大学教育部会(第42回) 議事録

1.日時

平成28年2月17日(水曜日)16時~18時

2.場所

文部科学省3F1特別会議室

3.議題

  1. 三つのポリシーに基づく大学教育の実現について
  2. 認証評価制度の改善について
  3. 大学運営の一層の改善・充実のための方策について
  4. その他

4.出席者

委員

(部会長)鈴木典比古部会長
(副部会長)黒田壽二副部会長
(委員)坂東眞理子,日比谷潤子の各委員
(臨時委員)安部恵美子,勝悦子,川嶋太津夫,小畑秀文,小林雅之,篠田道夫,二宮皓,長谷山彰,濱名篤,前田早苗の各臨時委員

文部科学省

(事務局)土屋事務次官,常盤高等教育局長,有松生涯学習政策局長,河村国立教育政策研究所長,関政策評価審議官,義本高等教育局審議官,松尾高等教育局審議官,森田高等教育企画課長,塩見大学振興課長,戸松私学部参事官,伊藤高等教育政策室長,新木大学設置室長,新田主任大学改革官,北岡大学振興課課長補佐,遠藤大学振興課課長補佐,片柳高等教育政策室室長補佐 他

5.議事録

(1)三つのポリシーに基づく大学教育の実現について,事務局から資料1-1~資料1-3に基づき説明があり,その後,意見交換が行われた。

【鈴木部会長】    それでは,所定の時刻になりましたので,第42回の大学教育部会を開催いたします。皆さんにおかれましては御多用の中,御出席いただきまして誠にありがとうございます。
  本日は三つのポリシーに基づく大学教育の実現に向けて,それから認証評価制度の改善について,そして大学運営の一層の改善・充実のための方策について,それぞれの議題について取りまとめに向け御議論いただきたいと思いますので,よろしくお願いいたします。
  それでは,事務局から本日の配付資料について確認をお願いいたします。
【伊藤高等教育政策室長】    本日の資料は議事次第にお配りしておりますとおり,資料7点,そして参考資料7点の計14点お配りしております。欠落等ございましたら事務局にお申し付けください。よろしくお願いします。
【鈴木部会長】    それでは,まず,三つのポリシーの関連につきましては,前回までガイドラインの素案について御審議いただいたところでございますけれども,本日は1月26日に行われました大学分科会での御意見等も踏まえまして,取りまとめに向けた素案の修正案と省令改正案のポイントについて御審議いただきたいと思います。
  それでは,事務局から説明をお願いいたします。
【北岡大学振興課課長補佐】    失礼いたします。資料の1-1から1-3に基づきまして,三つのポリシーに基づく大学教育改革についての御説明をさせていただきます。
  まず,資料1-1でガイドラインにつきまして案をお示しさせていただいております。こちらは,前回の大学教育部会における御審議,そしてその後に行われました大学分科会における御審議を踏まえまして,主な修正点につきましては黄色のマーカーで変更点を示させていただいております。それらに基づきまして御説明いたします。
  まず1ページを御覧ください。1ページ冒頭に,先行きの予測が困難な複雑で変化の激しい現在の社会において,この三つのポリシーを策定することによる大学教育の改革,その必要性を補足的に書き足しております。こちらにつきましては,大学分科会におきまして類似の答申に従って各大学において,これまでも三つのポリシーについての取組というのが進められてきております。ただ,それに加えて,なぜ今,この三つのポリシーの議論が必要なのかというところを丁寧に示すべきではないかという御指摘がございましたので,それを踏まえた修正をしているところでございます。
  続きまして,2ページでございます。2ページの下ほど,19行目以降に黄色いマーカーをしている部分がございます。こちらにつきましては,前回の大学教育部会におきまして三つのポリシーの一体的な策定によって大学教育における入り口,中身,出口,これの一貫したマネジメントの構築というのが重要であるというような御指摘を頂戴いたしまして,それを踏まえた形でより明確化した記述としているところでございます。
  続きまして,3ページは飛ばしていただきまして, 4ページにつきましては,まずこの三つのポリシーの策定単位ということで,まず1点目,この大学教育部会でのこれまでの御審議を踏まえまして,この三つのポリシーの策定内容につきましては,授与される学位の専攻分野ごとの入学から卒業までの課程,ここでは学位プログラムとしておりますが,それごとに策定することを基本とすることが望ましいという基本的な考え方をお示しするとともに,「一方」というところで,各大学の実情に応じて,例えば学位プログラムごとのポリシーとは別に,全学,あるいは学部・学科等を単位としたポリシーを策定することも考えられるという策定単位には様々な考え方というものがあり得るというところ,これは前回の本部会におきまして,1大学で策定単位,あるいは複数ポリシーが存在する場合というものがあるという御指摘を踏まえた修正でございます。また,その場合におきましても全学としてのポリシーから教育課程ごとのポリシーまでが一貫性のあるものとして策定されるよう,留意することが重要であるというところにつきましては言及させていただいております。
  続きまして5ページでございます。三つのポリシー相互の関係というところでございます。こちらにつきましては,ディプロマ・ポリシー,カリキュラム・ポリシー,アドミッション・ポリシー,これら三つのポリシーが一体的・整合的であるべき,とこれまで御議論いただいていたところでございます。その中でも特にディプロマ・ポリシーとカリキュラム・ポリシーにつきましては,1段落目に書かせていただいておりますように,学生が卒業までに身に付けるべき資質・能力,それを達成するための具体的な教育課程の編成実施,学生の学修成果の評価の在り方等を示すものであるということで,その一体性・整合性は強く求められるべきであるというふうな位置付け,これを書かせていただいております。アドミッション・ポリシーにつきましても,基本的には入学希望者に対して卒業認定の要件や入学後の学修に要する資質・能力等に照らして,入学に際して求められる基礎的な知識の水準,専攻分野への関心等々,これを示すという意味では一貫性があるものでなければならない,それが求められるというところを言及している一方で,他方,大学教育におきましては,多様な学生,これを受け入れて,学生同士が他者と協働して学修に取り組むということ,あるいは様々な立場やものの見方,考え方というものについて理解を深めていくという,大学の中での多様な学生の確保ということの重要性というものも一方で指摘されるところでございます。ですので,そういうところも踏まえまして,アドミッション・ポリシーにつきましては,ディプロマ・ポリシーとカリキュラム・ポリシー,同様の強固な一体性というものを求めるということではなく,受け入れる学生の多様性を損ない,大学教育の意義を減じたりすることのないように配慮が必要であるという,このディプロマ・ポリシー,カリキュラム・ポリシー,アドミッション・ポリシーのつながりについての差を少し丁寧に説明させていただいているところでございます。
  続きまして6ページでございます。「アドミッション・ポリシーについて」というところで,ここは多様な学生を評価できるような大学入学者選抜の在り方ということで,先ほど申し上げました大学における学生の多様性の確保というところの重要性を踏まえた記述を追加させていただいているところでございます。
  続きまして7ページでございます。7ページでは,この三つのポリシーの運用に当たり留意すべき事項ということで,三つのポリシーに基づく大学教育のPDCAサイクルについての記載をさせていただいているところであります。その冒頭におきまして,これまでの大学教育部会においても,この評価あるいはPDCAというものが,プログラムを単位とし,対象としたPDCAなのか,あるいは学生の学修に関する評価,グレーディングのことであるのかというところが渾然(こんぜん)一体としているのではないかという御指摘がまずありました。加えまして,今回のこのポリシーの策定,運用というところに当たりましては,その中でもやはりプログラムとしての大学教育をきちんと評価していくという観点,そこが特に重要であるというところの御指摘を踏まえまして,まず第1段落において,この三つのポリシーが学位プログラムとして必要な改革を行っていくためのサイクルを回すためのものであるという位置付けを明確にしているところであります。
  また,2段落目で書かせていただいておりますが,組織的,体系的な教育の実施の過程においても,このポリシーに基づいた教員による教育活動,それに関するPDCAというものに機能させることにも留意が必要であるということで,その2段階をきちんと分けた上で,まず必要なのはプログラムとしてのPDCAであるというところを明らかにさせていただいているところであります。
  こちらがガイドラインにつきましての主な変更点であります。
  続きまして,資料1-2を御覧ください。この資料1-2につきましては,前回の大学教育部会の御審議におきまして,この三つのポリシーの策定の義務化,それと各大学における取組,これをどのようなタイムスケジュールで考えるべきなのかというところを明らかにすべきという御指摘がございましたので,それを今回,御説明させていただこうという趣旨の資料でございます。
  まず,一番左,平成27年度,今年度でございますが,今年度中に関係の省令を改正し,各大学に施行通知を発出して,今回の三つのポリシーの策定等の義務化につきまして,その趣旨,内容の周知を図るということでございます。それを踏まえまして,各大学におきましては,平成28年度,来年度の1年間をかけまして,各大学における検討を進めていただく。そして,三つのポリシーの策定,あるいは改正等々の必要な作業を完了させていただくということをお求めしたいと思っているところです。資料1-3でも御説明いたしますが,今回,改正しようという省令につきましては,今,その施行を平成29年4月1日ということで考えてございます。これは今,申し上げました各大学における検討,それを1年間しっかりとっていただくという趣旨でさせていただこうというところで考えておりますが,平成29年4月の段階では各大学における三つのポリシーの策定が義務付けられますので,それまでにきちんと作業としては完了させていただくということでございます。
  今回,この中央教育審議会の大学教育部会におきまして御議論いただいておりました三つのポリシーの策定・公表の義務付け,策定に当たってのガイドラインというところは,まさにポリシーを作るというところに関して意味を持つと考えております。実際の各大学におけるカリキュラムの改革であるとか,あるいは大学入学者選抜の方法の改革等々につきましては,この各大学で検討されたポリシー,それを踏まえまして可能なものから順次,大学の都合のよいスケジュールでやっていただくということが我々としては思っているところであります。下の大きな矢印の中に,白抜きで各大学における具体的なスケジュールとして考えられる例ということで,ポリシーの改定等々を踏まえまして,実際にカリキュラム改革を行う例,あるいは大学入学者選抜改革を行う例ということで,早い場合はこのようなスケジュールで行われることも考えられるということを示させていただいております。
  御覧いただきますように,カリキュラム改革の例で言いますと,平成28年度中にポリシーを策定し,それを踏まえたカリキュラム見直し,あるいは学修成果の評価方法の見直し等々につきましては29年度からできるものから適宜実施するというようなスケジュールが考えられます。また,大学入学者選抜の改革につきましても,早い場合につきましては28年度中にポリシーを策定した上で,29年度の初頭に,平成30年度の入試要項を発表いただき,それで29年度中にそのための試験,選抜というものを実施いただくと。そして30年度に各学生が入ってくるというスケジュールでございます。
  一方で,下にありますように,大きな変更を伴う場合という形にしておりますが,これも2年程度前予告というルールがございますので,29年度初等に入試方法の変更等を行いまして,それを踏まえた入試要項の公表が平成30年度初等に行われるというスケジュールでございます。それを踏まえて30年度中に選抜を実施いただいて,31年度に学生が入学してくるというスケジュールでございます。これは可能なものから順次速やかに実施ということで,早いスケジュールとして考えられる例を示しておりますが,各大学における御検討等々を踏まえれば,これらの実施が,例えばカリキュラム改革等についても30年度から行うというケースも考え得ると思っているところでございます。
  続きまして,資料1-3を御覧ください。こちらは三つのポリシーの策定・公表に関する省令の改正につきましての資料になります。今回,御議論いただいておりましたこの三つのポリシーにつきましては,策定と公表につきまして各大学に義務を課すというような省令改正を今,考えておるところでございます。その主な内容といたしましては,こちら,端的に書かせていただいておりますが,まず1番といたしまして,三つのポリシーの策定の義務化ということで,「大学は,当該大学,学部,学科又は課程及び大学院,研究科又は専攻ごとに,その教育上の目的を踏まえて,次の1~3の方針を定めるものとする」,卒業の認定に関する方針,教育課程の編成及び実施に関する方針,そして入学者の受入れに関する方針ということで,ディプロマ・ポリシー,カリキュラム・ポリシー,アドミッション・ポリシー,これらを策定いただくということを規定したいと考えてございます。
  また,丸2番といたしまして,三つのポリシーの公表の義務化ということで,大学は,丸1で定めた三つのポリシー,これを公表するというところも併せて規定したいと考えているところであります。
  3番,その他でございますが,この省令改正の施行日につきましては,各大学における三つのポリシーの策定・見直し作業に要する期間,これを考慮いたしまして,先ほど,1-2の資料の説明のときに申し上げたとおり,平成29年4月1日の施行というところを予定しているところでございます。
  最後,丸1番の米印で書かせていただいておりますが,高等専門学校につきましては,現状,多くの規定が大学の規定を準用して,大学に準じる形で運用いただいているところでございます。この三つのポリシーにつきましても,大学に関する規定を準用するということで考えたらいかがかというところで考えているところでございます。
  事務局からの説明は以上でございます。
【鈴木部会長】    ありがとうございました。
  それでは,意見交換に入りたいと思います。御意見,御質問のある方は机上の札をお立て願います。川嶋委員,どうぞ。
【川嶋委員】    すみません,少し簡単なことですけれども,今,最後に御説明になった省令改正のところの1,卒業の認定に関する方針の卒業というのは学部だけではないんですか。大学院も含むと卒業という概念は該当しない。今まで学位授与の方針と言ってきたのをこういうふうに言い換えたその背景はなんでしょうか。
【北岡大学振興課課長補佐】    申し上げます。まず,これは確かに学部だけを今,想定しております。少し説明で省略させていただいて恐縮ではございましたが,大学の中には,短期大学,高等専門学校も含んでおりますが,大学院については,入学者の受入れ方針に関する部分のみを適用するということで今,考えております。したがいまして,卒業の認定というものは,これはまさに学部のところを想定しておるものの書きぶりになっております。今までは学位授与の方針ということで申し上げておりましたが,学部に関しましては,卒業と学位の授与というもの,これは行為としては別でございますが,一体的なものとして扱っておりますので,卒業の認定に関する方針と規定することで表しているのだと思っております。
  また,テクニカルのところで申し上げますと,学位に関する事項については学位規則で定めおるところでございます。今回,この三つのポリシーを一体的に規定するということを考えたときに,学位規則に学位の部分だけが入ってくるというのは整合性としていかがなものかという考えもありまして,今回,卒業の認定に関する方針ということで規定させていただきたいと思っております。
【鈴木部会長】    それでは,小畑委員,お願いします。
【小畑委員】    これまでの議論では明確に,例えば短期大学あるいは高等専門学校がこれに含まれるという議論がなかったような気がするんですね。最後に,高等専門学校も含まれるということで,私,高等専門学校の代表者だと考えたときに,これは教員のモチベーションを高める効果があるかなという気がします。是非,考えようによっては面倒な作業が生じますけれども,大学並みの扱いということでこの三つのポリシーに関しても同様な規則というのでしょうか,枠組みを適用していただけるように考えていただければよいかなと思っておりますので,よろしくお願いいたします。
【鈴木部会長】    濱名委員,どうぞ。
【濱名委員】    大変苦労していただいて,大分読みやすくなってきたという実感を持っているのですが,最終的にどう読まれるだろうかと心配なのは,2ページのところで,先ほど色塗りのところで示された一つ前の四角のところなのです。「成熟社会において学生に求められる能力をどのようなプログラムで育成するかを明示」,つまりこれはディプロマ・ポリシーですね,「明示し,その方針に従ったプログラム全体の中で個々の授業科目は能力育成のどの部分を担うか担当教員が認識し,他の授業科目と連携し関連し合いながら組織的に教育を展開すること,その成果をプログラム共通の考え方や尺度に則(のっと)って評価し,その結果をプログラムの改善・進化につなげる」というところで,ここでアセスメント・ポリシーが出てくるのです。アセスメント・ポリシーと,ここで言うカリキュラム・ポリシーの中に出てくる評価の関係ということをどう読まれるだろうかと少し考えながら見ていたのです。
  私は今回の改革の眼目は,各大学がDPを定めて,定める自由度をある程度持ってもらうと同時に,そのことがきちんとやれているかどうかということを大学に問うのが最も重要だという話をしてきたと思うのです。それはここで言うアセスメント・ポリシーそのものなのですね。ここで言われているアセスメント・ポリシーと,カリキュラム・ポリシーの説明の中で出てくる評価の話はどうなっているのか。学生の学修成果をどのように評価するかというところが3ページのところで出てきまして,これを受けて5ページの色塗りのところも,学生の学修成果という形で説明がされるのですね。
  ここの議論を余りきちんと詰めてやってきていないので,私は今回の文脈で,このアセスメント・ポリシーとカリキュラム・ポリシーの中に出てくる学生の学修成果の関係が明確に書かれていなければ,どうとでも取れるというようになるのではないかと懸念をするのですが,事務方としてどういうようなニュアンスでお考えであったかということと,今のような質問が仮に出た場合,新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて(答申)(以下,「質的転換答申」という。)の中に出てくるアセスメント・ポリシーの記述と,今回のカリキュラム・ポリシーの中で言う学修成果の取扱いというものの関係をどう説明するのか,少し教えていただければと思います。
【北岡大学振興課課長補佐】    まず,質的転換答申で言われているアセスメント・ポリシーというものでございますが,これはまさに濱名委員が従前御指摘いただいたようなプログラムとして学士課程教育というものがきちんと回っているかというところを,チェックして改善していくためのものであると理解しております。その意味では,今回,この三つのポリシーというところで,それにならう形でアセスメント・ポリシーという形では規定はしておりませんが,冒頭御説明申し上げました7ページのPDCAサイクルのところで書き下させていただいた,これがまさにそれに該当するものという理解でいるところであります。
  カリキュラム・ポリシーの中に含まれる評価というのは,これは以前からお示しさせていただいている図でございますが,10ページ,11ページ,こちらを御覧いただければと思います。特に11ページの中でディプロマ・ポリシーが学修成果の目標,そしてカリキュラム・ポリシーがディプロマ・ポリシーを実現するための教育課程編成実施の方針として機能するものであるというところをお示しし,これを前提とした学位プログラムごとの取組例として,その下にあるような,例えばカリキュラム・マップ等を活用した構造化であるとか,あるいは履修系統図やナンバリング等を活用した授業科目間の関係性の可視化というところがまずあるのではないかということでお示ししております。
  そして,その下にありますところで,個々の学生の学修成果の評価という意味合いで,ディプロマ・ポリシーの中で卒業を認定し,学位を授与するための評価基準の部分と,あるいはカリキュラム・ポリシーの中でディプロマ・ポリシーを実現するための学生の個々の学修成果の評価の方針というような考え方を示しているところであります。ですので,プログラムとしての評価というものは,要はポリシーという形で今回,表現はしておりませんが,7ページの中でお示しをした,まさにプログラムとしてのPDCAサイクルというところの重要性で表現させていただいているという認識でおります。
【濱名委員】    少し分かりにくいですよね。ですから,逆に,今回,公表するのがディプロマ・ポリシー,カリキュラム・ポリシー,アドミッション・ポリシーだとするならば,やはりこれは「アセスメント・ポリシーに基づき」と書かないと,観点が。本来評価するべきものは個々の学生がディプロマ・ポリシーにかなった学位をもらっているかじゃなくて,ディプロマ・ポリシーに基づいた教育活動が行われているかどうかを見るわけですよね。その場合,リファレンスするのは,何に基づいてPDCAするかといったときに,プログラム全体とするならば,アセスメント・ポリシーに基づいてきちんと行われているかどうかという観点になるはずですね。わざわざ2ページで,ここの括弧でアセスメント・ポリシーをリファレンスしたとするならば,書いたつもりだというのではなくて,7ページにそういう質的転換答申をリファレンスする方がすっきりするのではないかと思います。そうでなければ,カリキュラム・ポリシーの説明を単に学生の学修成果というのではなくて,プログラム全体の評価,つまり従前のアセスメント・ポリシーの要素は今回のカリキュラム・ポリシーの中に含むのか含まれないのかということが非常に不明確なままなのですね。そこらのところはもう少しきちんと議論して,位置付けを明確にしておかないとはっきりしないなという気がするのですが,いかがでしょうか。
【鈴木部会長】    ここの2ページのところに括弧してアセスメント・ポリシーという言葉が出てくるという辺りのところ,その取扱いといいますか,それも一つ,テクニカルにはあるとは思うのですが。どうぞ,お願いします。
【塩見大学振興課長】    委員がおっしゃっていることをきちんとお答えできているかどうかというところはあるのですけれども,10ページの図と11ページの図で御覧いただきますと,委員がおっしゃっているプログラム単位でのPDCAをしっかり回していく際の評価の考え方というのがアセスメント・ポリシーだとおっしゃっているのだと思うのですが,ここではこの三つのポリシー,これに基づいて,これを指針しながらしっかりとPDCAを回していくということ自体がプログラムにとって大事なのだという考え方をとっておりますので,このポリシーをしっかり実施していくということの中に,その評価の考え方というものも内在しているという理解でいるわけでございまして,それを取り出してアセスメント・ポリシーというようにまたもう一つのポリシーとして書くということは,かえって少しポリシーの考え方を分かりにくくしてしまうのではないかという懸念がありまして,こういう形で言葉で説明するような表現にさせていただいているところでございます。
  それから,11ページの図につきましては,これも先ほど北岡の方からも申し上げましたけれども,実際に教育活動を実施していく際の,各教員が教育活動を実施いただく際の三つのポリシーとの具体的な個々の教育活動との関わり合いについて整理したものでございまして,個々の教員の皆様が授業を行う際にもディプロマ・ポリシーやカリキュラム・ポリシーに基づいて,学位プログラムとして様々な構造化の取組があり,それに基づいて授業をし,また,その結果についてディプロマ・ポリシーやカリキュラム・ポリシーに示された方針に基づいてしっかりと評価をして学位授与に至るというふうな,個々のそうした教員の教育活動が全体として体系的なものとして仕組まれることで,今回の学位プログラムが充実していく流れになるのだということを表現したかったところでございます。
【濱名委員】    今の説明だと矛盾していると思います。というのは,明らかに,この2ページに書かれている考え方がこれまでの答申のベースにあると思うのですね。つまり,個々の教員が活動をDPやCPに基づいてやるということによって達成されるのではなくて,ここの2ページ目に書かれているのは,飽くまで他の授業科目と連携したり,組織的に教育を展開したりすることについての評価の考え方がアセスメント・ポリシーだと書いているわけですね。今回の図で表しておられるという,それでは,その学位授与の考え方に基づく教育が何に基づいてやれているかどうかを評価する,評価の観点は何なのですか。そのときに,ここに書かれているカリキュラム・ポリシーでは,学生の学修の評価という形になっていて,これはこれまでの議論で言うとミクロな評価の話になるわけですね。ミクロな評価の観点で大きなマクロなDPの目標達成ができているかどうかを評価するというのは,どう考えても次元が一つ飛んでしまうのではないかと思います。2ページ目に書かれている,質的転換答申の中で書かれている考え方と必ずしも整合しないと思うのですが。
【塩見大学振興課長】    今の御指摘の点に関しましては,私の先ほどの御説明が分かりにくかったかと思いますけれども,飽くまで委員がおっしゃっているプログラム単位でのPDCAのお話は10ページの図でございまして,ここの中で三つのポリシーに基づいて,それぞれのプログラムがどのように実施されているかということを評価していくというときの考え方というものが,委員がおっしゃっているアセスメント・ポリシーに当たるものだというふうに思っております。そこはアセスメント・ポリシーという言葉を使っておりませんけれども,そういったプログラム全体の評価が重要であるということが大前提ですし,今回の考え方の基本だと思っています。
  11ページはある意味,付け足しのような形ですけれども,そうしたプログラムを実現していく際には,こちらの質的転換答申の方にも書いてありますけれども,個々の授業科目が全体のプログラムでどういう意味合いを持っていて,どういう位置付けになっているのかということもしっかりと認識しながら取り組んでいただくことが大事だということも書かれておりますので,その観点から少し補足的に説明をしたものが,こちらの11ページの図だということでございます。
【濱名委員】    百歩は譲りませんが五十歩譲るとすれば,3ページのこの「カリキュラム・ポリシーの」のところと,5ページのところの「学生の」と,わざわざ付けるからミクロな学修成果にしか見えないのです。前回も指摘したと思うのですけれども,「学生の」という表現を外すならばマクロからミクロまで読み通すことはできると思うのです。つまり,例えば,「どのような教育課程を編成し,どのような教育内容・方法を実施し」と,これはまさにマクロの話なのですね。ところが,「学修成果をどのように評価するのか」とすればいいのに「学生の」とわざわざ付けると,非常にミクロな,要するにGPAの付け方であるとか成績の厳格化であるとか,ミクロな焦点に捨象されてしまう。だから「学生の」っていうのを外すのだったら,まだ今の課長の御説明が何とか聞けなくもないのですけれども,わざわざここに「学生の」って書いてしまうと,ミクロな話にしか読めないのではないですかと私は感じるのです。
【塩見大学振興課長】    ありがとうございます。皆様で御議論いただいて,それでということございましたら,そのように修正したいと思います。
【鈴木部会長】    いかがでしょうか。濱名委員の理路整然とした説明,それから事務局も事務局なりにその説明があると私は解釈いたしておりますけれども,先ほど,濱名委員の方から,3ページ目でしたね。
【濱名委員】    はい。2か所出てきます。3ページ目のところに四角の中で,カリキュラム・ポリシーの中に1か所,それと5ページで相互の関係のところに,色塗りのところの最初の丸のところに「学生の」というのが出てくると思います。これはなくてもほとんど同じようにとれるということですね。マクロな話とミクロな話と両方を包含して解釈して,それが質的転換答申の記述とは一応整合性がとれるという気がします。
【鈴木部会長】    いかがでしょうか。
  それでは,そのように修正を加えるということで,「学生の」という文言を削除するということで取り扱わせていただきます。ありがとうございます。
  小林委員,お願いします。
【小林委員】    私は一つ割と大きなことと,非常に細かなことと二つあるのですけれども,まず大きな方なのですけれども,最初にガイドラインのときの議論にあって,事務局からの北岡補佐の説明で非常に抽象的に作ると余り役に立たない。しかし,個別的に作ってしまうと,今度は大学を縛るようなものになってしまうという,そこの間のあんばいが非常に難しいんだという議論があったと思うのですけれども,この議論が余り生かされていないのではないかということです。
  というのは,最初の1ページに,4番目のところに抽象的な文言にとどまるものや相互の関連性が意識されていないものも多いことが指摘されていると,ここでは抽象的なことについて述べられているんですね。ところが,先ほどのもう一つの,逆に個別・具体的過ぎる,あるいは形式的・外形的に過ぎるということについては特にここでは触れられていないんですね。その2ページのところに,自主的・自立的に展開されることを期待するという形では書かれているのですけれども,そういう形でしか触れられていない。
  ところが,9ページのところに入りまして,これは自己点検・評価のところで述べられているわけですけれども,9ページの最初に,「自己点検・評価に当たっては,教育においては定量的な評価と定性的な評価の双方が重要であることに留意しつつ,可能なものについては数量的な指標も適切に用いるよう留意することが求められる」ということで,これはかなり個別的な,定量的なことを重視しろというふうに読めるわけです。そうしますと,むしろ問題になっていたのは,認証評価でいろいろヒアリングでお聞きしたときも,外形的・消極的なものに流れ過ぎていることが今,大きな問題になっているということだったわけですけれども,そこのところが少し弱いのではないかということです。どこにどういう形で入れるかということについては提案はありませんけれども,その辺りのバランスをもう少し考えた方がよいのではないしょうか。
  併せて言えば,各大学が,先ほど2ページにありましたように,もともとこれは自主的・自立的に展開するものでありますから,今言った抽象度と個別性の問題も各大学の裁量に任せるということがあってもいいのではないかということを入れればバランスがとれるのではないかというのが私の意見です。一つ目の意見です。
  それから,もう一つは,すごくつまらない小さなことなのですが,4ページの一番下の段にインスティトゥーショナル・リサーチという文言があるのですが,これは文部科学省の中でもインスティテューショナル・リサーチという言い方をしているところがあって,中で統一がとれていないんですね。新しい言葉だけに,こういうことになるということはしばしばあるわけですけれども,そろそろどちらかに統一する方がよろしいんじゃないでしょうかという意見です。
  以上です。
【鈴木部会長】    ありがとうございます。
  それでは,最初の意見とおっしゃったことに関してはいかがでしょうか。
【濱名委員】    よろしいですか。
【鈴木部会長】    はい,どうぞ。
【濱名委員】    尻馬に乗るわけじゃないのですけれども,定量的と定性的なのが,今度は数量的とまた言い換えられているのは物すごく気になるのですね。先ほど小林委員が指摘された9ページ目のところなのです。これは国立大学の法人評価の影響が非常に強く出ているのかも知りませんが,我々,私立大学関係者から見ると,こういうところに非常に違和感がありまして,むしろここで書くべきなのか,可能なものについて数量的な指標も用いるのではなくて,可視化に努めるということだと思うのですね。可視化をするということを求めて,例えばルーブリック評価とか,いろいろ挙げているというのは,定性的なものを可視化するための方法論を前の方で挙げているのに,最終的に数量的な指標というのは,これはいかがなものかと思います。やはりここでは,説明責任を果たすような可視化に努めていくというのが,先ほど小林委員が言われた前段の趣旨と整合性がある表現ではないのかと思います。
【鈴木部会長】    いかがでしょうか。今,文言の修正というか,提案が出ております。
【北岡大学振興課課長補佐】    まず小林委員からの1点目の御指摘につきましては,御提案いただいたように,例えば,2ページのところ,「はじめに」の最後になってこようかと思いますが,ここで,少し文言については考えさせていただきますが,要は抽象度の部分と具体化の部分,その辺のバランスを各大学において検討いただくという趣旨のことを追記するということで,委員の先生方の合意が得られれば,そのようにさせていただきたいと思います。
  2点目のIRにつきましては,これは少し省内で調整させていただきます。
  あと,濱名委員から頂きました御意見,9ページのところですね。「可能なものについては数量的な指標も適切に用いる」というところを,「可能なものについては可視化に努める」と改めると,これにつきましても委員の先生方の合意が得られればそのようにさせていただきたいと思います。
【鈴木部会長】    ありがとうございます。長谷山委員,どうぞ。
【長谷山委員】    9ページの今の定量・定性的な,何回目で発言したか自分自身で記憶がないのですけれども,こういうガイドラインとかいろいろなものは,数量的な指標に基づく定量的な評価という方に重点を置いているように見えるけれども,教育の効果を測定するというようなときには,むしろ定性的なもの,数値でははかれないものというものも教育では非常に重要であるので,そのことに御配慮いただきたいという,そういう発言をした記憶があるんですね。ですので,両方大事だけれども,数量的というのだと,やはり依然として数量,数値に基づく,定量的な評価が大事と見えるので,私が以前,申し上げた趣旨からすれば,教育においては数量的な指標に基づく定量的な評価のみならず,定性的な評価も重視するべきであるというのが私の発言の趣旨であると。これですと,結局,定量,定性も大事だけれども,やはり数量的に図った定量的な評価がむしろ第一義的であると読めてしまう。むしろ私としては,教育というのは非常に長いスパンではかって初めて効果が出るものなので,その時々の数値に合致しているかどうかの評価だけではむしろ長期的な人材育成というものの方向を見誤ることがある。なので,定性的な評価ということにも意を用いるべきであるというふうに申し上げたつもりでした。
【鈴木部会長】    御意見を頂いて,先ほど「可視化に努める」という文言が出てきましたが,可視化というものと数量的なというものの間には少し違いがあるかなと。定性的なものも可視化の中に含まれる可能性もあるというふうにも解釈できますので,先ほど,委員の皆さんの御意見を頂いて,もし「数量的な指標も」というところを「可視化に努める」という文言に変えるということでよろしければ,そのようにさせていただければと思います。長谷山委員の今の御意見も多少,加味させていただいたような感じですね。よろしいでしょうか。
  それでは,そのようにさせていただきます。
  これは9ページについてはそうでしたが,先ほど2ページ目のところで,上から4行目「自主的・自立的」というところに関して,もし追記の必要があれば,皆さんの御同意が得られれば追記をするということで,ここも取扱いということがございますけれども,その点はいかがでしょうか。
  それでは,部会長の預かりとさせていただいて,事務局とも話をさせていただければと思います。
  それでは,坂東委員,お願いいたします。
【坂東委員】    大変詰めた議論が続いている中で,実践的な話になりますが,私はこの三つのポリシーを自主的・自立的に各大学が定めるということを重視するならば,ある程度,大学全体のものについては抽象的になったとしても,私どもの大学では学科ごとに四つのポリシーを決めております。四つのポリシーの四つ目は,キャリアデザイン・ポリシーで,ここで勉強したことを社会でどう役に立たせるか,自分の人生でどう位置付けるかというところまで踏み込んで,四つ目のポリシーとしています。そのようにそれぞれの大学が何をアピールしたいのかということを考えて表現される,それを余り厳しくコントロールしない。ここで新たに義務付けられているのは,策定と公表であって,その中身については各大学に任せるという方向で考えていただけると有り難いなと,現場の人間としては思います。
【鈴木部会長】    ありがとうございます。
  勝委員,どうぞ。
【勝委員】    三つのポリシー,今回のガイドライン,基本的にはこれでいいと思うのですが,7ページのところ,これは先ほどからも議論がありますように,PDCAサイクルがうまく回っているかどうか,これがやはり非常に重要で,単に文章として三つのポリシーが明示されているというだけではなくて,学内で教育の体制の整備というものがうまく改善するような仕組みがあるかどうかということが非常に重要だと考えております。その点から言うと,7ページの3番の括弧の1の二つ目の丸なのですが,「個々の教員が行う教育活動そのものに関するPDCAサイクルを機能させるべきことにも十分留意する必要がある」と。先ほどマクロの話,ミクロの話というのがございましたけれども,例えば,別紙で11ページにもそのような形で明記されているのですけれども,かなり細かいなという印象を持ちました。つまり,これが書かれているということは,例えば各大学でそれぞれの教員の授業評価とかもやっていると思うのですが,それぞれの教員がこのPDCAという形で自己点検をして,報告書を書くようなことも内包されているようにも見えるので,全体として機能させるというのは一番重要だと思うのですけれども,この「各教員がPDCAサイクルを機能させる」というのは,そこまで書く必要があるのかなと思いました。
  以上です。
【鈴木部会長】    ありがとうございます。
  事務局の方で何かお答えございますか。先ほどのミクロとマクロの問題の方に戻ってくるかなと思うわけですが,いずれにしても三つのポリシーの中に,このミクロとマクロというのは両方含まれているというふうな解釈で,今,坂東委員がおっしゃったように,余り厳しく見ないでという考え方もあるかと私は思っております。
【塩見大学振興課長】    ありがとうございます。御指摘のとおりで,今回一番大事なのは,三つのポリシーに基づいてプログラムをきちんと改善していこうというサイクルを作っていくことであります。今回,あえて教員レベルのものを書きましたのは,いろいろこれまで議論している中で,プログラム全体の改善のPDCA,あるいは評価ということと,各個別の学生の学修成果の評価ということが混同されてしまうことがあるんじゃないかという御議論がありましたので,あえて両方お示ししたところではあるのですが,各教員の単位のPDCAの方が少し目立ち過ぎて,かえってそれを迫るような感じで受け取られるということになりますと,そこは当然,本意ではございませんので,こちらの文章の表現と,それから図の表し方とを含めまして,また少し,よろしければ部会長と御相談できればと思っております。
【鈴木部会長】    ありがとうございます。
  長谷山委員,どうぞ。
【長谷山委員】    今の7ページのところで,3の括弧の1の丸の二つ目が今,問題になっていましたけれども,そこの最後に,参考資料1参照とありますね。具体的に参考資料のどの部分がこれに対応しているかというのを教えていただけますか。
【北岡大学振興課課長補佐】    ここで参考資料1というふうにしているのは,実は,その一つ前の丸のところから,要は,プログラムとしてのPDCAと個々の教員が行う教育活動そのものに関するPDCAというものが,この10ページ,11ページのこの二つのイメージの図というところで表しているという意味で書いております。
【長谷山委員】    先ほどの坂東委員に私も全く同感ですが,このところ2回ぐらい同じことを申し上げていると思いますけれども,やはり冒頭で自立性,主体性ということを大学の機能分化や多様性ということを全体として今,進めているわけですから,これが必須の原則であるという理念であるというものを定めて,その理念に合致するように各大学が努力をして,教育を展開していく。そして,それが適性かどうかをきちんと評価をするという,そこがあれば十分なので,その実際に運用する部分で余りこうやるべきである,ああやるべきであると具体的なものを,やはりこれがある程度,強制ではないと言っても,具体的に示されると,評価する機関がそうやったかどうかを評価の指標にするはずなので,本意ではなくても,制度が動き出すと結局は個々の教員を縛ることになるというので,そこはやはり十分に気を付けた方がいいと思うんですね。
  その意味のことは,本日お休みですが,前回の最後で金子委員も実はこういう細かいガイドラインでいくかどうかについての大きな議論というのはされないままに来ているのではないかということを御発言されたはずなので,その辺のことについてもやはり全体の在り方について十分留意した上で最終的な案の結論をこの部会は出していくべきではないかと思います。
【鈴木部会長】    ありがとうございます。
  それでは,濱名委員の御発言を最後にさせていただいて,この部分を終わりたいと思います。
【濱名委員】    関連するようなところなのですけれども,印象がそういう受け取られているところは,例えば6ページ目のカリキュラム・ポリシーのところも,「学生の」というのが3回も出てくるのです。「学生の学修方法」「学生の学修成果の評価の在り方」「学生の能動的学修の充実」と,これらは多分なくても意味が通るのですね。非常にミクロなところに論及しているような印象を与える箇所については少し考えていただいた方がいいと思います。先ほどの7ページ目の二つも,長谷山委員が言われたところと同じなのですけれども,個々の教員が行うとか,ここらは,最終的にディプロマ・ポリシー,カリキュラム・ポリシーがやれているかどうかをこの後,認証評価も含めて評価するとしたら,そのアプローチはいろいろあると思うのです。質的転換答申の先ほどのアセスメント・ポリシーは,組織的な教育に力点を置いているわけですから,各大学が個々の教員に対してどういう形で持っていくか,インセンティブ提供なのか,あるいは学内ルールでポリシーを更に詳細に決めていくのかという部分については,余り印象的に意図されているとは思わないのですけれども,今申し上げたようなところは取っていただいて,その責任は各大学にあるのだとする。それでは,個々の教員には求めないのだと言われる大学が,それではやってください。そのとおりやれているかどうかを証明してくださいということが,ある意味で個々の教員にそういう文言はなくてもやれるとおっしゃるのであれば,やっていただければいいと思います。各大学のポリシーの中でむしろそのことについて記述していただければいいのではないかと思うので,その辺はもう少しそういう観点で鈴木部会長共々目を光らせていただくと,印象が大分違ってくるかなという気がいたしました。
【鈴木部会長】    分かりました。
  はい,安部委員,どうぞ。最後にさせていただきます。
【安部委員】    今の,教員のことを書くか書かないかという話なのですけれども,私どもは短期大学で,短期大学課程ということから考えると,なぜこの三ポリシーを義務化するかというのは,大学における学修成果をきちんと出していくということで,この三ポリシーを書く。それをやはりやっていくのは,もちろんプログラムも大切なのですけれども,やはり教育活動を強化する上では,どうしても教員にその三ポリシーというのはしっかり植え続けていかなければいけないというふうなイメージが私どもは持っているものですから,当然,プログラムに関しての評価と,それから教員に関してというのは,今,印象と言われましたけれども,これは取っていただきたくないというか,これは残していただきたいというふうに考えております。
  以上です。
【鈴木部会長】    それでは,多々御意見を頂いて,まだ考える余地はあるかと思いますけれども,本日の頂いた御議論につきましては事務局とも相談いたしまして,御意見等を踏まえて,次回にはこの部会としてガイドラインの取りまとめをさせていただきたいと考えておりますので,委員の皆様には引き続き御協力をお願いいたします。
  三つのポリシーに関しては,議事は本日は以上とさせていただきます。ありがとうございました。


(2)認証評価制度の改善について,事務局から資料2-1,資料2-2に基づき説明があり,その後,意見交換が行われた。

【鈴木部会長】    続きまして,認証評価制度の改善について,審議を進めてまいります。本件につきましても,大学分科会での御意見等を踏まえまして,取りまとめに向けた素案と省令,改正案のポイントについて御審議いただきたいと思います。
  それでは,事務局から説明をお願いいたします。
【伊藤高等教育政策室長】    お手元にお配りしております資料2-1及び資料2-2に基づきまして御説明申し上げたいと思います。まず,資料2-1についてでございますが,前回の部会は骨子案という形でお示ししておりました。今回は審議まとめ素案ということで文章化を図っております。それに際しまして,今,部会長御指摘のとおり,前回の部会及び1月26日の大学分科会の御意見も反映した形で併せて修正しております。主な修正に関しましては黄色のマーカーで付させていただいております。
  まず,資料2-1をおめくりいただきまして,1ページ目は検討の背景・経緯,そして2ページ目は基本的な考え方,そして3ページ目でございます,具体的な改善事項についてでございますが,まず,この6行目から始まります,大学評価基準に共通に定めるべき項目の充実としまして,従前より2点,内部質保証と,そして三つのポリシーに関することについて法令上での位置付け,共通的に定めるべき項目の充実として法令上位置付けるということを御審議いただいてきたわけです。その際,これまでの部会及び大学分科会におきまして,実際どのような観点での評価を行うか,イメージが湧きにくいという御指摘も頂戴しましたので,記述化に際しまして例示を,「その際」と各々記載がございますとおり,例示の記載をさせていただいてございます。
  次に,3ページ目から4ページ目にかけてでございます。重点評価項目の設定に関わるところで,具体的に4ページ目の1番目の丸でございます。重点評価項目として内部質保証を定める場合,その評価が,内部質保証が有効に機能しているということで優れた評価を受けた場合の次回評価の軽減ということで,前回の本部会におきましても,この評価の内容・方法を弾力化・効率化するといったことについての,具体的にはどういうことを想定しているかというお尋ねもございました。ですので,その前の黄色のマーカーにございますとおり,こちらも例示を併せて追記させていただいております。
  次に,評価方法の改善についてでございます。これに関しまして,前回の本部会及び大学分科会におきましても,大学及び評価機関においてエビデンスの収集,強化,データや指標の活用を進めるべきとの御指摘もございましたので,例示も併せて記載の充実を図らせていただいております。
  続きまして,同じ4ページ目の後段でございます。学修成果と社会との接続の観点から,卒業者の進路状況について評価を行うことも期待されると。こちらに関しましては,昨年9月に大学分科会でお取りまとめいただきました「未来を牽(けん)引する大学院教育改革(審議まとめ)」においても,こういった進路状況について評価すべきと御提言も頂いておりますので,このような評価を行うことの期待を追記させていただいてございます。
  次に5ページ目をおめくりいただきまして,評価結果を活用した改善の促進の項目の一番下の丸でございます。ここに黄色のマーカーで追記させていただいております。前回本部会におきまして,この補助金等の申請の要件に評価の結果を活用する際の考え方について整理すべきという御指摘があったことから,この黄色のマーカーのような形で考え方の明記をさせていただいているところでございます。
  続きまして,6ページでございます。こちら,5ページから6ページにかけましては,認証評価機関の質の向上ということで自己点検及び,また認証評価機関の外部評価的な記載をさせていただいているところでございますが,6ページの一番上の丸,こちらにおきましても外部認証評価機関の外部評価の際の具体的な例示ということで,イメージが湧くように記載を追記させていただいているところでございます。
  また,評価における社会の関係の強化の項でございます。こちらのマーカーに関しましても,認証評価におきましては大学の質の向上を促進するといった制度であることから,より優れた取組について積極的評価と,そして発信を積極的にすべきと御指摘いただいたことを踏まえまして,記載の充実を図っているところでございます。
  次に8ページ目の他の質保証制度との連携等についてでございます。この他の制度との連携につき,設置計画履行状況等調査の指摘事項等の対応についてでございます。こちらにつきましても,委員の先生方から両制度の書き分けとともに,連携の必要性をしっかり明記すべきであるということを御指摘いただきましたので,それぞれ認証評価,履行状況等調査の趣旨ということを基準という観点から明記するとともに,今般,内部質保証を重視した評価制度への転換ということもございますので,この内部質保証の観点からも指摘事項に対する大学の取組がなされているかということは評価に当たって重要であるといった理由も追記させていただいた上で,この両者の連携についての位置付けの記載を充実させていただいているところでございます。
  最後,9ページを御覧ください。9ページ目のその他でございます。こちらの項目は分野別評価の取組についての記載でございます。1番目の丸,2番目の丸,各々各大学,評価機関におけます分野別評価の自主的な取組の推奨を記載しているところでございますが,先般の大学分科会でも分野別評価の一層の推進と制度化についての前向きな検討の必要性を御指摘いただきました。そして,それに当たっての見解を求められたことを踏まえまして,最後に今般,三つ目の丸を加えさせていただいております。こちらにございますとおり,分野別評価の制度化につきましては,上二つの丸といった自主的な取組の推奨ということを前提としつつ,現時点におきましては導入は困難であるといったことから,制度化につきましては引き続き検討が必要という記述にさせていただいているところでございます。
  最後に「おわりに」ということで追記させていただいております。最後,第1パラグラフに関しましては本提言のポイントでございます内部質保証の構築について,大学,そして制度を所管する文部科学省,また評価機関,それぞれの主体の取組を改めて促すということとともに,第2パラグラフにおきましては,今般,大学の質保証に関しまして,特に認証評価について改善をお取りまとめいただいたわけですけれども,それ以外の質保証の制度についてもいろいろ御意見を頂いたところでございます。その観点から,今後,大学の質の向上において必要な場合においては,大学設置基準,設置認可の在り方等についても改善に向けた検討を行うことを期待するといった,これまで委員に御指摘いただいている考え方も併せて記述をさせていただいているところでございます。
  続きまして,省令改正についてのポイントを資料2-2に基づきまして御説明申し上げます。こちらは認証評価機関を認証する際の基準に関する省令の改正のポイントでございます。1の括弧の1にございますとおり,評価内容の充実といたしまして,評価項目に関しましては丸1,内部質保証の機能に関すること,丸2,三つのポリシーに関することということで書き下しをさせていただいておりますが,この二つに関する評価項目の新たな規定の創設とともに,重点評価項目の設定と,そして,その他といたしまして設置計画履行状況等調査等におけます対応状況を確認ということ,こちらを評価内容の充実ということで省令に定めるということを検討しております。
  また,評価の質の向上といたしまして,評価機関の丸1は自己点検評価及びその結果の公表の義務化,丸2といたしましてフォローアップ体制の充実,そして丸3といたしまして評価の過程におけますステークホルダーの意見聴取ということを規定させていただいております。括弧の3として,今まで大学に対する認証評価の充実という議論を中心にしてきましたけれども,機関別評価におきましては,基本的な規定に関しましては高等専門学校にも準用されております。今般の内部質保証の充実,そして,それぞれの重点評価項目の設定と,それぞれの考え方,高等専門学校の教育機能の充実にも資するといった観点から,高等専門学校の機関別評価にも準用するといったことを検討しております。
  最後に,施行日についてでございます。平成30年4月1日ということで,評価機関におけます基準の改訂の準備,また,大学への周知等,準備期間を踏まえまして,これを施行日の予定として考えているところでございます。
  簡単ではございますが,説明に関しましては以上です。
【鈴木部会長】    ありがとうございました。
  それでは,意見の交換に入りたいと思いますので,御意見,御質問がある方は机上の札を立ててください。川嶋委員,どうぞ。
【川嶋委員】    少し確認したいのですけれども,資料2-2の評価の質の向上の丸2のところで,「評価において改善等を大学に指摘した場合,当該大学からの求めに応じ,再度評価を行うよう努めることとしている」というふうにありますが,本日の参考資料2-2のスライドの番号26に,各評価機関における評価の分類と結果のフォローアップの仕組みという表がありまして,フォローアップの内容を見ますと,いわゆる改善を指摘した際の取扱いについては,大学評価・学位授与機構以外は改善報告書を提出しなければならない。大学の求めに応じてではなくて,改善した報告書を出さなければいけないということを既に実施されているのですけれども,これは現状からいくと大学評価・学位授与機構も同様の措置をとらなければいけないのかということを1点お聞きします。
  それから,「当該大学の求めに応じ」と書いてあるのですけれども,現状では今,お話しした大学評価・学位授与機構以外は改善してきた場合は,大学が求めるのではなくて,指摘された大学は出さなければいけないんですよね。それから,再度評価と書いてあるのですけれども,評価というのは言葉自体の意味ですよね。適合していても改善命令だから,評価というか確認ということになるんですか。評価というと,また改めて適合しているかしていないかということを判断することを意味するので,この3点について少し教えてください。
【鈴木部会長】    いかがでしょうか。
【伊藤高等教育政策室長】    ありがとうございます。まず,御指摘の「当該大学からの求めに応じ」といった考え方と,今,御指摘いただきました大学評価機関の現状との関係についてでございます。まず,制度で考えたときに,川嶋委員からも以前,この部会で御指摘いただいておりますとおり,認証評価制度の法令上の枠組みとしましては,大学は評価の受審義務だけが掛かっているといった形でございます。個別の評価機関と評価を受審する大学の実際の関係は,ある意味,契約行為の中で,こちらにございますとおり,フォローアップとして改善の指摘を受けたら報告書を提出しなければいけないといった形で,個別の評価機関との約束の中で各大学は実際はフォローアップを受けている形でございます。そのため,大学の判断といった整理の枠組みの中でしか,現状の認証評価制度の法令上の枠組みの中では,規定が書けないということもありまして,こういう記述ぶりになっております。ただ,実際は,御指摘のとおり,こういった規定に基づき,各評価機関を選ぶ際に,各大学がフォローアップ体制も含めた形で受審をしていただくという形になります。
  「再度評価」といったことにつきましても,法令上は評価という概念しかございませんで,その評価概念の中に,具体的に今,御指摘がありました改善勧告や努力課題に対して改善報告書を提出して取組を再確認することや,不適合の場合の追評価とかの取組が包含される,全体を包含して評価という概念の中でやっていただいているという我々,理解でございますので,法令上の文言としては評価という言葉になっているところでございます。
【鈴木部会長】    よろしいでしょうか。
  それでは,篠田委員,お願いします。
【篠田委員】    4ページのところで出ております,先ほどもガイドラインのところで議論がありました,定量的というのと定性的というところの考え方なのですけれども,真ん中のところの評価方法の改善のところの黄色い中に書いてありますように,情報を分かりやすく発信していく観点から,可能な範囲で定量的な評価に取り組むというふうに一方で定義をしています。それは全国的な調査結果などを活用しながらということなのですけれども,一方で,黄色のところが終わったところに,「なお,大学の機能は多様であることに鑑み,画一的な評価指標とするのではなく,多様な評価指標でもって評価活動が行われるべきだ」と一方では言っておりますので,もちろん定量的に評価をすべきものというのがあるということは当然なんですけど,例えば,先ほどのガイドラインでも議論がありましたように,大学の質保証とか内部質保証システムの充実とかということを考えた場合に,それを定量的に評価できる部分と,多様な評価基準で対応すべき部分というのは,ある種,切り分けてといいますか,バランスもとってやっていかなければいけないのではないかなと。その辺でどんなイメージで考えたらいいのかということが一つです。
  もう一つは,4ページの一番上のところに,これは以前も御質問申し上げたのですが,「そうした観点からは,各認証評価機関においては,評価結果を段階別に示すなどの取組も有効である」ということで,この評価結果を段階別に示すというのは重点事項ということなので,恐らく内部質保証システムを評価する場合というようなことになるのだと思いますけれども,これはこの提起の文章の2ページの冒頭の基本的な考え方の一番初めのところに言っておりますように,各大学が多様な目標を掲げる。それを評価するための自立的な改革サイクルとして,各大学が大学質保証機能を重視をしていくということで,各大学の責任で目標に応じて作っていくということが重要だと強調されていることから考えると,各大学の目標に対して内部質保証システムとしてこれが十分やれている,これは努力されているということの評価はできるというふうに思うのですけれども,幾つかの大学,あるいはたくさんの大学を比較して,段階別にA,B,Cといったものを付けるということがどの程度まで可能なのか,あるいは有効なのかということで,もちろん十分,不十分ということははっきりさせなければいけないというふうには思うのですけれども,このように各大学の目標に沿った形で評価をしていくということを重視すると,運用としてはやはりある程度留意をした形での運用が必要なのではないかという意見です。
  以上です。
【鈴木部会長】    いかがでしょう。
【伊藤高等教育政策室長】    ありがとうございます。まず,前段のエビデンスとの関係の部分で,黄色のマーカーと,そして4ページ目の黄色のマーカーと,その直後の「なお」で記載されております,画一的な評価指標とすべきではなく,多様な指標でもってというところとの関係という御指摘についてでございます。まず,当然,前段で黄色のマーカーで記載させていただいています例示として,それぞれ財務面,そして教学面の指標の全国調査といったものも記載させていただいておりますけれども,特に,なお書きはその前提として書いているところでございます。各大学の特徴である課題というのを捉える際に,特に自分の大学の自己点検・評価をする際の課題を見ていくときに,どの指標を適切に活用すれば自大学の課題が明らかになるのかということは,それぞれの大学の特色等に応じて指標も活用していただくということかと思いますので,黄色のマーカーとなお書きは一体として考えて,事務局としては記述をさせていただいているところでございます。
  そして,先ほどの議論でもございましたけれども,できるだけ可能な範囲で定量的な評価に取り組むといったことに関しましては,これは可能な範囲でというところです。定性的な観点での各大学の特色等も内部質保証の観点からもしっかり自己点検評価の段階から各大学もお取り組みいただくことは当然の前提とした上で,より分かりやすく発信していくといった観点から定量的な評価に取り組むことも重要であるといったことが,前回,大学分科会の折にも,社会に納得してもらうという意味で,大学の見える化,データ的な裏付けの評価をより取り組んでいく必要があるのではないかと,こういう意見もございましたところ,記述を充実させていただいております。
  そして,2点目の,各大学が自ら多様な目標を掲げて内部質保証に取り組むことと,3ページ目から4ページ目の段階別評価ということとの関係は,先ほど,委員御指摘の重点評価項目は内部質保証を今回対象にさせていただくということですので,内部質保証に対する段階別評価の推奨といったところでございます。その際に相対的にということで必ずしも考えているわけではございませんで,各大学が自らの取組をPDCAを回していくための方針をきちんと掲げて取り組んでいるかなどの観点から見て,より取り組んでいるという,優れた取組としてされているといった場合には,最後の4ページ目の上段の丸のように,次回以降の弾力化という形で活用できるのではないかというところで記載させていただいているところでございます。
  実際,評価機関におかれましても,従前より,最終的に評価をまとめられる際にも,観点別で各々,特によく取り組んでいる,適当であるといったような段階別の視点も踏まえた上で,最終的に評価結果をまとめているという取組も既にされておりますので,その取組をより高めていただくといったことで今回,このような記述をさせていただいているところでございます。
  以上です。
【鈴木部会長】    濱名委員,どうぞ。
【濱名委員】    ありがとうございます。
  この認証評価で何を確認するのかということがどこに明確に書かれているのかなという観点で読んでみると,例えば,要するにDPに基づいた教育が行われているかどうかという,そのものずばりの表現がないような気がするのですね。例えば2ページで,基本的な考え方の中で,最初の丸で言うと,教育研究活動の質的改善を中心とした認証評価に転換する観点とは書いてあるのですけれども,基本的な考えとして何をやるのかということが余り出てこないのですね。
  3ページ目のところも,色塗りの二つ目のところで,実施状況の検証も含めて改善されているかなどの観点で,改善色は非常に強いのですけれども,さっきの議論の中で言ったみたいに,ディプロマ・ポリシーに基づいた教育が行われているかどうかということは,やはりどこかで書かないと,要するに改善されていれば,すごく悪かったのが少し改善されていればいいのかといったときに,それぞれのポリシーを作成する責任と権限を各機関に与える以上,その掲げたものが達成できているかどうかという総括的な評価という観点を入れていかないと,弱いんじゃないかという気がするのですね。
  例えば,4ページ目のところで,下から二つ目の丸のところで書かれているので言いますと,これは評価方法の改善のところで出ているのですけれども,学生の学修評価をどのように把握・評価しているかという点について評価を行うことが有効であるとは書いているのだけれども,立てられたことが,だからできているかどうかという総括的評価のことに対する記述が全体として見たときにないんですね。だから,何を評価するのかといったときに,その大学が抱えているディプロマ・ポリシー,学位授与の方針にかなった教育が行われているかということに対して,どこかできちんと基本的な考え方なり何なりで書かないと,改善色とか方法とか,尺度に対する記述はいいのですけれども,やはり認証評価機関に何を一番やってほしいかというメッセージがクリアになっていないといけないのではないかという気がします。
  それともう一つは,先ほどの4ページ目の下から三つ目のところで,「多様な評価指標でもって」という表現を使われているのだけれども,この言い方が僕は少し気になっています。「多様な評価指標を活用して」という意味ですか。だとすると,そのようにした方が,主体として認証評価機関が多様な評価指標を設定することを求めているのか,あるいは各大学が自己点検評価の中で使っている指標を活用してというニュアンスなのかが少し分かりにくいので,後者だとするならば「活用して」と言った方が,要するに自立的な評価活動の点検をするのが認証評価の機能だとするならば,そのようにした方がいいのではないかと思います。
【鈴木部会長】    いかがでしょうか。
【伊藤高等教育政策室長】    まず,後者の「多様な評価指標でもって」を「活用して」にしたほうが良いのではないか,という御指摘に関しましては,御指摘の趣旨でそもそも書いておりますので,修正をさせていただきたいと思います。
  あと,ディプロマ・ポリシーに基づいた教育がどう達成されているのかといったことに関しましては,そもそも三つのポリシーの一体的策定といったときに,カリキュラム・ポリシーもディプロマ・ポリシーに基づいて立てていくといった,各々基本的な考え方が常に包含された概念で,この三つのポリシーの一体的策定というのがこれまで議論されてきております。それをしっかり評価していくことがこれまでの議論の内容だと事務局は認識して書かせていただいておりましたので,殊更ディプロマ・ポリシーに照らしてということは記載していないのですけれども,記述の工夫としてそちらの方がより明確であるという委員の総意の御意見であれば,そのような修正もさせていただきたいと思いますが,いかがでしょうか。
【鈴木部会長】    いかがでしょうか。2ページ目の基本的な考え方の最初の丸のところで,ディプロマ・ポリシーに関する言及といいますか,それを含んだ方がよろしいのではないかという御意見だったかと思います。文言はいずれ,後に考えるとして,そのような趣旨の記載を中に入れるということはいかがでしょうか。
  どうぞ,小林委員。
【小林委員】    別のことを言おうと思っていたのですけれども,まずその問題に関しまして,濱名委員はその方が明確になるという御意見なのですが,今の問題になっている下に三つのポリシーがかなり細かく説明されていますので,これ以上,内部質保証について,ポリシーだけにこだわるというのは,僕はむしろ非常に狭めてしまうというふうに考えますので,別にそのままディプロマ・ポリシーだけ取り上げるということは必ずしも必要じゃないかと思います。
【鈴木部会長】    という御意見でございました。濱名委員,それでは,このままにさせていただくということで御了承いただきたいと思います。
  そのほか,小林委員,どうぞ。
【小林委員】    よろしいですか。一つは,先ほども伊藤室長から篠田委員に対する回答があったことなのですけれども,少し補足といいますか,そういうことで申し上げたいのですけれども,段階的に評価をするということは,その下のところの簡素化とか,そういったことと関連しているということなのですけれども,これは最初の議論にあった,評価そのものが評価疲れと言われているように,非常に各大学の負担になっているというようなことに対して,少しペナルティーとインセンティブという言葉を使いましたけれども,それを付けた方がいいのではないかという,飽くまでそういう議論の中で出てきたことだというふうに私は認識していますので,全て段階的に評価してそれに基づいて何かしようということではないというふうに思いますけれども,それは確認です。
  それから,もう1点は,これはこだわるのですけれども,前回もお聞きしたのですが,資料2-2で,大学における教育・研究活動等の見直しを継続的に行う仕組みというふうに評価項目の1で書かれていますね。それを「以下『内部質保証の機能』という」と書かれているのですけれども,仕組みと機能というのは社会学では構造と機能といって,一番違うものなんですね。つまりどういうことかと申しますと,仕組みということについて,制度ができているということが重要なのか,それともそれがきちんと機能しているのか,ファンクションしているのかということを言いたいのか。仕組みを機能というというのは,非常に違和感が私はあるのですけれども,こちらの方が多分,省令改正案になりますから,かなり文言には気を使った方がいいのではないかという意見です。
【鈴木部会長】    今の御意見,もう一度,整理しておっしゃっていただければと思うんですが。
【小林委員】    仕組みというのは,飽くまで制度といいますか,構造といいますか,できているということが重要なわけです。ところが,ここでは内部質保証が制度的に保証されているということだけではなくて,それが有効に機能しているかどうかをチェックすることが重要であるということで全て書かれています。そうしますと,それを「以下『機能』という」というのは少しおかしくて,「仕組みが有効に機能していること」ぐらいにしておかないと,整合性がとれないのではないかという意見です。
【鈴木部会長】    いかがでしょうか。
【伊藤高等教育政策室長】    御指摘のとおり,我々,記載したいと考えておりますのは,継続的にこういう見直しを行う仕組みが有効に機能していることという趣旨でございます。ですので,仕組みに関することとか,内部質保証の機能という形で記述しておりますが,内部質保証そのものが有効に機能し,教育研究活動等の見直しが継続的に行われていく仕組みであるというところで考えておりますので,ここは,それを含めて,「内部質保証」という整理で考えております。
  また,実際には内部質保証という言葉がなかなか法令上規定として置くのは難しいというふうに我々考えておりまして,実際に書かせていただく文言のイメージというのは,その前に書かせていただいております大学における教育活動等の見直しを継続的に行う仕組みに関することという記載になるかと思われます。
【鈴木部会長】    よろしゅうございますか。
【小林委員】    法律的なことは私は全然分かりませんので,適切に改めていただければと思います。
【鈴木部会長】    二宮委員,どうぞ。
【二宮委員】    ありがとうございます。
  資料2-2の施行日のところに括弧で書いてあります,各大学へ新基準を周知して三巡目は,ということが書いてございますが,これは基準が一旦示されますと,7年間同一の基準で認証評価機関によって優れた取組とか何とかということがそれぞれ具体に評価していただくことになるのでしょうか。実は私立大学等改革総合支援事業のデータを3か年間見せていただくと,タイプ1は教育の質的転換ですが,平均点がぐんぐん上がっていって,何十項目も,50から100ぐらいあるんですかね,ほとんどの私立大学が,かなり取り組んでいて,質の向上は図られてきているというデータがあるとしますね。その点から考えると,7年間というサイクルの中で,時間の流れがどこまで考慮されるのか。例えば最初の段階で優れた取組として公表されて,波及効果があって,多くの大学にそれが取り入れられていくと,四,五年たった頃に受けるところは,評価委員の先生も慣れてしまって,それは優れた取組でも何でもあって,もっといいことありませんかという観点になって,優れた取組というものをほとんど指摘してもらえないというような,御覧になったら分かりますけれども,二巡目の評価を見ると,そういう流れになってきて,つまり,優れた取組が,篠田委員がおっしゃったように,大学としても質の向上の一つのメルクマールとなって,A,B,Cとか,非常によく取り組まれ,そこがゼロの大学というのは,考えてみれば普通にやっているけれども,何もいいことはやっていないと社会は読んでしまう。
  これは時間の流れと,もともと内部質保証で今度重視しますので,それは大学が自らやればいいじゃないかといっても,やはり認証評価機関によってぱっと評価されて,出されますと,その中にグッドプラクティス的なものとしてはもう位置付けられないような取組,でもその大学としては非常に努力して,質の向上には努めてきたと。つまり基準イヤーからどこの間を,どういうことを具体に取り組んだら頑張りましたというか,適正な質の向上に努めている大学という,個別の母体のことがいいとか悪いとかの問題ではなくて,時間の流れというものを基準の示し方と,7年間と,しかも内部質保証というものを組み合わせたときに,各大学に何をお願いしようとするのだろうかというのが,少し気になったということで,飽くまでもこれは何をどうしたらいいか分かりませんので,気になったというのを指摘させていただきたい。
【鈴木部会長】    ありがとうございます。
  日比谷委員,どうぞ。
【日比谷委員】    ありがとうございます。
  内部質保証が基本の基本であるということはもちろんそのとおりだと思うのですが,何回もこれは見せていただいて,ほかの方も御指摘になったと思いますが,本日ですと参考資料2-2の32番のスライドになりますけれども,学生とか社会からの理解と支持が余りにも低いということは,やはり大変にゆゆしき事態です。今回,この6ページのところで,社会への発信というようなことを書いていただいたのは非常に大きい一歩であるとは思うのですけれども,もう少し,ここについては踏み込んでいただきたいなという気持ちを持っております。一つには,優れた取組というのが,私は2種類あると思うんですね。それは4ページで,「大学の機能は多様であることに鑑み,画一的な評価指標とするのではなく,多様な評価指標で」と書いてありますが,様々な大学に共通する指標というのはあると思いますので,そこにおいて突出して優れているというような書き方もできるし,それから,大学の多様性という意味で,本当にこの大学の特徴というようなものも優れた取組で出すという,社会への発信の仕方においても,この評価指標の多様化とか,ある程度の全体を見渡すような基準というものをリンクして書いていただくとよろしいのではないかという点です。
  それから,2点目は,二宮委員がおっしゃったことと基本的には一緒なのですが,7年時間が流れてしまいますと,このぐらいだったというふうに評価されて,かなり頑張っている,その7年の間に伸びたものをどのように社会に発信できるのか。もちろん,大学自身がするということはありますが,何かそこが固定的に7年間ずっととまってしまうのも少しいかがなものかなと思いますので,その2点をコメントいたします。
【鈴木部会長】    御意見として承っておきます。
  前田委員,どうぞ。
【前田委員】    簡単に。7年間ありますと,どうしても変化はしていくので,評価機関はやはり指標をある程度変えざるを得ないという面があります。認証評価も大分たっておりますので,今までこんないいことやっているといって評価していても,ほかの大学が真似するということがあるので,いいことが成果まで結びついているかというところに少し重点を置くといいのかなという気がしております。
  以上でございます。
【鈴木部会長】    ありがとうございます。
  多々御意見を頂いて,修正しなければいけないという面もあるかと思いますが,本日の御議論につきましては事務局とももちろん相談をいたしまして,頂いた御意見等を踏まえて,次回には部会として取りまとめをさせていただきたいと考えております。委員の皆様には引き続き御協力をお願いいたします。


(3)大学運営の一層の改善・充実のための方策について,事務局から資料3-1,資料3-2に基づき説明があり,その後,意見交換が行われた。

【鈴木部会長】    続きまして,大学運営の一層の改善・充実のための方策ということで,大学運営組織,スタッフ・ディベロップメント(以下,「SD」という。),専門的職員などについての大学分科会の御意見等も踏まえた対応方針案と,SDに関する省令改正案のポイントについて資料を用意いただいております。事務局から説明をお願いいたします。
【遠藤大学振興課課長補佐】    失礼いたします。資料3-1及び3-2について御説明を申し上げます。まず,資料3-1を御覧いただければと思います。ほかの資料と同様に,変更点については黄色でマーカーをさせていただいてございます。1ページ目でございます。一番下の行でございますが,特にSDの進め方等について,具体的にどういった者に対して,どういった事項について取り組んでいただくかについてということですけれども,これについては基本的には各大学において,各職員のキャリアパスを見据えながら,計画的・組織的に御判断いただく必要があるであろうということで,どういった者についてもということ,これも大学の御判断に委ねられているという旨を明確にさせていただきました。
  また,同じページのひし形1個目でございますけれども,各大学の実情を踏まえた大学職員の資質・能力の調査研究の実施などということで黄色の部分を追記させていただいてございます。当然ながら,各大学の設置者及びその規模に応じて,大学の中で必要となる能力であったり,取り組んでいくべき課題等は様々あろうかと思いますので,その旨も明確になるように記載をさせていただいてございます。
  1ページおめくりいただきまして3ページ目の一番上の点でございますけれども,専門的職員についての現状のところでございますが,もちろん今まで委員の先生方には専門的職員の重要性とか,必要性について御審議いただいておりました。また,この観点も含めつつ,一方で大学の規模や設置者の実情によっては,専門的職員としての業務を固定化することの難点を指摘するような意見,これが調査の中で声として上がっておったという旨もありましたので,その旨を明記させていただいてございます。
  具体的には,例えば小規模のようなところについては,個別の職務だけに特化したような職員を置く方がいいというよりは,むしろゼネラリスト的な様々な職務に精通したような職員を育成した方が,非常に有用だというような御意見もあったので,その旨を記載させていただいているというものでございます。
  また,下の方に行きまして,14,15行目ぐらいの黄色ですけれども,専門的職員については,これまでも説明させていただいているとおり,非常に多様な状況があるということでございますので,現状で,法令上新たな職として専門的職員に関する規定を置くことについては,これまでの様々な取組を今後の調査等を更に引き続きさせていただいた上で,更に検討する必要があるであろうという旨を明確に規定をさせていただいてございます。
  さらに,下の方に行きまして,事務組織の見直し等についてということですけれども,これについては,これまでの本部会での御議論も踏まえまして,現在の事務組織について,大学設置基準上で単に事務を処理することが目的とされているなど,現在の事務組織や事務職員に対する期待の高まりというものについての,これとの齟齬(そご)が生じているのではないかと。必ずしも重要性について対応するものになっていないのではないかという御指摘がありましたので,その旨についても記載をさせていただいているというものでございます。
  資料3-1については以上でございます。
  資料3-2の方に移りたいと思います。SDに関する大学設置基準等の改正案のポイントということで記載をさせていただいてございます。資料3-1で申し上げた論点の中で,特にSDの話については,おおむね委員の先生方からも取り組んでいくべきではないかということで方向性を頂いてございますので,SDについては省令の形で改正案ということで今,お示しをさせていただいているというものでございます。内容といたしましては,大学がその教育研究等の活動の適切かつ効果的な運営を図るために,事務職員のみならず,教員ですとか技術職員みたいなものも含まれる職員を対象といたしまして,必要な知識・技能を習得させ,並びにその能力及び資質を向上させるための研修の機会を設ける。そのほか,必要な取組を行うものとするということで規定をさせていただいてはどうかと考えているところでございます。
  こちらについては,施行日については各大学の研修の計画・体制整備等の必要もございますので,平成29年4月1日としてはどうかということで検討させていただいているというところでございます。
  御意見を賜れればと思います。以上でございます。
【鈴木部会長】    ありがとうございます。
  それでは,御意見の交換をしたいと思いますので,御意見,御質問がある方は机上札をお立てください。小林委員,どうぞ。
【小林委員】    2点あります。一つは,資料3-1の3ページ目のところの一番上で,その業務を固定化することの難点を指摘する意見もあるということで,これが新たに付け加わったわけですが,逆に,特に国立大学で問題になっているのは,2年おきぐらいに職員が動いてしまって,むしろ専門性が全然育たないということが問題になっていますので,そちらのことも言わないと少しバランスがとれないのではないかということです。これが一つ。
  それから,2点目といたしましては,資料3-2の職員のところですが,下の「学校教育法第九十二条  大学には学長」というのがまずあるのですが,米印の1で,「『職員』には,事務職員だけではなく,教員や技術職員を含む」と書いてありますが,学長は含むのでしょうか。というのは,今,トップマネジメントがかなり重要になってきておりまして,その研修というのも,私は非常に重要だと思っていまして,非常におこがましいですけれども,学長,副学長,理事,そういう方の研修というものもないと,これはいけないのではないかと思っておりますので,その辺りどのようになっているか少しお聞かせ願えればと思います。
  以上です。
【鈴木部会長】    いかがでしょうか。
【遠藤大学振興課課長補佐】    2点御指摘いただきまして,まず1点目について,現状,少し把握させていただいて,追記が必要かどうか検討させていただければと思っております。
  2点目については,職員といった場合には大学の職員全て含まれますので,学長も含まれるという理解でおります。
【鈴木部会長】    どうぞ,川嶋委員。
【川嶋委員】    資料3-1の3ページの3のところに関してですが,黄色マーカーしてある部分で,現行の事務組織については,大学設置基準上,先ほど御説明があったとおり,役割の重要性等に必ずしも十分に対応するものとはなっていないとの指摘があると。いわゆる教員ではない職員の人たちの役割が重要だということを指摘されているのですが,それがその次の黒いひし形のところで,「更に検討を深め」というふうに書いてあるということを踏まえると,今回のこの資料3-2に書いてあるSDの義務化というのは,期待が高まっているということのメッセージを十分伝えるものなのでしょうか。ということをお聞きしたいです。だから,3ページの一番下に,更に検討を進めると書いてあるので,今後,更に検討を進めて,その期待を更に具体的に法令化するということだという理解でよろしいのでしょうか。現在ではこういう表現にとどまっていますという,そういう理解でよろしいのでしょうか。
【鈴木部会長】    どうぞ。
【遠藤大学振興課課長補佐】    期待が高まっているかどうかといえば,当然ながら,そもそもSDが何でこのように設置基準であったり,法令上に位置付けなきゃいけないのかという議論をした端緒の根本的なところからまず見返す必要があろうかと思っておりまして,これは大学の,例えば研究の分野の融合であるとか,社会的なものとのつながりであるとか,あとは研究活動等の高度化であるとか,そういったものがこれまでの組織であったり,事務職員の在り方では,やはりなかなか難しいであろうと。だからこそ今回,法令上に位置付けることによって,職員全体の資質向上を図ることによって大学の運営能力を向上していこうという,一番大きな方向性で御議論いただいていたと思っておりますので,その一番大きな根本的な考え方を踏まえて,当然,職員という中の一部に含まれる事務職員については当然重要だということで,SDもしっかり取り組ませていただいた方がよろしいのではないかというふうに議論が進んできたと考えてございます。
  その中で,SDだけ,今だけ先にやっているような感覚でありますけれども,当然ながら事務職員,あるいは事務組織の在り方というものの重要性は,これまでも様々御議論いただいておりますので,これは少しタイミングとしては後になってしまいますが,必要な,今後どうあるべきかということをもう少し深く御議論いただいた上で,必要な取組,法令上の位置付けみたいなものを考えていかなければいけないということでございますので,決して事務職員等の期待が高まっていないとか,きちんと伝わるかということでいえば,しっかりと期待が高まってきているからこそSDみたいなものもしっかりと取り組んでいかなければいけないという議論の経緯があったと整理をして,我々としては考えているところでございます。
【鈴木部会長】    それでは,二宮委員。
【二宮委員】    蛇足みたいな質問ですが,先般,大学の事務職員の人たちの専門性の高さ,低さとか,どういう人が配置されるかという調査結果を見せていただいて,あの中に教員が果たしている運営上の職務は調査対象になっていたのでしょうか。今,ふと,どんな検証をすべきなのかなと想像して,例えばチューターという役割を多くの先生方に持っていただいているのですけれども,これは教育指導上であればファカルティー・ディベロップメント(以下,「FD」という。)になりますし,これはあくまでも学生支援なので,教学のマネジメントとして必要なことなんだと捉えれば,チューターとしての研修となります。このようにずっと延長線上を見ていくと,執行部だけなら当然,理事とか学長,学長補佐とか,そういうのはできますけれども,先生という職員の,FDではない研修がどこまで拡大していくのだろうかということを,どう考えたらいいのだろうか。先生はFDプラスSDになりますので,ちょっと,頭をよぎっているという感じです。
【鈴木部会長】    事務局の方で何かございますか。
【遠藤大学振興課課長補佐】    参考となるデータといたしまして,本日,配付をさせていただいている資料3-1に,先般も簡単に御説明させていただきました調査結果を配付させていただいてございます。この中の,特に3ページをお開きいただければと思います。専門的職員の配置状況ということで,ここは職種別ということでデータを示させていただいてございます。青色が教員の方々,事務職員が緑色,技術職員が赤という形になってございまして,やはり教員の先生方は特に教育課程の編成,当然と言えば当然なのかもしれませんけれども,こういったところであるとか,あとFDに関すること,あとは研究技術,こういったところは教員の方々が積極的に職務を担われているような傾向があり,一方でそれ以外の職務については,かなり幅広に事務職員の方々の配置の割合が高くなっているという状況がございますので,やはり職務の特性や,職務の内容に応じて教員の方々の専門性を生かしていただくべき職務ということと,一方で,事務職員の方々が今まで経歴としてきちんと積み上げてこられたような能力を生かしていただくような職務というのがあろうかと思いますので,そのようなものを学内でしっかり,どこが重要だとか,どこにどういう者を配置すべきかというのを御検討,御判断いただいた上で大学運営を担っていただくというのが一つあるべき姿だと思いますし,その御判断,御検討いただくに当たっての参考となればというふうにこの調査も思ってございます。
  以上でございます。
【鈴木部会長】    二宮委員,どうぞ。
【二宮委員】    ありがとうございました。
  そのことに関係してですけれども,教員というのは,これまでの仕事をずっと,今も引き受けているわけですけれども,教授会の内部の組織として委員会制度ができていまして,今,学長のリーダーシップの下に,教授会の外に様々な組織を作って,教職共同で先生にもやっていただいている。教授会の内部の組織は当然,教授会が責任を昔は持っていたわけなので,教授会に対して分担していますよね。自分できちんと報告するということをやると。これは教授会の内部の話だと思うんですね。だから,研修も何も要らないので,自ら審議したり,決定したり,昔はしていたわけです。
  今度は,学長の下に作ってしまうと,教授会は意見を聞きますけれども,執行部的になってくるわけですね。それが教職共同という大義名分の中で,先生もお願いしますということになると,ここのデータと少し趣の異なった意味が生じるのかなという感じがしていますので,これは法律が定められると必ず用意しなければいけなくなりますので,ここはもう少し議論していただいて,大学にはクリアに,少なくともこういうモデルでやってもらうのがいいんですよといけば,要は,事務職の人については職務命令も出しやすいし,事務局長の下にどんどんできますけれども,教員というのは誰が職務命令を出すのかといったら,学長になったりしますので,その辺で少し大学の内部事情を今,話しているわけですけれども,お互いに共通した悩みじゃないかと思うんです。
【鈴木部会長】    その辺,いかがですか。御意見。
【遠藤大学振興課課長補佐】    御指摘ありがとうございます。内部事情というとで,非常によく分かりました。ただ,1点懸念しているのは,各大学に対して,SDについて,例えばこういうモデルでやった方がいいのではないかということをお示しするのは,国としては現時点でなかなか困難ではないかと思っています。教授会の学内の在り方とか,執行部との在り方,これは各大学によっても,どこが発言の影響力が強いかといったことも非常に様々あろうかと思いますので,少なくともモデルとしてこれというのはなかなかお示しするのは難しい。一方で,必要性が高い職務についての各大学の実情であったりだとか,調査研究の在り方であったりだとか,こういったところの環境整備はきちんと国としてもいろいろな事例を収集したりとかやっていくべきだと思っておりますので,この点についてはできるだけ頑張っていきたいなと考えてございます。
【鈴木部会長】    ありがとうございます。
  そのほか。どうぞ,黒田副部会長。
【黒田副部会長】    最後の議題になっておりますけれども,このSDの義務化ということ,それから,専門職員の在り方,これが法制化されないということでありますけれども,この二つが機能してこないと,先ほどから議論している三つのポリシーの問題,それから認証評価の問題,これが各大学で機能しないということになると思うんですね。SDというと事務職員だけの話かということになるのですが,実際はそうなっていないのですね。教員の方も含めてSDの研修をやるということになっていますし,大学団体,私立大学の方ではいろいろな分野で研修会をやっています。理事長の研修もやっていますし,学長の研修もやっている。それから,各分野のそれぞれの専門の研修もやっているわけです。そういうことで日本の大学の機能というものを高めていかないといけないと思います。
  そういう意味で,SDの義務化というのは,私は必要だと思うんです。FDだけを義務化して,SDはいいよということにはならないと思うんですね。SDでしっかりと事務職員が大学のことが分かり,先ほど国立大学・公立大学は2年ぐらいで代わってしまうから余り機能しないということがありましたけれども,2年でもおられる間に少し研修をしていただくと,その人は戻るよりも大学に留った方がいいんじゃないかという気持ちになっていただけるぐらいの研修がなされるといいなと思っております。
  そういう意味で,そういう機能を充実させるということが非常に私は先ほど改革をやろうとしている二つの問題と緊密に連間したことになると思いますので,是非ともSDの義務化はやっていただきたいなと思います。
  それから,専門職員は法制化するというのは非常に難しい。労働法の関係もありますので,文部科学省だけではやりきれないこともあるわけですね。教員と職員では労働体系が違いますから。その辺をしっかりと考えながら,やれる私立大学は専門職も置いているんですね。労働法をクリアしながらやっているわけですので,是非ともそのような専門職を育てるということと,それから,事務職員の組織的活動ができるような体制を是非とも作り上げていただきたいと思っています。
【鈴木部会長】    ありがとうございます。
  どうぞ,篠田委員。
【篠田委員】    取りまとめについては今日の時点で非常に適切なまとめになっておりますので全く異論はないのですけれども,希望ということで,前回から発言をさせていただいているのですけれども,今度のSDの義務付けも含めてなのですが,例えば1ページ目の括弧の1の最後の辺りのところに,事務職員等が共同して学長のリーダーシップの下にチームとして大学運営に取り組む体制を構築するとか,その下の2のところで,最初の四角のところでSDとして身に付けるのは大学職員が大学の運営に必要な能力を身に付けるというふうな規定,あるいはその次のページでも,大学運営に必要な,教員・事務職員等の業務の垣根を越えた専門的な取組が新たに必要だというような,職員に対する新しい位置付けというのが出ておりますし,能力を身に付けるというのは,事務処理の能力ではなくて,先ほども見ましたように,大学運営に必要な能力を事務職員が身に付けていくということですので,これが3ページのところにあります大学事務組織の位置付けの見直しのところで,やはり設置基準の41条で事務を処理するという規定になっておりますので,今日こうやって職員が大学運営について参画をし,その能力を身に付けなければいけないということと,やはり矛盾してきているということは,これは実態としてはっきり書かれております。
  その意味では,タイミングが確かにずれたということで,その点ももちろん了解をするわけですけれども,そういう位置付けをはっきりさせるということで言うと,なるべく連続的にその辺りのところの改善ができれば大変有り難いなと思っております。
  以上です。
【鈴木部会長】    ありがとうございます。
    一つ,先ほど,小林委員から,インスティトゥーショナルの,その言葉ということが資料1-1で出てきまして,4ページの一番下ですが,このSDの資料3-1ですか,インスティテューショナルという言葉が,こちらはインスティテューショナルということで二,三回出てくるものですから,これは整合性をとるようにお願いできればと思います。
  そのほかございませんか。濱名委員,どうぞ。
【濱名委員】    資料2の中ではIR機能と出てきます。読み手が,予備知識のない方も含めてということであるならば,やはりきちんと注を付けて,それで用語も表記も統一していただく方が良いのではないでしょうか。そうでないと,いつまでたっても「これは何」と聞かれるものですから,よろしくお願いします。
【鈴木部会長】    ということですので,全体を通じてチェックしていただければと思います。
  この対応方針案につきまして,いろいろ御議論いただきましたけれども,大まかなところ,まとまりに向かっていると思いますので,今後,当部会としましては対応方針のとおり取り扱っていきたいと思いますので,御了承いただければと思います。
  また,何かございましたら,御意見を賜れればと思いますので,よろしくお願いいたします。
  それでは,以上で本日の審議を終了させていただきます。本日御説明いただいた各省令案につきましては,事務局の方で本日の御意見を踏まえた上で,パブリックコメント等の手続を進めていただくようにお願いいたします。
  それでは,どうもありがとうございました。
  本日の議事はこれにて終了いたします。御苦労さまでした。

──  了  ──

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