資料1 短期大学ワーキンググループ(第5回)議事録(案)

1 日時  平成26年4月24日(木曜日)15時00分~17時00分

2 場所  文部科学省東館3階3F1特別会議室

3 出席者  (臨時委員)小林浩,佐藤弘毅(座長)の各臨時委員
                (専門委員)安部恵美子,大野博之,小杉礼子,小林信,小林雅之,滝川嘉彦,中山欽吾の各専門委員
                (文部科学省)板東文部科学審議官,吉田高等教育局長,常盤私学部長,中岡高等教育局審議官,浅田高等教育企画課長,里見大学振興課長,氷見谷私学部参事官,田中高等教育政策室長,今泉大学設置室長,君塚大学振興課課長補佐 他
                                       
【佐藤座長】  それでは,定刻よりやや早いですけれども,委員の先生方全ておそろいでございますので,開会とさせていただきたいと思います。中央教育審議会大学分科会大学教育部会の短期大学ワーキンググループの開催でございます。
 きょうは,はや5回目を迎えました。年度初め,大変お忙しい中を全員の先生方に御出席いただきまして,誠にありがとうございます。
 前回は,聖徳大学学長補佐のジョイス津野田幸子先生から,アメリカのコミュニティカレッジの在り方とその機能について御紹介いただきまして,その後,九州大学教育学部長の吉本圭一先生から短期大学の卒業生調査などからのコミュニティカレッジへの道の模索について御紹介いただいたところでございます。きょうも引き続き短期大学の在り方について活発な意見交換を行いたいと思いますが,御案内のように,もう既にこのワーキンググループの会期も終盤となりました。きょうからそろそろ審議のまとめを意識しながら進めなければならないと思っております。
 そこで,きょうは前4回までの議論を整理した資料を事務局に用意していただきました。それに基づいてまずは振り返りつつ,まだ足りない論点は何かというようなことも検討しながら協議を進めてまいりたいと,このように思っているところでございます。
 それではまず事務局から,事務局の異動の御紹介も含めまして資料配付の確認をお願いしたいと思います。
【君塚大学振興課課長補佐】  私,4月1日付けで大学振興課短期大学担当の課長補佐で着任いたしました君塚と申します。よろしくお願いします。
 それでは,配付資料を確認させていただきます。まず資料1でございますが,第4回ワーキンググループの議事録でございます。こちら,追ってメール等を差し上げたいと思いますけれども,5月13日までに意見があれば事務局まで御回答を頂ければと思っております。続きまして,資料2でございますけれども,短期大学の在り方についてのこれまでの意見等の整理という資料でございます。その次が,1枚大野先生より中央教育審議会短期大学ワーキンググループへの意見具申というペーパーを付けさせていただいております。最後に,参考資料でございますが,第1回のワーキンググループで配付させていただきました,「短期大学の最近の現状,大学改革を巡る動向から特に短期大学の在り方について検討が求められる視点等」という資料でございます。以上でございます。
【佐藤座長】  はい,ありがとう。
 それでは,議事に入りたいと思います。まず,先ほど申しましたように,短期大学の在り方についてのこれまで委員の先生方から賜りました意見を中心に資料としてまとめてもらっておりますので,まずこの説明をしていただきたいと思います。
【君塚大学振興課課長補佐】  それでは,説明させていただきます。
 資料2を御覧いただければと思いますけれども,こちらの資料2でございますが,短期大学の在り方についてのこれまでの意見等の整理ということでございますけれども,これは実は参考資料がございますが,ここの中で議論の中心となる視点等という項目が1ページ目の下の方にございますが,ここの短期大学の教育等の在り方について,以下いろいろな項目が並んでおりますが,これに基づきまして,今まで1回から4回まででワーキンググループで委員の先生方から頂きました御意見等を資料として整理させていただいたものでございます。
 それでは,資料2に基づきまして,若干ポイントを説明させていただきます。
 まず,論点の1,「短期大学の教育の在り方について」ということでございます。こちら,2点ちょっと視点を整理させていただきまして,1つ目の丸でございますけれども,「これまでの短期大学の実績や特長を更に伸長させるため,学位課程教育ではどのような人材養成を行い,「短期大学士」としての社会的認識を確立させていくべきか検討が必要」。つまり,学位課程の在り方についてでございます。その下の丸でございますけれども,「多様な教育ニーズに応えるため,専攻科及び別科をはじめ,非学位課程の教育について積極的な活用方策の検討が必要」ということでございます。
 これらにつきまして,項目ごとに意見を整理させていただきました。事務局の方で割り振らせていただきますので,若干重複している部分とかマッチングが合わないところがあるかもしれませんが,そこは御容赦いただきたいと思います。
 特に,主な意見といたしまして,例えば2つ目の丸でございますけれども,短期大学の教育につきまして,専門教育だけではなく,クラブ活動や人間形成のための教育,海外研修,オフィスアワー,ボランティア等地域の高齢者と一緒に活動したりと,2年間の中でパッケージ化された教育が行われていると。これが短期大学の持つ1つの教育システムであるという御意見があります。
 一方で,弱みとしてということでございますが,下から3つ目のところには4年制大学と専門学校とのはざまで短期大学の特色がなかなか見えにくいということがあるというような御意見を頂いているところでございます。
 さらに,一番下の丸ですけれども,これは今後の在り方ということでございましょうが,アメリカのコミュニティカレッジの例を引くまでもなくということでございますけれども,誰もが気軽にアクセスできる短期の高等教育機関の充実は国家としての最優先課題であるという御意見を頂戴しているところでございます。
 更に2ページ目になりますけれども,短期大学の教育を活性化するためには,地方行政を巻き込んだ短期高等教育の制度的振興策がどのようなものかを考える必要があるのではないかということでございます。
 また1つ飛ばしまして3つ目の丸でございますが,生涯にわたる高等教育のファーストステージであるということをもっと強調すべきというようなことが,短期大学の教育の短期性を生かした教育ということで御意見を頂いている主なものでございます。
 また,特定分野での専門職業能力の教育ということでは,これはこれまでの実績ではございましょうが,幼児教育,保育,栄養,介護等に代表されるように,社会や地域で重要と認識されている公的資格分野における中核的専門人材を多くこれまでも輩出してきているというような御意見を頂いております。また,ちょっとラインは引いておりませんが,その一方で,アウトプットというところまで証明できるかというと,そこまでは至ってないというような御意見も頂いております。
 また,職業一般に必要な教育・実務能力の教育につきましての意見でございますが,短期大学の教養教育の良さということで,旧設置基準から引き継いでいる人文・社会・自然科学を基礎とした教養,また情報科目に代表されるような新しい社会ニーズから生まれた教養,そしてこれらを包括するような言語能力や論理能力の育成プログラムが高等教育としての教養として,職業教育の基礎ということも含めて整理されているというのが短期大学の教養教育の特徴ということで意見が述べられているところでございます。
 また,地域の人材ニーズに対応した教育というところでは,短期大学の大きな特徴である地域貢献,地域が求める専門人材の輩出に始まり,公開講座や免許更新講習,科目等履修,出前講座等を実施して,短期大学が持つ様々な地の拠点としての役割を果たしているということでございます。
 また2つ飛ばして下の方ですが,学士課程教育への接続への在り方についてというところでは,短期大学では高校とも大学とも,場合によっては大学院ともつながっていると。つまり,このようなどこでも接続できる利点を生かす方法を考えた方がいいのではないかというような御意見も頂戴しているところでございます。
 4ページ目になりますと,今度は論点の2でございますが,「短期大学の機能の在り方について」ということでございます。下の丸には「地域に密着した短期高等教育機関として,多様な社会の要請に応えていくため,今後どのような機能・役割を担っていくべきであるか」ということでございます。
 これにつきましては,高等教育の機会均等を確保する役割ということで御意見を頂戴しております。また,地域の生涯学習拠点としての役割ということで,これは短期大学基準協会の認証評価結果によると,地域と短期大学が密接に連携をとっていて,更に生涯学習の拠点となって様々な活動をしているというような事例も報告に盛り込まれているというようなことでございます。また,特定分野の専門職業に関する社会人等の学び直し機能としての役割や,長期履修制度の活用等,多様な社会層への対応ということについても意見を頂いております。
 一方で,他方な非学位課程の開発であるとか,個人のライフステージ,ニーズに応じた幅広い機能の在り方というのは,これまでの4回の中では重立った御意見を頂いていないというような状況でございます。
 続きまして,5ページ目でございますが,論点の3,「短期大学教育の質の保証について」ということで,「認証評価の在り方など,短期大学の質保証はどのように充実・強化を図っていくのか」ということでございます。各省が求める資格要件と卒業要件単位の関係ということでございますとか,短期大学設置基準の在り方については今のところ意見は出ていないという状況でございます。
 認証評価制度の改善充実ということでは,これは改善充実というよりはピアレビューを基本としており,チームで,短期大学は学長,理事長がリーダーとなるようなチームで編成されて,それぞれの短期大学に行っている評価活動を通じて学び合っているということで,良い面が御意見としていただいているところでございます。
 続きまして,下の方になりますが,論点の4でございますが,コミュニティカレッジ機能等の在り方についてということで,日本版コミュニティカレッジ,これは仮称でございますけれども,これを今後どのように構築するのか議論が必要ではないかということでございます。
 ということで,短期大学が担うべき日本版コミュニティカレッジ(仮称)の在り方についてということで,ちょっとページが移るわけでございますけれども,6ページ目に若干御意見を掲載させていただいております。その中では,アメリカのコミュニティカレッジは発展したわけでございますが,我が国,日本とは少し状況が違うのでそのあたりを押さえていく必要があるというような御意見も頂戴しているところでございます。
 また,地域総合科学科,これは短期大学基準協会認定事業でございますけれども,これについては,ペーパーを頂いているのがこの「地域総合科学科について」という御意見でございますが,これまでの4回のワーキングでは重立った意見を頂いていないというところでございます。
 また,専攻科,認定専攻科の在り方についても,今のところ意見がないということでございます。
 その他でございますけれども,高等学校,企業等に対するPR等ということでございますが,総じて短期大学の内容が余り社会に浸透していないというような意見がここに2点述べられているとともに,最後でございますが,4年制大学か,職業教育というと専門学校かの選択肢になって,そのはざまで短期大学が取り残された嫌いがあると分析しているというような御意見も頂戴しているところでございます。
 冒頭にお話ししたとおり,これまで4回のワーキンググループ等で頂いた意見につきまして事務局で整理していただいた次第でございます。説明は以上でございます。
【佐藤座長】  ありがとうございました。
 お気付きと思いますけれども,このまとめてきました項目分けは,第1回目のワーキンググループで配付されましたペーパー,短期大学の最近の状況,大学改革をめぐる動向から,特に短期大学の在り方について検討が求められる視点等ということで確認し合った項目に沿って整理していただいたところでございます。
 言うまでもないですけれども,これからのまとめに入る段におきましては,何も絶対にこのカテゴライズのとおりでなければならないということではございませんで,一応はこれを土台にして整理いたしましたけれども,これから自由な御討議を賜りたいと思っております。
 更に付け加えれば,今資料説明のところに,特に意見としてはまだ頂戴していないという項目につきましてもあえてそこに記しておりますのは,先ほどの冒頭,第1回目のペーパーにあった項目であると同時に,事務局や座長としては是非1度はこういうことに議論を向けていただきたいという願いも込めてリマインドのつもりで記入したということもお分かりいただければ有り難いと思います。
 それでは,これからの進め方ですけれども,既に多様な論点が出ておりますが,全部一緒くたにしてはちょっと議論が散漫になってしまうおそれもありますので,一応この4つの論点1つ1つを取り上げつつ進めさせていただきたいと思いますが,よろしいでしょうか。
 それでは,まず論点1,短期大学の教育の在り方。これにつきまして御意見等ございましたら,どなたでも結構ですのでお願いいたしたいと思います。恐らく,今までの経験からしてもこれが一番分厚い議論が集まりそうですので,30分程度時間を使ってもいいかなと思っているところでございます。
 それでは,どうぞ御自由に御発言くださいませ。
 当然のことながら,既に御自分の御発言がここに記録されているという委員の先生方におかれましても,更にもう少しこういうことを言いたかったのだという追加の御発言も歓迎でございますし,また記述の仕方が言ってきた趣と少し違うのだけどなというような御注文も歓迎でございます。
 どうぞ,御自由に御発言いただければと思います。
 どうぞ,滝川委員。
【滝川委員】  それでは,私の方,3ページの中ほどに書いてあります「短期大学の大きな特徴である地域貢献,地域が求める専門人材の輩出に始まり」というところについて,重複いたしますがもう一度申し上げたいのと,それからこの内容に絡んで,5ページの設置基準の関係のことにも絡めた話にさせていただいてよろしゅうございますか。
【佐藤座長】  どうぞ,結構ですよ。
【滝川委員】  これまでの議論の中でも申し上げましたけれども,短期大学が地域と非常に密接に関わっていて,自治体との関わりや企業との関わりの中で自らの教育を高め,卒業生たちをまさにその地域を支える人材として送り出していくというようなことがありますと,この強みを更に強めていっていただくという方向に考えていただきたいなと思っているわけです。そこで,1つの考え方といたしましては,設置基準の弾力化を考えたらどうだろうかと。例えば設置基準の教員の数だとか教員の資格だとかといったことに対して,もう少し弾力的な運用ができないだろうかと考えています。
 具体的にどういうことかと申しますと,現在非常に低い給料であったり,勤務日数が短かったり,それから年齢が高齢であったりといった場合には,実質的には専任教員の枠組みからは外れるわけですけれども,ただ,地域との密接なつながりを求める中で,元首長を専任の教員として迎える場合に,高齢な方がお見えになる場合もある。それから,社長の経験者の方の場合でも同じです。それから,医師に例えば一日専任教員としてきていただいて,学生たちに丁寧な教育をしていただきたいというようなことがある。現在の枠組みの中で,今申し上げた給料,年齢,勤務日数日数,それからもう少し申し上げますと,教育経験なども,もう少し緩和した形での御検討をいただければなと思うわけでございます。
 ただ,これまでにも例えば専門職大学院等の問題がありまして,慎重にこのあたりの議論をしなければいけないということは分かっておりますので,これもこれまでの議論にございましたけれども,そうした教育を提供する側(がわ)としての質の保証も兼ね合わせながら,そういったようなことを考えていければなと考えているわけでございます。
【佐藤座長】  ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 どうぞ,大野委員。
【大野委員】  論点1の箱の中の2つ目の丸の非学位課程の教育に関して,短期大学はこの非学位課程も可能,という強みが実はあるのですが,これが十分に生かし切れていないという反省に立ってというところで,どこで意見集約がされているかちょっと今目に留(と)まらなくなって恐縮ですけれども,今文部科学省の方も中核的専門人材,学び直しを中心にいろいろと事業を進めていただいているところでございます。しかし,やはり短期大学士課程,正規の課程だけでは対応し得ない,特に社会人は2年といっても長いと内容によっては感じる部分もありますので,そういったところに対応していくことが求められているのではないかと。いつだかリクルートの小林委員からもお話ございましたが,専門学校はそういった社会の動きや企業の動向について機敏に対応しているけれども,短期大学はこのところがちょっと後手を踏んでいるのではないかという御指摘がありました。実際問題,設置基準の作り込みだとか新しい学科の改組については,正規の課程で言うと大変やはり時間が掛かって専門学校さんのようにはいかないということで,私もそのときにお話をさせていただきましたが,一方,非学位課程は柔軟に対応できるというところから,もう少し検討の余地ありということです。現在,日本の短期大学が専攻科・別科を含めてどれだけの守備範囲といいますか内容を持っているかというのは,多分資料としても整理されていないのではないかと考えます。是非今後ここのところも意見が十分でなかったという指摘が,たしか先ほどあったと思いますので,現実どういう専攻科・別科が用意されていて,今後どういう分野が期待されていくかというところの見通しといいますかそういったものが見える資料を作っていただけると有り難いなと思いました。
【佐藤座長】  なるほど。
 事務局,大丈夫でしょうか。専攻科です。そうです,短期大学関係者の間では,近年専攻科の中ではとりわけ学士の学位に結びつく,いわゆる認定専攻科のことに注目が行っているのですけれども,本来専攻科はそれに限らず本当に多様な分野に展開が可能です。実態がどうであるかは次回お出しいただければと思います。
 併せて別科の資料も集まりますか。
【君塚大学振興課課長補佐】  ええ。
【佐藤座長】  そうですか。ありがとうございます。
 清水委員。
【清水委員】  今の大野先生の非学位課程に関連して,もう一つ平成19年から大学の第3の使命という形で社会貢献の中で履修証明制度です。これ,今短期大学ではどういう形で実施しているかというのも資料としては必要だと思います。やはりそこの履修証明,制度そのものが日本の大学でまだそんなに広まってない,普及してないと,もう7年もたっているのですけれども。やはり何かどこか欠陥というか問題があるのかもしれませんけれども,その履修証明,社会人を対象にした,あるいは在学学生もそれは履修して単位にもなるということなのですけれども,その履修証明制度の普及といいますか,役割を短期大学がここを担っていると。
 私が前話したような,アメリカではいわゆる生涯学習単位と称されるような,Continuing Education Unitという,10時間ぐらいの活動を1CEU単位にするという,こういう単位もそういう非学位課程の中で,考えてもいいのではないかと思っていますし,あるいは最近,何と言いましたか,ジョブ・カード制度。職業資格とかに結びつくようなもの。やはりそういうものも発展していけば短期大学の果たす教育の役割というのは非常に大きくなるのではないかと,そのように思っています。
【佐藤座長】  ありがとうございました。
 大変重要な御指摘だと思います。履修証明の制度が発足して今どの程度進んでいるか,私も定かではないのですけれども,履修証明を出す場合に全て届出していましたか。違いますよね。何がしかの方法で把握できていますか。難しいかな。今この場でなくても結構です。省内でもし可能であるならばそういう情報を集めていただければ有り難いなと思っております。
 ほかにいかがでしょうか。小林委員。
【小林(雅)委員】  私も少し最初のところと,それから質保証に係るところと両方に掛かっているのでどのように言っていいのかよく分からないのですが,最初の方に時間をかけるというお話でしたので,少し意見を述べたいと思います。
 特に,専門学校との相違ということについて,私はやはり一番短期大学の強みは質保証が充実しているということであろうと思っておりまして。その具体例としてもう少しこの点出した方がいいのではないかと思います。例えば設置基準が全然違っているわけで,このことについては余り触れられていないのです。現在,短期大学というのは2年又は3年というふうに明確に規定されておりますので,先ほどありましたようにそれ以外の課程というのは作ることができないという仕組みになっております。それに対して,専門学校の方は1年から4年まで実はできるということで,かなり違っているということがあります。これはもちろんいい面も悪い面もあると思いますけれども,例えばそれでは短期大学で1.5年のものとか2.5年のものを作るかというと,今の基準上ではそういうことはできないのではないかと思いますので,そのあたりどのように考えるかということがあるかと思います。
 それから,より具体的な問題として,教員の資格という問題があります。これは,短期大学は大学ですので,ほとんど大学と同じ基準で教員資格というのは規定されているわけですけれども,専門学校の方はそこまで厳しいことは言われていないと思います。専門学校の方の実態はよく分からないところがあるのではっきりしたことは申し上げられないのですけれども,専門学校の場合には,大学としての基準,例えば博士の学位を持っているとかそういうことは求められてないと思いますけれども,逆に教員免許を持っている方が多いということも聞いていますので,そのあたりは大きな違いだろうと思っております。ですから,そういった教員の資格についても大学としての強みを持っているということはもっと言っていいのではないかと思います。
 3点目なのですけれども,設置基準だけではなくて,設置認可そのものが短期大学は国が当然やっているわけですが,専門学校の場合は都道府県認可ということで,これも実態がよく分からないわけですけれども,そんなに厳しい基準でやっていないのではないかと拝察されますが,間違っていたら教えていただきたいのですが,そのあたり,かなり違うのではないかと思いますので,そのあたり強みということでもっと出して言っていいのではないかと思います。以上です。
【佐藤座長】  ありがとうございます。
 これも大変重要な御指摘だと思います。私,自明の理として余り触れてなかったことですけれども,これから整理して実際に項を起こすときには,これは極めて実務的で結構ですが,専門学校の今小林委員が述べられましたような差異についてきちんと整理して書き込んでいくということをお願いしたいと思います。
 ほかに。安部委員,どうぞ。
【安部委員】  私,1ページの一番最後の,誰もが気軽にアクセスできる短期の高等教育機関の充実は国家の優先課題だということを言わせていただいたのですけれども,現在日本の4年制大学以外の短期の高等教育機関には,短期大学と専門学校という2つの対立軸があるわけですが,今般の4月に職業実践専門課程等で,いわゆる職業教育に特化をした短期の高等教育機関ということを国,文部科学省が認定するということになったのですけれども,日本短期の高等教育機関が職業に特化した教育を行っているだけでいいのかと思います。
 先ほど小林先生がおっしゃったように,設置基準等が大学と同等であり,いわゆるラーニングコモンズに関しては,大学と同等の基準を持っている。その中で行われている教養教育,ゼネラル・エデュケーションの実態を強調していくことが,短期の高等教育で育てる人材をステークホルダーに,アピールするための一つの方策になるのではないかと思います。
 アメリカのコミュニティカレッジというのは,職業教育,それも2年に限らず本当に短期の数か月単位からの職業教育,そしてさらには大学に結びつく編入教育等々も含んだ,総合的な短期の高等教育機関としての地位を築いていく。それが地域に根差したコミュニティカレッジだとすれば,地域のデマンド,要求というものにどう応えていくか,そのための制度設計というのも必要になってくるのではないかと考えます。やはり,知識基盤社会の中では,中等教育段階終えた人に何らかの高等教育を提供しなければいけない。これはやはり21世紀の国家としての大きな課題だと思います。その役割を短期大学は担える機関ということで,短期大学再生を探るという方策も機能の充実という面ではあるのではないかなと考えております。
【佐藤座長】  ありがとうございます。
 短期の高等教育機関の充実は国としての最優先課題だという表現だけではちょっとまだ十分ではないと。近年,短期大学の職業教育の特性というのはもっとしっかり主張して強調してもいいのではないかという議論がある反面,その前提として,やはり大学教育としての質という基盤,このことをやはりしっかり押さえなくちゃいけないのではないかと,そういうことがまず第一だと思います。ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。
 どうぞ,小杉委員。
【小杉委員】  後半の方かなとも思いながら,一応こちらでも関係があるので申し上げたいと思ったのが,コミュニティ,地域との関係の話なのですが。後ろの方が方策になっているのでここで申し上げた方がいいかなと思ったのですが。
 大事なポイントは,地方に住んでいるそれほど家庭の資産もない人たちが学ぶ場としてかなり大きな役割を果たしているということが大事だと思うのです。やはり2年間ということで相対的に学費が安く済みますし,それからうちから通えるところにあるしと。このあたりの教育機会をきちんと提供していく。この役割というのは大変大事だと思います。
 それからもう一つやはり安部委員が調査されたジェネリックな部分です。高校以降のジェネリックな教育を受ける機関として手近なところといいますか安くて学べるところがあると。これは大事なポイントだと思うのです。これがあるからこそファーストステージとして次につながる一歩にもなりますし,このあたり,機会を提供しているということを非常に重要なポイントとして挙げさせていただきたいと思います。
【佐藤座長】  ありがとうございます。
 アクセスの良さというのにいろいろな要素があるといいこと,これもきちっと確かにやってください。何が短期大学のアクセシブルとしての強みかということかと思います。
 どうぞ,小林浩委員。
【小林(浩)委員】  はい。私も今小杉委員と同じ意見なのですが,誰もが気軽にアクセスできるというところは,地域的な距離的なアクセスと,やはりコストメリットというところの両方があると思っております。ここに書くかどうかは別として,最近地方を回っておりますと,短期大学と国立大学の併願が非常に多くなっていまして,私立で4年間併願するのではなくて,国立と短期大学を併願して,その出口を考えながら選んでいくということがローカルエリアでは起こってきていますので,そういったこともきちんと認識していく必要があるのではないかなと思っております。
【佐藤座長】  ありがとうございます。
 中山委員。
【中山委員】  私どもの大学は通常の短期大学とは違って芸術系ですので,一般的な考えがどこまで通用するかはちょっと自信がないのですけれども。
 公立短期大学の一番大きなメリットといわれているのが授業料が安いということです。それでうちの大学の場合は全国の27から30都道府県から学生が集まります。それはその地域ということとはまた違う意味での求心力だというのははっきりしているわけです。ところが,もう少し子細に調べてみると,出身県の必ずしも県庁所在地の近くには住んでなくて,付近に自分が就職したいと思うようなところがないとか,そういった副次的な問題も抱えている学生なども多そうだと。それの証拠に県外から来た卒業生の四十数%が県内で就職しているということもあるわけです。それは新たに短期大学を卒業することによって地域のコミュニティに入ってきたということを意味するわけです。ですから,それは多分経済的な理由とか地域における自分がやりたい仕事の有無とか,そういった要素も働いた結果としてどこで住むかを決めるというようなことも働くと思いますので,地域のいわゆるコミュニティカレッジということで即断することなく,やはりその大学,短期大学になぜ来たのかというようなことをもう少し子細に調べてみるといろいろ面白いことが出てくるではないか。
 現に文部科学省が数年前に調べたデータの中に,なぜ公立短期大学を選んだのかということの中に授業料が安いというのが断然多いわけです。それははしなくもそのことを証明しているエビデンスになるわけで,そのあたりを考えたときにそういうお金というのが今の日本では非常に重要になってくる。それも文部科学省のデータにありますけれども,この20年の間に片親だけが働いて家族を養っているところから,共働きに移行して半数以上が共働きになっているというような実態もございます。そういったこと,それぞれの家庭が持っている経済的な問題というようなものも,実は大学を選ぶ重要なキーになっているということをちょっと申し上げたかったです。
【佐藤座長】  ありがとうございます。なかなか私立短期大学だけでは気付かない視点だと思います。ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 どうぞ,安部委員。
【安部委員】  済みません,3ページの学士課程教育への接続教育の在り方についてということで,ここの中では上に下に,左右に接続できるというメリットを生かす方策を考えた方がいいというふうに書いてありますが,私も全くそのとおりだと思います。短期大学はいわゆる大学一条校でありますので,高等学校並びに大学,大学院につながるということで,よく高大連携というのがありますけれども,現在の高大連携を考えますと,ただ単なる大学で学ぶための準備教育みたいなことが高大連携というふうに捉えられることが多いのですが,もっとそれを深化する必要がある。例えば,高校教育段階でも職業教育は,高等学校の中で3割ぐらい占める専門高校等の職業学科で行われていますが,それらの高等学校との接続を考えた職号教育ができるのではないかと思っています。
 これがシームレスな,いわゆる中堅人材の養成につながっていくと考えておりますので,高大連携の深化というのがやはり短期大学に課せられた役割ではないかと思います。それからもちろん編入教育を充実することで,ファーストステージとしての短期大学の機能を高めることも必要です。今8%か9%ぐらいの編入率ですけれども,これを高めるために,いわゆる卒業直後だけではなく,生涯にわたって大学に編入できる道等々を考えるということが大切ではないかなと思います。以上です。
【佐藤座長】  前段の御指摘は特に重要だと思ってお聞きしておりました。高大接続,なるほど,一般に言われる高大接続とは主として4年制大学への接続が多いのですけれども,短期大学らしい接続だってまだあるではないかと,こういうことです。中等教育から短期大学につなぐ職業教育のアーティキュレーションといったような視点だとお聞きいたしました。ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
【大野委員】  よろしいでしょうか。
【佐藤座長】  どうぞ,大野委員。
【大野委員】  1ページの下の2つ目の丸でまとめていただいたところですが,例えば用語だけ拾っていくと,大学と短期大学の差別化や,大学と専門学校の差別化というのがなかなかちょっと明確に見えにくくて,文章全体としてはよく分かるのですけれども。清水委員がいつだか短期大学は隠されたカリキュラムがあって,これが持ち味の一つですと。もちろん正課の科目のほかにいろいろな行事とかそういうのがあって,これは専門教育とか教養教育とかいうくくりではなかなか整理しにくい概念の一つで,実際に個別の短期大学に行っていただくとその短期大学の持ち味というのがあって,まさしくそこで学生は学んで成長していると。だから,ちょっと表現の仕方をどういうふうにしたらいいかという問題は残りますけれども,短期大学ならではの特色ということで強調をしていただければと思います。
【佐藤座長】  ヒドゥンカリキュラムですね。これ,事例はやってはいないのですか。ここに書かれていることもそうなのですけれども,もし多様なそういうヒドゥンカリキュラム,隠されたカリキュラム,パッケージという言葉がいいかどうかは別としまして,もし情報をお持ちでしたらまた委員の先生方,御提供いただければ有り難いです。
 清水委員,どうぞ。
【清水委員】  最初の論点のところで,ぱっとこのまとめを見ると,曖昧とか弱みとか見えにくいとか何か短期大学が非常にネガティブなそれが目につくのですけれども,実際に書くときは先ほどから出ている短期大学のいいところをやはり出してもらいたいと思います。それが印象なのですけれども。
 もう一つ,ファーストステージという言葉が出ましたけれども,専攻科は認定専攻科に行くと今度は学士が取れるわけです。そういう意味では,専攻科というのはセカンドステージになりますので,短期大学はファーストステージもセカンドステージも持っているというふうなことを強調した方が私はいいのではないかなと思います。
【佐藤座長】  ありがとうございます。
 小林委員,どうぞ。
【小林(雅)委員】  済みません,もう何人からも言われたので同じことなのですが,重要だと思うので繰り返したいのですが。
 3ページ目の地域の人材ニーズに対応した教育というところで,地域の中核的人材とか地域の高等教育機関に十分寄与してきたということだが,エビデンスを出していないということなのですけれども,これについては今委員の発言があったようにたくさんエビデンスがあると思います。今,大野委員も言われていましたように,4大との違いということについてもう少し明確に書いた方がいいのではないか。それは,まさしく短期ということから生じているわけでありまして,短期ということは,繰り返しになりますけれども,それだけ安い学費と,それから放棄所得まで考えると非常に経済的にはメリットがあるということだろうと思います。小規模ということは,必ずしも短期大学の特徴ではないと思いますけれども,結果的には歴史的な経緯もありまして小規模なところが多くて,結果として地域に密接につながりを持って通学しやすい,アクセスしやすいということが短期大学の特徴になっているわけですので,そのあたり,4年制大学との違いということをもう少しきちんと書いた方がよろしいのではないかと思います。
 それから,エビデンスをもう一つ出しておきますと,私たちの行った調査によりますと,就職した方ですけれども,高校を出て就職した方で,経済的なゆとりがあればどちらに行きたいかというときに,大学よりも短期大学とか専門学校の方が多いのです。つまり,就職した方にとっては,4大よりもやはり短期大学とか専門学校の方が身近な存在として見られているということもあるかと思います。そういうようなこともエビデンスとして入れていただければと思います。以上です。
【佐藤座長】  ありがとうございます。
 さて,いかがでしょうか。
【中山委員】  よろしいですか,ちょっと。
【佐藤座長】  はい,どうぞ。中山委員。
【中山委員】  意見ではないのですけれども,今公立短期大学協会の方でかなり大掛かりな調査をやっておりまして,その調査の中に卒業生を採用してくれた会社だとかそういった組織に対してかなり大規模なアンケートを今とっておりまして,まとめに入っておりますので,次回若しくは最終回ぐらいにその結果は御報告できると思います。非常に我々自身も期待しております。
【佐藤座長】  ありがとうございます。
 さて,そろそろ30分たつわけでございますけれども,既に必ずしもこの論点1の枠内だけでなくて,それと関連してほかのところも触れていただいております。それで結構だと思っております。
 これから,論点2の短期大学の機能の在り方についてというのに移るわけですけれども,引き続き狭い意味での機能論だけでなく,前後して結構ですので盛んな御意見を賜ればと思います。その際に,ちょっと座長としてお願いですけれども,お手元に私立短期大学協会の提言書が資料として配られております。黄色い冊子でございます。その中に概要版が挟み込んであるわけですけれども,概要版の中で3ページに役割の提言,3ページから4ページにかけて短期大学の教育機能論の見解がございます。これも少し視野に置いていただき,あるいはこれも批判的な御意見も含めて結構でございますけれども,そういう意味で論点2の短期大学の機能の在り方につきましては,自由な立場から御議論いただければ有り難いと思います。
 どうぞ,どなたからでも結構でございます。
 小林信委員からどうぞ。
【小林(信)委員】  短期大学の機能という部分で,今まで短期大学,高校卒業された方々をすぐ,18歳の卒業された方々をほとんど中心に教育するという形で,高校卒業後の2年間の教育というのを重点的にしているわけです。ところが,皆様のお話にあるように,短期大学はかなりの都道府県に分散してそれぞれの地域にあると。そこの地域で実際に社会に出た方々,就職された方々もあるでしょうし,就職後の,定年後の人生教育を学びたいという方々がかなりいらっしゃるわけです。そのときに,大学に行くのか,大学院に行くのかという選択は結構あるのだと思うのですけれども,職業に特化してないのに再教育をしたいということになると,どうも専門学校に行く傾向が強くて,短期大学というのが受入れの枠に入ってないのです。実際に幾つかの短期大学に行っても,社会人の方々が学んでいるというのは数少なくて,そのあたりの再教育,ここでも学び直しというのが一つあるのですけれども,その受皿としての機能が本来はなせる場所だと思うのですが,そのあたり,短期大学の方々がどう思っているのかは分からないのですが,社会人を受け入れるというような枠組みを今後どうやって考えていくのかというのがもう一つ機能としてはあるのではないかということです。
【佐藤座長】  ありがとうございます。
 これも大変重要な御指摘でございます。小林委員も御案内のとおり,我が国の,これは大学・短期大学共通ですけれども,圧倒的に若い人が学生の構成比としては高い。先進諸国どの国と比べても少し異様なくらい。したがって,これから先は一旦社会に出た人にもう一回来ていただけるような魅力ある高等教育機関に生まれ変わる必要があるということで,大きな大学改革の課題になっているわけです。その線で,今のお話,大変重く受け止めたいと存じます。
 このことについて,何か。
 小杉委員,どうぞ。
【小杉委員】  大変学び直しは賛成なのですが,多分それは本体教育の方じゃなくて専攻科とか別科とか,そういうところの活用ということでウエイトを置いた方がいいのではないかと。短期大学の特徴と先ほどから言われている,非常にジェネリックなスキルで,ヒドゥンカリキュラムでコンパクトにまとまっていて,ぎゅっとまとまった集中的な教育って,これは18歳だから効く教育なのです。そういう若い人向きの教育というのと,それから今社会的に需要が深まっている生涯学習というか,職業人の学び直しの機会というのとはある意味ではちょっと性質が違うものなので,その両方を同じ課程の中でやるというのは難しいところがある。だから,そのあたりは教育資源を持っている短期大学が社会貢献するためにも教育資源を社会人に学びやすい形で提供していく,そういう別科の専攻科というものを社会の需要に合わせて作っていくということ,そういう視点が大事かと思います。
【佐藤座長】  ありがとうございました。
 座長として,我が意を得たりというのが正直な気持ちでございます。学位課程のことばかりではなくて,非学位課程です,専攻科・別科。そして先ほど御指摘の履修証明制度を活用した柔軟な社会人向けの教育プログラム開発ということで御提案いただいたわけだと思います。
 安部委員。どうぞ。
【安部委員】  今のことについては,アメリカのコミュニティカレッジにその事例があると思うのです。小杉委員さんがおっしゃるように,18歳に効くというか効果的な教育は現行の短期大学の教育課程であると。それで,非学位課程を加えるときに,いわゆる一般の雇用対策とか社会福祉対策として,地域と連動しないと社会人の受入れというのはなかなかできないと思います。それを国全体でやるのか,あるいは地域コミュニティとしてやるのかということが問題になってくると思うのです。そうすると,アメリカのコミュニティカレッジのように州ごとに,いろいろな提案をしていき,学位の種類すらコミュニティカレッジで独自に設定をしていくことになる。そうなるとそれを管轄するのが国であると,国の評価機関であるというようなシステム等になっている現行の短期大学制度と違ってくるわけです。社会人を受け入れていく場合に,そういうことから根本的に考えていかないとなかなか社会人を受け入れるということが制度的にできにくいのではないかという感じが私はするのですけれども,いかがでしょうか。
【佐藤座長】  これもどこかの資料で触れて,地方公共団体の関与ということを示唆しておっしゃっているのですか。
【安部委員】  はい。それがコミュニティカレッジということであれば,必ず必要になってくる。それは教育だけではなくて,雇用政策とか社会福祉政策とかと絡んでこないとやはり充実した社会人の受入れというふうにはならないのではないかというふうに思います。
【佐藤座長】  ありがとうございます。
 中山委員,どうぞ。
【中山委員】  私どもの大学では,ちょうど1年前からコミュニティカレッジとも言えるような一般の社会人を対象としたスクールを始めたのです。それには社会人のためのみに提供するものと,それから学生の授業を聴講する,若しくは履修することもできるという2本の線でやり始めております。まだ十分に広報活動が行き届いてないので人数はまだまだ少なくて,まだ始めたばかりということですけれども。
 その意味は,1つはそういう一度社会に出た方たちの学び直しというものをどういう形で我々のコミュニティカレッジとしてやれるのかという問題意識と,もう一つは高校を卒業してくる人口がどんどん減り続けています。もう中学・小学校は廃校が続々でており,特に大分県のような田舎の方は顕著です。そうしますと,本来の短期大学の学生の確保ということが近い将来深刻な問題に近い将来なってくるわけです。先ほど申し上げましたように,授業料が安いということだけが解決にはならないということですので,そういったことも含めれば,社会人に対する何らかの関与というのは,我々は絶対にやっていかなきゃいけないであろうと。それこそが,結果的にはコミュニティカレッジというものになっていくのではなかろうかと思っております。
【佐藤座長】  ありがとうございます。
 ちょっと済みません,中山委員,もう少しお話しいただけますか。社会人のために2つの場が用意されていると。1つは通常の科目を履修するというか聴講するとか,それはどこでもやっていることだと思いますけれども,先ほど社会人向けのスクールとおっしゃいました? これはどういうものですか。
【中山委員】  それは,私ども芸術系の学科が半分ありますので,そういったところで物作りというものを実際に,例えば陶芸とか染色とか木工とかの専門の先生がおりますので,それから設備もありますので,そういうところに募集をして,そういったことをやるという意味でございます。
 それから,語学もあります,フランス語。例えばフランス語というのは,なかなか学ぶことが難しいと。そうすると,フランス語だけを専門に学生以外の人に教えるというようなスクール,そういったこともあります。
【佐藤座長】  しつこいようですけれども,これは公開講座という位置付けですか。
【中山委員】  公開講座という位置付けでやっております。
【佐藤座長】  分かりました。ありがとうございます。
 小林浩委員,どうぞ。
【小林(浩)委員】  はい。社会人の学び直しニーズというのは,これからますます出てくるとは思っています。産業構造が変化する中で,定年まで一つの会社で勤めるということはなかなかなくなってくる時代に入ってきますし,大学時代に学んだことがそのまま30年なり40年なりもつ時代ではなくなりますので,どこかでもう一度キャリアのチェンジとか,そういったことで学び直す機会が出てくると思います。そのときに,じゃあ先ほどから出ている地域ニーズに柔軟に対応できる構成になっているかとかというところが非常に重要だと思います。
 では,じゃあ今どこがそれを取り入れているかというと,専門学校は3割ぐらいが既卒者というふうに言われておりまして,これは学校基本調査にもそのようなデータが出てきております。あとは,よくテレビでもCMをやっておりますけれども,いわゆる資格取得の,あれだけ広告ができるということがあれだけマーケットがあるということだと思いますので,そういった学び直しニーズに対して柔軟に対応できる仕組み,体制というのを短期大学の方でも取り入れる必要があるのではないかと思っております。
【佐藤座長】  ありがとうございます。
 滝川委員,どうぞ。
【滝川委員】  今の資格に関わることなのですけれども,短期大学が持っている資格というのは,何らかの別の省庁との資格も絡んでいるわけで,例えば栄養士の場合だったら厚生労働省と関わりがあるとか,経産省と,それからまた農林水産省と,そういうふうに各省庁との連携が欠かせないものがあるわけなのです。
 例えば私どもの学園の栄養士の例で申し上げると,社会人のニーズに合わせて昼夜開講をしたいと。そうすると,夜勉強に来られて栄養士の免許を取って,また次のステージが広がるじゃないかと考えます。ところが,残念ながら,厚生労働省では夜間開講を認められません。また,社会人は一度に2年間学校に通うことは難しいので,長期履修の制度を使って分割して勉強することはメリットになり得ます。ところが,長期履修制度も,期間が長くなればなるほど質の確認ができなくなってくるので認められない。このように学び直しのニーズに応えるべく何とか模索しようとしているのですけれども,進まないというのが実態なわけでございます。ですから,そこも一緒に併せて,考えていただきたいと思います。
【佐藤座長】  なるほど。
はい,小杉委員。
【小杉委員】  今の,ほかの機関の役割との関係にちょっと絡むのですが,コミュニティが主導してもっとという,安部委員からありましたけれども,地方自治体が高等教育政策を持ってないのです。それを所管する部門もないのです。高等教育は国がやるものだという仕切りになっているという事態の中で,どうコミュニティカレッジを作っていくのか。これは国としても是非考えていただきたいところです。以上です。
【佐藤座長】  ありがとうございます。大変重要な御指摘だと思います。
 後でまたコミュニティカレッジのところだとか様々なところで,繰り返し繰り返しこの地方の関与というものがいかに重要かということがクローズアップされてくるのではないかなと思ったりしております。
 ほかに,いかがでございましょうか。
 機能のところで,この4ページの一番下に2つ意見なしというところがあって,これが先ほど御説明申し上げましたように,今まで主な意見として出てきてはいないけれども重要なポイントだというつもりで,わざわざ残したわけでございます。特にこの多様な非学位課程で,既に若干お話は出ておりますけれども,この多様なというところで何か御発言いただければ有り難いのですが。
 滝川委員。
【滝川委員】  例えば,どうしても短期大学の話だと,皆さんを説得する上で分かりやすい栄養とか介護とか幼児教育とか保育とかという話に陥りがちなのですけれども,必ずしも短期大学はこの4分野だけではなくて,英語であるとか歴史文学であるとかと,こういった分野を学校の柱にしておられる短期大学がございます。ただ,多くのこうした短期大学というのは現場社会の理解を得られていないという実態ですので常に経営的にも学生募集的にも苦しい状況の中にあるわけなのです。
 ただし,その詳細を見ますと,例えば地域のボランティアにそこの短期大学の学生が行っていたり,それから地域の歴史の編纂に関わっていたりと。地方に行けば地方に行くほどそこに唯一ある高等教育機関である短期大学が地元の文化を担っているという例が非常に多数ございます。短期大学生として2年間きっちりと勉強するということに加えて,地元の皆さんが短期大学の学生と一緒に歴史を勉強したりボランティア活動をやっていったりするという意味では,こうした多様な内包を可能とする非正規課程といったものは,短期大学教育とのマッチングにおいて非常に重要だと考えております。
 したがって,非正規課程を内包してやっていこうと思うと,経済的には本体のお金を少し割いて投資をするという状況になりますので,本体の教育や経営面に大きなリスクを伴いながらやることになるわけです。そのあたりのところを,リスクを伴わないで,もしくはリスクを分散するような形で,この非正規課程といったものが実現でき,しかもこれまでやってこられたような地元の文化の火を絶やすことのないような,そういう学校からのアプローチができるような枠組みが望まれるところです。
【佐藤座長】  ありがとうございます。
 これも恐らく今回の御議論最後の方にまた出てくるであろう,新しい国等の支援の在り方というところで必ずポイントになってくることではないかと思っております。地域貢献であるとか非学位課程だという新しい概念に対して本気になって取り組む高等教育機関に対してそれをどのように支援していただけるかというようなことでしょう。分かりました。
 はい,どうぞ,大野委員。
【大野委員】  非学位課程のところで,例えばですが,これまで日本の地方行政が地域の需要で行ってきた職業訓練事業のようなものですけれども,これに場所を貸して,多分短期大学がこれを担うだとか。アメリカのコミュニティカレッジはまさしく産業ニーズもコミュニティニーズもそこで必要なものをコミュニティカレッジが請け負ってというような姿ですので,今後,先ほど来お話がある社会人の学び直しというのは,いろいろなところにたくさんニーズがあると思うのです。そこに的確に対応,短期大学がどのようにしていくかという枠組みがまさしくこれから必要になると思いますので,職業訓練事業というのは一つの具体的な非学位課程創設の視野に入れていいのではないかと思っています。
【佐藤座長】  ありがとうございます。
 よろしかったら,そろそろ第3の論点に進みたいと思いますけれども。繰り返しますが,またお話としては前後しても一向に構いません。一応ポイントは論点3の短期大学の質保証ということに移りたいと存じます。15分程度。
 小林浩委員,どうぞ。
【小林(浩)委員】  質保証と,あと在り方のところにも関わると思うのですが,盛んにファーストステージという言葉が出てくるのですが,きちんと4年制大学への編入というところの価値をもうちょっと明確にした方がいいのではないかと思っています。
 何かというと,大体4年制大学で2010年頃のデータによると,1学年で3%ぐらい退学していて,4年間で12%,7万人ぐらい退学していると。全てがミスマッチではないにしても,やはりそういった4年間で退学していく人もいると。その中で,今回の中央教育審議会の高大接続特別部会の中でも,大学の人材育成機能の強化という中に,編入学等の推進ということで,いわゆる大学入学後の進路変更の柔軟化というのも入っております。そうした中で,短期大学はきちんと2年間で質の保証をして,そこからまた次のステップに行けるというところで,編入の枠も余り見える化されていないものですから,そういった編入枠の見える化ですとか,その質の保証から編入への価値というところもきちんと打ち出してもいいのではないかと思います。
【佐藤座長】  ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 はい,清水委員。
【清水委員】  今の編入の話ですが。編入枠をもっと設ければ,その編入枠は広がるはずなのですけれども,逆に今少子化の中で学生の奪い合いみたいな,学生確保が非常に難しくなっていると。しかも,認証評価機関では1.3を超えると指摘されると。国立の場合で1.1とか。そういうのがあると,編入学定員を設定しても,今度はどこか1・2年次を減らさなきゃいけないとか,その全体の収容定員とかです。あるいは,学生定員の縛りが一方ではありますのでね。そのあたりも視野に入れてやらないと,どんどん編入の方を広げてというと,そういう回避しなきゃいけない問題もあるということなのです。
【小林(浩)委員】  両輪で考えていないと。
【清水委員】  そう。
【佐藤座長】  ありがとうございます。
 滝川委員,どうぞ。
【滝川委員】  5ページの意見なしというところの2つ目のところをちょっと御説明申し上げたいと思うのですが。
 抽象的な基準の明確化や社会人教育への対応など,抽象的な基準と書いているのですけれども,今短期大学基準協会の中では,例えば下にあります学修成果という言葉があるのですけれども,学修成果の向上,スチューデントラーニングアウトカムズにつきまして,数値で示して向上を示してくださいというような評価の仕方をしております。したがって,これまでのように漠然と,例えば人間教育をしますよとか,それからこの勉強をすると社会で役に立ちますよというような,そういう段階から具体的な質を問うような評価に変わってきているということを御説明させていただきたいと思います。
【佐藤座長】  なるほど。
 中山委員,どうぞ。
【中山委員】  かなり入学した学生に対して詳しい調査をしておりまして,入学した学生のうち,入学を辞退する学生がなぜ辞退したかというところまで調査してみると,競合している4大が見えてくるわけです。そういう調査もしておりまして,逆に言えば思った4大に受からなかったから浪人はできないから短期大学に来たという学生も多くいると。そういう学生は編入学を希望しているというのは,募集をすれば分かります。それで,編入学を一つ,特に人文系が多いのですけれども,中心にして編入学をするためにどういう教育をプラスアルファしていけばいいのかというようなことを,先生たちの間で研究をしております。
 結果としてはどういうことかというと,例えば今年度で411名卒業生がおりまして,そのうち就職をした人間が191人,ある時点で切っていますのでそんなに多くはないのですが,4年制大学への編入学生数が76名と,これは18%です。それから,美術,音楽は認定専攻科がありますので,それに48名で12%。合わせて卒業生のうち30%は上級学校に進んでいる。学士号が取れる上級学校に進むということでありまして,例を挙げると,名古屋大学の大学院に1人行っていますし,名古屋大学の教育学部の3年編入が1人いるというぐあいに,かなりのレベルの,それ以外の大学は九州,四国,中国地方の公立及び国立の大学が大部分でございます。そういうようなことが,結果的には我々の教育のレベルを間接的に保証されているなということで,毎年重要な指標として捉えております。
【佐藤座長】  ありがとうございます。
 小林雅之委員,どうぞ。
【小林(雅)委員】  編入学のことなのですけれども,これは確かに制度的には整っていると思うのですけれども,一つのハードルとして指摘したいのは,入学金の存在です。これはかなり日本独自の制度でありまして,大体平均すると30万円ぐらいになりますので,かなり高いハードルになっているということでありまして,私立で例えば系列校とか同一法人の場合に免除するような仕組みを持っているところもあると思いますけれども,一般的にはやはり入学金が30万というのは非常に高過ぎると。これはほかのいろいろな調査でも分かっているのですけれども,やはり入学金というのが高いというのが,進学や編入学については非常に大きなハードルになっていることは事実ですので,どういうふうに解決するかというのは非常に難しい問題だとは思いますけれども,こういう問題があるということだけは指摘しておきたいと思います。
【佐藤座長】  ありがとうございます。
 大野委員,どうぞ。
【大野委員】  意見なしの下の方の2つですけれども,ちょっと私の勘違いでしたら。
 最初の方の意見なしは,「短期大学間での学科分野ごと,共通教育に関する質の強化」ですけれども,これは既に座長が中心になってまとめていただいた調査研究の中でも,コアカリキュラムに言及されて,こういったものが必要であろうということが示唆されていますので,もうちょっとそこに議論が必要だということの意味で捉えればと思いますけれども,そういったことがまさしく大事だと思います。
 それから,関係団体等については,確かに意見がないのですが,既にこれはいろいろな領域において,質保証をするために大学間での教育の成果についてきちっとしていこうと。具体に言いますと,例えば栄養士の養成にあっては,管理栄養士のような国家試験がございませんので,特別に実力認定試験というものを仕掛けていただいて,それに向けてのガイドラインや,コアカリキュラムや,やはり業界といいますか全体としての取組がありますので,そういったものは広く世の中に分かっていただくと,その短期大学教育のありようというものも更に理解を深めていただけるのではないかと思っています。
【佐藤座長】  ありがとうございます。
 コアカリキュラムの支援につきましては,第2回か第3回に事務局から説明していただきましたので,若干の議論は頂いたと思っております。
 関係団体につきましても,どなたか基準協会が頑張って質保証をこういうふうにやっているという御議論がありました。
【滝川委員】  トランスファーのシステムを作るときに,ミネソタ州の例が出ました。州全体でトランスファーのプログラム,指針を作って,その作った指針に応じて各コミュニティカレッジが更に細かい目標とかあるいは内容を定めるというものでした。やはりそういう一つの短期大学ではいかんともし難いというものは,関係団体が音頭をとるべきであると。日本私立短期大学協会などが音頭をとって日本の短期大学のトランスファーの基本理念とか指針を作成したらどうかということはいつも思っています。
【佐藤座長】  ありがとうございます。
 どうぞ,小林浩委員。
【小林(浩)委員】  ちょっと違う観点ではあるのですが,質保証ということに関しまして,今年から大学のポートレートというのができることになっています。その中で,やはり専門学校との違いということで,きちんと,任意ではあるのですけれども,国が窓口となって全部集めて情報を公開していくというところでの質の保証という観点は,ステークホルダーから見て見える化していくというのは非常に重要な視点じゃないかと思っております。
【佐藤座長】  ありがとうございます。そのとおりです。
 安部委員,どうぞ。
【安部委員】  短期大学の教育の質を保証するのに,やはり教員の質が大切だというのは,先ほど小林委員さんからもお話がありましたけれども。
 実は前回の津野田先生の御発表にちょうど質問をしました。それは,コミュニティカレッジの教育に携わった先生から見て日本の短期大学の教員はどのように見えますかという質問です。それに対して,津野田先生からは日本の短期大学のファカルティは伝統的な4年制大学の文化の期待に応えながら,同時に2年制カレッジのファカルティとしての彼ら自身の特殊な役割を見いだそうとしているとの回答を頂いたのです。これを中途半端と見るのか,あるいはいわゆる短期大学という多様な能力とバックグラウンドを有する学生たちをまずは教育する機関であると考えるのか。そうなると,この短期大学の教員の特性というものをどのように方向付けするのか。これは4年制大学とは若干違う視点があるのではないかと思われるのです。いわゆるティーチングプロフェッサーですか,そういう制度等は海外にもあるようなのですけれども,そのようなファカルティの力というもの,短期大学独自のファカルティとはどういうものかということを,やはりどこかで議論をして短期大学の教育を進めていくという視点が大変大切ではないかと思います。
【佐藤座長】  ありがとうございます。これも大変重要な視点です。
 小林雅之委員,どうぞ。
【小林(雅)委員】  その点についてですけれども。アメリカとの比較でいいますと,アメリカの大学はPh.D.クラス,博士課程の学位を持っている方が大部分なのですけれども,コミュニティカレッジについてはそこまでは要求していないということがあります。マスターレベルということです。
 それから,今安部委員が言われたことなのですけれども,教員の資質として求められているのは教育でありまして,研究ではありません。これはリベラルアーツカレッジも同じなのですけれども,コミュニティカレッジにおいても教員の方は研究はしますけれども,それは教育のための研究です。自分が教えるためには当然いろいろなことを知らなければいけないから研究はしますけれども,いわゆる研究大学のような研究はしていない。これは明確に違いますので,日本はそのあたりが確かにおっしゃるようにどちらでもないというような形になっているのではないかと思います。
【佐藤座長】  ありがとうございます。これは,例えば教育審議会における教員審査のありようにも関わってくるかもしれません。
 ほかにいかがでございましょうか。
 どうぞ,滝川委員。
【滝川委員】  先ほど小林先生の方から,編入するときにやはり入学金の問題が非常に重要ですよという話だったのですけれども。私どもの学校などでも,例えば入学のときに入学金を頂くのですけれども,トランスファーの機能を一層強めたいなと考えておりますので,頂いた入学金の半分を,じゃあ編入する学生たちには私どもが編入時の入学金を半分負担しましょうかというような議論をしたりしています。
 そういうことを考えている矢先ですが,先日専門学校が入学金を返還しなければいけないという裁判がございました。これはどういう判例だったかというと,これは入学金というのは入学の担保であると。要するに,入れなかったらいけないので,その権利を買うというような考え方なのだけれども,その専門学校の場合には,定員が割れていていつでも入れるじゃないかと。そうすると,そういう担保は必要ないので,入学金は返還しなければいけないという,こうした考えであったと思います。そうすると,今後入学金の在り方については,編入だけじゃなくて一般の学生も,入学時のときも含めて大きく変化してくる可能性があるなと思っています。こういった中身について,行政としての考え方をまとめてから,編入時の入学金の問題を議論すべきじゃないかなと考えています
【佐藤座長】  ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 そろそろ次の論点に移ってよろしゅうございますか。
 第4でございます。同じく5ページ,コミュニティカレッジ機能等の在り方についてです。
 先ほど,事務方の方から御紹介がありましたように,多分この論点4に絡んでという位置付けが一番適切だと思いますが,大野委員から別紙の意見が出ております。論点4の具体の御発言を頂く前に,大野委員からこの意見書に沿っての意見を御説明いただければ有り難いと思います。
【大野委員】  それでは,御説明させていただきます。
 本題に入る前に,まずこの意見の経緯ですけれども,基準協会で実は平成22年頃からこの地域総合科学科の在り方及び適格認定についてということでいろいろと審議,意見交換をずっと繰り返して検討を進めてきました。それらのいろいろな審議,意見交換において,共通理解であろうというふうにしてまとめていただいたものがありまして,それが設立の経緯とか現状とか問題点,今後の方向という視点でまとめたものがあるのですが,それはまだ機関決定として公に外に出し得る状況でないということを前提に,そのまとめを踏まえた意見というふうにさせていただくということをまず御了承ください。
 それから,地域総合科学科については,短期大学関係者はほとんど承知していると思いますけれども,初めての方がもしいらっしゃったらということで,簡単に経緯のところを整理させていただきたいと思います。
 もともとは,日本私立短期大学協会が短期大学振興方策の一つとして文部科学省に要請するという形で誕生したという経緯です。当時は,もう少し学科を自由に改組できるような仕組みはないものだろうかとか,それから複数の学科を統合して,これは2つの側面があるのですが,1つは学生からすると選択肢が多様に増えて学生のためになるだろうと。それから,これは短期大学側からすると,結果として教員数を減ずることができて,管理運営がやりやすいのではないかとか,様々な考え方があって文部科学省の方に要請をしたという経緯がありますけれども,当時,文部科学省側からの提案といたしましては,聞いている範囲ですが,アメリカのコミュニティカレッジに似た学科としての地域総合科学科として整理してはどうかと。特に,質保証としては,短期大学基準協会が認定をするということを前提に複数の学科を統合して1学科にするということで,文部科学省は届出で対応しようということの枠組みだったそうです。
 平成14年度から,地域総合科学科の適格認定評価が基準協会で実施されて,開設は次年度と,こういった経緯で始まってきたわけですが,現状はそこに記載をさせていただいたとおり,短期大学基準協会によって適格と認定されている学科は現在25短期大学26学科で,その後の新たな申請はないということでございます。特に,平成18年度以降,基準協会による総合科学科への適格認定申請というのは激減しておりまして,22年度以降は申請なしというのが現状でございます。
 2番目は,文部科学省が認定学科に所属する社会人に補助金を出しているというようなことでございます。
 3番目は,地域総合科学科の今後についてでございますけれども,いろいろと検討しておりますけれども,平成24年度から検討がちょっと止まっている状況というのが今の地域総合科学科の現状でございます。
 実は,他方,この適格認定を受けた地域総合科学科を有する短期大学にアンケートを実施した結果によりますと,この学科を設置してよかったという肯定的な意見は6割を占めている。これは平成21年度調べでありますけれども,理解を得ているということです。それから,地域総合科学科の特色である科目コースの柔軟な選択とか,多様な履修形態ができないという形で,当初は栄養士とか介護福祉士とか保育士とか非常に硬直的といいますか,それは入れることができないというところもこの学科に導入することが認められるようになったということで,随分弾力化が図られたという経緯がございます。
 2番の,意見具申のところのポイントでございますけれども,この地域総合科学科の見直しを短期大学再生の重要な戦略の一つとして位置付けてはどうか。特に,日本版コミュニティカレッジという名前が何回も出ておりますけれども,その移行をしていく段階の一つのプロセスとして捉えてはどうかと。3番目にありますように,これまでのいろいろな定義がございますけれども,新たに地域総合科学科の定義というのを再設定といいますかもう一回決めることが必要であろうということで,4番目は,その例として,こういったことはどうかと,これは試案でございますけれども,更にインパクトのある定義ができれば随分と違うと思います。5番目,これはとても重要なところでございますけれども,地域総合科学科,当初は文部科学省に届出でございましたけれども,認定は今度は文部科学省がやはりやっていただくことが適当であろうと。特に,専修学校の「職業実践専門課程」の認定と同様にしていただくという,やはり国が認めるということは非常に存在そのものが明確になりますので,これは大事と考えてございます。
 それから,その後でございますけれども,認定の基準を作成する際には,社会人の受入れをこれまで以上に容易にするようないろいろな定員の問題だとか修業年限,単位の累積加算だとか長期履修,先ほど出たようなお話,設置基準の改正等も含んで柔軟性に富んだものにするということが求められるのではないかと。ただ,これは最後にちょっと触れさせていただきますけれども,これは他方質保証と密接な関係がありまして,緩めればいいということではないのですけれども,どういうふうにしていくかというのが非常に大事なところと思ってございます。
 7番目のところでございますけれども,適格と認定された,これは新たな定義でありますけれども,文部科学省から認定された地域総合科学科を有する短期大学,あるいは短期大学全体として名称をここに書いてあるように地域大学,これはもちろん仮称でございますけれども,地域総合大学と称することができるというふうにしてはどうかということでございます。さらに,在学する社会人学生には,現在補助金の対象になっているということでございますが,できれば非正規の社会人学生もその対象に含めていただくと学び直しが加速するのではないかという提言でございます。
 さらに,認定された地域総合科学科の教育の質保証,これも大変大事なものですが,これについては短期大学基準協会が7年に1度というタームでは機関別認定とはちょっと違っていろいろと変化が激しくなりますので,もう少し短くする必要があるのかという議論はありますけれども,基準協会が実施してはどうかということでございます。最終的には,学校教育法の改正まで視野に入れて,短期大学関係者としてはこういった方法で進んでいただきたいというような気持ちも込めて,9番目に整理をさせていただきました。
 そこで,先ほどお話をしたとおり,認定は既にされている地域総合科学科を有する短期大学はよかったという話をしていることと同様に,高校生も実は認定を受けてない地域総合科学科にも関心を示しているということは,大変目的意識の高い学生が短期大学に入学してくるわけですけれども,中では学んでいる途中で自分の専攻する分野を変更したいという学生がいたときに,この地域総合科学科というような枠組みというのは大変そういった高校生にうまくフィットしているということから,これはやはり短期大学振興については大変大事な側面の一つではないかと思っています。
 最後になりましたが,先ほど申し上げた短期大学設置基準上の問題というのは,教育の質保証等々に関わる大変微妙な問題でございますので,これは文部科学省当局もさることながら,短期大学基準協会や日本私立短期大学協会や,短期大学関係者がやはり,短期大学のありようというものをきちっと見据えて議論を積み重ねていかないとなかなかこれの実現というのは難しいのではないかと思います。
 いずれにいたしましても,当初それなりの目的というか理念を持ってスタートした地域総合科学科が今こういう状態になっているというのは,短期大学関係者だけではなくて,広く社会にとっては甚だ不幸なことというか,これは何とかしなきゃいけないということでこういった提案をさせていただいたということでございます。以上です。
【佐藤座長】  ありがとうございました。
 ただいまの地域総合科学科の今後という提言も含めまして,この論点4,「コミュニティカレッジ機能等の在り方について」,しばらく議論したいと思います。
 どなたからでも結構でございます。どうぞ御発言ください。
 小杉委員。
【小杉委員】  先ほど申し上げたことをもう一度繰り返すことになりますが,地域とは何という話なのですけれど。やはり,コミュニティ,地方自治体がどう絡むかというところ,そこを設計していかないと,地域という話にならないのではないかと。ここで地域地域と言っても,地域って一体何,という話になっていて。
 今短期大学で多く養成している保育士にしても介護士にしても,実は保育や介護の現場を担っているのは地方自治体がそこを設計して,保育士がどれだけ足りないとかどうするかとか,待機児童をゼロにするとかいうような話は行政でかなり対応している部分なのです。そこで人材養成というのが絡まなくて何なのだという,非常に疑問に思っていたところがあります。そこまで含めて,地方自治体をこの分野の教育にどう関与できるようにするか,あるいは関与しなければならないようにするかというような議論は一つ必要なのではないかと思います。
【佐藤座長】  おっしゃるとおりだと思います。高等教育は国の専管事項という大枠を崩すことはなかなか大変なことですけれども,そうではなくて,それはそれで国がきちっとウオッチしていく学校種,そういう制度だとして,教育の実施につきまして,もう少し地方の関与と。関与というのは,責任だけでなくて行財政両面にわたる関わりが持てるようにするといいなというのは私どもというか,多くの短期大学の関係者が望んでいることでもあると思います。ありがとうございます。
 どうぞ,滝川委員。
【滝川委員】  今,手元に資料がありませんので具体的に説明はできないのですけれども,大学,短期大学の枠組みとして高等教育局の方ではCOCという枠組みが一つございます。それから生涯学習局の方では中核的専門職業人という枠組みがある。これらの中にまだ短期大学がどのぐらい関わっているかと申し上げると,非常に微々たるものなのですけれども,徐々に短期大学が小さな枠組みの中で成果を出しているといったものもこれから取り上げられていくだろうというふうに考えております。今のこの補助金の枠組みの中にも一つ,地域というのはこういう限定の中で考えたらどうだろうかとという例があるのではないかなと考えております。
【佐藤座長】  清水委員,どうぞ。
【清水委員】  大野委員の先ほどの説明の中で一つお聞きしたいのは,上から2つ目の丸に,「認定学科に所属する社会人に補助金を出している」という,この補助金というのは,通常の私学助成のあれとは別の補助金という意味ですか。
【大野委員】  詳しくは分からないですけれども,多分私学助成だと思います。それ以外の枠組みで出ているというのは多分考えにくいと思いますので。
【清水委員】  社会人であろうと,要は正規の学生であれば社会人であろうとなかろうとカウントされるのではないですか。
【大野委員】  今の現行の枠組みということです。
【清水委員】  現行では。
【大野委員】  はい。
【清水委員】  つまり,今の地域総合科学科でなくても,通常の幼児教育科でも社会人がそこにいてもそれは対象となります。
【大野委員】  はい,なります。
【清水委員】  そうです。
【大野委員】  はい。
【清水委員】  そうすると,下の方で提案しているのは,当然文部科学省が認定した学生ですから当然これも補助金は出るはず。出なきゃおかしいです。対象となると。そうすると,ここが私は大事だと思うのですけれども,今後社会人の学び直しとかいろいろな短期大学が多様な非学位課程を作るときに,いわゆるアメリカであるフルタイムイクイバレントという,大体3人の社会人に対してに対して1人カウントするというような形で学生数にカウントしてもらって,そこに補助金の対象になるといいます。そういう仕掛けもやはり必要じゃないかなと。だから,このできればという,ここが非常に私は重要なポイントかなと感じました。
【佐藤座長】  ありがとうございます。
 最後に御指摘なのは,大野委員の提言書の丸7のところです。
【清水委員】  そうです。
【佐藤座長】  そうです。私も実はこれ,ちょっと御質問しようとしたのですけれども,地域総合科学科に在籍する社会人で非正規というのはどういう意味なのですか。
【大野委員】  先ほど来お話が出ているとおり,短期大学士課程に社会人が学ぶというのはもちろん今社会人が対象になっていると思いますけれども,地域総合科学科そのものがコミュニティとかいろいろなニーズに応じて柔軟に対応できる設計になっていますので,そのときにやはり非学位課程も想定しておかないとそういった多様なニーズに応えにくいでしょうと。そのときに今のように単純に人数じゃなくてもいろいろアメリカの知見を得てそういった制度を創設していただければ有り難いということです。
【佐藤座長】  そうです。地域総合科学科の文脈の中でこれが言われると少しこんがらがっちゃうのですけれども,要するに言いたいことは非学位課程の学びについても何らかの支援をと,こういうことです,ポイントです。ありがとうございます。少し誘導してしまいましたかな。
 ほかにいかがでございましょうか。
 安部委員,どうぞ。
【安部委員】  地域総合科学科の活用もそうなのですけれども,いわゆる短期大学が地域とつながるということを考えたときに,コミュニティとどのように対話をしていくかということがとても大事だと思うのです。高等教育制度の中で,短期大学が例えば地方自治体の行政管轄になるということは考えにくいわけですけれども,地域と,コミュニティといかに対話をするかという方策については,短期大学の一つの評価基準にするという考え方もあるのではないかなと思うのです。例えば,専門学校の職業専門課程が,いわゆる企業等による評価を積極的に進めていくことによって職業実践専門課程と称するということが出ておりますけれども,では,短期大学はコミュニティとの対話を繰り返していくということを我々のミッション,使命とするということを評価の中に加えていくという視点が必要ではないか。その際,よく言われるのが,例えば大都市圏の短期大学は地域大学,地域の学校と言われると困ると。東京とか大都市圏の学校は?というふうなことを言われるのですけれども,でも東京や大阪などの,大都市圏も一つのコミュニティなわけです。そのコミュニティなりの短期大学との対話があると思います。長崎の田舎の短期大学のコミュニティとの関わりと大都会の短期大学のコミュニティの関わり方は違うかもしれないけれども,それでもコミュニティとの対話ということはやはり短期大学は評価の視点の一つであり,やっていくというチャレンジが短期大学には必要ではないかなというふうに感じます。
【佐藤座長】  先ほど小杉委員がコミュニティって何?というお話がありました。今安部委員がおっしゃった範囲でコミュニティというのは主体には何を想定していらっしゃいますか。
【安部委員】  はい,行政,企業などです。地元の企業だとか,あるいは例えば今短期大学が得意としている保育業界だとか栄養業界だとか介護福祉の業界とか,そういうところの関連の地域の団体との会話が基本です。更にコミュニティと対話を進めれば,もっとその上部の職業に関する団体との対話をやっていくという視点が短期大学には求められているのではないかと思います。今はまだまだ,大学全体がそうなのですけれども,やはり一方通行のような気がします。短期大学は宣伝が下手とかよく言われますけれども,積極的に地域に出ていくことで,短期大学教育の理解者・応援者をふやすことが必要ではないかと,私は考えています。
 そしてとても難しいと思ったのが,実は地域の行政機関との連携です。過去に何度か私どものコンソーシアムで試みたことがありますが,やはり特に行政とのパイプを作り,短期大学の教育に関心を持ってもらうことにものすごく苦労したことがありますけれども,それにチャレンジしていくということが必要かなと考えております。
【佐藤座長】  ありがとうございます。
 はい,滝川委員。
【滝川委員】 今の安部委員の話を私の事例でちょっと補足をさせていただきたいのですけれども。
 例えば私たちの栄養の分野で高齢者の方たちの一番の問題は栄養不足なのです。これだけ高カロリーの時代なのに,栄養不足の問題があって,その問題を保健所が解決をしなければいけないのですけれども,自治体の皆さんは簡単に高齢者のところに訪問をして問題を解決できません。そこで,私たちの短期大学が自治体の首長さんや保健所の所長さんとの連携協定を結ぶことによって,じゃあこの短期大学に来ていただいて,栄養不足にならないような食事の講習会を開いたり,喫食室で食事をとっていただいて,実感を持って学んでいただく。ですから,コミュニティというのは,何か自治体でこういうふうにくくりがあるかとかそういうことではなくて,短期大学と地域の皆さんが手を取り合って活動しているそれ自体のことをコミュニティというふうに称してもかまわないのではないかなと考えております。
【佐藤座長】  なるほど。
 ほかにいかがですか。
 大野委員,どうですか,何か。
【大野委員】  今の関連ですか,はい。
 確かにコミュニティの捉え方というのは,少しやはり幅広に考えた方が私もいいと思っています。過日,米国調査の文部科学省から委託研究を頂いたときに,まさしくアメリカのコミュニティカレッジのありようで,ワシントンD.C.の近くにあるコミュニティカレッジのコミュニティとニーズの捉え方は同じなのですけれども,ニーズが全然やはり違うのです。それからカリフォルニア州でもオークランドという非常に移民といいますか,もともとのアメリカ人でない人がたくさん来るところでのコミュニティカレッジのニーズは,来た人たちがアメリカ市民になるための英語教育や,それからもちろんジェネリックスキルもありますけれども,非常にやはりそういうニーズが高い。もちろん職業スキルも高い。それから,同じカリフォルニア州でも少しウォルナットクリークの方に行きますと,少し中産階級になりますので,職業資格でもやはり種類が違ってくる。
 それぞれ短期大学が立地しているところで,産業界それから地域にまさしく住んでいる人,どういうニーズがあるのかというのをやはり出かけていってといいますか,そこでやはり協議会めいたものをちゃんと持って,いろいろな有識者がそこに集まってどのようにして地域を豊かにするかということをやはり長い歴史の中でやってきているという文化がありますので,日本もそういった意味でいろいろな切り口でやるということは私も賛成でございます。
【佐藤座長】  ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 小林雅之委員。
【小林(雅)委員】  私も委託研究でカリフォルニアに行ったときに,同じシリコンバレーにあってでも非常にすみ分けができていて,々コミュニティカレッジで近隣にある場合でも明確に違うのです。そういうような形でお互いにコミュニティカレッジ同士が公立なのですけれども,同じカウンティの中のコミュニティカレッジが違う役割を持っているということを意識してやっているということが非常に大きなアメリカの特徴であろうと思います。
 それに関連するかどうか分からないのですけれども,ここに少し抜けていることだと思うのですが,九州のコンソーシアムのお話は報告いただいたのですけれども,そういった短期大学がコンソーシアムを形成するということの可能性ということはもう少し考えてもいいのではないかと思います。というのは,やはり一つ一つの短期大学は小規模の場合が多いですから,先ほど申しました行政とのパイプをどう作れるかとか,それから学生の調査をやっていくということでも,一つ一つの短期大学では非常に大変だろうと思いますので,もう少し九州以外にもコンソーシアムを作ることによって,そういうことができるような可能性があるのではないかと思います。
【佐藤座長】  ありがとうございます。これも大変重要な御指摘です。
 はい,小林浩委員です。
【小林(浩)委員】  この論点4のところで,コミュニティカレッジを取り上げていただいているのですが,その6ページ目の下線のところで,なぜ今日のようなコミュニティカレッジがアメリカでは発展したか,日本とは少し状況が違うので,そのあたりは押さえておく必要があるという,非常に曖昧な表現になっておりまして,これから表現を変えていくのでしょうけれども,ここらあたりの何が違うか,コミュニティカレッジという言葉を使って論点を整理していくのであれば,何が違って何が残すべきなのかという,そのあたりというのはどのあたりなのかということをきちんと整理しないと,世間には分からないだろうなと思います。
【佐藤座長】  ごもっともに伺います。
 滝川委員,どうぞ。
【滝川委員】  私もそこが気になりまして,本当にこれがアメリカと状況が違うのかなと逆に疑問に思っておりまして。例えば私どもの学生の中で奨学金をもらっている学生というのは45%になります。言い換えると,短期大学の中のおよそ半分の学生は奨学金をもらわないと短期大学に来られないような状況だということです。先日manaveeについてテレビに出ていたのを見ておりましても,もはや東大の学生にしても格差の認識が非常にあって,塾に行かなければ東大に行けないような状況を打破するためにネットで無料の授業を開放するというような状況になっていたりする。また,奨学金をもらっている学生がお金を返せないので,返すべきじゃないというアンチ奨学金のNPOが立ち上がったりする。このような状況を見ていると,まさに教育格差といったものはあるという認識の方がいいのではないかと考えております。
 そういう観点から言うと,ここは議論になるところかもしれませんけれども,私は前回,例えば津野田先生が言われたように,日本の短期大学もオープンドアにして,短期大学にまず勉強したい若者が入れるようにしていくという発想でまとめていけたらなと考えております
【佐藤座長】  ありがとうございます。
 どうぞ。
【小林(雅)委員】  私もそのあたりは非常に気になったところなのですけれども。ただ,アメリカのコミュニティカレッジと日本の私立,特に短期大学が違うということはかなり明確に押さえておく必要があると思います。公立の短期大学はまた少し性格が違うと思いますけれども。
 というのは,日本の場合は,私立短期大学が9割を占めているということがあります。それで,特に女子が圧倒的に多いということ,これはアメリカとは全く違う特質でありますし,先ほどから何回も出ておりますように,社会人,成人学生が少ないということで,これは日本の短期大学とアメリカのコミュニティカレッジとは相当性格が違っているということは押さえておく必要があると思います。
【佐藤座長】  ありがとうございます。
 また,書き込んでいくときには,どうぞ両先生の御助力をお願いいたしたいと思います。どこが何がどう違うのかというところ,少しきちんと整理したいと思います。
 ほかにいかがでしょうか。
 ありがとうございました。一応論点1から4まで,必ずしも十分な時間をそれぞれにとることができませんでしたけれども,一応触れたところでございます。
 残る時間を次の2つに充てたいと思いますがいかがでしょうか。1つは,以上の議論を踏まえて,この枠組みに捉われずに,こんなことを思っているのだけど,これを少し検討するべきではないかというようなお話を頂ければと思います。もう一つは,今まで私どもが,ここで5回目ですけれども,まだ触れていない論点でこれからの短期大学振興を考える上で抜けているよ,これが必要だよという御指摘があれば大変有り難いと思うのです。
 この2つを中心にしながら,どのようなことでも結構でございます。残りの時間を自由に御発言いただければ有り難いと思います。
 滝川委員,どうぞ。
【滝川委員】  それでは,1つだけ申し上げたいと思うのですけれども。
 これまでお話が出ましたように,短期大学の強みやなんかをもっともっとアピールする必要があるのではないかとか,それから短期大学は努力不足ではないかとか,それからもっともっと社会のニーズをきちっと捉えるべきじゃないかとか,様々な御意見を頂いたのですけれども,まさにそのとおりだと思っております,今後短期大学はますます努力をしていかなければいけないと考えておりますので,その点は真剣に受け止めていきたいなと思います。
 ただ,それを踏まえた上で,我々が次のステップに進むために,1つ何とか変えてもらえないかなと思うのが,私ども短期大学という名称でございます。長年この名前で短期大学といったものはやってきたのですけれども,一経営者として非常に強いネガティブイメージが短期大学の中にあると感じます。例えば,大学の半分でしかないとか,中身がよく分からないとか,専門学校との違いが分からないとか。今までもその言葉の持つ負のイメージといったものを払拭しようと動いてはいるのですけれども,なかなかそれが高校生や高等学校の先生,高校生たちの親たちには伝わらない。
 じゃあどんな名前を出すのかと。誠に勝手ではありますが,既に出てきておりますコミュニティカレッジ,それから準大学,専門大学,地域大学,大学(2年制),大学(3年制)と。是非短期大学の中身についての議論の帰結点として新たな名称に変えていただきたいという意見を最後に申し上げたいと思います。
【佐藤座長】  なるほど。
 ほかにはいかがでございましょうか。
 はい,小杉委員,どうぞ。
【小杉委員】  ここは短期大学の関係者ばかりなのでそういう議論なのだと思いますが,短期大学は生き残りのためにどうしたらいいかというような論調の議論になっているわけです。世間から見てそれが通るのかという話なのです。私は全く利害関係も何も持っていないので,ここに来た理由というのは,やはり地域に現に存在する教育資源で,そこにいろいろなまだ眠っている資源があると。これをやはりきちんとアクセスしやすいようにしてオープンにすることが社会全体のためになると。だからこの教育機関をきちんと機能させるような何か支援ができたらいいなというような思いで来ました。
 仕組み,このみその書き方というか入り方として,まず短期大学をどうしたら生き残れるかという議論だと,私はやはり世間に通用しないのではないかなと思うので,もうすこし広い視野からこの資源をどうやったら最も社会のために役に立つ形で発展させられるか,そのようなスタンスが欲しいなと思います。
【佐藤座長】  今,小杉委員の御指摘は誠に最も重要なところだと思っております。
 そもそも,この中央教育審議会の中にこの短期大学のことについて集中的に議論しようではないかというきっかけになったのは,今先生が御心配なさっているような短期大学を生き残らせるためというものではなく,大学,高等教育の中で最近大きく状況が変わって著しく,例えば学生のシェアでもバランスが違ってきたと。どうも短期大学が元気がないと。しかし,このままでいいのでなくて,この短期大学という学校種をこの国,この社会のためにどう活用したらいいのかと,どう貢献させればいいのかという,そっちの視点を大事にして,このワーキンググループが設置されているわけでございます。そのあたりは御理解いただければと思っております。まさにそういう議論こそをしたいなということでございます。
 どうぞ,滝川委員。
【滝川委員】  私の発言がそういう小杉委員の発言につながったとしたら,弁解をさせていただきたいのですけれども。
 私自身もこの短期大学問題に関しては当審議会だけではなくて,十数年前の大学審議会の中で同じように短期大学の問題が取り上げられた問題をきちっと調べてまいりました。当時何とか生き残らせてほしいというような意見に終始したために,あなたたちは結局自分に都合のいいような変革だけを求めているのです,と社会から評価され,その後短期大学の問題は取り上げられなくなってしまった。したがって,今の私の発言はそれで問題解決を図りたいというふうにお願いをしたわけではありません。私たち自身が大きく変わっていく必要性を十分に承知しておりますので,そのきっかけとしての名称変更を御提案をさせていただいたということでございます
私の発言がそういう小杉委員の発言につながったとしたら,ちょっと弁解をさせていただきたいのですけれども。
【佐藤座長】  はい。
 どうぞ,中山委員。
【中山委員】  今の論点には全然関係ないことなのですけれども。
 最初のページ,この在り方,意見の整理の最初のページの真ん中あたりにアンダーラインが引いてあるところがございます。いろいろなことをやらなければいけないということです。それはここに出席されている委員の方皆さん共通のポイントだと思いますが。
 実はこれだけではなくて,大学内でのいろいろな委員会だとかの活動というのは,委員会の数は総合大学と変わらないわけです。それを数少ない先生方がシェアしながらやっていくと。1人で2つも3つも委員会に出なきゃいけないと。しかも,これだけのことを進路が全部違う学生に対して個別指導しなきゃいけない。私はいつも先生方を見ていて頭が下がる思いであります。その中で,質の保証ということもちゃんとやらなきゃいけないということで,私自身は学長という立場ではありますが,先生方がいかにモチベーションを保ちながらこれらの仕事をやり遂げるのかということに関しては,日夜非常に心配をしながら見守り,できる限り一緒に学生と先生方とのいろいろな会合だとか,アウトリーチだとかに同行するように努めております。こういった目に見えないところで非常に先生方が苦労しているというのは是非この席で皆さんに,共通の話題になるかもしれませんが,議事録の中にも書いていただけたらと思っております。
【佐藤座長】  ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 清水委員,どうぞ。
【清水委員】  私はこういう短期大学のワーキンググループの議論です,これが契機となって日本の教育制度全体の見直しにつながればいいというのを一方では思っているのです。今,教育再生検討会議でそういうこともやっておりますが,日本の臨教審が生涯学習体系への移行というのを高らかにうたい上げた割には,まだ日本では生涯学習体系というのが出来上がっていない。私,個人的には最も無駄なのは浪人生,予備校です。塾とか予備校,多分今1兆円産業ですよ。あそこにそのお金がビジネスとして使われていると。それとあとポスドクです。1万5,000人もいるポスドク。ここの制度が日本は全然制度設計がなされてないのです。やはり塾や予備校に行く人たちも取り込んでの短期高等教育政策というのも,やはり考えるべきではないかと。ここの議論がそういうものにつながっていくと。さらには,いずれはポスドクの制度設計といいますか,そういうものにもつながっていく。そうしないと,多分日本の国力というか成長力というのは期待できないのではないかなと思っています。その意味でも,この議論がそういうものにつながっていけば私は非常に価値のあるワーキンググループじゃないかなと感じております。
【佐藤座長】  ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 はい,大野委員。
【大野委員】  私が申すまでもないのですけれども,世界的な高等教育圏の動向でいろいろなところで注目されていますけれども,国境を越えて質保証とか学生の移動だとか,特に高等教育への進学率だとかそれから人口,職業教育,雇用,能力保証,そういったのがもう全世界的に問題になっている中で,特に今社会人のキーワード,学び直しのことで言うと,日本は相当後れをとっていると。OECDの平均で見て,大学型でOECD平均が21.1%,日本は2.0%だそうです。これが非大学型,実は短期大学は非大学型に入っていて,OECDベースで39.8%,日本は16.6%。これから人口減少社会で何とか国がしていかなきゃいけないというときに学び直しはとても大事だと。短期大学のこの機能を使って国はどうするのか,短期大学関係者はどうしていくのかというところがとても大事な問題で,今清水委員のお話があったように,短期大学だけの問題ではないと思いますけれども,是非このワーキンググループでそういった日本のこれからの高等教育全体の中で短期大学が果たす役割ということを,再構築ですので,提言としてまとめていただければ大変有り難いと思っています。
【佐藤座長】  ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 ありがとうございました。きょうは大変活発な御議論を賜りましてありがとうございました。冒頭に申し上げましたように,あと残すところ会期もわずかになってまいりました。きょう頂いた様々な御意見を取り入れながら,次回にはまとめのたたき台を事務局に用意していただくというようなつもりでおります。
 そのことも含めまして,これからの審議予定,段取りにつきまして御説明いただければ有り難いと思います。
【君塚大学振興課課長補佐】  どうもありがとうございました。
 本日頂きました意見を整理させていただきまして,次回6回目の日程につきましてはこれから調整して改めまして連絡させていただきますけれども,まとめの方向に向かって方向性の出せる資料が出せればと思っております。以上でございます。
【佐藤座長】  ありがとうございました。
 それで,委員の皆様方に重ねてお願いでございますけれども,今お話がありましたように,これからまとめの文案作りに入ってまいります。先ほどもお願い申し上げましたように,今まで触れ得なかったことで是非このことはもう一度意見交換をして取りまとめたいという論点が取り残されておりましたらば,是非御指摘いただければ有り難いと思っております。それから,もちろん取り残されたものだけじゃなくて,既に出ているものの中で重ねて御意見を頂ければなお有り難いと思っております。
 いずれもメール等,どのような方法でも結構でございますので,事務局の方にお寄せいただければ有り難いと思います。どうぞよろしくお願いします。
 それでは,ちょっと時間を残しておりますけれども,きょうの第5回ワーキンググループを終了いたしたいと思います。
 ありがとうございました。

                                ―― 了――

 

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高等教育局大学振興課

(高等教育局大学振興課短期大学係)