高等専門学校は、高校と大学の両方にまたがる年齢期の学生を対象として、以下のような特色ある教育を行っており、我が国のユニークな教育制度として国際的にも高く評価されている。
- 高等専門学校は、実践的・創造的技術者の育成という明確な教育目的の下、中学校卒業段階から5年間の一貫した専門教育を行う高等教育機関であり、大学入試の影響を受けないことを生かして、15歳という頭脳の柔らかい時期から、理論的な基礎の上にたって実験・実習・実技等の体験重視型の専門教育を実施している。
- 教育課程は、専門科目と一般科目がいわゆるくさび型(低学年では一般科目が多く、学年が進む毎に専門科目が多くなるように編成されている。)に編成され、専門教育と一般教育とが円滑に行なわれるようになっている。また、体系的な教育課程に基づく厳格な成績評価を行っている。
- 卒業生が、専攻科あるいは大学、さらには大学院にまで進学し、それぞれのレベルで創造性豊かな研究者・技術者を目指すキャリアパスとしても評価されている。
- 高等専門学校に入学してくる学生は、中学校段階から理数系やものづくりに関心が高い者であることが多く、このため入学後も好奇心旺盛な学生が多く、理科や数学に関する知識への関心や、技術やものづくりへの意欲が高い。
- このほか、充実した課外活動等の指導や、寮生活などを通じて、全人的教育を実施していることや、ロボットコンテストなどの創意工夫の体験を含む有意義な取組が全国レベルで行われていることも、高等専門学校における教育の特徴である。
高等専門学校は、創設以来40年以上に亘って、高度成長期を支えるなど、優秀な人材を社会に供給し、産業界を中心に高く評価されてきた。また、地域行政や産業界との技術連携等、地域に密着したきめ細かな交流を行い、地域の発展に貢献してきた。
- これまで高等専門学校卒業生は約30万人を数え、実践的・創造的技術者、経営者、研究者など幅広い分野で活躍する人材を輩出している。工学系新卒技術者のうち高等専門学校卒業生の割合は12パーセント(平成18年度。大学への編入学者、大学院への進学者を含む。)となっており、今後のイノベーションを担う人材の養成機関としては大きな役割を果たしている。また、高等専門学校卒業生が企業の経営者になっている割合が高いとの調査例もあり、起業家精神を持った人材の輩出にも貢献している。
- 高い求人倍率(本科16倍、専攻科21倍(平成17年度))、就職率(ほぼ100パーセント)に示されるように、企業から高い評価を受けている。
- 高等専門学校出身者の資質については、企業に入ってから伸びる人材の資質として重要である、モチベーション、協調性、様々な事象に対処する知恵(課題解決力)といった点で優れているとの評価があり、そうした資質を涵養する上で、実験・実習・実技による体験重視型の専門教育が高く評価されている。また、特に大学院進学者には創意工夫の面で優秀な者が多いとの評価がある。