資料7
高等専門学校は、高校と大学の両方にまたがる年齢期の学生を対象として、以下のような特色ある教育を行っており、我が国のユニークな教育制度として国際的にも高く評価されている。
高等専門学校は、創設以来40年以上に亘って、高度成長期を支えるなど、優秀な人材を社会に供給し、産業界を中心に高く評価されてきた。また、地域行政や産業界との技術連携等、地域に密着したきめ細かな交流を行い、地域の発展に貢献してきた。
このように産業界から高い評価を受けている高等専門学校教育であるが、以下に示すように、様々な面で高等専門学校を巡る社会経済環境が変化してきている。
工学基礎教育、体験重視型の早期創造教育・人間教育により、基盤となる幅広い知識・技術とともに、特定の専門工学領域において基礎的知識・素養をしっかりと身に付けた実践的・創造的技術者を育成。
本科における教育の基礎の上に立って、特定の専門工学領域におけるより高度の知識・素養とともに複合領域に対応できる幅広い視野を身に付け、高い課題設定・解決能力を備えた学士水準の実践的・創造的技術者。
高等専門学校本科の延長として、高等専門学校の特色である実験・実習等の体験重視型の実践的教育をさらに高度化させた教育を実施し、高い課題設定・解決能力を備えた学士水準の実践的・創造的技術者を養成している。高等専門学校本科で取り組んだ特別研究を専攻科で継続的に深めることができる等、高等専門学校本科からの継続教育が行え、複合領域への広がりを持たせることができる点に特色がある。
高等専門学校本科卒業生に配慮したカリキュラムの編成としており、円滑な接続を実現している。高等専門学校本科教育の基礎の上に、学部3年から修士2年までの4年間を一貫した教育体制としてとらえる等、大学院を重視した教育を行い、研究・開発技術者を養成している。これにより長期インターンシップも可能となる等、充実した教育が行われている。
自然科学の知識の応用である「工学」を教育しており、必ずしも技術者教育に特化せず、幅広く学問の基礎・教養を教育し、多様な人材を育成している。また、大学院への接続をも念頭に置いた学術的・理論的な教育を実施している。大学編入学は、高等専門学校教育に連続したものではなく、カリキュラム編成においても必ずしも高等専門学校本科卒業生に特に配慮されているとは限らない。一方で、高等専門学校卒業生にとっては、様々なタイプの学生とともに、高等専門学校に設置されていない専攻分野の教育研究を享受できることや、他分野との交流ができるという特色がある。
以上のような状況を踏まえ、今後の高等専門学校の在り方について展望すれば、次のような方向性が考えられる。これらの事項について、各高等専門学校、国立高等専門学校機構等の各設置者、国、地方公共団体のそれぞれの役割に応じ適切に対応していくことが期待される。