大学のグローバル化に関するワーキング・グループ(第8回) 議事録

1.日時

平成26年6月9日(月曜日)17時00分~19時00分

2.場所

文部科学省3F2特別会議室

3.議題

  1. 大学のグローバル化の在り方について
  2. その他

4.出席者

委員

(正委員)長尾ひろみ委員
(臨時委員)勝悦子委員
(専門委員)井上洋、市村泰男、内田勝一、大野高裕、島田精一、白石隆、二宮皓(主査)、堀井秀之、米沢彰純、吉川裕美子の各委員

文部科学省

吉田高等教育局長、德久総括審議官、常盤私学部長、中岡高等教育局審議官、佐野高等教育局審議官、浅田高等教育企画課長、里見大学振興課長、渡辺学生・留学生課長、今泉大学設置室長、田中高等教育政策室長、今井専門職大学院室長 他

5.議事録

【二宮主査】  所定の時刻になりましたので,第8回大学のグローバル化に関するワーキング・グループを開催させていただきたいと思います。委員の皆様におかれましては,多忙な中,御出席いただき,ありがとうございました。
まず,本日の議事進行について,説明をさせていただきたいと思います。本日の議題は,大学のグローバル化の在り方についてということで,具体的には,ジョイント・ディグリー(JD)のガイドライン案を御審議いただくことと,もう1つは留学生政策の在り方について審議をしていただきたいと思っておりますので,よろしくお願いいたします。
それではまず,事務局から配付資料について御説明をお願いいたします。
【有賀国際企画室長】  議事次第を御覧ください。こちらの4ポツ,配付資料の方に,本日の配付資料一覧がございます。資料1-1,資料1-2といたしまして,ジョイント・ディグリー等に関するガイドライン等の資料をお付けしてございます。それから,資料2-1,資料2-2といたしまして,海外留学の促進,留学生の受入れに関する資料をお付けしてございます。最後に,資料3といたしまして,次回の予定についてが添付をされております。
以上でございます。
【二宮主査】  資料の方はよろしゅうございますか。
では,最初の議事でございます。ジョイント・ディグリーのガイドライン(案)について,検討をお願いしたいと思います。
ジョイント・ディグリーにつきましては,これまで本ワーキング・グループにおいて,制度の基本的な設計,あるいは全体像について,ほぼ共通認識ができてきたのではないかと思っているところでございますが,これまでの議論を踏まえまして,本日は,JD制度の全体像と留意点について,そこにありますような案としてガイドラインの文書がまとめられております。これは事務局の方で用意したものでございますけれども,それについて,説明を頂き,審議していただいて,できましたら,これでいいかどうかを御判断いただきたいというふうに思うところでございますので,よろしくお願いいたします。
それでは,最初は説明の方からお願いしたいと思います。佐藤さん。
【佐藤国際企画室専門官】  それでは,資料1-1,「我が国の大学と外国の大学間におけるジョイント・ディグリー及びダブル・ディグリー等国際共同学位プログラム構築に関するガイドライン(案)」に基づきまして,御説明したいと思います。
国際共同学位につきましては,平成22年5月に,中央教育審議会の大学グローバル化検討ワーキング・グループにおきまして,一度,ガイドラインというものが策定されております。その中には,ダブル・ディグリーというのを中心にしたガイドラインになっているわけですけれども,ジョイント・ディグリーという言葉も定義付けされておりまして,基本的にダブル・ディグリーにそれぞれサーティフィケートを付けるというふうなやり方でもってジョイント・ディグリーとしてよいというふうにしていたところでございますが,今般のジョイント・ディグリーの制度化に向けまして,改めてこのたび,さきに策定しておりますガイドラインというものを廃止して,こちらの方で上書きするというふうな形をもちたいというふうに考えております。ちなみにクレジットとしましては,中央教育審議会大学分科会の本ワーキング・グループのガイドラインというふうな形を検討しているところです。
1枚おめくりいただきますと,目次がございます。まずは,今般の総論,それから制度の概要に関するものを第二章で述べておりまして,第三章において,実際のジョイント・ディグリープログラムの設置に当たっての留意点というところを事細かく説明しております。第四章において,さきに策定しているガイドラインから,従前,引き続き使える部分につきまして入れたところを,ダブル・ディグリー等の留意点というふうな形にしているところでございます。
1ページ目を御覧ください。目的のところになりますが,本ガイドラインは,「これからの大学教育等の在り方について」という教育再生実行会議の第三次提言等を踏まえまして,大学教育のグローバル化に関する課題として,ダブル・ディグリーに続いて,今後,我が国の大学が外国の大学と共同で単一の学位記を授与するジョイント・ディグリー等を促進するとともに,同時に学位及びプログラムの質を保証し,ひいては国内外の高等教育の質の保証及び更なる向上につながることを期待して,策定するものでございます。
このガイドラインにつきましては,法的な拘束力を有するものではありませんが,今般のJDの制度施行に当たりまして,実態のJDプログラム等の設計に当たってのよりどころとなる留意点を示すとともに,設置審査の観点を検討する際の基礎的資料となることから,大学関係者におかれましては,本ガイドラインを十分に踏まえてジョイント・ディグリープログラム等の設計に当たることが期待されるというふうに位置付けております。
2番の基本的な考え方ですが,異なる国に所在する大学同士がどのようにプログラムを形成すべきかについては国際的にも明確かつ詳細な合意は存在しておりませんが,7行目からのところですけれども,ジョイント・ディグリーやダブル・ディグリー等,組織的・継続的な教育連携関係を構築することは,その活用により,我が国の大学がその教育の幅を広げ学生に異文化を経験させることができる等の効果を得るのみならず,世界における地域連携,特にアジア圏における教育連携は,地理的近接性の利点も生かした高等教育交流の拡大のみならず,共同の教育プログラムへの取組による互恵的な関係を構築することを可能とし,地域の平和的繁栄のためにも極めて有効と考えられるというふうに位置付けています。
特にジョイント・ディグリーにつきましては,1つの大学では提供できない高度なプログラムを他大学の教育資源を活用することにより提供可能にするものであり,大学が単独に学位を授与するという段階から一歩踏み出し,国境を越えた集合体として連携する大学が共同で学位を授与するという,グローバルな時代背景に適合した取組と言うこともできます。
22行目ですけれども,大学には,JD又はDDのいずれを実施するに当たっては,国際的評価や通用性など質の保証を明確に意識し,どちらを実施するか判断することが期待されるとともに,また,本ガイドラインの策定をもって外国の学位制度に何ら影響を及ぼすものではないということも,こちらで記させていただいております。
また,関係法令に抵触することのないよう留意することは当然に求められるというふうなことにしておりますが,これは外国に対する我が国の大学及び学位制度に対する信頼にも関わることであるということで,十分に留意していただきたいというふうにしているところです。
3番の意義ですけれども,JD及びDDの意義については大学の捉え方によって異なる部分もありますが,JDを実現するに当たっては,大学が,1つの大学では提供できない,より高度で革新的な,あるいはより魅力的なプログラムを行うことにより,学生に質や付加価値の高い学修機会を与え,各ステークホルダーに意欲ある優秀な人材獲得を可能とするというふうにした上で,各ステークホルダーにとっての意義をここで丁寧に記させていただいております。
学生にとっての意義でございますが,1つの大学では得られない高度で価値の高い学修機会の獲得,複数の国の高等教育機関等が共同で提供した教育プログラムを学修したことによる優位性の証明,労働市場や進学など国際的に評価されるキャリア形成,そして,より短い期間,より少ない経済的負担で複数の大学からの学位が取得可能であること,としております。
大学にとっての意義でございますが,海外におけるプレゼンスの強化・向上,その質を保証する学位留学プログラムとしての位置付けが可能となること,外国の大学との国際教育連携を通じた教育内容の充実による国際競争力や魅力の向上,優秀な学生の計画的受入れ・派遣を通じた国際的な視野を持つ人材育成,外国大学との連携を深めることによる教員の意識改革や連携の強化をはじめとした学内改革の契機としております。
国にとっての意義もございまして,高等教育における学びの機会を広げ,我が国の高等教育の外国展開等,国際交流の発展を促進,我が国の高等教育の国際通用性の向上に寄与,質保証システムの国際化の契機,組織的・計画的人材交流による人的安全保障の戦略的強化としております。
また,社会,これは企業や地域等を含みますけれども,社会にとっての意義としまして,必要とするグローバル人材の育成,外国大学の学位を併せ持つ学生として,その能力の判定が容易になること,また,修了生が持つ我が国の大学と外国の大学を通じた人的ネットワークの獲得,それから,JD・DDの促進により大学のグルーピングが進み,ひいては国際展開に注力する大学が明確になることで,大学の特色を把握した上での採用活動が可能,また,我が国の大学だけでは得難い,外国大学での教育を通じた生活やインターンシップの経験を企業や地域の国際活動に即戦力として活用可能,というふうにさせていただいております。
4番の定義でございますが,4ページ目の一番上ですけれども,ここに示す定義については,我が国の法令の定めるところにおいて,日本の大学と外国の大学との間で実施されるものに限定すると。したがって,外国の大学同士で行うJD等の定義については,ここでは踏み込まないというふうにさせていただいております。
その上で,ジョイント・ディグリーですけれども,連携する大学間で開設された単一の共同の教育プログラムを学生が修了した際に当該連携する複数の大学が共同で単一の学位を授与するものというふうにしておりまして,今般の大学設置基準等の改正により可能となるJDにつきましては,所定のプログラムの修了者に対し,連携する外国の大学との連名による学位の授与を認めることとするもの,というふうにさせていただいております。
一方で,ダブル・ディグリーにつきましては,複数の連携する大学間において,各大学が開設した同じ学位レベルの教育プログラムを学生が修了し,その卒業要件を満たした際に,各大学がそれぞれ当該学生に対し学位を授与するものである,というふうにさせていただいております。
ページをおめくりいただきまして,第二章で制度の概要について説明しております。ここではかなり事細かに今回の制度改正に関する考え方というところを御紹介しておりますが,差しつまんで御説明したいと思います。
12行目を御覧ください。今回の国際連携教育課程制度に基づくJD制度においては,法の属地主義に基づき,我が国の法の支配が及ばないような外国の大学に関して我が国の学校教育法等に基づいた取扱いを行うことは適切ではないため,我が国の法令上の整理としましては,学校教育法等に基づいて,我が国の大学が授与する学位として整理される。そして,その学位記に連携する外国の大学が連名することができることとしている,というふうなものでございます。
質の保証に関しましては,連携大学間で協定を締結することを必須とし,更に我が国の大学に国際連携教育課程を実施するための国際連携学科若しくは専攻の設置を義務付けることから,その大学間協定の内容及び質保証の仕組み等を当該国際連携学科等の設置認可審査において併せて審査することとする,というふうにさせていただいております。
7ページ目を御覧ください。制度の仕組みについてでございます。10行目のところからになりますけれども,ジョイント・ディグリーは,DDとの比較において,1つの教育課程を修了し1つの学位を取得するものであるため,DDに比べて時間的にも金銭的にも負担が少なくなるものというふうに位置付けた上で,そのJDの学位とは,法の属地主義から我が国の法の支配が及ばない外国の大学に関して我が国の学校教育法等に基づいた学位の授与権を付与することは適切ではないため,今回の制度設計においても,学校教育法等に基づきまして我が国の大学から我が国の学位を授与されるものとして,あくまでもそういう形で整理させていただくというふうにしているところでございます。
8ページ目の18行目を御覧ください。外国の大学が授与する学位の分野につきましては,学位の国際的通用性に鑑み,一定の共通性は認められると考えられるものの,各国の状況は様々であり,当該外国の学位の分野が我が国の学位の分野と完全に整合するものとは限らない状況にあることを踏まえ,国際連携教育課程で行われる教育につきましては,既存の設置認可を受けた我が国の学位の分野に収まらない可能性があるとして,学位の分野の変更に当たるものとして整理させていただいております。これによって,全て設置認可審査の対象とするというふうなことでございます。
ただしですけれども,32行目からですが,専門職大学院につきましては,連携外国大学が所属する当該外国において我が国の専門職大学院制度と同様の仕組みがあるとは限らない。したがって,同一学位間でのJD及びこれを実現するための国際連携教育課程を設置することの例外として,大学院と専門職大学院につきましては同等レベルの学位に係る教育課程との連携を認める取扱いというふうにさせていただいております。例えばですけれども,我が国の修士(専門職)や教職修士(専門職)につきましては,連携先の修士(専門職)又は教職修士(専門職)相当の学位はもとより,当該学位と同等レベルの修士とのJDを可能とする,というふうなものでございます。同様に,我が国の修士と連携先の修士(専門職)とのJDを可能とさせていただいております。なお,これらの場合であっても,我が国の大学が授与する学位の種類は当該大学に認められたものであることから,この点について連携外国大学から事前に同意を得ておく必要があるというふうに,留意事項として説明させていただいています。また,当該外国大学の学位に我が国の学位の種類のいずれにも該当しないようなものが存在しており,そのようなものと我が国の大学とがJDを行おうとすることが仮にございましたら,それは事前に文部科学省に是非相談していただきたいというふうに記しております。
続きまして,国際連携学科等の必置についてです。9ページ25行目からになりますが,JDの実施に当たりましては,その専門性(専攻)に応じて,既存の学部又は研究科若しくは短期大学を母体として,その教育資源を活用する形で新たな国際連携学科若しくは国際連携専攻を設置していただくこととなります。その際,国際連携学科等の収容定員は,母体となる学部等の収容定員の2割を上限とし,その範囲内において定めていただくこととなります。そして,教育研究上支障が生じないことを条件として,母体となる学部等の教員,施設・設備等の活用及び共用を認めることとし,その際,母体となる学部等の教員は国際連携学科の教員を兼ねることができる旨の特例規定を設けるとともに,施設・設備につきましても共有することができる旨の特例規定を設けることとしております。
10ページ目の国際連携教育課程についてですが,JDを実施するためのカリキュラムとなる教育課程の編成に際しましては,大学設置基準第19条第1項等において定める必要な授業科目を自ら開設することの例外としまして,特例を設けております。一方で,国際連携教育課程を編成する我が国の大学が責任を持って体系的な教育課程を編成することは必須であり,教育課程の編成の一部又は全部について連携する外国の大学に委ねたままとすることはできず,当該教育課程の編成に当たっては,連携外国大学と必ず協議をして大学間協定を締結することとし,そのことは国際連携教育課程を編成するための告示において協議すべき事項として規定してまいりたいというふうに考えております。
10ページ目の35行目を御覧ください。単位互換についてですが,単位互換が自大学で必要な授業科目を設定した上で事後的・個別的に学生の学修成果に応じて自大学のものとみなすものであることに対して,今回の特例というのは,自ら必要な授業科目を開設することの特例として,事前かつ組織的に外国の大学の授業科目を自大学のものとみなすことができる,というふうなものでございます。この場合の連携外国大学において履修する単位の自大学への単位の換算につきましては,外国の大学の1単位の標準的な学修時間を我が国の基準に当てはめていただくことになります。また,国内の共同教育課程制度,いわゆる国内JD制度と同様に,共同で教育課程を編成する各大学において修得すべき最低単位数を定めることとしています。具体的には,表1のに定めておりますけれども,学士については,一般のもの,医学・歯学,薬学,獣医学について,短期大学士,修士・博士,そして専門職学位について,それぞれ卒業要件単位,それからJDの最低修得単位数,また共同実施科目として置ける単位数について,一覧で定めているところです。
その共同実施科目についてですけれども,11ページの12行目からになりますが,新たに共同実施科目の概念,すなわち我が国の大学と外国の大学とが共同で授業科目を計画・設計し,共同で実施・管理し,成績管理等の質保証を行った上で単位授与を行うものというふうにしておりますけれども,その共同実施科目を導入し,我が国の大学又は連携外国大学の単位数に共同実施科目の履修により修得した単位を充てることができる仕組みを設けることとしております。ちなみに,この共同実施科目につきましては,我が国の大学及び外国の大学において二重には算定できないこととさせていただいております。
(4)の修了要件につきましては,学校教育法等に定める修業年限や修得すべき単位数等の修了要件を満たすほか,併せて連携外国大学における修了要件をも満たす必要がある,というふうにしております。
また,(5)の学生の身分につきましては,二重学籍となる。その学生の厚生補導や授業料については,国際連携教育課程を編成する各大学の協議により定めることとなり,告示で定める大学間協定で締結すべき事項の1つとさせていただいているところでございます。
13ページ目を御覧ください。(6)入学者受入れ方針,入学資格及び入学者選抜ですけれども,9行目からですが,JDの入試日程や入試科目等の入学者選抜の実施方法などの取扱いは,国際連携教育課程を編成する各大学の協議により定めることとし,また,我が国の「大学入学者選抜実施要綱」については,新たにJDに対応する規定を設ける予定でございます。
一方で,28行目からになりますが,これは教員についてですけれども,母体となる学部等の教員が国際連携学科等の教員を兼ねることを認めることとしていることにつきましては,国際連携教育課程の編成・実施のためには,外国の大学と調整等を専門で行う教員が必要として,国際連携学科ごとに他学科等と兼ねることを認めない1名の専任教員を追加していただくことになります。この専任教員につきましては,収容定員の規模に関わらず,国際連携教育課程ごとに1名というふうな扱いにしたいというふうに考えておるところでございます。
14ページ目の(9)外国大学との協議についてですけれども,外国の大学と協議する事項については,国内の共同教育課程制度に準じまして,マル1からマル8まで告示において定める予定でございます。具体的には,教育課程の編成に関する事項,教育組織の編成に関する事項,学位の審査及び授与に関する事項等,こちらに記載のとおりです。
続きまして,15ページですけれども,設置認可の考え方の中で,異分野間JDについて,こちらの方で記させていただいています。2行目からになりますが,我が国の大学が出す学位の主となる種類及び分野の変更はしないものであれば,その範囲内において一部の授業科目について異なる学位の分野の授業科目を受講することとなることはあり得るというふうにさせていただいております。したがって,例えば日本側が工学部で相手側が医学部である場合に,修士(工学)という学位の分野の変更は認められませんが,工学カリキュラムの中に医学のカリキュラムが入ってきて医工連携的なカリキュラムとするというところは構わないというふうな位置付けにさせていただいているところでございます。
また,17行目ですけれども,機動的な設置認可を行うために,大学設置・学校法人審議会大学設置分科会に特別な審査機関を設け,適切な設置認可の方法等について審議することとしております。
(11)からは,今回,JD制度の特例の対象となる学校種ということですけれども,最初の,22行目からになりますが,実施することができる学校種については,大学の学部及び研究科,短期大学の学科並びに専門職大学院の研究科とさせていただいております。ただし,法科大学院及び通信教育を除くとします。法曹養成のための教育を行うことを目的とする法科大学院については,現在,政府において法科大学院を中核的な教育機関とする法曹養成全体の在り方に関し抜本的な見直しの議論が進められていることを踏まえて慎重に検討する必要があるため,今回の導入については見送ることといたします。また,通信教育につきましては,国内の共同教育課程制度においても通学制での活用状況等を見極めて通信教育での導入の可否について慎重に検討すべきとして導入を見送っている状況であることから,これも対象外とすることとしております。さらに,大学の当該学問に係る正規の課程の修了のみが国家試験受験資格取得の要件となっている分野,具体的には,医師,歯科医師,薬剤師,獣医師の養成に係る分野ということでございますが,これらにつきましては,それぞれの分野における専門人材の養成の在り方を踏まえて慎重に検討する必要があり,また国家資格の取得と教育課程が密接不可分であることから,今後,他分野で創設されるJDの運用状況も踏まえ検討を行うことができるように,今回の設置基準に本則において制度的な措置を行う一方で,これら分野であって国家試験受験資格の取得要件になってくる課程につきましては,附則において,当分の間,制度の対象から外すということをしたいというふうに考えております。一方で,教職大学院につきましては,教員養成を目的とするものの,グローバル化に対応した教員の養成が明確かつ緊急に求められており,また教員免許資格との調整も可能であることから,必要な規定を整備し,JDを可能としているところでございます。また,国内JD,国内の共同教育課程を実施する大学につきましては,特例の上に特例を重ねることになるため,今回の大学設置基準等の改正においては認めないというふうなことにしております。一方,株式会社立大学につきましては,法体系及び大学設置基準等において国公私立の大学と何ら変わらない扱いをしているというふうなことがございますので,今回のJDの導入においても対象とするというふうに位置付けております。なお,高等専門学校や大学の別科又は専攻科などの非学位の教育課程につきましては,もとより学位に関わらないことでありますので,今回のJDの対象とはならず,JDとは別に議論を行う必要があるというふうに位置付けているところでございます。
以上が第二章で,制度の設計について事細かに説明させていただいている部分になります。
続きまして,第三章ですけれども,こちらにつきましては,実際のプログラム設置に当たっての留意点というふうに位置付けております。12行目のところに書いておりますけれども,実際に行われる協議の実態というのは教育プログラムとして連携外国大学との間で進んでいくことが想定されることから,ここでは「JDプログラム」という表記を用いて御説明しております。
1番の基本的事項としましては,我が国の1つの大学又は外国の1つの大学だけでは提供できない学術プログラムを,我が国の大学及び外国の大学が連携・協力し,双方の教育資源を相互に活用することにより,提供可能にするものであること。連携する我が国の大学と外国の大学とが共同して開発し,実施するものであること。どのように編成するかについては,我が国の制度の範囲内で規定するもののほか,連携外国大学及び相手国の制度によって多様な形態・要件を要し得ること,というふうなことを基本的事項として入れさせていただいております。
以下,ざっとですけれども御説明しますと,プログラムの基本設計につきましては,学位のレベル,対象学問分野,名称については,以下のような点について,誤解を与えないよう明確なものとすることとして,その名称,提供する学位レベル,また授与する学位の専攻分野について,明確かつ適切なものとなっていること。
学位記につきましては,双方の大学内の意志決定及び学内規則の整備が行われていること。また,JDは一枚の学位記を共同で発行するものであることから,学生に実際に学位記を手交するのがどちらの大学となるか等,事前に一定のルールを定めておくべきこと。そして,その学位記に使用する言語ですけれども,あくまでも日本の学位となりますので,日本語での表記は必須とした上で,日本語のみとするか,若しくは連携外国大学が所在する国の公用語を併記するか,又は国際的通用性のある第三国の言語を併記するか等,必要に応じて多言語併記も認めるというふうにしております。
連携する外国の大学につきましては,その所属する国において,他国の大学とのJDの実施を公的に認める仕組みがあるということ。それから,大学相当の高等教育機関であって,当該国において必要となる公的な質保証を受けている機関であること。また,当該国のJD制度の中でJDを実施することを認められていること。そして,開設するJDとどうレベルの学位について有効な学位授与権を有し,かつそのレベルの学位授与の実績があること,というふうさせていただいております。
設置認可のポイントとなる協定につきましては,安定的かつ継続的な教育連携を確保するため,あらかじめ責任ある意思決定権者間による協定等により必要な事項を取り決めていることとして,マル1の中でかなり具体的に記させていただいています。例示の部分になりますが,大学ごとのJDプログラムの対象となる学生数,プログラムの責任の所在,入学者・進学者選抜方法,教員の所属及び配置,学生の学籍上の身分取扱い及び福利厚生,教育研究の内容・方法,業務運営,経費の配分,学生に対する責任,授業料等の取扱い,知的財産権の扱い,プログラム終了若しくは廃止時の手続等について,というふうに例示させていただいているところです。また,この協定等につきましては,どのような連携活動を展開しようとしているのかについて,その意思について十分に相手と確認していること。マル3としまして,双方の教育資源の実際的活用が十分に確保されたプログラムとなっていること。いわゆる相手の大学若しくは自分の大学だけでほとんどプログラムが構成されるということがないこと。それから,マル4としましては,権限を有する者あるいは当該権限を有する者から必要な権限を委ねられている者により構成される協議会等を設けて,定期的に開催していること,というふうにさせていただいております。
プログラム対象者の選定,選抜につきましては,入学者若しくは進学者の選抜方法については大学間協定において決定しているのは当然ですけれども,基本的には我が国の大学と連携外国大学が双方受け入れる学生について合意して受け入れるべきであることから,共同で実施することが望ましいとはしつつも,それぞれ別途実施する場合等,いろいろあるかと思いますので,いずれの場合にせよ,選抜から承認まで一連の手続について事前に連携外国大学と詳細を取り決めていること,というふうなのをマル1で記しております。また,マル2としまして,十分な情報を事前に周知し,疑義の生じないように配慮していること。マル3としましては,それぞれの国の学校教育制度の中における入学資格の違いに留意し,当該制度の範囲内で適切に対処すること,とさせていただいております。
学籍につきましては,二重学籍になるわけですけれども,学生に対する責任等につき,それぞれの大学において適切に学籍管理がなされるなど,遺漏がないよう適切に処理されていること。
また,規模としましては,運営可能であり,かつ適切な範囲のものであること。既存の教育研究体制に与える影響等を考慮しているかというところも含む,というふうにしております。
大きな3番としまして,カリキュラムの設計・学位審査等につきましてですけれども,人材像として,育成すべき人材像が明確となっており,相手と十分に共有されていること。
使用言語につきましては,共通言語による課程や授業を提供するなどの工夫が講じられているとともに,学生の円滑な学習が確保されるよう,言語教育課程の充実等,十分な支援体制が構築されていること,としております。
また,教育の形態ですけれども,その形態につきまして,我が国及び相手国の法令に基づき,あらかじめ連携外国大学と協議して取り決めておくこと。具体的には,双方の大学においてそれぞれ開設する科目を履修するというのは基本的なパターンだと思いますけれども,オンラインで一部の科目を留学を伴わずに履修するというのもあるでしょうし,また,連携外国大学の教員が一定期間こちら側に滞在して担当する授業の一部を履修するというふうなことも考えられるかと思います。
卒業・修了要件につきましては,それぞれの学位プログラムを卒業又は修了の要件を満たすとともにJDプログラムとしての要件を満たす必要があることとしまして,単位・修業年限,これは当たり前の話ですが,修得すべき単位数。それから,論文につきましては,論文指導は共同で行うことということを想定しているところでございます。
続きまして,21ページの単位の修得のところですけれども,双方の学位取得に向けたタイムスケジュール,履修の順序やアカデミックカレンダーの相違等について,十分確認していること。また,当該連携外国大学の1単位当たりの標準的な学修時間を我が国の1単位当たりの標準的な学修時間,すなわち45時間ということになりますが,そこに当てはめて行うこと,というふうにさせていただいております。
共同実施科目につきましてですが,マル1としまして,どちらかが既に開設・実施している授業科目を自らの授業科目とみなすような仕組みにはならないように留意することというふうに規定しておりまして,マル2としまして,事前に関係する大学間で,教育内容・方法,使用教材,成績評価方法,実施に要する経費負担等について合意するとともに,適切に役割分担をしていることとしまして,その共同実施科目を作るに当たっての取組例として,授業形式(講義/演習),また,シラバスや単位数を共同で決定しているか,成績判定のベースとなる評価のガイドライン(絶対評価/相対評価等),それからチーム・ティーチング等,こちらに例示させていただいているところでございます。
成績評価につきましては,国際通用性の観点から,達成すべき能力基準を明確にするとともに,透明性・客観性の高い,厳格な成績評価を行えるよう留意していること。また,事前に双方の大学関係者間で協議し,合意していること,というふうにさせていただいております。
学位審査につきましては,21ページの一番下になりますが,共同で学位を審査する際の基準を設ける等により,適切な学位審査が確保されているということ。
また,指導体制につきましては,マル1としまして,学位に責任を持つ全ての大学の教員から学生が研究指導を受けることができるように,研究指導教員については,それぞれの学生について学位に責任を持つ全ての大学から教員を主担当又は副担当として定めるなど,適切な措置をしていること。また,我が国の大学の教員の指導をオンラインで受けられる等の工夫を講じていること,というふうにしております。
教員につきましては,繰り返しになりますが,専任教員が基準数以上配置されていること。その場合においては,母体とする学部等の他の学科等の教員が国際連携学科等の教員を兼ねることができるとする一方で,専任教員のうち1名については兼ねることができないとしまして,自らの教育研究活動の遂行のほか,連携外国大学との調整等を専属に行うというふうにさせていただいております。また,マル2としまして,必ずしも相手国の教員につきましてはどちらかの大学に兼任することを求めるものではないと。したがって,今回のJDプログラムの実施に当たって,法令上,我が国の大学との雇用関係を持つことは,相手外国の教員につきましては求めないというふうにしております。
校地・校舎・施設・設備等につきましても,共用することは可能であるが,JDプログラムの円滑な実施に支障が生じないことは当然とともに,既存の学科等の教育研究活動に支障を生じさせるものではないこと,というふうにしております。
また,学生の移動についてですけれども,JDというものは原則として連携する双方の大学に学生が一定期間滞在し教育機会を得ることを伴うものであるべきと。したがって,留学を伴わないものは,今回,我々がここで議論しているJDにはそぐわないというふうな考え方をベースに置きまして,マル1としまして,それぞれの大学において一定期間まとめて授業を受けることができるようにしていること。また,マル2としましては,移動することに伴う学生の負担を可能な限り軽減する配慮があるか。そして,マル3として,授業科目の履修や就職活動を含めた授業外の各種活動に過度な負担が生じさせないような配慮があるか。参加する学生について,偏りを避け,バランスの取れたモビリティーが可能な限り確保されているか,とさせていただいております。
4番のその他というところになりますが,学費・奨学金等としまして,価値の対価として過度な授業料等の負担がないよう,学生の便益に配慮がなされていること。また,双方の大学の学生間で公平が図られるよう,留意していること。経済的負担につきまして,相応に配慮されていること。学生の福利厚生について適切な配慮がなされていること,としております。
セーフティーネットということですけれども,仮に何らかの事情で学生が履修を断念する,若しくはプログラムが廃止されてしまうというふうなときには,当該大学の責任の下に,他学科や他専攻への転籍や既修得単位の読替え,又は補完的に授業科目を提供することができるようにしておくなど,あらかじめ必要な対処方針や方策が定められていることとさせていただいております。
評価・質保証につきましては,1つの大学で授与される1つの学位と比較して付加される価値というのを明確にして,当該プログラムを修了した学生が修得する能力等を学生のみならず社会に対して説明する責任を持つというふうなこととして,マル1としまして,関連情報を学生及び社会に対し公表するとともに,また外国に対しても情報を発信すべきこと。常設の運営委員会等で随時,連携外国大学と協議を行うこととしていること。また,その連携外国大学とともに,学内に常設の委員会等を設置して,委員には,当該学問分野あるいは隣接・関連する分野において博士課程を持ち,博士学位授与の実績のある我が国の大学の教授を含めていること。マル3としまして,認証評価の際の自己点検評価にJDプログラムについて盛り込んでいること。また,連携外国大学の公的質保証が確実になされているということを重ねて確認するという意味で,当該連携外国大学がどのような分野別質保証や職業資格団体による認証等を受けているかも確認すべきであることを記しております。
※のところになりますが,積極的に取り組む我が国の大学が,主体的に相互に情報を共有し,ピア・レビュー等による質保証を行うことが,我が国の高等教育機関が実施するJDの質保証を維持し,また外国からも信頼を勝ち得る意味で極めて重要であり,強く期待されるというふうにしております。特に,質保証に関する有識者,企業,研究所,外国の大学等の関係者が参加するレビューであることが望ましいとさせていただいております。
最後に,社会における認知・評価としまして,特に学生本位の視点に立って,JDが就職先となる企業等社会的に認知され,かつ評価されることは極めて重要との観点から,JDプログラムの有為性等について社会に対し広く広報・説明し周知を図っていること,としております。
最後になりますが,第四章でダブル・ディグリー等共同教育プログラムにつきまして留意事項を記しております。ここにつきましては,前段の部分だけ説明させていただきますと,これまで,最初に申し上げたように,平成22年5月において一定のガイドラインというのを策定されてきたところですけれども,今般の新たなJDの制度改正に合わせまして当該ガイドラインを廃止し,このJDのガイドラインの第四章の中にダブル・ディグリー等共同教育プログラムに関することとして,使える部分につきまして,引き続き参照すべき部分について,改めて本章に記載するものでございます。
なお,DDにつきましては従前どおり設置認可を要さないこととなりますが,大学においては,DDの実施が当該大学単独にとどまらず,我が国の大学の学位全般に係る信頼性に影響を及ぼすものであることを十分に意識した上で,その教育の質の維持・向上を図るべきであることは言をまたないとしまして,本ガイドラインを参考とするよう求めるというふうにして,結んでおります。
最後,資料の方だけ簡単に,ざっと説明させていただきます。29ページ目以降になりますが,これまで使用してきております国際連携教育課程(JD)制度についての図解1,図解2としまして想定運用パターンが両面になっております。また,図解3としまして,JDにおいて取得すべき単位について(共同実施科目取扱い)の一覧表。そして,図解4としまして,複数大学によるJDの設置のパターン。かなり多様なパターンが考えられますので,できる場合,できない場合というのを,できない場合については(不可)というふうに記させていただいております。以下,図解5の2枚は,学位記のイメージということで,日本語と外国語の併記のパターンを2例記させていただいております。また,参考資料2としましては諸外国のJDに関する扱いについての調査結果,参考資料3としましてはジョイント・ディグリーに関する各種提言,参考資料4としまして本ワーキング・グループにおける審議経過,最後に今回のワーキング・グループの委員名簿というふうにさせていただいているところでございます。
すみません,長くなりましたが,以上でございます。
【二宮主査】  ありがとうございました。
続きまして,北岡大学振興課課長補佐に,資料1-2について,御説明を頂きたいと思います。
【北岡大学振興課課長補佐】  では,続きまして,資料1-2について,御説明申し上げます。
前回第7回のワーキング・グループにおきまして,委員の先生方から,国際連携教育課程におけるメディアを利用した教育の取扱いについて,御意見がございました。これについて,事務局の方で整理いたしましたので,その御説明をさせていただきます。
まず,1番にございますように,現状,メディアを利用した教育に関する一般的な取扱いはどうなっているかというところを御説明いたします。大学は学生に対して,一定の要件を満たした場合,テレビ会議方式等によるメディアを用いた授業や,インターネット配信方式等による授業,このような多様なメディアを高度に利用した授業を履修させることができるということが,大学設置基準及びそれに基づく告示において定められております。また,大学は今述べました多様なメディアを高度に利用した授業を外国において履修させることもできるということが,大学設置基準において定められております。これらの方式を用いた授業に関しましては,その卒業の要件について,修得すべき単位数が124単位である学部の場合は60単位を上限とする,この旨も大学設置基準で定められております。
では,今回,大学設置基準の改正によって設けようとしております国際連携教育課程においてはどのように扱うのかというところについてでございますが,まず,国際連携教育課程においてメディアを利用した教育の全てを認めないということは要しないということで,前回もよろしかったのではないかと考えております。というのも,メディアを利用した教育というものが効果的である場合というものは,各種授業科目等々によってはあり得るということは考えられます。しかしながら,2のマル1,マル2にございますように,例えば,日本人の学生が連携外国大学の提供する授業科目の全てを日本で受講する,あるいは外国人の学生が日本の大学の提供する授業科目の全てを連携外国大学で受講する,このようなケースが運用上なされるということは,想定されるところでございます。ただ,マル2に書いているような外国人の学生が日本の大学の提供する授業の全てを連携外国大学でメディアによって受講するということは,60単位の制限がございますので厳密に言うと全てということにはなりませんが,最低修得単位の62単位のうち60単位までが外国で受講できるというふうになると,事実上,ほぼ全て受講できるというような運用がなされ得るということになっております。
ここで,今回の国際連携教育課程により行おうとしておるジョイント・ディグリー制度の趣旨に立ち返りますと,先ほど佐藤専門官からも説明がございましたように,我が国の大学と外国の大学の連携によって,学生に対して我が国の大学だけでは実現できない学修機会,それは,外国の大学における学修であるとか,あるいは外国人学生との交流機会というものになってこようかと思いますが,そのようなものを提供するというような趣旨があろうかと考えてございます。この点に鑑みれば,国際連携教育課程におけるメディアを利用した教育については,一定の制限を設けることというのも検討すべきではないか。
ここまでが,前回の先生方からの御指摘であったところというふうに理解しております。
ページをおめくりいただきまして,2ページ目を御覧ください。事務局の方で,考えられる対応(案)ということで,二通りの対応(案)をお示ししております。
マル1につきましては,単位数等について特段の制限は設けない。つまり,日本の大学が提供する授業については60単位を上限とするものの,それ以上の特段の対応は今回設けないというものを考えてございます。
マル2の案につきましては,単位数等について一定の制限を設けるというものです。アにあります,日本の大学が提供する授業については60単位を上限とするということ,これは現行の大学設置基準等により規定されている範囲内のことでございますので,大学設置基準等において特段の対応というものは要しませんが,先ほど佐藤専門官から説明ございましたとおり,ガイドラインにおいて今回のジョイント・ディグリー制度の趣旨を踏まえた対応を明記することは,最低限必要になってまいります。「また」の段落で書いてございますように,我が国の大学で最低限履修すべき62単位のうち60単位までについては外国において履修することが可能となるということでございますが,こちらも,先ほどのガイドラインにもございましたように,実施する大学において,その趣旨を十分留意した上でカリキュラムを編成する。つまり,学生の移動というものをきちんと考慮したカリキュラムを編成いただくということを明記する,ということを考えてございます。
一方で,イの部分でございますが,連携外国大学が提供する授業に関しましては,連携外国大学における最低修得単位数,一般的な学部の場合は,今,31単位というふうにしておりますが,これに達するまではメディアを利用した授業により修得した単位を算入することはできないというふうな制限を設けることを一つの案として考えてございます。この制限を設ける場合,大学設置基準等において,それに対応する条項を一つ設けることが必要になると考えております。
こちらからの説明は,以上でございます。
【二宮主査】  ありがとうございました。
それでは,意見交換に入りたいと思いますが,その意見交換のやり方ですけれども,本日は少し固めていただきたいということもございますので,確認もしながら行うためには章ごとに意見を頂戴しながら審議を深めていただきたいと思っておりますが,それでよろしゅうございますか。
それでは,まず第一章について,総論でございますが,御覧いただきながら,御意見,御質問がございましたら,よろしくお願いいたします。確認でも結構でございますので。
それでは,何回も議論をしていただいていますけれども,総論,目的,考え方,意義,特にステークホルダーにとっての意義の具体的な定義の仕方,それから定義については,この考え方と文言でよろしゅうございますか。
どうぞ。
【勝委員】  確認なのですけれど,この前もちょっと申し上げたのかもしれないのですが,2ページ目の22行目ですけれども,なお書きで「大学には,JD又はDDのいずれかを実施するに当たっては」となっているのですが,これは,二者択一ではないので両方実施する大学もあるということが想定されるかと思いますので,「のいずれか」というのは取ってもよろしいのかなと思います。「JD又はDDを実施するに当たっては,国際的評価の通用性など質の保証を明確に意識して,判断することが期待される」という形の方が分かりやすいかなと思いました。
【二宮主査】  よろしいですか。
【佐藤国際企画室専門官】  では,そのように,「のいずれか」の部分を削除させていただくような形で対応させていただきたいと思います。
【二宮主査】  はい。
今のは,1研究科で定員を2割まで出してジョイント・ディグリーをやりながら,かつジョイント・ディグリーの連携する共同教育課程の中で更にダブル・ディグリーをということは,あり得ないと思うのですね。もとになる研究科が,ダブル・ディグリーでいくのか,ジョイント・ディグリーでいくのかをよく相手大学とも協議しながら判断していただいて,ジョイント・ディグリーのためなら2割の定員の範囲内でこうやっていくという制度を構築していただくと。ダブル・ディグリーであれば,既存のままで,連携教育課程は設けなくてということでよろしいのでしょうか,確認ですけれども。
【勝委員】  今の解釈ですと,複数のプログラムを行うことができないことになってしまいますので。ここで言っているのは,「大学には」というふうになっているので,1つの大学でジョイントをやる研究科もあれば,ダブル・ディグリーを行う学部もあるかもしれないということで,そういったことを申し上げたのですが。
【二宮主査】  ということでございますので,よろしいですかね。私も,いいと思いますので。
ほかにございませんか。どうぞ。
【米澤委員】  ありがとうございます。3ページ目の下の方にあります社会(企業・地域等)にとっての意義というところですけれども,私も,このような形で,学生にとっての意義,大学にとっての意義,国にとっての意義,それから社会にとっての意義をきちんと明確にされたことは,非常にいいなあというふうに思っております。その上で,マル4ですけれども,確かに,JD・DDの促進により恐らく実態として大学のグルーピングが進んで,ひいては国際展開に注力する大学が明確になるということだと思うのですけれども,「大学のグルーピングが進み」というところを書く必要があるかどうかというのはちょっと何となく,実際そうなるかもしれませんけれども,書かなくてもいいかなという感じはしないでもないというか,そこに目的があるわけではないという感じがいたします。
【二宮主査】  分かりました。ほかの委員の方々の御意見はいかがですか,今,米澤委員からの問題提起の点について。グルーピングという表現を削除するかどうかということですが。
どうぞ,井上さん。
【井上委員】  これは,特にこういう言葉を使わなくても,企業は見るところはちゃんと見ていると思いますので,必要ないのではないかと思います。
【二宮主査】  それでは,趣旨は企業の方も酌まれるようですので,表現としてはここではそういうことで,佐藤さん,いかがですか。
【佐藤国際企画室専門官】  それでは,「大学のグルーピングが進み,ひいては」までを削除させていただきまして,「JD・DDの促進により国際展開に注力する大学が明確になることで」というふうにさせていただくということでいかがでしょうか。
【二宮主査】  よろしいでしょうか。
【米澤委員】  はい。
【二宮主査】  では,お願いします。
では,吉川先生。
【吉川委員】  同じ3ページの,まず,上の学生にとっての意義のマル4ですが,「複数の大学からの学位取得」というところを,「複数の大学の連名による学位取得」の方が正確ではないかと思いますので,より正確な文言に直していただければと思います。
あともう1つ,◇の3つ目,国にとっての意義のマル3ですが,「質保証システムの国際化の契機」とありまして,言わんとしているところは分かるのですが,「質保証システムの国際化」というのは若干違和感がありまして,「国際的な展開」とか,「国際的な連携」とか,何かよろしい文言に変えていただいた方がよいのではないかと思います。
【二宮主査】  佐藤さん,いかがですか。「質保証システムの国際的展開の契機」になると。
【佐藤国際企画室専門官】  学生にとっての意義のところは「大学の連名による学位取得」というふうにさせていただきまして,次の方のところは「質保証システムの国際展開の契機」ですか。
【二宮主査】  「国際的な展開の契機」。
【佐藤国際企画室専門官】  「国際的な展開の契機」でよろしいでしょうか。
【二宮主査】  まどろっこしいですかね。じゃあ,表現は後ほど確定していただいたらと思います。
ほかにございませんか。
ありがとうございました。それでは,第一章は,そういうことで修正しながら,整理していきたいと思います。
続きまして,第二章を検討いただきたいと思います。6ページから16ページの,ちょっとページがわたりますが。
それでは,15ページの3行目,4行目,5行目あたりの,「(変更しない範囲内での学科等の設置を認めるもの)であれば,その範囲内において,一部の授業科目について」と。医学部の領域が例に出ましたけれども,医工連携型のようですが,一部の授業科目の一部はどこまでが一部かという点について,知りたいと思われますかね。いかがですか。このまんまでも設置審の方で処理していただければいいですけれども,全部でないことは確かですから,程度を書く必要はありますかね。よろしいですか。
佐藤さんも方もこれで,今泉さんの方もこれでよろしいですか。
じゃあ,そういうことで,特に誤解を与えることもないようですので,このままでいくと。
それから,最後の行の「要請」はミスプリントですので,修正してまとめるということです。
ほかにございませんか。
ありがとうございました。それでは,第二章はこれで,字句の修正だけでいきたいと思います。
第三章,17ページから24ページになるようですが,御覧いただいて,お願いいたします。
吉川委員,どうぞ。
【吉川委員】  幾つかございまして,細かいところで大変恐縮なのですが,まず,17ページの下のところで,プログラムの基本設計のマル2ですが,「短期大学士,修士(専門職)及び教職修士(専門職)については」云々(うんぬん)とありまして「共通の学位があるとは限らないことから,学士・修士・博士のどのレベルの学位に相当するのかについて明示すること」とありますが,短期大学士についての記述がこの後半のところにないと思われますので,何か適切な文言を加えていただいた方がよいのではないかと思います。
幾つかありまして,続けてもよろしいでしょうか。
【二宮主査】  今の短期大学士のレベルは,アソシエート・ディグリーというのを持つのですかね。でも,ヨーロッパにはないですね。高専型になります。
どうぞ。
【佐藤国際企画室専門官】  下から2行目の,要は39行目の「学士」の前にそのまま,例えば「短期大学士」というふうに入れさせていただいたらいかがでしょうか。
【二宮主査】  準学士の方が一般的ですかね。日本は,法定上は短期大学士ですけれども。
【吉川委員】  ただ,準学士と言ってしまうと,高等専門学校が今,称号として出しているので,悩ましいところがありますが。
短期大学士でもよろしいかと。短期大学士も,準学士も,両方,英語の名称としてはアソシエートになるのですが,日本では高等専門学校の修了の称号として準学士を出している関係から,恐らく,今,短期大学士とおっしゃっていると思いますので。
【二宮主査】  じゃあ,日本の学位として扱いますので,短期大学士ということにいたします。ありがとうございました。
吉川先生,続けてどうぞ。
【吉川委員】  18ページの1行目のマル3で「授与する学位の専攻分野」と書かれておりますが,言わんとされていることは分かるのですけれども,私など,学位のことをふだん法令上見ておりますと,日本の場合には「学位に付記する専攻分野」と言ったりしておりまして,前の方では,プログラムに関しての9ページの2つ目の丸のところで,これは学位のことではありませんが,「専門性(専攻)に応じて」というような書き方もされているので,そちらと合わせるような文言に変えられてはいかがかと思います。
【二宮主査】  9ページの何行目でございますかね。10ページ? 専門分野と専攻分野ですか。
お願いします。
【佐藤国際企画室専門官】  今の吉川委員からの御指摘は,18ページの一番上のマル3の「専攻分野」という表現を,9ページの方に合わせまして「専門性(専攻)」にすればよいという,そういう御指摘でよろしいでしょうか。
【吉川委員】  はい。
【佐藤国際企画室専門官】  したがって,「授与する学位の専門性(専攻)が明確かつ適切なものとなっていること」という。
【吉川委員】  はい。
【佐藤国際企画室専門官】  よろしいでしょうか。
【吉川委員】  はい。
【二宮主査】  よろしいですか。学位は専攻分野で審査を受けるのではなかったですかね。
【吉川委員】  これも悩ましいところで,後ろの方に学位の様式を付けてくださっているのですが,日本の場合には括弧として専攻分野を付記するのですけれども,連携外国大学においては恐らく専攻分野とは限らなくて,まずは大きな専門性の分野が来まして,この例で言いますとMASTER of SCIENCEですね。SCIENCEが恐らく一番大きな固まりとしての専門性であって,その下にin ENGINEERINGという下位の分類というのを書くような形になりますので,このあたりについては誤解のないように文言を考えていただければと思います。
【二宮主査】  日本の大学が誤解しなければいいですよね。
【吉川委員】  はい。
【二宮主査】  あとは協議のところではいろんな展開がありますので。
【吉川委員】  もし書くのであれば,「授与する学位に付記する専攻分野」と書かれた方が明確かもしれないのですけれども。
【二宮主査】  はい。それじゃあ,博士何とかというところですね。授与する学位に付記する専攻分野が,日本ですから,それになれている。我々,そうなっていますので。
吉川委員,更にございますか。
【吉川委員】  では,細かい点で本当に恐縮なのですが,20ページの中央あたりの教育の形態というところで例として幾つか挙げておられますが,例えば,「科目を履修する場合,オンラインで一部の科目を留学を伴わずに履修する場合,連携外国大学の教員が一定期間滞在し担当する一部の授業を履修する場合」というふうに,「場合」を加えられた方が,どこまでつながっているのかというのが明確になるのではないかという印象を受けました。
【佐藤国際企画室専門官】  そのように修正させていただきたいと思います。
【二宮主査】  ありがとうございます。
それでは,20ページのところにも「オンラインで一部」と,それから22ページも「オンライン」という形で出ておりますが,オンラインというのは,先ほどの資料1-2のようなメディアを利用したというところが内容になりますので,資料1-2を加えていただきながら,オンラインのところであれば,この三章あたりが先ほどの考え方が反映される場所になるかと思いますので,併せて資料1-2も御議論いただいておいた方がいいのではないかと思いますが,いかがでしょうか。特に,教育の形態ですね。資料1-2の考えられる対応のところを御議論いただいても結構ですけれども,関連場所はここになるかと思います。
単位数等については,北岡さんの説明だと,一定の制限を設けると。60単位を上限とすると。で,学生が海外に行っているときにメディアを使って授業を行って,その単位を60単位までは自大学において取った単位の中に組み込むことができるということのようです。それから,イの方は,31単位まではオンラインは駄目だけれども,31単位をオーバーするところからは,32単位目からは,オンラインを使ったものを海外の大学で修得した単位としていいのではないかと。ただ,この際には設置基準等において条項を設けることが必要だということのようですが,よろしゅうございますかね。大学にとっては,ガイドラインにその点を明記するとすれば,このようなあたりになりますが。
どうぞ,お願いします。
【米澤委員】  基本的に,いいと思います。恐らく,ぱっと見て理解しにくいというか,多分こういうことだと理解しているのですが,本文の方の15ページの33行目から通信教育に関する規定がございますね。この中で通信教育は今回含まないということを前提とした上で更にこういうようなものがあって,その中でオンラインをどう使うのかというところがつながっているということが理解しやすく大前提にあるとこの話は非常に分かりやすくて,したがって,基本的にはオンラインでその全てをやるということをもともと意図した話ではないということがどこかで確認できている必要があるかなあと思いました。
【二宮主査】  通信制の課程で出す学位にはジョイント・ディグリーは適用されないということですね。それでは学位は取れないということですね。
【米澤委員】  はい。ですからここは,対面を基本とした授業を前提としたジョイント・ディグリーというものがあって,その中でオンラインを使う部分が一部あるというような中でこういうような規定があるということでよろしいということですね。
【北岡大学振興課課長補佐】  御指摘のとおりです。通信教育設置基準に基づく通信教育については,ジョイント・ディグリー対象外ということで整理しております。
【二宮主査】  今でもオンラインでは単位が認定できますね。
【北岡大学振興課課長補佐】  はい。
【二宮主査】  そういった説明がありましたね。ただ,連携大学において,ここは新しくなるのではないですかね。連携先大学がオンラインで提供する授業を,何単位まではオンラインは認めませんよと。31単位を超えた単位については,オンラインでも単位としては修得したものとして認めると。つまり,124を超える部分についてになるのですかね。60単位までの分を海外で受けても大丈夫ですよという,そういう感じですかね。
【北岡大学振興課課長補佐】  より厳密に言えば,向こう側が通信制ということもないということです,基本的に。向こうも基本は通信制じゃないものと組むということですね。
【二宮主査】  そうです。
【北岡大学振興課課長補佐】  そうですね。そのとおりです。
【二宮主査】  で,今,私が中途半端に解説していますが,間違っていたら大変なので,ちょっと分かりやすく整理しておいていただきたい。
【北岡大学振興課課長補佐】  ちょっと場合を分けて説明申し上げますと,まず,日本の大学が提供する授業科目につきましては,大学設置基準の現行の規定が適用されますので,メディアを使った授業で修得できる単位というのは124分の60までという限度がございます。ですので,日本の大学が最低限提供しなければならない授業科目は,今回の場合,62単位までは提供しなきゃいけないというふうになっておりますので,そのうち60単位はオンライン等々によって提供することが可能となるというものです。
一方で,外国の大学が提供する授業科目につきましては,大学設置基準等の適用が直接的には及びませんので,言うなればどの単位数までも現状であればメディアで対応することはできると。しかしながら,これまでの御議論の中で,今回のジョイント・ディグリーの一つの目的が,学生のモビリティーをはじめとした,要は移動を伴うものにあるという先生方の御意見を踏まえて,31単位,つまりおよそ1年相当分の授業科目につきましては外国に行って受講していただくということを前提に考えるべきというふうな御議論だったかと思いますので,そういう意味で31単位までは,メディアによって提供する授業というものは外国の大学が提供する授業科目として算入することはできないようにすると。一方で,31単位を超える部分については,それを算入することはできるようにするというふうな規定をどこかで設ける必要があるというふうに考えております。
【二宮主査】  さらに,共同教育科目については,メディアはどうなんですか。
【北岡大学振興課課長補佐】  共同実施科目につきましても,メディアの利用というものは考えられます。しかしながら,ガイドラインにも書かせていただいておりますし,これまでの御議論にもありましたように,共同実施科目についても31単位までは外国大学の開講科目としてはカウントできないという整理にしてございますので,同様に1年相当分についてはメディアによっても,共同実施科目によって日本で開講する場合であっても,外国の授業科目としては算入できないということで考えております。
【二宮主査】  今泉室長,どうぞ。
【今泉大学設置室長】  1点,更に追加させていただけると,今,北岡の方から申し上げたとおりなのですけれども,より分かりやすく申し上げると,今回のジョイント・ディグリーの仕組みで学部については,日本の大学で62単位以上の制限を掛けさせていただきますが,そうすると,外国の大学で最大限取れるのは,やはり62単位分ぐらいになります。今申したとおり,外国の大学には設置基準上,高度メディア活用の場合には60単位という制限は掛けられてないので,外国の大学が提供する授業については62単位まで高度メディア利用ができる形になってしまいます。そうすると,国内の大学に対しては60単位の制限を掛けながら実は外国の大学では62単位まで出せるという制度上の不備も生じてしまいますので,そういう観点でもマル2のイみたいな何らかの制限を掛ける必要が出てくるのかなというふうに思っているところです。
【二宮主査】  今のことをこのガイドラインの中に,もう少し簡潔になると思いますけれども盛り込んで,ガイドラインの案が出来上がるということで進めさせていただくことになるかと思いますので,慎重に御議論いただいて,それで決めていただければと思っております。
どうぞ。
【井上委員】  今の御説明,大体理解したつもりなのですが,基本的に,この124単位,国内で全てを取得する普通の学士の場合に,60単位を上限とするメディアの利用というのが規定されているわけですね。そうすると,海外で半分,62単位取るような今回のジョイント・ディグリーの場合に,60単位の上限をそのまま使うというのはちょっと多過ぎる感じはしませんか,極端なことを言いますと。もともとは124単位で60だと。今回の場合には,62は外ですよと。国内も62ですと。そのときに60までメディアで取っていいというのが現実的なのかどうかという問題も含めて考えると,ちょっと多過ぎるかなという感じがいたします。何が正解なのか私には理解できないですが,大学の関係者の方の御意見を聞いてみたいと思うのですけど。
【二宮主査】  どなたか,大学を代表して御発言いただければ。堀井さん,いかがですか。大学を代表して,一言。
【堀井委員】  今の御指摘はもっともだと思いますので,比率を保つという形にするとしたら,その半分の31ですか,それが妥当なのかなと,直感的には思いますけど。
【二宮主査】  もちろん,最大限というところで,上限ですので,それぞれが,教育課程の性質に応じてどこまで,趣旨がありますので,多分,そんなにはいかないのではないかなと思いますけど,自分の学生が海外に行っているときも,単位はやっぱり指導を兼ねて取らせるということは,必ずしも悪いことではないのですね。ダブル・ディグリーではよくやっていることなので。ですから,そういうことの延長線上に,だからといって機械的に60単位までどんどんということでもないのではないか。大変ですので,オンラインで指導していくのというのは。井上さんが心配される部分については,良識ある,質という観点から対応してくれると思いますけれどもね。
どうぞ。
【長尾委員】  今の60でいけるとしたときに,モビリティーの話がありますよね。日本にいて,そして海外に出るというのは,例えば逆な意味で,2単位以外はずっと外国にいて取れる状況も考えられるわけですよね,60をメディアでということになると。
【北岡大学振興課課長補佐】  あり得ます。
【長尾委員】  そうすると,ちょっと帰ってきて2単位取って,あとはずっと外国にいるという可能性がこれは出てくるので,どっちがいいのかは……。
【二宮主査】  それは悪いことですか。
【長尾委員】  悪いことなのですか。
【二宮主査】  いやいや。
【長尾委員】  だから,そこを議論しないと,今後どうなるのかによりますね,世の中が。
【二宮主査】  ですから,それで日本の大学が自分の大学の学位として,しかも責任持って教育したということが担保できれば,それはそれでいいと思いますけれども。まあ,2年間,海外にいていいということですよね。
【米澤委員】  多分,その最大の懸念は,日本の学生が行くというのではなくて,向こうの学生を受け入れる場合に,要するに日本に2単位だけ取りに来ればよいということになるということでしょうね。それは,その論点としてはあり得ることですね。
【長尾委員】  それはあり得ることですよね。違います?
【二宮主査】  あり得ますね。
【長尾委員】  動かなくてこれができちゃうと。
【二宮主査】  ちょっと今のは難しいですね。私たちの学生が海外との連携の中でジョイント・ディグリーを取っていくということを想定したときの62単位の中の60単位という意味と,向こうで登録した学生が日本のジョイント・ディグリーを取得する場合に,日本の大学で31単位。日本の大学は62単位取らないといけないのですね。2年間来て日本の大学で62単位を取って,海外の在籍する大学では31単位以上取って,共同実施科目を向こうで取るか,こちらで取るかという,そのときの,2年のうちの1年分だったら三十何単位はオンラインですが,2年弱をオンラインで取って日本の学位を取得できるかという問題ですね。普通それは,やっぱり海外の学生も日本に来てもらわないと,ジョイント・ディグリーのそもそもの趣旨から大きく外れますのでね。文化の中で学ぶというのが大切なので,モビリティーをきちんと担保してもらう。設置審で指導してもらうしか,ないのではないですかね。ACEか何かで少しこの辺は改善してくださいとか,そういう対話があってもいいのではないですか。不認可という形にはならないかもしれないけれども,設置審の委員の先生方が少しその辺の趣旨をよくやりとりしながら,修正意見として出されるか,補正をしていただくか,何かそういう形の中で。あとは大学がどのようにお考えになるかということ。今,制度で,向こうの学生については30単位までとか,そういうことを設けるのも,また話が混乱するばかりですので。
北岡さん,何かアイデアがありますか。
【北岡大学振興課課長補佐】  向こうの学生だけ30単位ということは,恐らく立て付け上難しいかと思います。というのも,日本人学生であろうが,外国人学生であろうが,どっちにせよ同じ学生というカテゴリーに入っておりますので,そこで線引きすることは恐らく難しいのかなというふうに思います。
また,60単位を上限とするところを今回の国際連携教育課程について更に制限をきつくするということは考えられないことはないと思っておりますが,今回の場合,外国の大学が提供する授業を我が国の大学が開設する授業としてみなして組み込むことができるという形をとっておりますので,これも外形上は我が国の大学が開講している授業の一部であるというふうなみなし方になってまいりますから,そういう意味では,通常の124分の60となぜ違うのか,どう違うのかというところを整理する必要があるのかなというふうに思います。
【二宮主査】  じゃあ,その辺の議論も踏まえて,まだ若干時間がありますので,整理していただきながら,見ていただくようにしたいと思います。
今,第三章をやっていただいていますが,ほかにございますか。
【大野委員】  すみません,1点だけ確認をよろしいでしょうか。
【二宮主査】  どうぞ。
【大野委員】  18ページに学位記がございます。マル2のところで,「JDは一枚の学位記を共同で発行するものである」ということで,これは,通常考えればフォーマットは1種類しかないというふうに考えるべきかと思うのですが,それでいくのか,あるいは,海外との関係がありますから,ちょっと不勉強で分かりませんけど,具体的にどうこうではありませんが,記載すべき事項はいろいろと調整しづらくて,フォーマットが分かれてしまうということ,そういうことを許し得るのかどうか。それは駄目だと。きちんと協議して一つのものに,たった1枚の,同じ共通のフォーマットでいくのか,そのあたりはいかがでしょうか。
【二宮主査】  私は個人的には後者の方の意見だろうと思うのですが,いかがですか。
【佐藤国際企画室専門官】  これまで議論いただいているジョイント・ディグリーという意味では,ジョイント・ディグリーである以上,2枚以上の学位記が存在するというのはないですよねという話でしたので,そこは1枚に調整するというふうなことになるのかなあというふうに思います。
【大野委員】  そこまできちんと詰めなきゃ駄目ですよということですね。
【佐藤国際企画室専門官】  そうです。
【大野委員】  分かりました。
【二宮主査】  大野先生の経験では,そこまでいくと1枚も出せないのではないかと。
【大野委員】  いえいえ。
【二宮主査】  ジョイント・ディグリーが成立しないのではないかというか,制度開発ができないのではないかという懸念ですか。
【大野委員】  プログラムとしては成り立つだろうと。ただ,最後のところの書き方のところ,書きぶりのところで何かトラブルが生じないかなという,そこの心配だけなんですね。つまり,制度の最後のところって,そういう学位記みたいな書き方に一番出やすいところですよね。そうすると,お互いに譲れないようなところ,あるいは両方を全部盛り込んでしまったときに,どうなっちゃうだろうみたいなところが出る可能性はないかなと,ちょっと懸念しただけです。例えばという例は私自身も言えないので,これ以上は何も申しません。
【二宮主査】  どうしても守らなくてはいけないのは,1枚しか出せないという。
【大野委員】  分かります。たった1枚しか出せないのですが,ですから,それぞれがそれぞれのフォーマットで1枚出す。イシューする側が1枚出す,1枚出すというようなことはあるかもしれない。ただ,そのときに,ジョイントのあれなんだけれども,こっちはAという形,こっちはBという形,何か片一方はにせものじゃないかみたいな,そういうことが疑われる可能性もあるということもあるのでというところであれですけれども。
【二宮主査】  いずれの大学が手交するかというか,学位を授与するかというのはよく協議しなさいと,ガイドラインで書いてありますが,それぞれがそれぞれの学位を渡すと言ったのですね。だから,やっぱり,2枚,2種類というのはあり得ないですよね。
【大野委員】  ええ。ですから,唯一のフォーマットであることが望ましいことは,もちろん当然と思っています。
【二宮主査】  いや,望ましいんじゃなくて,ほかはあり得ないという。
【内田委員】  いや,A大学が出すときにA大学とB大学が連名で出すのと,B大学が出すときのB大学とA大学の連名の記載の仕方が違うことはあるでしょうと,そういうことでしょう。
【大野委員】  ええ。
【二宮主査】  それはあると思いますけれども。
【大野委員】  ということは,フォーマットは2つあるということになりませんか。
【佐藤国際企画室専門官】  細かい情報をお互いに載せる,載せないで,仮に合意がなかなか難しかった場合には,例えば,最低限合意できるものを学位記に載せ,あとは,ディプロマ・サプリメントではないですけれども,附属文書みたいなもので説明させるということは可能なんじゃないかなという気はします。
【二宮主査】  今の内田先生の発言は,A大学がA研究科とB研究科で異なる大学とジョイント・ディグリーを作って出したときに,学位記の表記が研究科によって,相手が違うので違うことがあり得るのではないかという,それが内田先生のABとCDの,ABとADの違いですか。その辺をちょっと。
【内田委員】  要するに,日本側と外国側で作った1枚の紙を日本側の学生に出すときの形と,向こう側で出すときの形が違うことがあるでしょうと。だけど,それは1枚であるということには間違いないからいいのだろうと,そういう趣旨。
【佐藤国際企画室専門官】  1枚の学位記しか存在し得ないという話をずっとこれまでしてきていただいておりますので,その意味ではフォーマットはいずれ最終的に合意していただいて,共通というか,1つのフォーマットで1枚の学位記のみが学生に対しては出されるのだと思いますが。
【二宮主査】  もうそこは譲らないように。(笑)早稲田チームの力強いプレッシャーには負けないように,ひとつお願いします。
どうぞ,吉川先生。
【吉川委員】  22ページの教員のところのマル2でございますが,先ほど佐藤専門官の方から,括弧内のアスタリスク以下のところですけれども,「今回のJDプログラムの実施に当たって,法令上,我が国の大学との雇用関係を持つことは求めない」ということに関して,これは連携外国大学の教員についてはという御説明があったのですけれども,最初読んだとき,私は日本の教員に関しても雇用関係が発生しないのかとちょっと戸惑ったところがございまして,明記していただいた方がよろしいのかと思いました。
【佐藤国際企画室専門官】  失礼しました。そうさせていただきます。
【二宮主査】  ありがとうございます。
どうぞ。
【勝委員】  確認なのですけれども,18ページの協定のところで,協定のサインの名義なんですが,「責任ある意思決定者間による協定等」という表現と「大学運営の責任者の名義等」という表現と2つあるのですが,大学運営の責任者というのはどういう方を想定しているのか。通常,ダブル・ディグリー等は,その部局の学部長なり,あるいは研究科長等がサインすることになるかと思うのですけれども,この「大学運営の」というのは何か特別な意味があるのか,ちょっと教えていただければと思います。
【佐藤国際企画室専門官】  基本的には学長を想定して書いたものなんですけれども,例えば部局間協定みたいところがあって,もうちょっと特定した方がいいということであれば,ここは十分,検討の余地があるかと思います。
【勝委員】  かなり細かいところも学長名義で責任持ってやるべきだという趣旨で「大学運営の責任者の名義等」というふうになっているという理解でよろしいでしょうか。
【佐藤国際企画室専門官】  これまでの議論の中では必ずしもそれが学長でなくてはいけないというふうな議論にはなっておりませんので,たまたまこれまでの流れの中でこういう表現になってきているというふうなことなのですけれども。
【二宮主査】  説明がつけばいいんでしょう。
【佐藤国際企画室専門官】  おっしゃるとおりです。
【二宮主査】  学長じゃないのなら,なぜ学長でないのかという説明がつけば,問題はないという立場なんですよね。学長でなければいけないと,総長でなければいけないとは言ってないということですよね。
【佐藤国際企画室専門官】  おっしゃるとおりです。
【二宮主査】  だから,それでよろしいのではないですかね。大学の方で出されたら,それでいいと思う,協定を。
【勝委員】  運営方針となっているので,かなり細かい部分も学長が関わるということなのか。
【二宮主査】  プログラムをどうマネジしていくかですからね。
【佐藤国際企画室専門官】  その前段のところを受けているのですけれども,協定と書かれている次の行ですが,「責任ある意思決定権者間による協定等により必要な事項を取り決めていること」というふうにしておりまして,これを受けて「大学運営の責任者の名義等により」というふうな形にさせていただいております。
【二宮主査】  じゃ,大変恐縮ですが,第四章,最後の章になりますけれども,御覧いただけますでしょうか。25ページの表現が従来のダブル・ディグリー等に関する表現よりは少し異なっているということでございますが,あとは基本的には変わりません。
ありがとうございます。これでよろしいようですので,四章はこういうことで,一章,二章,三章,四章を通して,特にございませんでしょうか。
どうぞ。
【井上委員】  文章に関してではないのですが,三章の最後のところに社会における認知・評価というのがありまして,これはとても重要なことではないかなと思っております。各大学の御尽力・努力というものがベースになるのではないかと思うのですが,実は私ども,いわゆるG30のプログラム,共同でいろいろとシンポジウムをさせていただいたりして,随分認知度が広まった。要するに,企業も,国際化を一生懸命やっている大学についての評価,そこで学んだ学生の評価,留学生も含めてさせていただいたのですが,せっかくこういうジョイント・ディグリーというものを作ったときに,そういう盛り上がりを作るような大学と企業の協議会的なものを作っていったらどうかなあと。要するに,こういう先進的なカリキュラムを作るところと企業関係者がいろいろと話合いをしてよりよいものにしていくようなものを作っていくとよろしいのではないかと思いまして,ここから先は,どういう形で文科省さんが絡むのか,あるいは独自にやっていったらいいのか,ちょっと考えさせていただきたいと思うのですけれども,是非,何か社会的な機運を高めるような取組をしていただければなあという,希望でございます。
【浅田高等教育企画課長】  有り難いことで,是非考えたいと思います。
【二宮主査】  ほかにございませんか。どうぞ。
【米澤委員】  ありがとうございます。今の井上委員の発言に賛成するのですけれども,恐らく全体を見通したときのコメントに近いのですが,今回の話というのは基本的に,どうやってジョイント・ディグリーの質保証をするかというときに,国際連携教育課程というもの,あるいはその学科等というのを作ることによって,一回,設置審を通すということが最大の質保証の肝になっていて,それによって日本として自信があるものを出せるというような仕組みにしてあるというところは,非常にいいかなあというふうに思います。
同時に,読んでいる限りは,最終的には,拘束力をこれ自体は持たないので,設置審の中である程度常識的に判断できるところで,制度上どうのこうのというよりも,全体としておかしなところはおかしいというふうに言えるというような仕組みを担保しているということかなというふうに思っております。
同時に,多分,大学側から見たときに,これは結構ハードルが高いなというふうに思うのではないかというのが一番怖いところで,そういう意味で,社会の後押しというか,これは意味があるということを社会が言っていただくのは,非常に大きな意味があるかなというふうに思います。
同時に,ちょっと2つ分からないところは,恐らく,やれるところとやれないところがかなりはっきりしてくるというか,ジョイント・ディグリーをできる体力というか,力があるところは多分複数のオファーがあるだろうなという感じがあって,恐らく,2つ目,3つ目というのが向こうからも来る話があるのだと思うんですね。そのときに,これはどういうふうに対処していくのか。つまり,これを見ている限りでは,制度上はそれぞれ別の課程をもう1個ずつ作っていくというような感じになってくるのですかね。ちょっと,その辺の仕組みが分からないというか。あるいは,余りにたくさんのものと組むというのもまた無責任な話なので,その辺について,どういうようなお考えをお持ちなのか,どういう考えでいくのかということですね。
それからもう1つは,設置審を掛けるときに,論理的には定員を付けるわけですから,ほかのところは定員の変更になりますよね。この場合,この課程のみを設置審に掛けるのか,全部を掛けていくのかというのが,私,制度上分かっていないので,教えていただきたいということですね。
最後は,やってみなきゃ分からないことはたくさんあるということを考えた場合に,恐らくこれは論理的には認証評価で定期的な評価をするというふうな仕組みになっているのかなと思うのですけど,それで十分なのか,あるいはもうちょっと違うことをお考えなのかみたいなことについて,伺いたいのですけど。
【今泉大学設置室長】  それでは,設置認可のマル2のところについてお答え申し上げますと,ジョイント・ディグリーの国際連携学科又は専攻の設置のときに併せて,おっしゃるとおりで,母体となるもののほかの部分の定員にも関わりますが,新しい学科設置又は専攻設置,その設置認可の資料の中で併せてほかの部分の定員の変更も一緒に審査していくことになります。
【浅田高等教育企画課長】  最後の点は,確かにやってみないと実際にどういう問題が出てくるか分からないところが当然あるので,それは,認証評価というよりは,当然,それをやる過程で大学からもいろんな声をお聞きすることになると思うので,それを見ながら考えていくということだろうと思います。
【佐藤国際企画室専門官】  ちょっと今の点を補足させていただきますと,ガイドラインの24ページの質保証のところですが,まさに,もともとはというか,自己点検評価の中に,しっかり認証評価の中に位置付けていってくださいということを上の方でお願いしつつ,※のところで,理想としては主体的に関わっている方々がピア・レビュー的な仕組みを作っていくと。場合によってはジャーナル等においてもしっかりとピア・レビューできるような仕組みを構築していくというのが望ましいであろうということは,内々の検討会をずっとしてきているところからも言われていることですので,是非,今回,積極的にジョイント・ディグリーに取り組むような大学の皆様におかれてはこういったことを検討していっていただきたいというのは,まさにここのガイドラインのところに記させていただいているとおりです。
【二宮主査】  大変貴重なというか,難しい問題提起いただいて有り難いと思うのですが,今,この段階では,多くの大学あるいは少ない大学しかできないとか,値を議論することはちょっと適切ではないかと思います。
それから,認証評価型は設置審のという問題もありますけれども,最低の要件を十分満たしていただいたらそれでいいというものではなくて,やっぱり国際的な様々な市場の中に出ていきますので,適切な質のいい学位であるといいますか,教育プログラムであるということが評価されるようなことも意識しないといけないと,こう思うと,設置審の更に外をもっともっと考えなくちゃいけないということは自己責任としてはあると思いますので,通常の指針で審査を受けて,5年後にコンプライアンスとか要件を満たしているかどうかといったようなことだけで事足りるでもないと。認証評価だけでも足りるではない。もっと責任が大きいのではないかなあと。自覚させた方がいいと思いますとか,その辺は大学方針なりでもっと頑張っていただくという姿勢の方がいいかなと受け止めて,聞かせていただいた。いずれにしましても大変貴重な意見ですので,きょうすぐ結論は出ないのもありますので,走りながら考えていったらということにしたいと思いますし,企業との連携については,これはまたグローバル30の経験も十分あると思いますし,今度,スーパーグローバルも始まるのですかね,そういうところもありますので,なお一層,そういう形で受け止めていただけるということでございます。
もう十分これで審議していただいたと思っていますので,あとは,先ほどのメディアも含めて,私に,私では心もとないかもしれませんけれども,慣例でございますので,一任していただいて,最終案までたどり着きたいと思っておりますが,よろしゅうございますかね。
異議がありますか。(笑)
【勝委員】  異議ではなくて,先ほどの井上委員の発言にちょっと触発されてコメントさせていただきます。今議論されているのは,かなり質が高いプログラムだけがやはり生き残っていくのだろうという想定があるかと思います。そうであるとすれば,むしろそういったものに奨学金などの予算を付けるであるとか,あるいは質のいいものを選定して,そこに日本版エラスムスのような形で予算をつけていくことも考えられるのかなと。スーパーグローバルは大学に付けてしまうのですが,そうではなくてプログラムに付けていく、ということも今後考えていく必要があるかなと思いましたので,意見だけ申し上げました。
【二宮主査】  それでは,今の件もテイクノートしていただくだろうということで,一任をしていただくことについて異議はないようでございますので,これでガイドライン案については審議を終了させていただきたい。どうもありがとうございます。
残りましたテーマがもう1つございまして,留学生の分野についてでございますが,留学生政策の在り方についていろいろ事務局の方と意見交換をしておりますと,何のためにこの議論をするのかというのは,大川さんから今から説明があるかも分かりませんが,これは留学交流を推進するための政策を実現していかなくちゃいけないと。2020年までの30万人計画と派遣の12万人ということを何とか推進していかなくてはいけない。その具体的なやり方についてはどんなやり方があるだろうかということについて,本ワーキング・グループとしても意見を出してもらいたいということでございます。それはまた成果として報告書の中にも適宜入れ込んで,大学交流政策といいますか,留学生施策について活用していただくということのようでございますので,御審議を頂きたいと思います。
では,配付資料が用意してございますので,配付資料2-1と2-2について,まずは説明をお願いしたいと思います。
【大川学生・留学生課課長補佐】  失礼いたします。学生・留学生課の課長補佐の大川と申します。お時間が大分押しておりますので,簡単に説明をさせていただければと思います。
大学の国際化を考えるに当たって,学生の双方向の流動性というのは,大きな一つの目的であります。今後少しずつ,小出しではございますが,具体策として,学生という視点からどういうふうに流動性を高めていったらいいだろうかというところ,それに対して大学がどういう体制を整えていくとそれは加速されるのかという観点から,議論を頂ければと思っております。まさに大学の国際化,それから学生の流動性というところで,昨年の成長戦略及び教育振興基本計画におきましては,それぞれ2020年までに,派遣の方につきましては今6万人程度であるものを12万人に,受入れにつきましては14万人弱のところを倍増の30万人にということで,閣議決定がなされたところであります。そうした中で,このワーキング・グループでも最初の方にいろいろな大学からヒアリングをさせていただきましていろいろな取組を御紹介いただいたところでございますけれども,そういったところを参考にしながら,本日は,派遣,受入れ,それぞれ1点ずつ御議論いただければというふうに思っています。
まず,資料2-1の方でございますけれども,派遣についてでございます。医科歯科大学様,芝浦工業大学様から御発表いただいたわけですけれども,特に理系を中心に,カリキュラム上,留学しにくい,留学の機会が得にくいというような分野において,どういうふうに促進をしていったらいいだろうかというところを御発表いただきました。例えば医科歯科大学様の方におかれては,4年次において自由選択学習として留学する機会を与える。それから,6学年におきましてハーバードとの臨床実習のローテーションを組むというような取組がなされておりました。また,芝浦工業大学様におかれては,交換留学とともに,PBL(Practice Based Learning)ということで,ゼミを交換するという形の取組,こういったようなところで留学しやすい環境というものを作っておられました。
こうした環境をいかにこれから多くの大学で作っていけるかというところ,いろいろな課題もあるかもしれませんけれども,どういうふうにしたらできるかという観点から,いろいろな御意見を頂ければというふうに思っております。特に,昨今,世界のトップレベルの大学との交流,特に米国なんかは学位取得型ばかりを望んでいて交換留学というのはちょっとプライオリティーが低いというような話の中で,どういうふうにこういう形を作っていったらいいだろうかというところは,もし御意見があれば,頂ければと思います。
それから,資料2-2の方でございます。受入れにつきましては,一つ大きなところ,本日はまず入り口の方でございます。中国,韓国においても,例えば中国においては50万人計画ですとか,韓国においては20万人計画ということで,獲得競争なるものが生じているところでございます。今の状況で言えば,待っていれば優秀な学生が来ますよというような状況ではなくなってきている現状にある中で,いかに優秀な外国人留学生を獲得していくかというところについて,手立てをより具体的に打つ必要があるだろう。そういう中で,渡日前に入学許可を出し,例えば奨学金とセットで日本に呼び込めるような施策なんかが必要じゃないかという議論がよくなされます。そのときに,じゃあ具体的にどういうふうにすれば渡日前の入学許可が出せるのかというようなところについて,御意見を頂ければと思います。
現状で申し上げますと,日本留学試験というのを日本学生支援機構で行っておりますが,これを活用して,一部の学部がというところを含めまして,92大学がそういった取組をなされているところでございます。全体の大体10%がそういったような取組をしておるところでございます。
一方で,海外拠点,本年度から留学生コーディネーターというものを配置するということで国でも予算を付けましたけれども,既存のまさに拠点となるところとしましては,日本学生支援機構にアジアの方に4事務所ございます。それから,各大学におかれては,これは研究とか目的がいろいろ分かれますけれども,350を超える海外の事務所というものがございます。こういったところを活用しながら,どういうような要件をクリアすればそういったことができるのか。もう1点は,日本語学校を中心に外国人がもう既に日本に来ていて,そこから入学をする学生を決めていくというプロセスもあるかもしれません。そういったところでどういうような選抜をしていったらいいかということについて,併せて御意見を頂ければと思います。
ちょっと短い時間ではございますけれども,忌たんのない御意見を頂ければと思います。以上でございます。
【二宮主査】  いつも議論されているテーマのようですが,時間が余りありませんので,御意見を早速に賜った方がいいと思います。
【白石委員】  既にやっていただいているので,もっとやってくださいということなんですけれども,一つ,ここ2年ぐらい痛感しておりますのは,例えばヨーロッパから非常にいい学生が応募し始めていると。こちらも,もちろん入学許可を出す。だけど,アメリカの非常にいい大学から入学許可を出すということで,結局,競合して,向こうはフェローシップがすぐ出せまして,こちらは文部科学省の方から幾つかは頂いているのですけれども,そんなにぼんぼん出せない。そこで結構採られちゃうという問題がございます。ここはもちろん,多くの大学でかなり自由度の高いフェローシップを何とかならないかという要望はある。資源は限られていますので難しいのは分かっているのですけれども,本当にいい人を採る場合には,最終的にはフェローシップをすぐにオファーできるというのが物すごく効くんですね。ですから,それだけちょっと,分かっているとは思いますけど,申し上げておきたいということです。
【二宮主査】  今,国費の大学生は何名ですかね。年間1,000名ぐらい? 1,000名も行ってない?
【大川学生・留学生課課長補佐】  1,000名弱だったと思います。手元に細かい数字がなくて,すみません。
【二宮主査】  大学が優秀な留学生として獲得すべき目標値って,30万人のうち,何万人ぐらいですか。大使館推薦とか,いろんな形じゃなくて,大学が自ら,今,白石先生が言われるように,学生を採りにいくというか,この人はうちに採りたいという,そういう優秀さを担保した学生というのはどれぐらいの人数,日本の大学には期待したらいいのですかね。
【大川学生・留学生課課長補佐】  本来の趣旨で申し上げれば,国費留学生制度で全てを支援するというわけではございませんので,その中で何人というよりは,30万人全員,本当は優秀な学生を確保したいというのが,正直なところでございます。(笑)
【二宮主査】  留学生の大衆化だから,そうなかなかあれじゃないでしょう。
どうぞ。
【島田主査代理】  留学生を30万人増やすのは大変重要なことだと思うのですけど,しかし,私はこの前,幾つかの海外の大学というか,アジアとアメリカなのですが,行ったときに話したり,あるいは日本でも幾つかの大学の関係者の方と話したりしたのですけれども,白石先生は非常に優秀な学生が日本を志望していると言われますが,一般論で言うと,特にアジアの優秀な学生は欧米志向が非常に強くて,日本を志望する学生というのは少ない,もちろん全てがそうじゃないのですけど,レベルがアベレージで低いというような感じを持ちます。したがって,それをどうしたらいいかということですけど,結局は,今御説明のあったフェローシップ,あるいはスカラシップ,いろいろありますが,制度的な問題もありますけど,大学が向こうのいい大学と提携関係をもっと密にして,受け入れる留学生の質を上げるには,一概にこうやったらいいという伝家の宝刀みたいのはないんですけれども,なるべく優秀な人が来る,そういう傾向が出てくると,ある日本の大学には優秀な人が来ると,その人たちがまた優秀な後輩を呼ぶというような,いい循環になるのではないかと思います。いずれにしても,アジアの大学の人と話すと日本を志望する優秀な学生は少ないということを盛んに言っておりますので,その辺のところはいろんな形で今後、制度面や経済面等で工夫していかないといけないんじゃないかというふうに思います。
【二宮主査】  ありがとうございます。
どうぞ。
【堀井委員】  私どもの専攻では1982年から文科省の奨学金を頂いて特別コースを行っておりまして,これまでに800名を超える留学生を卒業させているのですが,渡日前の入学許可をどうしたらいいのかということですけど,うちでは書類選考を行っているので,全て渡日前に入学許可を出しているのですね。優秀な留学生を集めることができた理由には3つあって,1つは書類選考による渡日前の入学許可ということ。それから,大学院教育を全て英語で行うということによって,日本に来て日本語の研修を受けなくていいということ。それから,奨学金を頂いて,それを付与しているという,この3つだと思うんですね。書類選考で選べるようになるためには,まず集まってくる書類がいい学生であることがかなり必要で,そうでないと面接して選ばなきゃいけないということになってくると思うのですけれども,そこは工夫をするということが必要で,一旦評判ができると,各国のトップの大学にしかアプリケーションの情報を出さないですし,そこの何番以上の学生であればどのくらいであるかというデータベースができているので,書類選考ができるようになるということです。
この間,うちの同僚がシンガポール大学の先生と意見交換をしてきたのですけれども,シンガポール大学で優秀な学生を集めるために何を一番努力しているかというと,サマープログラムだと。そこでいい学生を集めて,いい印象を持ってもらって,大学に行くときはここに来ようという,そういうつながりを作ること,接触機会を持つことが,いい学生に関心を持ってもらうことにつながるのではないかなと思います。
以上です。
【二宮主査】  渡日前もそうですが,日本の留学生政策は国費・私費という考え方でいろいろ政策を組まれますけれども,学部,学士課程の留学生に,短期大学士もそうですが,焦点を絞った留学生政策というのは,必ずしも明確じゃないですね。学部1年生に入ってくるのに,渡日前なら,渡日前がどうなのかと。海外事務所は何をやってくれているのかと。現地高校との,ブローカーとは言いませんけれども,いろいろやってくださる,グローバル30の大学の人たちがいろいろやった,その試みは一般の大学までどう敷衍(ふえん)できるのか,展開できるのかとか,それから,日本語ができなくても日本の大学に来られるのかとか,私費の学部留学生というものをもっともっとターゲットにして,その政策だけをもっと議論された方がいいのではないかと思いますね。今の議論はみんな大学院の話なので,学部学生の優秀なというのはどういう概念なのかというのは誰もディファインしていませんので,かつての中教審の特別留学生部会もそれは議論していませんので,大学推薦の枠にもはまりませんので,そういうところで,お願いですけれども,留学生の方のいろんな委員会がおありですが,学部留学生の私費留学生に限ったときに,国としては,大学としては,どんな仕組みでどうすれば,誰が優秀なと言えるのかと。学部だから,そんなに優秀さにこだわらなくていいのではないかと。日本に来て勉強すれば,優秀になるのであってね。それと,日本語というのも,どこまで大学は課すのか。出るときはもう大丈夫なんですけど,入り口のところでなぜそんなにまで日本語にこだわるのかと。
それから,インターネットで出願して,コンピュータベースの,日本語留学試験でも何でもいいのですけれども,そういう学力も検定してもらえるような,そういう仕組みが日本は全然遅れているかもわかりませんね。それは入試センターがやるべきことかもわからないとか,いろんなことを考えて,30万人のうちの25万人ぐらいはどっちにしたって私費留学の学部だと思うんですね。中国以外の学部学生をどうすれば引きつけることができるか。しかも自分のお金ですので,ハウジングは少し安くするとか,授業料は半額政策で構わないとか。どうせ日本人学生もいなくなるので,日本の私学は120万人が100万人ぐらいに,何十万人になりますのでね。ところが,日本の大学はまだまだ施設や設備や教育のキャパは持っているのですね。そのキャパが大学をクローズすることでもって失われていくだけで,財産目録が目減りするだけなんですね。なぜ自然に目減りしなくちゃいけないのか。日本人学生が来ないから,悪い大学だといって議論をしていいのかと。そうじゃなくて,世界はもっと広いのだから,どういう学生を責任ある受け入れ方をして,日本人と同じようにそのリソースを最適に使ってやれば,ポスト2020という政策が描けるのではないですかね。高校卒業生120万人が,110万人,100万人になっていって,多くの私学の1割か15%ぐらいは恐らく姿を消すかもしれないという中にあって,もったいないですよね。せっかく国の財産を使って蓄積してきた教育資産なので,せめて,減価償却がまだまだ30年ぐらいあるのなら,2020年から30年ぐらいはそういう大学を活用して留学生に機会を提供すると。ちょうど空き家を提供するようなもので,限界集落を何とかしようというのと同じで,たくさんの団地が空(あ)くとすれば,そういう人たちに使ってもらうと同じなので,そういうもっと大胆な,30万人のうちの25万人をきちんと受け入れるための,あるいはこれからの20万人は一体誰かとターゲットを絞って,大学院にこだわらないで,というようなことを議論していただいたらと,たまたま私,主査という立場を頂いていますので職権濫用で,時間がないので申し上げておきたいと思いました。
【内田委員】  2点だけですけど,1つは,海外へ派遣するというときには,カリキュラムに組み込んでやるわけですね。これは理系の場合も文系の場合も問題状況が違わないのですけれども,理系の場合に特に問題になるのは,こちらから派遣をしていく場合に,向こうの大学は基本的に英語で授業をしているところに送るわけですね。したがって,向こうからもこちらに来たいということになりますので,日本の理系の学部・大学院が英語でやるプログラムを持っていて,しかも,セメスターや,あるいは1年間単位で受け入れる十分な準備ができているか。それができていれば,海外の,例えばアメリカの理工系の大学とダブル・ディグリープログラムを作るというのは,あるいは,ダブル・ディグリーじゃなくて,お互いの交換を作るというのは,実はそれほど難しいことではないのですね。それが1つ。
それから2点目の,日本にという場合も,私立大学の場合に,留学生に対して授業料を安くした方がいいか,高くした方がいいかは議論の余地があるところで,私どもとしては高くするつもりですけれども,ポイントは渡日前の入学試験をどうするかということで,日本に来てもらって英語であれ日本語であれ試験をするのでは渡日前はあり得ないわけですから,日本に来なくても選抜ができる方法,それは,例えば学士課程で言えば,それぞれの国が大学入試の統一テストをしていますので,その統一テストのスコアを使う。そして,自分たちのターゲットする,その国の大学の要求している点数がどれぐらいかということを十分認識した上で,ターゲットの基準を作って,その基準を超えた場合には面接を免除して渡日前で合格を出すということと,それから,奨学金については,国費は学部の場合に私立大学はつきませんから,自前の奨学金制度を作るということをやっていますし,それによってそれなりのレベルの高い学生を採れるということになると思います。
以上です。
【二宮主査】  ありがとうございました。
7時になりましたので,これは,ずっと議論が,あるいは意見もずっと出続けると思いますので,大川さんにあっては,国ができること,しなければいけないことと,国がしなくても,大学ができること,できないこと。例えば渡日前入学,今,大きなテーマですよね。それは,大学が努力すればできるのは,どこまでできるのか。ジョイント・ディグリーで本当に大変難しかったのは,振興課で設置審までどうやって持っていくかという設置基準との関係でとうとう法令の改正までたどり着いていただいて,ようやく大学ができるようになりますね。留学生の受入れも同じだと思うんですね。大学だけで頑張りなさいといったって,できない仕組みがいっぱいあるわけですね。国はそういう制度的バリアは法律を改正してまでもなさるのですかといったところはそろそろ考えてもらわないと,さあ頑張りなさいと,奨学金ももう増えませんので,それ以上のことは。今,派遣のために文科省挙げて民間から奨学金を取って用意してくだっていますけど,お金は頑張っていただいているみたいですが,制度がやっぱり……。
ということで,繰り返しますが,法人化したので大学だけで自由に判断してやっていただいていい部分と,それがなぜできないかという部分と,大学が判断しただけではできませんよという部分を仕分けしていただいて,ジョイント・ディグリーのように振興課の方でしっかり考えていただくとか,そういうようなものがはっきりしないと,学生相手ですので,質保証もありますので,入試という大変な制度がありますので,不正はできませんし,不適切というのは許されませんし,客観性,公明性,透明性,公平性が担保されないと入試は本当にいけませんので,そういったようなところも,学部を考えていますので,何とか整理していただいて議論が進むように導いていただきたいと思いますので,よろしくお願いいたします。
大変恐縮な発言になって,申し訳ありませんでした。それでは,次回のワーキング・グループの日程等について御説明いただいて,本会を閉じたいと思いますが。
【有賀国際企画室長】  資料3を御覧ください。本ワーキング・グループ,次回の予定についてでございます。第9回でございますが,8月又は9月頃に実施をしたいと思っております。場所,議題については,追って御連絡を差し上げたいと思います。
以上です。
【二宮主査】  それでは,時間を過ぎまして,申し訳ありません。ありがとうございました。終わります。

お問合せ先

高等教育局高等教育企画課