資料2 短期大学の今後の在り方に係る論点の整理

短期大学の今後の在り方にかかる論点の整理

 

 論点1.短期大学の必要性
  ○ これまで短期の高等教育機関として有為な人材養成に一定の実績を果たしてきた短期大学について,今後,我が国の高等教育機関としてどのように位置づけていくか。 
(我が国の高等教育の多様性の確保)
  ○ 我が国の高等教育に多様性を持たせ,広く国民に高等教育を受ける機会を提供し,多くの優秀な人材を輩出することが求められるが,修業期間が短く,全国各地に幅広く分布している短期大学は,4年制大学の進学者以外の多様な学生を受け入れるなど,一定の実績を果たしてきた。今後もこのような機能を短期大学が担うことが期待される。

(専門職業人養成機能)
  ○ 短期大学は2年から3年間の修業年限の中で教養教育と専門教育を体系的に編成された教育課程によって,幼稚園教諭,保育士,栄養士,介護人材をはじめ多くの専門職業人を養成するなど,我が国の社会基盤の維持・発展に貢献してきた。特に,幼稚園教諭や保育士においては,短期大学の卒業生が占める割合が高く,今後も短期大学で養成することが不可欠である。

(地域に密着した高等教育機関)
  ○ さらに,比較的小都市にも存在し,地元高校卒業生の進学率や短期大学卒業生の地元企業への就職率の高い実績を有していることから,地域に密着した高等教育機関として一定の役割を担っており,特に地方都市における短期大学においては,今後更に地域に密着した高等教育機関としての機能も不可欠である。

(短期大学機能のさらなる活用)
  ○ 諸外国においても,広く国民に高等教育の機会を提供するため,短期の高等教育機関を活用しており,知識基盤社会の時代にあると言われる我が国においても,4年制大学への編入学機能などを効果的に取り入れながら,生涯学習機能や社会人教育なども含め,短期大学を有効に活用できる大きな可能性を有している。

(気軽にアクセスできる高等教育機関)
  ○ 今後も,国民に広く高等教育の機会を提供していくためには,4年制大学よりも修業年限が短く学費の負担も少ない短期大学の位置づけは重要であり,「高等教育のファーストステージ」としてこれまでの実績に加え,更に社会の多様なニーズに応えることができる気軽にアクセスできる高等教育機関として,適切な機能分化を図りながら教育研究機能を充実させることが必要である。
  
  論点2.短期大学の役割・機能
 ○ これまでの実績や特長を活(い)かしつつ,今後,短期大学はどのような役割・機能を果たしていくべきであるか。

1.これまでの実績や特長
(過去の中央教育審議会答申)
  ○ 「我が国の高等教育の将来像(答申)平成17年1月 中央教育審議会」において,「短期大学の課程は,ユニバーサル段階の身近な高等教育機関の一つとして,また,地域と連携協力して多様な学習機会を提供する,知識基盤社会での土台づくりの場として,新時代にふさわしい位置づけが期待され,短期大学の課程の積極的な改革が期待される」こととともに,「短期大学における教育の課程修了を学位取得に結びつけるよう制度改正を行うことが適切である」ことが提言され,同年,学校教育法の一部改正によって,「短期大学士」の学位が創設された。 
  ○ また,同答申には短期大学の課程の教育機能として以下のように示されている。
   1.教養と実務が結合した専門的職業教育
   2.より豊かな社会生活の実現を視野に入れた教養や高度な資格取得のための教育
   3.地域社会の必要に根ざしながら社会人や高齢者などを含む幅広いライフサイクルに対応した多様な生涯学習機会の提供
(教育内容及び学生指導方法の特長)
  ○ 短期大学の教育は2年から3年間の中で教養教育及び専門教育に加え,卒業して就職させる機能や4年制大学へ進学できる機能,さらには社会人の学び直しを受け入れる機能を併せて有している。
  ○ 教育内容の特長として,正規の教育課程以外に,海外体験事業などの異文化体験や地域の活動等に関わることによって,短期間の間に多様な経験を積み,学問的専門性や職業能力の育成に加え幅広い人間形成を行っている。
  ○ また,学生指導の内容と方法についても以下のような特長を有している。
    1 少人数教育(学校・学科・クラスの規模が小さく,教員と学生の距離が近いことを活(い)かして,きめ細やかな教育・指導を行う)
    2 導入教育(入学予定者を対象に,基礎学力の補強,学習意欲の維持,大学生活への適応,教員や他の学生との関係構築などを目指して事前に指導する。)
    3 担任制度(学業のみならず個々の学生の人間的成長をも支援する。)
    4 一貫指導(資格取得に導く教育方法から就職支援まで一貫した進路指導を行う。)
(教育の質の保証)
  ○ 短期大学は教育の質の保証が確保されており,具体的には設置基準等によって修業年限,教員配置,教育課程等が規定され,学科等の新設の際はこの基準等によって国が直接認可を行っている。更に事後チェック機能として認証評価制度が導入されている。
(職業教育に対する実績)
  ○ 短期大学に進学した理由については,4年制大学に比べて「資格取得」,「就職に有利」ということを重視している傾向があり,職業教育に高い評価を得ていることを示している。
(地域との密着)
  ○ 地元高等学校からの入学生が全体の67%を占めるとともに,私立短期大学における卒業生の自県への就職率も7割を超えていることから,短期大学が地域に密着した人材の養成について重要な役割を担っている。
  2.今後の役割・機能
(制度上の位置付け)
  ○ 短期大学の目的は,学校教育法第108条で「深く専門の学芸を教授・研究し,職業又は実際生活に必要な能力を育成すること。」と規定されていることからも示すとおり,職業教育に縛られるものではなく,短期の高等教育機関で行う人材養成の機能を活(い)かし,有為な人材を数多く輩出することによって社会に貢献することが大きな役割である。
(今後の役割・機能)
  ○ これまでの実績に加え,今後,短期大学が役割を果たしていくためには,教養教育と専門教育のバランスのとれた正規のカリキュラムに加え,課外活動(学園祭,海外研修,インターンシップ等)を通じ,密度の高い教育を行うことによって以下の機能を担っていくことが期待される。
    1 専門職業人材の養成
      ・保育士,幼稚園教諭,看護師,介護人材等の専門職業人材の養成
    2 地域コミュニティの基盤となる人材養成
      ・地域との連携による金融・商業,ビジネススキル,情報,被服,栄養,芸術などの専門知識・技能と一般教養を併せ持つ人材の養成
    3 知識基盤社会に対応した教養的素養を有する人材の養成
     ・きめ細やかな指導による教養教育や学問的専門性の高い教育の提供など幅広い学習需要への対応
    4 生涯学習機会の提供
     ・資格取得やキャリアアップを目指す社会人の学び直し
     ・地域のニーズに対応した生涯学習プログラムの実施
(非学位課程の役割)
  ○ 更に専攻科や別科を含めた非学位課程についても積極的な活用によって,地域と短期大学が密接な連携のもと,更に生涯学習の拠点となって幼稚園教諭・保育士,福祉人材,栄養士等が更に上位資格の取得やキャリアアップにつながる教育プログラムなど,社会の需要に併せて設置し,生涯学習や社会人の学び直しニーズに即した教育を提供することが期待される。

 

論点3.現状における課題
 ○ 今後,短期大学が役割・機能を果たしていく上で,どのような課題を解決していくべきか。

1.社会ニーズを踏まえた検討の必要性
(現状と検討の方向性)
  ○ 近年,18歳人口の減少や特に女性の社会進出の進捗に伴い,4年制大学志向と職業教育の専修学校とのはざまで短期大学の特色が見えにくくなってきており,近年は学生確保が厳しく定員の規模も縮小してきている。方向性の検討に当たっては,短期大学側の視点だけではなく社会のニーズを踏まえた推進方策が必要である。

(地域総合科学科)
  ○ あわせて,社会の多様なニーズに対応することを目的として一般財団法人短期大学基準協会の認定事業として行ってきた「地域総合科学科」については,25短期大学26学科にとどまっており,平成21年以来新たな認定を行っていない状況であることから,抜本的な見直しを検討する。その際,短期大学の特色をできるだけ可視化することが不可欠である。

2.地方公共団体や産業界等との連携強化
(地方公共団体との連携)
  ○ 地域社会で活躍できる人材養成機能の充実に当たっては地域の各種政策とマッチングを図ることが重要であるが,現状では,地方自治体において高等教育政策を担う部門が極めて少ないため,効果が限定されているのが現状である。例えば雇用や社会福祉などの地方公共団体の政策と短期大学などの高等教育機関の振興策を両立できるような仕組みを検討することが必要である。

(社会人学生の受入れ)
 ○ 社会人学び直し機能など,短期大学における生涯学習機能の充実は喫緊の課題であるが,現状においては社会人学生の入学者数が極めて少ない状況である。社会人が大学や短期大学で学ぶことのできる環境の整備について,産官学が一体となって推進することが必要である。

3.コミュニティ・カレッジ機能の確立
  ○ 短期大学が真(しん)に地域のニーズに即した役割・機能を果たすためには,国や地方の政策と高等教育機関の密接な連携機能を構築し,我が国のコミュニティ・カレッジ機能をしっかり確立させることが必要である。
  ○ 短期高等教育機関の先進事例として,米国のコミュニティ・カレッジは参考とすべき点も多いが,一方で多くが公立で設置されており,制度面や社会的構造が我が国とは相違する部分があることを十分踏まえた上で,我が国の短期大学の推進方策を検討すべきである。
  
論点4.当面の推進方策
  ○ 今後,短期大学が特色を発揮し我が国の高等教育機関として有為な人材養成を行っていくためには,どのような推進方策が必要であるか。
1.全体的な推進方策
(機能分化の推進)
  ○ 短期大学の特長を更に伸長させつつ,短期大学において有為な人材を数多く輩出し,社会への貢献を果たしていくためには,「論点2短期大学の役割・機能」で示した1~4の機能を踏まえつつ,適切に分化することによって,必要な支援を行う。

(接続教育機能の充実)
  ○ また,今後,高等教育の一層の多様性・機能性を推進する観点から,高等学校段階から短期大学を経て学士課程及び大学院まで連携により体系化された新たな接続機能の構築なども推進していく。
2.機能別の推進方策
(1)専門職業人養成機能の充実
  ○ 現在,我が国において少子高齢化社会の進展など,社会構造の変化によって大きな転換期を迎えており,医療・福祉の充実や女性の社会進出への支援が最重要課題の一つとなっており,特に医療,介護人材や保育人材の養成とスキルアップが不可欠となっているが,これらの専門職業人養成についても短期大学も大きな役割を担うことが期待される。
  ○ 上記の期待に応えるため,特にこれまで短期大学が高い実績を有してきた幼稚園教諭,保育士,栄養士,介護人材などの専門職業人の養成については,今後,行政や職能団体等との連携を密接に図り,更に教育機能を高めるための取組を積極的に推進していく。
(2)地域コミュニティの基盤となる人材養成機能の充実
  ○ 短期大学は地域に密着した高等教育機関として,地元企業に就職する人材養成に実績を有していることから,今後も,教養教育と専門教育などの正規のカリキュラムに加えインターシップや課外活動等を体系的にプログラム化された教育の質を更に高めることによって,地域と密接に関わる人材養成機能の充実を推進していく。
  ○ このため,例えば複数の短期大学によるコンソーシアムの形成や地方公共団体や産業界等との協議体を設置し,産官学が一体となった人材養成に対する取組などを積極的に推進し,地域コミュニティの基盤となる人材養成機能の充実を図る。
(3)知識基盤社会に対応した教養的素養を有する人材養成機能の充実
  ○ 短期大学では,人文学,社会学,自然科学,芸術,文化など,教養的な分野における人材養成にも実績を有してきたが,知識基盤社会に対応した教養的素養の高い人材養成機能の充実のため,短期大学における役割の一つとして推進していく。

  ○ 例えば,特色ある教育課程や学習指導法の開発,高等学校や4年制大学との体系的な接続教育の構築など,教育改革に関する取組を一層推進することによって,短期大学の特色を活(い)かした教育機能を整備することによって,知識基盤社会にふさわしい人材養成機能の一翼を担っていく。

(4)生涯学習機会の提供
  ○ 専攻科等や科目等履修制度などを活用して社会人再教育機能や地域住民に対する生涯学習など,多様な機能を充実させるためにも短期大学と地域の政策を連携させることも不可欠である。
  ○ 短期大学教育を活用し,現役の職業人が自身のキャリアプランにあわせて学び直すことができるプログラムを地域の自治体や職能団体等と連携して実施することを推進する。
  
論点5.中期的検討事項
  ○ 将来,短期大学がより役割・機能を果たしていくためには,制度面を含めてどのような視点での検討が必要であるか。
        (P)

 

お問合せ先

高等教育局大学振興課

(高等教育局大学振興課短期大学係)

-- 登録:平成26年11月 --