大学のグローバル化に関するワーキング・グループ(第7回) 議事録

1.日時

平成26年4月9日(水曜日)

2.場所

文部科学省3F1特別会議室

3.議題

  1. 大学のグローバル化の在り方について
  2. その他

4.出席者

委員

(正委員)長尾ひろみ委員
(臨時委員)勝悦子委員
(専門委員)市村泰男、井上洋、内田勝一、江川雅子、大野高裕、島田精一、新宅正明、二宮皓(主査)、米澤彰純、吉川裕美子の各委員

文部科学省

板東文部科学審議官、德久総括審議官、常盤私学部長、中岡審議官(高等教育局担当)、浅田高等教育企画課長、里見大学振興課長、渡辺学生・留学生課長、今泉大学設置室長、田中高等教育政策室長、有賀国際企画室長 他

5.議事録

【二宮主査】  おはようございます。所定の時刻になりましたので,第7回になりますけども,大学のグローバル化に関するワーキング・グループを開催いたします。委員の皆様におかれましては,御多忙の中,御出席いただきありがとうございました。
 では,本日の議事進行について説明させていただきます。本日は,ジョイント・ディグリーの導入について検討を行いたいと思いますが,検討事項は多岐にわたりますので,まずは,制度の基本設計について事務局より説明していただいて,質疑応答・意見交換を行います。その後,制度の詳細について,更にまた事務局から説明を頂いて,取りまとめに向けての質疑,あるいは意見交換を行いたいと思っております。最後は,今後のジョイント・ディグリーの導入に向けてのスケジュール等について事務局から説明を頂くという段取りで進めてまいりたいと思っております。
 では,配付資料について御確認をお願いします。
【有賀国際企画室長】  配付資料について御説明いたします。議事次第が一番上にございますけれども,こちらの配付資料4に書いてございます1から9を御用意してございます。そのうち最後の資料9につきましては,このワーキング・グループの委員名簿でございますけれども,4月になって委員の方々の役職変更が一部ございましたので,配付させていただいております。机上には資料集,それから大学設置審査要覧,中教審の質的転換の答申を置いてございます。以上です。
【二宮主査】  資料の確認はよろしいでしょうか。
 では,議事に入りたいと思います。まず,ジョイント・ディグリーの制度の基本設計について,配付資料に基づいて,1から3でございますが,事務局より説明をお願いいたします。
【佐藤国際企画室専門官】  国際企画室の佐藤と申します。よろしくお願いいたします。
 資料1を御覧ください。「国際連携教育課程(JD)制度について」という1枚紙でございます。このたび,これまで御議論いただいてきたことを踏まえて,考えている制度の概要について簡単に御説明したいと思います。
 最初の方ですけれども,我が国の大学と外国の大学が連携して教育課程を編成した場合に,今回はあくまでも形式上は両大学が連名で学位記を出せるとしますけれども,法の属地主義という考え方もございますので,外国大学に対して我が国の学位授与権を与えるものではなく我が国単独の大学の学位に外国大学名を付すことができるという整理にしたいと考えております。連携して教育課程を編成する学科若しくは専攻,これは国際連携学科・専攻という名称を検討しておりますけれども,それを設置し,異なる分野の学位として設置認可の対象とするという整理にしております。国際連携教育課程を編成する場合に,連携する外国大学の授業科目については,単位互換ではなく,ダブル・ディグリーの場合は今まで単位互換であったわけですけれども,ジョイント・ディグリーの場合は,自ら大学で開講したものとみなす仕組みを新たに創設するということにしております。その際の卒業要件ですけれども,我が国の大学では修得すべき単位の半分,外国の大学では原則として4分の1以上を修得することとします。ただ,任意ですけれども,共同で授業科目を開設する共同実施科目を設けた場合は,国内・外国いずれかの単位としてもみなせるという形で機動的な運営を可能にするものでございます。いずれジョイント・ディグリーというのは,矢印のところにありますように,外国大学と連携した教育課程を編成し,1枚の学位記に連名で学位を授与できるものであるという整理にしているところです。
 その下の制度の仕組みのところを御覧いただければと思います。我が国の大学A大学が国際連携学科・専攻を作ります。それを文部科学大臣宛てに設置認可申請しまして,設置認可を行う仕組みでございます。その際,外国のB大学は,我が国の法の支配の下に置かれるわけではございませんが,ジョイント・ディグリーを組む際は,前提としまして外国B大学が,外国の政府から正規の大学として認可を受けていること,それから,そもそもその外国の国において,ジョイント・ディグリーが制度上認められているという前提の下で,国内A大学と外国B大学が大学間協定を締結して,ジョイント・ディグリーを実施していく形を考えているところです。
 下の枠組みのところになりますけれども,今回対象とします規模ですけれども,国際連携学科・専攻の収容定員は,母体となる学部・研究科の収容定員の内数の中で上限2割までと考えております。ただし,独立した学科・専攻としての専任教員数や,校地・校舎基準は求めず,いわゆる母体となる研究科・専攻と合わせて必要な教育資源が整っていればよいという整理にしているところです。設置認可に関しては,大学設置・学校法人審議会大学分科会に専門の審査組織を設けて,迅速な設置認可を行うことを検討しているところでございます。
 こういう形でずっとこれまで御議論いただいてきたわけですけれども,なかなかジョイント・ディグリーの場合は,分かりづらいところもございましたので,資料2の方を御覧ください。これは多くの大学の方々からお話を伺ってきたものをベースにして作らせていただきました。実際の想定される運用パターンを示したものです。
 真ん中のラインが国境と考えていただければと思います。左側が日本の大学,右側に外国の大学がございます。日本の大学の場合は,1つの学部・研究科の中にA学科,B学科,C学科等あるわけですけれども,そのうちのいずれかがジョイント・ディグリープログラムを相手の外国の大学と作ろうということで,そこから真ん中の丸いところになりますけれども,日本から一定の科目群,それから教員を出していくことになるかと思います。また,当然にして外国の大学も,Departmentからfacultyとcoursesが出てくるということで,共同で作り上げるところが基本だろうと思っています。
 本当にピュアなジョイント・ディグリーになれば,全て共同で作り上げる科目だけで構成されることもあるのかもしれませんけれども,恐らく現実的には,日本から一部の科目群を出し,外国の大学からもcoursesを出し,それから又は場合によっては,共同で作り上げる科目も合わさって1つの共同プログラムができるのであろうと考えております。その際,小さく書いているところですけれども,単位互換ではなく,共通のものとして設置すると。また,異分野間でのジョイント・ディグリーも可能と考えているところです。
 学生が実際にジョイントプログラムに入ってくるパターンですけれども,パターン1の一般からのシフト型ですけど,これは恐らく学部課程,学士課程において最も一般的な例になるかと思われます。入試の段階で,いきなりジョイント・ディグリー学科みたいなものを作って学生募集するというのは,なかなか現実的ではないと思いますので,2年生の途中,若しくは3年生に入った段階で,ジョイント・ディグリープログラムコースというものを準備して,そこから学生が移行していくパターンがパターン1でございます。一方でパターン2は,むしろ修士課程,博士課程の方に多いことがあるかもしれませんけれども,入り口の段階からJD入試なるものを行い,ジョイントでの共同で単一の学位記を得ることを前提にした入試を行って入ってくるパターン。それから,これはどこまであるのか分かりませんけれども,外国の大学と共同で公募するパターンがパターン3でございます。
 いずれの場合にしましても,すぐ上のところに来るわけですけれども,共同の承認を得て初めて共同のプログラムに入ってくることができると考えております。審査のところに括弧としておりますのは,審査はそれぞれの国が行う,それぞれの大学が行うことも当然としてあり得ると思いますが,JD学生,プログラムに入ってくる学生としてお互いに承認し合わないと,共同で開設したプログラムに入ってくることはないと思います。その段階で,日本側と外国側に学籍が双方発生することになるかと思います。いずれ共同で開設したプログラムの要件を満たした段階で,共同の審査・承認を経て,最終的には共同で単一の学位記が,一番上のところですけれども,発行されると。その学位記には,双方の大学の学長名とシリアルナンバーが入ってくるのであろうと考えております。ちなみに共同で単一の学位記に関しましては,右側の吹き出しの部分でございますが,この世に存在するのは1枚のみであって,国際通用性を考えると英語表記が最も一般的であろう,また,Certificate等の付加も可能であろうかと考えているところです。
 ただ,これが実際の運用のパターンなわけですけれども,今回我々がずっと議論してきまして,最初に資料1で御説明しました制度を当てはめるとどうなるかというのが裏面でございます。我が国の法令上の整理とさせていただきました。我が国の法令上の整理では,法の属地主義に基づいて,我が国の法の支配が及ぶ部分しか規定できません。したがって,その意味で我が国の法令上の整理は,ジョイント・ディグリーの仕組みの一側面を投影したものとなっているわけです。それを説明したのが下の方になります。
 真ん中の部分がジョイント・ディグリープログラムの部分ですが,左上を御覧ください。日本の大学の国際連携学科・専攻として,学部・研究科内に設置します。基本は共同で作り上げるプログラムですので,実態上はお互いに持ち寄って作るわけですけれども,法令上はあくまでも日本の大学の中にJD学科,若しくはJD専攻として設置していただくことになります。
 その際,その下ですけれども,国際連携学科・専攻ごとに1名の専任教員を配置していただきます。この1名の当該専任教員以外の先生たちについては,元となる組織の教員が兼ねることができると整理しております。
 その下ですけれども,異分野間のJDはありというふうにずっと議論してきているわけですけれども,ただ一方で,ちょっと複雑なんですが,異分野間の連携JD,例えば医工学の連携は可能なわけですけれども,異なる分野の学位を出すものではないと。もともと修士(工学)を出している研究科が,相手が医学部と医工連携をしようといった場合に,工を中心とした医工連携のプログラムを作るのはありだと考えておりますけれども,学位そのものが修士(医工学)みたいな形になるものは,今回は対象としないと考えているところでございます。
 下の部分ですけれども,今回の国際連携学科・専攻の考え方で,JDの定員の上限は学部収容定員の内数としての20%と考えておりまして,1年次からの定員設定が必要になりますし,また,連携外国大学からの学生も含むことになりますので,例えば100人の収容定員の学部の中でJDをやろうとすると,20人がマックスになる。ただし,そのうち連携外国大学の学生も含むので,20人のうちイーブンでやろうと思うと日本人学生が10人,外国人学生が10人という形になろうかと思います。
 右側を御覧ください。JDとしては,学位の部分ですけれども,単一の学位記を両学長の連名で出すことに変わりはございませんが,我が国の法令上はあくまでも日本の学位として位置付けられますということになります。ただし,これは当然前提として,外国の大学もJDを認められている国であってJDを行うということになりますので,それをその国にも持っていけば,当然にして国際通用性がある学位になっていくということは申し上げられると思います。
 一方で,その下ですけれども,連携外国大学の教員の位置付けになりますが,飽くまで当該外国大学に帰属する教員としての位置付けになります。したがって,法令上は我が国の大学の兼任発令は求めないために,雇用関係も発生しないと考えているところです。
 また,設置認可申請において,教員名簿の提出は求めることを検討しておりますけれども,現段階では,個人調書や就任承諾書まで求めることは考えておりません。
 法令上は日本の大学の教育課程の一部とみなして,履修単位も我が国の大学で修得した単位として認めることになりますし,学籍も二重学籍となると整理しております。
 最後,真ん中の部分ですけれども,お互いの今,制度上考えている用意すべき単位ですが,日本側は学部で62単位,大学院で15単位をそれぞれ最低準備することと。ここでマイナス30,マイナス5としておりますのは,任意で設置できるとしています共同実施科目については,学部で30単位,大学院で5単位までとしておりますので,それを自ら開設したものとしてみなしてもいいですという位置付けにしておりますので,実質本当に共同実施科目を除くと,日本側が最低で準備しなければいけない科目は62単位マイナス30,15単位マイナス5単位という考え方になっております。また,外国の大学に関しましては,学部31,大学院で10単位以上は最低限準備することとしておりますが,例えば2大学間のジョイント・ディグリーの場合は,62単位足す62単位で124単位が最もきれいなパターンだと思うんですけれども,仮に外国の大学が2つありまして,日本の大学が1つで,3つの大学の間でジョイント・ディグリーを出そうとする場合におきましては,外国の大学1つごとに最低31単位になりますので,その場合は日本が62単位,外国の大学が31単位足すもう1大学で31単位で,124単位という考え方になろうかと思っております。
 資料3を御覧ください。ここは細かくは説明しませんが,ジョイント・ディグリー制度が開始になった暁には,現行あるダブル・ディグリー等のガイドラインを廃止する形で,新たにこういった形のガイドラインを,ダブル・ディグリーも含んだ形で策定したいと考えております。現在考えている構成案でございます。第1章として総論を入れ,第2章で今回のジョイント・ディグリーの制度の概要,第3章で実際のプログラム設置に当たっての留意点,第4章でダブル・ディグリー等の他の共同プログラムについて述べたいと考えております。
 第3章のところだけ、まだ現行の柱ですけれども,参考までに2ページ以降に付けさせていただいております。実際にジョイント・ディグリープログラムを設計していく際に,こういう点に留意していただきたいというものを並べております。2ページから始まりますけれども,プログラムの基本設計として,学位レベル,対象学問分野,名称,それから連携外国大学,学位記,協定,プログラム対象者の選定,選抜,学籍,規模までかなり細かく明記しております。また,4ページ以降は,3番としてカリキュラムの設計・学位審査等ということで,人材像,使用言語,修了要件,単位の修得,共同実施科目,成績評価,論文,学位審査,指導体制,教員等々細かいところまでかなり明記しておりますので,参考までに申し上げておきたいと思います。以上です。
【二宮主査】  ありがとうございました。
 それでは,事務局からの説明に対しまして,御質問,あるいは御意見などをお願いしたいと思います。
【米澤委員】  ありがとうございます。
 単純に図の中で,ちょっと分かりにくいというか,正確にした方がいいかなという点が幾つかありました。資料1の制度の概要の4つ目の丸なんですが,「外国大学で原則として4分の1を修得することとする」と書いてありますが,これは先ほど佐藤さんからお話があったように,「4分の1以上」が正確ということでよろしいんでしょうか。
【二宮主査】  お願いします。
【佐藤国際企画室専門官】  はい。
【米澤委員】  
 それから,同じことで資料2の裏側なんですけれども,左側の四角の2番目の「国際連携学科・専攻ごとに1人の専任教員を配置」なんですが,これも「1人以上」が多分正確なのかなということですね。
 それから,真ん中の科目群の中で学部が62単位,院が15単位と書いてあるんですが,院は多分修士のことを示していて,博士はまた別の話になると思うので,それぐらいのところが幾つか気になったところでございます。
【二宮主査】  よろしいですか。それでは,専任教員の配置について,「1人以上」と表記すべきかどうかというあたりの考えはいかがでしょうか。
【佐藤国際企画室専門官】  御指摘のとおり修正させていただきたいと思います。「以上」ということで。
【二宮主査】  コーディネートもしますので,2人,3人いてもかまわないんですが,基本的には1人でいいんじゃないんですか。1人以上という意味がまた……。設置要件なので,1人とにかく置きなさいと。あとはアシスタントだろうが,パートナー,コーディネーター,つまり1人が海外の大学との責任者にならなくちゃいけないので,あとは授業とかを指導される先生だけなので,御本人も指導されますよね。だから,1人以上である必要性が余り感じられないんだけど。
【今泉大学設置室長】  設置の場合について,専任教員数は常に最低限で示しておりまして,書きぶりとしても何人以上の形で設定しておりますので,ここも先ほどおっしゃっていただいたような形で1名以上であればいいかと思います。
【二宮主査】  そうですか。
 それから,博士の分はよろしいですかね。
【今泉大学設置室長】  はい。
【二宮主査】  それじゃ。
【新宅委員】  よろしいですか。
【二宮主査】  はい,次のところに行きましょう。
【新宅委員】  次の質問になろうかと思うんですけども,ちょっと不案内なので確認なんですけども,ジョイント・ディグリーの想定パターンの裏側のところで,「できない」という否定形のところが赤に2つなっているんですね。その左側のところで,異分野間の連携JDに対する記載があるんですが,これが不可であるということの根拠背景は何かということと,やはりこのように異文化,異地,異カルチャーという異文化コミュニケーションを中心としたジョイント・ディグリーという発想,こちらも選択されるし,相手も選択してくるとは思うんですけども,イノベーティブな発想に基づいた先生たちの会話で新しいものが生まれることに対する発想的な阻害要因にならないかと感じるわけですけれども,その点の御質問をさせていただきました。
【二宮主査】  よろしいですか。
【今泉大学設置室長】  確かにこの部分は分かりにくいところなので説明申し上げますと,現在学位については,学位が変更する場合に学校教育法では設置認可が必要となってまいります。逆に,学位の種類及び分野が変更ない場合には届出で設置できるという形の仕組みがございます。学位の種類及び分野が変更になるかどうかということについては,学位の種類及び分野の変更に関する大臣告示がございまして,その告示の中で17の学問分野の種類を規定しているところでございます。
 そのため,ここで言わんとしているところは何かというと,もともと修士(工学)という学位の種類として修士,そして分野として工学というのがあります。これを主となるものとして,例えば修士30単位の中で10単位分について医の部分が入ってきますという形であっても,あくまでも主となる部分は工学の部分なので,やはり学位は修士(工学)として見ていきます。これが例えば修士30単位のうち15単位,15単位のような形で工と医学が入ってくると。そうした場合に,修士(医工学)という形を取ってしまうと,これは学位の分野が変更になってしまうし,また,なおかつ学位の種類及び分野を変更しない限りにおいて届出を認めるという趣旨は,既存にある教員の専門性職位,あと教育環境というものが,恐らく学位の種類及び分野の変更がない場合にはそのまま同じ教育環境が持っていかれるだろう。そういう場合には,大学の御判断でその届けができますという仕組みなので,今申したとおり半分に医学が入ってきてしまうと,もともとこの部分はそういう教育環境がなかった部分であるならば,それによって学位の種類及び分野が変更になるのはおかしいだろうということで,プログラムの中で一部に違うものが入ってくることはあり得るけれども,あくまでも主となる学位の分野は,既存にある教育環境の下で設定させていただきましたという趣旨でございます。
【新宅委員】  十分理解できました。
【二宮主査】  とても大切なポイントだと思うんですね。国際ジョイント・ディグリーですので,何か外国の大学とやるときに,付加価値といいますか,クロスカルチャーのものとか,あるいは学問の融合分野をやるとか,イノベーティブであるとかはおっしゃるとおりだと思うんですが,ただ,最終的に出せる1枚の学位は,今のように修士(工学)とかとなるという説明だと思うんですね。でも大学のチャレンジングなことを妨げることではないと思います。
 もう1つ,資料にもありましたが,Certificateを出すことができるようなんですね。ですから,この学位はどういう内容を勉強したものであるということを十分に説明すれば,ちょうどディプロマ・サプリメントみたいなもので,要は学位の説明書みたいなものを付ければ,同じ工学という学位ではありますけれども,今のような,制度はそれで守っていただいて,中身は新しいものに挑戦――新しいものというよりも,全部新しくなっては全然また話が違いますけど,10単位ぐらいですけど,マイナープログラムぐらいは入ってきてもいいんじゃないかという趣旨でございますので,御理解よろしいですか。
【新宅委員】  はい。
【二宮主査】  じゃあ,長尾先生。
【長尾委員】  学費に関してですけれども,それぞれの国によって学費,学納金が違うわけですけれども,これに関しては何も規程がないということは,協定大学間で取り決めればいいということで,様々な形態があっていいということですよね。
【佐藤国際企画室専門官】  そのとおりでございます。
【二宮主査】  でも他方で,過度な負担にならないようにとか,「過度」と書いてあったのかどうか分かりませんが,それからもう1つは,学籍がそれぞれ二重になりますので,双方の学生の負担にアンバランスが生じないように大学が協定を結ぶときには少し配慮したらどうかという,もう一方のガイドラインというか,アドバイスがあるみたいですね。それと今のことはなかなか難しいテーマなんですが。
【佐藤国際企画室専門官】  資料3ですけれども,ガイドラインの7ページを御覧いただければと思います。7ページの真ん中に4番その他として,学費・奨学金という欄を設けております。丸1として,複数の大学に在籍することに伴って生じる授業料の取扱い,要はまさに今先生がおっしゃった2つの大学に在籍することになるので,そういったときに価値の対価として過度な授業料等の負担がないように学生の便益に配慮がなされていること,要は授業料を重複して徴収する等のことがないようにということは,ガイドラインとして含めさせていただいているところです。また,当然にして双方の大学の学生間で公平が図られるよう留意することとか,学生の留学に伴う経済的負担についても相応に配慮していただきたいということは,こちらの方に示させていただいているとおりでございます。
【二宮主査】  よろしいですか。
【長尾委員】  はい。ありがとうございます。
【二宮主査】  もう少し時間はありますので,ほかに何か。
【内田委員】  大分わかりやすくなって非常によくなったと思います。幾つか細かいことでお伺いしたいのです。まず、資料1のところで、JDに外国の政府の許可が必要であるというとき、許可というのは個々のプログラムの立ち上げに許可が必要という国もあればそうでない国もあると思いますので、許可の意味を明確にしていただきたい。次に、このやり方ですと一つの大学が共同学位に名前を載せるためには31単位以上ださなければなりませんが、同時に日本の大学は62単位必要ということになると、3は可能であるが4以上の大学でジョイントをやるということは事実上できないと理解してよろしいでしょうか。要するにEUでやっているものに加わっていくことはこれでは若干難しいと判断してよろしいでしょうか。
 3つ目はガイドラインのところで、これまでのガイドラインを廃止するという意味はどういうことでしょうか。JD以外にもこれまでも様々な共同教育のプログラムがあったと思います。そういうものについては従前と変わらないけれども、JDについて新しいガイドラインを作ったので、その部分について付加するという意味で廃止するという言葉を使っておられるのかということです。
 4つ目は、これはスーパーグローバルユニバーシティとの関係で議論されていたので、それとの時間差の問題があると思います。スーパーグローバルの中にジョイントディグリーを入れるのは望ましいとなっていたとしても、ここでの設置認可がいつ頃されていくのかということとの時間差の問題はどう考えておられるのか。この4つをお願いします。
【二宮主査】  それではお願いいたします。
【佐藤国際企画室専門官】  ありがとうございます。
 最初の資料1のJDの許可は確かにちょっと分かりづらいので,分かりやすい,要はジョイント・ディグリーが相手の国で制度上認められていることを意味したいということで書いておりますので,そこは書きぶりを検討したいと思います。
 それから,2番目のEUに加わる等を念頭に置いたときに,外国の大学が2つまでしかできないんじゃないかという御指摘なんですけれども,例えば学士課程を考えたときに124単位の中で複数大学で124単位ということでやろうと思うと,確かに3大学――日本の大学を1つとしてカウントしたときに相手が2つで3つの大学となるかと思いますが,相手の外国大学が3つになることを駄目と言っているものではなくて,ただしその場合は31単位をそれぞれ持っていただくことになるので,学生の負担が実質的に増えてくる可能性はあるという意味では,制度上可能なんだけれども実態上難しいところもあるという御指摘は確かにそのとおりかとは思います。
 それから,従来のガイドラインを廃止するということですけれども,実は従前のガイドラインの中に,ジョイント・ディグリーという言葉がしっかりと明記されておりまして,現行でいういわゆるダブル・ディグリーにそれぞれジョイント性があるものですというCertificateを付けることでジョイント・ディグリーと呼んでいいという定義をしているところです。このたび御議論いただいているジョイント・ディグリーというのは,まさに単一の学位記に連名で学長名を載せていただくようなジョイント・ディグリーですので,そこは全く違う整理がなされるものですから,一旦廃止しないとちょっと分かりづらいということで廃止と。ただし,従前の中でダブル・ディグリー等については,しっかりとやっぱりこういった形で委員の皆様から御議論いただいてきた経緯もございますので,生かせる部分はそのまま生かす形にしたいと思っております。今ガイドラインの構成の中に示しているように第4章のところに,ダブル・ディグリー等その他共同連携プログラムについてという構成にしたいと思っておりますので,従前のところで生かせるところはそういうところに生かしつつ,今回新たに再定義するものは再定義するという形で検討しているところでございます。
 最後のスーパーグローバル大学についてですけども,昨日プログラム委員会がございまして,公募要領の案等についてオープンになったところなんですけれども,10年間の長期支援を考えているちょっと長い事業なので,その中で,場合によっては現行の制度の中でできないものについても構想として含めることは認めるという内容にしているところです。ジョイント・ディグリーに関しましては,文部科学省で推進してきている,今まさにこうやって議論していただいているところもございますので,いつという明言はできないわけですけれども,可能になった場合は,ジョイント・ディグリーを進めていきたいということで,構想調書に書いてきていただいてもかまわないという形にしていきたいと思っております。今後事業の説明会を大学の皆様を対象にさせていただきますので,そういう中でもしっかりと説明していきたいと考えております。以上です。
【二宮主査】  内田先生,よろしいですか。
 外国の大学が2ではなくて3以上になったときに,学生のモビリティーは,例えば10名の学生が日本のA大学にいると。外国で31単位を取りに行きますよね。それは,外国のいずれかの1大学で31を取ればよろしいんではないですか。それとも,3つ以上の大学を全て均等に渡り歩いて31ということは,150単位ぐらいが卒業要件になるとか,その辺のイメージがもう一つ私自身は分からなかったんですが。1大学対1大学だと向こうで31単位をB大学で取ってくればいい。2大学だとそのいずれか,BとB′のどちらかで取ってくればいいと思っているんですが,それは間違いなのかな。
【佐藤国際企画室専門官】  現在考えている案は,要は参加する外国の大学全てにおいて一定単位以上学習することを前提にしております。EUの方のいろんなジョイント・ディグリー,まさに世界は動いていますので,今我々が議論しているものが実は明日もうベースにならない可能性もあるわけですけれども,いずれEUのようにコンソーシアム型で,実際に行っていない大学名も場合によっては学位記に出るものももしかしたらあるのかもしれませんけれども,我々がここで今検討を進めているジョイント・ディグリーというのは,各大学でしっかり学ぶところを位置付けていくという整理にしているところです。
【二宮主査】  ちょっと難しいところで,124プラス31を卒業要件にしないと,B′,B″のところには行かれない感じがしますがね。つまり,全ての大学で授業を受ける,指導を受けることがジョイント・ディグリーにサインした人たちの責任でもあるのでという前提なのか,それとも,日本の大学をキーステーションにして,いずれかで,10人の学生が全部同じ大学に行くわけじゃないので,それぞれ多様な学習の機会を求めて,全体としてのジョイント・ディグリーという,内田先生のイメージは多分その辺あたりを言われて,どう判断したらいいんだろうかというのが……。今まで十分議論していなかったかもしれませんね。誰も答えない。米澤先生はどのような理解だったですか。
【今泉大学設置室長】  よろしいですか。すいません,ジョイント・ディグリーは共通理解のとおりで,1つの教育課程でございますので,そこで学ぶ学生は,等しく同じ教育課程を学ぶことになります。つまりジョイント・ディグリーに在籍する日本人学生,外国人学生が,それぞれ別なプログラムになるわけでは当然なくて,1つのプログラムになります。その場合,実際考えていくと,現在我が国の法令上の整理でこうさせていただいてはおりますけれども,恐らく外国の大学との連携であればイーブンな関係で結ばれるでしょうから,形としては124単位のうち62単位分は我が国で,残りの半分分は外国の大学でというような形で制度設計されて出てくるんだと思います。例えば我が国の大学プラス外国の大学2大学という形になるのであれば,学生の負担が増える形にはなるんですけれども,恐らくそれぞれがイーブンな形でうまく3等分されるような形の1つの教育課程としてジョイント・ディグリープログラムを設けて,3か国あった場合でも,いずれの学生も同じ教育課程を学んで1つの学位にたどり着くというイメージで考えているところです。
【二宮主査】  そうすると,内田先生がイメージされた部分,もう1つ超えた部分ですけども,4大学とかは学生の立場からすると非常に履修が難しい感じがしなくもないですね。
【内田委員】  要するに、3大学でやるというのは、例えば実際に私どもの大学でも、ある学部が半年上海、半年香港にゆく。上海と香港の大学も同じように回るというプログラムを作っています。この形でいくと、4つは無理であるということの確認です。
【二宮主査】  そうですね。大学がそれぞれの共同の1つの教育課程を実施できるということが担保できればそれはあり得るかもしれませんけど,今のシミュレーションだと,負担がちょっと過度になり過ぎるとか,共通性が担保できないとか,いろんな問題を抱えるかも分かりませんですね。
【勝委員】  今回のまとめについては、非常にきれいに書かれていると思うのですが,確認なんですけれども,そうしますと,今の話にも関わるかもしれないんですが,資料2にあるような形,あるいは資料1にあるような形で制度が規定されているということであるとすると,例えば日本では今、共同教育課程という形で国内の大学でも連携して学位を出すことができていると思うのですけれども,国内の大学が複数という形での海外大学との共同学位は,この制度では排除されていると考えていいのか。それからもう1点は,この前もどなたかが御質問されていましたけれども,学位記の表記なんですが,やはり日本語は必要ないということになったのか,この2点だけを確認をさせていただければと思います。
【二宮主査】  それじゃあ,お願いします。
【佐藤国際企画室専門官】  国内の大学が複数になることは想定しておりません。
【勝委員】  それはできないということですよね。
【佐藤国際企画室専門官】  そうですね。
 それから,学位記の言語ですけれども,基本的にガイドラインの方に示させていただいていたと思うんですが,失礼しました,2ページの下の部分を御覧いただければと思います。2ページの2,プログラムの基本設計の学位レベルのところの丸1でございます。学位記に使用する言語は,それぞれの大学が所属する国の公用語,又は国際的通用性のある第三国の言語の中から,協定によって定めることとする。また,必要に応じて多言語併記もあり得るという考え方で考えているところです。以上です。
【二宮主査】  よろしい?
【勝委員】  はい。
【二宮主査】  ほかによろしいですか。
 吉川先生は世界の学位のことは非常にお詳しいんですけども,それぞれの外国にあって,先ほど質問にもありましたように,ジョイント・ディグリーを出していいという制度を持っている国は幾つかはっきりしているんでしょうか。先ほど許可を得るという意味がどなたか,内田先生か,質問があったかと思うので。
【吉川委員】  多様な形がありますので,それぞれの国でそのような形のものを認めると明記しているかどうかということを詳細には存じません。ただ,大学に学位授与権を与える際に,学位の出し方について当該国がどう考えるかという姿勢は各国とも示していると思いますので,協定を結ぶときに相手国の大学に対して,その国においてジョイント・ディグリーがどのように規定されているかを問うことはできるのではないかと思います。
 もしよろしければ,先ほどの学位記のことについて質問させていただきます。もう少し後でお尋ねした方がよいかなと思っていたのですが,資料1では,今回の国際連携教育課程において出されるジョイント・ディグリーは,あくまでも我が国の法規に基づいてプログラムを設計し,その法令の下で出すという解釈であるということだと思います。今議論になっているのは,学位記に表記する言語が何であるべきかということです。ちょっと先取りになってしまいますが,資料3では,先ほど佐藤さんが説明されたように,「我が国の大学と外国の大学とのジョイント・ディグリーであることが明確な名称になっていること。その際,関係国内において社会的通用性があるとともに,国際的にも通用性があるものとなっていること。学位記に使用する言語は,それぞれの大学が所属する国の公用語,又は国際的通用性のある第三国の言語の中から,協定によって定めることとすること。また,必要に応じて多言語併記もあり得る。」と記されています。この点に関して,我が国で出されるこれまでの学位において,日本語以外の学位の名称が認められてきたのかということです。
 資料4を見ますと,(2)の2つ目のところで,「学位規則の改正については,外国の学位を我が国の学位規則に位置づけるのは違和感があるため改正を行わず,解釈変更で対応することで調整を行う。」ということですが,例えば今後日本においても,ジョイント・ディグリー・プログラムのようなものではなくて,英語のみを用いて外国からの留学生も受け入れ,日本の学生に対しても英語で全て授業を行うプログラムが増えてくる可能性があります。そうした教育課程を終えた学生に対して,これまで既に英語で表記した学位記の授与を認めているのでしょうか。設置認可のときには学位に付記する専攻分野の名称について審査し,しかし,英語の表記については一応届け出るにしても,必ずしもそれほど深く議論されていないようにも聞いています。そのためお尋ねしたいのは,これまでに既に日本において「学士」等の学位ではなく,英文の学位を正規のものとして学位記に表記して出してよいという前例があるのかどうかということです。そうであれば何の問題もないのですけれども,もしそうでないならば,今回のジョイント・ディグリー・プログラムについてのみ学位記に使用する言語を英語を通例とするということを,解釈変更だけで調整できるのかということについてお尋ねいたします。
【二宮主査】  お願いします。
【今泉大学設置室長】  幾つか次元の違うことを整理しなければならないのですが,まず,これまでの前例があるかどうかについてでございますが,学校教育法で学位が出せるのは我が国の大学及び学位授与機構だけでございますので,大学の中には短期大学は含まれておりますが,それに限られております。当然ながら国内の大学等を想定して制度設計されております。つまり,そこで出る学位記について日本語で書かなければならないという規定はございません。ただ,今申したような,法律上学位授与権が与えられているのが日本の大学と学位授与機構であるからには,そこで出される学位は日本語であるということが通常でございます。今回,今申したとおり,これまでの前例であるのかといえば,恐らくそれはないかと思いますが,学位記の出し方,使う言語について特段規定したものがございませんので,つまびらかに調べてみないと本当に前例がないのかどうかについて確証はできませんけれども,そういう形と考えています。
 そして,今回こういう形で,学位について使う言語を大学が決めてくださいという形に設定しておりますのも,決してこれまでの仕組みと変わっているわけではなくて,今申したとおり,どういう言語を使うのかというのは特段決めておりませんので,使い方は各大学がそれぞれ考えてやってきた,ただ,今申したような法律上の位置付けがありますので,公用語である日本語が使われてきたというのが通例であろうと考えているところでございます。
【二宮主査】  吉川先生,いいですか。
【吉川委員】  学位を日本語で出しなさいとこれまで学校教育法にも学位規則にも書かれていないという点に根拠を持たれているのだと思いますけれども,日本語で書かれた法律に「大学は,文部科学大臣が定めるところにより,大学を卒業した者に対し学士の学位を,大学院の課程を修了した者に対し修士又は博士の学位を,専門職大学院の課程を修了した者に対し文部科学大臣の定める学位を授与するものとする。」と規定されている場合に,当然日本の大学は,学位は日本語で出すと解釈してきたのではないでしょうか。それに対して今の説明は,本来何語で出してもよいという解釈を示されたということで,それは非常に大きいことではないかと思います。これまで大学としてはそうは考えてこなかったと思いますし,日本の社会においてもそうではなかったと思うのですが,その点はどうなのでしょうか。
【今泉大学設置室長】  よろしいでしょうか。今,吉川先生がおっしゃった点はおっしゃるとおりだと思います。これまでもちろん当然ながら,日本の国内の学校教育法1条項で認可された大学と学位授与機構しか出せない以上,当然ながらそこで出すのは日本語であろうというのはおっしゃるとおりだと思います。それをおっしゃるとおりと思った上で,更に学位記をどういう形で出すのかということについて法令上規定されているものはございませんので,そこは別な次元として,各大学がどういう形で学位記を出すのかというのは,各大学に任せられた点でございます。そういう意味で,先ほどの私の答えが誤解を招くものであったと思いますけれども,次元の違う話と先ほど冒頭で申し上げたのはそういう意味でございますので,御了解いただければと思います。
【吉川委員】  ジョイント・ディグリー・プログラムを終えた学生は,世界に向かって活躍の場,あるいは就職の場を求めるかもしれませんけれども,国内においても当然活躍の場を求めるわけですので,日本語での学位の表記を各大学において定めることは原則ではないかと私は考えるのですね。今は,学士,修士という日本語を基本としながら,各大学が英文の表記を決めているわけですが,もし英文の表記を基本とするならば,日本語ではどういう名称なのかということも各大学に検討を求めることが必要なのではないかと思います。国際通用性ということもよく議論されますので,国外に出たときに,日本の大学と外国の大学によって共同で組まれたプログラムの修了者に対する学位がどのように見られるかということを念頭に置きながら,法律の専門の先生方の御意見も伺いながらもう一度検討していただければと思います。
【今泉大学設置室長】  おっしゃるとおりでございますので,そのように検討させていただきたいと思います。
【二宮主査】  補足はありますか。
【内田委員】  要するに法律的にいえば、日本の学位をだすわけですし、どういう学位をだすかは認可申請のところで決まっていますので、それ以外はだせないことが前提です。それに関して、例えば通称として各大学がやっていますが、日本語で学位記をだして、同時に他方の面でそれを英語で書いてだすことがあります。しかしそれは訳であって、それは正規の学位ではなく、正規の学位は飽くまで日本語で書いてあるところであるという議論をすればよいはずです。

【浅田高等教育企画課長】  すいません,高等教育企画課長の浅田でございます。私も基本的に今の内田先生のとおりだと思います。日本の各大学がどういう学位を出せるのかということは,設置認可によって決まっているわけですから,それが基本であって,それを英語に訳すのは構わないんですけど,訳したからといって本来各大学が出せる学位が変わるわけではないので,私は今の御議論を伺っていて,やはり日本語も含めて,ちゃんと両方で書き表すのが一番いいんじゃないかと思います。その辺をその方向で検討します。
【二宮主査】  それじゃ,資料2の「1枚のみ」というのがやっぱりちょっとひっかかったようですので,1つの学位を出すのは変わりません。学位の分野等は変更できませんのでそのまま決まっています。工学なら工学しか出せないというのははっきりしていますので,そこは英文表記もありますが,新しい学位をこれだけで作るということはないようですので,1枚のみという「のみ」がいろんな議論を巻き起こしているようでございますが,1つの学位を出すことにおいては従来と変わらない。だから今の話だと,最終的にまた検討していただきますが,基本的には日本の大学が日本語で学位を授与して,国際的通用性から多分英語になるでしょうというもう1枚のイングリッシュバージョンを出していいですよという形の議論に収れんしていくかも分かりませんので,きょうはここまでにしましょう。それぞれの頭の中にあることだけでやってしまうと,大変問題が大きくなってもいけませんので,以上で,その点については後日また検討していただくことにしたいと思います。
 大体このパートのディスカッションはこれぐらいですけども,最後に何かございますか。もし何かありましたら,メール等でも事務局の方に御意見を賜りたいと思います。それではありがとうございました。
 次にジョイント・ディグリー制度の詳細について,配付資料4と7になるそうでございますが,今泉室長の方から説明を頂きたいと思います。
【今泉大学設置室長】  それでは資料4について御説明申し上げます。資料4は3月12日にグローバルワーキングのインナー会議を行いまして,そのときに使用した資料でございます。前半では,一般的なジョイント・ディグリーの制度設計について御議論いただきました。これからは,より詳細な部分について御議論いただきたいと思います。
 具体的には,対象となる学校種,これまで学部,大学院を考えて御議論いただきましたが,それ以外に短期大学,専門職大学院等もございます。そこら辺の話がございます。学校種についてでございますが,短期大学についても対象としたいと考えているところでございます。ただその場合,学部においては学科,大学院においては研究科の下の専攻という形で国際連携学科,国際連携専攻を設定する制度設計で考えておりましたけれども,それを考えると短期大学を対象とするのであれば,学科の下にある専攻課程が国際連携を行うジョイント・ディグリーの単位となりますけれども,短期大学自体がそもそも大きな組織ではございませんので,この部分については,短期大学は学科単位をジョイント・ディグリーの単位とするのでいかがかと考えているところでございます。
 大学院の中で専門職大学院についてでございますが,これを対象とすることでいかがかと考えています。ただ,専門職大学院は,必ずしも各国において同じような仕組みがあるとは限らないものでございますので,ここの部分についての英語表記には一定のルール付けが必要かと考えております。
 先ほど勝委員から国内の共同教育課程が既にあるけれども,そこの取扱いはどうするのかという御質問がございました。それとの絡みでもう既にお答えしているところではございますが,国内共同教育課程が1つの特例でございます。大学設置基準において,教育課程に必要な授業科目は自ら開設するという規定の特例として国内の共同教育課程が存在している上に,更に今回ジョイント・ディグリーの特例を上乗せするとなると,特例の上に特例を重ねる形になります。また,現在国内の共同教育課程も実施例が10例とまだ少ない状況でございます。もう少しここの部分については,そもそも国内の共同教育課程が,これまでの10例を踏まえてどういう課題があり,成果があったのかというのは検証が必要だと思います。その検証の上で,ジョイント・ディグリーに対して制度を開くのかどうかという次の議論かと考えているところでございます。
 現在国内共同教育課程においては,海外キャンパスと通信制については対象外としております。今回,ジョイント・ディグリーで外国の大学と連携して共同教育課程を設ける場合におきましても,通信制については,質の保証の観点から対象外という形で成立させていただくことでどうかと思います。その反面,海外キャンパスについては,いまだ設置事例がゼロでございますけれども,今後ジョイント・ディグリーがグローバル化促進の観点で設けられることを考えますと,海外キャンパスにおいては対象とすることでいかがかと考えているところでございます。
 今回ジョイント・ディグリーの制度は,大学設置基準等の改正で制度設計することを考えております。その一方,特区法に基づきます株式会社立大学については,株式会社立大学であったとしても等しく大学設置基準等の規定は適用になるものでございます。それから考えれば,株式会社立についても対象とするものであろうと考えております。
 更に高専,大学の別科・専攻科,短期大学の別科・専攻科がございますけれども,それぞれ学位課程ではございませんので,今回のいわゆるジョイント・ディグリーという連携学位の仕組みからは対象外とさせていただくことでいかがかと考えているところでございます。
 またさらに,学問分野についての議論もあり得るかと考えております。例えば医学・歯学・薬学・獣医学など資格取得のための要件で,例えば医学の正規の課程プラス国家試験,それ以外のところについても同じですが,このように「大学の○○学の正規の課程+国家試験」が資格取得になっているような,日本国内の特定の専門人材を育成することを専らの目的としている学部がございます。その部分については,他省庁,あと関係団体等と調整する必要がございます。その調整が付くまでの間は対象外とさせていただくことで考えております。ただ,本文中においては,これらの学問分野においても制度上開いておく形にさせていただいて,法令の附則において,当分の間○○については除くという形で整理させていただくことでいかがかと考えております。
 なお,これまで内閣官房,法務省,厚生労働省,農水省に説明に行ってまいりました。また,獣医師会にも説明に行ってまいりました。まだ関係団体を十分回り切れているわけではございませんが,これまでの反応からすると,それぞれコアカリキュラムがしっかり存在しているので,なかなか連携する自由度は低いだろうと。ただ,必ずしも制度を適用することに関してはネガティブではございませんでした。また,医・歯・薬については,むしろ人材養成を制限している状況,薬は設置認可上は制限はしていませんけれども,厚生労働省としては人数を一定に保とうとしている観点からすると,そこの部分について定員2割上限はさほど問題はないだろう,その反面,看護については,これからどんどん人材育成を伸ばそうとしているので,2割の仕組みは支障が生じるかもしれないということを厚生労働省では言われております。農水省の方では,これまでも外国人が獣医学の課程で学ぶことはあるので,十分あり得ることではあるけれども,言語をどういうふうにするのかという点を気にされていました。つまり国内で,特に地方において獣医師として活躍していく人材において,英語しかできない,又は外国語しかできないとなると,日本の獣医師としてはなかなか活躍の場が難しいので,そういう場合の獣医学について行うジョイント・ディグリーの言語は,日本語がある程度できることを条件とすることが必要かもしれないということを言われているところでございます。
 いずれにせよ関係省庁の反応でいうと,非常にニュートラルな反応でございます。これから医師会,歯科医師会,薬剤師会,日弁連等にも回っていく必要がございます。そこら辺の調整を踏まえて,またその状況については御報告申し上げたいと思います。ただ今申したとおり,まだ調整が付いておりませんので,これらの部分については,本文上は対象としつつも附則において適用除外とする形で成立させていただくことでいかがかと思います。
 次に専門職大学院でございますが,専門職大学院のうち,法科大学院と教職大学院について特に資格との関連で論点になるかと思います。法務省,内閣官房,それぞれ話に行ったところでございますが,決してネガティブな感じではなかったんですけれども,やはりこれも医・歯・薬・獣医と同じように調整が付くまでの間は対象外とさせていただくことでいかがかと考えております。一方,教職大学院については,弊省内で調整が付く話でございまして,現在のところ対象とする形で整理させていただくことを考えております。
 続きまして,学位でございますが,ここの部分は既に御議論いただいたことと重なりますので,ざっと確認するだけで済ませたいと思います。今回ジョイント・ディグリーの学位については,学位の種類の変更ではなくて,学位の分野の変更として整理する形でございます。その意味するところは,ジョイント・ディグリーに関して,先ほど話の説明の中に出しました学位の種類及び分野の変更に関する告示の中で,幾つか17の学問分野を規定しているところでございます。例えば日本における文学関係の学位の分野と,外国における文学関係の学位の分野が必ずしも一致するわけではございません。そういう意味で,連携するジョイント・ディグリーに関しては,学位の分野の変更として整理して,その上で届け出制度を活用するのではなく,設置認可制度に回す形で考えているところでございます。
 また,学位規則についてでございますが,学位規則は,あくまでも学校教育法に基づいて,日本の大学及び学位授与機構に学位授与ができる前提の下で作られている省令でございます。その中で,外国の大学の学位を学位規則の中に位置付けることでは違和感がございますので,ここの部分については先ほど話しましたとおり解釈変更で対応することで調整を行いたいと思っているところでございます。
 異なる学位分野のジョイント・ディグリーについてでございますが,これも御質問にあったとおりでございます。主となる学位の種類及び分野が変更ない形でジョイント・ディグリーを実施する形にさせていただいて,その範囲において一部異分野のものが入ってくることがあったとしても,主となるものが変わらないのであれば,そういうことも想定する形で考えているところでございます。
 このペーパーの最後でございますが,制度の開始をどうするのかについてでございます。現在事務方として考えているのは,平成27年秋入学開設を最速の実施適用例とすることでいかがかと考えているところでございます。
 続きまして資料5の説明でございます。これはジョイント・ディグリーと,既存にあります国内の共同教育課程の制度と,通常の制度の比較でございます。学位についてでございますが,国内の共同教育課程では,日本にある大学が連名で学位を授与する,ジョイント・ディグリーについては,国内の大学と外国の大学が連名で学位を授与するという形でございます。
 組織でございますが,国内の共同教育課程は,構成する大学がそれぞれ学科・専攻を設置する仕組みでございます。それに対しましてジョイント・ディグリーに関しては,外国の大学は,我が国の法制度の法の支配の外にあるものでございますので,我が国の大学について国際連携学科を設置する形で成立させていただいております。
 教員についてでございますが,国内共同教育課程については,共同教育学科を1つの組織とみなして,その数を構成する大学間で案分する仕組みを取っております。今回ジョイント・ディグリーの仕組みについては,母体となる学部・研究科の教員が国際連携学科の教員と兼ねるという制度設計を行いまして,国内の共同教育課程とは少し違う仕組みとさせていただいているところでございます。
 教育課程の仕組みについては,国内の共同教育課程とジョイント・ディグリーは同じような形でございまして,複数の大学が1つの教育課程を編成する形となっております。
 学生の身分についてでございますが,国内の共同教育課程については,構成大学全てに在籍する形は今回のジョイント・ディグリーとも同じ形でございます。
 校地・校舎及び施設・設備の取扱いでございますが,国内の共同教育課程については,共同する組織を1つの組織とみなして,構成する大学の中で収容定員数に応じて案分する仕組みとなっております。それに対しまして,今回のジョイント・ディグリーの仕組みについては,母体となる学部・研究科の施設・設備を共有することは可とする形といたしまして,母体となるものとして整理して,独立のものとしては持たなくても母体となるところが持っていればよし,共用を可とするという制度設計にさせていただくことを考えているところでございます。
 次に資料6の説明をさせていただきたいと思います。これも先ほど既に説明させていただいているところでございますが,通常の学部,大学院以外に医・歯・薬・獣医,あと短期大学,更に専門職大学院のジョイント・ディグリーの日本の最低取得単位と,連携する大学の最低取得単位について整理させていただいたものでございます。基本的な考え方は先ほど説明したとおりでございまして,日本側のジョイント・ディグリーの最低取得単位については,卒業要件単位数の半数以上で設定させていただいているところでございます。連携大学については,先ほど4分の1と申しましたけれども,ここは1学年分相当という形で考えていただければと思います。
 更に共同実施科目についてでございますが,共同実施科目については,単位互換ができる範囲の2分の1とさせていただいているところでございます。その意図するところは,仮に単位互換数ができる60単位までを共同実施科目として認めてしまうと,日本の大学の単位としてもみなせることができるし,外国の大学の単位としてもみなせることができる仕組みとして共同実施科目を設けるものでございますので,仮にこうした場合に,共同実施科目を60単位という形にしてしまうと,日本で取る大学の単位が2単位で済んでしまうという形になりかねないので,ここの部分については,単位互換数の仕組みが60単位までは認められているところではあるものの,その半分の30単位,又はほかの医・歯・薬・獣医,短期大学,専門職大学院についても同じような考え方で整理させていただこうということで考えているところでございます。
 続きまして資料7でございます。これは,大学設置・学校法人審議会大学設置分科会に配付させていただいた資料で,ここに書かれている内容は,まだ設置審において何らの方針が出たものではございません。あくまでも論点としてこういうことがあり得ますということを提示しただけでございます。今回お示しするのも,論点としてこれから設置審ではこういうことが議論になるんだということを御承知いただくために提出させていただいているものでございます。
 ジョイント・ディグリーの方向性については,既にこちらで議論されているところでございますが,国際連携学科の設置に関しましては,設置者・学校種に応じて,文科大臣の認可が必要になるか,又は届出で済むのかということになってまいります。認可を要する場合には,設置審の審議事項となります。そして,設置審においてどういうことが論点になり得るのかというと,まず,学科等の新設の申請に関しては,現在年に1回でございます。5月末までに申請を行う仕組みとなっております。28年度開設以降については,3月末までの申請の1回のみでございます。ただ,ジョイント・ディグリーに関していえば,海外の大学との連携になりますので,学事歴の違いに柔軟に対応できるようにする必要がございます。その観点で,秋入学にも対応できるような形で設置認可審査の機会を設けることが考えられます。その観点で,学科等の新設に関して,申請時期を複数回設けることの是非について論点として挙げさせていただいているところでございます。
 続きまして,国際連携学科の設置に関して,基本的な設計が母体組織の収容定員の2割を上限として,その範囲で母体となる組織の教員が専任教員を兼ねたり,施設・設備を共用できたりする仕組みで御議論いただいているところでございます。その場合,母体となる組織は,既に認可されている組織でございます。その教員及び施設・設備を使うのであればそこにおける審査の在り方をどうしていくのか,審査手続として,既存の審査の手続とは違う仕組みが必要であるのではないか,又は審査内容について今申したとおり,国内の教員,組織については既に認可されているところを母体としていますので,そこの部分について再度認可を重ねることは必要ないのではないか,我が国の法の支配の外にある外国の大学と雇用関係にある教員については,そこの教員審査を我が国の政府の諮問機関である設置審が審査するのはおかしな形でございますので,ここの部分については,簡素化等の仕組みが考えられないかということを今後御議論いただくことになります。
 また,それと併せまして提出書類でございますが,今申したような外国の大学と雇用関係にある教員の個人調書,就任承諾書は,恐らく審査の観点で簡素化,又は省略することが考えられるのではないかと。その一方,国際連携学科においては,連携する外国の制度,あと,その大学が外国において正規の大学であるかどうか,又は大学間協定,ここら辺の中身については,別途書類の提出を求めることが必要ではないかということが考えられます。この点を今後御議論いただくこととなっております。その御議論については,設置審の下に置かれます国際化対応小委員会において引き続き専門的に検討していく形で御議論いただくこととなっております。
 施行時期については先ほどの話のとおり,申請を受け付けるものとして27年3月1日施行でいかがかということで御議論いただくこととなっております。
 また対象については,先ほど申したとおり27年秋入学から開設でいかがかという形で投げ掛けさせていただいているところでございます。資料の説明については以上でございます。
【二宮主査】  ありがとうございました。
 それでは,ただいまの説明について御質問,御意見をお願いいたします。
【江川委員】  先ほど資料4の説明のときに,国家試験が絡んでいる学問分野の学位の御説明があって,既に関係の省庁とお話をしていらっしゃるということでした。かなり制度上は開いているということなので,実際にはどれぐらいのタイミングを想定していらっしゃるのかというのを分かる範囲で教えていただければということと,それからもう1つは,分野によっては,例えば複数の国の資格を得ることができるコースのようなものは想定していらっしゃるんでしょうか。
【今泉大学設置室長】  ありがとうございます。
 タイミングについては,確かにこれからまだ関係団体を回らなくちゃいけないですし,関係省庁にも一度話に行ったきりで,彼らから正式な回答を得たわけでもございません。その状況がございますので,何とも言いにくいところがございますが,制度設計のスケジュールはこれから資料8で御説明申し上げるところでございますけれども,それには間に合わせる形で調整していきたいと思っているところでございます。
 2つ目の御質問でございますが,例えば医学について,我が国の正規の医師として必要な課程を経て,国家試験を経れば医師資格が取得できるのと同じように,例えばアメリカの大学と連携して,アメリカの医師の資格が取れる仕組みとしてジョイント・ディグリーを制度設計することは,理念上はあり得るかと思います。あとは,具体的なコアカリキュラム――それぞれ日本の医学系の正規の課程としてのコアカリキュラムと,アメリカの医師養成のためのコアカリキュラムとの関係で,どこまで達成できるのかという現実的な問題がありますが,理念上はおっしゃるとおり複数の国で資格が取得できるプログラム設計は可能かと思います。
【浅田高等教育企画課長】  すいません,ちょっと補足させてください。あくまでもジョイント・ディグリーは学位についてのジョイントなので,学位については共同でということはあり得るんですけども,それとまた資格制度,国家試験とかはものによって,相手国によっても違いますので,その調整点は別途必要でございます。その意味では,カリキュラムのハードル以外にそっちの方のハードルもあるということではございます。
【江川委員】  ですから,どちらかというと難しいというお答えかなと思っておりました。
【二宮主査】  ほかに何かございませんか。どうぞ。
【米澤委員】  資料3から資料7までをだんだん見てきて,大分具体的なイメージが湧いてきていたんですけども,一番難しいなと思ったのが,共同実施科目をどういうふうに定義して,どういうやって運用して,どこまでを認めていくのかという点だと思って伺っていました。
 それでまず,戻って申し訳ないんですが,資料3の5ページのところに,共同実施科目についてガイドラインとして書かれていて,これが大学設置基準第19条第1項の規定でどうのこうのと書いてあって,最後のところで,どちらかが既に開設・実施している授業科目を自らの授業科目とみなすような仕組みとはならないように注意することということが明記されていて,基本的には大学設置基準を含めて,自らが自分たちの教育方針に基づいて開設したんだということが大前提になっています。これは制度上は非常によく分かるし,精神上もよく分かるところなんですけども,これがどこまでどういうふうに担保するのかという仕組みが正直よく分からないというか,実態としては多分,例えば飛行機会社がコードシェアリングするような形で,授業を二重に単位をそれぞれがやることは十分あり得るし,あったと思うんですね。そのときに,言い方によってはちゃんと審議をして,それぞれの観点からこれは問題がないと我々はやったと言うことは可能なので,それをどうやって見分けるかというか,エビデンスとして定義するのかというのは,かなり難しい議論かなと思って伺っておりました。
 その点で,それがどういうふうにされるのかということについての具体的なお考えがあればということを確認させていただきたいと思います。それに関連してなんですけど,資料4で海外キャンパスを認めるという話になっていんですが,ここもかなり微妙でして,例えばもう既にダブル・ディグリーの段階で,日本の大学の先生が相手国に行って授業をやって単位を出すということはやっているわけですよね。その逆もやっているということで,実際には学生が移動するんじゃなくて,教員,あるいは大学が移動して単位を出すことは既に行われていると。更にちょっと面倒くさいのは,今までの制度上でも,例えばある日本の大学とある外国の大学がオンラインで授業を結んで,日本の先生が教えているんだけども,向こうで事実上テレビ会議で授業を受けていて単位を取ることが可能になっていって,それが向こうの単位として認められているとかいういろんなパターンが出てきて,更に場合によっては,MOOCsみたいに既に外国の大学が単位としても認めているような仕組みを使ってやりましょうとかいう話もどんどん出てくる可能性があるので,それをどう整理するのかというのは,かなり大きな問題かなと思います。
 その先に,多分どういうふうにガイドラインを制度設計するかという話なんですけども,ダブル・ディグリーのときのガイドラインは,基本的には法的拘束力がないというか,要するにもともとダブル・ディグリーというのは,日本の学位は日本の法体系の下で出される,外国の大学は外国の法体制で出される,お互い関知しないんだけれども放っておくわけにはいかないので,ある程度の基準を設けましょうという精神的なところが強かったと思います。今度のものは,もうちょっと踏み込んでいるというか,実際に設置認可のときに使うことを半分は考えているのかなと思うような形での細かいところが書いてあって,その分だけちょっと分かりにくくなっているというか,精神的な部分と,多分規則的な部分で,ガイドラインに盛り込んだり,方針について盛り込んだりと様々な要素が入り込んでいるようです。ガイドラインという名前でこういう形で整理していくのが一番いいのか,もうちょっと何を精神的なものとしてというか,理念として掲げて,何を制度として掲げるかというのを,違う形で整理することも可能なのかなとも思いました。
【佐藤国際企画室専門官】  最初の共同実施科目の部分についてなんですけれども,まさに共同実施科目をどう定義付けるかというのはとても難しい部分だと考えています。余り細かく規定し過ぎてしまいますと,実際に大学の皆様の方で運用いただくときにほとんど使えないと。例えば御紹介しました過去の議論の中で,共同実施科目なんだから共同で全て一緒に設計して,共同でリソースも全て持ち寄って,共同で指導して,共同で成績付けまで行って,共同で単位認定するんだよねという話が,純粋なものを求めていくとそうなるわけですけれども,実態上,成績付けまで恐らく完全に共同でやるのはなかなか難しいことだろうと思っていて,MOOCsとかを絡めるとどうなるかという議論は,非常に複雑になるところがあるんですけれども,いずれ5ページの丸2のところに書かせていただいているように,適切な役割分担をしていることというところが多分すごく大事だろうと思っています。今回協定の中にしっかりといろんなことを盛り込んでいただくのがとても大事だと思っておりますので,結局それを学生指導等についても共同でいろんな体制を作っている,しっかりとプログラムの共同性をいろんなところで見られることを担保しているというところが設置認可のポイントになってくると思いますので,共同実施科目についても,開設に当たって,事前に関係する大学間で教育内容,方法,教材,成績評価方法,実施等に掛かる経費等の役割分担をしっかりしているということを説明できるところがとても大事になってくるのではないかとは考えております。
 それから,最後飛んでしまうんですけど,ガイドラインについてなので,私の方からお答えさせていただきますけれども,最後の御質問の何でもかんでもガイドラインに入れるのかというところを,確かに今回設置認可と絡んでいる話なので,ダブル・ディグリーのときとはガイドラインの性格はちょっと変わってくるところがあると思います。資料2の裏側の上のところにも実は書かせていただいているんですけれども,今回法令上の整理というのは,JDの仕組みの一側面を投影したものというところにやっぱり限定されてしまいますので,全体を映し出すという意味では,法令上の整理だけでなくて,施行通知もございますし,あとはガイドラインもありますので,今後いろいろ議論を詰めていく中で,分けて考えていかなければいけないところもあるのではないかというのは考えているところでございます。私の方から答えられる点はとりあえず以上です。
【二宮主査】  授業の提供の仕方がオンラインの授業も共同でというあたりはまだこれからでしょうかね。今そこまではここでは多分準備していない,議論は十分にしていないと思いますので,宿題で残していただくようになるかと思います。
 ほかに何か。
【米澤委員】  1点だけ確認しておきたいんですけど,仮に例えば海外大学,外国大学に本校を通じてジョイント・ディグリーをしたいと日本の大学に持ち掛けて,両方の間に合意があった場合,外国大学の本校の日本のキャンパスでの授業を受けて,それはジョイント・ディグリーの一部の単位と認めることはありだと考えてよろしいでしょうか。
【佐藤国際企画室専門官】  ありだと考えていただいてよろしいと思います。現行の整理ではそういうことになります。
【二宮主査】  海外キャンパスはこの後もまだしばらく議論することになりますよね。
【佐藤国際企画室専門官】  整理したいんですけども,海外キャンパスと海外サテライトはちょっと違いまして,これから中央教育審議会のグローバルワーキング・グループで今後の議論の議題として検討させていただいているのは,海外サテライトという形になります。今御説明している海外キャンパスというのは,大学設置基準第50条のところに,外国にそういったキャンパスを設けることができるという規定がございまして,ただそれを本当にやろうとすると,日本の現行の大学設置基準を国内に適用しているものと同じ形で適用するとしているものですから,結局教員組織ですとか,施設・設備についても,外国で全部持たなければいけない形になっておりまして,実際利用実績がゼロという制度なんですね。ですから,これについてはという話が先ほどの資料4のところでありますけれども,今,主査の方から言っていただいたのは,海外サテライトということで御認識いただければと思います。
【二宮主査】  それでよろしいですか,米澤先生,大丈夫ですか。
【米澤委員】  はい,結構です。
【二宮主査】  ほかには何かございませんか。大体よろしいようですね。
 それじゃ,制度の設計と詳細についてはほぼ御議論いただいたものとして,先ほど学位の英語表記等の問題はまだ宿題で残りますし,今のような部分のプロバイドする方法論については,共同実施科目の中でどのように取り扱うかということを宿題としていただくことになりますが,これでほぼ御議論いただいて了解いただけたものと。ですから,あとまだあるかも分かりませんし,意見をどう反映するかということもあると思いますけども,この点についてはせん越ながら主査ですので,主査に一任していただいて,事務局と一緒に準備をさせていただくことでよろしゅうございますか。
                              (「はい」の声あり)
【二宮主査】  丁寧に御議論いただきましてありがとうございました。
 では時間はまだ少し早いかも分かりませんが,今度はジョイント・ディグリーの導入に向けたスケジュールについて御説明お願いしたいと思います。
【北岡大学振興課課長補佐】  では,ジョイント・ディグリーの導入に向けたスケジュールについて御説明いたします。ただいま御議論いただいた内容で,主査の御一任ということで御了解いただけましたので,今後,大学分科会において審議いただくために,主査と調整してまいりたいと考えております。
 その上で,本年5月以降に大学分科会においてジョイント・ディグリーの導入に向けての御審議を頂いた上で,答申を頂戴し,それを踏まえ,大学設置基準等の改正作業を行ってまいりたいと考えております。こちらの資料に書いてございますとおり,平成27年3月末を設置認可の申請の期限としておりまして,27年6月末から設置認可の審査,認可を行うことになっております。そして,大学設置室長からの説明にもございましたとおり,27年10月の開設が1回目のJDの導入ということで考えております。以上でございます。
【二宮主査】  ということで,内田先生が心配されたスーパーグローバル大学との関係では間に合うといってはおかしいんですけども,十分にスピードはアップしていただきますが,内田先生,大丈夫ですかね。私はちょっとスーパーグローバル大学のことをよく知らないのであれなんですが。
【内田委員】  先ほど申し上げたのは,要するにスーパーグローバル大学事業の中で先ほどお話があったように,ジョイント・ディグリーを入れることがある部分必須のような説明があったので,それとの関係で間に合うかということだったんですけども,先ほどお話のようにスーパーグローバルは10年間ですので,そのある時期に入れるということで,設置の認可手続と整合性が取れるようになるということで分かりましたので結構です。
【二宮主査】  よろしいですか。
 随分急いでと言ったら語弊がありますけども,精力的にやっていただいて,準備は大体整いましたので,各大学もこういう観点から果敢に準備していただけるんじゃないかということは期待できますが,有賀さん,どうぞ。
【有賀国際企画室長】  スーパーグローバル大学の話は,本来ここの会議での議論ではないかもしれませんけども,1点,内田先生がおっしゃった話に関連して申し上げますと,JDについては,1つの例示として是非進めていただけたらということで取り上げておりますが,必須ではないということは申し上げたいと思います。
【二宮主査】  それでは,ほかに,じゃあ浅田課長。
【浅田高等教育企画課長】  すいません,余計なことかもしれませんが,日本の大学と海外の大学のジョイント・ディグリーをできるようにすることについては,大きな方向性は賛同いただけていると思います。ただ,細かく詰めていくと,実を言うと当初思っていたよりもいろんな難しい課題があると感じたのも事実です。きょうも日本の大学以上でやったらどうかとか,国内で複数大学の場合はどうかとか,こちらから御紹介しましたけど資格と絡む場合はどうかとかやっぱりいろいろまだまだ課題はあります。ただ,それが全部きれいに整ってからスタートではなくて,大体大きな部分についてはほぼこの場で整理していただけたと思いますので,まず,それでこの制度自体はスタートさせていただいて,その後もまた例えばこういうことはできないかとかいうことは出てくると思うんですね。それについては,引き続いていろいろ検討して,入れられるところは入れていくという形にさせていただければと思っているところでございます。いずれにしろ,このワーキングでコアになる大きなところについては,本当にいろいろ御議論いただいて,整えていただけたと思いますので,是非これでスタートさせていただきたいと思っているところでございます。
【二宮主査】  どうもありがとうございました。
 それでは,予定の時間よりも少し早いのは早いんですが,十分に意見交換も審議もできましたので,予定より早くこの会を閉じたいと思います。
 今後の日程について,事務局から御説明いただいて終わりにしたいと思います。
【有賀国際企画室長】  次回,第8回ワーキング・グループの開催日程につきましては,現在調整中でございます。改めて御連絡させていただきます。
【二宮主査】  それでは,時間が早うございますが,本日の議事はこれで終了したということにしたいと思います。どうも御協力いただきましてありがとうございました。

お問合せ先

高等教育局高等教育企画課