参考資料6 パブリック・コメント(意見募集)の結果概要

1.意見募集の概要

(1)実施期間:平成25年11月21日~12月1日
(2)告知方法:文部科学省ホームページ
(3)意見提出方法:郵送、電子メール、FAX

2.提出意見数

 計46件

3.主な提出意見の概要

(1)学長のリーダーシップの確立について

 ・ガバナンスの強化や意思決定システムの変更は、外圧だけでなく「大学の自治」の歴史的評価と教員の自律的な意思決定においてなされなくてはいけない。
 ・常に理事会や学長が教授会より優れた公正で透明な運営判断ができるという保証はない。大学運営には機動力とともに透明性が必要。
 ・学長が大学の将来や改革に主導的立場になければならないが、個人的なビジョンを強引に進めるのではなく、あくまでも組織決定によるべき。
 ・トップが示す運営方針に対して単にその実行を請け負うだけでなく、トップが示す運営方針を検証するために、組織の構成員との間で重層的な議論を積み重ね、運営方針を練り上げることこそ組織のトップは注力すべきではないか。
 ・国立大学法人化以後、各種書類の増加や委員会の乱立が起こっており、学長の改革がその原因となっていることも多いのではないか。
 ・学長の補佐体制を考えないと大規模大学を一人で統括するのは困難。
 ・学長を補佐する者は、教員や大学教育に関する基本的な理解をしっかり持つ必要がある。
 ・教職員の意識改革を促すために、書面による雇用契約の確認をしっかり行い、教職員に求める事項を明らかにし、それらを人事評価を行う上での評価項目の一つとしてはどうか。
 ・教職協働を明記し、大学の職員育成や人事交流を義務化してほしい。
 ・教職員に対して正しく法令等を促すために、eラーニング等を使った反復研修を導入してはどうか。

(2)学長・学部長の選考・業績評価について

 ・学長の選考に個々の教員が参加する形でなければ自分たちが大学運営に参加するという気構えがなくなり、大学改革ができない。内部投票制度などの仕組みは尊重されるべき。
 ・学長の任期が満了したにもかかわらず、学内意向投票を行わないことは民主的な手続きとはいえないのではないか。
 ・学長選考組織の正当性、公平性、透明性の確保の方策について十分に議論すべき。意向投票の結果を覆すのであれば説得的な論拠が必要であり、選考組織の権限のみで決定しても学内の混乱が生じるだけである。
 ・民間企業では取締役会等の不祥事は株主代表訴訟など厳しいペナルティが課されるが、私立大学では問題がおきれば辞職だけで済んでしまうのは問題ではないか。
 ・学長研修を行うなど、学長は研究者ではなく組織の研究者であることをしっかり認識させてほしい。

(3)教授会の役割の明確化について

 ・学部教育改革や経営戦略などは、各部局の教授会で意思決定できるものではなく、ある程度、教授会の付託事項を明文化し、その他の事項についての意思決定組織を分ける必要がある。
 ・人事の最終的な決定権は設置者にあるであろうが、人事権の行使は基礎となる教員組織の専門的な業績評価に基づく教学の上申を待ち行われるべきものではないか。
 ・重要な事項に関する全学的な意思決定を行う際には、学部教授会ごとに議論を経ることは最低限必要なことであり、そのような議論・決定を経ることで、大学の構成員全員がその政策に自覚的・意識的に取り組むことができるのではないか。
 ・憲法23条の「学問の自由」に由来する大学の自治は、人事の自治、施設管理の自治、財政の自治、教育・研究の自主決定権等を内実とし、教授会の審議権はその中核をなすものであり、それを否定することは許されないのではないか。
 ・法人の権限であるから教授会等の意見を聴く必要がないとして理事会等が協議にも応じないということは大学の円滑な運営をむしろ阻害するものであり、最終的に理事会等が経済的理由などで判断を下す前に教授会と十分な意見交換を進めることが必要ではないか。
 ・私立大学は設置者である学校法人と設置される学校である大学が峻別(しゅんべつ)されており、理事会の意思決定に対して教授会が反対することは、現場のチェック機能が働いているという意味で健全なガバナンスではないか。
 ・「教授会の審議事項の透明化」は重要であり、公表前事項や個人情報を含む事項など以外は積極的に学内外に公表し、教授外が適切に責任を果たしていることを示すべきである。
 ・教授会の内部委員会は教授会に代わるものではないが、全体会での審議を効率化できるので、活用を進めるべきではないか。

(4)監事の役割の強化について

 ・学長のやっていることを恒常的にチェックする体制についての検討をもっと行う必要があるのではないか。(特に第1回部会の清家委員の指摘を参考にすべき)
 ・国立大学の監事については国立大学法人法審議の付帯決議において学長の意向が直接に反映される形となっており、また任期が2年と短いことから、監事機能の学長からの独立性もさほど高いとは言えない。学長のリーダーシップを発揮させるには監事機能の強化等、より堅固なガバナンスの確立が必要ではないか。
 ・大学の不祥事を鑑みれば、理事長・理事会に対するチェック体制こそまず必要ではないか。

(5)大学への国からの支援について

 ・誤った形での大学間競争が行われており、学力不足の学生まで受け入れているため大学教育の内容が劣化している。日本の学問や研究の中長期的将来を考える上でも、近視眼的な視点では無く、世界ランキングに入る大学に100億円単位で補助金を付けるなど「競争の基準を変える政策的見地」を示すことが重要ではないか。

 ・国立大学は「日本再興」の原動力として各界から大きな期待が寄せられる一方で、基盤的経費である運営費交付金が毎年減額されている。大学運営には中長期的視点が必要であり、多様で優れた人材を安定的に確保することが極めて重要であって、ガバナンスをはじめとする各種の改革を推進するためにも、一定の安定した財政的基盤を確保することが必要。
 ・アドミニストレーターや高度専門職の配置を実現するためには、一般運営費交付金の充実が不可欠。
 ・私立大学の教育研究活動を支える基盤的経費の安定的な確保が急務。

(6)大学と社会等との関係について

 ・学術研究には明確なステークホルダーが存在しないが、国力の指標の一つであり、大学ガバナンスを考える際、学術レベルの衰退への危機感についても重要な視点として考える必要があるのではないか。
 ・今後の大学は学生中心との性格を強めていくことが求められている。学生も真の構成員として大学の在り方に関心を持ち、単なる教育研究サービスの受容者としてではなく、教職員と連携してより良い大学を作るよう、学生参加型FDなどの取組を進めていくべきではないか。
 ・大学が社会を俯瞰してニーズに応えるためには、理事や副学長にもっと女性を登用すべきではないか。

(7)その他

 ・ガバナンスとは何であるか定義の明確化が必要。
 ・大学は教育研究機関であり、利潤・利益の拡大再生産を本質的な目的とする株式会社とはその存在意義、目的が根本的に異なっている。
 ・教育公務員特例法が適用されなくなっても国立大学に大学の自治が無くなったわけではなく、引き続き大学の自治は守られる必要がある。
 ・私立大学の自主性・自律性・多様性、学問分野や経営規模など各大学の実態に即した改革が必要。
 ・大学運営にあたっては中長期的な視点が不可欠であり、教育研究の成果は短期間では現れず、定量的な測定が困難なことに留意すべき。
 ・優れた教育研究のためには教職員の自由で多様な発想を引き出すことが極めて重要。
 ・教育研究の基本は優れた人材の確保であり、流動性を高めつつ、多様で優れた人材を安定的に確保することが必要。 
 ・大学教員には安定した経済的地位が必要であり、年俸制は不適当ではないか。
 ・成果主義賃金制度の導入等、成果主義、競争主義を安易に教育研究の場に持ち込むことは、短期的に成果を出すことができる分野へと若手研究者を誘導し、地道な研究が必要となる基礎研究を軽視させ、日本の学術研究をいびつなものとするのではないか。 

 

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