをするのかということも含められると理解しております。
 資料にありますように,法曹コースでは,憲法をはじめとする7科目について,法科大学院の教育課程との連続性を確保し,より一層効果的な学修成果が得られる教育課程を編成することが求められるとしております。
 理論と実務を架橋する教育については,引き続き法科大学院で行うことと考えておりますが,それで良いかという形にしております。
 法学部法曹コースでは,法科大学院における双方向の少人数授業への導入として,ゼミや演習科目の学修を期待することで良いかとしております。
 基礎法学・隣接科目については,法科大学院でも,おおよそ8単位程度の必修科目となっておりますけれども,法学部法曹コースと連続した課程を作るというに当たって,最初に法学部法曹コースで重点的に学ぶという考えをどこまで認めるのが適当かという形で問い掛けております。
 続きまして,論点2でございますが,7科目について解説し,一定単位以上の履修を求めることとすることで良いかとしております。
 続きまして,論点3でございますが,成績評価が厳格に行われることを確保するためには,例えば現在,学部でも成績評価の最上位,上位のグレードは,単位取得者の一定程度に厳格に限ることやGPAの目標値を設定することなどが自主的に行われているわけでございますが,法曹コースの場合には,ある程度統一的な形を取れればと思っているところである一方で,大学によって仕組みや考え方は多様であることを踏まえ,どのような方法を取ることが考えられるかとしております。
 また,その下の丸でございますが,成績評価の基になる試験について,例えば7科目については,法律基本科目を課すこととすることを求める,ただそれだけで良いかとしております。なお,論文式試験のほかに,満遍なく知識を確認するような短答式試験というようなものを設けることは,問題はないと考えております。
 論点4でございますが,法学部法曹コースの学修によって法科大学院で既修者単位として認定される科目については,基礎法学・隣接科目や法律基本科目と関連が深い展開・先端科目を主に想定しつつ,大学の判断とすることで良いかとしております。
 その下でございますが,科目等履修生等で,共同開講の場合も同様でございますが,修得した単位は,法学部か法科大学院の一方にのみ算入ができるとしております。
 3ページ目の論点5でございますが,法科大学院に進学する者が法学部において修得しておくべき学識・能力について,先ほど御報告した調査研究を参考にすることで良いかとしております。
 なお,御質問がございました,民法と刑法については,受託された先生方の個人的なお考えをかなり含んでおりますが,それらについては特に縛るものではなく,一案だということでございます。
 論点6でございますが,法曹コースへの振り分け時期や方法については,各大学において柔軟な運用ができるような制度とする方向で事務局において検討するとしております。
 振り分け後に学生がコースから離れることを可能とするとしております。
 論点7でございますが,一般教養科目の単位数については,法曹コースの学生とそれ以外の学生で原則変わらないということで良いかとしております。
 続きまして,論点8でございますが,法曹コースの教育課程に関して,法科大学院と一貫したものとして認定する仕組み。前回の会議でも御意見が出たところでございますが,質保証の観点から,少なくとも,法曹コースの要件設定又は法科大学院における法曹コース出身者の特別選抜のいずれかを厳格に行うことが必要ではないかとしております。
 また,その下でございますが,法曹コースについては,何らかの枠組みの下で要件を設定し,公的に認定する方向で事務局において検討するとしております。
 本特別委員会の御審議を踏まえて検討を進めて,平成32年4月に,学部2年を対象とするコース認定ができるようにしたいと考えておるところでございます。
 ページをおめくりいただきまして,4ページ目の論点9で,一貫した教育課程の編成等について自校又は他校の法科大学院と連携,協議の部分でございますが,一つ目の丸のように,協議結果に基づき,法科大学院の教育との有機的連携が十分に確保された一貫性ある教育課程の編成が求められるとしております。
 また,一貫した教育課程の編成が可能であれば,法曹コースが連携する法科大学院は複数でも良いかとしております。
 これは例えばでございますが,法科大学院の募集を停止したような大学が,地方も含めてあるわけでございますが,そこが複数の法科大学院と連携することが良いかということです。これは,事務局としては基本的には望ましいかと考えておるところでございます。
 論点10でございますが,早期卒業の在り方について,事務局において検討するとしております。
 続きまして,2.の法曹コースが設置されることによる効果でございます。
 まずは,単位数の上限の緩和の論点11でございますが,新たに既修得とみなすことができる10単位については,論点4でも出ましたけれども,基礎法学・隣接科目等を想定しつつ,大学の判断とすることで良いかとしております。また,技術的な話になりますけれども,これまでの法学既修者認定の考え方というのは,法科大学院の1年生,未修者コースだけが在籍している学年の単位を全て取っていると,試験によって確認するという仕組みでございましたけれども,現在,法科大学既修者認定の対象となっていない,法科大学院2年次になって初めて学修する行政法等についても対象とすることで良いかとしております。こちらは,基本的には問題ないのではないかと考えております。
 一方で,その下の丸でございますが,上限の緩和を効果的に活用することが期待されるが,プロセスによる法曹養成の理念が損なわれることがないよう,法科大学院における教育内容の充実を併せて図ることが必要ではないかとしております。
 続きまして,5ページ目の論点12でございます。こちらも先ほどの論点11,論点4と重複するところがございますが,優秀な学部生が科目等履修や共同開講により,受講する科目として,法学未修者が2年次になって初めて学修する法律基本科目についても,対象とすることで良いかとしております。
 論点13でございます。科目等履修や共同開講の制度の利用を推進すべきと考えておりますが,こちらも技術的な話になりますが,この資料の後ろに別紙で留意事項として考えるようなことについて少し書いておりますが,そのほかに検討すべきことは何が考えられるかという形にしているところでございます。
 続きまして,論点14,書類審査や面接等を重視する推薦入試の方法のところでございますが,共通の御理解の下で御議論,御審議が進むように,机上配布資料を御用意いただければと思います。
 まず,「法曹コースの学生は全法科大学院で推薦方式の選抜を受験可能とする場合」を御覧ください。
 3月13日の基本的な方向性では,法曹コースから法科大学院への接続を確保するため,各法科大学院の入学者選抜において,法学部法曹コース修了予定の選抜枠を入学定員の5割程度を上限として設けることを認め,その中で,書類審査や面接等を重視する推薦入試も認めるとしており,それを図式化したものでございます。
 特別選抜枠といえば,推薦方式を思い浮かべる方が多いと存じますが,特別選抜枠の中には,推薦方式以外にも,現在の一般選抜のような試験+学部成績で選抜する形は残ると考えております。それを「推薦方式以外の特別選抜」と表しております。平成32年4月に,法曹コースに学部2年生として入った学生が,法科大学院を最初に受験するのは平成34年度入学者選抜,すなわち平成33年度になりますが,最初,平成33年度からの数年間は,公平性のみならず適確に入学者選抜を実施する観点から,推薦方式以外の特別選抜が一定又はかなりの割合を占める,すなわち,推薦方式は少数に限られることになるのではないかと考えます。
 また,法科大学院の入学者選抜の負担を考えて,推薦方式以外の特別選抜と一般選抜は,同一試験日に同一内容の試験を実施することも可能かと考えております。それによって法曹コースの学生は,従来の統一の試験を重視する一般選抜枠のみならず,各法科大学院の入試のやり方次第でございますが,例えば,法曹コースの学生については,法曹コースの成績を重視する枠を設け,両方にエントリーできるのであれば,当日,体調不良のため試験ができなくても,学部(法曹コース)の成績が良ければ,推薦方式以外の特別選抜枠による合格ということも考えられると考えております。
 また,ほかの論点としては,特別選抜枠の中の推薦方式のところで,法曹コースの成績について必ずしも正確に判定できないという理由などにより,他大学出身者にのみ試験を課すことは可能か,また,推薦方式以外の特別選抜において,法曹コースの成績又は特定科目の成績が良い場合,全部又は一部の科目の試験免除を認めることができるかなどがあると考えております。
 続きまして,もう一つの,「連携先の法科大学院においてのみ推薦方式の選抜を受験可能とする場合」の図を御用意願います。
 こちらは,法科大学院側としては,法曹コースの成績により適確な選抜ができるのは,連携している法学部法曹コースの学生になるので,推薦入試として受けられるのは,連携先の法科大学院の特別選抜に限るというものでございます。
 ただし,この場合でも,ある法科大学院と連携している法学部法曹コースの学生は,当該法科大学院が行う緑色の推薦入試のほかにも,制度的には推薦入試以外の特別選抜枠でも受験できると考えております。
 基本的な二つの案を図式化してみましたけれども,具体的な方策としては,例えば,厳格な成績評価の一環として,GPAポイントを出すということが法曹コースで共通化されるのであれば,GPAポイント何点以上などの一定基準を設定し,最初にお示ししたように,全ての法曹コース在籍者に出願資格を認める方式を取るのか,若しくは,連携先の法科大学院に限るような形にするのか,これらを併用するのか,などが考えられると考えております。
 資料3-2に戻っていただきまして,これらを文章にしてみたのが論点14でございます。
 ただ,いずれのやり方を取るにせよ,学生の選択肢が狭められないように,原則学生自らが応募する方式として,推薦入試に合格しても他大学を受験することを認めるべきではないかと考えているところで,一つ目の丸はそのような形を書いたところでございます。
 二つ目の丸は,推薦入試方式の対象は,先ほども図で御説明したように,連携する法学部法曹コースの学生のみとするか,全ての法曹コースの学生とするか,いずれにせよ,制度当初は適確に公平に入学者選抜を実施する観点や,学生の選択肢は狭められないようにするため,推薦入試方式の割合は少数に限る方向で良いかとしております。また,他大学の法曹コースの学生が法科大学院に進学できる,法科大学院に推薦されるような指定校枠というものについては,地方大学の法曹コースについては,3月13日の基本的な考え方からして,認めることが妥当かと考えておりますが,それ以外にも指定校枠,推薦入試に合格をしたら,辞退は基本的に認めないというのを認めるのが適当かと,尋ねる形としております。
 三つ目の丸は,特別選抜枠において,連携する法学部法曹コースの学生に限って,法律科目試験の全部又は一部免除することを認めることは考えられるか。推薦入試において連携先の中で,他大学出身者のみ,法律科目試験を課すことは認められるか,それとも,認めるべきではないかとしております。
 その下,最後の丸でございますが,法科大学院が連携する法曹コースを増やすため,どのような方策が考えられるかとしております。
 続きまして,6ページ目の論点15でございますが,特別選抜枠の対象は,連携の有無にかかわらず,全ての法曹コースの学生ということで良いか。これは基本的にはそうではないかと,事務局としては考えているところでございます。
 続きまして,論点16でございますが,繰り返しになりますが,3月13日の基本的な方向性では,法学未修者教育の質の改善に当たって,新たな質保証プロセスを導入する。具体的には,進級時に共通到達度確認試験等を受けさせるとありますが,開放性のあるものとすることが期待されており,どのように活用されることが考えられるかとしております。
 最後,3の地方との連携でございますが,地方の大学の法学部が法科大学院と連携して,法曹コースを設置できるよう,配慮すべき事項はどのようなものがあるかと,論点17では聞いているところでございます。
 また,論点18,基本的な方向性では,入学者選抜枠の設定に当たって,法科大学院の方針に基づき,「いわゆる地方枠」を設けることも期待されており,地方の定義についてどのように考えるかとしております。
 説明が長くなりましたが,以上でございます。

【井上座長】
 ありがとうございました。
 これから意見交換を行いたいと思いますけれども,その前に,ただいまの大月室長からの説明について,不明な点があれば,御質問をお伺いしたいと思います。
 どうぞ。

【中島委員】
 中島でございます。
 5ページの(2)法科大学院との接続の,枠で囲んである最初の説明の3行目,アンダーラインが引いてある次の行ですけれども,規模の問題なのですが,法科大学院の定員の5割程度を上限とする,これはよく分かるのですけれども,次の数ですが,実入学者数の5割程度を超えない範囲の人数というのは,具体的にどのような運用を想定したら良いのかということをお尋ねしたいと思います。
 先ほど御紹介いただいたように,定員を充足しているロースクールの方が少ないぐらいで,最終的に入学者が決定したところで,結果として5割を超える,超えないというのが決まってくると思うのですけれども,これは実際,どういった形で運用していったらよろしいのか,あるいは,どういったことを想定されているのかということについて,御教示いただければ幸いです。
 以上です。

【井上座長】
 一応,この文章は我々が合意してまとめたもので,もともとこういう文章になっていたのですけれども,御質問の趣旨は,実際にどうやって運用するのか,実現するのか,ということですね。
 では,大月室長。

【大月専門職大学院室長】
 その辺りは,また今後,詰めないといけないわけでございますが,例えば,平成31年度の入学者選抜を実施するに当たって,30年度の入学者選抜の状況を使うということは,論理的には可能で,非常に分かりやすいと考えているところでございます。
 ただ,各法科大学院の事情等あると思いますので,その点については,そういうことも伺いながら,決めていきたいと考えているところでございます。

【中島委員】
 ありがとうございます。

【井上座長】
 では,大沢委員。

【大沢委員】
 すごく基本的なことで恐縮ですけれども,1ページ目の基本的な考え方の上から五つ目の丸の「希望する学生が3年間で無理なく必要な単位を修得できるよう」という,この3年間というのは,振り分けた後の3年を言っているのか,それとも,法曹コースの,要するに,学部にいる3年で行ける,3+2の方の,その3年間を言っているのか,それだけ確認させていただければと思ったのですが。

【大月専門職大学院室長】
 こちらも,基本的な考え方では,2年から法曹コースに入るのが標準だろうと思われます。ただ,それは各大学の判断にお任せします。1年生からのような部分もあると思いますし,今後,3年生からというようなところもあるのだと思います。これは3年間というのは,法学部,法曹コースに在籍して,その後,その在籍期間が何年間になるかというのは,その大学の仕組みによって様々であるでしょうけど,法学部3年で法科大学院の2年の既修者コースにちゃんと入学できるように,しっかりとした力を付けさせるようなカリキュラムを考えていただきたいということの趣旨でございます。

【大沢委員】
 法学部にいる間が3年間で,そういうことの3年間という意味合いですか。

【大月専門職大学院室長】
 はい。

【井上座長】
 今まで4年間かけるというのが標準だったのを,3年間で行けるようにするという趣旨でしたよね。だから,学部に入ったときから見て3年ということなのでしょう。そうでなく,コース在籍が3年間ということだと,3年次に進級するときに振り分けるところでは,4年生で卒業しても2年しかないわけで,変でしょう。

【大月専門職大学院室長】
 そうですね。そういうことです。

【井上座長】
 どうぞ,樫見委員。

【樫見委員】
 2点,お尋ねします。
 まず,法曹コースを作る場合に,全体の文章からは,法科大学院と連携してというふうになっているわけですけれども,自大学で法科大学院がある場合は問題ないわけですけれども,地方の大学なり,自分のところに法科大学院がない大学が,法曹コースを作ろうという場合に,法曹コースの認定は,これは何らかの基準を設けて,文科省の方でするとなっているわけですが,そのときには,どこかの法科大学院と必ず連携というか,これが条件として入ってくるという認識でよろしいわけですね。
 これが1点と,あと,現在,法科大学院においては,いろいろなところで志願倍率の問題があります。2倍の確保。そのときに,推薦とか入れますと,当然,一定人数入れるわけですから,そこでは何人も応募するということはないわけですよね,基本的には。そうしますと,この推薦枠を設けて,5割が上限ですから,志願倍率については,一般選抜の部分といいますか,そこを考えていくのでしょうか。
 以上,2点です。

【井上座長】
 では,2点,お答え願います。

【大月専門職大学院室長】
 最初の方は,連携する法科大学院が必須だということでございます。
 もう一つ,その点,推薦入試で入れたら,残りの枠が少なくなる。それだけの形で2倍とすると,多分,適当ではないということだと思うので,その辺りは考えていかないといけないと思います。

【樫見委員】
 ありがとうございます。

【井上座長】
 ほかに,御質問は。
 では,片山委員。

【片山委員】
 先ほどの中島委員の規模感の話とも関連しますが,学生を受け入れるロースクールサイドとしましては,定員あるいは実入学者数を基準として,特別選抜枠というものを考えているということなのかもしれませんが,逆に,学部の方で法曹コースを設置する際の定員の問題を,ある程度コントロールをしていかないと,またロースクールの設置のときと同じような問題が起こり得るということでありますし,他方,コースに入れば全員がロースクールに行けるということでも,また困りますので,一定の競争環境も確保しなければいけないということだと思います。
 そのコントロールは非常に難しいかと思いますが,3ページの一番下のところで,一応,設置認可ということではないけれども,何らかの枠組みの下で要件を設定し,公的に認定する方向で事務局において検討するということですが,この部分で,いわゆる定員管理をされることを考えているのか,そこは自由に委ねるということでいらっしゃるのか,その辺りについて何か方向性がございましたら,御教示いただければと思います。

【大月専門職大学院室長】
 事務局においてもっと詰める必要があることでございますが,コースに関して,定員というのを設けるというのは,余り考えられないかなと思っております。何よりも法曹コースとしてのあるべき要件が,本委員会で御議論いただいて,それを踏まえて設定をして,それを満たすようなしっかりとしたものであれば,ここでは認定と書いておりますが,そのような形で認めていくという形になるのではないかと考えております。

【井上座長】
 ここで書いてある趣旨は,主に質保証ということです。もちろん,御議論の結果,定員はもっと絞るべきだとすることも,論理的には可能だとは思います。

【片山委員】
 分かりました。ありがとうございました。

【井上座長】
 どうぞ。

【磯村委員】
 1点だけなのですけれども,先ほど,大月室長の方から当然のように言われた,連携をしないと駄目なのかというのがちょっと気になって,そうすると,連携先を見付けることができない法学部では,法曹コースを作っても意味がないということになりますが,それがいいのかどうか,あと,必ずしもコンセンサスが得られているのではないのではないかと感じたので,それがちょっと確認的な質問です。

【井上座長】
 大月室長,どうですか。一応,文章としては,元がそういう書き方をしていたのですよね。

【大月専門職大学院室長】
 いろいろな御意見はあると思いますけれども,連携していなければならないということで,大方まとまったと理解はしているところでございます。

【井上座長】
 岩村委員,どうぞ。

【岩村委員】
 余計なことかもしれませんけど,恐らく,法学部として自分のところで法曹コースを作ること自体は,どうぞ自由におやりくださいという話だと思いますが,ただ,それをロースクールへの進学ということと結び付けるのであれば,自分のところにロースクールがなければ,どこか連携先を見付けてくださいねということに,多分,論理としてはなるのかなという気はします。
 そうしないと,法曹コースを作っておいて,ロースクールへ行けますと言っていて,しかし連携先はない,そのときには別に一般の試験を受ければいいだけのことですけれども,それに合格しないとロースクールには行けないのですから,学生さんに非常にミスリーディングな情報を与えるということになります。そういう点からいうと,法曹コースを作って,法科大学院というルートを構築するのであれば,それは連携の話合いをちゃんとやってくださいねという趣旨かと,私の方では理解しました。

【井上座長】
 もう一つ,法科大学院の方で特別入試とか推薦入試の枠を特別に設けるとすると,その点は,先ほどの競争倍率などにも関連してくるばかりか,そもそもそういう特別の扱いをして良いかどうかということにも関わってくるのではないかと思います。そういう特別の扱いをするのは質保証があることが前提になるわけですので,やはりきちんとした連携を取ってコースを設けてもらいたいという趣旨も,そこには含まれていたはずですから。
 どうぞ,加賀委員。

【加賀委員】
 確認をさせていただきたいのですけど,連携ということと推薦入試との関係性というのが,私はいま一つ,この中では理解がしづらいところがあるのですね。
 法科大学院を持たない法学部にとっては,連携をするということはイメージしやすいですけれども,法科大学院を持っているところの法学部というのは,当然,自校というのも存在するわけですし,他校ということも存在していく。その場合にも,連携をしていくことが前提の推薦制度ということがここでは語られているという理解をすべきなのでしょうか。

【井上座長】
 どうですか。

【大月専門職大学院室長】
 自校の法学部と法科大学院に関して,連携という表現で良いのかという問題はありますけれども,広い意味での連携という形にしているところでございます。
 また,推薦入試との結び付きにつきましては,先ほど,大まかな二つの考え方があるという形を取らせていただきましたが,全ての法曹コースから推薦入試を認めるというのか,それとも,やっぱり連携先でないと推薦入試的な形は,しっかりはできないのか。それはまた別の話かなと思います。

【井上座長】
 それは論理的には妥当であるということですよね。自校についても,これまでは,独立性という点を非常に強調してきましたので,自校といえども一体となっていない。しかも,両者の関係は大学によって随分違うので,その意味で,広い意味で連携という言葉を強調したということだろうと思います。
 この文章についての説明に限っていただいて,御意見はまた……。

【磯村委員】
 意見ではなくて趣旨の確認ですが,5ページの論点14のところの二つ目の丸なのですけれども,「推薦入試方式の対象は」というところで,「連携する法学部法曹コースの学生のみとするのが良いか,それとも,公平性等の観点から,すべての法曹コースの学生とするのが良いか」ということで,要するに,連携していない法学部法曹コースからの進学もあり得るという前提ですよね。
 そうするとこれは,A大学と連携していれば,B大学とは連携していなくても,B大学の法科大学院には特別の枠で受けられるという可能性を認めているということだと思うのですが,そういう趣旨なのかということを確認の意味でお尋ねしました。

【大月専門職大学院室長】
 すみません,論点14の書き方が良くないのかもしれないですけれども,申し上げたように,まず,連携する法学部法曹コースの学生のみ推薦入試の対象とするのが良いというのが,机上配布資料で二つ目に御説明させていただいた場合です。一方で,全ての法曹コースの学生を対象に推薦入試方式というのを法科大学院において認めるという場合もあります。
 ただ,この二つに限るものではなくて,この中間的なものを取ることも考えられます。それに当たっては,法学部法曹コースにおいてはGPAをちゃんと設定することになって,一定以上であれば推薦方式を認めるとか,また逆に,前回もそのような御意見がございましたが,ある法科大学院が,法学部法曹コースにおいて当該法科大学院が求めるカリキュラムを作っているのであれば,そこからの推薦入試を認めるとか,そのようなやり方もあると考えておりまして,この二つに限るというつもりはないのですが,この二つが基本的な考え,ある意味,対極にあるのではないか,という形で記載させていただいているところでございます。
 何か明確に決めるというのでなくて,御議論していただいて,方向を検討していきたいということでございます。

【井上座長】
 よろしいですか。
 では,有信委員。

【有信委員】
 具体的な中身については,これから議論をしていただくのだと思います。その境界条件で,これは随分苦労をして作ったという気がするのですけれども,例えば,大学院という側から見ると,従来は4年を修了して大学院に入るものを,3年修了で大学院で受け入れることを認めましょうということですよね。それから,法学部の側から見ると,従来は4年間といいますか,専門課程が2年ないし3年でしょうけど,その4年間で法学士としての資格を認めるというのを,取りあえず,3年で法科大学院に行く部分については法学教育を修了したとみなしましょうという話ですよね。
 したがって,これは多分,3年間で早期修了というのですか,それを制度として認めるという話になっているわけですね。そのつなぎを明確にするために,基本的には法科大学院との連携というところで,枠を入れるということになっているので,例えばここの部分を明確にきちんと定義をしておかないと,3年間で学部修了,ないしは3年で修了した者を大学院に一般的に入学を認めるという,法科大学院以外の側から見ると,そういうことを制度として認めるということになってしまうので,中身についての議論はこれからやっていただくとしても,そこの部分について明確に,例えば法科大学院側との連携を含めて,きちんと説明をしておく必要があるので,そこが多分,混乱の一つの原因だろうと思っています。

【井上座長】
 この点は,現行では早期卒業も飛び級も例外的な位置づけになっている,その辺をどうするのかということとも絡みますので,その辺を手当てするときは,今おっしゃったことなどもきちっとしておかなければ,ほかと差別化することができないかもしれませんね。
 どうぞ,大貫委員。そろそろ,意見交換に移りたいと思いますので,大貫委員を最後にして,ほかに御質問のある方は,意見交換の中でまた御発言していただければと存じます。

【大貫委員】
 今,有信委員が言われたとおりで,3年という短縮コースで法科大学院に行けるということを打ち出すのは非常に重要なポイントで,それは強く太くしていかなければいけないと思っています。
 他方で,先ほど大月室長が,資料2「法科大学院進学希望者に対する法科大学院と法学部の連携に関する調査研究報告書」のところで,4+2というのも有りだということをおっしゃったと思うのですね。どの程度の規模になるか分かりませんけれども,4年というのは,要するに標準修業年限です。何年の法曹養成コースを作るかは学部によって違うと思うのですけど,4年という法曹養成コースも当然認めるという前提の話だというふうに理解してよろしいですか。3年という短縮コースを強く打ち出そうということについては,異存はないのですが,4年というのも残るんだというのは,それはよろしいですか。

【大月専門職大学院室長】
 法曹コースについて,考え方は,最初に1ページ目に示させていただいたように,3年で早期卒業ができないようなものは,やはり認められないのかなと思っております。
 ただ,一般的に,各大学が法曹コースという形で,4年でやるんだというものももちろんあると思いますし,これまでどおりの4年でしっかりやっていくんだというのももちろんあると考えております。

【井上座長】
 それでは,意見交換に入ります。論点が多岐にわたっておりますので,一応,三つに区切って議していただければと思います。項目として大きく1,2,3とあるわけですけれども,1と2の(1)のところが非常に大きいものですから,まず,1の法曹コースの要件というところを一つのまとまりとして御議論いただき,次に,2の(1)の法曹コースの効果のうちの教育課程について御議論いただく。そして,最後に,2の(3)以下をまた一まとまりとして御議論いただく。このように,3段階で議していただきたいと思います。
 それでは,1の法曹コースの要件について,御意見がおありの方は御発言をお願いします。
 どうぞ,岩村委員。

【岩村委員】
 先ほどの議論とも,基本的な考え方ということで,法曹コースについては,3年で無理なく必要な単位を修得できるということがある程度想定されているわけですけれども,他方で,先ほども議論がありましたように,例えばコースとかそういったものにすると,定員そのものを厳格に決めるということにはならない。
 そして,それに更に,特別選抜というか,推薦というのはありますけれども,そこである一定数をロースクールの方に誘導するということになると,3年で早期卒業をして,特別選抜でロースクールに行くという人と,恐らく,そうではなくて,4年で通常どおり卒業して,一般のルート,あるいは場合によっては,そのときには成績が良くなっているので,特別の選抜に乗るのかもしれませんけれども,そのようなイメージになるのかなと思って想像していたのですが,先ほど大月室長から,ちょっと違うようなお答えもあったような印象も受けたので,その辺をもう一度,基本的な制度設計の法曹コースをどうイメージするかというところに関わるので,お聞かせいただければと思います。

【大月専門職大学院室長】
 有信委員からの御指摘がありましたように,何よりも全体の制度設計をしっかり固めないと,定まらないところが多々ございます。その点については,事務局においてしっかり検討して進めたいと考えているところでございます。
 先ほどの大貫委員の御指摘,御質問とも重なるところでございますが,私として別に,希望する学生がちゃんと3年で卒業できるような形でのカリキュラム配置ということで,これは法曹コースのしっかりとした評価をどうやっていくのかということとも関係するところでございますけれども,希望しなくなった学生が4年で修了,4年通ってから法科大学院に行く,又は,制度当初であれば就職していくような方も当然いるのだろうと思います。
 何より,3年で絶対卒業して,法科大学院を希望する者のみが入るコースという形にすると,今の状況だと,なかなかいい方が集まってこないのではないかと考えているところでございます。

【井上座長】
 仮に法曹コースとして認定することとするとして,その認定の意味ですね。つまり,認定することがどのような効果を持つのかということです。これだけしっかりした教育をして,きちっとやれば3年で卒業できる,そういうコースだということであれば,それで3年で卒業してくれば,法科大学院の方も,それに応じた特別の選抜の仕方をすることができる,ということなどが考えられる。しかし,そのとおり3年で卒業せず,それ以上かけて卒業した人も,法科大学院への進学ができなくなるわけではなく,特別の選抜枠には入れないけれども,それ以外の枠で入っていける。そのようなイメージかと思ったのですけれども。認定することにどういう意味があり,そのような効が結びつくのかですね。
 岩村委員,どうぞ。

【岩村委員】
 それに関係して,やや先に飛ぶ問題かもしれないのですが,認定との関係で,実は,特別選抜をいつやるかということと,時期とも関係するのですが,今までの既修者認定との関係をどうするのだろうかという,その問題がもう一つあるような気がしているのですね。つまり,3年で早期卒業ということになると,場合によっては,そこは正にカリキュラムの問題なのですが,法律基本科目の全部が終わらないうちに,もしかすると,特別の選抜というのをやる可能性が出てくるかもしれない。
 それは変えればいいだけのことかもしれないのですが,そうしたときに,今までの既修者認定との整合性というのをどういうふうに考えるのか。それはむしろ,今,井上座長が触れられたように,認定の問題とかそういったものと全体として整理をしていくという方向性なのか,それとも,むしろ特別選抜の時期とかそういったものを考える。あるいは,某大学がやっているように,飛び級でやって,最後,足りない科目については一応,既修者のための試験をやるというようなやり方をするとか,いろいろなやり方はあると思うのですけれども,そういったことも含めて考えるのか。
 それが多分,法曹コースの要件というものをどう考えるかということと結構かぶる問題というか,そこも考えておかないといけない問題ではないかとちょっと気にしております。

【井上座長】
 そこは相関する話だと思いますね。既修者認定についても元々二通りの考え方があって,科目ごとに既修者認定をしていくという考え方を取ると,今のような問題がかなり厳しく出てくると思うのですけれども,基礎的な学力全般を測るのは,科目単位でなくて,基本的な科目幾つかの学力を見れば足りるのだと考えれば,必ずしも全て取っていなくても良いということにもなり得るように思います。
 現に,各法科大学院の入学者選抜における既修者試験を見てみますと,7科目全部を試験科目にしているところはそう多くないわけで,一方の考え方でぎりぎり詰めると,そこにも影響してくると思うのですけれども,その辺,両方を総合的に検討して,合理的なところへ持っていくしかないのではないかと思いますね。

【大貫委員】
 質問というか,意見になりそうですけれども,大月室長の説明で大体分かったのですけれど,端的に言うと,学部3年で法科大学院に入れる,このコースを打ち出す,そのためにちゃんと質保証していく,これは非常に重要な論点だろうと思います。
 しかし,前から何度も申し上げたところですが,4年というコースでうちの大学はゆっくりと教育していくのだということを選択した大学が,端的に言うと,法曹養成コースとして認めていただけるのですかということをお聞きしているということです。ここで3年というコースを太く強く打ち出そうということを打ち消そうとしているのではなくて,いろいろな形態があるだろうということです。これは加賀委員も前に述べられ,今日はいらっしゃらないけれど,潮見委員もおっしゃったと思います。大学の状況はいろいろですから,いろいろなことに対応できるようにしておいた方が良いのではないのかということです。
 また,法曹コースの認定という形でやっていいのかどうかというのが,いま少し分からないところで,法曹コースの出入りを自由にするということになると,別のやり方,コース登録という厳格な形ではなく,科目ごとに認定してあげるというようなやり方,この科目を何単位取ってくれば法曹コース卒業ということで認めるという方式もあるのかなという気がしています。
 ただ,今は一応,法曹養成コースの認定という形でのお話ですので,それに絡めて言うと,端的に4年というのを認めてくれるのですかということです。

【井上座長】
 それは大月室長に聞いても困ると思うのですが,大月室長が言われる「認定」というのはどういう意味なのでしょうか。

【大貫委員】
 ですから,認定ということをどう考えるか,認定の効果だと思いますけれども,例えば推薦入試で法科大学院に入れる,あるいは,推薦入試までいかないまでも,入試の受験科目を減らしてもらうとか,そういう効果はあると思います。
 何でこんなことを申し上げるかというと,実はふと妄想したところ,大学の通信教育課程との接合・連携を考えると,3年はきついですよ。通信教育課程は慶應にも,中央にもありますが,結構,社会人がたくさんいるんですよね。彼らが法科大学院に来てもらうのは良いことです。そことの接合・連携を考えると,3年は困難があるなという問題意識もあります。

【井上座長】
 分かりました。そこも含めて議論していただければと思います。
 先に,清原委員。

【清原委員】
 2ページ目にあります,教育課程を論点1として体系的・一貫的に検討していくということは,極めて重要な表現ですが,しかし,具体化するのはなかなか難しいなと思いながら読んでおります。
 とりわけ,そのためにも法学部が自校又は他校の法科大学院と連携していくということで,カリキュラムの整合性とか,一貫性とか,また,共同開講であるとか,あるいは,単位認定の在り方であるとか,かなりオープンな調整が必要であるということを感じています。
 そこで,3+2であれ,4+2であれ,地方との連携で,私がとても重要だと思っているのが,法科大学院がない法学部の大学が他の法科大学院と連携することによって,今までのマイナスの部分を払拭して,3+2の可能性や4+2の可能性を持ってくるということです。
 そこで,「連携」という言葉なのか,それとも,「指定校制」というか,「指定大学制」というか,この大学からであれば,法曹コースを履修して修了した人は法科大学院に受験可能であるというようなことが,地方の法科大学院のない大学に認められることは考えられるでしょうか。この間,いわゆる加算プログラムで地方枠的な取組をしていたところもあるのですけれども,そうしたいわゆる優遇策的に見られるのではなくて,きちんとしたカリキュラムの整合性を持って,法科大学院ときちんと体系的・一貫的な教育課程を持っていくことで,質が担保された上での地方大学法学部の法科大学院との連携が実現すれば望ましいなと,自治体の立場としては思っています。
 そういう点について,端緒は体系的・一貫的な教育課程で,法学部と自校,あるいは他校で,自校に法科大学院がない場合の他校の法科大学院との具体的な連携をいかにしていくかということだと思います。
 2点目に,慶應義塾大学の皆様が中心にまとめていただいた法科大学院と法学部の連携に関する調査研究で,1年次が極めて大事というふうに読ませていただきました。ですから,これは3ページ目の,法科大学院に進学することを志す学生が法曹コースに振り分けられる時期なのですけれども,2年次進級時点以降が適当と考えられるが,各大学の実情に応じてということなのですが,1年生のときから法曹コースと,意欲を持って志願する学生さんもいるかもしれませんし,途中で,やっぱり駄目だと思ったら辞めてもいいのかもしれないのですが,この時期,2年次が本当に適確なのかどうかという点は,1年次のカリキュラム編成が重要な意味を持っていることと関連するのではないかなと改めて思います。法曹コースのカリキュラムについての標準的なものを,この検討会で出していくのか,それとも,それは大学の自由な教育を拘束することになりますから,標準の基本的なところだけお示ししていくのかということも,今後の論点になると感じました。
 以上です。よろしくお願いします。

【井上座長】
 ありがとうございました。
 では,磯村委員。地方の問題は3番目ということで。

【磯村委員】
 1ページのところなので,基本的な考え方,(1)の四つ目の丸のところで,「授業科目として」ということで7科目というのが挙がっていますけれども,私の理解では,要するに,法曹コースというのは未修者コースをスキップすることができる。そうであるとすると,例えば,A法科大学院で行政法の授業は2年次から初めて開始するという場合には,学部で必ず行政法を履修しておかなければいけないという仕組みにはならないのではないかと思います。
 したがって,7科目あれば望ましいのかもしれませんけれども,それがマストになってしまうと,法科大学院の教育プログラムとの関係では,かえってオーバークオリティーになるところもあるので,科目についてはやや柔軟な仕組みというのがあり得るのではないかと感じました。
 以上です。

【井上座長】
 そうですね。
 ほかに御意見は。どうぞ。

【樫見委員】
 どちらかというと質問なのですが,まず,2ページにあります,真ん中辺りの法曹コースにおいて,「学年毎(ごと)に厳格に成績を評価」とあります。この言葉からは,法科大学院のように,いわゆる進級制を採用するのかと。つまり2学年なり,あるいは3学年で一定単位なり取らないと,いわゆる留年というのを持ち込むのかどうかという点の確認です。「学年毎(ごと)に厳格に成績を評価」と書いてありますとそのように読めるので,その点がどうなのかという点が1点,御質問です。
 もう一つは,4ページのところに,「早期卒業制度の在り方について検討」というのがありますけれども,この点は,早期卒業ではなくて,現在,3年で飛び入学の制度がというか,3年で法科大学院に入学できるわけですけれども,飛び入学者が法科大学院に入った場合,私,前から申し上げているのですけど,彼らの卒業資格,法科大学院に入学はしたけれども,途中で退学ということになった場合,当然,彼らは高卒資格しか,大学中退,高卒ということになるのですけれども,この点も含めて検討の中に入っているのでしょうか。それは別だという御趣旨でしょうか。
 何でそんなことをお聞きするかといいますと,法曹コースと法科大学院の教育課程との連続性とかということを考えるのであれば,一貫教育という点からしたら,飛び入学の学生さんについても何らかの配慮があってもいいのではないかなとちょっと思ったものですから,以上の次第でございます。
 いずれも,意見というよりは質問でございます。

【井上座長】
 後者は一応,早期卒業ということを前提に考えてきたのではないかと思います。ですから,卒業し,学士号を取ってもらうということです。これに対して,飛び入学というのは,法科大学院側の判断で採るわけですけれども,それはまた別の問題でここの問題とはちょっと違うのではないかと思います。1番目はどうですか。

【大月専門職大学院室長】
 「厳格に」ということがどういう形で具体化されるべきかについて御議論いただきたいと思っておりますが,委員がおっしゃったような,各学年に何単位ということにするのかどうかも,今後,御議論いただければなと思っております。

【井上座長】
 片山委員,どうぞ。

【片山委員】
 1点確認させていただきます。3年コースというのは,基本的にロースクールへの進学を前提としたシステムということですが,法曹コースに入りまして,ロースクールへの進級の特別枠だと,必要単位を取っていても,GPAが足りないと推薦してもらえないというようなことがあるとしますと,ロースクールに進学しない人も3年で卒業させるということが想定されるのか,それとも,ロースクールへの進学を条件として卒業させることになるのか,その点を再度確認させていただければと思います。

【大月専門職大学院室長】
 その辺り,事務局において,論点10の早期卒業の在り方を検討するとか,法曹コースの認定について検討するとか,そういうことと関係してくるので,明確にはお答えできない部分,今後変わり得る部分があるわけでございますが,基本的にそういうことでございます。
 先ほど委員から,コースではなくプログラム的な形にしてほしいという御指摘がありましたが,そのようなことも考えられるのかなと思いますが,これも全体の制度設計の中で考えます。この法曹コースという中で,プログラム的なものが可能なのか,もっとしっかりとしたものを求めることが必要なのか,その辺りについて,しっかり検討していきたいと思っております。

【井上座長】
 どうぞ,岩村委員。

【岩村委員】
 情報の提供だけですが,うちもつい最近,早期卒業を実施していますけれども,これは,第一に,そもそもここで議論しているような法曹コースのように,特化したものではなくて,全てのコースに共通したものとして設けているのですが,早期卒業の言わば登録をして,最終的にやっぱり辞めたということで,登録の撤回というのはできるようになっていまして,そうすると通常どおり4年になる。
 第二に,先ほどちょっと質問しましたように,最初,3年で卒業しようと思っていたけど,いろいろな事情で,やっぱり3年ではなくて,もう1年やってからロースクールへ行こうというような場合には,途中で撤回することによって,4年で卒業してロースクールということもできるという形になっていますので,そこは各大学でそれぞれ設計を考えればよろしいのかなと思います。
 ただ,法曹コースというのをどういうふうに要件設定するか,その問題はまた別の問題としてあると思います。

【井上座長】
 さっき大月室長が言われたように,最終的には細かなところまで検討して,どういうふうに変えていくのかを考える必要があり,そのためにどこか手当をする必要が出てくるということは十分あり得ると思いますので,その過程でまた議論していただくとして,今の段階では,論点として挙げておくということでよろしいように思います。
 そろそろ,2番目の問題群に移りたいと思いますが,よろしいですか。今まで議論した1番目の問題群についても,適宜,御意見を出していただいても結構ですが,議事を進行させなければならないものですから。
(「異議なし」の声あり)

【井上座長】
 2番目の問題群は,2の法曹コースの効果のうちの(1)の教育課程,この点もさっきの要件の問題と密接に関連するところですので,それをも含めて御意見を出していただければと思います。
 岩村委員,どうぞ。

【岩村委員】
 資料3-2の別紙の2ページ目のところに,法科大学院と法学部との連携による授業開講のイメージのたたき台というのがございますけれども,前にも出たものだと思いますが,ちょっと分からないのは,科目等履修生の仕組みの活用についてですけれども,実はうちの大学の場合は,法学部の場合ですと,推薦入試で入った人が学部段階で,法学部に進学した段階で大学院の授業も聴けるというふうにしようとしたところ,学部の学生が大学院の授業を聴くということ自体はあり得ないと言われてしまって,それで結局,当該科目を学部の科目と合併にするとか,学部と合併にするとか,そういう細工をすることによって乗り越えざるを得なかったということがあるんですが,この科目等履修生というのは,果たして本当に可能なのかどうかというのがちょっと気になったので,もし現段階でお分かりであれば,教えていただければと思いました。

【大月専門職大学院室長】
 科目等履修生というのは,学校教育法に位置付けられた制度でございます。ただ,どのような形でやろうとしたものが認められなかった,適当でないとされたのかはよく分かりませんけれども,確かに,学部生というのは学部段階の授業を受ける,大学院の授業というのは大学院生が受けるというのが原則でございます。
 また,法科大学院に関しましては,完全に独立をした教育課程ということで,共同開講なんていうのは全く認めてこなかったということでございますが,今回,留意事項を整理した上で認めていこうということでございます。

【岩村委員】
 分かりました。そういう意味では,何か,もしかすると新しい仕組みというか,そういったものを考えるという趣旨も含めてということですね。ありがとうございます。

【井上座長】
 瀬領委員,どうぞ。

【瀬領委員】
 今の基本的考え方の四つ目の7法の開設とも関連する話ですけれども,先ほど磯村先生からもリソースの話がありましたが,法曹コースをできるだけ広い範囲で,地方も含めて設置しようとすると,要するに既存の科目,リソースを利用する方がよりいいだろうと思うところです。
 ただ,成績評価との関係で,やはり独自に,いわゆる既存の科目とは別に法曹コース科目を開設した方が,成績評価は厳格にやりやすい。ただ,そうすると結構,リソース上の問題があるということと,既存の学部科目に更に上を重ねる形で,慶應大学の報告にもありましたけれども,別途科目を設置することの意味はどこまであるのか,リソースの関係からも考えると,かなりハードルが高くなってしまうのではないかと,現在,学部を運営している身からすると感じるところです。
 では既存の学部科目と合併して厳格な成績評価ができるかということになると,これは難しい問題もあります。ある程度自由に考えて,成績評価の面で工夫ができるのであれば,既存科目を使うこともあるかと思いますが,既存科目のいろいろな評価の基準からして,それができるかどうか難しいところです。開設科目と成績評価に関しては,開設科目を独自に設置するのか,あるいは既存科目をどこまで利用できるようにするのかということも含めて,画一的に基準設定する必要はないかもしれませんけれども,幾つかのモデルというか,可能性を示す形にしないと,今の資料を見ている限りだと,やっぱり法曹コースは独自に設置というふうにしか読めないところがありますので,その点は少し柔軟に考えてもよいということを一度検討してみた上で,どうするのかということをお示しいただいた方がいいのではないかと思いました。

【井上座長】
 ほかにいかがでしょうか。
 それでは,酒井委員どうぞ。

【酒井委員】
 今の教育課程の問題と,少し戻ってしまって,論点1と2の設置科目のところに係ってくる意見になるのですけれども,前回会議で長谷部委員から御指摘があったかと思いますが,判例のリサーチですとか法情報検索の部分,これは未修コースの1年生に設置されているロースクールも多いかと思うのですけれども,こういった科目を法曹コースで学修してきてもらいますと,非常に法科大学院での学修が円滑になるであろうということは考えるところです。
 ですので,先ほど磯村委員からの御指摘もありましたけれども,7科目をそもそも設置して,そこをみっちりやるのが良いのか,もう少しその周辺的な部分まで,法曹コースに役割を担わせて開講するべきであるのかというところは,議論の必要があるのではないかと考えるところです。
 また,委員の先生方の御議論を伺っていますと,法曹コースの設置科目として,今おっしゃったような導入科目を設置するのはやや難しいというところもあるのかもしれませんけれども,それこそ共同開講の利用などによって,そういったところを補っていくということも可能なのかもしれませんので,必ずしも要件として設置をするかどうかというところは,議論の余地があるかと思いますが,例えば受講推奨科目というような形で,そういったものを取り入れていくということは,議論の必要があるところではないかと考えております。
 以上です。

【井上座長】
 ありがとうございました。
 それでは,中島委員。

【中島委員】
 基本的には,瀬領委員がおっしゃったことの繰り返しになりますけれども,コースの認定に関しては,余りハードルを高くせず,柔軟にお願いしたいと考えております。7法に関する資料2の報告書は,一つのモデルだというお話ですけれども,やはりこれを一つの基準モデルといたしますと,なかなかリソースの有効活用という観点からしましても支障が出ますので,7法を開講するということはある程度,共有するにしても,開講の在り方については,各大学,学部の独自性というようなこともございますので,その辺り,尊重していただきたいということが,まず柔軟にということのお願いです。
 もう一つが,GPAに関しては以前,実は同じ趣旨のことを発言いたしましたので,繰り返しになりますけれども,法曹コースに限定したコントロールの仕方というのは,なかなかこれまた難しいのではないかと考えております。今回のペーパーにもありますように,例えば法曹コースを選択した者が,別のコースを選ぶ,,つまり「転コース」をする,他の進路を選択する学生も一定数,出てまいりますので,そういった学生のGPAの計算の仕方に混乱が生じたり,自由な進路選択,人生設計みたいなものに,ある種の制約を課すというようなことにもなりかねませんので,その辺りも,もちろん見合い,均衡ということがあるかと思いますが,柔軟に対応を是非お願いしたいと考えてございます。うちの大学の場合,そこそこGPAは機能しているかなという自負もございますので,まず,その程度で収まってもらえれば有り難いというのが本音の部分です。
 2点目は,大貫委員がこだわっていらっしゃることとも関連するのですけれども,法曹コースというのが,4+2の学生にとっても魅力のあるものにするというのは非常に重要なことだろうと考えております。例えば具体的なことでいいますと,今,話題になっております,例えば共同開講科目ですとか,基礎法学やその隣接科目の履修というようなことを考えますと,3年ではなくて,4年で学部を終える学生にとって,むしろ魅力的であったり,現実的に意味がある科目選択というようなことにもなろうかと思いますので,コースということでは,3+2を打ち出すというのはもちろんのことなのですけれども,4+2を選択する学生にとっても魅力のあるものにすることが,結果として良い結果につながる,効果が上がるのではないかなとも考えます。
 以上でございます。

【井上座長】
 ありがとうございました。
 大貫委員,どうぞ。

【大貫委員】
 瀬領委員と中島委員がおっしゃったこと,全てと関わるのですけど,法曹コースの制度設計のところで,ちょっと意見を申し上げます。
 私は,瀬領委員がおっしゃったことに全く賛成です。磯村委員もおっしゃったリソースの関係で,多分,法曹コースの法律基本科目といっても,応用と基礎に分けると,応用は法曹コースの固有の科目となるとしても,基礎はほかのコースの人と同じ科目を受けるということになるのではないかと私は思います。それを法曹コースの科目として認定する。
 ここから先は,これからの制度設計ですけど,応用科目について,法曹コースとしてどの程度のものを作るか,少人数のゼミ的なものを求めていくかリソースとの関係で今後検討していくべきだろうと思います。そう申し上げるのは,リソースの問題もありますけど,もう1点,さっき大月室長がおっしゃったことですけれども,プログラム制とおっしゃったことと関係します。実は私,この議論が始まった当初に,法曹コースは,モデルコースでいいのではないかということを発言しました。法曹コースは出入りがある程度自由になるという方がよろしいのではないかという趣旨で申し上げました。
 その観点からいうと,一定の科目を取ると結果的に法曹コース卒業と認定してもらうという制度設計というのは有りで,そうすると法曹コース卒業というルートはある程度出入りが自由になるのではないかと思います。そういう制度設計をしていただけないかなという気はしております。
 ただ,もちろんどの科目を法曹コース卒業のための科目とするかという認定は必要です。そうしていただいた方が,これまで法曹コース卒業のための科目を取ってきたけど,諦めて別のコースを卒業しよう,あるいは,その逆もまたうまくいくのではないかと思っていますので,是非そうした制度設計についても検討いただきたいと思います。要するに一言で言うと,堅い法曹コースでなくてもいいのではないかと思っております。
 以上です。

【井上座長】
 瀬領委員,どうぞ。

【瀬領委員】
 ちょっと追加ですけど,今の大貫委員のことに関連して,同志社では早期卒業制度をロースクール関係で運用して4年目になり,ロースクールの先生にも講義に関与してもらっています。前も申し上げましたけれども,何が重要なのかというと,2の教育課程の中の論点1のところにある三つ目の,要するにエクササイズを法科大学院の教員が担当して,早期卒業対象,あるいはロースクール進学の学生にエクササイズをやり,そこで,今,大貫委員がおっしゃった基礎科目,基本科目の不十分な点を確認し,それを基本科目にフィードバックすることで勉強し直すというような点に意義があります。
 それで,要するに法曹コースの目的が,裾野を広げるということと優秀な学生を呼び込んで法科大学院の教育を円滑にするという点からすると,後者の点では,基本科目が例えば学部の講義科目であり,応用科目がエクササイズ科目であるとすれば,そういう関係で優秀な学生,ないしはロースクールへ入ってからの教育をより円滑にするという効果が,実際あるというふうにロースクールの教員から聞いております。
 ロースクールの教員からすると,提携するとしても,本来はそういうエクササイズをしている,あるいは,自分たちに余裕があれば,エクササイズを他大学にしに行くぐらいの形であればベストだろうなという意見を伺っております。そういう点で,基礎と応用といいますか,応用に何を持ってくるのかがありますけれども,その考え方はあるのではないかと思いました。

【井上座長】
 ありがとうございました。
 時間が押してきていますので,今の議論を続けていただいて結構なのですけれども,それ以降の3番目の問題群も含めて御意見を頂ければと思います。

【髙橋委員】
 少し戻ってしまうかもしれませんけれども,法曹コースの教育の中身については一定の枠を求めるとしても,学生に時期的な選択を認めるといいますか,例えば留学等を選択するような学生もいるので,学年ごとにカリキュラムを固定するなどがっちりとはめるというよりも,学生が比較的自由に学修の段階を設計していけるようなプログラムの方が良いのではないかなと思っております。
 その点では,先ほど御意見があったところですけれども,例えば論点3の「学年ごとに厳格に成績を評価」というようなことについては,学生生活のどの時点でアクセルを踏むかというのは各学生によって違うところで,3・4年生になってからアクセルを踏む学生が,例えば1・2年次に履修した授業について成績を上書きしたいというようなことが生じたときに,それが足かせにならないようにしていただきたいと思いますし,それから,自由な設計を可能にするためにも,キャップを外すことを認める点も明らかにした方がいいのではないかと思っております。
 ついでながら,法曹コースと法科大学院との接続の点についても,一言発言させていただきますと,論点14のところで,先ほど大月室長が口頭でおっしゃっておられましたけれども,こちらもできるだけ学生の選択というのを狭めない方がいいと思っております。加算プログラムでかなり各大学,法科大学院の特色というのが出たところでもあるので,学生の選択を狭めないようにするためには,推薦方式というものを入れるとしても,他大学の法科大学院の受験を制約しないような制度設計にしていただきたいと思っております。

【井上座長】
 ありがとうございました。
 では,大沢委員。

【大沢委員】
 どこの論点というわけではなくて,全体的なことで申し上げさせていただければと思うのですけれども,僕が思っていた以上に,法曹コースというのをかなり一般的にやっていこうというようなイメージで,今,議論が進んでいると思うのですけれども,しかもそれは,3年+2年というのをできるようにするということが基本ですよという,それはいいと思うのですけれども,ただ,やっぱり素人から見ると,法曹コースは決して魔法のつえではないと思います。ですから,法曹コースをただ作ればいいというものではないのではないかという思いをずっと持っていて,なぜ法曹コースを作るかといえば,そのコースを作るということで法学部と法科大学院が連携して,それぞれのカリキュラムをもう一回見直して,いいものを作っていくということじゃないと意味がないのではないかと思います。
 ですから,特に大事なのは,法科大学院の方が,ある程度前倒しして学部の方でやってもらうということも含めて,法科大学院の2年間のカリキュラムというのをもう一回見直して,しっかりと司法試験に合格できる力を付けさせてあげるということではないかなと思います。ですから,このコースができることによって,法科大学院から一人でも多くの法曹が生まれるということが大事なんじゃないかなと思います。
 ですから,逆に,法曹コースをどんどん作っていって,法科大学院の入学者は回復しましたと。ですけれども,2年たった後の合格率というのが伸びませんということになったら,全く社会に対しての説明が付かないと思います。だから,出口がちゃんと行けるような形でのカリキュラムの見直しというのができるような形で是非議論を進めていただきたいなというのが希望です。

【井上座長】
 では,笠井委員からお先にどうぞ。

【笠井委員】
 法曹コースというのは,先ほど磯村委員がおっしゃったように,法科大学院の未修課程の1年次をスキップすることに主要の目的があると考えられますが,そうしますと,必然的にロースクールの入学,それから,その選抜枠の問題と絡んでくるだろうと思われます。3+2を,3の中でしっかりした教育をし,これをプログラムというか課程というのかは別として,いずれにしても,2年間だけでのLS教育に耐えられるものにしていかなければならないということになります。
 ということは,LSの入試の問題と3+2の問題,法曹コースの問題というのは全体的に結び付きがあるので,自大学以外のLSとの関係でも,推薦入学枠というものが仮に確保されるのであれば,弱い意味での連携と言えるような感じもします。つまり,連携というのは定義,言葉の問題であって,3+2の3というのは,一定程度の質を持った法曹希望者を養成する途中の段階であることになります。
 その中で,共通到達度確認試験の活用を考慮してもらいたいと,前回も前々回もお話ししたわけですけれども,時期や規模の問題等,いろいろあるとは思いますけれども,そうしたものの活用によってきっちりした法律家を養成していくことが法曹養成制度改革の目指すところだと思っています。

【井上座長】
 一応,このまとめの中にも,そういうことが期待されるという文言が入っていますので,御趣旨は十分盛り込んでいると思います。
 ほかに。それでは,磯村委員。

【磯村委員】
 法科大学院との接続について,短く2点,感想めいたものと意見です。
 一つは,どういう場合に連携するかということに関係するのですけれども,例えば,A大学とB大学がそれぞれ法科大学院と学部を両方設置しているというときに,連携によって有利な取扱いをするということになると,A大学とB大学が競合関係にあるときは,A大学の法学部がB大学の法科大学院と連携するというのは,現実的ではないように思います。要するに,学生を取り合う関係にあるときに,連携をするということが,どれぐらい意味があるのかというのがちょっと気になりました。
 もう一つは,論点14の三つ目の白丸ですけれども,連携先で優遇するというのは,ひょっとするとあり得るかもしれませんが,他大学出身者と自大学出身者でハードルを分けるというのは,やはり適当ではないのではないかというのが個人的意見です。
 以上です。

【井上座長】
 では,岩村委員。

【岩村委員】
 簡単に2点だけ申し上げます。
 法曹コースの認定とかそのイメージとの関係でありますけれども,私たちの大学も含めて多くの大学では多分,法曹コース独自に,例えば民法の授業をやるとかというのは,恐らく人的にも,物理的も無理で,法曹コース以外のコースというものとも併せて授業をやらざるを得ないということがありますので,それを前提にしながら,設置の要件なり認定の要件というのも考えていただきたいなというのが1点でございます。
 もう1点は,先ほど清原委員の御発言にもありました,いつから法曹コースへのコース分けをするのかということですが,これも各大学によっていろいろなポリシーがあるので,一概には議論できないので,各大学のそれぞれのポリシーなり実情に任せてやらざるを得ないと思っておりますので,これも併せて意見ということでございます。

【井上座長】
 今回で議論を終わるわけではありません。本日は具体的な意見交換の初回であることを御理解いただき,時間もありますので,この議題についてはあと数分で一応おしまいにさせていただければと思います。
 中島委員,どうぞ。

【中島委員】
 時間のないところ,何度も申し訳ありません。今後のこととコース認定の見通しについてお伺いしておきたいのですけれども,先ほど来,平成32年の2年生からと言われていますが,これは実際,来年の4月入学生のカリキュラムに関わることでして,既にオープンキャンパス含めて学生募集を始めているわけですね。
 かちっとしたカリキュラムでコース認定というような扱いになりますと,これは非常に困難ですし,混乱も来しますので,その辺り,結論としては,実は大貫先生と同じですけれども,当面,コースの中のある種プログラム的なものをコースと認定するというような形で,始めざるを得ないのではないかという感じを持っているのですが,その辺りの見通しをお聞かせいただければ幸いです。

【井上座長】
 大月室長,どうですか。

【大月専門職大学院室長】
 委員の御指摘のようなお話はいろいろ頂いております。32年4月の2年生からと考えておりますが,そうすると来年,31年4月の1年生が段階的に,1段階上がったときにそうなるので,来年から考えたいというお話は頂いているところでございます。よって,本日頂いた議論を踏まえまして,また事務局で検討をして,なるべく早い時期には,基本的な考え方を固めて,お示しできればなと思っております。
 あと1点,本日御欠席の土井委員から,入学者選抜に関する御意見を預かっておりますので,恐縮ですが,代読させていただきます。
 入学者選抜の特別選抜枠において,書類審査や面接等を重視する推薦方式を認めることについては,その募集人数,認定の制約を課す限り,異論はありません。しかし,法科大学院は法曹養成のための専門職大学院であり,法科大学院生は司法試験に合格して法曹資格を得ることを目標にしています。その目標の実現のために,既修者については法科大学院入学の段階で,法律科目について一定水準の論述能力を身に付けている必要があり,入学者選抜においてそれを確認することが大切であるという教育的判断も合理的ではないかと思います。したがって,特別選抜枠において推薦方式を実施するか否かは,各法科大学院の自主的な判断に委ねることとしていただきたいと存じます。

【井上座長】
 ありがとうございました。
 では,ほかに御発言のお申出はありますか。

【岩谷委員】
 恐れ入ります,慶應義塾大学の岩谷でございます。
 ただいまお話がございましたように,プログラムかコースかという,これも定義付けかと思いますが,私どもで議論しているところでは,広い意味でのコース,しかし,実際はプログラム的な授業の配置ということを前提にしております。
 論点の中で,教養系の科目がどの程度云々(うんぬん)なのかということは,恐らく今日の法曹コースの論点8で出た,認定されるべき法曹コースなるものに,どの程度それが入ってくるのかは分かりませんが,私たちとすれば,学部卒の人間を推薦するときには,そうした科目も取っているということを中に入れて,法科大学院の方に進学してもらいたいと思っている次第です。
 その意味からすれば,やはりコース制より,広い意味でのプログラム的な,そしてこの単位,この授業を取った者がうちにおける法曹コース推薦という学生であるというような形で要件化する,その自由もある程度大学側に留保していただければ有り難いなと思う点が一つでございます。
 最後,中島委員から出ましたように,本当に学部の入試,入学選抜のための宣伝がもう始まっております。その際に,先ほどの連携のお話に戻りますが,具体的に,うちの法学部の設定する法曹コースに入ると,提携する法科大学院はAロースクール,Bロースクール,Cロースクール,ここに推薦枠があるという言葉を明示的にパンフレットに書き込めるのかどうか,これが最終的な,ある意味での,いろいろな議論の意義があると思いますが,私たちとして,模索する連携の一つの結論なのか,この辺り,どうしても立場によって見え方が異なるせいか,分かりづらいところがあるものですから,最後に確認をしておきたいなと思った次第でございます。すみません,長くて。

【井上座長】
 最初から完全な形でそういうふうにスタートできるかどうかは,時間との関係もあるので難しいかもしれませんけれども,ともかく事務当局において,タイムスケジュールとの関係も含めて早急に詰めて,また次回にでも出していただければと思います。
 では,あと一言ずつだけにしていただけますか。

【大貫委員】
 本当に一言だけです。事務局提出資料によれば,法曹コースを公的に認定するという制度の枠組みになっているのですけど,先ほど中島委員がおっしゃったように,認定手続のスケジュール感の問題もあれば,認定は処分でしょうから,認定するとなると,要件をあらかじめしっかりと定めておかなければいけないと思います。ですから,行政法学的に言うと制度的には届出制にして,法曹コースの内容をうまく調整していく方が,私はいいのではないかと思っています。

【井上座長】
 最初から認定でいくのか,それとも,段階的にそういうところへ持っていくのか,それも含めて,まだこの段階では答えは出ないと思いますね。

【大貫委員】
 飽くまで意見です。

【井上座長】
 今の御注意も踏まえて,検討していただければと思います。

【片山委員】
 ちょっと加えて一言だけで。大変申し訳ございません。先ほどから議論が出ております報告書の件ですが,これは注意していただきたいのは,先生方の御努力で書いていただいたものですけれども,決して,新しい科目を設定しろということを書いているわけではございませんので,よく読んでいただければと分かると思いますが,仮に,3+2とか4+2で連携をしていくということならば,学部でどのような勉強をしてきてほしいかということを書いているということですので,それが既存の科目で十分対応できるということであれば,それは全然問題ないということですので,その点はきちんとお読みいただければと思っております。よろしくお願いいたします。

【井上座長】
 この議題については,また次回に引き続き検討し,議論を深めていきたいと思いますので,本日はここまでとさせていただきます。事務局の方で,次回の議論に向けて,本日頂いた御意見等を整理し,資料を準備してくださるようお願いします。
 最後に,法科大学院公的支援見直し強化・加算プログラムにつきまして,事務局の方から,報告をお願いします。

【大月専門職大学院室長】
 お手元に資料4を御用意願います。「法科大学院公的支援見直し強化・加算プログラム」の見直しについてでございます。
 昨年10月と11月の本特別委員会に御報告申し上げたように,いわゆる加算プログラムについては,本資料,2.現状の二つ目の丸のとおり,平成31年度以降も当面の間,継続することとし,基礎額の設定方法を見直して,本年2月に各法科大学院に通知しております。その通知しているものも別紙として付けています。
 その際,加算率については,2.現状の三つ目の丸のとおり,個別の取組の提案を評価するのではなく,5年間の中期的な改革・取組を,検証可能な目標とともにパッケージとして提案してもらい,取組期間中は,その進捗状況を毎年確認・評価することにより,加算率を算出することとしております。
 3.加算対象となる評価項目(案)でございますが,丸の3行書いたところの下にありますように,これまでの取組については,移行するに当たっては,全体構想の中で加点要素として評価することとしておりますけれども,上記のような5年間の中期的な改革・取組,それを評価する。新しい制度では,KPIの設定を求め,また,本特別委員会で取りまとめられた3月13日の基本的な方向性の柱である,法科大学院と法学部等との連携強化,法学未修者教育の質の改善の取組,それらを進める上での有効となる連携・連合の取組を重視することとしております。
 説明は以上でございます。

【井上座長】
 ありがとうございました。
 更に付け加えて御発言がなければ,これで本日の会議は終了させていただきたいと思いますが,よろしいでしょうか。
 では,次回の日程につきましては,事務局の方から改めて御連絡させていただきます。どうもありがとうございました。


お問合せ先

高等教育局専門教育課専門職大学院室法科大学院係

(高等教育局専門教育課専門職大学院室)