各法科大学院に対する共通到達度確認試験アンケート集計結果(速報)
※回答数:45校
1.共通到達度確認試験への評価・意見
・全国的な相対的到達度を把握する機会を学生に提供する観点から、試験に対して肯定的な意見が寄せられた。
・これまでに実施された試行試験の問題は、基本的知識の習得を確認するものとして妥当であるとの回答が多く寄せられた。
・進級判定への利用に当たっては、各法科大学院における裁量を認めるべきとの回答が多く寄せられたほか、各法科大学院が実施している進級判定との関係性を整理すべきとの意見も多く寄せられた。また、大学の自治等との関係で問題を指摘する回答もあった。
・また、進級判定の厳格化であれば、各法科大学院の進級判定を厳格化するよう促すことで足りるのではないかとの指摘があった。
・全学生に受験を義務づける場合、学生に過度な負担となることや、過度な試験対策が行われることの弊害、法科大学院の序列化を助長しかねないこと等を懸念する回答が寄せられた。
2.第4回試行試験の実施スケジュール
・期末試験終了後の実施が望ましいとの回答が多く寄せられたものの、具体的な時期は回答が大きく分かれており、今後調整が必要。
・特に、学部を含めた入試の時期と重複する場合、対応が困難との回答が多く寄せられた。
・社会人学生の受験機会確保のため、土休日に実施すべきとの回答や、土休日の実施となった場合も対応を検討するとの回答が寄せられた一方、職員の体制確保等の観点から土休日の実施は困難であるとの回答も同数程度寄せられた。
・このほか、やむを得ない理由で受験できなかった学生に対する追試の必要性や、秋入学生への対応として試験を年2回実施する必要性、法科大学院の事情による学事暦変更は困難である旨を指摘する回答が寄せられた。
共通到達度確認試験の意義に関する意見
・ 全国的に見た相対的到達度を把握する機会を提供する意味では有意義(7校)
・ 厳格な進級判定という目的であれば、共通到達度確認試験を課すのではなく、各大学の進級判定を厳格に運用することで足りるのではないか(4校)
・ 各法科大学院の教育レベルを平準化する上でも有益
・ 共通到達度確認試験は、進級判定とは切離し、学生が自身の到達度を全国レベルで確認するための試験として位置づけるべき
共通到達度確認試験の内容に関する意見
・ これまでの試行試験の内容は、基本的知識の習得を確認するものとしては妥当(11校)
・ 学年に応じて出題内容を変更するべき(5校)
・ 今後の試験についても、現在と同程度の難易度であれば、在学生の理解度を測定する方法として有益(4校)
・ 短答式問題だけで学修到達度を測定することには限界がある(2校)
・ 試験内容は、基礎的知識の確認に特化するべき(2校)
・ 共通到達度確認試験は、あくまで1年次修了時点に到達すべき水準を基準として実施すべき(2校)
・ 共通的な到達目標モデルに準拠する以上、範囲を限定するべきではない
・ 未修者教育の充実という観点から、未修者のみを対象として、憲法・民法・刑法のみで実施すべき
・ 今後試行試験が実施される民事訴訟法・刑事訴訟法・商法・行政法については、憲法・民法・刑法の本格実施の状況を踏まえて導入の是非や時期を検討するべき
・ 各大学が実施している既修者認定試験との連動も模索すべき
・ 問題量に対して解答時間が長く、時間が余っている受験生が散見された。未回答を防ぐ措置としては適切であるが、程度の検討が必要
・ 予備試験を共通到達度確認試験に代えることを認めるべき
進級判定への活用方法に関する意見
・ 進級判定に利用する場合、厳密に統一的な基準を設けるのではなく、各法科大学院の裁量を認め、各法科大学院の責任において利用する形式とするべき(20校)
・ 各法科大学院が実施する期末試験等、独自に設けている進級判定基準との関係性を整理する必要がある(10校)
・ 進級判定基準を変更する場合、学則変更等が必要になることも考慮する必要がある(4校)
・ 共通到達度確認試験を統一的な進級判定基準として課す場合、大学の自治や教授の自由、各校の教育裁量権等との関係で問題があると思われる(4校)
・ 進級判定に利用する場合、設置基準等の法令や認証評価基準等でガイドラインを示すことが必要(3校)
・ 共通到達度確認試験を基本科目の個別の期末試験に代替する取扱いを検討するべき
・ 共通到達度確認試験の結果を持って特定の授業の単位認定をしない取扱いとする場合、当該授業の内容に影響を及ぼすおそれがあり、不適切
・ 学内成績と共通到達度確認試験の結果が比例関係になく、進級判定に利用できるか否か疑問
懸念点や留意点に関する意見
・ 全学生が受験し、進級判定に利用するとした場合、学生にとって負担が過大となるおそれがある(6校)
・ 学生が短答式の学修に過度に注力してしまうおそれがある(5校)
・ 司法試験短答式試験免除等、受験する学生にとってのメリットがない場合、一層の法科大学院離れを招くおそれがある(3校)
・ 法科大学院の序列化を助長しないよう配慮が必要(2校)
・ 共通到達度確認試験と期末試験の両方を学年末に実施するのは、学年暦の過密さから、相当困難
・ 留年のリスクが高まると受け止められ、志願者減少に拍車がかかるおそれがある
・ 必要単位を既に修得しているにもかかわらず、共通到達度確認試験の結果をもって留年とする場合、次年度の学修をどのようにすべきか課題がある
その他の意見
・ 継続的・安定的実施の観点から、十分な実施体制と財政基盤の整備が必要
・ 相当数の問題を蓄積し、e-learning形式で活用できるようにするべき
・ 復習による知識の定着を狙い、進級後の春に実施するのも一案
・ 試行試験の信頼性を確保するため、原則全員受験とし、例外的事情がある場合のみ別日程での受験を認めるべき
・ 特定のタイミングでの学修到達度によって進級を認めない場合、法科大学院が3年間で完結するカリキュラムを組んでいることと矛盾するのではないか
実施時期に関する意見
・ 期末試験終了後の実施が望ましい(16校)
・ 入試の時期と重複する場合、実施は困難(10校)
・ 定期試験直後に実施する場合、学生の負担が大きくなるので留意が必要(3校)
・ 当該年次の授業が全て終了していなくても、定期試験と重ならない時期に、基本的な内容に絞って実施することも一案
土休日実施等、社会人学生等の受験機会確保に関する意見
・ 社会人学生の受験機会に配慮するため、土休日に実施するべき(6校)
・ 社会人学生の受験機会に配慮するのであれば、土休日実施への対応も検討する(2校)
・ 土休日の実施は、職員の体制確保等の観点から困難(4校)
・ 土日実施だけでなく、平日夕方・夜間の実施も考慮にいれるべき(2校)
・ 秋入学者に配慮し、年2回試験を実施する検討が必要(2校)
・ 追試験の実施も考慮に入れるべき(3校)
・ 各大学の通常業務から切り分けるため、土休日に実施するべき
・ 土休日に実施する場合、職員の勤務態勢との関係では、土曜の方が比較的望ましい
・ 土休日の実施は、学生・職員で保育所を利用する者の事情にも配慮する必要がある
その他意見
・ 早期に具体的なスケジュールを定め、調整を図るべき
・ 学事暦は学校全体に関わるものであり、法科大学院の事情で変更することは困難
高等教育局専門教育課専門職大学院室
-- 登録:平成28年07月 --