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資料2−2

学位プログラムを中心とした大学制度について(第1回学位プログラム検討WGでの主な指摘事項)

○ 平成17年1月中央教育審議会答申「我が国の高等教育の将来像」

 「国際的通用性のある大学教育又は大学院教育の課程の修了に係る知識・能力の証明としての学位の本質を踏まえつつ、今後は、教育の充実の観点から、学部や大学院といった組織に着目した整理を、学士・修士・博士・専門職学位といった学位を与える課程中心の考え方に再整理する必要がある」

1 学位プログラムを導入する意義等

(主な検討事項の例)

  •  学位プログラムの導入の必要性
  •  学位プログラムが大学教育の課題の解決に向けて果たす役割

WGでの主な指摘)

  • → 学位プログラムは、単に社会や学生等からの多様な学習ニーズへの対応だけでなく、大学教育の充実と質保証、学位の国際的通用性、大学の教育運営、学生の履修支援等これまでの大学制度を取巻く諸課題の本質的な改革の契機となりうる。
  • → 「学位プログラムありき」ではなく、学生本位の視点から見て最適の教育を提供するために必要な方法を合理的に検討した上で、学位プログラムの在り方を検討することに行き着くという考え方が必要である。
  • → これまで組織中心で大学制度が作られていたが、「入れ物」だけ見てもよく分からない状態になっていた。学位プログラムによって、教育課程という「中身」について、世の中から見てもよく見えるものにする必要がある。

2 学位プログラムの枠組み

(主な検討事項の例)

  •  学位の種類、分野及び範囲
  •  教育研究の基本組織(学部、研究科、学科等)との関係整理

WGでの主な指摘)

  • → 学位プログラムの検討に当たっては、学部や大学院だけでなく、短期大学も含めて全体で考えていく必要がある。

3 学位プログラムの実施に係る教育課程等

(主な検討事項の例)

  •  教育課程の編成方針、編成方法、教育課程の管理及び具体的な教育内容等
  •  各学問分野の教育到達目標、標準的なカリキュラムや教材等の在り方
  •  成績評価、単位認定、卒業認定、修了要件や修業年限の在り方
  •  入学者選抜の在り方

WGでの主な指摘)

  • → これまでの仕組みは、単位制度と修業年限という「量の確保」中心に置かれ、必要単位を修得し修業年限をこなせば学位がもらえた。今後は、学位プログラムによって、「質の確保」にシフトし、課程の修了によって学位がもらえる仕組みになる。
  • → 学位プログラムでは、教育課程が学位の取得を目指して体系的に設定されたものとなる。学位の取得を目的としている点で、専攻科や別科と区別することができる。
  • → 学位プログラムにおいては、リベラル・アーツとプロフェッショナル・スクールの区別を行うことが必要。また、リベラル・アーツと「教養」とは異なる
  • → 修業年限と単位制度は、週40時間労働の考え方と本来つながっている。45時間で1単位という考え方で、1セメスター(15週)当たりで15単位取得でき、年間30単位まで取得できることとなる。このため、4年間で120単位となり、それに体育分が加わって124単位となっている。現行でも優秀な学生であれば3年で卒業できる仕組みがあるが、学位プログラムの導入によって、課程の修了の概念がより鮮明に出てくることとなる。
  • → 我が国はセメスター制度に基づいた単位制度の仕組みとなっているが、米国は、セメスター単位制の他、クォーター単位制やコース単位制があり、単位制度の対米国の通用性がない。このため、単位換算の考え方の整理やシラバスの組替えが必要。

4 学位プログラムの実施体制等

(主な検討事項の例)

  •  教員組織の在り方
  •  教員の教育活動や勤務時間管理の在り方
  •  教授会の在り方や権限等
  •  学生の所属及び学生の履修支援等の在り方
  •  教育課程のガバナンス体制や学生に対する教育の責任等

WGでの主な指摘)

  • → 学位プログラムを実施していくためには、教員の体制として、教育指導体制、カリキュラム・ガバナンス体制又は学生の履修支援体制の他、学位審査体制や研究指導体制も合わせて検討する必要がある。
  • → 現行制度は、学部等の学生の「入れ物」に対し教員が張り付くこととなっているが、学位プログラムの実施のためには、学生が所属する学位プログラムと教員が所属する教員組織とは相対化(分離)しなければならない。
     そのようにしなければ、多様なニーズには応えられず、その度ごとに組織を作らなければならなくなる。モデルは、米国における分野ごとのデパートメント。
  • → 現行制度でも十分柔軟に対応できる形となっており、結局、実態上その制度がうまく運用されていないのではないか。学位プログラムによって何から何まで変えなければいけないわけではない。
  • → 現行制度上、学校教育法において「学部をおくことを常例とする」等必ず何らかの組織を置くことが前提となっており、その見直しが必要かもしれない。
  • → 米国のマネをするというより、学生に対してより良い教育が提供できるような合理的な方法を整備しなければならない。
  • → 教員が大切なことは言うまでもないが、教員をサポートする仕組みも必要。
  • → 現在は、学生をどこかの研究室に入れておけば、そこの教員が履修支援等を行う仕組みとなっているが、その仕組みがなくなるのであれば、履修支援体制の別途の整備が必要になることが考えられる。
  • → 我が国の授業料は、年度単位で徴収しており、どんぶり勘定となっている。このため、1年間でたとえ1単位しか取得しなかったとしても満額支払うなど、授業料と授業量が結びついていない。米国ではレジデンシーの考え方で授業料が徴収されているところもある。

5 学位プログラムの実施に係る質保証の仕組み

(主な検討事項の例)

  •  設置基準の在り方
  •  設置認可の在り方
  •  学位プログラムと分野別認証評価との関係

WGでの主な指摘)

  • → 大学の自律性の観点から、先ずやってほしいことは、大学内部の質の保証システムを確立すること。大学内部の質保証をしっかり行ってから、外部の認証評価が、その大学内部のチェック体制をチェックすることが必要となる。
  • → 現行の設置認可では、「入れ物」を見ている。学位プログラムを導入するのであれば、プログラム中心の設置認可制度とになるのではないか。
  • → 学位プログラムを中心とした仕組みとするのであれば、分野別の認証評価が前提となるのではないか。
  • → 大学内部の質保証と合わせてFDをセットで考えていく必要がある。
  • → 学位プログラムを中心とした大学制度とすると、設置基準上の収容定員の問題、専任教員数及び校舎面積等の算定方法並びに財政的支援の問題とも関わる。