○ |
卒業生へのアンケートでは、高専時代に学んだ知識自体は必ずしも役に立たないという意見が比較的多いが、知識は忘れたが方法論が知恵として身についているということだと思う。 |
○ |
15歳の脳には適切な教え込みと発達の過程が必要で、それを「勝手にやれ」といってもうまくいかない。ある程度のキャリアパスで指導が必要。高専は教えたり、わからなくてもどったりといった、内容のスイッチバックをしながらの指導をしている。大学は出来ていることが前提の指導をせざるを得ず、この点で、専攻科は(大学との対比において)学びなおしが利く仕組みである。 |
○ |
教育心理学の分野で「熟達曲線」という用語があるが、高専教育システムはそれにフィットしている。 |
○ |
高専から大学へ編入学する者は概して優秀。高専教育では、卒業研究が効いている。座学でなく身についた知識が、大学に編入学した後も研究ですぐに応用できる。 |
○ |
高専から大学を志向するのか、高専教育で完結型を目指すのかであるべき教育内容は異なってくる。 |
○ |
高専は実験を多くやっており、すぐに使えるところを一生懸命やってきた。逆に、大学に入っても基礎的なところにはあまり興味を持たない。 |
○ |
高専から大学に編入学した者が大学の教授になっている者はざらに10人はいる。基礎的なものへの興味の有無は個人によって異なるのではないか。 |
○ |
東北大学在任中は13講座中3講座は高専出身者の教授だった。優秀な学生こそ、エンジニアタイプと基礎タイプとばらつきがあるので一概に言えない。 |
○ |
5年一貫の技術者教育を担う本科を削減し、専攻科を増やすのであれば5年一貫課程による完結した技術者育成の意欲が薄れてしまうのではないか。この点について、これまでの高専教育の評価からどう見るか再検証が必要。 |
○ |
高専が育てるのは技術者であり研究者ではない。しかし技術は学校だけでは育て切れず、高専はこの点でインターンシップを行い、地域で学生を育てようとしていることも大学とは異なる特色である。「品質管理」「製造技術」を教え込めるのは高専ならではである。 |
○ |
「学問」は教え易いが「技術」は現場でしか教えられない。本科では学問の基礎を学びエンジニアの卵となり、専攻科では、本科教育を元に複合的な幅の広い知識を使いこなせることを目指している。 |
○ |
工業高校では、15歳から匠を教えようとしている。高専と異なるのは会社における役割と進路。工業高校卒は技能で評価され、高専卒は技術を期待される。 |
○ |
本科・専攻科の進路では、都立高専の場合城南地域を中心とする中小企業への人材育成の要請があるが、実際は大企業への就職が多くなっている。専攻科のような複線的な進路も必要だが本科教育も特に重要。 |
○ |
人格教育も含め高専教育は5年一貫教育というところが一番重要。エンジニアである前に人間力−人格形成が重要。高専では課外活動参加率も高く、場合により高校よりも高い(85パーセント以上という高専も)。 |
○ |
高専制度が世界的にもユニークなのは、中等教育と高等教育がまたがる点。人格教育も大事にしてほしい。 |
(特に専攻科関係)