大学のグローバル化に関するワーキング・グループ(第1回)における主な意見

【総論】
大学のグローバル化の意義、グローバル人材育成の在り方
<主なご意見>
○ アメリカやヨーロッパの大学に比べて日本の大学は閉鎖的。
○ 大学のグローバル化とは教育と研究の高度化であることを共有することが必要。
○ グローバル化した社会において、若者が自分のアイデンティティを保ちながら世界の人々とうまくやっていくことが、日本が生き残る条件。
○ グローバル人材とは、自分で考えて自分で行動し自分が決定できる人材。
○ 国外の問題を解決する能力を身につけさせると、グローバルに活躍したいという気持ちに結びつく。
○ 学生を中心に据え、教育という観点から大学の国際化を考えることも必要。
○ 産学官連携による大学の国際化、グローバル人材育成を進める方策の議論が必要。
○ サマープログラム(短期間のプログラム)は、世界の優秀な大学院生獲得のために機能するものであり、また、正規課程の留学が難しい場合にも有効であることから重要。
○ サマープログラムのようなプログラムを認証する外国と共通の枠組みがあれば、日本のプログラムを世界展開することが可能。

【大学の徹底したグローバル化の推進】
1.外国大学との質の保証を伴った国際的な教育連携の促進
・外国大学とのジョイント・ディグリー(複数大学の共同による学修プログラム修了者に対して授与される共同で単一の学位)等、国際的な教育連携を充実するための環境整備
・外国で学位を取得した学生の大学院への円滑な受入れの促進
・国境を越えた教育連携・学修の評価等を担う体制の整備
<主なご意見>
○ 大学の国際化を進めるにあたり、国の大きな役割の1つは質保証。
○ ジョイント・ディグリーの制度設計に当たっては、国内外の質保証制度や認証評価等の状況にも配慮することが必要。

2.大学の積極的な国際展開の促進
・海外拠点の活用など海外での教育活動の展開促進や海外キャンパス制度の積極的な活用促進のための方策
<主なご意見>
○ 日本の大学の国際展開の在り方として、大規模公開オンライン講座(MOOCs)の制度上の位置づけ、質保証等を議論することが必要。
○ 外国大学が日本に進出する、あるいは日本の大学が外国に進出する際、誰が教えるのかが問題になる。

3.大学の教育環境の国際化の推進
・外国人教員の増員や教員の流動性の向上のための環境整備
・英語による授業の増加、英語のみで学位のとれる学位課程の拡充に向けた取組の強化
<主なご意見>
○ GPAを進級時や卒業時に用いるなど、大学での勉強を必要とすることを構造面から考えなければならない。
○ 800以上ある日本の大学の全てをグローバル化対応させる必要があるのではなく、大学の機能分化、役割分担を行った上でそれぞれの機能、役割に沿ったグローバル化を推進し、その支援を行うことが必要。
○ グローバル化に熱心な大学に重点的に資源を投入するやり方が現実的。
○ 今求められているのは、プロジェクトや拠点作りのような個別の施策ではなく、インフラごと変えるような取組。
○ 特定の大学のみでなく、自助努力している大学に対する支援の制度を作っていきたい。
○ 全学的な国際化を進めるためには、学問分野によっては厚生労働省と文部科学省との連携が無ければ対応できない。
○ ガバナンス改革との連動が必要。
○ 学生や教員のモビリティを高めることにとどまらない、地球全体がネットワーキングされる「大学の国際化」の段階においては、海外の大学と同じ標準でありつつ日本の大学としての特色を打ち出すための制度改革が必要。

4.大学の国際発信の強化
・ウェブ等を活用した我が国の大学や高等教育制度に関する情報の国内外への積極的な公表と発信の取組の強化
 
5.大学の教育内容の国際化
<主なご意見>
○ 完璧な英語を目指す教育ではなく、「国際共通語としての英語」という割り切りが必要。
○ 日本語能力を高める教育は、英語力向上との相乗効果が望めるという点からも必要。
○ ドメスティックな学問分野の研究か、科学技術分野の研究かによって、英語を用いることの必需性が異なるはずであり、その点を認識する必要がある。
○ 自分で考え自分で決定する力を身につけさせるためには、学士課程での主体的な学びが不可欠。
○ グローバル人材の育成には、異分野の人が集まって一緒に問題を解決するような、分野横断的な教育が必要。
○ 国際的な問題を解決したいという志を持たせるためには、そのような志を有する海外学生と一緒に活動することが重要。

【留学生の双方向交流の促進】
6.日本人の海外留学促進のための具体的方策
・カリキュラム上実習や実験が多く留学期間の確保に工夫を要する分野における留学を可能とするための方策
・海外インターンシップなどギャップタームの活用を促進するための方策
<主なご意見>
○ 対等な高等教育・研究水準を有する国にある機関間での留学の増加に即した政策の在り方があるべき。
○ 日本への留学生をさらに第三国に留学させる仕組みなど、3カ国語を用いることが出来る人材を育成する方策を検討することが必要。
○ 研究や実験で多忙な理工系学生を海外に送り出せるシステムを大学の中に作ることが必要。

7.優秀な外国人留学生の受入れ促進のための具体的方策
・現地選抜や渡日前入学許可の促進など外国人留学生獲得のための仕組みづくり(海外拠点の整備・活用、予約権付奨学金支給の促進など)
・日本への留学にメリットを見いだせるようにするための環境整備(就職支援など)
<主なご意見>
○ 留学生の受入れ促進を検討する視点として、留学生への日本での就職支援や留学生の日本語能力強化があってもよい。

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