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受験を経ていい大学を卒業してきた者は、言われたことはうまくやる。高専出身者はルーティーン業務は、場合により必要なのかといろいろ工夫する能力を持っている。 |
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ロボコンを見ると、大学生のものより高専生のものの方がずっと面白い。 |
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高専出身者の高い評価が、高専教育のどこから来るものなのかを踏まえた検討が必要。 |
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高専は実験を多くやっており、すぐに使えるところを一生懸命やってきた。逆に、大学に入っても基礎的なところにはあまり興味を持たない。 |
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高専から大学に編入学した者が大学の教授になっている者はざらに10人はいる。基礎的なものへの興味の有無は個人によって異なるのではないか。 |
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東北大学在任中は13講座中3講座は高専出身者の教授だった。優秀な学生こそ、エンジニアタイプと基礎タイプとばらつきがあるので一概に言えない。 |
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工学部出身者と高専卒業生で、地元企業のオーナーになっている割合が異なるというある県でのデータがある。 |
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以前文部科学省の協力者会議で、理工系人材の創造性を涵養する教育プログラムの事例を集めたことがあった。 |
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技術者養成を行っているのは高専だけである。人数は少ないが日本が高度成長期に最も必要とした人材を育成してきた。大学は技術者養成か研究者養成かはっきりしない。高専は技術者を育成するという、明確な育成人材像をおいてきたという点が非常に特徴的。 |
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日本は大学院重点化を行ったところは、学部は通過点で、修士でそれらを行えばよいということになっている。その点高専は工科系に関しては一番しっかりしたエンジニア教育を行っており、その位置づけを明確にしていけば、存在意義も非常に明確になっていく。
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(地域の人材育成において重要な役割) |
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認証評価の結果が出ているが、ものづくり教育や地域への科学技術の貢献で高専が目立った特色を持っている。 |
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東京高専がある八王子地区には特色ある企業が多いが、後継者をどう育てるのかが重要。
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(企業、卒業生の意識) |
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マスターを取得した高専出身者は優秀な者が多い。 |
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企業からの立場で見ると、高専出身者は非常に礼儀正しく協調性がある。一般に社会人として即戦力というのは有り得ないことで、数年して伸びる人は協調性とやる気のある人。高専出身者はこの点が優れている。 |
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卒業生へのアンケートでは、高専時代に学んだ知識自体は必ずしも役に立たないという意見が比較的多いが、知識は忘れたが方法論が知恵として身についているということだと思う。 |
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日立では新卒の8〜9割が修士終了、30歳位で主任となるため、基礎を学ぶ時間がない。高専修了者の場合、20歳で入社で10年学べる。 |
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製造と言うと、「設計」「製造技術」「品質管理」があり、どうしても設計に目が行きがちだが、「製造技術」「品質管理」も不可欠であり、ものを実際に作りながら学んで来た高専卒業生に期待している。 |
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我が社では高専出身者は大卒と同じ給与体系。 |
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入社してから伸びる人間は知識よりもモチベーションの高さが必要であり、この点で高専についてはいうことはない。 |
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本科卒業5年後アンケートの中で、再度中学生になったら高専を受験するという学生は46パーセント、普通校が48パーセントとのことであるが、これは高専卒は優秀であるということを社会全体がそのように評価していないため、卒業生が高専を良かったと思わないのではないか。 |
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サイエンスはおもしろいというバックボーンがないまま、工業高専は就職率が高いからということで入学してきた学生がいるのではないか。そのような学生は根っこに、バックボーンとしてビルトインされておらず、高専の勉強に必ずしもついていけないので、高専に不満をもつのではないか。 |
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短大の九州地区でも卒業生アンケートを行っており、そこでももう一度同じ学校に行きたいという意見が思いのほか多い。よって高専の46パーセントという数値が一概に高い数値とは言えないのではないか。結局、高専を知っている人からは評価が高いということになり、それならばもっとPRして認知度を高めればよいかというとそうでもないようである。大学との差別化だけでなく、専修学校との差別化も考慮に入れる必要があるのではないのか。 |
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卒業5年後アンケートで高専に再度入学したいという者が46パーセントだったことについて、例えば兄弟に高専生がいるというような入学生もいて、このような一種のリピーターも多い。 |
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再度高専に入学したいという卒業生が46パーセントであるということについては、少し低い数値であるという印象。高専卒業生のそうした数値は、社会的な認知度が今ひとつということと、処遇的な問題ということが、不満の原因としてあるのではないか。 |
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本科の卒業生で不満足の内容としてあげたうちの約30パーセントが、大学より評価が低いというデータがある一方で、高専を卒業して大学院へ進んだ者の90パーセントは満足している。社会には色々な業種があるが、一生研究職・技術職としていくのであれば高専の人は非常に優秀であるし、そういう点では企業の評価は大卒と変わらない。しかし15〜20年くらいたつと技術職の立場から、今度は企画を担当したり管理職といった地位に就くことになる。そうしたときに個人の知識・能力以外に人間関係のネットワークが必要になるが、高専はそれが弱い印象がある。高専から大学院へ進んだ場合は、そのようなネットワークを持っているので卒業生の大体が満足するのかもしれない。 |
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データの中の「満足」という中ではこれらの不満足の原因は出てこない。数少ない「不満足」の中での数値である。よって大勢がこう思っているわけではなく、ただ、そういう側面もある、不満に思っている部分はここですよ、ということで理解していただきたい。 |
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企業の賃金体系が年功序列の場合、大卒と同じような仕事をこなしていながら、給料体系で低く扱われている。高専卒業者は起業家が多いが、それはそのような制度に不満があり、それならばと自分で起業することが動機としてある。それは昔の卒業生に顕著に見られるが、最近の高専生は色々な選択肢が保証されるようになっており、だいぶ解消されている。 |
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自分の経験から言うと、会社では給料に差があるというが、大企業ではそれはない。そのような年功序列は崩れていくから心配ないので偏見はもたなくてよい。 |
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国際競争にさらされている企業は年功序列を採用していない。社会の扱いはけしからんと、高専の学生は特に思っていると思うが、これから変わっていくだろう。 |