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資料6

高等専門学校教育の充実についての議論の整理(組織体制を中心に)

1. 高等専門学校教育の特徴
 高等専門学校は、実践的・創造的技術者の育成を目的に5年一貫の教育を行う高等教育機関であり、教育目的が明確。
 卒業生が専攻科・大学を経て大学院に進学し、研究者・研究技術者を目指すキャリアパスとしても評価。
 中学校卒業後15歳という頭脳の柔らかい時期から、ものづくりを中心とした体験重視型の教育を実施。
 これにより、創造性を発揮するために必要な基礎的素養を身に付けさせることが可能。
 大学入試の影響を直接受けないことを生かし充実した課外活動等の指導や、寮生活などによる、全人的教育の実施。
 理数系やものづくりに関心が高く、好奇心旺盛な学生が入学しており、学生の意欲が高い。

2. 高等専門学校教育を巡る社会経済環境の変化
 高等専門学校で育成すべき技術者像の変化(中堅技術者の育成から、ものづくり技術のイノベーションを担う新しい技術者育成へ)。
 背景として、我が国に立地する工場が製造拠点から開発拠点に変化。
 環境・資源・エネルギーの問題や、ナノテクノロジー・情報技術の進展等を背景とした、近年の著しい科学技術の融合化・複合化への対応の必要性。
 このため、科学を使いこなす知恵を持った技術者の育成や、複合領域に対応できる技術者の教育が重要。
 15歳人口の減少、理科への関心の薄れ。
 高等専門学校卒業者の進路の多様化。
(参考) 高等専門学校卒業者の進学率
  平成18年   41パーセント(うち、専攻科進学率 14パーセント)
平成8年 24パーセント(うち、専攻科進学率 4パーセント)
昭和61年 9パーセント
 地域の高等教育機関として、人材育成等に対する地域の要請や果たす役割等の高まり。
 このため、地域との共栄へ
(参考) 高等専門学校(専攻科)卒業者の地元就職率
  平成18年   34パーセント(専攻科 39パーセント)
 行財政改革の進展

3. 社会経済環境の変化に対応した高専教育充実の方向性(組織体制の在り方を中心に)
(1) 基本的考え方
 高等専門学校制度の意義(実践的・創造的技術者の育成を目的、5年一貫の高等教育機関、体験重視型の教育など)を基本としつつ、社会経済環境の変化に対応することが、今後の高等専門学校教育の充実・発展に必要。

(2) 高等専門学校(本科・専攻科)で育成する基本的人材像
 高等専門学校で育成する人材像を明確化することにより、その教育の充実を進める必要。
【高等専門学校本科】
  「T型の実践的技術者(P)」の育成
 工学基礎教育・体験重視型の早期創造性教育と人間教育により、工学と理系基礎を学ばせ、最も自信のある専門工学領域の基礎的素養を持った実践的技術者を育成
【専攻科】
  「工型の実践的技術者(P)」の育成
 本科における教育の基礎の上に立って、複眼的視野と複合領域への対応能力を持つ創造性ある実践的技術者を育成

(3) 高等専門学校教育の充実の方向性
1 社会経済環境等の変化に対応した組織体制の見直し
(a) 見直しの必要性
 2(社会経済環境の変化)及び3(2)(基本的人材像)を踏まえ、各高等専門学校における組織体制(本科、専攻科を含めた学校全体の体制)の在り方を見直す必要がある。
 なお、組織体制の見直しに関しては、各高等専門学校の置かれている地域の状況や、国・公・私立の役割、位置付け等について留意することが必要。

(b) 本科の課程の充実
 本科課程の見直しに当たっては、例えば、
 同一県内に複数の高等専門学校がある場合には、学校間の統合又は連携強化を図ることにより、科学技術の融合化・複合化への対応や新しい分野への展開を目指す
 学生の入学後の多様なコース選択を可能にするため、学科を大括りなものにする(1・2年次の混合学級等の対応も含め)
などの視点とともに、入学志願者の動向や入学者の質の確保に十分留意するほか、専攻科の充実や地域連携の強化との相乗効果により、教育の質の充実を図ることが必要。

(c) 専攻科の課程の充実
 生産技術のイノベーションを担う新しい技術者育成のニーズや地域産業の発展に貢献する人材育成のニーズなど、社会の多様な人材育成ニーズへの対応とともに、学生の継続教育に対するニーズに対応するため、本科課程の見直しと合わせ、地域の実情に応じ専攻科課程を整備・充実し、社会的にも認知度を高めることが不可欠。

2 地域との連携の強化 −共同教育の推進−
 産業技術のニーズを的確に捉えた教育課程の編成、キャリア教育の充実による教育の質の充実を図るため、教育内容の計画段階から実施・評価までを、学内で閉じた体制ではなく、産業界をはじめとする地域社会との共同教育(いわゆる「コーオプ教育」)として展開することが有効。
 具体的には、カリキュラムの開発、教材の開発、企業への長期派遣による教員の研修、企業からの教員派遣、共同研究を通じた学生教育、インターンシップ等、さまざまな形態での共同教育の展開を図る必要。
 その際、産学連携・地域連携の組織化を図るため、コーディネータの役割を担う人員配置が有効。


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