大学のグローバル化に関するワーキング・グループ(第3回) 議事録

1.日時

平成25年10月18日(金曜日)10時~12時

2.場所

文部科学省旧庁舎6階第2講堂

3.議題

  1. 大学のグローバル化の在り方について
  2. その他

4.出席者

委員

(委員)長尾ひろみ委員
(臨時委員)勝悦子委員
(専門委員)市村泰男,井上洋,内田勝一,江川雅子,大野高裕,二宮皓(主査),堀井秀之,吉川裕美子の各委員

文部科学省

(文部科学省)板東文部科学審議官,布村高等教育局長,小松私学部長,
大槻統括審議官,中岡高等教育局審議官,浅田高等教育企画課長,里見大学振興課長,渡辺学生・留学生課長,田中高等教育政策室長,有賀国際企画室長,白井大学振興課課長補佐,大川学生・留学生課課長補佐,佐藤国際企画室専門官,
安藤国際企画室専門官 他

5.議事録

(1)大学分科会大学のグローバル化に関するワーキング・グループの議事進行について,二宮主査から以下のとおり説明があった。

【二宮主査】  おはようございます。所定の時刻になりましたので,第3回の大学グローバル化に関するワーキング・グループを開催させていただきたいと思います。委員の皆様におかれましては,大変御多忙の中,御出席いただきましてありがとうございます。
 まず,本日の議事進行について簡単に説明をさせていただきたいと思います。本日は,本年8月末に公表されました文部科学省平成26年度概算要求のうち,本ワーキング・グループの審議事項に関連する大学の国際化,あるいは学生の双方向交流について,まずは事務局より御報告いただきます。
 その後,前回と同様に,今後の双方向の留学生交流の戦略的な進め方ということを検討するために,本日は芝浦工業大学から,井上雅裕芝浦工業大学学長補佐の先生をお招きして,グローバル人材育成と海外留学促進という観点から,取組の実例,現状などを御紹介いただくということにしております。御紹介いただきました後,質疑応答を行いたいと思っております。
 第3のパートとしては,前回のワーキング・グループで御議論いただきましたように,我が国の大学と海外の大学との間におけるジョイント・ディグリーについてどのような制度設計ができるのか,どういう課題がまだ残っているのかということなどについて,事務局が丁寧に海外の事情なども調査してくれていますので,その成果といいますか,海外の情報をまずはお聞きしながら,論点を少しずつ整理していきながら意見交換をしていきたいと,そういう形で本日の第3回の会議を行いたいと思っておりますので,御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
 それでは,配付資料について御説明を頂きたいと思います。

(2)事務局より,大学のグローバル化の在り方等について,資料1から資料8に基づき説明があった。

【有賀国際企画室長】  それでは,配付資料につきまして,お手元の議事次第と書いてございます資料をもとに御説明させていただきます。
 まず資料1といたしまして,大学のグローバル化に関するワーキング・グループ第1回,第2回において委員より頂いた主な御意見でございます。資料2といたしまして,カラー刷りのものですが,平成26年度概算要求(大学の国際化・学生の双方向交流)についてでございます。3番目が,本日情報提供を頂きます芝浦工大様の発表資料でございます。資料4が,欧州エラスムス・ムンドゥスについて,資料5が欧州におけるジョイント・ディグリーに関する主な勧告・調査報告等について,資料6が国際共同学位に関する主要国への調査結果について,資料7がフランス政府による国際共同学位に関する通達,資料8がジョイント・ディグリーの我が国への導入案。そして,参考資料として,先般行われました「第1回ASEAN+3高等教育の流動性・質保証に関するワーキング・グループ」の開催結果について,報道発表をしたもの。それから,参考資料の第2といたしまして,大学のグローバル化に関する諸制度・ジョイント・ディグリーについてを用意しております。
 それから,こちらの委員の方々の席の方には追加で,会議後回収資料というふうに右上に赤で書いてございますが,ジョイント・ディグリーの学域の海外大学の事例というものを幾つか御用意させていただいております。何か御不足等ありましたら,事務局までお願いいたします。以上です。
【二宮主査】  ありがとうございました。それでは議事に入りたいと思いますが,資料は特に問題ございませんでしたね。
 議事に入りたいと思います。では,事務局の方から,26年度の概算要求の概要について御説明を頂きたいと思います。
【有賀国際企画室長】  それでは,まず国際企画室の有賀の方から御説明いたします。資料の2を御覧ください。こちらが,グローバル人材育成のための大学の国際化と学生の双方向交流のための平成26年度概算要求の資料でございます。大きく右と左に分かれておりまして,左の方が大学の組織的な支援に関するもの,それから右側にあります2.と3.が学生交流に関するものとなってございます。私の方からは,左側の大学全体のグローバル展開力の強化のための経費について御説明いたします。
 全体像をまず申し上げますと,平成26年度の概算要求では230億円の要求ということで,今年度の予算額97億円から2倍以上の伸びということでお願いをしているところでございます。大きく二つに分かれておりまして,一つは,大学の体制の国際化というものでございます。この中にスーパーグローバル大学事業ということで,こちらでは制度改革と予算を総動員してグローバルトップ大学を徹底的に国際化をするということを目的として,156億円の新規の要求をしてございます。対象大学は30大学程度を想定しております。それから,2番目が既存の事業でございますが,グローバル人材育成推進事業ということで,既に昨年度42大学を想定いたしまして,日本人学生の海外派遣等を支援するというものを進めてございます。
 それから,(2)教育プログラムの国際化といたしましては,大学の世界展開力強化事業というもので,基本的には外国の大学と日本の大学とがネットワークを形成するということを支援するものになっております。これまでキャンパス・アジア,それから米国大学等との協働教育,それからASEAN諸国等の教育を進めてきてまいりましたが,来年度は新規にロシア,インド等との連携のための経費を計上しようというふうに考えてございます。
 次のページに各事業に関する御説明がございます。まずはスーパーグローバル大学事業でございます。こちらは,先ほど申し上げましたように新規の事業でございまして,予算総額としては156億円というふうになってございます。背景・課題に書いてございますように,社会の多様な場面でのグローバル化が進んでいるという中におきまして,日本の大学の世界におけるプレゼンスの向上,それからグローバルリーダー育成のための体制強化が必要という背景がございまして,教育再生実行会議の第3次提言,それから日本再興戦略でも提言をされているものに対応したものでございます。
 内容といたしましては,世界に冠たる教育研究レベルを誇るトップレベル大学をはじめとして,高等教育の国際化をけん引して有為な人材を育成するグローバルトップ大学群を形成するために,現行制度の枠にとらわれずに,制度改革と組み合わせて制度と予算を総動員して支援するというものでございます。この制度改革の中に,私どもとしては,こちら,今回も検討いただきますジョイント・ディグリーだとか,それから海外展開のための制度というものも考えているところでございます。
 内容といたしましては,大きく二つのタイプに分かれております。一つ目のタイプが,Aタイプというふうに呼んでおりますが,大学教育の国際標準化,研究力向上につながる教育力の最大化を図り,ランキングトップ100を目指す力のある大学(トップ型)を支援するというもの,それからタイプBといたしまして,教育環境の国際化推進など,これまでの実績をもとに更に先導的試行に挑戦し,我が国社会のグローバル化をけん引する力のある大学(グローバル化けん引型),この3のタイプを想定してございます。タイプA,トップ型の方は10億4,000万円,10件ということを想定しておりまして,それからBのグローバル化けん引型につきましては,2億6,000万円掛ける20件というものを想定しているところでございます。
 ページをめくっていただきまして,グローバル人材育成推進事業でございます。こちらは,今年度45億円から42億円ということで微減という形にはなってございます。内容といたしましては,御存じの方も多いかとは思うんですけれども,日本人学生のグローバル化を推進するような組織的な教育体制の整備を支援するというのが目的でございます。こちらは既に42大学を選定してございまして,タイプAという全学タイプが11件,部局タイプが31件という形で,これまで支援をさせてきていただいております。特徴といたしましては,大学の教育目標等に応じてグローバル人材育成像,それから,それに必要な能力,達成すべき水準,大学の国際通用力向上のための指標等の目標値を大学ごとに自ら設定していただきまして,その組織的な取組を支援するというものでございます。
 続きまして,次のページに大学の世界展開力強化事業について書いてございます。こちらは,今年度28億円から,来年度31億円の要求ということで,増要求をしてございます。こちら,全体的な話をいたしますと,国際的に誇れる大学教育システムを構築する。それから,日本人学生等の海外交流を促進して,質の高い外国人学生の戦略的獲得等を図るということが課題となっている中で,これまでアジア・米国・欧州等の大学等との教育連携の取組の推進を支援してまいりました。基本的に外国の大学とのネットワークづくり,このための支援の経費でございます。
 今回新規に要求いたしますのは,ロシア,インド等との大学間交流形成支援ということで4億円,それで6件程度,ロシアとインドを合わせていこうことで想定をしてございます。ロシア,インドとの間では,もちろん高等教育制度の違いがあるわけでございますけれども,質保証の共通的なフレームワークの形成,それから,将来の日露・日印間を見据えた産学連携の取組等を実施したいと思っております。その上で,架け橋となるリーダー人材育成のための教育連携を行うためのプログラムでございます。
 ほかの事業は既存の事業でございますので,省略させていただきます。私からは以上です。
【渡辺学生・留学生課長】  学生・留学生課長の渡辺です。続きまして,学生の海外留学,それから外国人留学生の受入れにつきまして御説明をさせていただきます。まず5ページを御覧ください。5ページは,これは大学等の海外留学支援制度の創設,日本人留学生の海外への派遣でございます。全体としまして,今年度予算52億円に対して,意欲的な145億円ということで要求をしております。背景等については,もう既に皆さん御存じのとおり,日本人留学生,海外へ飛び立つという学生の数が非常に減っている中で,これに対して将来のグローバル――今大学については,有賀室長からも御説明がありましたように,大学として変わっていこうとしている中で,それを一体となって奨学金という形でも支援をしていく,そういった仕組みを新しく創設しようというものでございます。
 内訳としましては,そこにありますように長期の派遣,短期の派遣,それから双方向での留学生の受入れというものでございます。ページをめくっていただいて,11ページのポンチ絵を御覧いただけないでしょうか。この11ページのポンチ絵で示しておりますのは,今申し上げました海外に留学生を派遣していくという取組について,これは,これまで文部科学省が国として,あるいは大学と連携しながらやってきたわけでありますけれども,ただ,これから世の中に対して求められていく人材というのは,単に大学が育成するというだけではなくて,やはり日本国として,民間の方々にも御協力を頂きながら学生を海外に派遣していく。そのために,実際に学生さんたちに対しても,海外に出ていくことがどういった意味があるのかということを,企業の方々とも連携しながら事前の研修,そして事後の研修等を含めて行っていきたい,そういった取組を行いたいと考えております。
 これは,もちろんこうした活動の中で,このグローバル人材を育成していくというコミュニティーに多くの企業の方にも何らかのコントリビューションを頂くということも含めて,現在関係する団体等にも説明をさせていただいているところでございます。こうした活動を広めていきながら,実際にグローバル人材というのを育成して,そのことを証明していきながら,2020年の目標12万人という数字に向けて,大学の国際化とともに達成をしていきたいと考えております。
 それから,もう一度6ページにお戻りいただいて,こちらの方は,今度は優秀な外国人留学生の戦略的な受入れというものに対する予算でございます。これも平成20年7月には,留学生30万人計画というのが政府で決定されており,また,今年の閣議決定,日本再興戦略等においても,2020年に向けて留学生30万人を確保することが決定されております。それに向けまして,ここでは国として取り組むべきもの,文科省として取り組むべき内容について示しております。
 留学生受入れは,現在はその多くは国費の留学生の奨学金,これは来年度要求では若干名増額しまして1万1,000人,それから私費外国人留学生に対する学習奨励費の給付,1万人。それから,これは再掲になりますけれども,先ほどの学生の双方向の交流という文脈の中でも,短期の留学受入れ,それに対しても1万人,こうした形で留学生の受入れを行っていきたいと考えております。
 これにつきましては,最後のページのポンチ絵を御覧いただけますでしょうか。こうした予算を活用しまして,なおかつ,これは文部科学省だけではなくて,当然過去に留学生の数が大幅に増えた時期というのは,単純な予算措置だけではなくて,国内の在留資格等の変更等がございました。そうした点も含め,文科省だけではなくて,関係する省庁とも連携をしながら,なおかつ日本で単に奨学金の支給をして,学習していただくだけではなくて,やはり日本に来ていただくための海外において日本の大学を紹介していくという事業,それから日本で学習するための奨学金の制度,加えて先ほど説明ありました大学のグローバル化した中で,大学としても受け入れる体制の構築を行っていく。さらには,そうした留学生が日本国内,あるいは,もともとの母国に帰った後もきちんとしたネットワークを構築していけるように,あるいは日本国内での就職について取組を強化していきたいと考えています。これは,日本国内での外国人留学生の就職については,厚生労働省ともきちんと対応していきたいというふうに考えております。以上でございます。
【二宮主査】  それでは,ただいまの説明について,質問なり,御意見がございましたら,どうぞお願いいたします。
【江川委員】  優秀な外国人留学生の受入れに関連してのことですけれども,諸外国の対応を見ていると,各大学が現地に行ったり,いろいろなメディアを使って大学の魅力を発信したりするだけではなくて,政府が国の魅力をカントリー・ブランディングというか,国のブランディング戦略の一つとしてやっているというのが見られます。ブリティッシュカウンシルとか,それぞれそういうことで動ける組織を持っていて,そういうところがちゃんとリソースを持って,とにかく日本にいらっしゃいとか,イギリスにいらっしゃいということをやっているので,そういうことも日本政府もやっていただけると,大学の活動と相乗効果があるのではないかと思いますので,御検討をよろしくお願いします。
【渡辺学生・留学生課長】  その点につきましては,先ほど十分な説明ができておりませんでした。ポンチ絵の最後のページを御覧いただいて,そこのSTEP1というところなんですけれども,重点地域,これは前回までに説明させていただいた,我が国としても,海外から留学生を受け入れるに際しては,どこからでもいいというのではなくて,きちんと重点的な地域,それから分野というのを選んで,留学生の受入れということについても取り組んでいきたいというふうに考えておりますが,そうした活動の一つとして,まさに御指摘のありましたように,日本国政府としても海外でそうした留学に関するような情報発信をしていくということにつきまして,留学コーディネーターの配置の事業というのを新しく,来年度から取り組みたいと考えております。
 ただ,これは今先生がおっしゃいましたような形で,日本国としての魅力をここだけで発信していくかというと,ここだけでは十分ではありませんが,ただ,現地に今様々な日本の機関がありますので,そうした日本の機関とも連携しながら,ここで配置されるコーディネーターは留学に関するような情報を積極的に発信していけるような,こういった取組をまずは来年度,取り組んでいきたいと考えております。
 それから,当然関係する省庁とも,連携しながらやっていきたいと考えております。
【二宮主査】  よろしいですか。大野先生。
【大野委員】  今のことに関連してなんですが,これはすぐにはなかなか難しいと思うんですが,やはり日本に留学生を増やすということで考えたときに,海外での日本語教育というものについてもう少し考えなきゃいけないと思うんですね。もちろん,日本に来てもらったときには英語による学位ですとか,教育というのは,これは当然大学としては用意しなくてはいけないと思っているんですが,せっかく日本に来てもらっても,日本語なり何なりをきちんとできるようにならないと,結局,例えば就職したいというときに難しい問題があるとか,あるいは日本をきちんと理解してもらうということについて,日本のファンになってもらうという意味では不十分だろうと。
 例えば,韓国なんかでは英語だけで来て,英語だけで帰ってしまうというのはあるわけですが,それで果たしていいのかということがあると思うんですね。そうすると,十分ではなくても,少なくとも日本語教育というものがもうちょっと組織的に海外で行われることが必要なのではないかと思います。例えば中国なんかは,御承知のとおり孔子学院であるとか,先ほどのブリティッシュカウンシルみたいな話もありましたけれども,そういう形で裾野を広げていくということをやっていかないと,なかなか数というものが増えていかないというような気持ちがありますので,是非ともそのあたりも含めて御検討をお願いできればと思います。
【勝委員】  今お二人が言われたこと,まさにもっともだと思うんですが,それに加えて,実は今週の火曜日にオーストラリア大使館で,15ぐらいの大学の学長,副学長が呼ばれた朝食会があって,外務大臣がいらしたということで,新コロンボ・プラン,つまりオーストラリア政府が,香港,シンガポール,そして日本に対して送り出しを強化すると,そこに奨学金を付けるというようなお話がありました。海外各国もかなり積極的にそういう形で行っているということがあるわけで,そういったところと連携して,やはり日本全体の留学生の受入れ計画ということも考えていく必要があるのかなと思います。これはやはりハイレベルの連携になると思いますので,そういったところも是非お願いできればと思っています。
【二宮主査】  ありがとうございます。他にございませんか。
 それでは,このワーキングとの関係で一つ,優秀な学生,留学生を受け入れると同時に,2020年までに30万人ということを達成する一つの方策として,本ワーキングは今大学の国際化を検討することになっていますが,グローバル人材の育成の中での国際化の検討なんですけれども,やはり留学しやすい日本の大学と,留学しやすい日本の国という観点から,加えて,私的には多様な留学生が日本に来てくれれば,日本の底力はぐっと高まるということも考えますので,やっぱり留学しやすいと。本ワーキングは,国際標準化という観点から,国際化を。つまり,どこに行っても通用性のあるものが我が国でも実施されていると,あるいは提供されると,それが魅力あるものかどうかは別なんですが,そういうことをこのワーキングでも考えていくんじゃないかなと思っておりますので,ひとつ,そういう観点から御協力いただければと思っておりますので,よろしくお願いいたします。
【長尾委員】  皆さん,同じように関連のことをおっしゃっていますし,私も今から申し上げることは同じことだと思うんですけれども,ガバナンスのところの議論をしていらっしゃる議事録を読みますと,今ジャパノロジーからチャイノロジーというか,中国の方に向かっていってしまっていて,日本に来る理由がないというようなことです。優秀な外国人を集めるという,こちらサイドのメリットばかりではなくて,お金を出したから,来いと言っても,来る人たちが,日本に来る理由がなければ,なかなか難しいと思います。
 やはり,そこは今,二宮先生がおっしゃったような標準化,もっと具体的に言って,ナンバリングだと思います。きちんと世界基準のナンバリングにして,単位互換ができるという形が必要だと思います。海外からの学生が半年,1年は,日本に来てナンバリングしたものをきちんととって帰れる。これは大変なことだと思うんですけれども,どこかで始めないと。もうこの言葉,ずっと言い続けておりますので,一つの鍵だと思います。
【二宮主査】  貴重な御意見,ありがとうございました。
 それでは,大体時間も来ておりますので,次の議題に入りたいと思います。早速ではございますが,芝浦工業大学のグローバル人材育成,あるいは日本人学生の海外留学の促進ということで,井上先生に御発表の方,お願いしたいと思います。特に芝浦工大の実践をお聞きするわけですけれども,工学分野という極めてカリキュラムがタイトな分野の中で,どうすればグローバル人材育成戦略を構想して,海外まで留学させることができるか,そういうことについて勉強したいと思っておりますので,よろしくお願いいたします。

(3)日本人学生の海外留学の促進について,芝浦工業大学の井上学長補佐から以下のとおり説明があり,意見交換が行われた。

【井上芝浦工業大学学長補佐】(以降,「井上学長補佐」)  芝浦工大の井上と申します。今日はこのような機会を与えていただきまして,ありがとうございます。それでは,工学分野でどういう取組をしているかという視点でお話を申し上げたいと思います。タイトルとしまして,質保証を伴った工学教育のグローバル化です。本学としては質の保証に全学挙げて取り組んでおります。その中で,専門的能力だけではなく,基本的なソフトスキルをきちっと身に付けると,グローバルなソフトスキルを身に付けるというところに取り組んでおります。こちらの方を御紹介していきたいと思っております。
 まず,今日お話しする内容をまとめて先に1枚に示しました。本学として,統合的な問題解決能力を備えた世界に貢献できる技術者を育てたいというのが,全体の目標でございます。この中で,国内での教育として工学の教育のPDCA化による質保証をしっかり行っています。これに加えてグローバル人材能力も加える形で,全体統一がとれた質保証を進めていこうとしています。
 この全学というところが一つポイントでございまして,教員だけではなくて職員,それに学生も参画しての全学での取組を行っています。一つ御紹介しますと,明日土曜日でございますが,教員,職員,学生を含め40人が集まってワークショップを行います。ワークショップは,年に2回ほど行っていますが,教育の質保証をするために学生も参画して,どのようにして行えば質保証ができるか,どのように行えば学習履歴のe-portfolioを,学生が使いやすくできるかを検討しています。まさに全学で推進している事例として御紹介いたしました。
 もう一つ,本学の特徴といたしましては,東南アジアとの連携を伝統的にしっかり進めております。これをプラットフォームにしまして,グローバル人材育成を進めているというのが現状でございます。
 一つ,特徴的な内容として,短期でグローバル人材育成を育成するという仕組みとして,国際PBLを今力を入れて進めております。海外の大学と10日間程度,異文化,異分野という場面で,英語を用いてProject Based Learningを行います。専門的な能力を養うだけではなくて,先ほど申しましたソフトスキル,コミュニケーション能力,リーダーシップ,チームワーク,これをしっかり身に付けてもらうということで進めております。これはただやりっ放しではなくて,どれだけ身に付けたのかということをきちっとアセスメントして,PDCAサイクルを回す質保証という視点で取り組んでおります。
 最後に, e-portfolioです。全人格的なグローバル人材育成の方向を決めた後,それを学生自身が自分自身で振り返りながら目指すこと。それを教員も質保証していくため,グローバル人材育成のためのe-portfolioの構築を今順次進めております。初めに全体の要旨を申し上げました。各論に関して,これからお話しいたします。
 平成24年度にグローバル人材育成推進事業に採択いただきました。工科系の私立大学としては本学が唯一だということで非常に責任を感じておりまして,私どもといたしましては,単に芝浦工大がグローバル化するだけではなくて,工科系の単科大学がどういう形でグローバル化を進めれば良いか,ある意味ではロールモデルにならなければいけないと,そういう責任で進めてきております。
 基本的には,工科系の大学を卒業した学生が,やはり多国籍な環境で仕事ができて,いろいろな専門分野,文化の多様性の中で相手を尊重できて仕事ができる。このような人材をつくりたいというのが基本的な目標でございます。大きな目標を四つ掲げております。一つが,グローバルな人間力であります。二つ目がコミュニケーション力です。これは英語だけでなくて,トータルなコミュニケーション力ということです。あと問題解決能力,これはいろいろな分野のエンジニアが集まる,いろいろな文化の方が集まる,エンジニア以外の方も集まるという環境で,社会的,経済的,技術的な問題解決能力でございます。それから,異文化の理解力。理解して尊重できる,そういう人材を育てていきたいというところです。
 これに対して幾つかの施策を進めております。四つの目標に対して,一つは,Project Based Learning,これは国際的なProject Based Learning,それから文化が違う大学とのProject Based Learning,科学工業英語を強化する。次に留学,海外インターンシップです。質の保証に関しては,数年来,文科省からの補助事業で進めてきました。現在,このプラットフォームを生かすという形で継続して進めております。
 本学の理念は,社会に学び,社会に貢献する技術者の育成ですが,これを現在に合わせまして,世界に学び,世界に貢献する理工学人材の育成としております。具体的な今年度の施策として,東南アジアの大学とのPBL,テレビ会議を使ったProject Based Learning,Open Coursewareの利用をしています。英語のe-learningも全学で導入しています。またe-portfolioを逐次導入しています。工学部ですので,英語として科学工業英語に力を入れています。工学のコンテキストに応じた科学工業英語を日本,それから海外で学ぶという機会を設けております。これら全体できちっとPDCAサイクルを回していこうというのが考えでございます。
 最終的に,工科系単科大学としての横展開ができるようにということで,工学系の大学のモデルとして,芝浦モデルの構築をしていきたいということでございます。このスライドは,芝浦工業大学における留学,海外派遣制度を示しています。右にメニューが書いてございます。まず,導入としての短期語学留学,これは夏期・春期のお休みの期間中に行っております。次に,交換留学です。工科系の大学として,交換留学は修士課程の学生が研究留学するというのが現在中心でございます。今後交換留学を学部まで広げていこうということでございますけれども,今は研究留学が中心でございます。
 次に,短期留学ということで,先ほど申し上げました国際化PBL,交換授業等を行っております。また,インターンシップ,ボランティアも実施しています。基本的には正課のプログラムと連携した形で,休学を要しない仕組みづくりに注力をしています。
 工科系の特徴の一つとして,国際的に学習教育目標は大枠で共有されているというところが言えると思います。こちらは卒業生属性として,国際エンジニアリング連盟で検討されている内容です。学士課程ですと,ワシントン協定で結ばれている内容でございまして,国内ではJABEEいう形で認定が設けられております。本学の学習教育目標の構成を申し上げます。大学全体,学部,学科という形で階層的に学習教育目標を作っております。基本的には,ここに書いてあるような内容の卒業生属性はきちっと網羅するということでございます。専門的な能力だけではなくて,チームワークですとか,コミュニケーション,それからプロジェクトマネジメント,工学デザインというところがきちっと学べるようにという仕組みづくりを行ってきております。
 この仕組みづくりの中で学習・教育目標を設定した後,カリキュラムマップを設計しています。ここで,注力していますのはActive learningでございます。一方的な授業だけではなくて,能動的な授業を設けるということで,PBLの導入の強化をしてきております。デザイン能力,設計能力の強化を行っています。専門的な能力以外に人間力,ソフトスキルというところが大きなポイントであり,達成度を計るのが難しいですが,これをほったらかしにするわけにいきませんので,人間力をどうやって計るか,達成度をどうやって計ってPDCAサイクルを回すかというところに注力しております。この手段として,一つはルーブリック,評価水準表を使う,e-portfolioを使うというような形で,人間力の育成と質保証に注力しております。これを基本的としてPDCAサイクルを回すことを,全学で進めております。
 今申し上げましたPBLに関して補足します。座学から実践へということで,Active learningを今多面的に入れております。聞くだけですとすぐ忘れると。見ればある程度覚えていますが,実際に行わないと身につかないということで,能動的な学習を進めています。講義を全てやらないというわけではありません。講義とPBLをうまく組み合わせることによって効果を上げるという方式をとっております。
 こちらが1例でございますけれども,プロジェクト演習と講義を組み合わせています。1年生に入学したら,まず演習を行います。これは創るという科目ですが,学生に創造的な学びを体験します。これは500人の学生に対し,教員が20人担当する大規模なActive learningです。ここである意味で,学生は失敗します。何も知識がないで創造的な演習活動をしますと,チームワークもうまくいかない,工程管理もうまくいかないで失敗します。その後に,どうやってチームで仕事をするのか,どういう形で工程管理をするのか,どういう形で問題を発見するのかということを講義で教えます。そして,更にPBLを行います。これはシステムの計画に関するPBLとの位置づけです。
 次のステップでは,数理的な検討,最適化の講義を行います。これを受けて再度PBLを行います。更に次のステップでは,プロジェクトマネジメントを行います。これにより,学部の段階で4回,その後,大学院に行った後,今度は大学院と学部との間の連携のPBLを行います。これに加え,昨年から新たに設けたもので国際PBL,これは海外に出掛けていくPBL,それから産学連携のPBLという形で,全部履修しますと7回のPBLがあります。このように,講義とPBLを連携させて,段階的にスパイラルに伸ばすということを行っております。これをきちっと質保証して,どれだけの能力が伸びたか計っております。
 東南アジアの工科系大学との連携が,本学の特徴です。ヨーロッパ,米国との連携もかなり密に行っていますが,東南アジアの連携というのが一つ,大きな特徴だと思いますので,書かせていただきました。2006年に本学から東南アジアの工科系のトップ校に行脚をしまして呼び掛けて,この連携のコンソーシアムを作りました。それがプラットフォームになりまして,各大学から修士課程,博士課程に学生を呼びまして,留学した後,ダブル・ディグリーで修士を取る,博士を取って母国に戻るという形で,かなりの留学生が母国で各トップ校の教員に今なっております。
 これがコンソーシアムでございます。このプラットフォームに乗りまして,先ほど申し上げましたグローバルPBL等も行っております。この全体の大学の中では毎年SEATUCシンポジウムをやっておりまして,今年の3月はバンドン,来年はマレーシアという形で,東南アジアの工科系の大学との連携というのがきちっと,信頼関係も含めて,今でき上がっているというのが一つ,特徴でございます。
 このプラットフォームに乗り,国際PBLを今推進しております。これは短期渡航型のPBLということで,タイの大学,KMUTT,これはタイの工科のトップ校です。それから,マレーシアMJIIT,ベトナムハノイ等で,これは学生が出掛けていって,現地の学生と半々の人数でPBLを実施する形態です。また,テレビ会議を使った,これはどちらかというと専門的な設計のPBLを行っています。このようなPBL全体に関して質の保証をしっかりしていこうということで,どのようにPBLを設計するかというワークショップを学内で行っていまして,PBLの設計法,アセスメントの方法というワークショップもこの全学展開を進めています。
 人間力を計る試験として,PROGがございます。多くの大学が国内で使っていますが,芝浦工大の方ではこれを国際化するということで,英語化をしまして,海外の大学と日本の我々が同じ試験を受けることを今進めております。国際PBLの事例ということで,今年の2月,3月に行った例を示します。目標はグローバル環境でイノベーションを推進できる技術者を育成しようということで,先ほどのフレームワークを使いタイで実施いたしました。
 PBLの課題としてはグローバルな問題,地域の問題,環境問題,交通問題,ごみ問題,洪水,地震というものに対してどういう形で対策するかという内容です。多様な学科の学生, 3年生,4年生,大学院生の混成部隊でチームを作りまして,9チーム,全員で約60人,問題解決の演習やモデルを試作したりします。
 この写真はPBLを実施している状況です。KJ法を使ったり,ブレーンストーミングをしたりしてディスカッションを行い,階層的な問題分析をしています。途中でティーチングアシスタントや教員が指導しています。写真のイスラム系の学生は,マレーシアから芝浦工大に留学してきた学生で,今回はタイに出掛けています。日本に留学している学生も,短期留学として第三国に行っている例です。
 この資料は学生の提案の例です。提案の内容は,子供たちに環境意識をきちっと持ってもらうためグリーンルームという新しい部屋で構成された博物館を作っていこうということです。学生たちは模型まで作り,非常に分かりやすいプレゼンテーションをしてくれました。こういうグローバルPBL,Project Based Learningでは,専門的な能力だけではなくて,人間力をきちっと測定していきたいと思っています。学習成果の達成度をどうやって計るかということで,二つの方法を今全学で導入しております。
 一つは,ルーブリックでございます。PBLに関してはルーブリックを使いまして,達成度の評価水準を示しています。まず学生に示しては,学生自身が自己評価できます。教員も平等な評価ができる。もう一つは,標準化された外部試験ということで,PROGでございます。コンピテンシー試験として位置づけています。現在,この2本立てで進めています。
 それぞれどういう特徴があるか申し上げます。ルーブリックは,学生に対して目標人材像を具体的に示した行動特性を示すこと。これをレベルに分けて,高いレベルの行動特性が実現できるように頑張りましょうということを示すわけです。学生に学修のスタートの時点で,学習教育目標をかなり明確に伝えることができます。たくさんの教員が介在する500人のPBLでもこれができます。教員と学生の間で目標の認識合わせができます。さらに,学生が自分で目標に対する達成度を評価できます。ルーブリックにグローバル人材の行動特性を追加するという形で,今グローバル化を進めております。
 もう一つはPROGです,これは試験でございます。こちらの試験は客観試験です。実際に仕事ができる社会人の特徴を抽出いたしまして,それと学生がどれだけ相関があるかとう試験問題を行います。例えば,あなたはこういう場面でどういう行動をとりますかという試験です。このPROG試験では,リファレンス人材を変えることで人材目標を変えられるということで,ここに海外で非常に能力を発揮しているグローバル人材との相関をとることで,学生の能力の状況を計っております。
 ルーブリックに関して,特にジェネリックスキルを育成するという科目に関しては非常に向いているということで,ルーブリックを全学で卒業研究とPBLに適用しています。今回のグローバルPBLでは,第1に,学生個人の学習目標,すなわち,学生1人がどう伸びたかということと,第2にチームで新しい成果を生み出すということと,この二つの視点でルーブリックを作っています。PBLのスタートの時点で両国の学生に示しています。
 チームのプロジェクト成果に関しては,創造性とか有用性,完成度,技術的に可能かどうか,経済的に可能かどうか,最終的に分かりやすいプレゼンテーションができ上がっているかということを評価しています。また各多面的な評価をしております。教員からの評価,学生の相互間の評価,自己評価ということです。個人の学習成果に関しては,多文化,多分野の環境でチームワークがとれるかどうか。工学的なデザインが実施できたかどうか,システマティックな思考がやれたかどうかということで,幾つかの視点を示しまして,これも自己評価の内容を行っております。
 次はPROGでございます。PROGに関しては,ジェネリックスキルを評価するということで進めております。知識面(リテラシー),それから経験面(コンピテンシー)ということで,経験面に関して対人基礎力,自己基礎力,課題基礎力を計っています。コンピテンシーがProject Based Learningで非常に伸びるということが,私どもの経験で分かっておりますので,コンピテンシーを中心に測定しております。海外で働いている非常に有能な方の特徴を抽出して,それとの相関を見るという形態でやっております。
 海外で働いている優秀な方の特徴は,親和力が非常に高い,統率力が高い,感情制御力が高いということが分かっています。これらは,学生が修得するには非常にハードルが高い能力ではないかなと思います。このPROG試験の国際化のため英語化を進めているということです。
 学生のPROG試験の結果を一つ持ってまいりました。対人基礎力,対自己基礎力,対課題基礎力が示されています。グラフから読み取れますように,本学の学生は,対課題基礎力,課題発見力,実践力が非常に高く,親和力も高いことが分かります。一方,統率力がやはり学生ということで,社会人と比べると,どうも十分ではない,感情制御力も十分でない,経験が足りていないというところで,グローバルな人材と学生との違いというところが見えていまして,これにより強化すべき内容を特定しております。
 また,グローバル人材を育成するためのトータルのポートフォリオの構築を進めております。トータルのポートフォリオは,幾つかのポートフォリオで構成されています。学習のポートフォリオ,PBL,それからジェネリックスキルの能力の評価を示すキャリアポートフォリオ,次に英語の能力に関するルーブリックです。これは, TOEIC/TOEFLの成績履歴,e-Learningのportfolioから構成されています。学生がこういうポートフォリオを見ながら自分で目標を立てられるようにするのが目的です。
 これは,先ほどの国際PBLが新聞に報道された例です。先方の大学の国際関係連携担当の学長補佐の先生からのコメントとしては,タイのトップ校の7割が日系企業に入るということで,日本人とPBLをやるということは非常にすばらしい経験だというコメントが入っております。
 次に,海外のインターンシップです。これは海外の技術的な企業に出掛けていって経験を積むということで,体系的に大学院,学部で進めております。あらかじめ契約を結んだ内容に関して学内で公募しています,今年は学部が20人,大学院が10名で,合計約30名というのが今年度の状況でございます。
最後に,12月7日にグローバルシンポジウムを本学の方で開催予定でございます。 本日はどうもありがとうございます。
【二宮主査】  どうもありがとうございました。大変興味深い,特に国際PBLフォーラムという形での工学系のグローバル人材育成モデルということで勉強させていただきました。
 委員の方々で御質問がございましたら,どうぞ。内田委員。
【内田委員】  大変興味深いお話を伺わせてもらいまして,ありがとうございました。要するに大学,工学系の教育を国際的な標準に合わせていって,そして,それを実現するために学生をどう変えていくかと,そういう試みだったと思うのですけれども。大学のキャンパス自体を変えていくということからしたときに,外国人学生をキャンパスの中に入れ込むというか――交換であっても,正規生であってもかまわないですけれども,それがいることによってもう少し変わるのだろうというふうに思うのですけれども,その点についてはどういうふうにお考えなのでしょうか。
【井上学長補佐】  はい,御指摘のとおりで,外国人学生がキャンパスにいることによって大きな変化があるという理解をしております。二つ状況を申し上げますと,一つは東南アジアからの学生は非常にたくさんこれまでも来ております。学部学生,それから大学院学生ですね。学部学生は事前に学部生の場合は,現地で日本語を学んでから日本に来ているという学生が中心でした。留学生が来ることで,日本人学生が文化の違い,宗教の違いを理解し対応できるというところが,一つ大きな目に見えた変化かなと感じております。
 それから,今年からブラジルの学部学生が来ております。ブラジルの学生は英語で学習するということで来ております。日本人の学生と混成で, Project Based Learningも行うことも進めています。また日本人の学生とブラジルの学生が交じった形にて英語で行う授業も進めております。この場合に,日本人の学生は余り英語が得意ではないということで,授業に関してはパワーポイントをバイリンガルにしている例があります。英語と日本語が併記されているパワーポイントを使いまして,教員の方も両方の言葉をうまく使い分けながらやることを試行しています。留学生用のクラス,日本人のクラスと完全に分けますと,全く交流がなくなりますので,あえてバイリンガルという形で混成の授業を行うことも進めております。
【二宮主査】  他にございますか。それでは簡単な質問なのですけれども,工学系のグローバルなプロフェッショナル人材ということで,イノベーションを推進するという定義にもありましたけれども,学士課程の4年間で育て上げるグローバル人材論と,マスターまで掛けて育て上げていくグローバル人材論というのは,特にワシントン校の関係において資質,能力と,学士課程で達成すべきものと,マスターで達成すべきものと,こう分けることは可能なんでしょうか。それが一つ。
【井上学長補佐】  基本的にレベルの差という形で考えておりまして,学部生だからイノベーションに全く関与しなくていいかと,そういうわけではなく,学部生のうちから創造的な機会に触れさせようと。基本的には十分なレベルには達しないかもしれませんけれども,低学年の段階からそういうトレーニングは必要であるという理解を持っております。
【二宮主査】  そこに留学生を組み入れるときに,4年間プラス2年間の一貫教育型で考えたときに,留学生というのはどの段階から我が国に来て,そのプロジェクトに組み入れることが可能なのでしょうか,それでグローバル人材に育てるためには。
【井上学長補佐】  現時点では,3年生から入ってきているというのが中心でございます。1・2年生の基礎的な学習に関しては現地でやりまして,3年生から入ってくるということで,主に専門の選択科目を中心に学んで,卒業研究をやるという経過ですね。その後,修士課程まで行く学生も結構たくさんおります。
【二宮主査】  あと1点,後半の議論に関係することなのですが,SEATUCでございますか,2006年にお作りになったコンソーシアム,コンソーシアムの共同教育プログラムということを想定された場合に,ジョイント・ディグリーという概念は想定し得ることなんでしょうか。
【井上学長補佐】  現時点ではダブル・ディグリーという形で出しておりますけれども,次のステップでジョイント・ディグリーの検討をしていきたいということで進めております。基本的には相互の学習教育目標をきちっと共有するということが必要ですので,ダブル・ディグリーですと,それぞれ別々の学習教育目標を持ってそれぞれを認めればいいという形になりますけれども,ジョイント・ディグリーですと,二つのプログラムが独立ではなくて,一つの大きな目標を共有しなければいけないというところが必要になってくると思っております。
【二宮主査】  どうもありがとうございました。じゃ,堀井先生。
【堀井委員】  大変すばらしい取組をされていて,目指されていることは本当にもっともだなと思って,是非参考にさせていただきたいと思いました。グローバル人間力,問題解決能力,コミュニケーション能力,異文化理解力と,四つ大きな柱を掲げておられて,これはどれも本当に大切なことだと思うのです。御発表の中では,イノベーションとか,イノベーション人材という言葉があったのですけれども,こういうレベルでイノベーションというのが上がってはいないように見受けられたんですけれども,やっぱり日本の工学に今求められているものとしては,やはり新しい価値を生み出す,そこはかなり重要だろうと。問題を解決すれば新しい価値が生まれるかというと,ちょっと違う部分もあると思うのですね。
 PBLというところの御説明で多分イノベーション人材を育てるというお話があったと思うのですけれども,PBLをやればイノベーションを生み出す力が育つのかというと,そこは工夫が必要で,PBL自身は工学の分野では,言ってみれば昔からずっとやってきているわけですから,どういうPBLをやるのかということが多分重要で,ここの図でいうと,システム工学というところと組み合わせておられる。確かにシステム工学は非常に大切ですけれども,じゃ,システム工学とPBLを組み合わせればイノベーションにつながるかというと,そこはまだちょっと違うのかなという気もするのです。そのイノベーションについて,どんなふうにお考えなのか教えていただければと思います。
【井上学長補佐】  幾つか取組がございまして,主に大学院レベルの取組なのですが,産学連携PBLを行っています。これは産業界,それから自治体の方から現時点で困っている課題,それから,例えば大手の電機メーカーでイノベーションに関して検討されている課題というのを出していただいて,それに対して学生がチームでやるという形。最終的に出すアウトプットは,基本的には開発の企画書と特許の明細書を出すと。特許の明細書に関してデザインレビューをするということで,当然のことながら先行している研究とか,いろいろな開発しているものを調べてくるという形で,どれだけ創造的なものができたかということをチェックします。
 PBLも目標がある程度見えていて問題解決能力をしっかりやるものと,それから創造的なものをやるものという形で,おっしゃるとおり目標が違いますので,段階的に変えていくということで,大学院のレベルですと,ここに書いてございますが,グローバル人材育成とイノベーションというところに今注力しております。
 それから,インターンシップですが,イノベーション人材を生むためのインターンシップというのを始めております。これはシリコンバレーのベンチャービジネスと連携しまして,ベンチャービジネスに大学院生を送り込むということで,そこで学生がベンチャービジネスがどうやって仕事をしているかとか,それからベンチャービジネスがベンチャーキャピタルと出会ってどういうディスカッションをしているか,体験をさせています。
 体験した学生の感想ですが。そこに行きますと,日本人が非常に小さく見える。周りは韓国人,中国人ばかりで,日本はどうしているのだと言われて,びっくりして帰ってくるとかですね。帰ってきた後,シリコンバレーの方とまた連携しながら,今度は修士課程ですので,研究と結び付けていくということで,大枠のプラットフォームの中でイノベーティブな研究ということの中にインターンシップを組み入れるという形で,イノベーション人材を生むためのインターンシップというのを今取り組み始めております。
【堀井委員】  ありがとうございました。
【二宮主査】  他にいかがですか。もう少し時間がございます。井上さんの方,いかがですか。よろしいですか。
【井上委員】  今も御指摘があった課題解決能力とイノベーションの創造能力とはその二つの概念が重なり合うところもあると思うのですけれども,やはり方法は違います。企業の人事の方々,特に理系の人材を社内でどうやって活用するかということを考えていらっしゃる方々に言わせますと,この二つを両立させるのは非常に難しいところがあって,今はどちらかというと,課題解決能力の方をグローバルに運用していける能力というものを,理系・工学系の人材につけてもらいたいという感じが強いように思いました。したがって,私はすんなりと,今日のお話を聞いているところは理解できました。
 恐らくイノベーション,新しい価値の創造となりますと,博士課程も含めて,もちろん海外での経験も含めて研究という特殊な過程を経て,最後は本人の能力に応じたものが出てくるのだと思いますので,そのお話はまた別途じっくり聞きたいと感じました。
【二宮主査】  江川先生。
【江川委員】  質問です。私も芝浦工業大学の取組,非常に学ぶところが多いものだなと思いました。成果の測定ですとか,そういうことまで含めてしっかりやっておられるので,どういう体制でやっておられるのかとか,それから,これだけを全部回すのにどれぐらいのコストが掛かっているのかとか,そういうリソース面のことを,お差し支えない範囲で教えていただければと思います。特に体制は,例えば教員をサポートするチームというのはどういうふうにやっていらっしゃるのか。よろしくお願いします。
【井上学長補佐】  全般的なことを申し上げると,本学が一番誇れるのは教員と職員との連携が非常に密接だということだと思います。教育の質保証に関する取組も職員の方がかなり中心になって進めています。教育イノベーション推進センターでは,全学の教育の質保証をする仕組みです。センターの役割は社会人の基礎力,いわゆるジェネリックスキルの育成,教育の質保証,そして教職員の能力開発です。
 このセンターの運営に教職員が入って協働で進めていくという形をしています。この取り組みは,文科省からの補助事業としてスタートしまして,今は独立した形で進めております。やはり一番大きなところに関しては,教職員が基本的には対等の立場で意見を言い合って改善をしていく仕組み,教職協働の仕組みを推進しています。これは学長のもとに大きな方針として進めております。それに,かつ,加えて,学生自身,大学院生に入ってもらいまして,自分たちの後輩に対してどういうようなものがあれば良いか,例えば,どういうようなポートフォリオがあれば,やる気が出るのかということまで検討しています。教職協働,それから学生が入った教職学協働で大学を改善していこうという風土づくりを,一番恐らく我々としては注力していると言っていいと思います。
 予算面に関して,これは私の方からではなくて,スタッフの方から申し上げます。
【杉山芝浦工業大学グローバル教育推進課課長】(以降,「杉山課長」)  芝浦工業大学のグローバル教育推進課の課長をしています杉山と申します。費用の面ですけれども,具体的に幾らというのはなかなか難しいところがあるのですが,主に掛かるものとしては,やはり人件費という形になるかと思います。本学の先生方,こういった形で皆さん,授業を持って,研究室も持たれて,こういったグローバル化にも携わっておられる。専任でやられている先生というのはいらっしゃいません。皆さん,兼務でやられています。そのような形で,グローバル化に関わる先生方,本学,今教員は全学で300名ほどいらっしゃるのですが,そのうちの3割ぐらいの先生が御協力を頂いているというイメージかと思います。
 あと,先ほど井上教授の方からお話がありましたイノベーション推進室,こちらの方は専任として今職員が5名ほどいるような形になっております。ただ,そのイノベーション推進室だけで完結しているかというと,そういうことではなくて,我々のような国際部とか,あとは学生課,そういったところが横断的に携わっているものですから,ちょっと費用として幾ら幾らですと申し上げるのはなかなか難しいところかなと考えております。
【二宮主査】  ありがとうございました。予定している時間になりました。大変興味深いといいますか,参考になる事例を多く頂きまして,ありがとうございました。
【長尾委員】  今の質問,いいですか。費用に関しての質問。
【二宮主査】  質問で,ちょっとお待ちいただけますか。
【長尾委員】  今人件費とおっしゃったんですね。人件費が主なものですとおっしゃって,300人の3割がいわゆる常勤の教員であると,兼任でとおっしゃったんですね。それから,専任がこれに対して5名と。私の単純な質問は,専任にこのグローバル化の特別手当が出ているということの人件費増なんですか。ちょっとそこをお聞きしたくて。
【杉山課長】  済みません,ちょっと言葉足らずで失礼しました。本学の専任教員が300名ほどおります。そのうち,このグローバル化に積極的に協力いただけている先生というのが,そのうちの約3割という形で,特にそこに手当をお出ししているということはございません。
【長尾委員】  ないですね。
【二宮主査】  よろしいですか。
【長尾委員】  だったら,人件費としては専属で5名雇われた方が,この特別プロジェクトに対しての特別任用ですね。
【杉山課長】  専属の者は教員ではなくて職員という形になります。
【長尾委員】  職員ですね。
【二宮主査】  それぞれ自分の大学をどうするかと考え出すと,たくさんの質問があるかも分かりませんが,全体のことを詰めさせていただきたいと。ありがとうございます。それでは,大変ありがとうございました。これで御報告は終わりたいと思います。
 続きまして,もう一つの本題でありますジョイント・ディグリーそのものについての在り方論と,諸外国がどうなっているかということを御報告いただきながら,我が国の場合には何がどうセオリー的に可能なのかということについて,いよいよ本格的に議論を始めていただきたいと思いますので,よろしくお願いいたします。
 それでは,まず事務局の方からジョイント・ディグリーについての資料など,御説明いただきたいと思います。
【有賀国際企画室長】  はい。それでは,私の方から説明させていただきます。大きくは,ジョイント・ディグリーに関しましては,諸外国の制度の話と,それから事務局で考えております日本としての制度というものを御紹介したいと思っております。
 前回のワーキング・グループにおきまして,我が国のJD制度を導入する際に諸外国の状況についても調査が必要という御指摘がございました。これを踏まえまして,私から資料4から7に基づきまして,今回までに調査をした結果を御報告したいと思っております。
 まず資料4を御覧ください。前回,委員から欧州のエラスムス・ムンドゥス計画につきまして,日本の大学の参画の状況について御質問があり用意いたしました。エラスムス・ムンドゥスは,欧州の高等教育の質を高めることを目的とした高等教育分野における教育機関の連携と,学生・学者の交流を促進するための計画でございます。こちら,2004年の計画の開始以来,5年間を区切りといたしまして,今年は2期目の最終年度ということになっております。第2期におけます本計画の助成対象は,資料に示しました三つのアクションになっております。アクション1,2,3となっておりますが,日本はアクション1と2に参画をしてございます。
 欧州委員会はこのエラスムス・ムンドゥス計画を通じまして,ジョイント・ディグリーを含みます欧州の大学と欧州域外の大学によるコンソーシアムによる共同教育プログラムの実施をしております。日本の大学は基本的にはジョイント・ディグリーには参加できないものですから,ダブル・ディグリー・プログラムに参加をしております。一番下に学生の推移,これは欧州全体でということでございますけれども,総計で1万4,000名程度となっておりまして,日本の学生さんにつきましても,これは修士の数字ですが,修士課程の段階では40名程度,それが博士課程では10名程度ということを聞いております。
 2枚目は,実際に日本の大学から参画をいたしましたものを示しております。第1期,第2期ともに,かなりの大学が参加をしているという状況でございます。
 続きまして,2番目に資料5を御覧ください。こちらはJDが進んでおります欧州におけるジョイント・ディグリーの関する主な勧告,それから調査報告をまとめたものでございます。こちら,欧州の状況について,まず1枚目には,勧告・原則について,時系列に従いまして,主なものを列挙してございます。マル1につきましては,リスボン条約委員会におけますジョイント・ディグリーの認定についての勧告でございます。ここではジョイント・ディグリーの定義,原則,形態などについて基本的な考え方を整理してございます。欧州の各国政府がジョイント・ディグリーに関する政策を策定する際には,この勧告を参照するということを推奨しております。具体的に,一番下の丸の中に,例えば3番目の部分には,各国がジョイント・ディグリーの認定に係る法的な障壁を除去するために国内法令を見直すということ,それから認定を促進するための法的措置を導入するということが言われております。
 マル2は,欧州の高等教育アクレディテーション協会というものがございますが,こちらが2007年に策定をいたしました欧州の共同教育プログラムのアクレディテーション手続及び質保証に関する原則でございます。共同教育プログラムは提供される国,地域の規則に基づきまして,各国の質保証機関がそれぞれの方法で行う質保証手続について欧州レベルで共通化を図ることになっております。この協会の加盟機関につきましては,本原則に基づきまして,共同教育プログラムの質保証を行うということが提唱されております。
 続きまして,マル3でございます。欧州高等教育アクレディテーション協会(ECA)が主導する共同教育プログラムの質保証と,学位の認証プロジェクトの一つとして共同教育プログラムを提供する大学間で構成するコンソーシアムのために策定したガイドラインでございます。このガイドラインは欧州各国のENIC-NARICという海外資格に関する情報提供,それから評価事業を行っているところでございますが,名称としては欧州地域各国ナショナル情報センターです。こういったところからの情報を得て策定されましたガイドラインでございます。内容といたしましては,共同教育プログラムの修了生の進学,就職先の拡大のために各大学の参考となるものとなっております。
 次のページ,2枚目には,欧州におけますジョイント・ディグリーに関する主な調査や報告についてお示しをしたものでございます。古いものでは2002年のEUAという欧州大学協会によるジョイント・ディグリーについての各国調査の報告がございます。調査当時では共通の定義は存在しないということ,それからジョイント・ディグリーの特徴や問題点というものが報告をされてございます。
 マル2はより最近の報告でございます。ジョイマン・ネットワークという欧州委員会における支援を受けた欧州各国の15大学が参加したプロジェクトが,2年間を掛けて共同プログラムの管理及び運営について調査を行い,報告をまとめたものでございます。欧州加盟の15か国の45機関に対して実施をしたプログラムにつきましての調査結果によれば,共同教育プログラムの実施に対して授与された学位の種類について,44%がダブル・ディグリー,それから29%が一つのジョイント・ディグリー,それ以外が複数学位,シングルの学位等ということで,それが27%となっております。
 3枚目の資料は一番新しいものになりますが,欧州におけます高等教育の構築の協力枠組みのいわゆるボローニャ・プロセスの実施報告書でございまして,最新の2012年のものになっております。こちら,ジョイント・ディグリーの普及について各国の進展状況が報告されております。資料の中の右側の図はジョイント・ディグリーを授与している機関の割合を示した地図,国とか地域ごとの地図になっております。これを御覧いただきますと,例えば茶色の部分については,その地域内の75%以上の機関が最低でも一つはジョイントできるよう提供しているというものでございます。そういった形で,パーセントごとに色分けがされております。大きく,ざっくり見て,全部で39地域あるうちに,ゼロ%,又はデータが得られないというものは5に限られておりまして,多くの国でジョイント・ディグリーというものが少なくとも一つ以上は授与されているということが確認できるかと思います。
 それから,資料6でございます。次の資料,横長の表でございますけれども,こちらは欧州におけるジョイント・ディグリーに関する勧告・調査報告でございます。こちら,文科省の方から各国の大使館を通じまして,各国の政府機関等に調査を行ったものを結果としてまとめたものでございます。調査項目は資料の左側に示しておりますように,ジョイント・ディグリーの法令上の位置づけでありますとか,共同プログラムの質保証,有効性などについて質問しているものでございます。
 具体的に,例えば法令上の位置づけにつきましては,これらの主要国のうち,欧州各国では省令であるとか,州法等においてジョイント・ディグリーの授与が認められているというケースが多くて,ジョイント・ディグリーの授与は認められているという状況にあるように見受けられます。それから,こういった形での共同プログラムの質保証につきましては,各国の認証評価機関等のアクレディテーションや適切な認証を受けることが求められている場合もございますし,特別なスキームはないといった場合など,国によって状況は異なってきております。
 また,2枚目には,各国のコンソーシアム型のジョイント・ディグリーのケースにおける状況でありますとか,予算措置の状況,それから最後のページには,ジョイント・ディグリーに関する国内での批判的な見解,懸念事項等についても調査してございます。この中では,ジョイント・ディグリーが手続やコスト面での負担が大きいこととか,それからジョイント・ディグリーが比較的新しい問題であるために,今後整備されなければいけないような課題改善に向けた実績の蓄積が必要などの指摘があるところでございます。
 続きまして,もう一つの資料,資料7,縦のものでございます。これフランス語なので分かりにくいんですけれども,日本語でポイントを吹き出しで示させていただいております。こちらの資料はフランス政府が国際共同学位に関しまして,大学に対して通達として出した公報でございます。この通達では具体的な学位記の作成方法について記載されております。例えばパーセント大学が受け入れる場合には,フランス語での学位記が出せるということ,それから,多言語による学位記も可能であることなどが示されています。また,相手国の法制度によりましてジョイント・ディグリーを出すことが不可能な場合には,ダブル・ディグリーででも構わないといったことも,これは2ページ目に書かれているところでございます。
 実際のイメージとして分かりやすいと思いますのが,添付のAnnex1,3ページ目ですけれども,横になっているように,言葉が違うような国との間で多言語式の学位を出す場合には,こういった形で三つの欄を設けて,一番左がフランスで,真ん中がイギリスで,右側がイタリアという形で学位記を出す事例というものが出てきております。
 また,次のページには,更に大学の数が増えた場合にはこういった形でというふうになっておりまして,学位の名称であるとか,日付であるとか,あとは学長のサインが必要ということ。それから,特に左側のフランスの一番下のところにはNumero du diplomeという,要するに学位の番号も記載するというフォーマットになっております。こちらがフランスの例でございます。
 それ以外に,冒頭申し上げました机上の配付資料で,前回もお見せしたものではございますけれども,実際のジョイント・ディグリーの学位記の海外事例をまとめておいてございます。私からは以上でございます。
【白井大学振興課課長補佐】  それでは,続きまして,資料の8番で,これから我が国がどういったジョイント・ディグリーの制度設計をしていくのかということについて御議論を頂きたいと思います。
 資料8番の1ページでございます。基本的な考え方と最初にございますけれども,先ほど欧州の方ではいろいろと普及もあるという資料もございましたけれども,ただ,一方では,なかなか学位に対する各国の法制度というのはかなり違う部分がございます。例えばイギリスやオーストラリアのように大学にかなり広範な,包括的な学位授与権が認められているような国もあれば,あるいは国による設置認可の範囲でのみ学位授与権が認められるような国もございます。
 そういう中で,国際的にまだ確立した制度とまでは言えないような状況でございまして,例えばアメリカなど北米圏,南米圏などではなかなか普及も進んでいないというような状況もございます。なかなか国際的に確立した制度がない中で,各国,各大学が手探りで進めているというような状況でもございます。ただ,そういった中で,我が国の大学が国際的なプレゼンスを高めて,また,先ほど芝浦工業大学の御説明の中にもありましたけれども,JDという中で共通の目的を見つけていくということも非常に重要だと考えております。そういった中で,日本がある意味,国際的なルール・メーキングに積極的に乗り出していくということも重要であると考えております。そのためには,フィージビリティーのある,現実的に実効性のあるようなジョイント・ディグリーの制度設計を打ち出していければというふうに考えております。
 次の論点でございますけれども,これまでジョイント・ディグリーの普及においてやはりネックとなってきたのは,外国大学による学位授与を国内の学位としてどのように整理するかという点でございます。この点,大きく二つの考え方があると思います。一つの考え方,(ア)の方が外国に所在をして,外国の法制度に基づいて認可を受けた外国大学を,我が国の制度においても認可の対象としていくという考え方。そして,(イ)の方が,外国大学による学位授与については,国内の制度から切り離して,あくまでも我が国の大学が授与する学位として整理をするという考え方でございます。
 (ア)の場合には,例えば日本政府がアメリカの大学を直接,これを日本の法制度の中に取り込んでいくというような考え方になりますけれども,ただ,ここは当然国家間で法制が違いますし,また属地主義の制約がある中で,例えばジョイント・ディグリーを組んだアメリカの大学に対して,仮にそこが質保証の面で問題がある場合にも,日本政府がそれに対して,例えば改善命令を出すとか,そういったことはなかなか取り得ないというのが現実でもございます。その意味では,かなり国家間の調整が必要な部分もございますので,速やかな実現というのは難しい面があるかなと考えております。
 一方,(イ)の考え方をとる場合には,あくまでも日本の学位という扱いになりますので,国家間での法制度の調整ということは必ずしも必要はなく,一定の質保証があれば,実効性のある早期の制度設計ということが可能になってくるのかなというふうに考えてございます。
 以下では,この(イ)の考え方が適当という前提でお話をさせていただきたいと存じます。また,詳細は2ページ以降で御説明いたしますけれども,基本的な制度設計としましては,大学設置基準の中に,例えば日本の大学が外国の大学と連携して教育研究を行うという,例えば仮称ですけれども国際連携教育課程というものを設けまして,それを行う組織として,国際連携教育学科というものを新たに設置してはどうか。そして,この課程については,当然外国大学と一定の連携を行って教育プログラムを提供することになりますので,その性質を学位記の中においても明らかにするために学位規則を改正して,我が国の大学が外国の大学と連携して,連名での学位授与が可能になるという形にしてはどうかという御提案でございます。
 2ページが,その制度のイメージを少し図示したものでございます。なお,ジョイント・ディグリーに関しましては,大学からのニーズ,あるいはヨーロッパなどの状況を見ておりますと,恐らく修士課程が中心になってくると思います。大学設置基準,あるいは大学院の設置基準等の関係法令については,飽くまで大学設置基準が基本となって制度設計をされておりますので,ここでは便宜的に学部段階を中心にした資料とさせていただいております。
 ジョイント・ディグリーのイメージでございますけれども,ここでは,日本の大学,A大学の法学部と外国の大学,B大学の法学部,これのジョイント・ディグリーを想定しております。例えば日本の大学のA大学,収容定員400名いる中で,このうちの一部,例えばこの1割ですけれども,40名ぐらいをこの国際連携教育学科という形で切り出します。この学科については,当然両者で大学間協定を締結していただくわけですけれども,このB大学との一定の連携のもとに行ったプログラムを修了した方については,連名での学位を出すことができるという形にしてはどうかというふうに考えてございます。
 その際にいろいろな要件が必要になってきます。下の方で整理をしておりますけれども,日本の大学に関する要件。これは当然,新しい組織,プログラムを開設するわけでございますので,通常であれば一定の教員であるとか,校地基準等は必要になってきます。これについては,また後ほど御説明したいと思います。
 それから,外国の大学に関する要件。外国の大学もいろいろな制度がございます。当然何でもいいというわけではございませんので,当該国においてきちんとした質保証を受けている大学ということが前提になってこようかと思います。また,既に例えば同一のレベル,修士課程のジョイント・ディグリーであれば修士レベル,学士課程のジョイント・ディグリーであれば,学士レベルにおいて現に有効な学位を授与しているという実績は必要になってこようかなと思っております。
 それから,3点目でございますけれども,大学間協定というのが非常に重要になってくるかなと思っております。ジョイント・ディグリーといいましても,実際にこの入った学生に対して,例えばどういうふうに指導を行っていくのか,あるいは,どういう方が教員となって,どういう授業を行うのか,あるいは入学者の選抜であるとか,学位の審査をどのように行うのかとか。あるいは,細かいところですけれども,授業料の扱いはどうするのか,学籍は一体どちらの大学に置くのかといった,もろもろのことを決めておく必要がございます。ですので,このあたりについては,例えば告示の中でこういったことについては,きちんと協定を結んでくださいということを法的に求めてまいりたいと思っております。また,こういったことについても,きちんと内容について文部科学省の方に御提出を頂くとともに,公表していただくというのがよろしいかなと考えております。
 それから最後,単位認定に関しても問題になりますけれども,これはまた次の資料で御説明させていただきたいと思います。
 3ページ,4ページが具体的な制度イメージ,先ほどの部分を少し詳細にしたものでございます。まず初めに,日本の大学に関する要件という部分でございます。このジョイント・ディグリーを行う国際連携教育学科の定員でございますけれども,基本的に今考えておりますのは,大学設置基準,その中での十分余力のある大学,大学設置基準を十分にクリアしているような大学,その大学が主要定員の中の一定割合の学生を,この国際連携教育学科の方の定員としてお考えを頂くというような形がいいのかなと思っています。
 そして,この国際連携教育学科でございますけれども,外国大学との連携ということもございますので,飽くまで,先ほどの事例ですと主要定員全体,このもともと先ほどの2ページでございますと,A大学法学部,主要定員400名いる中で,40名をこの国際ジョイント・ディグリーの学科の方に切り出しているわけですけれども,この400名全体を見た場合に,校地基準・校舎基準,あるいはそれを満たしていれば,基本的にはそれが教育研究に支障がない限りにおいては,これをクリアするという扱いにしてもよろしいのかなということが,一つの案でございます。
 ただ,実際問題としまして,この国際連携教育学科というものを作れば,例えば外国大学といろいろな折衝をしたり,実際に現地に足を運んでいろいろなやりとりをしたりということも必要になってこようと思いますので,一定の条件で追加的に専任教員というのは置いていただくことが必要なのかなと考えております。その際,いろいろな決め方があると思いますけれども,例えば学年で20人ぐらい,4年制,学士課程ですと4学年あると80人ぐらいに対して1人ぐらいという方を,追加的に専任教員を配置してはどうかということが考えられようかと思っております。
 それから,学位を授与するために,これは飽くまで日本の大学,日本国内で有効と認められた学位という扱いにしたらどうかという前提でございますので,日本の大学で半数以上の単位を修得することを求めてはどうかという御提案でございます。これは現在,ダブル・ディグリーなどで単位互換というスキームが行われておりますけれども,その場合にも,基本的に日本の大学で過半数の単位を修得するということが学位の授与の要件となってございます。ただ,ジョイント・ディグリーという特性に着目をすると,共同開設科目という概念も当然想定されようかと思います。外国大学と一緒に,例えば授業の設計,カリキュラムの編成,あるいは実際に教員が連携して行うような授業というのも想定されますので,この共同開設科目については,日本の大学の単位としてみなすことも,あるいは外国の大学の単位としてみなすことも,両方可能ということにしてはどうかというふうに考えてございます。
 それから,二つ目でございます。外国の大学に関する要件でございます。これにつきましては,先ほどと同じでございますけれども,基本的に当該国において適切な質保証を受けていること,また同レベルの学位について既に有効な学位授与を行っている実績があるということを求めてはどうかということでございます。また,現在,外国大学日本校の指定制度においても行っておりますけれども,大使館における確認ということも必要に応じて入れていってはどうかと考えております。それから,学位の授与に名前を連ねるためには,当該外国大学で31単位以上の修得,また外国大学で主要重要科目の一部を必修科目として自ら開設しているということを求めてはどうかということでございます。これは実は国内のジョイント・ディグリー制度,国内共同実施制度におきましても,各大学で最低1年間ぐらいの関与ということを求めております。実際,ほとんど関係のないような大学が学位授与に加わるのもどうかという部分もございますので,例えば31単位以上,大体1年間の履修分に当たると思いますけれども,その修得を求めてはどうかということを考えてございます。
 3点目は,先ほどの大学間協定でございます。一定の重要事項については,きちんと告示でその基準,どういったことについて規定をするのかということをお示しをした上で,これについて審査をきちんとさせていただきたいというふうに考えてございます。
 それから,4ページでございます。先ほどの単位認定に関する部分でございます。ジョイント・ディグリーでございますので,この共同開設科目という概念を新たに設定したいと存じます。下の方の図を御覧いただきたいと思います。学部段階の場合,今卒業要件単位,124単位ということになってございます。従前より過半数については日本の大学で修得するということが日本の学位を出す前提条件となっておりますので,そこは基本的に維持をしたいと思っております。
 一方で,外国大学,一定の関与がある,31単位以上の修得が必要ということが前提になってきますので,例えば一番シンプルな累計ですと,日本の大学で62単位を修得,そして,仮に二つの大学とのジョイント・ディグリーという場合には,外国大学のA大学で31単位,また外国大学のB大学で31単位,62単位,31単位,31単位と修得した場合には,日本の大学と外国のA大学,B大学の三つの大学の連携学位が出せるということになろうかと思います。例えば今,キャンパス・アジアなどでは,日本で2年間,あるいは中国で1年,韓国で1年といったようなことがございますけれども,そういったことを当てはめますと,日本で60単位,中国で30単位,韓国で30単位,大体4年間で三つの大学を回り,124単位が大体修得できて,そして三つの大学での連携の学位が出せるかなということを考えております。
 ただ,この31単位の最低基準というのが,場合によっては非常に厳しい制約になる可能性もございます。あるいは,日本の大学で半数以上と言われても,外国の大学で実際にもっと多くの授業科目を取る場合もあろうかと思います。そういった場合には,この共同開設科目という概念を用意しておりますので,外国の大学と真(しん)に連携をした授業科目を開設されている場合には,これはそのいずれにもカウントすることができるという,一種の柔軟性をここで用意してございますので,それを活用することでかなりの部分は対応できるのかなというふうに考えてございます。
 これは,一つのたたき台でございますけれども,是非本日,先生方に御審議,御意見を頂戴しまして,またブラッシュアップをしていきたいと存じます。よろしくお願いいたします。
【二宮主査】  ありがとうございました。芝浦工大の井上先生は引き続き参加いただいて,御質問などもしていただければと思っておりますので,よろしくお願いいたします。
 これで,大きく言えば,日本版ジョイント・ディグリーが初めてベールを脱いだという感じで,少しいろいろ刺激を受けながら,わくわくしながらお聞きになったんだろうと思います。今日1日で全ての話が終わるわけではありませんし,いろいろな角度からまだ検討しなくてはいけないことも残っていることは確かでございますが,少なくとも制度設計が今初めてこういう形で考えられるんじゃないかということの御説明を頂きましたので,まずはその範囲の中からいろいろ御意見なり,質問なりをしていただければ,よりいいものになるのではないかと思っております。
 まずは,それにしてもジョイント・ディグリーが出せるかもしれないというところまでたどり着けたということは,大変うれしいことだと思っております。
 それでは,まずは質問等,よろしくお願いします。
【長尾委員】  とても面白い企画,計画だなと思います。具体的なイメージをどのように持っていらっしゃるか。もちろん,議論して,どんどん構築していくんですけれども,例えば今一番気になるのが学費なんです。日本で入学し,A,B,C大学,Aが日本の大学としたときには62単位,そして,そこをベースにB大学で31,C大学で31となったときには,学費はどんなようなイメージを持っていらっしゃるんでしょうか。
【佐藤国際企画室専門官】  そこはいろいろな考え方があると思うんですけれども,学生交流的なベースで考えると,基本的に自分たちがそもそも属しているところに払っていくというケースが多いんだろうと思っています。入学の段階から,そもそもジョイント・ディグリーという形で学生募集しているケースというのは多分余り実体上はなくて,入ってきてから,例えば2年生の後期,後半ですとか,3年生の段階でプログラムに移行していくという場合もこれから実際多いと思うんです。そういうことを考えますと,基本は自分がもともと属している本籍のある大学に対してということがあると思いますけれども,もちろん,本当にこれから全く新しく作る真のジョイントプログラムという意味では,例えば提供科目なり,提供単位ベースで授業料をそれぞれの機関が徴収するということも,もしかしたらあるかもしれません。基本的には協定でしっかり,そこは決めていただくことになるかと思います。
【長尾委員】  そうですね。
【二宮主査】  では,大野先生。
【大野委員】  ありがとうございます。是非ともこれは進めていただきたいという前提でのお話なんですが,ここでは学部の前に学科,恐らく大学院にも専攻を作るというふうな形になるんだと思うんですが,これだと非常に堅くて,多分運用上相当やりにくいんじゃないかと思うんです。今,入学時でどうなんだという話がありましたけれども,恐らく入ってから……。そもそも,この名前でいうと国際連携教育学科という学科でまず選考して入学してという話になると,その学生から考えたときも,入る前からそういうふうな気持ちでいなきゃいけない。それ以外は排除するのか。あるいは,編入というふうなこともあるかもしれませんけれども,非常に堅過ぎちゃって,やりにくいだろうと。
 イメージ的には,やはり学科内の中のコースとか,プログラムとか,そういうふうな形でやるというのが妥当なのかなというふうに,まず感じたところでございます。ただそのあたり,学科というふうな形で,非常に堅い形にしたというのも多分意図があるかと思います。そのあたりも含めて,お教えいただけますか。
【二宮主査】  お願いします。
【白井大学振興課課長補佐】  失礼します。プログラムということも当然考えられるとは思いますが,基本的には,一つのジョイント・ディグリーという学位を,学部課程であれば4年間を掛けて出すということになりますので,基本的にその転学科というものを想定するというよりは――もちろん転学科ということは十分可能性としてはあると思います。ただ,もちろん,そこは流動性の高い形での転学科というのは各大学の方で御用意いただく必要があると思うんですけれども,ただ,基本となるプログラムとしては,ジョイント・ディグリー・プログラムに対応した一連の,4年間では4年間の統一的な体系というのを各大学で用意していただく必要があると思います。そのときには,その学位に対応した組織ということで,学科というのは自然な考え方かなとは思っております。
【二宮主査】  その点は重要で,これは学位ですので,プログラムじゃないんですね。ダブル・ディグリーはそれぞれの大学の学位がありますので,そこにあるわけですが,ジョイントですから,新しい学位が作られる,開発されるというイメージを共有した方が議論は分かりやすくなるかなと思いますので。これ,イメージづくりですから。
【大野委員】  ええ,分かります。そういう意味では,プログラムにしろ,コースにしろ,きちんとそのカリキュラムを当然用意するわけです。ですが,学科といったときに,例えば先ほど芝浦工大さんのでありましたけれども,理工系なんかだと学科が専門性で分かれているわけですね。そうすると,じゃ,それごとに学科を作るのかという話になったら,とてもとても対応し切れないですね。
 ですから,やっぱりそれぞれの学科の中で,やはりそういうジョイント・ディグリーをある一部を作りたいところが出てくるというようなことを考えると,実際問題としてはとてもとてもそういうふうな形では作れない。それから,そのためにまた教員を用意するということも,恐らく非常に厳しいところが出てくると思います。ですから,もちろんカリキュラムとしてしっかり作ってもらうことは大前提だと思うんですが,そのために,だからといって学科というやり方だけではないような気がしております。
【二宮主査】  では,意見として,この段階では。ちょっと市村先生の方から。
【市村委員】  私の意見も,今大野先生がおっしゃったのと全く同じでありまして,特に理科系の学部を想定した場合,やはり工学部であれば,機械工学とか,建築とか,いろいろございますね。これ全部専門性に分かれているわけですから,それを残して,あえていわゆる国際連携教育学科というものを単独で作るのかどうか。もしそうだとするならば,理科系の専門性の教育というものをどのように考えたらいいのか。いわゆる海外の大学と連携するということを主目的にして,ジョイント・ディグリーを学位を相互に取るんだという観点でいくのと,大学の質のレベルの低下を招かないで海外と本当にやれるのかと,専門性がちょっと逸脱するんじゃないかなというような懸念がちょっとあるように思えるんです,この制度設計を見ると。これをどういうふうに考えたらいいのかと。
 やはり,特に3年,4年,修士になると,専門性が非常に高くなりますね。それを維持しながら,教育学科というものが存在し得るのかどうか。例えば400人の中で1割をそういうふうにすると言っていますけれども,国際教育学科だけを外出しするような形になると,じゃ,今まで学んできた専門性の分とどういうふうにリンケージがあるのかというのが理解できないので,この辺の御説明をお願いしたいなと思います。
【二宮主査】  よろしいですか。
【白井大学振興課課長補佐】  そこは,まさに学位をどういうふうに捉えるのかということに関連してくると思います。先ほども申し上げました,やはり新しい学位を出すということになりますので,それには一定の組織を作るというのがこれまでの大学設置基準の考え方でございました。ここでは,その従来の考え方をある意味受け継いでおりますし,また,国内におけるジョイント・ディグリー制度,国内の共同実施制度においても同様の考え方をとっているところでございますので,それを参考に制度設計をしているわけでございます。ですので,私もこれが唯一の解と言うつもりもございませんし,おっしゃったような,もっと柔軟なやり方というのも考えられると思いますので,それは考えていきたいと思います。
 ただ,一方で,学位プログラムでございますので,そこは余りに柔軟になり過ぎてしまうと,一体それが,誰がどういうふうに責任を持って,どの組織がその学位プログラムを管理しているのか,それが分からない部分も出てきてしまうという課題も同時にございます。そこは,ある意味,二つの価値観の中でどういうふうに調整をつけていくのかということについては,また先生方とも御相談させていただきながら考えていきたいと思います。
【二宮主査】  じゃ,堀井先生。
【堀井委員】  ちょうど先日,イギリスのある大学の副学長先生とまさにこういうことで意見交換をしたんです。その先生のもともとの出身が私と同じ専門だったので,具体的にどんなことができるかということとを話し合ったんです。そこの大学のカリキュラムは,当然うちが持っていないものを持っているし,うちには先方にはない魅力があるので,そこは補完関係に内容的にはありますねと。
 今のお話をそのときの話とすり合わせて,具体的にどんなことがイメージとして上がるのかなと考えると,この国際連携教育学科というのは,形としては学科を作るんだけれども,バーチャルという言い方がよろしいかどうか分からないですけれども,日本の大学からその大学に行く学生,それから,向こうの大学からこちらに来る学生はこの学科に所属すると。でも,実質的なカリキュラムは,私のところの学科で責任を持って提供すると。単位認定とか,科目の認定とかいうことは,多分国際連携教育学科というところで行うことになると。この国際連携教育学科というのは,多分,私は工学部なんですけれども,工学部の中の複数の学科でこういうことをやりたいという学科があるとすると,そこの学生,そこの先生がここに所属すると,こんなようなイメージかなと。
 それで,その専任教員の追加的配置がもしさせていただけるんだとすると,先方の大学の教員がこのポストを使ってこちらに来て,英語で教えていただける,同じように,うちの教員も先方の大学にいさせていただくようなポストを先方で御準備いただくと,これでバーターの関係ができるのかなと。そう考えると,何か非常にうまくいくような気がするんですけれども。1点,ちょっと努力が必要だなと考えるのは,うちは大学院の講義は全部英語でやっているので,大学院レベルであれば,もちろん何の問題もないなと思うんですけれども,学部レベルですと,今はやっぱり日本語でやっているものですから,海外から学生が来て一緒に教育をするとなると,その必要な科目については,日本の学生に対しても英語でやることが必要になるだろうと。それは日本の学生にとって必ずプラスで,やればいいことですけれども,それなりの覚悟と準備が必要だと,そんなふうに考えました。
【二宮主査】  ちょっと意見を伺います。
【井上委員】  むしろ理工系の学部教育にはこの国際連携教育学科は有効だと思います。バーチャルというお話はありましたが,相互に教育をし合うという形が比較的うまくいくのではないかなという感じがしました。問題は文系ですね,法学とか,経済とか,商学に分かれた場合,そういう学部での適用というのがなかなか難しいのかなという感じがしました。むしろ,国際連携教育学部的として学部丸ごとやってしまう方が良いのかも知れません。今例えば内田先生の前で申し上げるのも何ですが,早稲田大学の国際教養学部や,APU,秋田の国際教養大学といったところは,学科ということではなくて,学部全体でジョイント・ディグリーでいくという形をとってやっていくことが可能なのか。
 各大学・学部のいろいろな歴史的な経緯などもあるとすると,各学部でこの国際連携教育学科を設けるよりも,一つの学部を取り出して,完全にジョイント・ディグリー,ダブル・ディグリーにして,そういった目標を掲げた募集,教育体制を組むという形があり得るのかどうかということです。これはもちろん,これからの検討課題ではないかと思うのですが,お考えがあるかどうかお聞きしたいと思います。
【白井大学振興課課長補佐】  その可能性を否定するものではないのですけれども,ただ,伝統的な考え方でジョイント・ディグリーを組むからには,やはり自分たちの手元にそれなりの魅力あるプログラムが独自で形成されているというのは基本になろうかと思います。逆に,それがあるからこそ,相手方の大学も日本の大学とジョイント・ディグリーを組みたいと言ってくると思います。井上先生のイメージが十分捉えられていないかもしれませんが,全てのプログラムをジョイント・ディグリー前提で,というような組織,制度設計というのは,今のところ,我々のイメージでは持ってはいないところでございます。
【二宮主査】  議論をファシリテートする意味なんですが,一つはフィックスして固定的に捉えるということではなく,今日はスタートですので,一つのプロトタイプ的なモデルとして捉えていただいて。それから,白井さんの説明にありましたように,大学院ももちろん同じように,モデルは学士課程になっていますという話なので,そういう意味で,ちょっとやわらかく捉えていただくということです。
 それからファシリテートしたいのは,もう一つ,国から頼まれてジョイント・ディグリーの制度を作れということではなくて,そもそも大学はなぜジョイント・ディグリーという一つの学位制度を開発して,あるいは提供して,何をしようとしているのかと。国際市場,いろいろありますので,その国際市場に我が国の大学も打って出ようとしているのか,あるいは自分の学生を少し付加価値を付けたいと思っているのか。そのあたりを,このジョイント・ディグリーを議論するときに,大学は一体何を求めてジョイント・ディグリーという,ダブル・ディグリーもこれまでやってきているのに,更にジョイント・ディグリーというものを戦略的であれ何であれ,構想し,展開しようとしているのかと。そのスタートのところの大学の思い,そのあたりを描きながらやっていかないと,これはあくまでもファシリテートしただけですが,制度ですので,なかなかデザインしても行き着く先がきれいにはでき上がらないと。
 今,文部科学審議官の席を立たれる前に,柔軟的に捉えるという部分もよく考えて,この会議は運営したらどうだろうかということを一言い残されて帰られましたので,そういう意味で余り固定的にしないで,もう少し柔軟な制度。じゃ,どこまでフレキシビリティーを高めていくかということの議論もありますけれども,そういう形で更に議論を,時間もそんなにありませんけれども,まだこれからも,この次もありますので,議論をしてみていただけたらと思います。
 工学系が一つのモデルになっていて,文系,人文系は難しいのではないかということですけれども,長尾先生も文系ですし,勝先生も文系ですね。私も教育学ですので文系の方なんですが,そういう形でいろいろな角度から御検討を頂くと。内田先生のところがモデルに名前が挙がりましたので,学部丸ごと論というのがあるのかといったようなこともあったと思いますが,もう少し議論を続けていただきたいと。どなたから。
【内田委員】  よろしいですか。ちょっと違う観点なんですけれども,例えば先ほどの例で,中国と,日本と,韓国,CJKというふうになったときに,このディグリーは,要するに日本のディグリーですね。それで,日本の学生にとってみれば,日本で62取って,中国と韓国で31ずつ取って,日本のディグリーにプラス中国,韓国のものが付いてくる,こういうメリットだということなんですが。逆に,中国や韓国の学生にとってみると,これも当然相手方のことなんだから,全く考えなくていいという議論というのは一つあると思うんです。しかし,相手方の,例えばチャイナやコリアの学生から見たときに,これが魅力的だというのは,恐らくその大学の学位と,日本の大学と,中国,韓国の学生と,その三つの学位を取るということになるんですが,このプログラムにどういう形で中国や韓国の人たちが,例えば1年からこれに来るのかという場合と,それから例えば2年間いて,それでコリアの学生がチャイナとジャパンに1年ずつ来るといったときに,向こうでも同じものになっていることを要求として考えるのか,考えないのかで,魅力が当該相手方国にとって全然違うと思うんですけれども,そこはどういうふうにお考えになったんでしょうか。
【白井大学振興課課長補佐】  そこについては,今の考え方としましては,基本的には各大学の判断にお任せしたいと思っております。例えば,先ほどのキャンパス・アジアのようなイメージですと,日本の大学で半数以上の単位を取るとします。日本の大学で2年間,中国1年間,韓国1年間ということですと,日本の大学で半数以上の単位を取りますので,基本的には日本の学位という扱いになると思います。
 それを仮に中国で中国の方が,日本の大学の学位ということでは,十分にその評価を受けられないということであれば,中国の大学において,中国の学位となるような要件,一種のダブル・ディグリーのように――今回は飽くまで日本の大学の学位という制度設計で考えておりますので,もしそれを中国において認められる学位ということになれば,例えば先ほどの共同開設科目のような要件を使っていただいて,中国においても日本の大学の単位を中国の単位として認定してもらうであるとか。あるいは,それで足りなければ,中国の大学においてもう少し,例えばもう一年学んでいただいて,中国の学位としても認められる要件を満たすとか,いろいろなやり方があると思います。
 ただ,ここではミニマムの基準ということで,最低限日本の学位となるような要件というものを課しております。もし,それにプラスをして,他の大学でもジョイント・ディグリーということで認められる必要があるということであれば,それは各大学の判断にお任せをしたいと考えております。
【二宮主査】  ちょっとお待ちください。堀井先生。
【堀井委員】  先ほど,主査の言われたことは,私は非常に大事だなと思っているんです。こういうジョイント・ディグリーができれば,確かに学生の交流というのは深まるし,数も増えていくし,学生にとって教育効果が高いのは間違いないことですけれども,それだけのためにジョイント・ディグリーというのをやるのかということを考えたときに,それだったら,既存の留学制度等をもうちょっと変えていくというなり,柔軟性を増していくなり,それを支援していくという形で対応すればいいレベルなのかもしれないと。
 やはり,大学と大学がジョイント・ディグリーを出すということには,もうちょっと,もう一つ何らかの教育的な,あるいは研究面で学問的,何と言ったらいいか分かりませんけれども,その必然性というのがやっぱり必要で。それは,例えば先方の大学に我々がカバーしたいけれども,カバーできない領域があること,先方にはカバーできないものを我々が持っていて,そこが相補的に補い合うことができる,あるいは将来的にはそういう領域を自分たちに取り入れていく,そういう将来を見据えてジョイント・ディグリーを作っていく,何らかのそういうような,ある程度レベルの高い理念に基づいてやられるべきことではないかなと思います。
【二宮主査】  じゃ,江川先生。
【江川委員】  質問というか,お願いです。今このジョイント・ディグリーの設計に関していろいろな変数があって,それから,例えば科目数の要件だとか,教員の配置だとか,学科に切り出すかとか,一つひとつ重要なことなんですけれども,せっかくヨーロッパ等でもう既に前例があるのであれば,実際にこういうプログラムの設計とか,ディグリーをどこが出しているのかとか,そういうことも含めて既にやっているものを少し調査していただければと思います。 それから,恐らくヨーロッパと一口に言っても,大学の研究レベルとか,教育をどれくらい力を入れているかとか,それなりに違いがあると思いますので,目的に応じてどういうふうにやるといいのかとか,前例があるのであれば学べるところも多いと思いますので,そういうことを踏まえて議論ができれば,更に深まるのではないかと思います。よろしくお願いします。
【二宮主査】  勝先生。
【勝委員】  ありがとうございます。私も基本的にはこういった制度が可能になるということは,非常に重要なことだと思うんですが,例えば今こちらの例示でありますと,学部でジョイント・ディグリーということで,学部ですと,やはりダブル・ディグリーも非常に難しいわけですけれども,ほかの代替手段のダブル・ディグリーであるとか,単位互換とか,そういったものがあるので,特にジョイント・ディグリーがある必要性はどこにあるんだろうかと。
 むしろ,何でこれが今日本の中で必要なのか,あるいはこういった規制緩和が必要なのかということであると,これは前もちょっと申し上げたんですが,例えば今日机上で配られているエラスムス・ムンドゥスの奨学金も取っているプログラムの学位記のコピーがありますが,これは天然ガスの環境問題のプログラムですけれども。先ほど来,教育学科というものを作る,あるいは大学院でもこういった組織を作る,ということは,これは設置基準上仕方がないことだとは思うのですが,ただ,恐らく大学院でこういったジョイントプログラムを作る場合は,非常に専門性の高い部分で,また細分化されたプログラムで,複数の教員の国際的な研究ネットワークの中で作るという形になるんだろうと。
 そうすると,この今回提示された原案ですと,やはりそのニーズといいますか,それを作るにおいては,かなりハードルが高いということもあるかと思いますので,この辺は柔軟に考えていくべきなのではないか。ジョイント・ディグリーを作って複数の大学をまたがって勉強していくというのは,かなり学生側から見ればお金も掛かるわけです。そうすると,そういった公的な資金の奨学金が入っているエラスムス・ムンドゥスであるとか,あるいはキャンパス・アジアみたいなもので作っていくというのが本来の姿なのかなと。つまり,そういったところでできるようになるということが重要であるとすれば,やはりかなり限られたところ,つまり一般の大学を上げてこれを推進していくというよりも,そういったプログラムに載るために,規制上できないということであるとすれば,そこのハードルを低くするということが重要なのかなというふうに思いました。以上です。
【二宮主査】  大野先生。
【大野委員】  すみません。若干,ここにジョイント・ディグリーがかかる前に,何人か先生方と検討していただいたという経緯を踏まえてお話しさせていただくと,やはりこれは,もちろん海外の大学と連携して,学生が海外で学ぶというようなことについて見たときに,単位互換もあるしダブル・ディグリーでもあると。ただ,このジョイント・ディグリーを目指しているところというのは,より教育の質の保証を高めるということと,それから内容も更にきちんと深くしていくということ,これがあると思うんです。
 もちろん,例えば単位互換があります。だけれども,それは一番,原始的なやり方からすれば,学生が取ってきたものをぱっと見て,ああ,これだったらこの科目に当てはまるねということで置き換えるというようなことで,全く相手の大学でどういうことをやってきたかということについてほんの一部分だけを見てというようなことでの連携になっているわけですね。
 ダブル・ディグリーについても,先ほど芝浦工大の井上先生のお話もちょっとございましたが,お互いのカリキュラムがあって,そこにぱっと乗っかってやっているということで,もちろん相手の大学の中身は調べますけれども,それほどコミットするわけじゃないと。しかし,ジョイント・ディグリーの場合には,これは本当にお互いにしっかりと話し合って中身を詰めて,カリキュラムを作るわけです。ですから,全くこれまでの連携と違う。ですから,非常に私はやるに当たってはハードルが高いというふうに思います。しかし,これは学生にとっては本当にためになるというふうなことだと思っております。
 それからジョイント・ディグリーのタイプとして見たときに,自分のところで持っていないものを補完するというやり方と,もう一つは,同じものがあるんだけれども,海外で別のところで学んでくるというようなもの,二つタイプがあると思うんです。そのときに,多分学部の場合には基礎的なことを学びますから,自分のところにないものというよりは,同じものを持っているんだけれども,自分のところとは違うところで学んでくるという,そういうことの大切さということが多分重視されてきて,一方,大学院の場合には専門性が深まりますから,そうすると自分の大学では,特に専門化だんだんしてくると,よそのところはなかなかカバーできないようになりますので,足らないところを補完するタイプのジョイント・ディグリーというのが多分主流になるんじゃないかと。そんなようなことも,この前の検討作業で見えてきたことでございますので,御紹介申し上げます。
【二宮主査】  ありがとうございました。
【内田委員】  いかにも法律家的な議論をしたいんですけれども,この制度を作るときのモデルを何にするかということが,やっぱり全然二つ違うモデルがあって。一つは,日本がCJKという形でやっていく場合の制度設計の仕方と,それから,エラスムス・ムンドゥスのプログラムに日本が入っていくとき。つまり,今日本は入ったときに,ジョイント・ディグリー制度はないから入れないということで,いろいろな問題点がある。それを解決していくという観点で制度設計をするのと,大分違うと思うんです。
 ここでの制度設計は,CJKを念頭に置いてやられていると思うんですけれども,もう一つは,エラスムス・ムンドゥスに日本が入るときには,どういう制度設計が適切かという観点をちょっと考えていただくと,大分違うものになるんだろうと思うんです。そこ,すごく細かい話ですけれども。
【二宮主査】  ありがとうございました。12時になりますので。貴重な意見交換をしていただいて,次のステップに入れるかと思うんですが,そもそも国際的な中でエンプロイアビリティーをどう高めるかということで,自国の学位だけではという部分があったんでしょうね。ですから,こういう国際共同学位というものを模索していったと。その延長線上に,一つは,エラスムス・ムンドゥスに我が国の大学も参加したけれども,今内田先生がおっしゃったように,なかなかサインができないんじゃないかと。だから,パートナー大学としてのみそこに位置づけられる。その部分を我が国の政策としてどう解き放つのかという課題。
 それから,もう一つは,キャンパス・アジアの,例えば東京大学のパブリックポリシーのプログラムなんかを見ますと,将来はジョイント・ディグリーに持っていきたいと。つまり日中韓で公共政策を担う新しい人材を創りたいと。その出口は東大の学位なのかどうかは別ですけれども,ジョイント・ディグリーという形で東大としても学位を出したいと。そういうことが多々語ってありますし,多くの大学もそういうことを夢見て,あるいは願っているところなんですね。それについて,制度がまだ全然できていませんし,しかも,グローバル人材とうたっていますので,グローバル人材を私たちが責任を持って育てると,内外人別にして,留学生も含めて育てるというときに,一国の一大学の学位プラスアルファのものがやっぱり求められるのではないかという観点からも。だから,本当に二つの大きなサインができるかというところと,我々が主体的にプログラムを提案できるかという二つの立場があって,願わくは両方が満たされれば,いろいろな多様な参画ができるのではないかなと思っております。
 今日頂いた意見を,事務局と私も御一緒して少し整理整頓して,更に議論すべきこと,あるいは提案すべきことを準備していただきたいと思っております。まとめになるかならないか分かりませんが,きょうのところはこの程度で閉じさせていただいて,次回の日程について有賀さんの方からお願いしたいと思います。
【有賀国際企画室長】  日程の前に一つだけ補足させていただきたいと思います。勝先生からコメントがありました政府からの支援ということなんですが,実際にエラスムス・ムンドゥスというのは確かにEUがやっております。それ以外には,我々,今年度,ICI-ECPというプログラム,EUとの間で連携して,お互いがお金を出してダブル・ディグリー・プログラムを行うための授業を開始しております。これは,実はジョイント・ディグリーというものもメニューにはあるんですけれども,日本の大学は,制度がないために参加できていないところがあります。その辺を参考情報としてお伝えしたいと思います。
 次回の日程でございますけれども,次は11月の中旬頃を想定しておりますが,現在調整中でございますので,また追って先生方にお知らせしたいと思います。
【二宮主査】  これで閉じてよかったですか。それでは,少しスピード感を持ってこの問題は取り組まなくてはいけないというのが,第2回の委員からのコメントにもありましたので,そうしたいと思います。きょうはこれで議事を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

 

-- 了 --

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