共通到達度確認試験システムの構築に関するワーキング・グループ(第2回) 議事録

1.日時

平成28年7月12日(火曜日) 10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省東館3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. 共通到達度確認試験試行試験について
  2. その他

4.出席者

委員

(専門委員)池田千鶴,磯村保,上田信太郎,笠井正俊,片山直也,酒井圭,髙橋真弓,西山卓爾,花村良一,日吉由美子,山本和彦の各委員

文部科学省

浅野専門教育課長,塩田専門職大学院室長,川﨑専門職大学院室室長補佐,真保専門教育課専門官

5.議事録

【山本主査】
   それでは,所定の時刻になりましたので,中央教育審議会大学分科会法科大学院特別委員会共通到達度確認試験システムの構築に関するワーキング・グループ第2回会議を開催したいと思います。
   議事に入ります前に,事務局に異動があったということですので,御紹介をお願いいたします。

【塩田専門職大学院室長】
   6月21日付で,専門教育課長の北山浩士が,文化庁国際課に異動になりまして,後任に浅野敦行が着任しております。

【浅野専門教育課長】

   おはようございます。専門教育課長に着任いたしました浅野でございます。

   塩田室長の席に6年前に座っておりました。そのポストを離れるときには,法科大学院制度はきっと安定してくれるだろうと信じて異動したわけですけれども,今6年後に来てみたら,更に厳しい状況になっているということでありますので,しっかりと,今度の在任中には,この制度を安定して発展していけるように努力してまいりたいと思いますので,どうぞよろしくお願いいたします。


【山本主査】
   ありがとうございます。
   続きまして,事務局から配付資料の確認をお願いいたします。

【塩田専門職大学院室長】
   配付資料でございますけれども,資料1が,検討チームに依頼したものの報告事項でございます。資料2が,本日御議論いただきます基本的な方向性。資料3が,前回こちらから宿題となっておりました,各ロースクールの進捗状況。資料4が,アンケートの集計結果。資料5が,第4回の実施スケジュールに関する論点。以下,参考資料が1から4まで付いておりますので,御確認いただきたいと思います。不備がありましたら,事務局までお知らせください。よろしくお願いいたします。

【山本主査】
   よろしいでしょうか。

   それでは,本日の議事でありますが,前回ワーキング・グループにおいて,検討チームに御検討を依頼した事項についての御報告を踏まえて,第3回試行試験の基本的な方向性を取りまとめたいと考えております。
   まず事務局から,検討チームでの議論についての御報告をお願いいたします。

【塩田専門職大学院室長】
   それでは,資料1でございます。
   検討チーム,実際の名簿は最後のページにございますが,こういったメンバーで検討チームが新たに構成されてございます。この検討チームにおきまして,前回のワーキング・グループで,憲法・民法・刑法について学年別問題を作れるかどうかということと,第4回の実施スケジュールについて,検討チームで専門的な検討を行ってほしいと依頼したことの結果でございます。
   まず,1ぽつ,憲法・民法・刑法の作問ということで,共通問題と,2~3割程度を学年別問題とすることで対応可能という検討結果でございます。
   考え方といたしましては,共通問題を使用する方が学年ごとの到達度の差異を把握しやすく,また,2年次の学修によって修得が期待される能力は,短答式で測定するのは限界があると考えられる。試行段階ということに鑑みまして,学年別問題を使用することの影響を把握してはどうか。よって,問題の配分は,共通問題が主で,一部,学年別が2~3割程度,具体的には,3ページの別紙で書いてございます。大体これぐらいの割合ではどうかというのが,検討チームの中での案でございます。
   1ページに戻りまして,考え方の3つ目でございますけれども,全科目を1日で実施する必要があるということなので,憲法・民法・刑法の問題数につきましては,第1回の試行試験の問題数と同じ程度ではどうかということでございます。
   なお,検討チームとしては,同一問題であっても,学年ごとの到達度の差異を測定することは可能ではないかという御意見でございました。
   続きまして,第4回の実施スケジュールでございます。
   到達度を確認するという試験の趣旨と,学生の準備期間を考慮いたしまして,期末試験終了後,一定の期間をおいて実施することが望ましいのではないかということと,一方で,進級判定を早い段階で行っている法科大学院もございますので,そういったところへの配慮も必要でしょうということを書いてございます。
   考え方でございますが,期末試験を含めて終了した後に実施しなければ,到達度の正確な測定はできないのではないのか。また,学生にも準備期間が必要ではないか。
   一方,法科大学院によってスケジュール感が違っておりますので,その辺りをどうするかが,今後の検討事項と,3ぽつ,4ぽつに書いてございます。これが,検討チームにおける検討結果でございます。
   それを踏まえまして,資料2でございます。本日は,本ワーキング・グループにおきまして,この基本的な方向性をお決めいただければと思います。
   この基本的な方向性は,前回,第2回試行試験からの修正点を赤で書いてございますので,その点を中心に御説明させていただきます。
   「はじめに」で,これは,短答式の免除のことを改めて追記したものでございます。
   続きまして,2ページでございます。第3回試行試験の主目的で,問題の作成に当たっては科目の特性も踏まえつつ,法曹三者の協力を得ることとする ということで,主に現在のところ,点検委員という形で,法曹三者に協力していただければいいのではないかと,今,議論を進めているところでございます。
   考え方にも書いてございますように,実務的観点からも適切なものとするように,問題作成に当たっては,科目特性も踏まえつつ,三者の協力を得る。必ずしも,全ての科目に協力を得ることができないにしても,特性上,三者の協力を得る必要のあるところには,協力をしていただければという趣旨で,「科目の特性も踏まえつつ」という文言を書いてございます。
2ぽつの「対象者・試験科目」でございますが,2年次については,7科目。それの実施結果を踏まえて,本格実施の際の在り方を検討することを書いてございます。
   続きまして,3ぽつ「出題範囲・難易度」でございます。1年次,2年次で,共通問題と学年別問題を組み合わせることと,先ほどの検討チームからの報告に基づきまして,共通問題を主とし,一部を学年別問題にするということでございます。
   この基本的方向性には,割合は書いてないのですけれども,先ほど御説明したように,2~3割ぐらいを学年別問題にしたらどうかというのが,検討チームの考えでございます。
   ページをめくっていただきまして,4ページでございます。これは,新たに加えられます新規4科目の出題範囲でございますけれども,これにつきましても,従来,検討チームにどう考えるかを依頼いたしまして,参考資料2という形でお付けしています。これは,前回のワーキング・グループでも御説明したかと思いますけれども,試験範囲については,科目の判断に委ねることとしてはどうかということでございます。,検討チームの考え方を,そのまま,ここに記載してございます。
   続きまして,5ページです。憲法・民法・刑法のところでございます。まず,現在,試行段階であることを鑑みまして,学年別問題を使用してはどうか,また,共通問題を主とし,一部を学年別問題としてはどうか。3科目については,これまで実施された2回の試行試験で,おおむね良好に到達度を判定できているため,引き続き,出題範囲は,限定は不要。
   この出題範囲につきましては,資料3を御覧いただければと思います。これは,前回のワーキング・グループにおきまして,委員の先生方から,各ロースクールにおいて,試験を実施した後で授業で扱う,要するに,試験前には授業で扱っていなかったのがどれぐらいあるのか,把握しているのかという御指摘がございましたので,各ロースクールに確認したものでございます。特に,丸3の「試験実施以後,授業で扱う予定としていた」が,どれぐらいあるかを御覧いただければと思うのですけれども,余り大きな数字ではここに出ておりませんので,おおむね試験実施前に,大体は対応できていたのではないか。このようなデータ,資料3に基づきまして,基本的な方向性では,引き続き出題範囲の限定は不要と考えられると書いているものでございます。
   また,資料2の,5ページの(2),今度は,新規4科目でございます。この試験範囲につきましては,各ロースクールによっては,2年次までの履修範囲に含めていない部分が,一定数見受けられますので,そういった部分については,試験範囲から除外するとも考えられるのですけれども,検討チームにおきましては,なかなかそれを全て考慮しようとすると,問題作成が難しくなることと,学生に対して勉強しなくていいというメッセージを送ってしまう恐れもあるのではないかということ。また,重要度の度合いとは,自然に伝わるのではないか。このようなことから,科目によっても事情が,ある程度異なるのでしょうから,科目ごとの判断に委ねてはどうかという議論でございました。ただし,限定する場合は,受験者に対して,適切な時期に周知を行うことが必要ということでございました。
   ページをめくっていただきまして,6ページでございます。受験者情報の扱いで,各法科大学院において,司法試験成績と確認試験の結果の相関関係を分析できるように,データを保管することを改めて書いております。
続きまして5ぽつの実施方法ですが,第3回の日程につきましては,3月16日木曜日でどうかという御提案でございます。これにつきましては,一番都合がつくというロースクールが多かった日がここでございまして,ここが今最大の参加が見込める日ではないかと考えてございます。
   ただ,考え方に書いてございますように,一部のロースクールから,社会人学生の利便性を勘案して,週末にやってほしいというリクエストがあったところでございます。
   そういったことも勘案いたしまして,考え方には,第3回は平日にやりますが,次回,第4回の試行に当たっては,将来的な進級判定の活用や,社会人学生の受験機会の確保の観点から,適切な日程を検証するという記載ぶりにしてございます。
   次の赤ぽつでは,マークシート方式でも,基本的な知識や思考力,論理力を確認することは十分可能であろうということで,マークシート方式の実施が適切と書いてございます。
6ぽつの試験結果の活用で,これは前回ワーキングであったと思いますが,試験の解答・解説については,試験当日に公表する。それで,検討チームでも対応が可能だということでございましたので,これを記載しております。
   というのが,基本的な方向性の,主な前回からの修正点を中心に御説明しました。
   あと,参考資料ですけれども,参考資料1が,御参考までに,前身の調査検討会議で定めていた基本的枠組みで,この基本的方向性の基礎となる部分を定めたものでございます。
   参考資料2が,先ほど申し上げました新規4科目の出題範囲について,検討チームからの報告でございます。
   参考資料3が,学生のアンケート結果でございます。これは前回御説明したかと思います。
   説明,以上でございます。

【山本主査】
   ありがとうございました。
   今御説明を頂きました基本的な方向性という文書ですが,今後の作問スケジュールの関係がございます。そういう意味で,本日のワーキング・グループで,これを取りまとめていただきたいと考えております。この後,親会議,多分今月末に予定されていると思いますが,そちらでお決めいただいて,それを踏まえて,検討チームにおいて具体的な実施要項をお決めいただいて,夏休み,この作問作業をしていただく必要性があります。本日の取りまとめにつきまして,御協力を頂ければと思います。
   それでは,この基本的方向性(案)全体につきまして,どの点でも結構ですので,御質問,御意見等がありましたら,御自由に御発言を頂ければと思います。
   どうぞ,磯村委員。

【磯村委員】
   時間の関係で,途中で退席する可能性もありますので,順序が前後するかもしれませんが,資料2の3ページの下,「出題範囲・難易度」と,それから資料1の検討チームの検討結果について,少し異論を述べたいと思います。
   まず,検討チームにおける資料を拝見すると,学年別に問題を作成する必要は,「本当はないのだけれども」というニュアンスが,かなり強く出ていて,わざわざなお書きで,同一問題を使用したとしても,到達度の差異を測定することは可能であることまで断定されているわけです。
   しかし、まず,昨年度の,今年3月に行われた試験で明らかになったことは何かというと,同じ試験問題であれば,2年次終了生の方が,少しだけ点数が高く出ることだけであって,2年次の終了時における到達度確認ができているかどうかは,今回の試験では全く確認されていないというのが,私の理解です。それを確認するために,問題を分けてやってはどうかという提案について,最初から,それはいらないというスタンスで出てきた案は,非常に違和感があります。
   他方で,作問の必要性があるということは当然ありますので,全部異なる問題で実施するというのは無理だと思います。そうすると,一つの考え方としては,例えば,今年,全体で民法については60問作問していただいたと思いますけれども,20問を共通問題として,残りの20問を,それぞれ1年次,2年次について独自の問題とすると,40問ずつになりますが,作問する問題は60問で済むのではないかというのが,第一点です。
   つぎに、今年行われた試験の正誤問題形式を,これ以上,2年次終了生に増やすことには,余り意味がないと思います。可能な範囲で思考力を問える問題を工夫してみて,それが実現するかどうかはやってみないと分かりませんけれども,やる前からできないというのではなくて,それをやってみるのが大事なのではないかと思います。
   最後に,もう一つ,資料1,考え方の最初の黒ポツですけれども,「2年次の学修によって修得が期待される能力は,短答式試験で測定することは限界がある」,これは,実は,1年次についても一定程度当てはまることであると同時に,2年次について,では基礎的な確認知識が1年生と同じでいいかというと,私は,それは多分違うのではないかと思います。とりわけ,この席には,未修者から勉学を積み重ねられて,現在弁護士になっておられる委員の方もおられますので,そういう学修者から見た感覚をお伺いできればと思いますが,私は,この部分が最も違和感を強く持ったところで,今年については,共通問題を使うとしても,それは一定の割合にむしろ収めるべきであって,2~3割程度だけ別にすればいいというのは,少し方向性とは違うのではないかと感じました。
   以上です。

【山本主査】
   ありがとうございました。
   それでは,今,御提起があった問題点,この学年別の問題,共通問題と学年別問題との関係の部分について,他の委員の御意見があればお伺いしたいと思います。
   どうぞ,片山委員。

【片山委員】
   私自身は,この択一試験で法的な思考能力自体を問うのは,非常に難しいのではないかと考えております。また,検討チームの中でも、共通問題によっても,1年次の学修と2年次の学修との識別は一定程度可能ではないかという意見はございました。
   検討チームの中で、様々なご意見がある中で、今回,それらを集約する形で、共通問題の数と学年別の問題の数が,3ページのとおり提案されたと,私は受け取っております。

【山本主査】
   ありがとうございました。
   ほかにいかがでしょうか。どうぞ,日吉委員。

【日吉委員】
   第3回試験は,現実問題としては,4回にわたって行われる試行の,最後は,ほぼリハーサルに準じるレベルであってほしいという希望的観測からいけば,思い切ったことができる最後のチャンスかと考えています。
   その観点で,問題をどうするかは,実は,最初から,この問題を皆さんで考えていく,意見もいろいろ出たところでございますし,いまだに試行錯誤が続いているところだと思いますが,先ほど,純粋未修から勉強して1年から2年と,自分で歩んだ人間の感覚はどうなのだというお話がございましたけれども,同じ,例えば憲法・民法・刑法ですと,私の経験では,1年の段階で,ほぼ全ジャンルを触るわけですね。しかし,当然のことながら膨大な範囲であるし,特に未修者にとってみると,何もかもが新しい,概念であったり,考え方であったり,極端なことを言うと文言であったりと,頭の中がいっぱいいっぱいになっている状態であることは確かです。
   その中で,多分,1年の終わりのときに,どういう状態になっているかというと,一生懸命知識として頭の中に詰め込んでいる。だけども,理解のレベルは,当然のことながら非常に浅いものであって,場合によっては,頭の中に抱えきれずにこぼれ落ちてしまっているものもある状態。それを,2年になると,憲法・民法・刑法ですと,同じ範囲のことを,また最初から,まるでスパイラルのように学修するわけですが,今度は観点が違って,基本書を読むだけではなくて,判例を様々読み込んでみたり,評釈を読んだり,あるいは,応用的な問題に当てはめてみたりという形をすることによって,その頭の中でいっぱいいっぱいになっている浅い知識を,少しずつ深掘りしていくと言うのでしょうか,そういうプロセスだった気がします。
   そうしますと,恐らく2年の終わりの段階で,しかも1年後には卒業して,1年数か月後には司法試験を受けなければいけない段階に到達していなければいけない学生にとっては,1年次の終了時と,その2年,同じことをもう1回繰り返して,同じ範囲を勉強した1年の末に到達したもの,あるいは到達していてほしいレベルは,おのずと異なる。そして,できれば,もちろん,ペーパーテストですので,問うことに限界はあるのはあるにせよ,問題の作り方なども,同じ範囲のことを聞くにしても,ストレートに「この判例を知っていますか」という聞き方ではなくて,例えば,ちょっとした事例を出してみたり,当てはめ的なものをさせてみたり,射程のようなものを試したりという問題の出し方によって,どのくらい思考が深まってきたかを見ることができるのではないか。そうあってほしいと思います。
   そうすると,もちろん作問の先生方の御苦労もありますので,また時間的な制約,作る方の時間的な制約だとか,あるいは,前回ヒアリングで,作問も大変で,いろいろ考えていると,本当に作れる範囲は限られてしまうのだというお話もございましたけれども,そういうものはありつつも,恐らく,いろいろなトライアルができる,最後の試行試験になる。その後は,もう,ほぼ方向性を決めなければいけない試行試験であることからすると,私も磯村委員のお考えにある種共鳴しておりまして,共通問題と学年別問題というのを,せっかくトライアルで両方作ってみようと考えたときに,比率が,共通問題が多すぎるかと。もう少し,今度,分析をするときのデータを収集するときも,学年別試験だけで見てみたり,データを収集するのだと思うのですが,余り数が少ないと,分析も信頼性がますます落ちてしまうこともあるでしょうし,できる限り比率を,学年別作問の比率を少しあげる方向で御考慮いただくと,第3回の試行試験がより有意義なものになるのではないかと考えております。
   長くて申し訳ありません。

【山本主査】
   ありがとうございました。
   ほかにいかがでしょうか。どうぞ,笠井委員。

【笠井委員】
   意見ではなく,純粋に質問というか。
   これは,検討チームにいらっしゃった片山委員とかに伺ったらいいのかもしれないのですけれども,この資料1の3ページの,この数ですね。科目特性とかが,多分あるかと思うのですけれども,民法が,特に学年別問題の比率が低いことになっていまして,これは,純粋に負担だけの問題を考えられたのか,それとも,科目特性として,民法の方が学年別には分けにくいという話になるからこうなるのか,その辺り,前身の会議での検討のときでも,むしろ刑法などの方が分けにくい,だから民法は分けられるのではないかという議論もあったようにも思いますので,そこと整合するのかどうかよく分からなかったものですから,なぜこういう比率になっているのかという辺り,もし何か分かることがありましたら,伺えればと思うのですけれども。

【山本主査】
   どうぞ。

【塩田専門職大学院室長】
   ここにつきましては,検討チームで,事務局から確認させていただいたのですけれども,科目の特性から来るものというよりは,むしろ作問の負担の観点からということだったと認識しています。

【山本主査】
   よろしいでしょうか。
   ほかに,御意見いかがですか。どうぞ,酒井委員。

【酒井委員】
   日吉委員の御発言の補足になってくるのかと思うのですけれども,私も,もう少し学年別問題の割合が上がった方がよいのではないかと考えています。
   理由の一つとしては,日吉委員からの御指摘があったように,1年次と2年次の学修の深度というのが,本当に全く違うものが積み重なっていくのです。1年生の終わりと2年生の終わりを自分で振り返ってみましても,飛躍的に2年生で演習科目を経て,仕上がりが進んできたという感覚を持っていた記憶がございます。そこを踏まえると,もう少し特性を捉えた問題が増えることが望ましいと考えます。
   もう1点が,1年次,2年次進級と3年次進級,両方の試験を実施することになりますと,当然,同じ学生が1年生の終わりも受けて,2年生の終わりも受けることになりますので,余りにも同じ程度の問題が多いとなると,2年次の終わりに受ける学生は,ほぼ同じようなレベルの試験を,もう一度,また2年生の終わりに時間を掛けて受けなければいけないのかとなると思いますので,どれほど受ける方の学生に意義を見いだしてもらえるのだろうかという疑問があります。その観点からも,トライアルということで,もう少し学年別問題が増えた状態でトライできると,学生からのアンケート等の意見でも,有意義な声が聞けてくるのではないかと考えるところです。
   以上です。

【山本主査】
   ありがとうございました。
   ほかには,いかがでしょうか。どうぞ,上田委員。

【上田委員】
   1つだけ質問です。これは,前回のこの会議で,私は,1つの論点が,ほかの論点にいろいろ波及してくるのではないかということは言ったのですが,前回の議論でも出ておりましたが,この試験を,司法試験の短答式試験に代えるという論点との絡みで考えますと,例えば,1年次に行われる憲法・民法・刑法,上三法の問題を,司法試験の短答式の問題と同レベルの問題として考えなければならなくなるのではないかということもあるのではないかと思うのですが,その点は,どのように考えたらよろしいのでしょうか。

【山本主査】
   私自身の認識としては,第一に,仮に司法試験の短答式免除という将来の可能性を勘案するとしても,2年次が終了した時点で,現在の短答式試験と全く同じレベルの問題を出すことは,恐らくナンセンスだろうと思っています。それは,あくまでも2年次の到達度を測って,その人が順調に3年次に学修をしていけば,司法試験の短答式は,当然合格できるレベルに達するであろうというところを判定することが目的になるだろうと認識しています。
   それから,そもそも短答式免除との関係は,この試験を実際に実施してみて,その学生が短答式を現実に受けて,そこでの相関関係,今回,そのための資料をきちんと保存しておくようにと注記していますけれども,それを踏まえて,今後考えられていく問題でありますので,前回も出たと思いますが,頭の中に置いておく必要はあるけれども,過度にそれで頭が支配されるということではなかろうという,現段階では,そういう位置付けかなというのが,私の認識ではあります。

【上田委員】
   分かりました。ありがとうございます。

【山本主査】
   よろしいですか。
   今,大体出された御意見として,私の認識では,この資料2の,3ページの括弧に書かれてある「学年別に問題を作成する場合,共通問題を主とし,一部を学年別問題とする」,このこと自体の御異論というよりは,具体的に検討チームでまとめられた,この3ページの問題数の割り振りについて,とりわけ民法についての御意見であったかと思います。この問題数の割り振りが,やや共通問題の方に偏っているのではないか,もう少し学年別問題を増やしたらどうかという御意見であったように理解しました。
   どうぞ,磯村委員。

【磯村委員】
   1つだけ補足です。
   3ページの,箱書きの中で言えば2つ目の黒ぽつが,「主とし」となっているのが違うのではないか。そこを削除する。

【山本主査】
   これは,しかし,この現在の割り振り,「主とし」というのは,こちらを主にという趣旨だと思うのですが,例えば,憲法,刑法は共通問題が20問,学年別問題が10問という2対1ぐらいの割合になっているわけです。このぐらいの割り振りについても,磯村委員は,考えがおありでしょうか。

【磯村委員】
   問題数が民法よりも少ないので,余計に,ある程度問題数を,2年次終了時用に配分しないといけないのではないかというのは,私の個人的な意見です。
   私は,ただ,刑法と憲法については責任を持って発言はできないので,民法について言えば,少なくとも半分は独自問題というイメージを考えています。
   したがって,「主とし」となると,少なくとも,例えば,5割ずつという発想は出てこないので,ここの箱書きの中では,「組み合わせた試験とする」ということで,その組合せの割合については,適宜その科目の特性も考慮するのはあり得るかもしれませんが,「主とし」というメッセージは強すぎるのではないかという意見です。

【山本主査】
   その場合に,私の認識では,問題数をこうしろというところまで,我々で,検討チームに,例えば,民法の共通問題が何問で,学年別問題が何問であるべきであるところまで,なかなか決めるのは難しいのではないでしょうか。
   最終的には,我々のこういう考え方を踏まえて,検討チームで,具体的な問題数は考えていただかざるを得ないのかという認識を持っていますが,その点は,そういうことでよろしいのでしょうか。この括弧書きの中でも,問題を同数にすべきであるとかということを書けという御意見ではないと理解してよろしいでしょうか。

【磯村委員】
   タスクがどこまで分かれているのかは分かりませんけれども,仮に,現在のままで実施するとすると,検討チームの結論は,既に出ている感じですね。
   そこが変わらないというのであれば,結局,ここで議論したことの結果が反映されないことになるので。

【山本主査】
   それは結論が決まっているわけではなくて,この3ページは,あくまでも検討チームとして考えられる例を挙げていただいているわけです。最終的な制度を作っていくについては,中央教育審議会法科大学院特別委員会のタスクでありますので,そのために,この現在の試行試験というのをやっているわけですから,そのための試行試験としては,こういうことを十分考えてやってほしい。
   もちろん,実際の検討チームでは,問題作成の負担とかという実務レベルの実施体制のことを当然考えられるので,そこで具体的な問題は決まってくると思うのですが,大きな方向性としては,我々はこう考えているというメッセージを出せば,当然それを踏まえて,私は,検討チームでもお考えいただけるのではないかと理解をしています。
   ですから,これで決まっているということでは,私は,ないだろうと思っています。

【磯村委員】
   繰り返しになりますが,そうであるとしても,2つ目の黒ぽつは,少なくともいらないのではないかと思います。

【山本主査】
   「主とし」がということですね。

【磯村委員】
   ええ。

【山本主査】
   いかがでしょうか。
   どうぞ,髙橋委員。

【髙橋委員】
   この検討結果には到達度の差異を把握すると書いておられて,到達度を測るということの意味が,相対的なところを測るものなのか,それとも,絶対的にある水準を求めるのか,その認識にずれがある感じがいたしました。それが,結局,学年別の問題をどの程度必要とするかという議論につながるのではないかと思います。
   学生に対して,学年に応じて到達水準が違うというメッセージを発するのは,それなりに意義があると思うのですけれども,一方で,試行段階なので,学年別の問題も課してみようという御趣旨であれば,学年別の問題で得られた1学年の学生間での評価というデータをどのように使うのかをある程度想定した上で課すことにしないと,問題を作る先生方には既定路線のような印象を抱かれるのではないかというのが,感想でございます。

【山本主査】
   ありがとうございました。
   ほかに,いかがでしょうか。
   それでは,今の磯村委員の御提案としては,この共通問題と学年別問題を組み合わせることが,一番上の黒ぽつで書かれているわけですけれども,それで,ここでの取りまとめは基本的に十分ではないかということで,共通問題を主にするところまでのメッセージは,出す必要はないのではないかという御意見であったかと思います。そのようなことでよろしいですか。
   片山委員,特に検討チームに参加されて,その場の議論の雰囲気とかは御存じかと思いますが,もし御意見があれば。

【片山委員】
   削除することに,最終的に異議を唱えるつもりはございません。おそらく、削除された場合に,共通問題を主とするか主としないかという点は,解釈論としては残ることになるのだと思われます。その点も含めて,このワーキング・チームで見解を共通にし,また検討チームにおいても,その点を前提として検討していただくことにおいて,結果において変わらないという点を前提とした上で,異議を唱えるものではないということですが,これを削除することによって,共通問題を主とし,一部を学年問題とするという基本的な考え方を破棄する、あるいは,学年別問題を主とする方向に方針変更されたことの意味で削除するということであれば,再度議論が必要かと思っております。

【山本主査】
   もちろん,私の認識はそうではなくて,先ほど申し上げたように,共通問題を何問にして,学年別問題を何問にするということでコンセンサスを得ることは,およそ現実的ではないと思いますし,それは無理だと思います。
   ですので,結局,今のような,この学年別問題を行う趣旨を,各委員から,かなり詳細に御議論いただいたと思いますので,そのことを十分検討チームにおいても踏まえていただいて,ただ作問体制の問題等を,実施主体としては当然考えていただかなければいけないので,そういった全体を総合して,最終的にどの程度の問題をそれぞれに割り振るのが適切かをお考えいただく趣旨で,今の第2点は削除するということかと思います。そういうことであれば,よろしい。
   どうぞ,磯村委員。

【磯村委員】
   もう一つは,資料2の5ページの,考え方の説明です。先ほど髙橋委員からの御指摘があったところとも関係するのですけれども,赤字で表記されているところの最初の黒ぽつで,「各学年で共通の問題を使用する方が,学年ごとの到達の差異を把握しやすく」という箇所も,学年ごとの到達度がどうかという問題が,かなり気になるところです。資料1の検討チームの資料でも,2ページの考え方の最初の黒ぽつでは,「共通到達度確認試験は,各学年終了時点での到達度を測定する」と明記されているので,1年次と2年次の間に到達度に相違があるということは,ここでは必ずしも前提になっていない議論であるに関わらず,1ページの末尾の,なお書きで付け加えられた部分は,そこを強調しておられます。
   そうすると,赤字表記の5ページに戻りますけれども,学年ごとの到達度の差異を把握しやすいというニュアンスは,その方がむしろ望ましいというニュアンスにつながるのではないかと思いますし,黒ぽつの2つ目は,そもそも考え方として,箱書きの中を削除すると,ここも当然削除することになるので,ここの修文は必要かとは思います。

【山本主査】
   おっしゃるとおりだと思います。
   最初の黒ぽつで述べられている意見が一方であり,しかし,他方では,今,磯村委員とか日吉委員,酒井委員とかが述べられた意見もあるので,それらを踏まえて,学年別問題と共通問題を組み合わせて,今回は試行するというまとめになるだろうと思います。
   それでは,この問題については,おおむね以上のような形でまとめてよろしゅうございましょうか。
   それでは,ほかの点,この基本的な方向性に関して,ほかの部分についてもお気付きの点があれば,御指摘を頂ければと思います。
   どうぞ,池田委員。

【池田委員】
   この資料2に関する論点なのかよく分からないのですけれども,前回も述べさせていただいたのですが,できるだけ学生の参加率を上げてより正確なデータを取るのであれば,参加率も上げた方がいいのではないかと考えております。
   初回,第1回目がオプトアウト方式で,要するに原則参加が可能でしたので,神戸大学法科大学院では、ほぼ全員参加してもらったのですが,2回目はオプトインで,明示的に学生の参加の意思表示を要求する実施マニュアルでしたので,参加率が大幅に下がってしまいました。参加率を上げる工夫として,例えば,第3回目では,試験の解説を当日に配って,学修に資するようにするとか,様々な工夫をされているのですが,学生の参加を高める工夫は,何かやっていけばいいのではないかと考えております。

【山本主査】
   大変重要な御指摘で,前回もありましたように,結局このデータを取ってみても,それが全体の一部,特にある程度母集団に対して偏った人が受けていることになると,データの信頼性が大きく揺らぐことになりますので,できるだけ参加率を高める工夫は,非常に重要なことだと思うのです。
   他方で,オプトアウトとオプトインがありましたけれども,これは,かなり個人情報等の関係で,アプトアウト的な形で,要するに基本的には参加するのだということは難しいという御指摘もあったかと思うのです。

【塩田専門職大学院室長】
   主査がおっしゃったとおり,前回のワーキングのときに,そのような御指摘があり,宍戸委員から,個人情報の扱いの件で,意思表示をしてもらう必要があるのではないかという御指摘があったと思います。

【山本主査】
   どうぞ,磯村委員。

【磯村委員】
   今の点とも関係するのですけれども,実態の確認ですが,これは,受験しようとする学生に対して,この情報がどういう形で利用されるかが,事前に説明されているかどうかが,1つの問題です。
   それから,受験の強制ができないのは仕方がないのですけれども,各法科大学院が,どれだけ熱心に学生に対して働き掛けているかは,スタンスが違うのではないかと思います。
   「こういうデータとして重要なので,できるかぎり協力してくれ」と求めた上で,それでも受けない学生を引き留めることは難しいと思いますけれども,受けたい人だけお好きにどうぞというだけとは,随分違うのではないかと思いますので,そこの工夫は,少なくとも必要ではないかと思います。

【山本主査】
   ありがとうございました。
   今の点,受験者を増やす工夫について,もし名案がある方がいらっしゃいましたら,有り難いのですけれども,御意見があればと思います。
   この実施のタイミングというか,日程の問題もあるのだろうとは思います。一橋は,残念ながら余り芳(かんば)しくないのですが,言い訳を言えば,別途進級試験を行っていまして,ちょうど3月中旬は近接する時期なので,我々のやっている進級試験で皆疲れ切ってしまって,これまで受けてもらうことは,なかなか難しいといった事情とか,各法科大学院がいろいろ抱えている御事情があり,この3月という,今回は3月16日が,一番アンケートを採った上では参加いただけるところだったのですが,本格実施になった場合には,むしろもう少し前の方になる可能性があるのは,後で御議論を頂くところですけれども,それがいい方向に働くのかどうかということも,また関係してくることかと思います。
   はい,どうぞ,笠井委員。

【笠井委員】
   名案があるわけではないのですけれども,これは,作題に関わっておられる先生方は,非常にしっかりとした,立派な先生方ばかりですね。そういうのを,お名前を公表して,きちんとした人が作った問題で,要するに,はっきり言って将来の司法試験考査委員になる,私にも分かりませんけれども,そういうことも,ちょっとした工夫ではないかとは思うのです。
   司法試験考査委員も,できるだけ公表して,きちんと透明化していこうという,もちろん流れにありますので,そういったことで,信頼性がおける,まじめな試験だということをアピールすることもあるかと。思い付きですけれども。すみません。

【山本主査】
   ありがとうございます。いや,貴重な御提言を頂いたと思います。
   これは,検討チームでも,参加者を増やす工夫というのは,当然実施の中でお考えいただくということかと思いますが,引き続き名案募集ということで,いろいろな御提案を頂く,非常に重要な問題だと思います。
   ほかに,この取りまとめ,基本的な方向性について,御意見がございますでしょうか。
   どうぞ,片山委員。

【片山委員】
   司法試験との関連に関する記述ですが,1ページの4つ目の丸は,確認試験試行データと受験者の司法試験短答式試験合格状況との相関関係で,短答式試験について限定した書きぶりになっているのですけれども,他方,6ページの四角囲みの2つの黒ぽつでは,司法試験成績という形でも,広く司法試験の成績を指摘しているということですので,これが意図的な記述になっているのでしょうか。単にそごが生じているということであるならば,統一した方がいいかと思いますし,考え方もかなり分かれているところですので、議論も必要かと思いまして,指摘させていただきました。

【山本主査】
   ありがとうございます。
   確かに,ここは,そごしているところかと思いますので,短答式に限定する必要はないかという感じは,確かにありますが。
   これは,その上の法曹養成制度改革推進会議決定,1ページのは,その文脈で書いていますが,この推進会議決定は,どう言っているのですか。

【塩田専門職大学院室長】
   推進会議決定では,1ページに書いてある,短答式との相関関係と書かれているのですけれども,また,無理にそれに限らなくてもいいのかもしれないです。

【山本主査】
   そうですね。大体,趣旨としては,そういうことだと思います。そこは,検討して,修文を考えてみたいと思います。
ほかにいかがでしょうか。
   特段の御意見がなければ,基本的には,この基本的な方向性(案)は,御承認を頂いたと。ただ,先ほど御議論があった,この出題範囲,難易度については,本日の御議論を踏まえて所用の修正を行いたいと考えます。
   今後ですけれども,それでは,この基本的な方向性については御承認いただいたということで,ただ,修正部分については,修正案の文言ができましたら,事務局から皆様にメールでお送りいただいて,御確認いただくという手順を踏みたいと思います。最終的な調整につきましては,私に御一任を頂くということで,よろしゅうございましょうか。
   ありがとうございました。
   それでは,この基本的な方向性(案)という資料2についての審議は,以上にさせていただきたいと思います。
   引き続きまして,今までのお話は第3回の試行試験だったわけですが,次の第4回試行試験について,スケジュールについての論点が,資料として出されております。資料5ですね。この資料5について,事務局から御説明をお願いしたいと思います。

【塩田専門職大学院室長】
   それでは,資料5でございます。第4回の実施スケジュールでございます。
   最初に書いてございますように,どの時期に,進級判定に利用するのを勘案いたしますと,今のスケジュールで恐らく遅いということになると思いますので,どの時期にすることが適当かということでございます。
   各法科大学院に実施したアンケートですと,2月上旬の実施が適当との回答が多数でありましたが,一部の法科大学院では,これでは間に合わない,進級判定ができないという回答があるところであります。
   また,一方,土日の実施を希望するロースクールもございまして,そこをどうするかということでございます。
   具体的には,ページをめくっていただきまして,集計結果を書いてございます。これは,アンケートを採ったところで,どこであれば参加できるかということで,一番大きなところが,2月中旬ぐらいであったこと,あと,2ぽつで,進級判定に利用する場合の適切な実施時期はどこですかというので,2月上旬ぐらいが一番多いところではあります。
   あとは,進級判定に利用する場合の必要となる時期で,これも結構幅広く,2月上旬からいると言っているところもあれば,3月中旬というところもあって,結構幅広くなっていますが,2月下旬というところが多かったということでございます。
   また,4で書いてございますように,土日祝日に実施する場合の留意点ということであります。有職者,社会人への配慮への配慮もある一方で,実施のための人員の確保が必要という御指摘がございます。
   次のページの,参考となっています。これは,各ロースクールの定期試験などが,いつやられているか,また,授業がいつ行われているかでございます。これは,平成29年のカレンダーでやっているので,必ずしも第4回のカレンダーとは一致しないのですけれども,大体,例年同じであろうと,御参考までに作ったものでございます。
   濃い緑が,多くの法科大学院の授業期間で,薄い緑が,一部の法科大学院でこの辺まで行っているというもの。あと,定期試験につきましては,実線が,多くの法科大学院が行っているところで,点線が,一部の法科大学院で行っているところでございます。定期試験の後ということでございますと,2月中旬以降になります。
   ただ,仮に土日であるとすると,国立大学の前期試験が,2月25日,26日となりますので,なかなかそこに合わせづらいということであると,例えば,それより1週間前だということになるかと思います。
   というのが,大体の現状と言いますか,今の学事暦等を前提とした場合の考え方でございます。
   それと,私,先ほど説明するのを忘れていましたので,資料4を,今説明させていただきたいと思います。
   これは,さっきのスケジュールに関するアンケートを採る際に,試験についての意見や評価を,各ロースクールに聞いたものでございます。
   集計結果のポイントでございます。相対的な到達度を把握する機会を学生に提供する観点から,肯定的な意見が寄せられたことと,試験の内容については妥当ではないかという御指摘。また,一方で,進級判定においては,各法科大学院の裁量を認めるべきだというのが,多数寄せられたということでございます。
   進級判定の厳格化という目的であれば,そのような試験をやらなくても,各大学の進級判定を厳格化することでもいいのではないかという御指摘も一方であったことと,学生の過度の負担になってはいけませんという御指摘でございます。
第4回につきましても,先ほどのように,修了後が望ましいという反面,学部を含めた入試の時期と重複する場合,対応が難しいということでございます。
具体的な項目,回答結果につきましては,2ページ以降に書いてございます。例えば,共通到達度確認試験の意義に関する意見では,先ほど,有意義だと7校のロースクールが回答している一方で,厳格な進級判定という目的があれば,各大学の進級判定にも言及しているのではないかというのは,4校ありました。
   内容に関する意見としては,基本的知識の習得を確認するものとしては妥当だというのが,11校。学年に応じて出題内容を変更するべきというのは,5校。また,現在と同程度の内容であれば,理解度を測定する方法として有益というのが,4校。このようなことで,あと小さい字で書いてあるのは,1校しか回答がなかったのを書いているものでございます。
次の3ページで,進級判定の活用方法では,20校のロースクールが,厳密に統一的な基準を設けるのではなくて,裁量を認めるべきだという御指摘があったということでございます。
   留意点でございますけれども,学生にとって負担が過大となる恐れがあるというのが,6校。学生が短答式の学修に過度に注力してしまう恐れがあるというのが,5校。こういった回答がありました。
   5ページでございます。第4回のスケジュールにつきましては,期末試験終了後が望ましいというのが,16校。一方で,入試の時期と重複する場合は,対応が難しいというのが,10校。定期試験直後だと,学生に負担が大きくなるというのが,3校あったということでございます。
土日実施に関しましては,土日にやるべきだというのが,6校ありました。一方で,3つ目のぽつですけれども,職員の確保から土日は難しいとの回答が,4校ある。こういった状況でございます。
   説明は,以上でございます。

【山本主査】
   ありがとうございました。
   この点につきましては,先ほど日吉委員から御指摘もありましたように,この第4回というのは,現在予定されているところの最後の試行試験ですので,本番を当然見据えて,ある程度は,リハーサル的なことを,いきなりぶっつけ本番は余りにも危ないので,本番をにらんで考えないといけない。恐らく,この実施のスケジュールについても,そうだろうということが一方であり,他方では,しかし,進級判定に利用することを前提とした場合の時期と,ここにありますように定期試験とか私立大学の入試のスケジュールとかと合わせて,本当にパズルのように考えていかなければいけないところが一方であり,また,社会人のことを考えれば,土日の試験実施が必要と考えられる一方では,事務の体制等を踏まえると,土日は難しいという意見もある。なかなか本番をにらんで難しい体制作りが必要だということで,本日は,このスケジュールの点に少し絞って御議論いただいた方がいいのではないかと,このような資料を作っていただいたということです。
   これは,今日決める必要はもちろんないわけですけれども,御意見等を頂ければという趣旨でございますので,御自由に御発言を頂ければと思います。
   どうぞ,片山委員。

【片山委員】
   これまで,アンケート等の中で,そういった点からの指摘がなかったもので,あえて発言させていただきます。
   各大学の期末試験が終わった後の2月,3月での実施が,1つの方向性になりつつあるかとは思いますが,他方,この長期休暇にあたる2月,3月は,学生にとりましても,また法科大学院にとりましても,きわめて貴重な時期であるという点はございます。例えば,エクスターンシップを実施しているところもあるでしょうし,弊学でも、海外でのエクスターンは,この時期しかできないだろうということで,派遣を始めておりますし、,グローバル化という文脈では,海外提携校との共通でのプログラムの実施も検討されているところであります。
   まだ,ただ母数としては小さいですので,全体に対する影響という点では,それ程大きな影響があるわけではないでしょうが,今後の先導的な取組の中で,長期の休暇の活用は,非常に重要なポイントになるかと思いますので,進級判定でそれを使うことになりますと,そういったプログラムの推進を阻害することにならないか気にはなるという点を,付言させていただければと思います。

【山本主査】
   ありがとうございます。
   どうぞ,磯村委員。

【磯村委員】
   今の点は,結局,どういう形で使うかを決めることにも関係するのだと思うのですけれども,例えば,追試験が必要であるという御意見がありました。しかし,現在の作問体制から言うと,これに加えて追試験を用意するのは,事実上不可能であるので,正当な理由があって受けられないときに,進級判定に代わるべきものとして,どうするか,対応措置を考えることが必要ではないかと思いますし,今,片山委員がおっしゃった,海外プログラムで,その間日本にはいることができないという事情も,同じ扱いになるのではないかと思います。それは,もう例外措置の問題として考えてはどうでしょうか。大多数の学生諸君が受験できる時期として,一番どこが適当かを議論するほかはないのではないかと思います。

【山本主査】
   ありがとうございました。
   ほかに……恐らくそういうことになるのだろうと私も思いますが,そう考えた場合の時期として,このアンケートによれば,2月上旬から中旬にかけてが支持が多いというか,参加いただけるのではないかということになりますが。
   どうぞ,池田委員。

【池田委員】
   この参考資料3で配られた学生アンケートを見ますと,この試験のために特別な試験対策を行ったかという質問,ほとんどの学生は,試験対策を行わなかったという回答で,かつ,私はこれでいいと思っていて,特殊な対策を行わなければならない確認できない試験にはすべきではないと思っております。
   そうだとすると,定期試験の延長上で実施できる,だから,この試験のために,ある程度勉強の時間を確保しなければならない試験ではないようにすべきではないかと思っています。

【山本主査】
   御指摘,まことにそのとおりで,恐らく作るときの趣旨としても,普通に授業を受けている学生であれば,特段の試験対策は行わなくても十分な成果が得られるレベルの問題であるべきだし,そういう試験であるべきだということ,恐らく共通の了解としてあるだろうと思いますが,それを前提として……どうぞ,磯村委員。

【磯村委員】
   今,池田委員のおっしゃったのは,まことに正論ですけれども,現在のアンケートは,この試験が進級試験には使われないという前提での学生の対応なので,そうあるべきだということと,実際にそうであるかというのは,少し違うかなという懸念は払拭できないですね。山本主査も,恐らくそれを言おうとされたのではないかと思います。

【山本主査】
   おっしゃるとおりで,そういう試験対策を行われる可能性があるわけです。ただ,本日の議論の主題であるスケジュールを考える点においては,そういう学生が,試験対策をするだろうから,ここにするとかという考慮要素には,多分ならないだろうとは思っています。
   上田委員,どうぞ。

【上田委員】
   今の御意見,全く賛成で,基本的には,最大公約数的に,多くの学生が受けられる,そこで日程調整していくほかないだろうと思います。
   そういう意味では,基本的に学生が,法科大学院における定期試験を受け,そして,その流れで受けられる形で,スムーズに受験できるところに日程調整をしていくのが,ベストではないかと思います。

【山本主査】
   ありがとうございます。
   ほかに,どうぞ,酒井委員。

【酒井委員】
   進級試験を実際に受けた経験のある立場からということで,1つ。
   今の議論に若干考慮していただきたいというところで申し上げたいのが,期末試験は,後期の科目のみに対して行われる試験で,その後に行われる進級試験が,全範囲ということでした。私が進級試験を受けた当時は,期末試験の後,進級試験までの期間は,主に前期の科目の復習をすることを,比較的重視してやっていた記憶があります。
   もちろん,試験を作る側は,そのままのその流れで受けてくれれば,きちんと通る試験だから大丈夫だということで作ることになるのでしょうが,受ける学生の側からは,特に磯村委員から御指摘のあったように,進級が懸かってくることになりますと,これは,学生のプレッシャーが甚大なのですね。
振り返ると,司法試験の直前期を除けば,ロースクール3年間で,恐らく進級試験前が一番勉強したと思うのです。本当に,1科目でも落ちると全科目取り直しというのが一橋の進級試験でしたので,それはそれは,基本書を枕にして眠るというような言い方があったぐらいだったのです。本当に勉強しましたので,進級ということになると,学生は,また今回出てきているアンケートとは違う準備対応が必ず出てくることと,少なくとも期末の流れと言っても,後期の科目が重ければ重いほど,前期の科目の復習は,後期内ではほぼできないのが,学生の実態だと思います。ある程度前期の分の復習ぐらいの期間は,見てあげられるスケジュールにしておいた方が,学習効果という観点からもよいと思いますし,その他の面でも,メッセージ発信という点では,十分に大学側から学生に対する配慮も必要になってくるのかと考えます。
   以上です。

【山本主査】
   ありがとうございます。
   非常に貴重な実体験を踏まえた御意見だったかと思いますが,ほかにいかがでしょうか。どうぞ,日吉委員。

【日吉委員】
   逆に質問です。
   この平成28年度法科大学院学事日程のまとめを拝見していますと,いろいろな情報が盛り込まれておりまして,定期試験がいつぐらいまでやっているのかと同時に,大学の御都合というか,一般入試をやっていますとか,国立大学の行事が入っていますとかあるのですけれども,特に学生にダイレクトに関係しない,大学側の,一般入試の行事だとか国立の前期と書いてあるものだとかが,どの程度考慮されないといけないのかは,結構重要ではないかと思います。
   というのは,タイミングが,これを見ていますと,2月下旬ぐらいには結果が出ていることが好ましい,上旬でもいいというのが13校ありますけれども,2月の本当にぎりぎり終わりから3月の頭の段階で,結果がマークシートでも出ていなければいけない。そうすると,例えばですけれども,社会人も考えて土日にしようだとかと言い出しますと,ほとんどタイミングがなくなってしまって,もし学生さんの都合だけではなくて,大学の御都合も十分考えなければならないとなると,逆に,今度は,これは,1日でやることは無理ではないかみたいな発想は,入れざるを得ない。例えば,1日空けることが,土日に難しいとなると,2回,3回に分けて,一般入試をやっている普通の時間の後にやるかとか,逆に,そうしていった方がいいのかとかということも,考慮せざるを得ないのかとも思いますので,実際はどうなのか。
   逆に,私は1日でやってしまうべきだと思いますけれども,ハードル,あるいは隘路(あいろ)となる大学側の御都合を,どう盛り込んで,絞り込んでいったらいいのかは,結構,今もうそれを考え出さないと,4回目では大体方向性を決めておかないと,本試行は無理だと思います。
   本来であれば,片山委員が前回おっしゃったように,3回目から,本当はそれをトライアルできればよかったのですけれども,どうやら3回目は,もう3月16日ということで,より多くの学生さんに,とにかく受けていただきましょうという観点からの日程選びになっています。ところが,本施行になりますと,そうは言ってられないところもあるでしょうから,そうすると,ぎりぎり4回目を考えるときに,どういう要素をどう優先順位だとか,あるいは,どのくらいそれが深刻な影響かとか教えていただいて,考えざるを得ないのかと思います。

【山本主査】
   ありがとうございます。
   法科大学院に対するアンケート,先ほど,資料4の中では,入試の時期と重複する場合,実施は困難というのが,10校あるということですが,私自身も,私立の経験がないので,私立の入試との関係は,分からない部分があるのです。
   これは,片山委員にお伺いしてもよろしいですか,どういう感じかという。

【片山委員】
   難しいということで,完全に困難だということは,恐らくはないのだと思いますけれども,事務体制はかなり入試に奪われますし,キャンパスが,慶應義塾の場合は,三田とかいろいろなところにありますけれども,三田で試験を集中して,基本的はやっていることになりますと,現実に教室の確保とかといった点で困難が出てくることは出てくると思います。それが直ちに不可能ということでは,決してないのではないのだと思いますけれども,なるべく避けていただければ有り難いと思います。

【山本主査】
   はい,笠井委員,どうぞ。

【笠井委員】
   国立だと,入試の期間がそんなには長くないので私立とは違うと思いますが,前期が2日,今年度たまたま土日ですけれども,25日,26日に決まっているとか,そういうので,その日だけは避けていただければと思います。
   少なくとも,この学部入学試験の日は,絶対に使えないと思います。教室がまずありませんし,職員も手が回りません。それに,何百人も法科大学院生が来るみたいなことになると,原則立入禁止であることにも反しますので,国立の場合だと,恐らく集中したその2日間は,絶対にできないと考えていただく方がいいと思います。

【山本主査】
   ありがとうございます。
   それでは,髙橋委員,先ほど……。

【髙橋委員】
   入試については、そもそも物理的な制約も多々あると思いますので,入試日程を全部外して考えることは,無理だろうと思います。最終的には最大公約数的に決めざるを得ないのかと思います。
   それから,学生の視点で,定期試験の間,少し間を空けてほしいという酒井委員の御意見ももっともだと思いまして,また一方で,余り遅くなると,その結果を次の学年に活かすこともできなくなるだろうと思いますので,その意味では,アンケートの回答が出てきている辺りが,概ね妥当なのかと思います。

【山本主査】
   ありがとうございました。
   もう1つ問題として,この土日の実施という要望,これは,社会人,学生の受験機会ということから,重要な点かと思います。これについては,何か御意見,御示唆いただけることはございますでしょうか。
   どうぞ,磯村委員。

【磯村委員】
   通常の昼間開講で授業を行っている法科大学院の社会人の方は,多分ウイークデーでも勤めておられるわけではないと思うのですけれども,一部の法科大学院は,社会人学生を対象に,有職でありつつ授業も出られるという時間帯でのカリキュラム設計になっていると思いますので,そういう方を考慮すると,土曜日が可能であれば,土曜日に設定するのは,望ましいのではないかと思います。

【山本主査】
   ありがとうございます。
   これは,私としては,事務体制というか,実施体制で,現実に土曜日ということ,一部の法科大学院では,職員の体制確保の観点から困難と,4校ありますが,困難というのは,どの程度困難なのかというのはあると思いますけれども。
   いかがでしょうか。そういう法科大学院の存在を考えると,平日の昼間にやって,仕事休んで出てこいというのは,恐らく現実的なことではないということだろうと思います。
   よろしゅうございましょうか。
   それでは,この点については,今のような御意見をお伺いしたということで,引き続き,第4回の問題については,この秋以降,更に議論を深めていただきたいと思います。
   それでは,本日,まだ少し時間がありますので,本日の主たる議論,大体議論いただきたい点は,今のようなことですが,本日,参考資料4として,これまでも何回か出てきているところですが,本格実施に向けた検討事項ということで,なかなか議論をする時間がないのですけれども,言うまでもなく,当然のことながら,この本格実施をどうあるべきかについては,真剣に考えていかなければいけない時期に来ていることもございます。
そこで,本日,30分程度残されていますので,この点についても,フリーディスカッションという形でありますけれども,御意見を頂戴できる機会があればと思います。
   事務局から,まず,この参考資料4について説明お願いします。

【塩田専門職大学院室長】
   参考資料4でございます。
   若干,前回のワーキング・グループから微修正しているのですけれども,基本的に前回お示ししたものと同じものでございます。
   まず,最初の1点目は,本格実施の際に試験科目をどうするのかという話でございます。1年,2年,それを含めて,学年も含めて,どうするのか。
   また,2つ目の丸は,先ほども御議論いただきましたけれども,実施時期をどうするか。特に,第4回につきましては,学事暦作成の関係で,秋ぐらいまでに示すのが適切ではないかと考えてございます。
   3つ目が,本格実施の際の実施期間とか作問体制,費用,受験料の在り方についてということ。また,次が,進級判定における活用方法とか,制度的な位置付け,それに伴って追試をやる必要性があるのかどうかといったものでございます。
   また,短答式を免除することも念頭に置いた確認試験の在り方,特に試験の難易度について,どう考えるか。また,特別措置が必要となる学生への対応ということで,これを今後どうするかということでございます。
   最後が,法曹実務家の関与の在り方についてという論点を挙げてございます。
   説明,以上でございます。

【山本主査】
   ありがとうございます。
   先ほど申し上げたように,本日は,これについて何か決めなければいけないということは,全くありませんので,御意見や御質問等,あるいは,ここに載っていない論点で,こういう点も今後考えていかなければいけないといったことも含めまして,御自由に御議論いただければと思います。
   どうでしょうか。

【片山委員】
   そもそも論ということかもしれないですが,共通到達度確認試験の意義および位置付けという点について改めてしっかりと議論をしておく必要があると感じております。
   もちろん、法科大学院の中で,基本的な実体法の知識がきちんと備わっているかどうか,基本的な法的思考能力が備わっているかどうかを確認する,そういうプロセスが必要であるのは,疑いもない点でございます。
   ただ、それを,共通到達度という形で,全国の法科大学院の一斉の試験で行うべきかどうかという点が,次の問題としてあります。今,ロースクールの置かれた現状に鑑みますと,その一定の必要性があることは,認識できるとは思っております。
   他方,適性試験の問題に関しましても,適性を共通の試験で測る必要性が,果たしてあるのかどうかという点も含めて,検討が進んでいるところですので,将来的には,到達度の確認を,共通の枠組みで行うのか,それとも,各法科大学院がそれに代わる確認をしっかりできるのかどうかを検討していく必要があろうかと思っております。
   その意味で,共通到達度確認試験を,択一試験という形で行っていることの意義は,きちんと考えておく必要があろうかと思っております。これは,本来、論文試験で確認すべきところを,それが共通試験では難しいので,択一試験だけで行っているという消極的な意味にとどまるのか,そうではなく、基本的な知識を確認する上においては,択一試験は非常に有用である,有意義であるという,積極的な意義が見いだせるのかという点です。積極的な意義があるとしたならば,今後,この到達度の確認を,各ロースクールが独自に行う事態となった場合には,個々のロースクールにおいて,例えば期末試験等の中で,択一試験の問題も問うて,基本的な知識の有無を確認することが必要になってくるということになろうかと思います。その意味で、今回,共通到達度確認試験を実施している中で,択一試験でそのことを問うことの意味を,きちんともう1回,しっかりと議論していくことが必要ではないかと思った次第であります。

【山本主査】
   ありがとうございます。基本的な視点を御提示いただいたかと思います。
   ほかに,いかがでしょうか。どうぞ,磯村委員。

【磯村委員】
   並んでいる検討事項の中で,多分喫緊の問題は,3つ目の白丸ではないかと思います。
   最初の,本格実施等の試験科目等については,今年度の試験を実施してみないと分からないところがありますし,最後の法曹実務家の関与の在り方についても,今回,幸い点検委員という形で御協力を頂けることになりましたけれども,それがどういう意味を持つかについても,また検証した上で,どういう参加の形があるのかも検討する必要があります。それぞれ,まだ今の段階で,本格的に議論を進めることは難しい問題だと思いますが,平成30年度に本格実施をする以上は,3つ目の丸の問題は,もうとにかく決めざるを得ない問題で,どういう可能性があるかを,例えば,事務局でバリエーションとして示していただいて,それをたたき台に検討するしかないのではないかと感じています。【山本主査】  ありがとうございます。
   今の点について,事務局で,コメントいただけるところがあれば。

【塩田専門職大学院室長】
   おっしゃるとおり,現状としては,国立大学の運営費交付金という形で,主たる大学ということで,4大学にやっていただいている実態でございます。そのためには,今は,学生の受験料が無料という形になっておるということでございます。
   主たる大学,4大学が運営主体では,なかなかうまくいかないこともありますので,それの上にどういった機関があるべきか,また,実際の事務局機能をどこに担っていただくかといった議論が必要かと思います。
   例えば,統一適性試験の場合は,関係機関の方が集まって管理委員会という形を取ってやっておられることもありますし,法科大学院協会という,この分野では全ての法科大学院が集まった協会もございます。そういったところの関与とか在り方も含めて,今後検討していく必要があるのかと思っております。

【山本主査】
   磯村委員御指摘のとおり,これは,喫緊の問題というか,平成30年度に本格実施をするとすれば,当然前提として費用の負担が問題になり,それは国家予算との関係というのが出てくるとすれば,平成30年度の国家予算という,平成29年には決まっていくことになろうかと思います。
   そうすると,今から,時間があるようで,実は,もう1年ぐらいの後には,ある程度の大枠というか骨格が決まってこないと,本格実施がおぼつかないことになりますので,恐らくは,今年,これから,特に秋以降,来年の前半にかけて,この点は,相当本格的に御議論いただかなければいけないということだと思います。
   この秋以降,事務局からも,ある程度,今御指摘をいただいたような選択肢を出していただきながら,本ワーキング・グループでも議論していかなければいけないことになるだろうと認識をしております。
   いかがでしょう。今の点でも,ほかのところでも,結構です。
   上田委員,どうぞ。

【上田委員】
   感想になってしまいますけれども,特に費用の在り方などについては,学生目線で前向きに検討してくださいと言うほかないと思います。
   適性試験の在り方について議論がありますけれども,国立大学のロースクールの場合には,受験料の検定料が3万円かかりますし,その後,また共通到達度確認試験でお金を取られて,それから,最終的には司法試験で受験料を払わなければならないことになりますと,経済的にも相当な負担を強いることになります。我々,一生懸命,法科大学院を活性化するためにと議論しているわけですが,そういったことが,法科大学院志願者の減少に拍車を掛けていくことになりますと,身も蓋もないというか,何にもなりませんので,ここは,本当に,事務局の方にも,あるいは全体として,前向きに検討いただければと思います。

【山本主査】
   ありがとうございました。まことにごもっともな御指摘だと思います。
   ほかにいかがでしょうか。池田委員,どうぞ。

【池田委員】
   私も,今の上田委員の御意見に全く賛成で,この共通到達度確認試験を受験するためにお金を払うインセンティブは,学生には全くないのではないかと思っております。無料でないと,制度は維持できないのではないかと思います。
   どれぐらい有料になる可能性があるのか,知りたいところではありますが,是非前向きに,有料でない方向で御検討いただければと思います。

【山本主査】
  ありがとうございます。

【山本主査】
  同じようなことをやっておられる,例えば,医学部などでは,これは,有料というか,学生が負担することになっているのですね。もちろん,各大学は助成をしているとか,あるいは同窓会から助成金が出るとか,いろいろなものがあるとは伺っておりますけれども。
そういったこととのバランスということでもないのでしょうけれども,そういった議論も生じてくる可能性があって,もちろん,事務局については,引き続き奮闘をお願いしたいとは思っています。いろいろな事情はあるということだと思います。
   どうぞ,課長。

【浅野専門教育課長】
   正直,私も,この共通到達度確認試験を見て,十数年前に,私は,医学部の教育の質が下がっていることが,医療事故が多発して問題になって,医学部に共通到達度試験を導入した,苦労した人間として,非常に,チャレンジングなことを,今,まさに先生方にお考えいただいていると実感としてあります。
   先生が言われたように,医学部の教養試験では,今,1人受験料2万5,000円ぐらい,学生は払っていますし,それ以外にも,各大学が,試験機関に対して,数百万の年会費を払っていますので,本当にそのようなことが,このロースクールの世界ができるのか。
   先ほど,日吉委員からも話がありましたが,医学部の場合は,臨床実習に入ることを可能にするために,患者さんに接して,医行為をある程度行うためには,厚生省のガイドラインで,しっかり能力の適性を測るようにという要件になっていますので,それを本来各大学ごとにやるべきだったのですけれども,それが十分でないので,全国の統一試験を作る必要性が出たわけであります。
   そういう臨床実習に入るタイミングが,各大学によって,医学部によって,違いますので,医学部の場合は,今5万問以上のプール問題を試験システムの中に登録して,学生ごとに,隣の学生と違う問題,択一の問題が出るようになっています。5万問の中からです。それが,ある意味では,各大学いつでも受けたいときに受けられる状態になっています。そういうことで,統一で一斉にやる必要がないので,優位性はあるのですけれども,逆に言うと,コストが非常に掛かることになります。そうすると,実施時期を分けるということは,試験問題数をより作らなければならないので,プール問題制にできない場合には,毎年使い捨ての問題を相当数作らなければならないこともあり,そうすると,かなりの負担とコストが掛かることになります。
   まず,未修者の終了時点,1年生の終了時点をターゲットにするのか,今日御議論がありましたけれども,2年生終了時を,短答式の試験ということも視野に入れながら考えていくのか,その辺も,しっかり目的を整理した上で,その目的に合わせて,どういう形での試験のシステムが効率的で,コストができるだけ掛からないように,負担も掛からないように,かつ適性の能力が測れるのかを,しっかり測れるシステムを,きちんと,これから,まず目的趣旨からしっかりと定義して,考えていく必要があるのではないかと思っております。
   ちなみに,医学部も,平成17年から本格的に共用試験を実施し始めました。各大学でそれを進級判定に活用してきたわけですけれども,各大学によって,進級判定の合格ラインがばらばらになっていたものを,昨年ようやく統一基準という形で,全国医学部長会議が,そのガイドラインの基準点を示すところまで,10年たって,やっと来ました。ようやく,平成30年度ですか,共通到達度試験の試験問題の範囲をカバーしている部分は減らすということで,100問,確か医師国家試験の試験問題を削減する形で,ようやく十数年たって,医師国家試験と,この医学部の共通到達度試験の調整というか,連携というか,そういうものがしっかりと行われるようになってきた状況がございます。
   そういうことで,短答式免除という話も念頭に置きつつも,それはどのくらいのスパンで本当に実行できるのかは,試験の実績が,ある程度信頼性が上がらないと,そう簡単な問題ではないのではないかと思っておりますし,最初に申し上げましたように,しっかりと,この試験の目的を明確にして,それに合わせた形での効率的なシステムを,事務局としてもしっかりと検討していきたいと思っております。
   以上です。

【山本主査】
   ありがとうございます。
   この制度の趣旨目的という,最初の部分は,この問題に最初から,未修者ワーキングの頃から関わってきた私を含めて,日吉委員とかもそうだと思いますが,いろいろと申し上げたいことはもちろんあるわけですけれども,それはこの場では申し上げませんが,是非文部科学省においても責任を持って,この問題に取り組んでいただくことを,主査としては期待したいと思います。
   それでは,他に御意見等がなければ,この程度にしたいと思いますが,よろしいでしょうか。
   それでは,本日の議論は,この程度にさせていただきたいと思います。
   最後に,事務局から,次回の会議の予定等について御説明を頂ければと思います。

【塩田専門職大学院室長】
   次回の予定については,まだ調整中でございますので,改めて御案内させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

【山本主査】
   それでは,本日の議事は,終了したいと思います。
   長時間にわたって,熱心に御議論いただきまして,ありがとうございました。

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