大学教育部会短期大学ワーキンググループ(第7回) 議事録

1.日時

平成26年7月17日(木曜日)14時~16時

2.場所

文部科学省東館3階3F2特別会議室

3.議題

  1. 短期大学の今後の在り方について(審議まとめ(案)の意見交換)
  2. その他

4.出席者

委員

佐藤弘毅委員、安部恵美子委員、大野博之委員、小杉礼子委員、小林信委員、滝川嘉彦委員、清水一彦委員

文部科学省

吉田高等教育局長、常盤私学部長、浅田高等教育企画課長、里見大学振興課長、氷見谷私学部参事官、田中高等教育政策室長、今泉大学設置室長、君塚大学振興課課長補佐

5.議事録

【佐藤座長】  皆さん,こんにちは。相変わらず,各地で異常気象が発生しておりますけれども,いかがお過ごしでしょうか。きょう,お忙しい中を御出席いただきまして,ありがとうございます。ただいまから,第7回になりますけれども,中央教育審議会大学分科会大学教育部会の短期大学ワーキンググループ,開催いたしたいと思います。
 前回は,短期大学の今後の在り方について総括的な意見交換を行いまして,その場で従来の論点を整理したところでございました。あわせて,事務局から取りまとめのための章立て等,構成案についてもお出しいただきまして,それを基に若干の意見交換をいたしたところでございます。その後,委員の皆様方におかれましては,盛んに御意見などを事務局にお寄せいただき,一部はペーパーでも頂戴しております。まことにありがとうございました。きょうは,それら全ての材料を踏まえまして,今後の短期大学の在り方につきまして,まとめの議論に入っていきたいと存じます。よろしく御協力のほど,お願いいたします。
 それでは,まず事務局から配付資料の確認をお願いいたします。
【君塚大学振興課課長補佐】  それでは,配付資料の確認をさせていただきます。
 まず,資料1でございますけれども,前回,第6回ワーキンググループの議事録(案)でございます。御意見等がございましたら,後ほどメールでお送りいたしますので,7月31日までに事務局に御回答いただければと存じます。
 続きまして,資料2-1でございますけれども,「短期大学の今後の在り方について(審議まとめ)(案)」というもので,全体で17ページある資料でございます。
 続きまして,資料2-2でございますけれども,同じく「審議まとめ(案)の概要」というカラー刷りの1枚の資料でございます。
 その後ろに,大野委員から意見の御提出を頂いておりまして,大野委員からの提出資料を添付させていただいております。2枚物になっております。
 続きまして,資料2-3でございますけれども,審議まとめ(案)の資料編というものでございます。
 最後に,参考資料でございますけれども,教育再生実行会議の第5次提言ということで,配付資料として添付させていただいております。落丁等ありましたら,挙手の上,お知らせいただければと思います。
 以上でございます。
【佐藤座長】  ありがとうございました。よろしいでしょうか。
 それでは,これより議事に入りたいと存じます。先ほど申しましたように,いよいよ私どものワーキンググループもまとめの議論を進めていく段階にあるわけでございます。「短期大学の今後の在り方について」と題しまして,審議まとめの案文を用意していただいておりますので,まずは,これらにつきまして事務局から説明してもらいたいと思います。お願いします。
【君塚大学振興課課長補佐】  それでは,資料2-1について,まず説明させていただきます。
 こちらが,審議まとめ(案)ということで,事務局で原案をまとめさせていただいたものでございます。1ページおめくりいただきますと,目次がございますが,原案の段階でございますけれども,4章に分けて章立てをさせていただいております。「短期大学の現状と課題」,第2章で「今後の短期大学の機能」,第3章で「機能別の推進方策」,最後に「中長期的検討課題」と,この4章立てになっております。
 1ページ目に,「はじめに」ということでございまして,これまでの短期大学に関する中央教育審議会の答申ですとか,短期大学のワーキンググループが開催に至った経緯などをまとめていただいて,冒頭のものとしております。
 それでは,2ページ以降,第1章から若干お時間を頂きまして,資料の内容を御説明させていただきます。
 まず2ページ目の第1章ですけれども,短期大学の成立の経緯ということで,昭和24年の短期大学制度の発足以来,経緯を整理させていただいております。その後,2としまして,人材養成の実績ということで,これまでの短期大学の人材養成実績を,概略でございますけれども,記載させていただいている次第でございます。
 続きまして,第1章の中心となろうと思いますけれども,「我が国の短期大学教育の特長」ということで,ここにつきましては若干分量を書かせていただいておりまして,ユニバーサル段階での我が国の高等教育の多様性,また,広く国民に高等教育を受ける機会を提供する観点から,我が国の短期大学の特徴を6点に集約できるという形でまとめさせていただいている次第でございます。
 まず,その1つ目でございますけれども,第一段階(ファーストステージ)として学位の取得ができる高等教育機関であることでございます。2つ目の丸に書いてありますけれども,短期大学士という学位を授与する権利が付されているということで,このことによって,多様なその後の,4年生大学の編入学ですとか,認定専攻科を使った学位取得システムですとか,そのような形の高等教育のファーストステージとしての機能を有していることでございます。
 2つ目の特徴でございますけれども,専門的・汎用的職業能力を育成する高等教育機関ということでございます。その下にございますように,まず,専門的職業養成機関として,幼稚園教諭,保育士,栄養士,看護師,介護人材等,専門職業人の養成をしてきたということ。この資格が無試験で取れるというような特色を有していること。
 続きまして,1ページめくって4ページ目でございますけれども,一方で,そういう専門能力を育成すると同時に,幅広い教養ですとか,短期大学の特徴ある教育によって汎用的職業能力を育成しているということでございます。その下に,特にということで,幼稚園教諭,保育士については割合が圧倒的に高いことと同時に,専門的能力と汎用的能力を併せたような職業人材養成機能を有しているということでございます。
 また,一番最後に,事前に送らせていただいた原案から,1個付け加えさせていただいたのですけれども,職業高校からの入学割合が4年生大学に比べると若干高いということもございます。
 続きまして,特徴の3点目でございますけれども,気軽にアクセスできる身近な高等教育機関であることでございます。その1つ目として,学費が低廉であること,また,地域的な配置を見たときに,4年生大学に比べると,中小都市に多くキャンパスが設置されているということで,数字的裏付けとともに記載させていただいているということでございます。
 また,2点目の特徴として,自県の高校から入学する割合ですとか,卒業後に自県の企業等に就職する割合が4年生大学等に比べると高いということで,そのような形で地域との密着型の高等教育機関であること。また,学費が低廉で身近にアクセスできるというような特徴を有していることでございます。
 4点目の特徴でございますけれども,小規模できめ細かな教育を行う高等教育機関であることで,4年生大学に比べると学校の規模が小規模であることを,逆に優位性として,5ページ目に移りますけれども,上から2つ目の丸で,特に学生の指導方法等については,少人数教育ですとか,導入教育ですとか,担任制度や,資格取得から教育方法から就職試験まで一貫した教育を行うなど,学生に手厚い指導を行えるような体制になっているということでございます。
 続きまして,5点目は,これは教育の質が保証された高等教育機関であることということで,国の認可に基づくシステムが取られていることと同時に,事後チェック機能として認証評価制度が導入されているということでございます。
 特徴の最後,6点目でございますけれども,女性教育に対する重要な役割ということで,4年制大学にはない,女性に対する,いわゆる職業教育ですとか,教育ならではの講座を開設するですとか,従来の学問体系にとらわれない新たな試みがこれまでもなされてきたということでございます。また,短期大学の学生のおよそ8割ぐらいが女性ということで,これまで女性の社会進出に貢献をしてきたということでございます。
 ということで,6点の短期大学の特色ということを,この第1章のところで整理させていただきつつ,4つ目のパラグラフとして,「短期大学の課題」というのが6ページの3段目以降に書かれているものでございますが,1つ目は,先ほどの女性教育の特色と若干裏返しになるのですけれども,女性の4年制大学指向が高まってきて,進学率とかそういうものが,4年制大学と短期大学で逆転している傾向にあること。また,(1)の3つ目の丸でございますけれども,4年制大学指向と職業教育のはざまで短期大学の特色が見えにくくなってきているということで,これは女性だけに限らず,いわば社会的ニーズ全般に関して,それを踏まえた推進方策が必要であるのではないかと。
 その中で,地域総合科学科という,短期大学基準協会が認定してきたものにつきましては,今後,抜本的な見直しが必要であるとともに,その際に短期大学の特色をできるだけ可視化できるようなものにすることが不可欠ではないかということを掲げさせていただいている次第でございます。
 2つ目が「短期大学の位置付けの明確化」ということで,これは前回のワーキンググループでも若干意見として出されましたけれども,専門学校と職業教育という点で一部重複していることと同時に,制度上,学校教育法の体系も,確かに大学の一類型として位置付けられているということで,その役割がそういう面からも曖昧にしていて,特にデータとかが4年制大学と短期大学が一緒くたに提示されていたりですとか,そういう情報発信の面で,4年制大学が時には一緒に提示されていたり,時には分けられたりということで,その辺のところの位置付けが曖昧化しているのではないかということで,この辺の機能を明確にすること,また,情報発信なども明確に,短期大学と4年制大学が分かるような形でのやり方があるのではないかということでございます。
 3つ目の課題でございますけれども,地方公共団体や産業界との連携強化でございます。7ページ目の上の方でございますけれども,先ほどから,地域密着性が高いということで,短期大学の特色と掲げられているところでございますけれども,今後更にこの機能を高めていくためには,個々の短期大学の取組はさることながら,そういう職能団体,産業界,又は地方自治体等とのさらなる連携強化が必要ではないかということで,そういうことを課題として指摘させていただいているところでございますし,特に生涯学習機能ということで,社会人学生の学び直しになりますと,これは個々の短期大学の取組だけでは限界がございますので,そのようなことは産官学が一体となって推進することも必要ではないかということでございます。
 4つ目でございますけれども,「地域コミュニティの中核となる短期高等教育機関としての機能の確立」ということで,これは事前に送らせていただいたところは,「我が国のコミュニティ・カレッジ機能の確立」というような形で示させていただいておりましたが,コミュニティ・カレッジ機能というところになりますと,表現上の誤解も含めて出てくることも踏まえまして,今回,この段階ではこういうような「地域コミュニティの中核となる短期高等教育機関としての機能の確立」という形に修正させていただいて,本日,提示させていただいている次第でございます。書いてある内容は,前回のところで頂いた論点と関わりますけれども,要は,アメリカのコミュニティ・カレッジ制度のような知識基盤社会の土台作りの場として,新時代にふさわしい位置付けとなることが期待されることが平成17年の中央教育審議会の答申で提言されているわけでございますけれども,その一方で,3つ目の丸ですけれども,アメリカのコミュニティ・カレッジとは,我が国の社会的構造ですとか様々な面で,そのままアメリカ型のコミュニティ・カレッジ機能と入れることは,制度面等,いろんな問題があるので,そこは十分踏まえた上で検討すべきではないかと。そんな中で,我が国として,地域コミュニティの中核となるような短期高等教育機関としての機能をしっかり確立すべきではないかということで,課題の4つ目として示させていただいているものでございます。
 最後の5点目でございますけれども,これも前回,御意見ございましたけれども,学生に対する経済的支援については, 4年制大学と比べても学費は低廉なことは低廉なのですが,一方で,我が国の学生が経済的な事由等により進学を断念することのないような経済的支援も必要ではないかということで,5点目の課題として示しているところでございます。
 第1章につきましては以上でございまして,続きまして,第2章「今後の短期大学の機能」ということで,まず1点目でございますけれども,「短期大学の役割・機能」ということで,役割と機能を併記して書かせていただいているところでございますけれども,1つ目として,「社会基盤の維持・向上を担う職業人材の養成」ということで,「専門職業人材の養成」と括弧で掲げさせていただいているところでございますけれども,平成23年の中央教育審議会の答申,いわゆるキャリア教育の答申でございますけれども,ここでも短期大学におけるキャリア教育のことについて提言されているところを引用させていただきつつも,このような形で短期大学は今後も職業人材の育成の一翼を担っていく必要があるということでございます。
 第1章のところとかぶりますけれども,特に幼稚園教諭とか保育士を例示させていただいておりますけれども,短期大学の卒業生が占める割合が極めて高くて,これまでの実績を有しているということでございますので,更に今後,こういう人材養成機能の維持向上は不可欠であると。さらには,少子高齢化社会ですとか医療,社会福祉等の充実を図る上でも,これまで短期大学が実績を残してきた栄養士ですとか介護人材等は引き続き短期大学で養成することによって社会に貢献していくことが必要であるということでございます。
 また一方で,4つ目の丸でございますけれども,先ほどの第1章の特色でも述べさせていただきましたけれども,このときの中央教育審議会の答申でも,当該資格に関する知識・技能に偏ることなく,当該分野における学問の社会的意義の理解や課題対応型学習等を通じて,専門分野を通じた社会的・職業的自立に向けて必要な基盤となる能力や態度の育成を図ることが短期大学の特長を生かす上でも重要であるということで,このような形で示させていただいているところでございます。
 2つ目の機能でございますけれども,「地域に密着した高等教育機関としての活用」ということで,あえて「地域コミュニティの基盤となる人材養成」ということで掲げさせていただいている次第でございます。
 1つ目の丸は,都道府県によって進学の格差が生じているということで,この辺の格差解消も高等教育システムの多様性からは必要ではないかということでございます。また,特に地方都市においては,このような学費が低廉な短期大学の存在というのは,気軽にアクセスできる身近な高等教育機関として欠かせないのではないかということでございます。
 3つ目でございます。10ページになりますけれども,「高等教育のファーストステージとしての期待と可能性」ということで,「知識基盤社会に対応した教養的素養を有する人材の養成」という形でございます。短期大学士に必要とされる資質能力の位置付けを確立しつつ,更に充実させることということで,学位課程のさらなる充実,機能強化が必要であるということ。また,その中の特色の1つとして,第1章の特色でも掲げましたけれども,高等教育のファーストステージとして,幅広い社会のニーズに応えられる大きな可能性を有しているということでございます。卒業後に4年制大学の編入学や専攻科等を通じた学士の学位の取得,また,それ以降の大学への進学の可能性,例えば,短期大学卒業後に1回就職して,その後にセカンドステージへ進学するなど,多様な教育機会を受ける選択肢が広がる可能性を有しているということで,高等教育のファーストステージとしての期待と可能性を掲げているところでございます。
 最後,4点目でございますけれども,生涯学習機会の提供ということで,専攻科とか別科,履修プログラム等を含めた非学位課程の積極的な活用ということで,幼稚園教諭,保育士,福祉人材,栄養士等の上位のキャリアアップにつながる教育プログラムですとか,生涯学習や社会人の学び直しニーズに応えた教育を提供することも期待されるということでございます。
 2つ目として,「短期大学における機能別分化の促進」を掲げさせていただいております。1つ目は,これは将来像答申,平成17年のときに出てきた大学の機能分化,7つの機能について例示させていただいております。
 2つ目は,本年度からスタートいたしました専門学校における職業実践専門課程の認定制度について若干触れさせていただいております。このような環境の中で,短期大学も機能別分化を推進することが必要ではないかということで,4点の機能を提示させていただいているところでございます。これは,先ほど述べた機能のところに重なるのですけれども,専門職業人材の養成,地域コミュニティの基盤となる人材養成,知識基盤社会に対応した教養的素養を有する人材の養成,4つ目が生涯学習機会の提供でございます。
 続きまして,第3章に,機能別についてどのように推進していくかということでございますが,12ページになります。「専門職業人養成機能の充実」でございますけれども,ここにつきましては,短期大学で専門職業人養成はやっているのですが,一方で2つ目の丸ですけれども,専門学校や4年制大学と取得資格が同様のものも一方で多いと。これは,同一資格であれば学校種が異なっていても同じ資格がもらえるというような資格もかなり多いということでございまして,こんな中で,短期大学の教育の特徴をしっかり明確化,充実させるような機能強化,機能別分化の推進方策が必要ではないかということで,この特長を生かしつつ,専門職業人養成を機能強化していくことが必要であると。
 2つ目の「地域コミュニティの基盤となる人材養成機能の充実」でございますけれども, 12ページのところでは,どちらかというと,地域再生,地域活性化の観点から,やはり短期大学がしっかりその役割を担っていくべきではないかという観点で記載をさせていただいている次第でございます。特に,地域産業と一体となって短期大学の教育機能を充実させるということでございまして,13ページ以降にわたりましては,一番最後のマル3の1つ上ですけれども,例えば,複数の短期大学のコンソーシアムの形成ですとか,地方公共団体や産業界との協議体の設置等により,産官学が一体となった人材養成機能に対する取組などを積極的に推進することも必要ではないかということでございます。
 3つ目は,「知識基盤社会に対応した教養的素養を有する人材養成機能の充実」でございますが,こちらにつきましては,2つ目の丸では,多様な人材養成機能に対して身近でアクセスしやすく地域に密着した教育機関として,短期大学において重要な役割の1つとして推進するということでございます。
 その下にあります,とりわけ短期大学は,少人数制のきめ細やかな指導で人材養成を行っているということでございますので,このような意義は大きいというところで,更に特色ある教育課程や学習指導法の開発等,教育改革に関する取組を一体的に推進するということで,短期大学の特長を生かした教育機能を再構築することを推進方策として掲げている次第でございます。
 続きまして,14ページに移りますけれども,その中で短期大学の特色として,教養教育と専門教育のバランスのよい教育課程であるということでございます。特に,それが学士課程教育の前半部分としてもふさわしい機能を有しているということで,その後につながる編入学や専攻科を活用した学位取得につながる接続教育の機能も大きな役割を担うことが期待されるということでございます。
 また一方で,後ほど御説明を申し上げますけれども,教育再生実行会議の第5次提言では,4年制大学における編入学定員の拡充ですとか,編入学制度の柔軟化が提言されていますので,国はそのことも踏まえて,さらなる検討が必要ではないかということでございます。
 4つ目の「生涯学習機会の提供」でございますけれども,こちらにつきましても,先ほどから述べておりますとおり,学位課程のみならず非学位課程などを活用した社会人再教育機能ですとか地域住民に対する生涯学習など多様な機能を充実させるということも,短期大学と地域の政策を連携させつつ進めることが不可欠ではないかということでございます。とりわけ,短期大学教育を活用して,現役の職業人などが自分のキャリアプランに合わせた学び直しのプログラムは必要で,その際には自治体と職能団体と連携して実施することが必要ではないかということ。
 また,地方公共団体等とも積極的に連携を図ることによって,地域社会のニーズに応じた教育機会を提供するというようなことを掲げさせていただいている次第でございます。
 続きまして,15ページでございますけれども,「国による支援方策」ということで,こちらについては,大きく分けますと4点ほど,機能に応じた推進方策と併せて,国による支援方策ということでございます。その前提として,これは各短期大学が,特色,個性を生かして,自らの選択によって社会的要請に応える先導的な取組を国による支援で行っていくべきではないかということでございまして,1つ目が,「職能団体や企業等と連携して専門職業人材を地域に輩出する短期大学の支援」でございます。これは,専門職業人材の養成ですとか,先ほどから述べておりますとおり,地域の行政ですとか職能団体,企業等と協議体を組織するなど,そのような形で学位課程の充実や学び直しプログラムの提供を行う取組について,その辺を国として支援すべきではないかということ。
 2つ目が,「地域活性化のリード役となる短期大学の支援」ということで,いわゆる地域の活性化,地域再生の問題が山積している中で,このような中で産官学が一体として推進することが不可欠になっているということで,その中で短期大学が中心となって,公共団体ですとか産業界と一体となって教育研究活動,地域貢献活動を通じて行うような短期大学の取組について国が支援することも必要ではないかということでございます。さらに,非学位課程による生涯学習プログラムの提供なども,地域活性化の1つの役割として組まれるというものでございます。
 3つ目が,「大学に進学することを前提としたファーストステージ教育を行う短期大学の支援」でございますが,こちらについては,ファーストステージとしての機能を短期大学が非常に可能性を有しているということでございますので,このようなことと併せて,それだけではなくて,短期大学のきめ細やかな教育の改革と併せて,このような,更にファーストステージとしての機能強化を図るような取組について,国も支援を行うべきではないかということでございます。
 4点目でございますけれども,「学生に対する経済的支援の充実」ということで,これは一般論として,奨学金の充実ですとか授業料免除枠の拡大については,短期大学についても引き続き充実させることが必要ではないかということでございます。
 最後に17ページで,「中長期的検討課題」でございますけれども,こちらにつきましては結びのような形で書いてあります。御承知のとおり,本日の参考資料にも付けさせていただいているものでございますけれども,教育再生実行会議の第5次提言ということで,2つ目の段落になりますけれども,いわゆる質の高い実践的職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化が望まれるという提言がございました。このようなことを受けまして,特に4つ目の段落ですけれども,専門職業人養成機能の充実・強化をしていく短期大学において,このようなところとの関係で,今後さらなる慎重な検討が生ずるであろうということ。また,これは5次提言とは直接関係ありませんけれども,先ほど来ありました,いわゆる国家資格要件と短期大学の教育課程のマッチングで,関係省庁の調整ですとか,公立短期大学につきましては,設置団体,地方自治体との関係構築の強化も今後の重要な課題であるということで,審議まとめ(案)の結びの章として原案を示させていただいている次第でございます。
 ちょっと長くなりましたけれども,資料の2-1につきましては以上で,資料2-2は,そのダイジェスト版といいますか,それぞれの章の骨子の部分について1枚の概要で見やすくしたようなものでございまして,これは今度の2-1の議論の内容におきまして,適宜,併せて修正が必要になるかと思いますので,詳しい説明は重複しますので,内容については以上でございます。
 続きまして,大野委員の提出資料につきましては,これは後ほど大野委員から御説明いただければと思いますが,資料2-3でございますけれども,こちらは資料編ということで,目次を御覧いただきますと,参考資料と関連データというような分け方をしておりますけれども,参考資料の方は,こちらの提言の審議まとめの(案)に基づく,バックデータに係るようなものを参考資料としてまとめさせていただいております。短期大学で取得できる資格ですとか栄養士の履修モデル,また,いわゆる自県出身者が多いというようなことを裏付けるような各都道府県ごとのものですとか,第4回のワーキングで出した短期大学の事例,あと,前回出させていただいた専攻科,別科,サティフィケーションの一覧,地域公共団体の教育基本推進計画の現状ですとか,そのようなものを参考資料として付けつつ,一般的な短期大学のデータにつきましては,関連データという形でまとめさせていただいている次第でございます。
 参考資料といたしまして,教育再生実行会議の第5次提言につきまして,参考に資料を付けさせていただいておりますけれども,その中で特に短期大学について関連するのは,4ページの(3)の「実践的な職業教育を行う高等教育機関を制度化する」というところでございます。ここは同時に,編入学機能の柔軟化も提言があるところでございます。
 時間の関係もございますので,説明は以上とさせていただきます。
【佐藤座長】  御丁寧にありがとうございました。ただいまの説明と配付されております資料に基づきまして,これから意見の集約を図ってまいるわけでございます。いかが運びましょうか。章ごとに区切って,一定の時間を設けて御意見を賜るということでよろしゅうございますか。では,必ずしも均等にということでなく,恐らく第2章,第3章あたりが一番の核になると思いますので,こちらに多少手厚く時間を配分させていただきたいと存じます。
 それでは,まず初めに,「はじめに」,それから第1章,これにつきまして意見交換をいたしたいと思います。どなたからでも結構でございますので,御発言お願いいたします。小杉委員,お願いします。
【小杉委員】  基本的に,これでよく分かったのですが,ただ,1か所理解できなかったのが,3ページ目の(1),ファーストステージの3番目の書きぶりなのですが,「専門学校等と違って」という書き方をされているのですが,専門学校からも大学編入の道があったような,そんな気がするのですが,この書き方だと,それがないように見えるので,もし私の理解が間違ってなければ,それが誤解を生む表現じゃないかなと思うので,そこは誤解を生まないような書き方にしていただきたいなと思いました。
【佐藤座長】  ありがとうございます。事務局,今の,ごもっともです。
【君塚大学振興課課長補佐】  はい。
【佐藤座長】  ほかにいかがでしょうか。滝川委員,どうぞ。
【滝川委員】  まず,一番最初の第1章の1の表題のところなのですけれども,これは,成立の経緯だけが書いてあるのではなくて,その後の経緯のことも併せて書いてあることを考えると,「成立と経緯」ではないかなと思います。それから,成立と経緯のところの文章が非常に少ないので,下のところにある,例えば,数の問題,学校数の問題等は,上のパラグラフの1つ目のところの「成立と経緯」の中に入れていただいたらどうかなと思いますが,いかがでしょうか。
【佐藤座長】  成立経緯というよりも,成立とその後の経緯とか,そういう意味ですか。
【滝川委員】  そうです。
【滝川委員】  2つ目のパラグラフの「短期大学における人材養成の実績」の下に短期大学の学校数の問題のことが書いてあるのですけれども,これもその後の経緯の中に入るのではないかなということです。
【佐藤座長】  なるほど。実績というよりも,これは近況ではなかろうかと。したがって,これを1の方に入れたらと,そういう意味ですね。ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。安部委員,どうぞ。
【安部委員】  2番の「短期大学における人材養成の実績」というところなのですけれども,いろんなことが書いてあるのですけれども,実は短期大学が人材養成の実績の中で一番大切なものは,恐らくこれまで女性の教育の水準を上げてきた,そして,女性の社会進出を後押ししてきたということで,結果的には高等教育の向上に資した機関であったという,この実績が一番大きいと思うのです。それを最初に書いていただくことはできないものかという御提案をさせていただきます。
【佐藤座長】  ありがとうございます。どうぞ。
【滝川委員】  今の意見に賛成です。もともとは女子教育だけではなくて男女共学でスタートしているのですけれども,その後,大きく花が開いているのは女子教育だったので,最初の書きぶりとしては,そこを強く書いていただきたいと思います。例えば5ページのところには,「女性の教育に対する重要な役割」として幾つかまとめがあるのですけれども,この部分のところは,ここに置いておくのではなくて,今言われた2の「短期大学における人材養成」の女性の部分に移していただきたい。さらに,数が減っていっているという話だけしか書いてないので,輝かしい状況のころもありましたよというところを是非書いていただきたいなと思います。
【佐藤座長】  分かりました。短期大学は女子教育そのものを目的とするものではないわけだけれども,ただ,実態として女性の占める割合が圧倒的に大きくなったのです。最初は,もちろんそういう意図もないし,発足当時は若干男性の方が多かったかなという気がします。ただ,その当時の社会情勢でしょうか,経済的な問題,親の教育意識,社会の受入れ,様々な事情があって,女子が4年制大学というよりも短期の大学に進むことが当時のニーズに合致したということで,結果として女性の占める割合が増えていったと。したがって,後から出てくる様々な,女性が今,主流を占めている職業資格等についても,そういう歴史的流れの中で発展してきたのであるわけです。そういう考えの基に,女子の教育水準の向上とか社会進出を支えて,結果的に日本社会の発展の下支えという言葉は使っていいかどうか分かりませんけれども,支えてきた,貢献してきたという,これが第1の実績だと。これは,多分,どなたも御異論ないところだと思います。ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。どうぞ,小林委員。
【小林(信)委員】  先ほどの2ページのところに,学校数が360校で,そのうち341が私立短期大学と書いてあるのですけれども,たしか公立大学から調査の案件を送っていただいた,17校が公立大学と伺っていたのですが,これ,19というのはどういうことなのか教えていただけますか。
【君塚大学振興課課長補佐】  これ,25年度の数字になっているので,26年度は17でございますので,26年度に置き換えさせていただきます。
【佐藤座長】  ありがとうございます。そうです。最新のデータにいたしましょう。
 ほかにいかがでしょうか。
【滝川委員】  次のページに移っていってもいいですか。
【佐藤座長】  構いません。今,「はじめに」と第1章という枠の中でお願いいたします。第1章もかなり豊富ですので,どうぞ御遠慮なく。滝川委員。
【滝川委員】  3ページ以降のところを御覧いただきたいと思います。まずは,この中に,それぞれの短期大学の教育の特徴が書いてあるのですけれども,優先順位から考えていきまして,この順番を変えていただけたらなと思っています。まず,最初は学位の問題でファーストステージと書いてあるところがいいかなと思うのですけれども,その次には,是非,教養教育と専門教育のバランスを重視した高等教育機関であるよと,こういう議論もこれまで多々出てきていると思いますので,こういう形で2番目として入れてまとめていただけたらと思います。
 そうすると,その下の「専門的・汎用的職業能力を育成する高等教育機関」につきましては,これは3になりますので3としていただく。そして,次に,「気軽にアクセスできる身近な高等教育機関」というのが出てくるのですけれども,これは最後の方に持っていったらどうかなと思いますので,その下にあります「小規模できめ細かい教育を行う高等教育機関」を4つ目のポツにしていただけたらと思います。
 5ページにあります5の「教育の質が保証された高等教育機関」ということでまとめていただいた後に,先ほど申しました「気軽にアクセスできる身近な高等教育機関」という形でまとめていただけたらというのが1つです。
 もう一つは,冒頭書いてあります,第1段階(ファーストステージ)の学位が取得できる高等教育機関なのですが,学位の問題だけに限定してファーストステージということではなく,幅広く高等教育の中をこれからいろんな分野に勉強していくことができるという意味から,これはファーストステージと捉えた方がいいのではないかと考えますので,ここにこういうふうに書いてありますと,学位の問題とイコールであると取られかねないので,この段階では,「第1段階(ファーストステージ)の」というのを取っていただいて,学位授与権を有する高等教育機関という形で,この文章をおまとめいただけたらと思います。
 今申し上げましたように,ファーストステージの問題につきましては,幅広く私たちの国がこれから目指そうとしている循環型の学習社会といったものを実現していく。そのためには,まさにここにあります学位授与権の問題,専門教育と教養教育の問題,専門教育,汎用職業能力の問題だとか,気軽にアクセスできること,きめ細かいこと,教育の質が保証されたこと,様々なことを全部含めても,短期大学というのが今後のファーストステージとしての位置付けの可能性があるのではないかなということを考えます。そうすると,最初のファーストステージの上のところに丸が3つありますけれども,そこの最後のところに,「我が国の短期大学の特長は,次の6点に集約できる」,こういう文章になっているのですけれども,我が国が目指す循環型学習社会を実現することの可能性を持っている,またはファーストステージの能力を持っているというような,そういう文章にしていただけたらと思うのですけれども,いかがでございましょう。
【佐藤座長】  特徴,今,6つあるけれども,これの順序が必ずしも適切かどうかというのが前段であったと思います。それでよろしいですか。
【滝川委員】  はい。
【佐藤座長】  今の御意見の順番というのは,気軽にアクセスできるというのをうんと後ろに下げるという意味は,まず,法令の制度的なことを先に出し,教育の特質を持ってきて,質保証を持ってきて,最後にアクセスのよさとか。
【滝川委員】  これまでの答申の流れのように,そういう順序に並べていただいた方が分かりやすいものになるのではないかということです。
【佐藤座長】  6はここではなくて,実績の方に入れろということなのですね。
【滝川委員】  はい。たくさんのことを申し上げましたけれども,5ページの(6)の部分は,先ほど,もう既に申し上げてしまったのですけれども,最初のところの2ページの「人材養成の実績」のところにこの文章を持っていっていただいた方が据わりがいいかなという,そういう御提案でございます。
【佐藤座長】  今のことにつきまして御意見のある方,いらっしゃいますか。小杉委員。
【小杉委員】  最後におっしゃった,これから目指す形というのは,これからなので,現状と課題のところでは,ちょっと先に書き過ぎなのではないかと,前のめりになり過ぎている感じがするので,ここは現状で,これからの話は後に書いた方が分かりやすいのではないかと思うのですが。
【滝川委員】  小杉先生,何ページですか?
【小杉委員】  今,先生がおっしゃった,最初の,次の6点に集約できるという文章を変えるというお話なのですが,今のお話ですと,これからこういうことを目指しているのだからということを書くというのは,ちょっと違うかなという感じ。
【滝川委員】  これから目指していくという書きぶりにしていただきたいということではなくて,今後そういう幅広いファーストステージといったものは求められていくだろうと思っているのですけれども,既にそういう資質が,この6点にありますよと,そういうふうにしていただいたらどうかということでございます。ファーストステージができますよと言っているのではなくて,ファーストステージの中の一部分であるこの6点の部分につきましては既に短期大学は持っていますよと,そういう文章でどうかということでございます。
【佐藤座長】  小杉委員のおっしゃることは,循環型云々(うんぬん)というのは,必ずしも今,実現できているわけではなく,これから我が国や社会が目指すべき方向性と,そういう意見はいろんなところから出ておりますけれども,それはまだここで盛り込む話じゃなかろうと。こういう特定の用語はね。
【小杉委員】  はい。この方が分かりやすいかなと思ったのですが。
【佐藤座長】  一方,滝川委員は,ファーストステージというのは,何も学位だけが,第1学位,第2学位という問題だけじゃなくて,全体に係る話ではないかと,そういう意味ですか。
【滝川委員】  ええ,そうです。
【佐藤座長】  だから,(1)以降の具体的なところに入れるのではなくて,冒頭の書き出しの総論的なところに何らかの表現をしろということ。循環型云々(うんぬん)というのはこだわらなくていいですか。
【滝川委員】  その文言にはこだわる必要はないのですけれども,ここでは学位の問題だけに限定してしまっている文章に読めますので,そうではなくて,この6つの集約されているポイントというのは,どれも次のステップのファーストステージの役割としてはもう既にあると。そのことが言いたいわけでございます。
【佐藤座長】  事務局,よろしいでしょうか。私から一言付け加えます。ファーストステージ論というのは,実は短期大学関係者の間ではかなり歴史を持つ話でして,いろんな取り方があるのですけれども,第1学位,第2学位というような学位の手順といいましょうか,その順序だけを示す,とする説もある一方,そうではない,とにかく高等教育で一通り学んだことが将来の跳躍台になって,さらなる高等教育の学び,その学びの内容というのは,学位を目指す学びでもいいし,そうではなくてもいい。とにかく,高等教育で学ぶというモチベーションを与え得るのだという意味でファーストステージ。したがって,その後は学位,非学位を問わず,学びの反復,循環を可能にするというふうに,最近はより広く言われておりますので,そういう意味においては,学位を述べた項目だけに関わる言葉ではなくて,全体に係る言葉というのも理由があるかなと思った次第でございます。御検討いただければ。
 ほかにはいかがでしょうか。急(せ)かせるようですけれども,全体に触れなくちゃならないので,またどうしても取り残したことであれば,最後にちょっと時間を取りたいと思いますので,一応,「はじめに」と第1章につきましての御意見は以上でよろしゅうございますか。
 文章表現上,細かいところは,また後で個々にお寄せいただければよろしかろうと思います。例えば,私,気が付いたのですが,学位を授与する権利という表現がありますが,権利じゃなくて,権限。権利と権限はちょっと違いますね。そういうような細やかな表現のところは,また後でじっくり。
 ということで,2章に移ってよろしゅうございますか。それでは,2章につきまして,どなたでも結構でございます。どうぞ御意見をください。滝川委員。
【滝川委員】  また,表題のことで大変恐縮なのですけれども,8月28日答申の中では,「機能をどのように再構築すべきかなど,在り方を検討することとしたい」書いてありましたので,恐らく,ここの表題が機能だけになっているのかなと思いましたが,だけど,その後,すぐ見ますと,また「短期大学の役割・機能」と書いてありますので,やはり役割と機能の話は表裏一体かと思いますので,この表題,「今後の短期大学の役割と機能」というのではどうなのでしょうか。
【佐藤座長】  ほかにいかがでしょうか。どうぞ,清水委員。
【清水委員】  1つ,9ページの(2)の最初の丸ですが,先ほどの説明の中に,短期大学は,専門学校や大学と統計上,ごちゃ混ぜになって見えにくいとありましたが,専門学校を入れたというのは,どういう意味があるのでしょうか。短期大学だけですと,こういう差が出てこないのではないでしょうか。
【佐藤座長】  どうぞ。
【君塚大学振興課課長補佐】  (2)の下の丸のところですね。ここは,その議論とはちょっと結び付かなくて,この統計が専門学校も含めてというのは,こちらの参考資料に出ている。
【清水委員】  そういうデータですか。
【君塚大学振興課課長補佐】  そういうデータだということでございまして,先生が今御指摘いただいたパラグラフと直接つながっているところではないという。
【清水委員】  では,短期大学だけの格差というのは,数字はないということですね。
【君塚大学振興課課長補佐】  そちらの方がよろしければ,そちらがないわけではないので,出すことは可能ですので,そちらのデータに替えることは。4年制大学と短期大学を併せたもの,専門学校を除いた分の都道府県という。
【清水委員】  全部を含んでいるのですか。
【君塚大学振興課課長補佐】  ええ,全部です。
【清水委員】  短期大学だけではないのですね。
【君塚大学振興課課長補佐】  ええ。
【清水委員】  それでしたら結構です。
【君塚大学振興課課長補佐】  短期大学ですと,軒並み6%から8%ぐらいの間に全部の統計が入るような感じになると思います。
【清水委員】  もう一つは,10ページ,11ページに関わるのですが,以下,4つの機能が機能別分化の方につながっていくのですが,どうも4番目の「生涯学習機会の提供」というのが,ほかの3つと表現に違和感を抱きます。むしろ「生涯学習機能の充実」とか,「生涯学習機能」と言ってもいいのではないかと思うのです。「機会の提供」ですと,場だけ提供すればいいということになります。機能というものを出して,「生涯学習機能の充実」というのであれば,ほかの3つとも違和感がないと思います。
【佐藤座長】  ありがとうございます。2章に関しましては,大野委員から,あらかじめ意見が提出されておりますので,お手元にあります,大野委員提出資料も併せて参照しながら御意見を頂ければ,なお有り難いと思っています。当の大野委員から何かございますか。
【大野委員】  4つに整理していただいたところに,ペーパーにも書かせていただきましたが,「高等教育の機会均等を確保する役割」ということで,全員が最低でも短期の高等教育を受けて,人材立国にするというような大事な目標があると思いますので,そういった役割を短期大学は果たし得るという意味で入れていただいたら有り難いと思います。
 それから,生涯学習や地域と少しかぶる点はあるかもしれませんが,前の短期大学再構築の整理の中でも,国際化,グローバル化の担い手としての役割ということで,特に外国人の労働者等が来たときに,アメリカのコミュニティ・カレッジがアメリカ市民の教育をしているように,日本に定着するのに必要な教育を施せるというのは,地域にあって,短期大学というのは非常にその機能を果たし得るのではないかという観点から,これも加えていただけるとよろしいかなと思います。
【佐藤座長】  大野委員の1ページ,2ページ目のことをおっしゃっているのですね。
【大野委員】  そうです。役割と機能と分化したかったのですけれども,そこまでの力がなくて,役割に限定して,少し先のところまで書き込ませていただいたということです。特に生涯学習,今,清水委員からも言及がありましたけれども,できれば,もう少し厚くしていただいて,私の2ページのところは御覧になっていただくと分かるとおり,今,日本が直面している課題で,知識社会への移行で,特に他国では高等教育の進学率を爆発的に伸ばしていますので,1番との関連ですけれども,「Higher Education for ALL」で生涯学習,循環型をお願いしたい。それから,特に女性の学び直しも声高に叫ばれているほかに,我が国はジェンダーギャップが際立って,これは先進国のみならず,調査した国の中でも低い位置にあります。調べさせていただいたところ,平成24年度ベースで135か国調査して101番だそうですので,教育をしっかりと,これまでも果たしてきた役割は大きいのですけれども,更にということです。
 さらに,非正規や若者が最近,社会参加できないということに関しても,これは放置しておくと大変な人材の損失になりますので,地域の短期大学を中心に生涯学習の拠点として教育をする機会が提供できればと。更に高齢者についても,健康寿命延伸だとか医療費の削減は大変重要な課題であると同時に,やはり生きがいが大事だと思いますので,そういったことも含めて,生涯学習に必要とされている課題がたくさんあるところに,短期大学は1つ1つ役割として貢献し得るというような内容はいかがかと思います。
【佐藤座長】  なるほど。はい,分かりました。これ,事務局の文案ができてから頂いた,それとも,その前に頂いた。
【君塚大学振興課課長補佐】  前です。
【大野委員】  文案を頂く前に提出させていただきました。
【佐藤座長】  では,これはまだ十分に反映はされてないということですよね。今の大野委員の意見も含めて,どうぞ,第2章に関して御自由に御発声いただければと思います。小林委員。
【小林(信)委員】  生涯学習機会の提供とか,今,生涯学習の話があったのですけれども,幾つかの短期大学を伺ったときに,立地が駅に非常に近いところと駅から遠いところとか,それぞれの大学によって特徴があります。もう一つは,施設自体は,短期大学の施設というのは,空間的なものから教室から含めて,図書館とか,いろんなもの,施設面では専門学校よりいい状況にあって,学生だけではなく,もっと社会一般に広く提供していただけるような大学施設を持っているのだと感じました。ですから,大学が今,かなりオープンな状況で,社会人の生涯学習を受け入れたりしているのと同様に,短期大学でもやってほしいなという気持ちはあります。一方,先ほどの男女の差別じゃないですけれども,女子短期大学という性格を有している短期大学については,特にオープンにするのを拒むような,女性が多いので男性に入ってほしくないというのがあるのか分からないですけれども,教育者,学校教育の関係者の一部からは,そのような声も聞かれたところがあります。余りオープンにしたくないのだと。若い18歳,子供たちを対象に学生を教えていきたいのだというようなことを言っているところがあるので,短期大学全般に本当に生涯教育を受け入れる体制ができるのかどうなのか,それを取ることができるのかどうなのかというのを,もうちょっと議論する必要があるなとは思います。提言としては,僕は是非ともやっていく必要があるのかなというのは感じています。
【佐藤座長】  ありがとうございます。今,小林委員のお話を伺いながら,このワーキンググループの初期の段階で非常に手厳しくおっしゃったのがよみがえってまいりました。確かに,本当に受けて立てるのかと。とりわけ行きやすい場所にあるのばっかりじゃないだろうと。とてもよく分かる話でございます。
【小林(信)委員】  生涯学習という部分と,もう一つ,学び直しというのもありますけれども,これも同様なのだと思うのです。地域の産業界のニーズとか,そこの地域で働いている方々の受け入れる体制があるのかというのも含めて,是非ともやってもらいたいのです。多分,地域の方々が,先ほど,循環型,経済社会と同じように,学びについても,年を取ってからも学んでいきましょう。それ相応の段階に応じて学習していきたいとかいう意見はありますから,それを受ける体制として,是非とも短期大学が頑張ってほしいのですが,本当にできるのかというのが少し気掛かりなのです。
【佐藤座長】  小杉委員。
【小杉委員】  私も,まさに学び直し,生涯教育って日本社会にこれから必要なものだと思って,短期大学も是非,そこの部分,ほかの学校種と同じようにやってほしいとは思っています。ただ,やはりここまで余り詳しく書き込んでしまって,本当にできるのか。施設はあるかもしれないけれども,教えられる人がいるのって,本当にそう思います。そこのところ,やはり社会人に,本当に職業に使えるようなことをきちんと教えるだけの人材とノウハウと,それをちゃんと蓄積しているのか。これから蓄積していく部分が多分あるのだと思うので,旗を上げるので,ここまでこうしますとまで書き込まない方がいいのではないかと思いますが。
【佐藤座長】  ありがとうございます。これらにつきましては,いかがでございますか。滝川委員。
【滝川委員】  今までそういったことに対してデータを出したりしてきたことがないのに,漠然とした印象で,ここのところをひっくり返すことには賛成しかねます。ここに書いてあることは,これまで議論の中で出てきていて,そういう役割や機能を短期大学が持ってきたという,そういう根拠のある話を進めてきた結果と私自身は認識しているのですけれども,違うのでしょうか。
【佐藤座長】  大野委員,どうぞ。
【大野委員】  もっともの御指摘と思いますが,現在持っている資源でできるかというと,それは厳しいことがあろうかと思いますけれども,私が用意させていただいた3ページ目のところに,生涯学習の教育に必要な,地域のニーズに応えた教育をするためには,短期大学自身も努力をしなければいけない。それは今後の推進方策というところに対しての意見ということで,短期大学がまず,自身が果たす役割と国にやっていただきたい支援策と,あと協会等がやるべきところで分けて記載してございます。まず最初の短期大学の2番目のところ,地域社会に,多様な生涯学習機会を提供していく上で,非学位課程など,そういう制度をどんどん今までより活用すると。それから,今お話があったニーズについて,そもそもどういうのがニーズなのかよく分かってないところがありますので,積極的に,ここでは「協議会等」としましたけれども,作って,何ができ得るのかということを自分たちで探しに行く必要があるだろうと。さらに,ニーズがあっても,教える場所があっても人がいないということになれば,人材確保,これはいろんなところに協力を求めていかなければならないのではないかということでまとめさせていただきました。そういう努力をしていかないと,生涯学習の拠点としての短期大学の果たす役割はなかなか難しいのではないかと思って,まとめさせていただいたということです。
【佐藤座長】  小杉委員,どうぞ。
【小杉委員】  私,別にひっくり返したわけじゃなくて,今,大野委員のペーパーを見ていまして,こういうふうなことをしていかなければできないだろうなと思っていますので,やるべきこととして,非正規から正規への移行を促進,そこを先に書いちゃうのはどうかなということです。
【佐藤座長】  分かりました。安部委員,どうぞ。
【安部委員】  今の生涯学習機関になり得るかというお話なのですけれども,例えば,短期大学というのは,20年前の学生の質と全然違う学生が入学してきている。特に,これまでの実績は女子の社会参加を促進してきた,これは実績なのですけれども,今後,短期大学の地域の短期の高等教育機関という役割を充実させていくとすれば,恐らくそれは女子だけではなくて,男子あるいは幅広い年齢の人を取り込むような生涯学習機関にならなければいけないのですけれども,実は短期大学は,先ほど,小林委員が,女子の教育に特化しているのではないかというような御指摘もありましたけれども,最近は,女子の専科であった家政系とか保育系とか医療系の部分にも男子学生の参入が顕著に見られますし,そういうことを促進していくことが地域の中では特に,地域の生涯学習機関,そして地域の短期の高等教育が必要な人に開かれた機関としての短期大学の役割を拡大するものではないかということを強調していかなければいけないと思います。
 小杉先生がおっしゃるように,確かに今の短期大学は,18歳の女子に対してとても効く教育機関だとは思うのですけれども,これを発展させること,そして,なおかつ,過去の実績で女子の教育機関という実績があるわけですから,女性の学び直し等々に特化した地域の中での学び直しの機会なのかを,地方公共団体とか,あるいは関連職能団体と協議をして進めていくことが短期大学の新しい知恵ではないかという書き込みを,是非私はお願いしたいと思います。
【佐藤座長】  小林委員。
【小林(信)委員】  私,別に否定しているわけじゃなくて,是非ともやってほしいのです。やってほしいというか,施設,インフラとしては十分整っていると思う。それを十分活用し切ってない,し切れてない部分がある。これは,2つ大きな問題があると思うのです。文部科学省の前で言うわけじゃないのですけれども,学校教育に対するお金の投じ方が,我が国,少ないです。ですから,どこの短期大学に伺っても,教育に携わる方々の人数が非常に少ない。それから,教育者の後継者の養成という部分では非常に薄い状況になっているのですね。ですから,そういう意味では,そこを手厚くしていくべきだと思いますし,今後の,是非ともそういう役割は果たしていかなきゃいけないのだと思います。
 ただ,今,現状を見た場合どうなのかというと,決してそういう状況ではないということも受け入れるべきだと思うのです。本当は文部科学省がしっかり,短期大学の現状の姿,実態をもうちょっと社会に訴えていく必要があると思うのですけれども,それがなされてないわけです。産業界との関係においても,短期大学の現状,実態について知り得ている業界の関係者とか人事の担当者はどれほどいるかということを考えてみると,そんなにいないと思いますよ。ですから,これは文部科学省にしろ,短期大学の関係者が,やはり出ていかなきゃいけないのです。産業界の方にアクセスして,アポイントを取って,アプローチしていただいて,取り巻きの中に入れていくと。それも,地域の企業を取り巻きに入れていって,出口のというだけじゃなくて,いろんな意味の関係を持って,教育の面でも支援してもらうような姿ができていかなきゃいけないのですけれども,まだできてないのです。今後の役割としては,そういう意味で,地域で頑張ってほしいという動きとして,国,地方自治体へのアプローチも必要ですし,是非とも産業界へのアプローチもしっかりやっていくのだという書き方は必要だと思います。
 ただ,短期大学がその機能を本当に果たす気があるのかどうなのかというのは,僕はちょっと,いろんな関係者に聞いていて疑問を感じています。皆さん方,ここに来ている方は,国の関係,なおかつ協会の幹部の方でもいらっしゃる方が多いですから,先進的に取り込もうというような意欲はすごくうかがえるのです。地方の短期大学に行って,関係者の方々から聞いていると,非常にガードが堅くて,いや,うちではできませんみたいなところも結構あります。ですから,短期大学は三百七十幾つあるわけですが,その短期大学が前進していく,それぞれの地域で役割を果たすような体制ができるのかどうかも片隅で考えながら議論した方がいいのかなと言ったわけです。
【佐藤座長】  ありがとうございます。大事な視点なのですけれども,どうでしょう,今,小林委員の御指摘の中を少し分析させていただきますと,第2章は今後のあるべき姿を描いてみようという段ですので,小林委員自身もお認めになっている,本当はこういうふうにあったらいいなと思っていることは書き込んでいいような気がいたします。ただし,そのためには,こういう壁若しくは超えなきゃならないあれがあるのだということは,3章以降に今後の施策だとか中長期の課題というところにもちゃんと書き込んでいくというようなことではいかがでしょうか。
 それと,小林委員が,文部科学省の前で遠慮なさるとおっしゃったけれども,そうじゃないのですよ。文部科学省も実は,公財政支出が十分だなんて一度も発言してないわけで,それどころか,最近,歴代の大臣は例外なく,我が国の公財政支出,教育に対する支出は非常にプアであると。とりわけ高等教育にプアであるということをおっしゃっていますので,それはどこかにまた,必要とあれば,更に書き込んだって構わないと思っています。吉田局長,それでよろしいですよね。
【吉田高等教育局長】  はい。
【佐藤座長】  ありがとうございます。
 ほかには,2章,いかがですか。安部委員,どうぞ。
【安部委員】  今の御指摘なのですけれども,施設,設備は整っているけれども,本当にそういう人はいるの,やる気があるのというお話を頂戴したのですけれども,そのことを考えるときに,現行の短期大学の課題として,教員の資質に対する課題があるのではないか。これを書き込んでいくことがとても大事だと思うのですね。大野委員のペーパーにも,「Teaching professor」という名称が書き込まれておりますけれども,いわゆる幅広い職業人養成をやったり,例えば,地域と連携して生涯学習機会の拠点となるためには,そういうことができる教員を短期大学に入れなければいけないということで,短期大学教員の資質と能力について再検討する課題があるのではないかということを,ここで提言すべきではないかなという気が大変いたします。
 もちろん教育は人なわけですから,いくら施設,設備があったって動かないと思いますので,やはり誰を教員にする,どういう人を教員として入れ,そういう人をどう研修していくかということについては大きな課題になるのではないかと思います。
【佐藤座長】  安部委員,今,課題というお話が出ましたけれども,先ほどの小林委員からの話で,私が課題とつい出してしまったのですけれども,今御指摘の教員のことについても,確かにこのワーキンググループで意見が出たりしております。これは,ここではなくて,次の課題を論じるところに回してよろしいですか。
【安部委員】  今のお話でしたら,生涯学習の拠点等々を構築していくのであれば,教員のことについても論拠しなければいけないと思います。そこでするか,また後でか,繰り返し出るということもございますので。
【小杉委員】  1章では生涯学習の話は,学び直しとか,そういうことは書いてあるけれども。
【佐藤座長】  今の安部委員の,1章では,短期大学の課題を(1)から(5)まで書いてあるけれども,この中でまだ触れてないこと,重要なことの1つとして,教員の資質能力。
【安部委員】  はい。ということ。ずっと2章と言われたので,そのまま,また後でと思ったのですけれども,今,そういうお話が出ましたので。
【佐藤座長】  分かりました。このワーキンググループでも,短期大学の教員の資質,能力というのは,4年制大学のそれと完全に同じである必要はないというか,あるのではなくて,短期大学特有の人材養成に合致した教員の資質能力があってしかるべきだと。その検討はすべきだということが出ておりますので,そういう意味においては,1章に加筆するということなのでしょうかね。
【小杉委員】  1章の環境整備の中ですかね。7ページの真ん中の上から,連携強化の中の丸3のところに,学び直し機能について,まだ少ないので環境整備しなきゃならないという話がされていますが,そのあたりの話ですかね。これは外側の環境のことですね。
【安部委員】  そうですね。内も外も入れて,短期大学の多様な役割を遂行していくための教員の資質ということになります。
【小杉委員】  ここは,でも,産学連携の話だから。
【佐藤座長】  取扱いは,また後で相談させていただきます。学生に対する支援の充実というのは終わっていますけれども,大事なことを取り忘れていませんかという御指摘ですので,後でまたゆっくり検討して。短期大学,教員に関する課題ですね。
 2章についてはいかがでしょうか。もうよろしゅうございますか。一通り出たでしょうか。それでは,また必要に応じてバックしても結構でございますが,とりあえず3章に進みたいと思います。3章に関しまして,どなたでも結構でございます。御意見,御発言いただければと思います。3章につきましても,なお,大野先生のペーパーも3ページ目以降に出ておりますので,これも併せて参照しながら御議論いただければ有り難いと思います。「機能別の推進方策」。いかがでしょうか。どうぞ,滝川委員。
【滝川委員】  ここも表題のことを一言申し上げたいのですが,「機能別の」と書いてあるのですけれども,必ずしも短期大学の機能のことだけ特化していくということはできないぐらい,今,短期大学と専門学校,短期大学と大学との機能は重複した部分もありますので,「機能別」と書いてあることがどういう意味なのかなというのはちょっと分かりにくい。それから,第3章で「推進方策」と書いてあって,第4章の方では「中長期的検討課題」と書いてあることを考えると,ここは「推進方策」というのではなくて,「当面の振興策」とかというような,そういうことが書いてあるのではないかなと読みましたが,いかがでしょうか。
【佐藤座長】  よく中央教育審議会の答申でやるパターンですよね。当面する課題をとか,直ちに取り組むべき施策とかいうことを先に並べて,簡単に解決しそうもない,もう少し議論を深めてやるというのを中長期,こういうふうに区分する。今はそういう場じゃないかというのが御指摘だったのですけれども,どうですか。
【君塚大学振興課課長補佐】  表題については,「機能別の推進方策」というのではなくて,「当面の振興策」として,その下のパラグラフでつなげるということで十分対応可能かと思います。
【佐藤座長】  分かりました。ありがとうございました。大きな章のタイトルとしては,「機能別」ということじゃなくて,「当面する振興策」とか,何か,それに類似したようなものに直すと。ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。安部委員,どうぞ。
【安部委員】  今,推進方策,そして振興策という3章のキャプションなのですけれども,中身について,例えば,最後の文章,「期待される」とか「不可欠である」とか「必要である」とか「意義がある」とかという,あるのですけれども,これは誰がやることなのか,どこで中心になって,そういう改革を推進していくのか,振興していくのかということについて,書き分けが実は必要ではないかと思います。各々の短期大学,そして,短期大学協会等の短期大学の団体,そして地方公共団体,あるいは文部科学省をはじめとする国というような書き分けの仕方をしていく方が,読んでいただく皆さんに,例えば,短期大学関係者がこれを読んだら,あっ,私たちはこういうことをしなければいけない,協会はそれを読んで,こういう研究プロジェクトを立ち上げようというような指針になる,そういう役割を果たす必要があると思いますので,それ,書き分けをしてはいかがかという御提案をしたいと思いますが,いかがでしょうか。
【佐藤座長】  ありがとうございます。この原文では,(2)がたしか国による支援方策と書いてありますので,(1)はさしずめ当の短期大学に向けたメッセージというのでしょうかね,それを更に一歩進めて,大野委員のペーパーもそういうふうに書いてありますけれども,これを説明いただけますか。
【大野委員】  3ページ目のところに,短期大学が自ら努力しなければいけない点として6点ほど整理させていただいて,これは先ほどお話が出た生涯学習の提供も全部含んでいるのですけれども,どんなに短期大学が頑張っても,やはりでき得ないことがありますので,それは国が内容に応じて支援をしていただきたい。具体には,先ほどもお話があったように,財政的に支援をしていただかないとでき得ないことがありますよということと,それから,まとめの中にも入ってございましたけれども,地域総合科学科を是非再定義していただいて,分かりやすくするべきことではないかと。それから,これはちょっと突拍子もないですけれども,非学位課程の活用が声高に叫ばれておりますけれども,例えば,これを定員化して私学助成の道が開けるかどうかということも1つの観点であります。
 さらには,一定の枠組み,先ほどの協議会についてですけれども,ただ,短期大学が出ていって,いろいろと聞くというのもいいのですけれども,やはり全体としてのスキームを整理すると,多分,国民にとっても分かりやすいので,例えば,職業,実際の専門課程のような形でコミュニティ・ニーズを聞き取るような枠組みというのは,国から示していただけるとよろしいのかなと思って,そこに書かせていただきました。
 先ほどもちょっとお話がありました資格審査等のところで,Teaching professorと例を挙げさせていただきましたが,これは実務家教員登用に当たっては,質保証において大変デリケートな問題であることもありますけれども,他方,やはりコミュニティ・ニーズに根差した教育を展開するためには,そこに必要とされている教育をマッチさせないと駄目なので,そうなると,現行の資格審査のやり方だけでは,どうしても柔軟性に欠けるのではないかということから,是非そこの道を開いていただきたい。
 それから,地域振興,地域再生ですけれども,やはり国がリードを取っていただいて,財政的・制度的な枠組みについても検討していただきたい。
 6番目は,これは短期大学の位置付けを明確にと非常に抽象度が高いのですけれども,学位の問題で,短期大学士から始まって,学士,修士,博士とありますけれども,そういう一連の枠組みはなかなか分かりにくいところにありますので,そこのところを国際通用性も含めて整理をしていただいて,行く行くは,以前も出ましたけれども,短期大学の修業年限の問題だとか,そういったところまで少しにらんだ形で,短期大学の在り方を示していただけると有り難いなというところが国に果たしていただきたい役割でございます。
 さらに,短期大学と国だけではなくて,協会等,そういったところの支援というか,活動も必要ですので,例えば,1番目でいうと,質の高い教育に関しては,リーダーシップパイプラインといいますか,そういうショーケースを作って,お互いに学び合う,高め合う,そういったことを今までよりも伸長させることが必要でしょうし,短期大学はよく宣伝が下手だとたくさん言われていますので,協会を通じて,他の協会に負けないぐらい宣伝をすることが大事でしょうし,それから,自治体ごとに在り方は違うと思いますけれども,先ほどの国が示していただいたスキームに基づいて,適宜,これは国とは別に,協会等が中心になって情報提供すると。
 さらに,4番目については,優秀教員,ベストティーチャーのような顕彰制度を協会認定することによって,短期大学の教育力が,宣伝につながってくる,世に知らしめることができるのではないかということ。地域振興に当たっても働き掛けをお願いしたい。
 6番目は,ダイレクトですけれども,ロビー活動だとか質保証についてもこれまで以上にということでまとめさせていただきました。
 以上です。
【佐藤座長】  かなりストレートな表現がたくさん出てきました。ありがとうございました。今のことも含めまして,第3章,全体的にどうぞ御意見をおっしゃってください。小杉委員,どうぞ。
【小杉委員】  大野委員の方にも出てきますが,頂いた審議のまとめの13ページの上から3つ目あたりの,これが大変大事だと思っているのですが,コンソーシアムの形成,自治体を引き込んでという,そういう取組,これは大変大事なことでありますが,ただ,短期大学だけなのかなというのがちょっと疑問に思っているところで,地域の人にとって,地域に存在する高等教育機関がみんな一緒に入ってくれて,その中でやってくれた方が絶対いいので,短期大学がもしリードしていただければ大変有り難いのですが,短期大学だけではなくて,地域の教育機関をまとめていくぐらいの広さがあってもいいのではないかなと思うのですが。
【佐藤座長】  ありがとうございます。ごもっともな御指摘だと思います。本音を言わせていただきますと,確かにそうですよね。地域によりけりだと思うのですね。やはり短期大学がいろんな連合体といいましょうか,共同作業の中核になり得る地域も,そういう力のある短期大学もあるし,地域によっては,そういう短期大学がなく,やはり4年制大学が中心だと。あるところは,職業訓練が主,いろいろあると思います。これは,いろいろありますというのを書き込むかどうかは別といたしまして,本音でよく見れば,そういうことだと思います。
 清水委員,どうぞ。
【清水委員】  まず,3章の1の下のマル1は,(1)という表記で以下ずっと変更した方がいいと思います。先ほど言いました「生涯学習機会の提供」というのも,「生涯学習機能の充実」というタイトルの方が私はいいと思います。第3章は非常に大事なところだということは分かっているのですが,短期大学の目的の中に,大学とか専門学校と区別する上で,実際生活に必要な能力というのがありますよね。「実際生活に必要な能力」という言葉がどこにも出てこないのですよね。だから,どこに入れたらいいかなと考えたのですけれども,事務局にお任せしますけど,やはり主要な目的のキーワードになっていますので,地域コミュニティの基盤なのか,どこかに実際生活に必要な能力を提供している短期大学という,あるいは,そういう機能を持っている,目的を持っているというのをどこかに入れた方がいいのではないかと思いました。
【佐藤座長】  ありがとうございます。これもごもっともな話だと思いますね。学教法による職業,又は実際生活,職業の方は誰も疑いないのですけれども,実際生活って一体何なのか。実際生活に必要な能力というのはどのようなものが含まれるのかというのは,余り正面切った議論はしてないのだと思いますね。あるいは,先ほど大野委員が言われた短期大学士という一番新しい学位ですが,この学位はいかなる能力や資質を証明するものであるかということが,これまた正面切って議論してない。だから,これは今すぐどうこうということじゃないですけれども,でも,急いだ方がいいな。どこかで今後の施策として,主体となるのは国なのか,あるいは短期大学なのか,それとも団体なのか,多分,みんなが力を合わせなくちゃできないと思いますけれども,それはどこかに書き込んだ方がいいかもしれません。ありがとうございます。
【清水委員】  もう一言加えますと,本来ですと,高校にもそういう生活準備機能というのは求められているのですけれども,日本の場合はかなりの部分が進学しますので,進学準備の方が中心になってしまって,生活準備のための教育というか,ここを短期大学が担っていると思うのですよね。やはり2年間,短期大学で過ごして,3年もありますけど,それで生活できるというか,生活人というのか,市民としての生活能力が身に付くというのは,私はすごいプログラムだと思いますよ。前は,自動車学校のプログラムが世界一すばらしいプログラムと思っていましたけれども,誰もが27教程やれば,みんな運転できるなんていうのはすばらしいプログラムだと思っていましたけど,短期大学は2年とか3年で一人前の人間を作るわけですから,これは本当に世界に誇れる教育プログラムじゃないかなと。その意味では,実際生活が営める能力というのは非常に大事な言葉だと思いますので,是非どこかに入れてもらいたいと思います。
 以上です。
【佐藤座長】  ありがとうございます。
 ほかに,第3章,いかがでございましょうか。滝川委員,どうぞ。
【滝川委員】  私も文章を準備してきましたので,それを読ませていただきたいと思います。1つは,短期大学が自主的に個々の推進方策ということで,今既に小林委員とか大野委員の話に出ました質保証と周知の問題。まず第1点として,「短期大学は短期大学士教育を確固たるものにするために,さらなる質の向上や情報公開に努めなければならない。さらに,様々なチャンネルを利用して,今まで以上に短期大学士教育そのものや機能,役割等を分かりやすく周知しなければいけない」,こういったことをきちっと言及していただけたらと思います。
 2つ目,地域社会ニーズの実現について。「短期大学が,その教育研究とともに取り組んでいる,また,これから取り組もうとする地域社会との連携や貢献を,教員個人の取組から自治体との協議や協定等を介在させた組織的な取組に移行すべきである」。これを2つ目に,短期大学が自主的に可能な推進策として挙げさせていただきたい。
 3つ目,学び直しニーズの実践ということで,「短期大学の有するファーストステージとしての機能を強め,また,上位の教育課程へのトランスファー機能を高めるためには,これらを阻害する一因である入学金の在り方についての検討を短期大学自らが先んじて行うべきである」というふうに思います。
 また,「社会人が必要とする学び直しのためには,来やすさのための環境整備が不可欠であり,そのために非正規課程の充実,長期履修制度や昼夜開講制度の拡大,サテライト教室の設置,ニーズに即した教員配置等を行うべく学内外の環境整備に努めるべきである」。これを短期大学の方の推進方策に挙げさせていただきたいと思います。
 次に,国が果たすべき推進方策として,是非,書いてないことについてはお書きいただきたく,また,書いてあることにつきましては強く書いていただきたい内容の1つ目が,同じように質保証と周知のことでございますが,「短期大学の質保証を支援している認証機関による外部評価は,機関別評価が柱である。しかし,短期大学の現時点での特徴である幼児教育,保育,栄養,介護といった専門性を具体的に推進するためには分野別評価が求められる。行政は,こうした短期大学における分野別評価の推進を標ぼうし,その実現に向けた支援を行っていただきたい」。 次に,地域社会ニーズの実現について。「短期大学が取り組んでいる,また,これから取り組もうとする地域社会への連携と貢献を後押しすべく,文部科学省と自治体の直接的な話合いを深め,行政間の連携を強化していただきたい」ことが次でございます。
 そして,3つ目,学び直しニーズの実践について。「短期大学が取り組んでいる,また,これから取り組もうとする学び直しニーズの実践に向けて,実社会ニーズにかなった教員要件の設定や社会人が通いやすいサテライト教室等の設置のための新たな設置基準が必要である。さらに,働きながらスキルアップするために不可欠な長期履修制度や昼夜開講制度の推進に向けた省庁間の調整を行っていただきたい」。
 それから,この第3章の中では,ここまで出てきたコミュニティ・カレッジの内容についての問題が,なくなってしまっていますので,ここでコミュニティ・カレッジについての言及を是非お願いしたく,文章もこれを読み上げさせていただきたいと思います。「日本版コミュニティ・カレッジ(仮称)の創設。答申に記された高等教育の機会均等と教養教育と職業教育,地域の生涯学習の拠点といった役割と機能を強め,更に短期大学ワーキンググループでの議論で取り上げられた地域貢献や地域連携,高等教育のファーストステージ機能や上位の教育課程のトランスファー機能,非正規課程を利用した学び直し,質保証や情報公開等,更に発展させるためには,短期大学,大学,専門学校,高等専門学校等の枠組みを超えた取組が不可欠である。そのためには,これまでの教育年限によって分類されていた学校種に加え,新たに,前述の目的に応じた枠組みを有する,目的に応じた日本版コミュニティ・カレッジ(仮称)の創設が求められる」。
【佐藤座長】  大変内容が豊富な御発言で,多くの委員の方々がうなずいたり,うんうんとおっしゃったりしているのを見ました。お聞きした中には,短期大学が取り組むべきものと,国等が取り組んでほしいものといろいろ入っておりますが,どうでしょう,今伺っただけで十分,私ども,入れられたことが分からないので,ペーパーにしてお出しいただけますか。
【滝川委員】  了解いたしました。
【佐藤座長】  恐れ入ります。じゃあ,それを十分参考にさせていただきたいと思います。
 ほかに,第3章,いかがでございましょうか。大野先生,これ,多分こだわらないと思いますけれども,ペーパーの3ページ,「短期大学が果たす役割」,「国が果たす役割」。「果たす役割」と書いてありますけれども,そうじゃなくて,短期大学が取り組むべきこと,国が取り組む,望む,そういうことですね。
【大野委員】  はい。
【佐藤座長】  分かりました。ということで,3章の取扱いですけれども,推進主体別に分けるということでよろしゅうございますか。当の短期大学が取り組むべきこと,国に要請すること,学協会等が取り組むべきこと,そういう振り分けでよろしゅうございますか。その上で今,いろいろ出ました意見を十分くみ入れながらブラッシュアップしていただければ有り難いと思います。
 おかげさまをもちまして,大体,時間どおり進んでおります。最後,第4章,「中長期的検討課題」を話題にしたいと思います。これが終わってから,全体を振り返って,また,どこでも結構だと思いますけれども,とりあえず今は第4章に関しまして御意見を頂きたいと思います。大野委員,どうぞ。
【大野委員】  繰り返しになりますが,先ほど,滝川委員からもお話がありました,高等教育全体を見渡してというのは,もちろんすぐできる話ではないと思いますけれども,学位の問題も含めて,やはり中長期的な課題のところに是非残していただいて,国際通用性を持った高等教育の枠組み,世界に負けない日本の高等教育の枠組みを,その中で短期大学がどういうふうに位置付けられているかという方向性を示していただくような議論をお願いしたいと思っています。
【佐藤座長】  それは,中央教育審議会も累次の答申の中で,度々言及してきた,いわゆる高等教育のグランドデザインということについて,短期大学も十分に参酌しながら議論をもう一回,もう一回というか,更に進めるべきだと,そういう受け止め方でいいですか。
【大野委員】  はい。第5次提言も含めて。
【佐藤座長】  滝川委員,どうぞ。
【滝川委員】  今の大野委員の発言に関して,改めて,そのことを申し上げたいと思います。私自身,この短期大学ワーキンググループと,その上にあります上位の審議会との関わりや今後の審議がどの様な経過をたどるのかがよく見えないので,そのあたりのところを少し言及をしたいと思います。
 一番申し上げたい点は,これまでのワーキンググループの議論の中でも,短期大学の位置付けが非常に不明確になってきてしまって,どこに位置しているのか分からないという意見がございました。そう考えると,短期大学問題は,大学,短期大学,専門学校,高等専門学校といった高等教育全体の枠組みがどういうふうになるかという,高等教育全体の質と数のグランドデザインをもって議論すべきではないかと思います。これまでもグランドデザインの議論は度々出てはいましたけれども,これは社会の状況によって内容が変わってきますので,大きく数や質がどういうふうにこれから必要なのだというような議論を是非,私たち短期大学ワーキンググループだけでなく,上位の審議会でも,御議論を進めていただきたいなと思います。
 そして,私どもに対して,グランドデザインの議論をどうぞ戻していただきたいと思います。そのグランドデザインの中で,短期大学がどういうところの位置付けをするのだということを確認した上で,再度,短期大学係がどの様な機能を果たしていけるのか,役割を担っていくことができるのかということを私達に議論させていただきたいと思います。
【佐藤座長】 お話の中に,1つだけひっかかるのだけど,質の議論というのはどんどんしなくちゃいけない。二,三回,数とおっしゃったのは,それはどういうことですか。
【滝川委員】 例えば,短期大学係は,ピーク時に学校数が700ぐらいあって,それが350ぐらいになってきて,それがいいのか悪いのかとか,その状況がなぜ起こったのかという話になっているのですが,そうではなくて,様々な分野の高等教育から出てくる学生たちと,社会が求めている高等教育の様々な分野に対するニーズとの間に数のミスマッチが起こっているように私は思います。そのことに応えるためには,短期大学だけの問題では解決できない,大学だけでもできなくて,大きく高等教育全体が社会のニーズに対して数でどのように応えていくかという,そういう議論があってしかるべきだと思ったわけでございます。
【滝川委員】  。
【佐藤座長】  ありがとうございました。
 ほかにいかがでございましょうか。安部委員,どうぞ。
【安部委員】  その議論の本当に一部の具体的なことをお話し申し上げますと,先ほど,小杉委員が,地域の中で短期大学だけではなくて,大学や,あるいはほかの職業養成機関だとか,場合によっては中等教育機関だとかの連携によって地域の中での役割を果たしていくというお話が出たのですけれども,グランドデザインの中の短期大学の位置付けを考えるときに,やはり短期大学は地域で教育の機会均等は保証している機関であるというのは,これまでずっと言われていたことでありますし,これからますます地方が疲弊する中で,地域を元気にする高等教育機関としての役割を短期大学に是非付加しなければいけない。そのためには,今どういうことが求められるかということについて検討するというところが中長期的検討課題となりますし,これが中長期的なのは,恐らく地方公共団体と国との短期大学に関する管轄とか,そういう問題をどうすみ分けするかとかということがまず話題になってまいりますけれども,そういうことは時間が掛かりますので,でも,地域を元気にする,あるいは地域の疲弊を防ぐということにおいて,短期大学の果たす役割を位置付けるのは非常に大切なことだと思います。
 そのために,いわゆるここで書かれております,今の短期大学はこういうことをやっている,やっているということを,それを十分に充実させていくことも必要なのですけれども,さらに,もう少し,例えば,地域の職業人養成なども,従来,短期大学は行っていなかったような職業人養成等についても,地域のニーズがあれば柔軟に養成できるというような,そういう仕組み等も作るべきではないかという提言を,是非盛り込んでいただければというふうに,地域代表としては考えております。
【佐藤座長】  ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。清水委員,どうぞ。
【清水委員】  最後は,教育再生実行会議の第5次提言を取り上げておりまして,非常に効果的じゃないかなと思います。特に,この提言で,編入学等の柔軟化とか推進というのが,むしろ我々の方でもそこは強調しておいて,ここに後押ししてもらうという戦略を取った方がいいと思いますし,高校と短期大学との連携とか,そういうのもうたわれていますよね。だから,縦の接続については第5次提言でも非常に触れておりまして,私,非常に評価したいと思います。だから,これをうまく利用できるような書きぶりがいいと思うのですよね。
 それと同時に,もう一歩,中長期的にいきますと,先ほどの専門学校の職業実践課程,あれが認定されてきていますから,それが新しい高等教育機関として制度化されたわけですから,今後,競合とか対立とかそういう関係ではなくて,短期大学とか高専とか専門学校が,むしろ,それを含めた形での新しい高等教育体系といったものを作ることが求められると思うのですよね。そのときに,短期大学がしっかりと体系の中に位置付くように,自助努力といいますか,努力もする必要があるというような,何かそういうものも入れておかないと,中長期的に見て,新しい高等教育の体系の再編が起こったときに,もう短期大学,要りませんとなったら,これは元も子もありませんので,やはり今,こうした審議のまとめの中で,まず力強い短期大学を作っておいて,将来的には当然,新しい職業教育の体系も作られるし,あるいは新しい高等教育の体系そのものも大きく変わると思われますので,そのときにしっかりと位置付くような力を付けておくことも,言葉はお任せしますけれども,そういうことを入れておいた方がいいのではないかなと思います。
【佐藤座長】  ありがとうございます。大変大きな課題でございますね。後ほど,参考資料に出ております第5次提言の,とりわけ短期大学に影響がありそうなところを御説明いただくつもりで出しているのですか。
【君塚大学振興課課長補佐】  必要であれば。
【佐藤座長】  そうですね。後で,じゃあ。
 ほかにいかがでございましょうか。どうぞ,お願いいたします。
【小杉委員】  どれが中長期でどれが当面なのか,全部つながっているので,当面の中に書かれているけれども,地域でのきちんとしたコミュニティの基盤を作るだけの連携を作るというのは「当面の」の方に入っているけど,本当に作るのは,やはり中長期じゃないかなと思ってみたり,その辺の区別がよく分からなくなりましたという,それだけなのですが,このままでは。
【佐藤座長】  ありがとうございます。確かに,先ほど,第3章で大分加筆とか,いろいろ出ておりますので,それを整理してみないと,どれが当面にふさわしいのか,どれが中長期なのかということ,分からなくなりつつあるところだと思います。一度,これ,整理した段階で,次の文案のときに,具体的にまた読み込んでいただきましょうか。もし必要なら,今のうちに,ここは書いてあるけれども,これは中期的なものじゃないの,これはこう書いてあるけれども,もっと早くやった方がいいのではないと。今の段階で御意見があれば伺っておきたいと思いますが,もしそうでないとすれば,今日の議論に基づいて,もう一回整理したのを具体的に御覧いただきながら,今のお話は進めて。
【小杉委員】  当面って二,三年ってことですか。
【佐藤座長】  行政用語としては,どうなのですか,当面の施策と言ったらば,どのぐらいの。
【里見大学振興課長】  一,二年かな。
【君塚大学振興課課長補佐】  1つは,やはり支援策というところを具体化するときに,当面のものだと支援策が具体化しやすいのがある。あと,制度とか環境の醸成みたいなことになると,当然,中長期的な視点が出てきますので,そういうことも含めて書き分ければなというところかなと思っております。
【佐藤座長】  里見課長は,一,二年かなと,今,つぶやいておられましたけれども,当面というのは。
【小杉委員】  今度の予算要求か,その次の予算要求みたいのでと,そういうことですかね。
【佐藤座長】  そうでしょうね。よろしゅうございますか。
 それでは,今度は4章に限らず,全体を通して,もう一度,御意見を伺いたいと思います。何か言い残してしまったこと,議論はしてきたけれども,この辺がよく分からなくなってしまったとかいうことも含めて,どうぞ。全体を通して御発言いただければと思います。清水委員,どうぞ。
【清水委員】  6ページと,もう1か所,どこかにあったと思うのですが,6ページの真ん中あたりに,地域総合科学科の話で,抜本的な見直しが必要であるというのは,もう1か所,どこかにあったような気がするのですけど,これはそのとおりだと思うのですが,先ほど大野委員も触れたように,再定義も含めてとか,何か付けておかないと,抜本的な見直しだけじゃなくて,もう少し具体的な,1例でも挙げておいた方がいい。先ほどの再定義というのは,私はいい言葉だなと思いますので,それを含めてというような。
【佐藤座長】  ありがとうございます。
【小杉委員】  それは中長期的課題ですか,どっちですか。
【清水委員】  いや,これはかなり早くしないと。
【小杉委員】  多分,問題にしてきたら,それをどうするかということを後ろに必ず書くようにして。
【清水委員】  そうですね。そこに本当は推進方策が出てくればいいのですけどね。
【佐藤座長】  地域総合科学科の再定義というのは,小杉委員の御質問のように,急ぐべき課題,それとも中長期,どういう御意見をお持ちですか。大野先生は。
【大野委員】  私は,可能な限り急いだ方がよいかと。今,よく分かりにくいというものを放置しておくという態度はいかがなものかという立場です。
【清水委員】  これについては,何回目かの会議で大野委員が資料を出しましたよね,地域総合科学科。多分,Teaching professorとか,あるいは設置基準の柔軟化とか,いろんなことが書いてありますよね。これ,推進方策として書くにはなかなか難しいのでしょうけど,我々とすれば,そこが1つの,新しい短期大学の発展の芽にはなるものだと思うのですよね。そこをどういうふうに設計するかというのでね。これを取らなきゃ,認定事業も実際ないし,宙に浮いてしまったような感じがしますよね。
【佐藤座長】  分かりました。いずれにしても,これは大変重要な課題でありますし,日本私立短期大学協会,短期大学基準協会でも,たしか,この課題を取り上げて,盛んに議論しているところだと思いますので,それらを参酌しながら,なるべく速やかに再定義等を行うべきだということで運びましょうか。よろしゅうございますか。ありがとうございます。
 ほかに,全体を通して,いかがでしょうか。小林委員,どうぞ。
【小林(信)委員】  16ページのところにマル4で,「学生に対する経済的支援の充実」という項目が設けられているのですけれども,僕も前回,このワーキングに出てないので,その辺の経過が分からないのですが,1番目の丸に書いてある,国際人権規約A規約の留保が撤回され,高等教育の無償化というような話が出ているのですが,2行で書かれていて,だから,何なんだというのが分からないのですけれども,その辺の説明書きをすることも必要なのかなということと,奨学金制度を充実,結構,短期大学の特徴としては,経済的に厳しい方が多く行かれているケースもあるし,近いところの短期大学に行く方ということで,経済面での支援というのも非常に重要な部分でもあるのだと思います。その辺の充実強化について,もうちょっと加筆する必要があるのではないかと感じたので,御検討いただければと思います。
【佐藤座長】  ありがとうございます。多分,この書きぶりだと,短期大学特有のというよりも,高等教育全体の学生に関する支援と,記述を同じくして書き込むべきことは書き込んでおくということにさせていただきたいと思います。
 ほかにいかがでしょうか。それでは,残る時間もわずかになりましたけれども,事務局から配られております資料で,今のうちに説明しておいた方がよさそうなもの,先ほど,第5次提言のことを,私,わざわざ申しましたのは,多分,短期大学関係者が大きな関心を持っているのは,職業教育に特化した,新しい学校種が直ちに誕生してしまうのではないかなという,そんなことを懸念したりなんかしていると感じますので,それらも含めて御説明いただければと思います。
【君塚大学振興課課長補佐】  それでは,参考資料の教育再生実行会議の第5次提言の内容で,特に3点目になるのですけれども,1点目というのは幼児教育の無償化の検討で,2点目が小中一貫教育の推進ということなのですが,3点目でございまして,ページからすると4ページ目になりますが,4ページ目といっても,4ページの一番下の表題から始まって,実際には5ページに書き込まれているわけでございますけれども,「実践的な職業教育を行う高等教育機関を制度化する。また,高等教育機関における編入学等の柔軟化を図る」というようなことで提言がされているところでございます。前段の文章は,今の問題点ということで,確かに,その中のローマ数字の小文字の1のところに,「大学,短期大学は,学術研究を基にした教育を基本とし,企業等と連携した実践的な職業教育を行うことに特化した仕組みにはなっていない」という書きぶりになっておりますので,確かに制度的には,そういうものに特化したシステムにはなってないということでございます。
 そんな中で,今の専門学校の問題も書き加えられておりますが,「大学」,これ,「短期大学」という固有名詞が抜けているのですけれども,「高等専門学校,専門学校,高等学校等における職業教育を充実するとともに,質の高い実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化が求められます」ということで,じゃあ,具体的にということで,四角の中にございます。「職業教育の充実,強化」の中の1つ目の丸は,これは専門高校への支援ということでございますが,ということで,2点目は,これは高等教育段階からの職業教育の効果は高いことからということで,高専の学科構成を見直すですとか,国又は地方公共団体は,高校や専修学校の高等課程と専門学校,短期大学の連携,高等学校専攻科の活用を推進するということでございます。
 その中で,もう一つは,高等教育機関の編入学等の柔軟化も提言されておりまして,1つ目は,飛び入学等の活用なのですが,2つ目の丸ということで,高等学校卒業後の進路をより柔軟にするために,大学は短期大学,専門学校からの編入学や学部間の転学,社会人の学び直し等の機会の拡大を図るというようなことが提言されております。また,高校専攻科からの編入学者について,質保証の仕組みを確保した上で大学への編入学の道を開くということでございます。
 4つ目の丸は,どっちかというと資源配分,予算配分で,このような飛び入学とか早期修了,そういうものについて,また編入学,転学の充実について,国立大学法人運営費交付金や私学助成の運用の見直しを行うと。
 5つ目は,職業能力学校・短期大学校における学修を大学の単位認定に認め,対象とするように,また編入学の道を開くように検討するということで,新たな高等教育機関の制度化が提言されていくことと,あと,学校種間の編入学とか転学等を弾力化するということでございまして,具体的な新たな職業教育を行う高等教育機関とはどういうものかというのは,これからこの提言を受けて検討段階に入ると,こういう次第でございます。
 以上でございます。
【佐藤座長】  ありがとうございました。それでは,残るわずかな時間でございますけれども,きょうの御議論に基づきまして,今後のことでちょっと御相談申し上げたいと思います。
 1つは,前回もアナウンスいたしましたように,審議まとめの文案の仕上がりぐあいによっては,1回限りと。しかし,加筆修正その他,いろんな御意見がたくさん出た場合,再整理して,もう一回お読みいただく方がいいかなということでございましたが,きょうの御議論を伺っていますと,やはりもう一回やってもらった方がいいかなと思いますが,それでよろしゅうございますか。それでは,期日につきましては,また後で事務局で調整していただくといたしまして,もう一度,きょうの御議論を踏まえたまとめ案を御用意いただくということで,大変御苦労でございますけれども,事務局,よろしくお願いいたします。
 今回は,特にお願いいたしました,委員の先生方に事前に十分読み込むだけの余裕を持って送ってほしいとお願いいたしまして,その分,大変だったと思いますけれども,このたびもどうぞよろしくお願いいたします。二,三日前には受け取れるように,どうぞお願いいたします。
 一方,委員の先生方には幾つか,きょうの確認で,宿題と申しましょうか,お願いをしておかなくちゃならないと思います。それは,最初の方にありました,細かい文言,ワーディングだとか,「てにをは」だとかも含めて文章表現のことで,これはどなた様も,もう一回熟読していただきまして,修正とか加筆とかいうことがありましたら,あるはずですもんね,お寄せいただきたいと思います。
 それから,安部委員につきましては,先ほど,課題のところで,原案にないものの追加がございました。これにつきまして,簡単にペーパーにまとめてお出しいただければ有り難いと思います。
 同様に,滝川委員も,先ほど,立派な御意見をお読みいただきましたけれども,これもまた簡潔に取りまとめてお出しいただければと思います。
 それから,大野委員も,この文案ができる前とおっしゃいましたけれども,お出しいただきました。大変重要なことが含まれておりますが,このままでなくて,この際だから,もう少し文言を整理して検討してほしいという御希望でしたらば,これまた改めてお出しいただければ有り難いと思います。
 先ほど,事務局に二,三日前にとお願いした以上は,委員は更に事務局がちゃんとくみ取って,文案ができるだけの余裕を持って,今の宿題を果たしていただくことが必要だと思います。どうぞよろしくお願いいたします。そんなことでよろしゅうございますか。
 それでは,今後の予定につきまして何かございましたら,お願いします。
【君塚大学振興課課長補佐】  もう一度お集まりいただくということでございまして,事前に日程調整等をさせていただいておりましたところですが,8月6日の午前10時からということが,出席状況も含めて,開催したいと予定しております。正式にはまた改めて御連絡させていただきますが,一応そのような形で予定しておりまして,場所も省内が取れなくて,三田の共用会議所になってしまうかと思いますけれども,一応そのような形で予定していただいておいて,また改めて正式な御連絡をさせていただければと思います。
 以上でございます。
【佐藤座長】  ありがとうございました。8月6日ということになりますと,まずは,委員から,今の宿題の期日をお守りいただくということで,これよりも10日ぐらい手前にお出しいただけますか。8月6日よりも10日ぐらい手前に,今,お願いした委員の方々,お出しいただけますか。お願いいたします。その後,事務局で第2案をお出しいただくということです。ありがとうございました。2時間という枠の中で,大変充実した議論ができたと思っております。
 その他,今度,最後の最後でございますから,お願いしたこと以外でも,駄目押しの御意見ございましたら,どうぞ早めに事務局の方にお寄せいただきたいと思います。
 それでは,以上で第7回短期大学ワーキンググループを終了いたします。ありがとうございました。


―― 了 ――

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