大学のグローバル化に関するワーキング・グループ(第6回) 議事録

1.日時

平成26年2月3日(月曜日)

2.場所

文部科学省3F1特別会議室

3.議題

  1. 大学のグローバル化の在り方について
  2. その他

4.出席者

委員

(正委員)長尾ひろみ委員
(臨時委員)勝悦子委員
(専門委員)市村泰男,江川雅子,大野高裕,島田精一,二宮皓(主査),堀井秀之,米澤彰純,吉川裕美子の各委員

文部科学省

板東文部科学審議官,大槻総括審議官,吉田高等教育局長,常盤私学部長,中岡高等教育局審議官,佐野高等教育局審議官,浅田高等教育企画課長,町田大臣官房付,里見大学振興課長,今泉大学設置室長,田中高等教育政策室長,有賀国際企画室長 他

5.議事録

【二宮主査】  おはようございます。所定の時刻になりましたので,第6回になりますけれども,大学のグローバル化に関するワーキングを開催させていただきたいと思います。いつものように,委員の皆様におかれましては,御多忙の中,御出席いただきまして,ありがとうございます。
 事務局で異動があったとのことでございますので,まず,その御紹介いただくということにしたいと思います。
【有賀国際企画室長】  それでは,事務局から御紹介いたします。1月17日付けで事務局に人事異動がございましたので,新たに就任をした者について御報告申し上げます。
 吉田高等教育局長でございます。
【吉田高等教育局長】  吉田でございます。よろしくお願いいたします。
【有賀国際企画室長】  常盤高等教育局私学部長でございます。
【常盤私学部長】  よろしくお願いいたします。
【有賀国際企画室長】  それから,本日は欠席でございますが,佐野高等教育局担当審議官が着任しております。
 以上でございます。
【二宮主査】  それでは,よろしくお願いいたします。
 本日の議事進行について説明をさせていただきます。
 最初は,昨年末に閣議決定されました文部科学省平成26年度予算案のうち,本ワーキング・グループの審議事項に関連します大学の国際化・留学生交流に関する予算案の概要,そして大学等の留学生交流の推進に関する施策について事務局から御報告を頂き,私たちの委員の間の,あるいは事務局との間の質疑応答・意見交換を行いたいと思います。
 それが前半でございまして,後半は,このワーキング・グループにおいて今後何を検討すべきかと。その検討する課題を幾つか例として用意してありますので,それを御紹介し,そしてジョイント・ディグリーの導入に向けたスケジュールをどう考えるか,それから整理すべき事項は何なのかということについて,まず事務局から,また御説明いただいて質疑応答あるいは意見交換というように進めてまいりたいと思いますので,御協力のほど,よろしくお願いいたします。
 それでは,事務局から配付資料について確認をしていただきたいと思います。
【有賀国際企画室長】  お手元の議事次第を御覧ください。こちらの4番目に配付資料について書いてございます。資料1から7,それから参考資料が1から5となっております。一つ一つは申し上げませんけれども,御確認いただいて,不足等ありましたら,こちらへお申し付けください。それから,机上には設置要覧,紙ファイル,それの参考資料,それから質的転換の答申を置いてございます。
 以上でございます。
【二宮主査】  ありがとうございます。
 では,議事に入りたいと思います。事務局より関連予算案の概要と大学等の留学生交流の推進に関する施策について,配付資料に基づいて説明をお願いいたします。
【有賀国際企画室長】  それでは私から,まず予算の全体像について御説明したいと思います。カラーの資料2を御覧ください。
 タイトルとしては「未来へ飛躍するグローバル人材の育成」というものでございますが,この上の紙に高等教育局のグローバル化関係予算の全体像がまとめてございます。左側,1ポツが大学教育のグローバル展開力の強化ということで,大学への支援の内容のもの,それから右側が2ポツで大学等の留学生交流の推進ということで,学生さんへの奨学金という形のまとめたものでございます。総額としては482億円で,今年度から50億円の増加ということで,来年度の政府予算案となっております。
 左側の1.について私が御説明いたしますが,このうちに(1),大学の体制の国際化という大学の組織の国際化を目指すものと,それから(2),こちらは教育プログラムの国際化ということで,日本の大学と海外の大学とが協働でプログラムを構築するための支援,こういった大きく二つの支援を行っていくことを考えております。
 (1)の大学の体制の国際化の方では,新規は赤字で書いてございますが,スーパーグローバル大学創成支援ということで,新たに30大学,トップ型を10件。これは世界ランキングトップ100を目指すような大学への支援。それからグローバル化牽引型を20件。こちらは,これまでの実績を基に,更に先導的試行へ挑戦するような我が国社会のグローバル化を牽引する大学,こういったものを支援するものを新規で政府予算案に計上してございます。
 それから,(2)教育プログラムの国際化につきましては,大学の世界展開力強化事業として,これまでキャンパス・アジアという日中韓の取組,それから米国等との連携,それからASEAN諸国等との連携などを進めてきておりますが,来年度は新たにロシア,インド等との大学間交流形成支援のための経費を6件分,新たに計上しているところでございます。
 次のページのスーパーグローバル大学等事業、それから,めくっていただいて2枚目のページが世界展開力強化事業についての詳しい御説明でございます。こちらについては説明は省略させていただきます。
【大川学生・留学生課課長補佐】  引き続きまして,学生交流に係る部分の予算について御説明をさせていただきたいと思います。お手元の資料,資料2,資料3,資料4を併せて御覧いただければと思います。
 初めに,まず学生交流,これは大学の改革,まさに今,有賀の方から申し上げましたけれども,制度的な体制整備とともに連携して取り組まなきゃいけないという基本方針を持っております。その中でどういうふうに学生を送り出し,また外国人留学生を受け入れるかを考えなきゃいけないということで,今回,予算要求をさせていただいております。
 お手元資料2の3枚目に学生交流に係る予算案の内容をお示ししております。
 まず派遣,日本人が海外留学生をするという方につきまして御説明をさせていただきます。大学等の海外留学生支援制度の創設等ということで86億円。中身といたしましては,長期派遣。これはマスター以上の学位を取得しに行く留学を支援するものでございますが,これを200名から250名に増員。それから,大学間交流協定に基づいて短期で留学をする。これは1年以内ということになっておりますが,これを倍増ということで1万人から2万人に増やし,予算といたしましては前年度比33億円の増額となっておるところでございます。
 また新規ということで,留学促進のための広報をしっかりして,いろいろと幅広く学生に対して喚起をしていかなきゃいけないということを考えております。
 予算としてはこのようになっておりますが,お手元資料4と併せて御覧いただければと思います。今回,成長戦略に盛り込まれましたけれども,グローバル人材育成コミュニティの形成ということで,官と民が力を合わせて留学を支援していこうということを考えておるところでございます。
 今申し上げた予算につきましては,国と民間から御支援いただく資金でもちまして,併せ持ってやっていきたいというところでございます。
 この大きな理由といたしましては,一つは,海外留学をしなくなった理由。これは,やはり日本の社会がある程度豊かになって,この豊かさをある程度キープしたいと。学生の中にリスクヘッジということが大きく関わってきているんじゃないかと思っております。
 最近,まさに大学体制整備や大学の皆様のお力によって,大分学生たちが前向きになってきたという感覚は受けておりますが,もっと爆発的にやっていかなきゃいけないだろうということで考えておるところです。
 具体的なアンケートをとりますと,就職への影響や経済的問題,大学の体制の整備の問題,それから周囲の理解の問題といったことはよく挙げられるんですけれども,やはり本当はアドバンテージになるべき留学がリスクになっているというところをしっかり変えていかなきゃいけないんだろうと。そういう意味も持ちまして,今回,民間の方々と力を合わせて,どういう留学をしていくと価値があるのか,評価されるのかというところをしっかりと浮き彫りにできるような仕組みを作っていきたい。そのための官と民との力を合わせた仕組みを作りたいと考えております。
 ですので,お金の面だけ見ると,ちょっと無機質に見えますけれども,そうしたこの世の中に必要になる,社会に必要になる人材をどう育成するかというところ。ちょっとチャレンジングではありますけれども,一緒に力を合わせて産官学という形でやっていきたいというのが基本コンセプトでございます。
 それから,外国人留学生の受入れの方でございます。これは今の資料2の最後のページと,それからお手元の資料3を御覧いただければと考えております。
 外国人留学生の受入れにつきましては今般,大体14万人弱ということで,ここのところ震災もございまして横ばい状況にございますけれども,これからますます優秀な外国人をしっかり集めていかなきゃいけないだろう。一方で,中国や韓国が台頭してきている中でなかなか日本が経営者交流で待っていれば来ますという状況は大分変わってまいりました。
 このあたりを改善するために,お手元資料3ということでお配りをしておりますけれども,何か戦略を使わなきゃいけないだろうということで,いわゆる地域戦略なるものを今般まとめさせていただきました。ASEANを中心にロシア,アフリカ,中東等々,それからインドといったところを見据えながら,今まで単に待っているだけではなくて,こういう形で受け入れていこうということを大学と一緒になって考えながら受け入れていきたいと考えておるところでございます。
 また,そのためには現地で採用していかなきゃいけない。今後の課題というところに,また御議論いただければと思うんですが,現地で優秀な留学生を確保していかなきゃいけないということが,これから重要になってくるのではないかと考えております。
 そういう中で今回,予算としまして幾つか手法を新たに追加させていただいております。それが資料2に戻りまして3枚目裏側でございますけれども,一つは新規で留学コーディネーターの配置事業を行おうと考えております。
 まずは3拠点ということでスタートいたしますけれども,現地の優秀な,例えば高校とのネットワークづくりやいろいろな大学の事務所的なつながり。ここの場でもいろいろ御議論いただいておりますけれども,今300を超える事務所が海外にある中で,これをもっと有効につないでいかなきゃいけない,大使館とも連携していかなきゃいけない,また,いろんな現地のニーズも把握していかなきゃいけない。こういうところをしっかり把握して,オールジャパンの組織として,各日本の大学に情報をフィードバックし,また後でもつながりますが,なるべく現地で入手ができて,現地で留学生が獲得できるような仕組みのサポーターとなるような仕組みになっていかないかなということを考えました事業を今回新たに盛り込みました。
 それから,大学の体制整備。有賀から申し上げましたがスーパーグローバル大学の事業,それから世界展開力強化事業の拡充というところに加えて,さらには国費留学生制度についても254人増ということで増やしてまいります。
 もう一つ,先ほど申し上げた地域戦略。資料3にございますけれども,こうした地域から,しっかりとした目的を持って受け入れるということも一つ加味しながら取り組んでまいります。今までの外交上の目的,教育上の目的はしっかり踏まえながら,もう一つ成長を見据えた取組を,3本目の柱として組み込んだ募集をしていこうということを考えております。また,日本に来た優秀な留学生に対して学習奨励費は7,785名支給をするということ。また短期で交流,大学間交流プログラムで交流して受入れの方がございますので,その分が5,000人ということで前年同でございます。
 また留学生交流拠点整備事業といいますのは,日本に来てから,単に勉学だけするのではなくて,地域としっかり根付いていただいて,欲を言えば就職へしっかりつながるよう,地元日本のことをよりよく知っていただいて日本のファンとなって帰っていただけるよう,そういった地域ぐるみの活動に対して支援をするというものでございます。これを10拠点ということで計上して,総額269億円というところでございます。
 こういった方針をもちまして,来年度予算案を今作っておるところでございます。
 以上でございます。
【二宮主査】  ありがとうございました。
 それでは,しばらく時間をとりまして,それぞれ質疑応答あるいは意見交換に入っていきたいと思いますので。特に制限を設けたり,どの順番でということを申したりはいたしませんので,できるだけ御自由に御発言を頂きたいと思います。どうぞ。
【江川委員】  一つコメントと,あと質問です。
 長らく受入れの予算に比べて送り出しがとても少ない状況だったのが,随分増やしていただいて心強いと思っています。ただ,今後ということで,長期的に,やはり送り出しをしっかり増やしていくというのはとても重要なので,それについての御配慮をお願いしたいと思います。
 それから,日本人の海外留学。これは,むしろ受入れの方の助けになると思うんですが,海外の大学生あるいは大学院生に日本に来てくださいという意味で,大学や文科省だけじゃなくて国としてマーケティングをする観点も必要だという話を前にコメントさせていただいたんですが,そういったことは,例えばほかの省庁あるいは内閣府なんかで御検討いただいているんでしょうか。つまり,国全体のブランド戦略というか,そういった観点が重要かなと思っております。
 もしかして文科省全体としてやっていただくのかもしれないし,内閣府とか,あるいは観光を持っているところとか,そういうことになるのかなと思うんですが,その辺の考え方について教えていただければと思います。
【大川学生・留学生課課長補佐】  的確な御指摘ありがとうございます。今,江川委員からおっしゃっていただいたこと,非常に重要だと思っています。
 例えば,時々ニュースで流れますが,クールジャパンで,この間はラーメンのことが流れていましたけれども,ああいう日本を売る,また日本の大学を知ってもらうということをいろいろ併せ持ってやっていかなきゃいけない。これは今,総理がいろいろ各国周っていらっしゃいますけれども,そういったときにも大学のことについて周知をしていただくということを連携しながらやっております。
 今後ますます,そういった日本のことを知ってもらうということが重要になります。今回,留学という観点では,先ほど申し上げましたコーディネーターを配置してまいります。
 御指摘のとおり,ばらばらとやっているところがまだあると思います。観光庁でやっているビジット・ジャパンや,経産省中心に内務省や内閣府でやっていらっしゃるクールジャパンなど,実はいろいろな要素が絡み合って,それぞれの側面からやっているというところはございます。
 留学生獲得,まず日本に学びに来るという観点から関心を持ってもらうということにつきましては,文科省中心に関係省庁と連携しながらやっていきたいと考えておるところでございます。
【勝委員】  今議論にありましたように,送り出しも増えているということで,学生のモビリティーがかなり強まるということで,来年度の予算には大きく期待をしたいと思うわけですけれども,特に受入れの件に関しましては重点地域というものがある。特にその中でも新興国。これは,やはりこれから成長が望まれる地域でもあり,人材の育成が非常に重要になってきていて,教育サービスへのニーズも非常に大きい。そういった地域から学生を受け入れるということに関しては,やはり英語での学位コースは非常に重要であると思われるわけで,グローバル30から始まって来年度の事業もそういったことが中心になるという意味では,非常に大きな評価ができると思っています。
 ただ,先々週,香港の香港科技大学で開催された国際ワークショップに出席して,御承知のように非常にすばらしい大学だったわけですが,何が一番日本の大学と違うのかなと思った場合に,やはりファカルティの国際化という意味で,大きく異なっている。
 日本の大学は,学生の交流はかなり活発化しているわけですけれども,やはり教員レベルでの,例えばファカルティ・エクスチェンジであるとか,そういったものがまだまだ後れている。あるいは,例えば韓国の大学,これは今非常に国際化を進めていますけれども,教員が海外の大学で学位を取った方の比率が非常に高いであるとか,そういったところが,やはり日本の大学と非常に大きく違うのかなと思っておりまして,そういった教員モビリティは非常に重要かと思います。
 もちろん香港,シンガポールというのは,置かれた状況が日本と全く違いますし,彼らにとっては教育サービスの提供が国策として非常に重要であるということもあるだろうと。そうすると,日本には日本に根付いた非常に高いレベルの研究力とか,そういったものがある中で,日本の大学が,どういう形で国際化するのかは置かれた状況によると思います。とはいえ,ファカルティがどのような形で国際化するのかというものは非常に重要な論点なのではないかと考えておりまして,その面での政策、予算措置も必要なのかなと思いました。
 もちろん今,大学の質的な向上,大学改革が進んでいて,その裏腹の関係で国際化を進めていく、ということは望ましいことだと思うので,学生だけでなく教員のモビリティを,視野に入れて考えていくことも重要なのかなと思いました。
【二宮主査】  ありがとうございます。貴重な視点だと思います。スーパーグローバル,あるいはグローバル30なども教員の国際性豊かなというのが前提になってこなければということは,もう随分議論されているかと思いますが,是非連携しながら考えていかなきゃいけないということだと思います。
【長尾委員】  資料2に関して,もう少し説明していただけますでしょうか。1.(1)大学の体制の国際化について、スーパーグローバル大学創成支援と経済社会の発展を牽引するグローバル人材育成支援の2種類ありますね。この上の赤で書いてあるのが,下のスライドに解説してある分ですよね。
【有賀国際企画室長】  下にあるスライドが赤いものと,その下にある経済社会の発展を牽引するというものと両方書いてございます。
【長尾委員】  そうですね。このスーパーグローバル大学創成支援は新規ですね。そして,経済社会の発展を牽引するグローバル人材育成支援というのは,ここに書いてあるように,かつてグローバル人材育成推進事業で採択されたものを組み替えたということで,世界展開とか今まであったものの名称を変えていったもので,新設,新規ではないですよね。ちょっとそこのところを御説明いただきたい。
【有賀国際企画室長】  先ほど明確に御説明できなかったんですが,上にございます,確かにスーパーグローバル大学創成支援,この77億円の部分が完全な新規で公募いたします。一方,経済社会の発展を牽引するグローバル人材育成支援につきましては,昨年度から開始をいたしましたグローバル人材育成推進事業,こちらを先般の行政事業レビューで,関連性のある施策については一体的に推進すべきであるという御指摘も受けまして,組み替える形にはなっておりますが,既存の事業について,このスーパーグローバル大学等事業の下に,名称も若干変えて位置づけております。これも行政事業レビューの中で,産業界の意向をより反映するようにという御指摘があったものですから,それでタイトルや趣旨を若干変えた形で継続して実施をさせていただくという予定にしております。
【長尾委員】  ということは,ここは新規アプライではなくて,これまでグローバル人材育成推進事業に採択されていた大学に対して,こういう方向性に変えて,もう1回やり直すということの指示が出ているわけですね。
【有賀国際企画室長】  はい。
【長尾委員】  それから,予算的にはレビューによって,かつての予算,3年か5年か継続でしたよね。あちらが縮小されたこともあるわけですか。
【有賀国際企画室長】  5年間の事業ですから,そこは継続して実施いたします。
 金額については,こちらはテクニカルな話になるんですが,もともとグローバル人材育成推進事業で採択をされていた大学のうち,スーパーグローバル大学にも応募する大学があると想定しております。そちらに採択された大学につきましては,スーパーグローバル大学創成支援として,一括してそこからお金を出すという形になりますので。そうすると,経済社会の発展を牽引するグローバル人材育成支援,すなわちグローバル人材育成推進事業の既存の部分については金額的に減ることが想定されますので,それを反映した形になっております。
【長尾委員】  そうであれば,そこのところで,上か下かは別として,スーパーグローバルに再チャレンジしたところは移行するという形になるわけですかね。
【有賀国際企画室長】  引き続きグローバル人材育成推進事業の採択校でありますので,両方の内容をやっていただくということになります。移行というと完全に抜け切るような感じがするんですが,既にグローバル人材育成推進事業につきましては42大学の連携体制もできておりますし,これまでにコミットしていただいたことも基本的にやっていただくということになりますので,予算上は抜ける形になりますが,実質的には実施をしていただきます。
【長尾委員】  予算上,その削られた分がスーパーグローバルの方に充当するという形になるんですね。ありがとうございます。
【堀井委員】  海外の学生に日本への留学を考えてもらう,選択肢として日本の大学を考えてもらうって極めて重要で,幾ら奨学金の枠を作ったとしても,いい学生が日本へ留学しようということを考えない限りは有効に使えないわけですよね。
 今年の1月にインドのハイデラバードのIITに日本人の学生,東大生を連れて26人で訪問して,丸2日間のワークショップを,2回目になるんですけれども,実施したんですね。去年はデリーでも半日のワークショップを開催させていただいて,イノベーション教育ということをやってきたんですけれども。そのとき,やっぱり驚いたのは,余りにも現地のIITの学生が日本のことを知らない,日本の大学のことを知らない,留学先として日本の大学なんて考えてみたこともないという,これは本当にがく然と,こんなにも知らないのかと。ソニーが日本の企業であることはよく知っているんですけれども。だから,日本のことを全く知らないわけではないんですけれども,余り知られていないと。
 どうやったら知ってもらうのか。これは極めて重要だと思うんですね。
 去年の委員会の中でも,サマープログラムを実施した話をさせていただきました。30名募集したところに850名,世界中から応募してくれたという話をしましたけれども,やってみてよく分かったのは,世界の大学はサマープログラムを使って,留学生が来るのを獲得競争をやっているんですね。どうやって自分の大学を知ってもらうのか,どうやって自分の大学を留学先として検討の対象にしてもらうのか。そのためにサマープログラムをやっているんですね。
 ですから,正規課程の支援とか,通常の短期の留学のシステムでの支援,これはもちろん重要なんですけれども,もう少し,そういう宣伝活動につながって,学生との交流が実際に起こるような,比較的ハードルが低いんだけれども,魅力的で学生が来てくれるような,そういうプログラムを支援することが,やっぱり海外の大学生に日本に対する関心を持ってもらう上では極めて重要だと思うんですね。
 魅力的なプログラムを今日たくさん御紹介いただいて,どれを使うと,今私が申し上げたようなことが,もっと注力できるのか,少し勉強させていただきたいと思うんですけれども,こういう方向性が極めて重要ではないかと考えています。
【二宮主査】  ありがとうございます。優秀な留学生をどう引き付けるかということなんですが。確かにサマープログラムもそうですが,ムークですかね,MOOCsもオンラインのオープンコースウェアも,まさにそれだと思いますし,いろんなことを使いながら積極的に出ていくと,そういう戦略支援が大切かなというのは御指摘のとおりだと思います。【大野委員】  私も留学生の受入れについてなんですけれども,今,いろんな大学で英語で学位課程を作っていて,ある意味では日本語はなしで入ってくるということがございます。ただ,日本に来ることになったときに,やはり日本語というものをいかに教育するかというか,身に付けてもらうのが大事だと思うんですね。
 それで,先ほどの話じゃありませんが,日本に関心を持ってもらうということについても,例えばサブカルチャーでふっと気が付いた人たちが日本語を現地で学ぶ,そこから日本に対する興味も増してくる。ある程度日本語も,少しはできた上で入ってくるという方が,やはり出口を考えるときに望ましい。
 韓国のように全部英語だけでやって,韓国語一切やらなくてもいいんだと,そういうポリシーであれば結構ですが,恐らく日本は違うんだろうと思いますし,また日本に留学したいという人たちは,日本語であるとか,日本の文化であるとか,そういうものを知っていきたいんだということだと思うんですね。
 そういった意味で,今回の予算の中に,あまり海外現地での日本語教育についての展開が見えてこないって非常に残念だなと思っています。
 特にこれから海外の留学生は,学部に入ってくるというよりは大学院に入ってくるケースが増えてくるんじゃないかと。つまり,中国などでも相当,学部教育は整ってきましたので,学部からというよりは,学部は中国で,大学院を日本でと,そういうニーズが出てくるだろう。そうすると,就学期間が短くなってくるわけですね。それだけに日本語の能力を上げるって,なかなか日本に来てからというのが,それほど時間的に少なくなると,できれば現地でやってもらうということがあるだろうと思うんですね。
 それで,そういった意味で,他の国で見たときに,例えば中国などは孔子学院というのをやっていますね。あのやり方というのは物すごくいろんな国でやっていて,いろんな教育機関と組んで,大学とも組んでやっているんですが,予算的に見ると,1か所に年間1,000万か。そんなに投資しているわけじゃなくて,ある程度サポートするという形をとりながら,うまくお金を,それほど出さずに広げているということがあると思うんですね。そういう他国なんかの事例を見ながら,余り投資せずに済むような形で,うまく日本語の海外での展開というんでしょうかね。
 それは当然,裾野を広げるとなりますから,先ほどのプロモーションにもつながってくるだろうと思ったりしております。
【二宮主査】  日本語がオンラインで学べるというのは今,筑波大学さんが中心になって,全国の幾つかの大学と協働でeラーニングのためのプログラムを開発されています。もう一つは,私は放送大学にいたんですが,放送大学でも準備しまして,多分この4月からリリースされると思うんですけれども,オンラインで日本語講座が放送大学の授業として学べる。単位にはなりませんけれども,世界中誰でもアクセスできると。
 外務省の,あれは北浦和だったかな,にあるセンターの先生方と協働してという。これは本当に無料だろうと思っていますので,世界中から放送大学には,オープン・ユニバーシティにアクセスできれば,まさに日本留学前の日本語学習として,大学院なんか特に使っていただけるとか,そういうのが少しずつ,今日本でも,MOOCsのような形ではないんですけれども,普通のテレビ,基礎英語みたいなものですね。そういった感じで提供できるようになりますので,それを利用できるという情報をしっかり流していけば,ある程度の日本語教育はこれからはできてくるんじゃないか。外務省は外務省で,もちろん,されていますけれども。という感じで,もう少しすればいいものが,すぐに利用できるところまで来るんじゃないかと思いますね。
【米澤委員】  先ほどから話題になっています日本留学への誘い及び入り口の改善なのですが,恐らくここでの趣旨は,「優秀な外国人留学生の戦略的獲得」と書いてありますので,トップレベルの,日本が欲しいと思う質の高い学生をどうやって獲得するのかという観点での話ではないかと思います。
 それと同時に,既に江川委員などが指摘されていましたが,日本全体として留学生をどうやって受け入れていくのかという議論も重要で,これはこれで違う問題として分けて考えていく必要があると思います。
 その上で,次のステップとして考えなければいけないのは,かなり大衆化している大学が留学生をどうやって獲得していくのかということになると思うのですが,このときに幾つか問題になる点があると思います。
 一つは,入学許可を現地で行うという試みはかなり進んできておりまして,いろんな形で,例えばグローバル30の採択大学などで行うようになっています。私自身が特に国立大学の大学院という定員が非常に少ないところでの事例を間近に見る方が多いからかもしれませんけれども,非常に少ない,例えば10人ぐらいの学生をある国に獲得しに行くのに三,四名のスタッフが現地に赴くことが必要になるのですね。現地に行って,いろんな形で学力試験や面接など精査して入学許可をしていかなければいけないという点で,決して効率的なものではないというか,かなり手間がかかることを今やっているのが実態ではないかと思います。
 その一方で,外国での留学フェアなどの場で,本音を言えば,すごく優秀な学生がその場にいた場合には,即刻入学許可をできないにしても,何らかの形で見込みがあるということを申し上げてその学生を引っ張りたいという場面に接することも,大学の側からすれば,かなりあるのかなとも思います。この辺については,もうちょっと効果的に,あるいは効率的に,どこまで許されるのか。それから,どういう形で留学生獲得を行ったときに,日本の大学のブランド価値が高まるのかを議論しなければいけないかと思います。
 もう一つの問題は,日本だけではなくていろいろな国に言えることですが,この前,ユネスコの会議に出席したときに議論になったのですが,高等学校から大学への接続,あるいは大学への入り口の問題が大きな話題になっています。この問題も突き詰めていけば,留学生には入学試験を経て入ってくる学生もおりますし,それから日本語学校を経て研究生として入ってくる学生もいますし,それから専修学校を経て転学してくるという学生も来るようになっておりまして,かなり多様化している実態がございます。これは日本人の学生についても同じ傾向があります。そこで,我々が日本人に対して行っている大学教育と入口の問題の議論を,留学生についても統一的な視野で,日本の大学はどのような学生を求めていて,どのような教育をしていくのかというメッセージを発信していくことが必要になのではないかと考えております。
【市村委員】  外国人留学生受入れの件で,ちょっと意見を述べさせていただきたいんですが。いわゆるグローバル人材の育成,あるいは大学のグローバル化という諸課題に関して,私ども経済界としては,産官学連携によるコラボレーションということが,やはり今後の展開の上で必要条件であろうということは,繰り返し何度も申し上げているわけでございますけれども,そういう中で,例えば,この留学生を受け入れる,こういう戦略というのを今,棒読みですけれども読ませていただいた中で,経済界とどういうふうに連携していったらいいのかとか,いわゆる産官学の全体の枠組みの中で役割を分担して,どういうふうに協力し合ったらいいのかという思想がないんですね。
 やはり,例えば経済界がグローバル化を進める中で,会社のトップは,毎年IRのためにトップが海外を回るわけですね。そして自分の会社をPRして。これは要は株の評価を上げてもらうという目的があるんですが,いわゆるIR活動というのが今,経済界の常識になっているわけですね。
 そういう中で,じゃあ,例えば大学の方で,自分のところへ留学生を呼び込むための自助努力,能動的なワークは一体何があるんですかと。例えばヨーロッパへ行って,自分の大学が名前が売れていない。あるいは今お話にあったインドで名前が売れていないと。当たり前じゃないですか。そういう能動的なワークをしていないんですから。
 ですから,受け身でなくて,もっと自分の大学をどうPRするか,あるいは日本の留学生を受け入れる制度が,こういう立派なものがあるんだということをもうちょっとアピールしないと,PRしないと,知らない人は増えますよね。
 だから,例えばインターネットでこういうのをやっていますよと言ったって,インターネットを開く意思のない人は分からないわけですよ。関心のある人は開きますけれども。
 ですから,やはり,もうちょっと産官学が一緒になって,制度的にも,あるいはその内容的にも,これだけすばらしいんだということをPRすることを一緒になって動くことを考えるべきだと私は思いますけれどもね。そういうことをしないと,ただ,これをやりました,あれやりましたで,事は済まないと思うんです。というのが私の意見でございます。
【堀井委員】  大変厳しい御指摘を頂きまして。いや,私も全くそのとおりだと思うんですね。大学としてはそういう努力を当然のことながらしていきたいと思いますし,それを産官学,力を合わせてやっていく。これは大賛成で,是非,どうやったら一番効率的なのかというところは議論したいと思いますけれども。
 もう一方,極めて重要な点があると私は思っていて,それは,入口も大切なんだけれども出口も大切です。
 うちの専攻では,1982年から文科省の特別コースの奨学金の枠を頂いて留学生教育をやってまいりまして,これまでに800名を超える留学生も輩出しております。うちは英語による教育ということで漢字圏に限定せず,むしろ漢字圏以外から留学生を広く受け入れるということで,50を超える国から留学生を受け入れております。
 それで,国際協力という文脈から,母国に帰って,母国の発展のために,みんなは頑張ってください,そのために教育するんですというスタンスをずっととってきたんですけれども,やっぱり,そこは,もうそろそろ見直さなきゃいけない時期に来ているんだと思うんです。学生に聞いてみますと,日本企業に就職したいという希望が,かなり強いんですね。過去にも,そういう支援はしてきたんですけれども,それは日本である程度研修をして,実務能力を付けて母国に帰ると,そういう文脈だったんですけれども,やっぱり日本企業のグローバル化とかグローバル人材の獲得という観点から考えて,日本に留学して学んだ学生の出口をどう考えていくのかは,すごく重要だと思うんです。
 去年から,今までずっと日本人向けにやってきた就職フォーラムの留学生向けの就職フォーラムというのをやり始めたんですね。かなり理想と現実の間に大きなギャップがありまして,ある企業は,いや,うちは留学生と日本人に全く差を設けていません。採用する以上,留学生も日本人並みの日本語を使えなければ採りませんと,こういうことを極めて強く宣言されるような会社もあったりするんですけれども,日本企業がグローバル人材を獲得してグローバル企業になっていくということを考えたときに,日本に留学生した留学生をどう採っていくのかということは,やっぱり大学と一緒に連携しながら考えていただきたいと思いますし,優秀な学生が日本に来ることを考えるとき,アメリカだったらアメリカンドリームがあるんだけれども,日本にはジャパニーズドリームがないんだ。要するに,日本で勉強しても,その後,就職先はといったら,もっと欧米の違う国に行くんだと。これだと,なかなか本当に日本に留学しに来るというインセンティブが働かないと思うので,そこの,せっかく育てた留学生をどうやって活躍してもらうのかというところを産官学,力を合わせて考えていきたいなと思っています。
【勝委員】  大学のIRの必要性というのは,まさにそのとおりだと思います。一言だけ付け加えさせていただければ,今年度で終わりますけれども,グローバル30という13大学が拠点となっている取組がございますが,この事業がきっかけとなって,13大学を中心に、多くの留学フェアに加え,大学学長会議のようなものを二国間でやるようになりまして,インドネシアをはじめとして,アフリカや,あるいは日本センターと連携したタジキスタンであるとか,あるいはヨーロッパでも,フランスのパリであるとかロンドンで留学フェアを行い,かなり多くの留学生が集まったということがございます。
 やはり,そういった部分は非常に重要で、一つの大学で行うというよりも,大学全体に波及するような形で拠点大学が行っていくことが非常に重要で,その意味でも,そういった国費事業は相当程度の貢献はあったのかなと思っています。
【島田主査代理】  今,受入れの方が多くはないとなっておりますけれども。私,この資料4の「グローバル人材育成コミュニティの形成に向けて」という,この3段目のところに赤い部分がございますが,今回,国費による支援が,海外留学生に対する奨学金という形で,かなり増えたということ。それから,この間,「トビタテ!留学JAPAN」というイベントを12月に文科省中心に開催して,民間資金を集めて,国費と民間資金の両方で留学生の支援をしていきたいと,こういう状況が少しずつ盛り上がっているのは大変歓迎すべきことだと思っています。
 なぜ2004年に約8万3,000人いた日本の海外留学生が2010年には5万数千人と30%ぐらい急激に減少して,余り伸びていかないと。その理由は,先ほどどなたかもおっしゃいましたけれども,日本が豊かになったため,どっちかというと,学生たちもコンサバティブになったということもありますけれども。
 最近,若い学生の皆さんと多少接触すると,さすがに今,世界の中で置かれた日本の状況,厳しい状況を学生たちも理解し始めて,日本の企業の,一部上場企業の6割から7割の収益が海外から得ているという現状,あるいは製造業から始まってサービス業,いわゆる小売業に至るまで,ものすごい勢いで,アジアを中心とした海外へ進出しているという状況の中で,海外留学をすることが日本人の若い学生にとって非常に大事になっているわけですが,しかし,この伸びていない原因は,これはいろんな機関が調査しているようですが,一番大きな理由は就職の問題だと。留学をすると就職の面でかえって不利になると。普通,留学をして外国語ができて,いわゆる異文化の体験をして,心身ともに,あるいは能力も上がっているわけですから,企業としてどんどん採るはずなのだが,意外に就職の面で不利になる。
 それは一つは,日本が,いわゆる4月のフレッシュマン一括採用が大企業の中心の形態になっているということが一番大きいんだと思います。もちろん企業側も,どんどん通年採用であるとか,秋採用であるとか,中途採用であるとか,採用の面についても変化しつつありますけれども,まだまだ就職の面が留学のネックになっていると。
 もう一つは経済面であり,もう一つが大学の体制面。卒業時期であるとか,あるいは大学側が出ていく留学生の面倒見といいますか,フォローアップのできている大学ももちろんあると思いますが,かなり十分でないところが多いということですね。
 そういう意味で,この資料4の選抜から,3段目の赤いところですが事前研修,それから奨学金支給して事後研修,それからインターンシップ・企業説明会などと書いてございますけれども,特に私が強調したいのは,この事前研修,事後研修,それからインターンシップ等企業説明会,こういうことで,先ほど申し上げましたネックになっている就職のところ,あるいは大学の体制の問題などを,そういうネガティブファクターがあるから留学はしないんだと学生たちが考えちゃうということを。もちろん意欲のある学生が,それを乗り越えていくわけですけれども,環境を整えることが必要で,これについては文科省さんも具体策を考えておられると思いますが,是非よろしくお願いいたします。
【二宮主査】  この資料4のスキームが本当にうまくいけば,日本の学生もかなり力を付けて社会に,あるいは研究者にもなっていけるという感じはいたしますね。特に授業料までちゃんと出していただけたら,どこの国のどの大学も行けるという,こういうすばらしいオファーは本当に学生を勇気付けると思いますし,それをうまく企業がこういう形でバックアップしてくれて,本当に社会が求めている研究は一体何なんだということまでも教えてもらいながら行けるというのは,産官学,官民挙げての本当にいいスキームになると思いますので,もっともっと磨いていただければと思います。ありがとうございました。
 進行メモでは45分までとなっておりますので。また全体の中で,このことに触れていただいて結構かと思いますので。事務局も何かお答えになることありますか。いいですか。
 それでは,次のテーマに移らせていただきたいと思います。次は,大学のグローバル化に関する政策,制度などの変遷に関する資料とか,ワーキング・グループにおける,先ほど申し上げました,今後何を検討課題にすべきかという例についてなどを,配付資料が用意してございますし,それを説明いただいて,意見交換等に移っていきたいと思いますので,よろしくお願いいたします。
【有賀国際企画室長】  それでは,私から御説明いたします。これまでのワーキング・グループにおきましては,特に外国大学とのジョイント・ディグリー制度の導入につきまして,前期までの大学分科会においての当面の課題とされてきたこと,それから教育再生実行会議の第三次提言でも言われているということを踏まえまして,集中的に審議を進めていただき,制度の導入の在り方についての基本的な考え方をこれまでに整理を頂いております。
 このジョイント・ディグリーについての審議に加えまして,グローバル化に意欲,関心を有する大学にとって参考となる具体的,かつ汎用性の高い方策というのを,より幅広く検討する観点から,海外展開であるとか,それから国際的な教育連携を充実するための環境整備,双方向の留学生交流の戦略的な推進等について多様な方法で積極的にグローバル化に取り組む大学の関係者からのヒアリングを数回実施をして審議を進めてきたところでございます。
 資料1に,こうして,ワーキング・グループにおきまして,これまでの主な御意見の概要を事務局でまとめさせていただいております。まとめてはございますけれども,これまで十分な時間をとって御議論いただくことができなかった部分がございまして,今後のワーキング・グループの検討課題について幅広い観点から委員の皆様より,これから御意見を伺いたいと思っておりまして,資料6として,事務局にて検討課題の例をお示しさせていただいているところです。
 この資料6の具体的な課題の検討に入る前に,大学のグローバル化に関しまして,近年のこれまでの主な施策,諸制度の変遷につきまして,資料5という横の紙を用意させていただいております。まずこちらから,簡潔に説明させていただきたいと思います。
 日本の大学のグローバル施策につきましては,2000年代前半までは留学生の受入れが中心でありまして,その性格も発展途上国への支援が中心でございました。その後,2000年代後半にグローバル化の進展と産業界からの要請の高まりを契機といたしまして,優秀な留学生の獲得が途上国支援の目的にとどまらず国益につながる戦略的施策として位置付けられるようになってきております。
 こうした流れを背景といたしまして,2008年には政府として留学生30万人計画が策定されまして,これを受けて英語による授業など,留学生に魅力的な教育を提供することを目的といたしました大学の国際化を促進する“Global30”事業が2009年から開始をされ,13の大学が採択されております。
 その後,2010年以降は,それまでは留学生の受入れが中心でありましたグローバル化施策に,欧州をはじめとする各地域において,政府の関与による国際的な教育連携の枠組みづくりであるとか,大学間学生交流プログラムの形成などの動きが活発になりました。これに日本としても呼応する形で,キャンパス・アジア構想をはじめとした地域を特定した国際的な教育連携を支援する大学の世界展開力強化事業を開始をしているところでございます。
 その後は,皆様御存知だと思いますが,グローバル化の進展に伴って,産業界等から国際的に活躍できる日本人のグローバル人材を求める声が高まりまして,減少傾向にある日本人学生の海外留学増加に向けた政策が求められるようになってきております。
 2012年には日本人学生の海外派遣に取り組む大学を支援するグローバル人材育成推進事業を開始をいたしまして,42の大学において取組が進められているところでございます。
 それから,留学促進のためには大学間交流協定等に基づく短期留学する学生への奨学金を増加をするということを,これまでしてきております。
 それから,最近の状況といたしまして,政府の教育再生実行会議の提言などを受けまして,グローバル人材の育成と徹底した大学の国際化のさらなる促進のために,冒頭に御説明いたしました,スーパーグローバル大学創成支援であるとか,官民協働海外留学支援制度の創設を来年度より新たに開始をするという予定にしております。
 それで,次の裏のページをごらんいただけますでしょうか。こちら,大学のグローバル化に関する諸制度の変遷をまとめたものでございます。古くは,本当に古いんですが,昭和49年に留学先の外国の大学での学修を大学の判断で修業年限に通算することを可能にするということ,それから我が国の大学間と同様に,外国大学との協定に基づく単位互換を可能とする,こういった留学を促進するための制度的な整備を行っております。
 単位互換の上限というのは,当初30単位が学部で上限でありましたけれども,その後,60単位まで引き上げられております。なお,修士課程について,書いてあるとおり,10単位が上限になっております。
 その後,この資料には書いてはございませんが,昭和57年には国公立大学におきまして,外国人教員の任用を可能とする法律が制定されるといった制度的な措置もされております。
 その後,特に2000年代以降,世界的な趨勢といたしまして,大学へのグローバル化へ対応を求める動きが高まりまして,平成16年には高等教育の国境を越えた展開に対応できるように,学習機会の国際化,それから我が国大学の国際展開の観点から,外国大学日本校の指定制度を創設するということをしております。それから,我が国の大学の外国での教育活動のより広範囲な提供を可能とするため,海外校制度についても創設をしてございます。
 その後は,海外からの帰国生徒であるとか,留学生の我が国の大学への受入れ,それから外国大学との交流を促進するために平成19年には学教法施行規則を改正いたしまして,学年の始期を4月以外,いわゆる秋入学を可能とするということもしておりますし,昨年には大学の設置基準を改正いたしまして,学事暦の柔軟化を行いまして,これによって4学期制等の柔軟な採用が可能となっているところでございます。
 今後の制度的な検討課題といたしましては,御承知のとおり,我が国の大学と外国大学との国際教育連携や,さらなる国際展開を可能とするようなジョイント・ディグリー制度の導入について,これまで,このワーキング・グループにおきましても集中的に審議を進めていただいたところでございます。
 それから,先ほど申し上げた海外校制度を,より簡易な方法でできるような海外サテライトの制度の在り方というものの検討が課題となっているところでございます。
 続いて,こういった背景を踏まえまして,資料6でございます。こちらは,(1)には大学のグローバル化の推進という形でまとめてございますが,この課題の一つとして,1つ目の丸にございますように,地域社会の発展を支える多様な大学のグローバル化,これを後押しするための方策はどうあるべきかということでございます。
 例えば1つの大学だけではなくて,コンソーシアムの形成など大学間連携を活用した多様なグローバル化を進める大学の取組,こういったものをどのように推進,促進していくべきかという視点がございます。
 2つ目の丸は資料5でも触れましたけれども,これまでのヒアリングで紹介いただいた大学の多様な国際展開を更に促進する環境整備といたしまして,サテライトキャンパスなどの簡易な方法での国際的な教育展開を制度的にどういうふうに整備をするのかという視点でございます。
 3番目の丸は,海外の大学との交流の円滑化のための方策の検討として,例えば現在16年の課程の修了を要件としている大学院入学資格がございますけれども,こちらの見直しであるとか,あとは外国で学位を取得した学生の我が国の大学院への円滑な受入れの促進をどう進めるかという視点。それからEU,オーストラリアなど,学士課程の年限の多様化が進み,3年制学士課程の導入を認める国が増加すると。こういった中で,それらの国との接続を円滑化するという部分が課題となっております。
 (1)の4番目の丸は,外国大学との質の保証を伴った国際的な教育連携を促進するために,国境を越えた教育連携や学修の評価などを担う体制の整備をどう進めるかという視点でございます。
 これに関しては,参考資料4を御覧いただけますでしょうか。こちらは横の紙でございますが,ASEAN+3教育大臣会合という枠組みがございまして,その中で日本がリードをして,提案をして進められておりますASEAN+3における高等教育の流動性・質保証に関するワーキング・グループについての資料でございます。
 このワーキング・グループは日本の主導で設置をされて,昨年の9月30日に1回目の会議を開催しておりますが,ASEAN+3の域内でのいろんな学生交流,質保証のイニシアチブがございますけれども,そういった中で,域内の質保証を伴った学生交流を促進するための共通のガイドラインの作成,こういったものに向けて今,関係国と協議を進めておりますし,それから質保証機関のネットワークの構築にも取り組んでおります。こういったところが質保証の視点としてあるのかと思っております。
 それから,参考資料5という次の資料には,ユネスコとOECDの協働による,国境を越えて提供される高等教育の質保証に関するガイドラインでございますけれども,この着実な実施に向けた取組として,例えば政府向けに,国境を越えて提供される高等教育の質保証のための制度の確立であるとか,学位の相互承認や互換の促進等,こういったものが潜在する課題として考えられると思っております。
 それから資料6にお戻りいただきまして,次に(2)の下半分の留学生の双方向交流の促進についての検討課題の例でございます。
 こちらについては2020年の留学生交流の倍増に向けまして,留学生交流を加速させて,グローバル人材を育成していくためには,学生個人に対する経済的支援,学事暦の柔軟化,ジョイント・ディグリーなどの制度的な措置に加えまして,大学としても国際化,多様性の浸透,留学生交流により積極的に取り組んでいく必要があります。そのための具体的な方策を議論し,大学に示していくことが重要だと思っております。
 1つ目の丸につきましては,日本人の海外留学促進のための具体的な方策での検討につきまして,具体的な課題例として3つ挙げてございます。
 1つ目はカリキュラム上実習や実験が多く留学期間の確保に工夫を要する分野における留学を可能とするための方策といたしまして,例えば海外留学とか海外インターンシップなど,カリキュラムに組み込んでしまうといったことが,例えば理工系,医師系といった分野であっても留学期間を確保するなどの取組の検討の方法としてあり得ると考えております。
 2番目にはギャップタームを活用した海外インターンシップなどの取組や,大学間の単位互換のさらなる促進など,学生の海外における活躍の促進であるとか,海外留学へのインセンティブを高めるための取組の促進,こういった方策が課題と考えられます。
 3番目のポツにありますのが,留学経験が就職に結び付くのかという不安から学生,あるいは控える学生が多いという先ほどの課題でございますけれども,それを払拭するために産業界に求められているグローバル人材の在り方を学生等に示していくことが必要だと考えております。そのために,まさに産学官の連携が重要と考えております。
 それから,下の2番目の丸につきましては,優秀な外国人留学生の受入れの促進のための具体的な方策の検討につきまして,国費,私費にかかわらず優秀な外国人留学生を確保するために外国人留学生が留学しやすい環境の整備が重要と考えております。
 4つポツがございますが,1つ目は,重点地域に留学コーディネーターを配置して,現地における日本の大学の情報,それから日本留学の魅力の発信,現地校の情報収集といったものにつきまして,このコーディネーターだけではなくて,在外公館であるとか,関係機関,大学等とも連携して行うと。こういったことで,先ほどのお話にありましたオールジャパンでの日本への留学の促進に加えまして,現地選抜,渡日前入学許可の促進など,より積極的な受入れができるような仕組みづくりが課題であると考えております。
 2番目のポツは,例えば,高等学校卒業までは11年でありますロシアなどから留学を促進するために,我が国の大学等における飛び入学制度の活用といったものが課題として考えられます。
 3番目は,外国人留学生が安心して勉学に専念できる受入れ環境の整備についてでございまして,そのために宿舎支援であるとか,地域住民との交流などの生活支援の充実が課題でございます。
 もう一つは,外国人留学生の約5割が日本での就職を希望するという一方で,実際に就職している学生さんは2割程度というのが実情としてございます。そのため,今後,関係省庁や産業界とも連携をして,国内企業や現地の日系企業への就職など,卒業後の国内外でのキャリアパスを示すといったことが,まさに優秀な留学生を連れてくるという観点から必要な課題と考えております。
【二宮主査】  ありがとうございました。
 これまでジョイント・ディグリーにかなり集中的に絞って議論をしていただくという大変窮屈なことをお願いしてきたのではないかと思っておりますが,本日は,今御説明にありましたように,もっと幅広く,この大学のグローバル化の推進と留学生の双方向交流の促進という二つの大きな柱について検討すべき事項あるいは視点,方向性などについて,本当に自由に御発言を頂ければと思っております。私どもで整理整頓することは全くありませんので,しっかりと御発言いただけたらと思います。お願いします。
【堀井委員】  資料6,大変うまく整理されて,課題が網羅されていると思います。どれも大切なんですけれども,先ほど日本人の学生をどうやって海外に送り出すのかという観点で議論がありましたので,(2)の最初の丸1の点について,ちょっと意見を述べさせていただきたいと思います。
 日本人の学生が海外に留学しようとしたときに,様々なハードルがあって,そのデメリットをいかに減らしていくかが一つの方向性であるというのは間違いないわけですから,いかに海外への留学をしやすくするかという検討が大切なんですけれども,もう一方で,海外へ留学することのインセンティブ,メリットを明確化するということも極めて重要だと思うんですね。本人にとってメリットがあるって,それはそのとおりで,でも,それだけで本当に学生が留学しやすくなったから留学するのかというと,そこには私は政策的な支援が必要なのかなと思います。
 ここの文言の中では,それは文言としては入っているような気もしますけれども,例えば海外の大学間の単位互換の促進とか,学生の海外における活動を促進する方策という言葉の中に含まれることではあると思うんですけれども,グローバルな環境で実践的な問題解決型の学習を,留学することによってすることを,高等教育の中でどう位置付けていくのかというところは,もうちょっと抜本的な検討も必要なのではないかと思うんですね。
 高等教育において,そうやってグローバルな環境で問題解決型の学習することの意味を捉え直すということを考えると,単に単位互換だけではなくて,少し何か修了要件の見直しまで踏み込んで,これからの高等教育はどうあるべきかを考え,日本人学生の海外への留学をその中に位置付けていくということも必要で,そうすることによって,留学するインセンティブが形として見えるようになっていくのではないかと思います。
【二宮主査】  ほかにいかがでしょうか。どうぞ,吉川先生。
【吉川委員】  資料6で,外国で学位を取得した学生の円滑な受入れに当たって,海外において学士課程が例えば3年制の場合に大学院への受入れをどうするかという,修業年限の違いについての問題提起がありましたけれども,ユネスコが出している学位等の相互認証に関わる地域協定においては,趨勢として,実質的な相違,substantial differencesがない場合には認めましょう,ということで,日本でもそういう検討は進められてきていると思います。
 その際に,やはり国として,何をもって実質的な相違と言うのかを明確にすることが,まずは必要ではないかと考えます。
 海外との交流,あるいは学生移動を推進するためには,大学教育又は大学院における教育等の質の保証が大切だということは,これまでの資料にも度々書かれているところですが,それに関連して1点だけ申し上げます。
 先ほどの資料4に戻りますが,「グローバル人材育成コミュニティの形成に向けて」の産官学で協力しつつ,グローバルな人材を育成していくという視点はとても大切だと思いますけれども,企業による支援が留学生にとって,自ら留学先で行う学修とどう関係するのかというあたりを明確にしていくことも必要ではないでしょうか。
 これは資料6でも,今後のワーキング・グループにおける検討課題の例として,(1)では外国大学との質の保証を伴った国際的な教育連携の促進が挙げられ,(2)においては,産業界が求めるグローバル人材を育成するため,産業界とも連携した留学支援の仕組みの構築ということが挙げられています。学生の留学を促進するに当たって,教育の質の保証と企業の求める人材の育成とがどのように関わるのか,という点を,教育ないし学修という観点から明確に打ち出していくことも大切ではないかと思います。
【二宮主査】  ほかにいかがでしょうか。どうぞ。
【米澤委員】  同じような論点で,留学生の双方向交流の促進の中の下から3番目のポツですかね。高等学校卒業までが11年であるロシアなどからのところなのですけれども,これはかなり大きな日本にとっての変更になるのかなと思いますし,実態としては恐らく,そういうことが起きた方が望ましいかなというのは,総合的な判断としては私はあり得ると思います。
 ただ,例えば11年あるいは10年で大学に入り,3年で学士を終わり,1年でマスターを取ってドクターに来るという学生が来た場合に,相当に大きな学力差を感じないわけではないですし,ある程度精神的な成長みたいなものも感じないわけではないので,この部分については,大学側が,それぞれのニーズに応じて適切な判断ができる余地が,特に割と選抜度が高いところについては必要であると同時に,逆に言えば,学生を選抜していないに近い大学において,これをどこまで機械的に認めていくのかについては,多少慎重になった方がいいかなという感じもいたします。
 恐らく,その折衷案としては,こういう形をとった場合に,日本で教育を受ける上で必要な支援を考えていく必要があるのかなとは感じます。具体的には,例えば,世界で活躍するような優秀な学生に関しては,恐らく日本語をオミットしてでも入ってもらいたいし,その中で,年齢を問題にしないででも頑張ってもらいたいという場合があると思うのですけれども,逆に,単純に日本に来て,例えば,必ずしも高い技能を要しない形で働きたいという学生が来た場合に関しては,初めの1年ぐらいは日本語の支援を充てるような準備課程を行うとか,多少何らかの形で,日本の大学生として遜色がない形での卒業ができるような形での支援を組み込んでいって,無理のない形で着地していかないといけないかなとは感じます。
【二宮主査】  ありがとうございます。どうぞ。
【江川委員】  先ほどからグローバル人材をちゃんと育成するために産官学でしっかり連携していかなきゃいけないというのは,そのとおりだと思います。
 今,大学が産業界というか,社会のニーズにしっかり応えられていない面があるので,それをしっかりやっていかなきゃいけないというところはあるんですけれども,一方で私自身は,産業界というか,日本全体のグローバル対応力が今本当に問われていると思います。
 せんだって,経済学部で私がやっている事業に機関投資家の方に来てお話をしていただいたら,その方が,海外の企業と日本の企業の一番の違いは何ですかという問いを学生に投げて,その答えが利益率が低いことですと言っていたんですね。それは別に人材だけの問題ではないのかもしれませんけれども,例えば外資系の日本の法人の社長を探すときに,日本人でいい人がいなくて,どうしても,日本のことを知らないけれども,経営とかそういうスキルがあることで外国人を持ってくるという話をよく聞いたりとか,そういうことがあるので,やっぱり日本全体が,もっともっとグローバル対応力を付けていかなきゃいけないということで,危機感をすごく持っています。
 あるデータを見ていたら,例えば,これだけグローバル人材ということがすごく言われているのに,英語の力が,ここ数年間,日本全体で全然伸びていなくて,むしろ少し落ちているというデータも見たことがあります。
 その大きな理由は,日本に普通に暮らしていると,特にグローバルに対応する必要性を感じないという,その社会全体の問題が大きいと思います。学生が留学しないとか,いろんなことを言っていますけれども,私が見ている感じだと,意識の高い学生は結構その辺感じているんですけれども,全体としては,それほど危機感が社会全体で,まだまだ弱いというか,就職にどうしても必要だとも思われないし,例えばマスコミの報道も,やっぱり国内のニュースが中心だったりとか,それから,いろんな組織で上に上がっていく人が本当に国際対応人材かというと,必ずしもそうではなくて,むしろ商社でも,海外に行くと何か情報が入らなくなるとか,そういう話を聞いていまして。
 ですから,社会全体の問題というと,やれることは本当に難しいのですけれども,隗より始めよというところで,例えば公務員試験だとか,文科省の仕事をやるためには,どうしてもグローバル対応力が必要だとか,メッセージとなって分かりやすい方向で,やはり社会全体としてグローバルな対応力を付けていかなきゃいけないということを発信していくことも考える必要があるのではないかと思います。
【二宮主査】  ありがとうございます。それでは,ちょっとつなぎに私が何点か申し上げてみたいと思うんですが。一つは,教育再生実行会議が6・3・3制問題を議論されているし,文科省におかれても議論されていると思うんですが,高等教育は4年でいいのかという問題については,国際的な流れの中で,本来4年,ボローニャ・プロセスでも4年ということが想定できますけれども,もし3年間で就業力のある,社会が求める,世界的に求められる人材能力が達成できるスキームがあるなら3年でもいいんじゃないかと。3年であればコストエフェクティブあると。そのために,なぜ私たちは夏休みを休業日にしなくちゃいけないのかですね。365日,イヤーラウンド型の学校というのは,本来どこかにあってもいいんじゃないかといったようなことも,基本から考えていけば,競争力の高い高等教育のサービスの提供が国境を越えてできるのではないかなという,一つはそういうことです。
 6・3・3制でさえもが議論される中にあって,高等教育だけが旧態依然と守られているというのは,やっぱり時代に取り残されていくのではないかという視点。
 それから,4学期制について,いろんな観点の,高知工科大学さんとか,筑波大学さんでもそうですが,取り組まれてきました。しかし,それが国際交流という観点から見直されてきたときに,余りインパクトを与えていないんですね。本来なら3学期プラスアルファとか。昔,通年制の弊害が議論されて,文科省の政策でセメスター制というものがどんどん導入されて,かなり良くなってきたし,力も付けられるようになってきたと思うんですが,教員のための授業が学生のための授業になるという思想的な転換がそこであったと思うんですね。
 それに加えて,今4学期制そのものをもう一度,あるいは3学期プラスアルファ制度そのものを教育効果,学習効果,あるいは研究上にとってのメリット,それから産学連携を展開するメリット,あるいはボランティアなどの地域貢献をさすメリットなどをまず押さえて,国内におけるメリット,大学としてのメリットがある中に国際的な展開,あるいは海外体験,留学などもそれで,かなりスムーズに行けると。留学生の受入れは,もちろんリボルビングドアになりますので。
 もう一度,4学期制が世界に弾力的に対応しながら,しかも実力を付ける教育としてはいいと。公認欠席制度があるんだそうですね。私も知らなかったんですが,大学に提出すると欠席しても出席扱いにしてもらえるという制度があって,世にも不思議な制度があるなと思っているんですね。授業に出なくちゃいけないのに,なぜ公欠があるのかと不思議に思うことがあるようですので。
 そうじゃなくて,学期の組み方とか,サマースクールの活用の仕方とか,そういうタイミングをもっと弾力化することでもって集中的に実習ができるとか,インターンシップができるとか,海外に行けるとか,先生もサバティカルがとれるとか,そういったことを中教審の本体の方で考えていただくことでもって,こういうグローバル人材とか留学交流の基本設計ができるんじゃないかなと思うんですね。
 第2点は簡単なことなんですけれども。私も留学生30万人計画の頃から大変勉強させていただいて感謝しておりますけれども,先ほどの資料2から新たな戦略ということですが,もう一つ抜けているかなと思うのは,分野とか地域別じゃなくて,留学生というのは世界を移動する学生,モビリティーを行っている学生のことだと捉えていくんですね。モビリティーは350万から500万,500万から750万という右肩上がりでますます増えていくだろうというときに,アジア・ゲートウェイ戦略構想の中で,私は5%は日本は引き受ける実力あるはずだ,また責務もあると言ったことがありますので。
 例えばインドネシア,バングラデシュ,あるいはインド,タイもそうですが,海外留学する層が豊かになってきて増えているんですね。増えている層の送り出しの側の国の5%は必ず日本が引き受ける。結果30万人と。
 そういう5%はどんな国であっても日本が引き受けるための戦略を考えていくと,その国はどの人材を求めているかというのは分かって,国別のエンジニアとか,その国は社会科学系とか,あるいは私費留学でみんなが行くようになったとか,そういうことで留学生を受け入れる戦略は,もっともっと送り出す側のニーズに応える日本の大学づくりという観点では,5%を達成すればいいという一つの戦略目標を立ててみられて,各大学にいろいろ提案してみられるといいんじゃないかなということでございます。
 ほかの方,いかがですか。どうぞ。
【長尾委員】  今,二宮座長がおっしゃった,4年制ではなく高等教育を3年制で卒業できるように制度を考えられないか。中国は3年,アメリカも3年を許容している。それからインドもと聞いたんですけれども,そのあたりを一度,文科省の方で調査していただくことはできないでしょうか。そして,その議論の中で,優秀な学生は3年制でという項目があることは分かっておりますけれども,そこが特例になってしまうので,今後の世界レベルに合わすことが一つ考えられるのかもしれないなと思いますので,資料を頂けたらと思います。
【二宮主査】  今の長尾先生のお願い,よろしゅうございますか。よろしくお願いします。
【中村大学振興課課長補佐】  次回用意させていただきます。
【長尾委員】  よろしくお願いします。
【二宮主査】  ありがとうございます。ほかに,どうぞ。
【島田主査代理】  先ほど江川先生も言っておられたんですけれども,日本で語学力というか,英語力というか,これは非常に重要なことだと思うんですね。やっぱり語学力がないと。手段であって目的ではないわけですけれども。語学力がないということが日本の,よく国際会議であるとか,政治家,経済界の国政会議,あるいはいろんな国際機関において,国際機関での職員に応募する人が少ないとか,いろいろあるわけですけれども,これは,やはり一つは,いろんな理由はあるんでしょうけれども,語学の問題があると思うんです。
 それにしても,中教審の大学のグローバル化ワーキング・グループ資料集を見ると,ここにTOEFL iBTスコアで国別ランキングで,日本は163か国中137位,アジアの中で30か国中28位で,アジアでは日本よりTOEFLのスコアが悪いのはカンボジアとラオスだけだと。こういう状況は,やはり非常に良くない。語学は飽くまで手段ですから,一番大事なのは,やっぱりアイデンティティーを持って,何を考えているかという,その人の個のレベルの高さから重要なんですけれども,それにしても,今,国際共通語になっている英語力がこの程度ではどうしようもない。どうしてそうなのかというと,日本社会全体が,先ほど皆さんからおっしゃっているように,やや内向きになっているということだと思うんです。
 私自身の経験からしましても,若い頃,海外へ出ると語学が重要だなんていうのは教えられなくても,そうしないと生きていけませんし,自分の言いたいことも言えませんから,自然に,これはいかんと思うわけなんですけれども。それにしても,そういう意味でも,鶏が先か卵が先かという議論にもなりますけれども,ともかく,なるべく若いうちに海外へ行くチャンスを得る日本人の人が多いということが,この語学力一つとっても大きなテーマだと思うんです。
 この間たまたま日経に出ていた,「大機小機」という日経の欄があるんですけれども,人づくりは国策だというようなテーマで明治維新のことが書いてありますが,ちょっと読ませていただきますと,武士にそろばんは無用と16歳まで渡米するまで数学に触れなかった山川健次郎。山川健次郎というのは,会津藩出身で後に東大,九大,京大の総長をなさった方ですけれども,日本最初の理学博士という方のようですが。武士にそろばんは無用と16歳で渡米するまで数学に触れなかった山川だが,北海道開拓使によって国費留学の機会を与えられ,143年前の元旦に横浜港を出発した。人づくりは国策次第であるという。彼の場合も,アメリカのイェール大学に入学して,しっかり世界の状況の中で,当時の日本を何とかしなきゃいかんという強い思いに駆られたんだと思いますけれども。そういう意味でも,若いうちの,留学がしやすい環境が重要です。
 放っておくと,今は確かに,日本は世界の中で最も安全な国ですし,ある意味では一番暮らしやすい国だから,なかなか外へ若い人が出ていくというモチベーションが出てこないということ。その一方,企業は,この急速に進むグローバル化の中で,いわゆる世界の中でなければ生きていけない,日本だけではガラパゴスになってしまうという状況。そのアンマッチングが今起きているんじゃないかという感じがするので,海外留学の促進策は産官学でやっていく最大の問題の一つじゃないかと思っております。
【米澤委員】  多分,いろんな形で問題になっていることにつながると思うのですけれども,吉川委員が先ほどおっしゃったユネスコのリージョナル・コンベンションの中で,学位が実質的な意味を持っていればという,その実質的なところをもう少し,実は伺いたいところでもありますし,議論すべきかと思います。
 これも同じくOECDの統計で数年前から明らかになっていることですけれども,日本は少なくともOECD諸国の中で最も大学の卒業率が高いというか,中退率が低いということも一つの事実として考えなければいけなくて,逆に言えば,4年たてば,かなりの人が卒業できてしまうということを前提として,我々は,入り口の方で高等教育の質保証の問題を考えてきたし,作ってきたという現実があるわけですね。
 この問題,少し大きな問題で,恐らく3年で卒業を認めるということと同時に,人によっては3年では終わらないというか,きちんと大学教育をすれば5年かかる人もいるだろうしということは十分考えるべきではないかと思います。
 たまたま私は国際教養大学という秋田で英語で全部授業をやっているところの外部評価委員をやっているのですけれども,その中で,だんだん明るみになってきたことは,やっぱり4年間で彼らはやっていないというか,逆に言えば4年でやることは難しいですね。それはどうしてかというと,まず1回英語で勉強をするということに慣れるのに1年かかりまして,その上で,そこから初めて大学,グローバルな水準にふさわしい教養教育を始めていくことになります。もちろん学生が優秀ですので,多くの人は4年あるいは4年半で終わっているわけですけれども,必ずしも全ての人が普通にやっていたら終わるものではないという部分があって,恐らく留学をするということは,ある程度,もちろんダブル・ディグリーとか,デュアル・ディグリーとか,いろんな形で,優秀な方はどんどん早くというのは分かるんですけれども,時間がかかる人も出てきても当然だと思います。
 それから,私自身,国際開発研究科という,名古屋大学の中で国際公務員を育てる教育プログラムに勤務していまして,実際そういう学生も出てもいるのですけれども,その中で,我々自身も非常に努力はしているのですが,国際公務員として認められていくためには,実務経験がどうしても必要になります。これは同じことはMBAでもありまして,アメリカのMBAに入ろうとしたら,基本的には,学部を1回卒業して少し働いた上で,もう1回大学に戻っていくような形での設計になっています。全てを物すごく早く終わるという人たちばかりではなくて,むしろ生涯学習とか,より生涯にわたるキャリア形成と学習の組合せとか,そういうふうになる中で教育の実質化は行われていくのだと思います。
 そういう意味で,単純にどんどんアクセラレーションするというふうに議論が進まないことを望みたいなとは思います。
【大野委員】  ここでの議論になじむかどうか分からないんですが,今までこれに出てきたものは,どちらかというと,入れ物というんでしょうかね。組織であるとか,プログラムであるとかいうところで非常に,こういうものを作ればいいだろう。それはなきゃいけないんですが,じゃあ,それをどうやって運営していくんだというときに,ありていに言えば,ファカルティとスタッフの問題。やっぱり,多分,グローバルリサーチャーがやってきて,英語の授業と,やる先生たちも当然いるわけですが,ある程度数が限られている。あるいは,新たにリクルーティングした方々も頑張っていただく。だけど,ある程度頭打ちになってきているというところがあって。
 そうすると,なかなかうまく言えないんですけれども,今おられる方々を全部首にするわけにいかないし。だからといって,これから更にグローバル化しなきゃいけないという中で,じゃあ,どういうふうに,もう一度ファカルティあるいはスタッフを鍛えていくかというか,グローバル化していくかというところも,やっぱり力を入れないと。入れ物だけ作って,何か格好いいんだけど,中がいつまでたってもというようなところがあるんじゃないかなと思っておるところです。
 それは,ですから,いわゆるトレーニングなんかはあるかもしれませんが,あるいは新たな雇用の仕方とか評価の仕方,それともつながっていると思っているので,非常に大きな問題なので,ここでやるかどうかは別にしても,少なくとも国として,そういうことに対する支援をしていただかないと,なかなか実質は伴わないかなという気はしています。
【堀井委員】  先ほどサマープログラムの御紹介させていただきましたけれども,去年サマープログラムをやったときに,うちの大学の職員に1人参加していただいたんですね。職員を海外に送り出す研修なんて,すごいコストもかかるし,なかなかできないんですけれども,サマープログラム2週間,その前後のいろいろな運営も含めて,職員の方の研修という形で加わっていただくと,すごく効率的なんですね。それで世界各国のトップ大学の学生が来て,話ができて,世界はどういうふうに動いているのかを肌身に感じてもらうというのは,職員の研修上すごくプラスだと思うので,そういううまいウイン・ウインの関係を築いていくという地道な作業も重要かなと思います。
【二宮主査】  ほかにいかがでしょうか。今後もう少し検討する課題という観点からは何か,大きいものがありますか。大体リストされていますけれども。
 ジョイント・ディグリーの仕組みと,それから海外キャンパスという国際的な場で日本の学生も学んでいけるという,その仕組みに更に。海外の大学と連携しながら日本の大学が日本の学生を育てていくという,その仕組みで,ジョイント・ディグリー以上のものは,ないんですよね。ジョイント・ディグリーだけでも数年掛かりますしね。それが世界の市場の中で。
【江川委員】  今,堀井先生が御指摘された職員の研修ということも含めて,やっぱり留学生がたくさん増えたときに,それに組織として対応がしっかりできていないという現状が,残念ながら今あります。今,どちらかというと人数が少ないので,現場の先生が事務的なこともやったりとか,特任の方を雇って,とりあえず対応しているとか,そういうパッチワーク的なことで,この国際化をずっと進めてきておりまして,これは余りサステーナブルじゃないということが一番気になっております。初回でいろんな何でも言ってくださいというときに,丸ごと国際化しなければいけないとか,インフラが重要ですと申し上げたのはそのことでございまして。
 これが,だから政策的に言うと,やっぱりスタッフ・ディベロップメントとか,それから学内であるいろんな文章を今,一生懸命英語化しているんですが,これもかなり,国立大学なので,結構紙が多いということもありますけれども,規則もいろんなものも全部。留学生を受け入れると,英語にしないと何も分からない,あるいは教員を雇うにも,就業規則とかそういうのも英語化しなければいけなくて,重要なものは適宜やっていますけれども,やっぱり全然追い付いていないというのが現状です。
 ですから,そういう文章の英語化とか,あるいは職員が対応できるとか,いろんな意味でのインフラ整備を御支援していただける政策というのも考えていただけると有り難いと思います。
【二宮主査】  留学生もそうですけれども,大学のグローバル化の推進の中で,教員のことについては,我々も教員ですので議論はできたと思いますが,職員の果たす役割というのは非常に大きいと。やはり教職協働の中で,職員をどう育てていくか,あるいは育てていただくか。そしてプロフェッショナルな形で,当該大学は当該大学で,あるいは移動していただいても構いませんが,その道で高度な専門家になって,世界でも知られる職員になっていかれるとかですね。
 それで,その職員の道筋というか,これもちょっと考えていかないと,単に窓口じゃないんだと。それから,臨時に来ていただいて,5年とかやっていただいたらいい,そういうものじゃないんじゃないかということですので,できましたら職員の力という観点からの検討課題も少しというのが今の御意見かと思いますので,有賀さんの方で,ちょっと検討してみていただけませんかね。どうぞ。
【米澤委員】  職員のことは私も大事だと思っておりまして,私自身は,どちらかというと国際交流に関わる職員,あるいは職員ではないのだけれども,逆に特任講師とか准教授とかいう名前で働いている方々にお会いする機会が多くあります。実は,そういう専門性が高い職員というのに,アドミニストレーターに近い方々が,日本では,ある意味では恵まれているというか,先生と呼ばれる特任という形の教職に就かれている場合が多くあります。そういう意味では必ずしも,彼らの大学での地位が極端に低いと一概には言えない部分があるかもしれません。
 ただ,これは明らかに,専門性がある職員がプロフェッショナルとしてリスペクトされるような組織体系をアドミニストレーションの中に持っている大学の方が圧倒的に少ないということの裏返しでもあります。逆に,そういうところで正規の仕事に就いてしまった場合には,ローテーションの中で3年後には全く違う仕事に就くという危険を考えながら有期を選ぶか,あるいはエグゼクティブに,いわゆるラインとスタッフでいえばラインの方に入るかを悩みながら仕事をしているということが,かなり多いと思うのですね。
 これは日本独特の仕組みで,必ずしも悪いとは言い切れないのですけれども,やっぱり専門性が高い方々について,それなりにリスペクトできるような文化を作っていくことが,恐らく,大学のグローバル化の問題では避けて通れないと思います。それから,こういう専門性を担保するための研修の機会を,職業団体に類する形で,アメリカとかヨーロッパなどでは,国や地域レベルで行っていますので,そういうところとの交流をする中で育ってきたような方々が,多分,中途で入ってきて,それできちんと仕事ができるような仕組みを作る必要があると思います。
 同時に,私は,実態として日本の大学でもかなりいろんな形でアドミニストレーションが国際化していると思うのですけれども,最終的に根幹的な部分で価値観の違いにぶつかりつつあるのかなと考えております。
 一つは多分,エンロールメントというか入学の問題で,これは当然ながら我々の大学の非常に根幹な部分,すなわち誰を入学させるのかというのは非常に根幹な部分で,全くそれを大事にしないという意味でないんですけれども,そういうところで恐らく価値観がぶつかり合うような部分まで来てしまっているというのは現状です。この問題を,私は避けて通れないというか,もう一歩踏み込んで,日本の事務局の非常に中核な部分について国際化の議論を始めなければいけないかなと感じております。
 もう1点,全然別の視点なのですけれども,サテライトキャンパスと海外キャンパスが今後展開してほしいというのは私もそのとおりで,サテライトにかかわらず,日本で海外キャンパスの仕組みがありながら,それが十分に活用されていないのはなかなか残念だなと思っておりまして,ここの部分は進めていただきたいなと思います。
 恐らく制度的な弾力化というのが論点である一方で,諸外国を見ていますと,やはり国がかなり積極的に支援をするというか,外交レベルで,この国とこの国が何かをしたいと合意したものが海外キャンパスという形になってきているものだと思います。
 それは日本に全く実例がないわけではなくて,日本マレーシア国際工科院などの事例もありますし,いろんな形であるものだと思うのですけれども,こうした事例と海外キャンパスの議論が制度的にどこかでつながっていけばいいかなと考えております。
【江川委員】  今,米澤先生がおっしゃったことで,ちょっと気になったことがあったので,一つ申し上げたいと思います。
 国際的な業務をやっている方の中に特任助教とか講師の方がいらっしゃるのは,私自身は,その当時というか,今も含めて,そういうふうに対応せざるを得ないというか,そうしないと人材が来ないということはありますので,それを否定するものではないんですけれども,あれは,やっぱり今後もずっと続けていくべきものなのかというのは疑問かなと思っています。
 ほかの大学の先生とお話ししていても,教員というふうにしてしまうと,国際交流の研究をしないと,例えば講師から准教授に行けないから,大学としては国際交流の実務をやっていただきたいのに研究に時間を割くインセンティブが働いて,それを認めないのもルール上おかしいということになってしまって,いろいろ矛盾がある面もあるように思います。
 海外の大学で,そういう教員と職員の中間的な。それで,その方が本当の意味で教授会の構成員になっているとか,そういう意味での本当の教員でもない,何だか中2階みたいな感じになっていて,海外の大学と比べたときにも,私もハーバードの生徒なんかと比べても,ちょっと違和感があって。ハーバードでは,職員の中にもPh.D.取った人がいたりとかいて,職員の中のいろんな優秀な人もいるということの中でやっていたので,時間が掛かると思いますけれども,そういう方向に持っていかないと,やはり日本の大学,ガラパゴスになってしまうのではないかという懸念があると思います。
【二宮主査】  ありがとうございました。それでは,活発な御議論を頂いたし,一つ二つ,多分柱にもなり得るかなというものも抽出していただけそうですので,ありがとうございました。
 あとは事務局にお任せしたいと思うんですが,最後にジョイント・ディグリーの導入に向けた今後のスケジュールと,それから整理すべき事項として資料7が用意してございますので,大学振興課から説明をお願いしたいと思います。
【中村大学振興課課長補佐】  大学振興課でございます。では,資料7に基づきまして,12月にジョイント・ディグリーについて御議論いただきましてから2か月たっておりますので,この間の状況についてと今後のスケジュールについて御説明申し上げます。
 昨年12月24日の第116回大学分科会において,二宮主査に御出席いただきまして,ワーキング・グループとして取りまとめた「外国大学とのジョイント・ディグリーの導入について」というもので報告を行っております。
 分科会におきましては,東京大学の有信委員から,将来的な学位プログラムへの移行を視野に入れて制度を考えてほしいという旨の御発言がありましたけれども,分科会としても方向性については了承いただいたものと考えております。
 今後のスケジュールといたしましては,大学設置基準等の改正につきましては本年3月にパブリックコメントを実施し,4月に開催される大学分科会において諮問・答申を行い,その後速やかに公布・施行をする予定でございます。ただし,設置認可のスケジュールを勘案いたしまして,平成27年度開設が実質的なスタートになるかと考えております。
 また,現在御議論いただいた枠組みを基に,事務局において具体的な大学設置基準,学位規則等の改正の作業を進めておりますけれども,医師免許等,資格制度との兼ね合いの調整が必要な点,また在留資格,あるいは短大のように,学部に替わって学科を置くことになっておりまして,特に必要のある場合にしか専攻課程を置かないという各種制度間の整合がありますので,こういったものの調整を図る必要がございます。
 事項によりましては,このように別途の調整や議論が必要になる可能性があるものもございますけれども,できる限り,上記スケジュールに沿いまして,早期の導入が図られるよう尽力していきたいと考えております。
 以上でございます。
【二宮主査】  今のスケジュール等についての御説明について,何か質問ございますでしょうか。
 国内の高等教育機関とこのジョイント・ディグリーということを考えると,まだまだ考えなくちゃいけない難しい制度が,あるいは分野別に考えれば,どういう問題が出てくるのかということがあるようでございますので,じゃあ,もう少し地道に検討していただくということでよろしゅうございますかね。
 それと,急いでも平成27年度が最初だろうと。今度26年ですね。だから,設置審のプロセスもありますけれども,27年度開設を目指して,募集ができるように何とか急いでいただくというのがお願い。
 それから,スーパーグローバルユニバーシティですかね,がスタートするのは今年度ですよね。是非活用もしていただきたいし,それからダブル・ディグリーと同じように,じゃあジョイント・ディグリーのガイドラインが必要なのかといったことも,各大学の意見も聞かないといけないと思うんですが,聞いていただきながら,そういうことの作業を少しスピードアップしてもらわないと,27年度スタートというわけになかなかいかないという感じがしますので,御協力のほど,よろしくお願いいたします。
 まだ時間はありますけれども,大体,口も渇いたようでございますので,本日はこれぐらいでお開きにしてもよろしゅうございますかね。
 それでは,どうもありがとうございました。

── 了 ─

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