資料8−2
大学の入学受入規模が,入学志願者数とほぼ一致し,大学教育への需要が概ね充足された状態をいう。すなわち,入学志願者が,進学先の大学を選ばなければ,理論上,いずれかの大学に入学し得る状態である。
なお,将来像答申では,大学・短期大学の志願者数と入学者数,収容力(答申では入学者数/志願者数として定義)等の推計を行い,平成19年(2007年度)に収容力が100パーセントに達するとした。こうした推計方法を踏まえて,収容力が100パーセントに達した状態を「大学全入」と呼ぶ場合もある。
英語のknowledge-based societyに相当する語。論者によって定義付けは異なるが,一般的に,知識が社会・経済の発展を駆動する基本的な要素となる社会を指す。類義語として,知識社会,知識重視社会,知識主導型社会等がある。
学習成果は,プログラムやコースなど,一定の学習期間終了時に,学習者が知り,理解し,行い,実演できることを期待される内容を言明したもの。学習成果は,多くの場合,学習者が獲得すべき知識,スキル,態度などとして示される。またそれぞれの学習成果は,具体的で,一定の期間内で達成可能であり,学習者にとって意味のある内容で,測定や評価が可能なものでなければならない。学習成果を中心にして教育プログラムを構築することにより,従来の教員中心のアプローチから,学生(学習者)中心のアプローチへと転換できること。また,学生にとっては,到達目標が明確で学習への動機付けが高まること。プログラムレベルでの学習成果の達成には,カリキュラム・マップの作成が不可欠で,そのため教員同士のコミュニケーションと教育への組織的取組が促進されること。さらに,学習成果の評価(アセスメント)を通じて,大学のアカウンタビリティが高まること,などが期待される。
学位は,中世ヨーロッパにおける大学制度の発足当時から,大学がその教育の修了者に対し授与する大学の教授資格として発足し,国際的通用性のある大学教育修了者相当の能力証明として発展してきた。この歴史的経緯の中で,学位は学術の中心として自律的に高度の教育研究を行う大学が授与するという原則が国際的にも定着しており,逆に学位授与権は大学の本質的な機能と考えられてきたのである。学位の種類についても,修士のような中間段階の学位については国により多少の差異があるものの,学部教育の修了者に対し与えられる学士を第一学位,大学院博士課程修了者に与えられる博士を最高学位とするのが通例となっている。
従来,学士課程教育は,一般的に「学部教育」などといった「組織」に着目した呼び方がなされていた。
しかし,知識基盤社会においては,新たな知の創造と活用を通じ,我が国社会や人類の将来の発展に貢献する人材を育成することが必要であり,そのためには,「学部所属」ではなく,国際的通用性のある大学教育の課程の修了に関わる知識・能力を習得したことが重要な意味を帯びる。学位は,そのような知識・能力の証明として,大学が授与するものであることが,国際的にも共通理解になっており,その学位を与える課程(プログラム)に着目して整理し直したものが,学士課程教育である。
イノベーションとは,技術の革新にとどまらず,これまでとは全く違った新たな考え方,仕組みを取り入れて,新たな価値を生み出し,社会的に大きな変化を起こすことである。
また,長期戦略指針「イノベーション25」(平成19年6月1日閣議決定)では,大学はイノベーションを先導する「知」の源泉であり,大学の本来の役割として,幅広い教養の厚みに裏打ちされた知性あふれる専門家・社会人の育成,独創的・先端的な研究の推進及び社会の発展への寄与が期待されており,これを十分に果たすことにより経済成長及びイノベーション創造に貢献することが重要であるとしている。
「入学者受入れの方針」は,各大学・学部等が,その教育理念や特色等を踏まえ,どのような教育活動を行い,また,どのような能力や適性等を有する学生を求めているのかなどの考え方をまとめたものであり,入学者の選抜方法や入試問題の出題内容等にはこの方針が反映されている。また,この方針は受験者が自らにふさわしい大学を主体的に選択する際の参考ともなる。
アメリカにおいては,高校の成績(GPA)の点数,高校で履修しておくべき科目・内容,SAT等の標準的な試験の点数などを具体的に示すことが一般的である。
入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)に加えて,将来像答申が新たに提唱した「教育の実施や卒業認定・学位授与に関する基本的な方針(ディプロマ・ポリシー,カリキュラム・ポリシー)」に対応するもの。入学者受入の方針と異なり,モデルとなる具体例や典型的な形態が存するものではない。将来像答申は,組織的な取組の強化が大きな課題となっている我が国の大学の現状を踏まえ,各機関の個性・特色の根幹をなすものとして,3つの方針の重要性を指摘するとともに,「早急に取り組むべき重点施策」の中で,3つの方針の明確化を支援する必要性を強調している。
個々の大学がそれぞれの理念・目的に基づき,自由かつ多様な形態で教育を実施し得るようにするため,平成3年7月に大学設置基準等を改正し,規制を大幅に緩和したこと。
具体的には,一般教育科目,専門教育科目等の科目区分の廃止,教員数の制限の緩和,学生数の弾力化など。
現在の我が国の大学制度は単位制度を基本としており,1単位は,教室等での授業時間と準備学習や復習の時間を合わせて標準45時間の学修を要する教育内容をもって構成されている。しかし,実際には,授業時間以外の学習時間が大学によって様々であるとの指摘や1回あたりの授業内容の密度が大学の授業としては薄いものもあるのではないかとの懸念がある。このような実態を改善するための種々の取組を総称して単位制度の実質化のための取組と言うことがある。
学士・修士等の学位とは異なるが,一定の課程の修了を証明するものとして,大学等が発行する証明書(米国でいうcertificate等に相当する)。
学校教育法の一部改正(平成19年6月27日公布,公布後6ヶ月以内に施行)により,大学等が文部科学大臣の定めるところにより,当該大学の学生以外の者を対象とした特別の課程を編成し,これを修了した者に対し,履修証明書を交付できるといった趣旨が規定された(改正後の第105条)。
アメリカの社会学者マーチン・トロウは,高等教育への進学率が15パーセントを超えると高等教育はエリート段階からマス段階へ移行するとし,さらに,進学率が50パーセントを超える高等教育をユニバーサル段階と呼んでいる。「ユニバーサル」というのは,一般に「普遍的な」と訳されるが,トロウによると,「ユニバーサル・アクセス」というのは,誰もが進学する「機会」を保証されているという学習機会に着目した概念である。
「GP」とは,大学教育改革の「優れた取組」という意味で国際的にも広く使われている「Good Practice」の略称。GP事業とは,各大学が自らの大学教育に工夫を凝らした優れた取組で他の大学でも参考となるようなものを公募により選定する文部科学省の事業の通称。「特色ある大学教育支援プログラム」(特色GP)と「現代的教育ニーズ取組支援プログラム」(現代GP)等がある。国公私立を通じた競争的環境の下で,第三者による公正な審査により選定し,取組の内容を社会に広く情報提供するという3つの特徴がある。
教員が授業内容・方法を改善し向上させるための組織的な取組の総称。具体的な例としては,教員相互の授業参観の実施,授業方法についての研究会の開催,新任教員のための研修会の開催などを挙げることができる。なお,大学設置基準等においては,こうした意味でのFDの実施を各大学に求めているが,FDの定義・内容は論者によって様々であり,単に授業内容・方法の改善のための研修に限らず,広く教育の改善,更には研究活動,社会貢献,管理運営に関わる教員団の職能開発の活動全般を指すものとしてFDの語を用いる場合もある。
事務職員や技術職員など職員を対象とした,管理運営や教育・研究支援までを含めた資質向上のための組織的な取組を指す。「スタッフ」に教員を含み,FDを包含する意味としてSDを用いる場合(イギリスの例)もあるが,ここでは,FDと区別し,職員の職能開発の活動に限定してSDの語を用いている。
設置形態の枠組みを超えた高等教育機関間(地域を含む)の連携協力による教育・研究・社会貢献機能の充実・強化を行う取組を指す。
大学や学部単位において,習得すべき知識,技能,態度等を明確にし,到達目標やそのために必要な授業単位数を定めたもの。
知識や技能(スキル)そのものではなく,それらを駆使して業務上の課題を遂行・解決する能力に着目した概念。近年,企業における能力評価の道具として開発されたが,教育や臨床心理学などの分野において広く使用されるようになった。新たな概念で定義は一律でなく,アメリカでは高業績をあげる人の行動特性として,イギリスでは標準的な業務遂行能力として使われることが多い。わが国では,これまでの職能資格制度が評価基準としてきた潜在能力に対立する能力観として,成果主義とともに導入された経緯から「顕在能力」という意味合いが強い。
リベラル・アーツの起源は,古代ローマにおける自由(liberal)市民に必要な学芸(arts)としての言語と数学系の諸科にあり,生産階級である奴隷(servile)の技芸(arts)に対していった。それは,中世のヨーロッパ大学において,文法・修辞・論理の言語系3学(trivium)と算術・幾何・天文・音楽の数学系4学(quadrivium)の7自由学芸として哲学(学芸)部に定着し,特定の職業からの拘束を受ける神・法・医の専門職学部の諸学芸に対して自由な学芸とされ,また一方でそれらの教育のための基礎学芸と位置づけられた。
近代のそれはアメリカの大学で確立した概念で,自由人に相応しい,特定の職業のためではないない,一般的な知力を開発する学芸を意味し,言語・数学系の諸科と人文科学,社会科学,自然科学の諸学芸を指す。これらの諸科は学芸(文芸)科学学部(faculty of arts(letter)and sciences)等を構成し,古典的な神・法・医及び近代的な工,農,経営,教育等の専門職学部(professional schools)における職業系諸科に対する。一部に,近代科学とその生み出す技術(science and technology)の知を別種のものと見て,それらを除いた諸科をリベラル・アーツとみる向きもある。
なお,リベラル・アーツは教養と訳されるが,教養の英訳がカルチャーつまり文化一般であるのに対して,リベラル・アーツはディシプリン(方法)を持った諸科目であり,リベラルアーツ・カレッジにおいても,一般教育に加えリベラル・アーツ分野の専攻の学習が課されるのが通常である。
学生が在学中に,企業等において自らの専攻や将来希望する職業に関連した就業体験を行うこと。
高校から大学への円滑な移行を図り,大学での学問的・社会的な諸経験を“成功”させるべく,主として大学新入生を対象に作られた総合的教育プログラム。高校までに習得しておくべき基礎学力の補完を目的とする補習教育とは異なり,新入生に最初に提供されることが強く意識されたもので,1970年代にアメリカで始められ,国際的には「First Year Experience(初年次体験)」とも呼ばれている。具体的内容としては,(大学における学習スキルも含めた)学問的・知的能力の発達,人間関係の確立と維持,アイデンティティの発達,キャリアと人生設計,肉体的・精神的健康の保持,人生観の確立など,大学における教育上の目標と学生の個人的目標の両者の実現を目指したものになっている。
大学教育を受ける前提となる基礎的な知識等についての教育をいう。
主専攻分野以外の分野の授業科目を体系的に履修させる取組であって,学内で規程が整備されている等,組織的に行われているものをいう。
大学における学術上の専門分野を学習する際に必要とされる英語力と,その獲得を目標とする英語教育のこと。Dudlye-Evansらの分類によれば,英語に関する言語としての知識,日常会話,背景文化などを学ぶEGP: English for General Purposesと対をなすものとして,学問や職業などの特定分野における固有ニーズを対象としたESP: English for Specific Purposesがあり,ESPはEAPと職業上のニーズを対象としたEOP: English for Occupational Purposesに分けられ,EOPは,さらに専門性の観点から,EPP: English for Professional PurposesとEVP: English for Vocational Purposesに分類される。
大学での学習において必要となる論文やレポート等の作成に関わる支援や指導を行うことを通して,文章表現の技能のみならず分析的理解や論理的思考能力を高めることを目的とした学習支援センターのこと。アメリカでは主要大学のほとんどにライティングセンターがある。我が国では,英語によるライティングを中心とした学習支援を行うものと,日本語による文章や論文の作成を支援・指導するものがある。
各授業科目の詳細な授業計画。一般に,大学の授業名,担当教員名,講義目的,各回ごとの授業内容,成績評価方法・基準,準備学習等についての具体的な指示,教科書・参考文献,履修条件等が記されており,学生が書く授業科目の準備学習等を進めるための基本となるもの。また,学生が講義の履修を決める際の資料になるとともに,教員相互の授業内容の調整,学生による授業評価等にも使われる。
1学年複数学期制の授業形態。日本で多く見られる通年制(一つの授業を1年間通して実施)の前・後期などとは異なり,一つの授業を学期(セメスター)毎に完結させる制度。諸外国では一般的であり,個々の学期が15週程度で2学期制の伝統的セメスター制度(traditional semester system)のほか,初期セメスター制度(一方のセメスターが若干長い:early semester system),3学期制(trimester system),4学期制(quarter system)などを実施する大学もある。日本においても,一部の大学・学部で導入されている。
セメスター制は,1学期の中で少数の科目を集中的に履修し,学習効果を高めることに意義があるので,単に通年制の授業の内容が過密にならないような配慮も必要である。
さらにセメスター制には,学年開始時期が異なる大学間において円滑に転入学を実施できるというメリットがある。
単位の過剰登録を防ぐため,1年間あるいは1学期間に履修登録できる単位の上限を設ける制度。
我が国の大学制度は単位制度を基本としているが,大学設置基準上1単位は,教員が教室等で授業を行う時間に加え,学生が予習や復習など教室外において学習する時間の合計で,標準45時間の学修を要する教育内容をもって構成されている。また,これを基礎とし,授業期間は1学年間におよそ年30週,1学年間で約30単位を修得することが標準とされ,したがって大学の卒業要件は4年間にわたって124単位を修得することを基本として制度設計されている。
しかしながら,学期末の試験結果のみで単位認定が行われるなどの理由から,学生が過剰な単位登録をして,3年で安易に124近くの単位を修得し,結果として45時間相当に満たない学習量で単位が認定されているという現象が生じたことから,平成11年に,大学設置基準第27条の2第1項として,「大学は,学生が各年次にわたって適切に授業科目を履修するため,卒業の要件として学生が修得すべき単位数について,学生が1年間又は1学期に履修科目として登録することができる単位数の上限を定めるよう努めなければならない」と規定された。
アメリカにおいて一般的に行われている学生の成績評価方法の一種,一般的な取扱いの例は次のとおりである。
なお,このような取扱いは,1セメスター(半年)に最低12単位,最高18単位の標準的な履修を課した上で成績評価し,行われるのが一般的である。
優秀な大学院学生に対し,教育的配慮の下に,学部学生等に対するチュータリング(助言)や実験・実習・演習等の教育補助業務を行わせ,大学院学生への教育訓練の機会を提供するとともに,これに対する手当の支給により,大学院学生の処遇の改善の一助とすることを目的としたもの。
伝統的な教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり,学習者の能動的な学習への参加を取り入れた教授・学習法の総称。学習者が能動的に学ぶことによって,後で学んだ情報を思い出しやすい,あるいは異なる文脈でもその情報を使いこなしやすいという理由から用いられる教授法。発見学習,問題解決学習,経験学習,調査学習などが含まれるが,教室内でのグループ・ディスカッション,ディベート,グループ・ワークなどを行うことでも取り入れられる。
教室でのアカデミックな学習と地域社会での実践的課題への貢献を結びつけた経験学習の一形態である教授・学習法。地域社会における現実の問題を解決するという課題を,教室で学んだ知識を活かして取り組むことにより,学習内容についての深められると共に,市民的責任を学び,市民としての社会参加を促進するといわれている。アメリカでは広く採用されている。
eラーニングの学習管理システム。学習者等の登録,学習履歴の管理,学習の進捗管理(成績等)などの基本機能の他,掲示板等のコミュニケーションツールなどの機能を有する。
(メディア教育開発センター2006年度要覧 NIME-gladキーワードより)
PDPは,学生が自ら学習の進捗を記す自己記録であり,今後の学習の改善に役立てる目的がある。大学による公式の成績記録と併せて「学生のプログレス・ファイル」(Progress File)を構成する要素となっている。「学生のプログレス・ファイル」は,イギリスの高等教育の将来像を検討した政府委員会報告書(いわゆる『デアリング報告』(1997年))が大学に開発を提案したもので,評価機関である高等教育質保証機構(QAA)が枠組みを策定している。
学生が,学習過程ならびに各種の学習成果(例えば、学習目標・学習計画表とチェックシート、課題達成のために収集した資料や遂行状況、レポート、成績単位取得表など)を長期にわたって収集したもの。それらを必要に応じて系統的に選択し,学習過程を含めて到達度を評価し,次に取り組むべき課題をみつけてステップアップを図っていくことを目的とする。従来の到達度評価では測定できない個人能力の質的評価を行うことが意図されているとともに,教員や大学が,組織としての教育の成果を評価する場合にも利用される。
大学入学者選抜実施要項において,大学入学者の選抜に際しては,各大学・学部の教育理念,教育内容等に応じた入学者受入れ方針に基づき,受験生の能力・適性等を多面的に判定できるよう,「選抜方法の多様化,評価尺度の多元化」に努めるよう定めている。
「選抜方法の多様化」としては,従来から行われてきたペーパーテストによる学力検査を中心とする方法のみでなく,その他の様々な方法を導入することを指す。具体的には,高等学校長等の推薦に基づく選抜やアドミッション・オフィス入試,専門高校・総合学科卒業生,帰国子女,社会人などを対象とした選抜など。
「評価尺度の多元化」としては,学力のみを測るのではなく,それ以外の様々な面(意欲・関心,適性等)を評価することを目指した改善を指す。具体的には学力検査の他,調査書の内容,小論文,面接,リスニング,実技,ボランティア活動等の評価方法や配点の工夫など,様々な尺度を適切に組み合わせて行うこと。
アドミッション・オフィス入試には法令上の定義はなく,その具体的な内容は各大学の創意工夫にゆだねられている。一般的に言えば,「アドミッション・オフィス入試」とは,アドミッション・オフィスなる機関が行う入試というよりは,学力検査に偏ることなく,詳細な書類審査と時間を掛けた丁寧な面接等を組み合わせることによって,受験生の能力・適性や学習に対する意欲,目的意識等を総合的に判定しようとするきめ細かな選抜方法の一つとして受け止められている。
平成20年度大学入学者選抜実施要項では,「詳細な書類審査と時間をかけた丁寧な面接等を組み合わせることによって,入学志願者の能力・適性や学習に対する意欲,目的意識等を総合的に判定する方法」と記されている。
大学の管理運営に携わる上級職員のこと。アメリカでは,総務部長や財務部長など事務系管理職のほか,学長をトップに副学長や学部長などもアドミニストレーターと呼ぶのが一般的であるが,わが国では主として事務系管理職およびこれらを支援する立場の事務職員を指して使うのが一般的である。近年大学を巡る諸環境が変化する中で,教授会・評議会を主軸にした教員中心の意思決定システムの限界が認識されるようになり,学長・副学長や部局長を支える事務系スタッフの役割を重視しようとする動きがある。またその役割を果たすためには,職員の資質を高め,かつ彼らの学内での位置づけを正当に評価しなければならないという意見が強まっている。SD(スタッフ・ディベロップメント)はこれらの動きの反映でもある。アドミニストレーターはSD等を経て育成された意欲と能力のある事務系職員のことであり,今後の大学改革の中で大きな役割を果たすことが期待されている。
大学等の教員が自分の授業や指導において投じた教育努力の少なくとも一部を,目に見える形で自分及び第三者に伝えるために効率的・効果的に記録に残そうとする「教育業績ファイル」,もしくはそれを作成するにおいての技術や概念及び,場合によっては運動を意味している。ティーチング・ポートフォリオの導入により,将来の授業の向上と改善,証拠の提示による教育活動の正当な評価,優れた熱心な指導の共有などの効果が認められる。
正規の大学等として認められていないにも関わらず,学位授与を標榜し,真正な学位と紛らわしい呼称を供与する者のこと(直訳すると「学位工場」)。世界的に,厳密な学問的定義や法的概念があるものではない。従来は,アメリカ等においてのみ問題とされていたが,インターネット等の普及により被害が国際的問題になりつつある。
専任教員のうち,専攻分野における実務の経験及び高度の実務を有する教員。専門職大学院については,その特性から「専門職大学院に関し必要な事項について定める件(平成15年3月31日文部科学省告示第53号)」において,必置とされる専任教員には「専攻分野におけるおおむね5年以上の実務の経験を有し,かつ,高度の実務の能力を有する者」を一定割合以上含めることが義務付けられている。主な例として,法科大学院においては法曹としての実務の経験を有する者,教職大学院においては小学校等の教員としての実務の経験を有する者が挙げられる。