大学教育部会(第40回) 議事録

1.日時

平成27年12月14日(月曜日)14時~16時

2.場所

文部科学省3F1特別会議室

3.議題

  1. 三つのポリシーに基づく大学教育の実現について
  2. 認証評価制度の改善について
  3. その他

4.出席者

委員

(部会長)鈴木典比古部会長
(副部会長)黒田壽二副部会長
(委員)日比谷潤子,安部恵美子の各委員
(臨時委員)金子元久,小林雅之,篠田道夫,二宮皓,長谷山彰,濱名篤,前田早苗,美馬のゆりの各臨時委員

文部科学省

(事務局)常盤高等教育局長,大槻国立教育政策研究所長,義本高等教育局審議官,佐野高等教育局審議官,浅田内閣官房教育再生実行会議担当室長,森田高等教育企画課長,塩見大学振興課長,伊藤高等教育政策室長,新木大学設置室長,新田主任大学改革官,春山国立大学戦略室長,岡私学経営支援企画室長,北岡大学振興課課長補佐,片柳高等教育政策室長室長補佐 他

5.議事録

(1)認証評価制度の改善について,日本高等教育評価機構から資料1-1,大学評価・学位授与機構から資料1-2に基づき説明があり,その後意見交換が行われた。

【鈴木部会長】    それでは,所定の時刻になりましたので,第40回の大学教育部会を開催いたします。
  師走の御多忙の中,御出席いただきまして誠にありがとうございます。
  本日は,前回に引き続きまして,三つのポリシーの考え方,そのガイドラインの策定,そして認証評価制度の見直し等について議論を深めていきたいと思っております。
  それでは,事務局から本日の配付資料について確認をお願いいたします。
【伊藤高等教育政策室長】    お配りの議事次第にございますとおり,本日は資料1-1から資料2-5まで,計10点の資料をお配りしております。欠落等ございましたら,事務局にお申し付けください。
【鈴木部会長】    それでは議題に入ります。前々回,前回とヒアリングを行いまして,三つのポリシーの考え方や,実際の策定に当たっての留意点,それからアセスメントとの関係などについて御説明いただいたところであります。
  本日は,これまでの議論やヒアリングを踏まえまして,事務局より三つのポリシーに基づく大学教育の全体イメージや,三つのポリシーの策定と運用に係るガイドラインの骨子の素案について説明いただきまして,意見交換をお願いできればと思っております。
  それでは,事務局より説明をお願いいたします。
【北岡大学振興課課長補佐】    資料1-1から1-5に基づきまして,三つのポリシーに基づく大学教育の実現について御説明をさせていただきます。
  まず,資料1-1を御覧ください。この資料におきましては,今まで御議論いただいております,ディプロマ・ポリシー(以下,「DP」という。),カリキュラム・ポリシー(以下,「CP」という。),及びアドミッション・ポリシー(以下,「AP」という。),三つのポリシーと実際の大学教育との関係性をイメージとして図示したものでございます。
  1-1の1枚目を御覧いただきますと,大学教育に関しましては,内部質保証と書かせていただいておりますが,この三つのポリシーに基づいた大学教育の展開をしていただくとともに,そのポリシーに基づく教育の不断の改革というものを,我々としては考えているところでございます。
  このPのところにございますように,三つのポリシーの一体的な策定,これが各大学における改革の起点といたしまして,それに基づく実際の教育活動の展開,また,その教育活動に関しての評価,これは自己点検評価が基本になってまいりますが,それを行っていただく,その評価の結果に基づき,引き続き大学教育を改善していただくというサイクルを不断に回していくことが,今回のこの三つのポリシーに基づく大学教育の改善の本旨でございます。それに当たりまして,この1ページ目の下にございますように,省令改正によって三つのポリシーの策定及び公表,これを義務付けさせていただくことと,加えまして,ただいま御議論いただいております三つのポリシーの策定と運用に関するガイドライン,これを参考にしながら,各大学において具体的なポリシーの策定及びそれに基づく大学教育の実現,運用を行っていただくという関係性を表したものであります。
  2ページ目を御覧ください。2ページ目は,三つのポリシーの策定及び運用に関しまして,学生の学修成果に関するPDCAという視点から見た場合のイメージ図を表しております。左側にPとございますが,学修成果の目標とその実現手段としての一体性といたしまして,まず,DPにおいて,目指すべき学修成果目標,これを書き表すということ。これに基づきまして,CPにおきまして,DPを実現するための教育課程編成・実施の方針をお示しいただくということでございます。
  また,APにつきましては,DP,CPほど一体的なものとはならない可能性があると我々としては思っておりますが,いずれにせよ,このDP,CPを見通した上で,それを実現するためのAP,入学者の受入れを方針としてお示しいただくという関係性でございます。
  実際,このDP,CP,APの三つのポリシーを踏まえた教育活動は授業等において展開されるということを経て,右側,学修成果の評価基準としての一体性でございますが,学位を授与する基準としてのDP,あるいはそのDPを実現するための学生の学修評価の側面としてのCP,こういうものを一体的に運用することよって,学生の学修状況もきちんと評価した上で,DPやCPの在り方を不断に見直していただくという関係性をお示ししたものでございます。
  続きまして,資料1-2でございますが,こちらはこれまで御議論いただいております,三つのポリシーの策定と運用に関するガイドラインの骨子の素案ということで本日お示しさせていただいております。実際,ガイドラインを策定するに当たりまして,大きくはこのような柱において,今後具体のガイドラインを策定していくことを考えているところでございます。
  まず,1ページ目,「はじめに」とございますが,このガイドラインは,これまでの中央教育審議会答申等の提言を踏まえつつ,三つのポリシーの策定と運用において,各大学において御留意いただきたい事項,それを整理したものであるという基本的な性格を記しております。
  第一章の,「三つのポリシーの一体的な策定の意義」というところで,これまでの中央教育審議会答申等における御提言を整理した上で,三つのポリシーそれぞれの性格や意義について記述しております。具体的には,第一章の二つ目の丸にございますように,平成20年の学士課程教育の構築に向けて(答申),あるいは三つ目にありますように,平成24年の新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて(答申),こういうところで提言されております考え方を踏襲して,今回更に具体化しているものが,この三つのポリシーのガイドラインであるという位置付けでございます。
  2ページ目を御覧いただきますと,DP,CP,AP,それぞれがどのようなものかということを概略しています。また,2ページ目の真ん中ほどより下でございますが,これら三つのポリシーの一体的策定というものは,大学自身はもとより,大学に携わる種々の方々に対しても意義があるということで,大学にとっての意義,入学希望者や学生,保護者,あるいは進路指導を行う高等学校関係者にとっての意義,さらには社会にとっての意義ということで,地域社会,国際社会や産業界等において,これらポリシーに基づく教育が展開されることの意義を述べております。
  続きまして,3ページ目でございます。3ページ目は第二章といたしまして,「三つのポリシーの策定に当たり留意すべき事項」ということで,このポリシーのガイドラインは,策定と運用に係るガイドラインということで,大きくは策定の部分と運用に係る部分,その二つの部分で構成いたしておりますが,策定に関する部分についての留意事項を述べさせていただいております。
  まず1番で,三つのポリシーの策定のための組織・体制といたしまして,学長を中心に全学的なポリシーの基本方針や策定単位等を検討すること,あるいは体制の整備は重要であることを述べております。
  2番で,三つのポリシーの策定単位について言及しております。これまでの御議論におきましても,策定単位については各大学で適切に判断すべきものであるという基本の部分は堅持しながらも,授与される学位の専攻分野ごとの課程,ここでは括弧で学位プログラムと記載させていただいておりますが,学位の専攻分野ごとに,これら三つのポリシーを策定することが考えられるのではないかという考え方をお示ししております。
  3番で,三つのポリシーの策定に当たっての具体的な留意事項といたしまして,まず,総論といたしまして,これら三つのポリシーが一体的で整合性のあるものとして策定すること,そして三者の関係を分かりやすく示すことの重要性を述べております。また,当該大学に関心を持つ多様な者,入学希望者や社会人,あるいは外国人といった方々が十分理解できるような内容,表現とすることも必要である旨を述べております。
  ここ以下は,各ポリシーの具体的な部分に入ってまいります。
  まず,DPにおきましては,一つ目のぽつにございますように,どのような学修成果を上げれば学位を授与するのかという方針をできる限り具体的に示すこと。二つ目にありますように,「何ができるようになるか」に力点を置き,学生が身に付けるべき資質・能力を明確化すること。このようなことがDPにおいて重要であるという旨を述べております。
  続きまして,4ページでございます。CPにつきましては,DPを踏まえた教育課程編成,当該教育課程における学生の学修方法・学修過程の在り方を具体的に示すことについて述べております。その際,二つ目のぽつにございますが,多様な入学者という観点を踏まえまして,それら多様な入学者が自ら学修計画を立て,主体的な学びを実践できるようにする観点から充実を図ることが必要ということを述べております。その中で,初年次教育,教養教育,専門教育,キャリア教育等,様々な観点から検討を行うというふうにしているところでございます。
  APにつきましては,DP,CPを踏まえるとともに,「学力の3要素」を念頭に置きまして,入学前にどのような多様な能力をどのようにして身に付けてきた学生を求めているか,あるいは,入学後にどのような能力をどのようにして身に付けられる,資質を持った学生を求めているかということを,できる限り具体的にお示しいただくことが重要である旨を記載しております。
  第三章におきましては,実際にポリシーを作られた後,各大学においてそのポリシーに基づく教育活動を展開していただくに当たっての留意事項でございます。
  1番にありますように,三つのポリシーの策定のみならず,当然,策定した後,全学的な教学マネジメントを確立していただいて,実際の教育活動を展開いただくことが重要でございますので,三つのポリシーを起点とするPDCAサイクルをポリシーの策定単位ごとに確立するということ,あるいは全学的な規模での教学マネジメントの確立の重要性について述べております。
  2番のところでは,具体的なツールについて言及しているところでございます。組織的で体系的な教育の展開,あるいは学生の学修成果の評価に当たりまして,具体的にこのような手法が取り得るのではないかというものをこちらに列挙させていただいております。詳細は割愛させていただきますが,これまで審議会で御議論いただいたこと等がこちらに記載されているところでございます。
  5ページ,真ん中下ほどで,3番,「三つのポリシーに基づく大学の取組の自己点検・評価と改善,情報の積極的な発信」という項目を用意しております。各大学においては,三つのポリシーを踏まえた取組の自己点検・評価を行うこと,あるいは,その結果や定期的な第三者評価,これは認証評価等でございますが,それらでの指摘を踏まえて改善に取り組むことが必要である旨,それに言及しております。具体的に自己点検・評価に関しましては,三つのポリシーの策定単位,これは各大学で御判断いただく単位でございますが,それごとにきちんとポリシーに照らした取組が行われているかどうかという適切性について評価をしていただくことは考えられるとしております。その際,例えば,地域社会や産業界など学外の参画を得ることなどより,客観的な視点を取り入れるなどの工夫を講じることも考えられるのではないかということについて言及しております。
  6ページに行っていただきまして,先ほどのは各ポリシーの策定単位でのお話でございますが,全学的な方針,あるいは複数の学位プログラムを横断するような事項がある場合には,全学的,あるいは横断するような取組についての把握も重要でございますし,あるいは大学レベルでの点検・評価に取り組むことも考えられるのではないかということについて言及いたしております。その際,学生の卒業後の追跡調査等という手法,これも取り得るのではないかということも述べさせていただいております。
  最後の丸でございますが,これら三つのポリシーに基づく教育に関しましては,社会との協働を一層推進する観点から,その状況に関して積極的な情報公開,発信に努めるべきであるという旨についても言及いたしております。
  今回お示しいたしましたのは骨子でございます。本日また御議論いただきまして,本日の御議論を踏まえた上で,次回の大学教育部会におきまして,更に詳細の案をお示しさせていただきたいと思っております。
  続きまして,資料1-3を御覧ください。前回の御議論におきまして,頂きました個別の論点について,事務局の考え方を御説明させていただきます。
  まず,1番でございますが,三つのポリシーの策定及び公表,これは資料1-1の一番下に書かせていただいているところでございますが,これを省令で規定することにしておりますが,どの省令で規定するべきなのかというところの論点でございます。学校教育法施行規則なのか,大学設置基準なのかがその具体の論点でございますが,まず,こちらで学校教育法施行規則と大学設置基準,それぞれの法的な性格について述べさせていただいております。
  (1)学校教育法施行規則という枠の一番上の欄を御覧ください。学校教育法施行規則の法的性格を申し上げますと,他の省令等において定めることとされている事項を除き,学校教育法から委任された事項,あるいは同法を施行するために必要な事項,それを規定するものがこの省令でございます。具体的に,大学に関しては,その下に丸1,丸2,丸3と書かせていただいているような事項を規定するということで,現在,学校教育法施行規則の体系が整理されております。
  一方で,大学設置基準につきましては,大学設置基準の枠を御覧いただければと思いますが,学校教育法の第3条におきまして,学校を設置しようとする者が学校の設置に当たり従うものとして,設備,編制その他に関する基準を定めるということにされております。これは,幼稚園以上,学校と名の付くものにつきましては,この設置基準が共通で用意されております。ただ,その中で大学に関しましては,学校教育法施行規則第142条におきまして,大学の設備,編制,学部,学科に関する事項,教員資格に関する事項,通信教育に関する事項,その他ということで,これらの事項について具体に規定するという位置付けになっております。
  今回の三つのポリシーの策定及び公表につきましては,大学という公的な機関が,その適切な運営を制度的に担保することを目的としている内容と我々は考えてございます。また,現状,入学者に関する受入れ方針,これは学校教育法施行規則第172条の2という条文におきまして,大学における教育情報の公表という項目において規定されておるところであります。
  これらのことを踏まえまして,今回の三つのポリシーの策定,公表につきましても,学校教育法施行規則に規定することが適当ではないかと考えているところでございますが,これにつきましても御議論いただければと考えております。
  続きまして,2ページを御覧ください。下ほどに,2ぽつ,ガイドラインの策定主体の議論を提起しております。これは,中央教育審議会の名義で出していただくか,あるいは文部科学省の名義で出すかというところでございますが,今回の三つのポリシーの策定・運用に係るガイドラインにつきましては,冒頭,資料1-2の御説明で述べましたように,これまでの中央教育審議会での御提言,これらを踏まえ,発展させているという趣旨を我々は重要視すべきと考えているところであります。また,二つ目の丸にございますように,このポリシーの策定・運用,これは各大学が建学の精神や強み・特色等生かしながら自主的に行うものであるという性格を考えた場合でも,やはり行政機関がお示しする基準というよりは,大学教育に関し学識経験を有する者等の合議によって提示されることが適切ではないかと考えており,そのような性格を考えたときに,この中央教育審議会の組織が,これらの観点から適当ではないかと考えているところであります。したがいまして,このガイドラインの策定主体につきましては,事務局といたしましては大学教育部会とすることとしてはどうかということで御提案させていただきたいと思っております。
  最後に,この資料には本日出ておりませんが,三つのポリシーの策定及び運用に係りまして,日本学術会議が作成しております,分野別質保証のための教育課程編成上の参照基準というものがございます。机上資料1,机上資料2ということで,皆様の資料の末尾に置かせていただいております。この参照基準は多くの分野で出されておりますが,参考といたしまして,政治学分野と数理科学分野の2分野について御用意しております。
  これに関しまして,資料が前後して恐縮でございますが,資料1-5,三つのポリシーに関する参考資料の9ページを御覧ください。こちらにございますように,分野別の教育課程編成上の参照基準,これはこれまでの中央教育審議会の御審議を経まして,文部科学省から日本学術会議において審議,検討を依頼しているものの成果でございます。2にありますように,主な構成要素といたしまして,学問分野ごとに策定されているものでございますが,当該学問分野で学生が身に付けるべき基本的な素養であるとか,あるいは(3)にございますように,学修方法,学修成果の評価に関する基本的な考え方,このようなものが学問分野別にまとめられているものであります。各大学におきまして,DPやCPを検討いただくに当たりましては,この日本学術会議の参照基準も参考になるのではないかと考えておりまして,そのような観点から,本日,参考として机上に配付させていただいているところであります。
  事務局からの説明は以上であります。
【鈴木部会長】    ありがとうございます。
  それでは,事務局からの説明もございましたので,意見交換に入りたいと思います。御意見,御質問のある方は,机上のお名前の札を立てていただきます。濱名委員,どうぞ。
【濱名委員】    それでは最初に。順番に伺いたいのがあるのですけれども,まず,資料1-1の,1枚目は何となく全体像をつかめたのですけれども,2枚目へ行くと,よく分からないところがあります。1-2との整合性も含めてお尋ねしたいのですけれども,1-1の2枚目で,まず,左側のPのところで書かれている内容として,Step1としてDPの内容をカリキュラムとして構造化,ここまでは分かるのですが,Step2のところで,ほとんど教育内容の話しか出てこない。これは,教育方法の話はどこへいったのですかと。1-2の中には教育方法のことも述べられているのだけれども,ここへ来ると,2枚目の資料はほとんど教育内容にしか関心が払われていなくて,例えば高等学校との整合性で言えば,アクティブ・ラーニング,能動的学習ということの重要性が記載されているにも関わらず,ここの部分でほとんど落ちてしまっているのはなぜですかということが1点。
  もう一つは,右側のCのところへ行きますと,CPとして,「DPを実現するための学生の学修成果の評価の方針としての側面としてのCP」というのは,これはほとんどよく分からないのですね。アセスメントの話をどうするのかというのは,質的転換答申ではアセスメント・ポリシーの話が出てきているにも関わらず,その点をどうしても落とそうとすると,こういうところに無理が出てくる。前回出ていたポンチ絵で言えば,AP,CP,DPに,そこに貫くものとして学修成果の問題が取り上げられていたのに,なぜここで学生の学修成果の評価の方針がCPに関わる話という形で取り上げられるのかが理解できませんし,ここに書かれているStep1,2を見ると,これも非常に形式的というのでしょうか,アウトカムと結びつかない。文章で書かれている資料1-2の中であれば,学修成果の問題が問われている,ここについては,それぞれの科目の要件等を満たしていれば,それがいわばDPの基準を満たす者に学位授与という条件を満たしているかのごとく読めるのですね。そうすると,この2枚目のポンチ絵は,1枚目,あるいは1-2との整合性がないのではないかと思いますが,どのようにお考えでしょうか。
【北岡大学振興課課長補佐】    お答えいたします。まず,資料1-1の2枚目,左側の部分で,教育方法の視点が欠落しているという御指摘でございます。例えば,Step2のところにありますシラバス,これは「科目の内容を提示」と書いておりますが,シラバスの中では内容であるとか,あるいは授業の方法というところも当然提示するものかと我々は思っておりますので,このようなDPを実現するための教育課程の編成・実施の中で,当然その授業の方法,あるいは学生の目線から,例えば学修の方法についても言及すべきものと考えておるところです。
  また,右側のところ,これは少し位置付けがよく分からないというお話でございました。これは,まさに濱名委員から再三御指摘いただいておるアセスメント・ポリシーという考え方で見ますと,こちら,右側にありますDP,CPに記載されると想定している評価の基準というものが,まさにアセスメント・ポリシーの一角をなすものではないかと考えておるところです。つまり,DPやCPの中に,それぞれアセスメント・ポリシーの考え方が入ってくるのではないかという考え方で,この資料を作らせていただいているところであります。
【濱名委員】    だとすれば,作り替えていただかないと,最終的にはポンチ絵が一人歩きするのです。ポンチ絵の中に必要な要素が入っていなければ,答弁していただいても議事録まで戻っていただける方はほとんどいないので,そこのところは明確にしていただきたいと思います。例えば1-2でも,4ページ目の組織的で体系的な教育の展開と学生の学修成果のところで,カリキュラムを構成する科目の目標,内容,評価方法等と出てくるのですけれども,ここでも教育方法は落ちるのですね。全体としてポンチ絵と文章の中での整合性,ここには評価方法は出てくるのですけれども,そこらの観点と,アセスメントの話についてどのように扱っていくのかというのは,やはり設計をする各個別大学から見たときに,その評価プランをどう考えていくのか,アセスメント・ポリシーをどう考えていくのかということに対するものが,口頭での説明で補足される程度のことでは,前回見た三層構造のポンチ絵との整合性を考えても,やはりその設計図,ガイドラインを示す説明であるならば,当然のことながら,目標がどのように達成できているかどうかのアセスメントという視点は,PDCAという大きな枠組みを使うのであるならば,一番重要なポイントですよね。PDCのところをどうするのか。そこについては,もう少し分かりやすさと補佐が言われた観点が見て分かる状態,あるいは読んで分かる状態に少し補強していただく必要があるのではないかと思います。
【北岡大学振興課課長補佐】    御指摘を踏まえまして,改善させていただきます。
【鈴木部会長】    前田委員,どうぞ。
【前田委員】    資料1-2の3ページ,2の三つのポリシーの策定単位のところの,括弧して学位プログラムとなっている前のところが,基本は授与される学位の専攻分野ごとの課程という,これが何か,分かるようで分からなくて,具体的にどういうことなのかをもう少し教えていただければと思っています。なぜそんなことを言うかと言いますと,例えば,学部の中に違う学位を出すところがあるというのはある,それはそれごとだと思うんですけれども,学位名称が同じなんだけれども,プログラムというんですか,カリキュラムが違うものもあったりするので,学位の専攻分野ごとの課程というのがよく分からなかったので,もう少し教えていただければと思います。
【北岡大学振興課課長補佐】    こちらで申し上げておる学位の専攻分野という考え方は,基本的には,今,前田委員がおっしゃった学位の名称ということで考えております。したがいまして,例えば学位の名称が同じであっても,カリキュラムが違う場合というのは,当然,各大学の御判断で,更に学位の分野を細分化した形での編成,三つのポリシーの策定ということはあり得ると思いますが,まず,ディプロマ,学位の分野があって,その同じ学位の分野に向かうカリキュラムというものは,基本的には同じものになるのではないかという考え方に基づいて示しているものであります。
【鈴木部会長】    ありがとうございます。日比谷委員,お願いします。
【日比谷委員】    質問したいことがあるのですが,資料1-2の,今,前田委員が御指摘になったところの下です。三つのポリシーの策定に当たっての留意事項の下に総論というのがありまして,項目が二つあるうちの下の方なんですが,当該大学に関心を持つ多様な者が十分理解できるようにというのは大変結構なことだと思います。入学希望者は,もちろんよく分かります。社会人というのも分かるのですが,外国人というのは,入学を希望している留学生になる人というのが最初に入ると思いますので,外国人というのは,国際社会から見て,その大学がどういう大学か分かりやすくするという御趣旨ですか。
【北岡大学振興課課長補佐】    このあたり,文言の関係整理が不十分で大変失礼いたしました。
  資料1-2の2ページ,一番下,先ほど社会にとっての意義というところを申し上げました。地域社会,国際社会,産業界等と書かせていただいておりますが,ここの外国人というところは,当然入学希望者に含まれるところもあろうかと思いますし,一方では国際社会というところで,大学の学生を募集したいと思っているところであるとか,そういうところも含めた形での書きぶりとしておるところであります。ただ,この書きぶりは関係性が分かりにくいというのはおっしゃるとおりだと思いますので,今後改善させていただこうと思います。
【鈴木部会長】    そのほか,いかがでしょうか。はい,どうぞ。
【濱名委員】    1-2の5ページ目なのですけれども,まず一番上の四角のところで,幾つか,三つのポリシーに基づく,多分CPに関わってくるところだろうと思うのですが,三つ目の点で,少人数のチームワーク,集団討論,反転授業等々の学修方法の充実,事前事後の学修課題の充実というのが挙がってくるのですが,これは何か少し唐突な感じがするのです。
  これまでの高大接続システム会議であるとか答申等々を見ると,こんなところで能動的学修か,アクティブ・ラーニングかというような形での範疇(はんちゅう)があったと思うのですけれども,それと必ずしも同じではないのですよね。アクティブ・ラーニングの構成要素はほとんど入っているのですけれども,だとするなら,これまでとの関係で言えば,能動的学修の手法として例を挙げているということであるならば,それを明確にした方がいいのではないかと。
  今,高等学校側は大騒ぎですよね。出版業者に聞くと,丸々県の教育委員会がアクティブ・ラーニングの某教科書を何千冊まとめてお買い上げになったとか,そんな話が出てきて,やっぱりここらについては,実は1種類の方法を使えばアクティブ・ラーニングになるのか,あるいはアクティブ・ラーニングというのが,組織的,集団的に,なおかつ複数の方法を組み合わせてやっていくのかということについては,大学関係者も含めて,きちんと丁寧に説明をしていかなければいけない。そうすると,こんな書き方では何を書いているのか,分かる人は分かるのだけれども,読み手として考えていったときには,少し丁寧さが要るのではないのかといったのが1点です。
  それともう一つ,二つ目の四角の中でも,アセスメントの話なのですが,学修成果の具体的な把握・評価方法で,アセスメント・テスト,学修行動調査等とありますが,これもこれまでの議論の中で言うと,アセスメント・テスト等々については,これは直接的な評価方法で,直接的な評価方法の場合は,定量化できるアセスメント・テストのようなものもあれば,ルーブリックのようにパフォーマンス評価を可視化する方法があると。それと間接的な方法として,学修行動調査なのです。ここらのものが,ただ列挙されて「等」とまとめられるよりは,そのあたりの考え方であるとか,それらのものが複数の方法を組み合わせてやっていくのだということがニュアンスとして伝わるような丁寧さを,それぞれお願いできないだろうかと思うのですが,いかがでしょうか。
【北岡大学振興課課長補佐】    御指摘を踏まえまして,次回には,更に詳細な文書を出させていただきますので,そのときにはきちんと趣旨が伝わるような形で記述したいと思います。
【濱名委員】    分かりました。
【鈴木部会長】    二宮委員,どうぞ。
【二宮委員】    ありがとうございます。今でもポリシーはあるわけですが,それを整合性,一体性を持ってと捉えたときに,124単位が,かつてのやり方ではくさび型の教養的教育というものがあって,高等教育を受けた豊かな市民としての資質というものを4年間掛けて求めていく。片方で,60単位とか50単位が専門基礎から始まっていく。学術会議では,その学問のところの基準を示しています。もう一方の教養的教育,高等教育が持っているもう一つの大きな目標については,各大学はもちろん考えているわけですけどね。
  さっきのポンチ絵の学位を授与する基準ということを考えたときに,専門の方の評価と,それから,教養的なシティズンシップの評価というものが,最終的には学長のところで学位を授与します。そうすると,学長のところで最終的な判断をするときに,そもそも学部がプログラムごとに考えるDPの中に,豊かな人間性とかのシティズンシップ的な要素は全学共通であってしかるべきなのか,あるいはそれこそがかつてのように,専門が定義する教養教育であるべきなのか,そこがはっきりしないので,DPは,大学全体はそういうもの,カバレッジはそういうところをカバーして,あと専門は専門の,学問にも続く専門性の学位授与基準というふうに分かれていく,いかないということは,やがて議論していただいて明確にする必要がある。そこが明確にならないと,アドミッション,学部全体はもちろんやりますけれども,大学全体でやりますが,学科と呼ばれるところで結構細かく,AO入試とか推薦入試とかを行っているわけですね。ところが,今の話だと学位が,例えば文学とか,あるいは経済学とかなっていますので,いろいろな学科があるにも関わらず,学部一つでDPがあって,であれば,CPもAPも。でも,それは実態とそぐわない。
  高校生が求めているのは,心理学科に入るにはどうしたらいいかということで,心理学科に入るには高等学校で何を勉強しておけばいいのかということを問われるので,AO入試ではもっと懇切丁寧に,こういうことを求めています,こういうことを測定しますということを多分行うわけですね。そういうところとのガイドラインが,余りにもガイドライン的過ぎて,結局用をなさないガイドラインになってしまったのでは混乱を招くだけになるのではないかということなので,もう少しその辺は,実態に即して丁寧に議論してみるということが大切じゃないかと思います。
【北岡大学振興課課長補佐】    御指摘を踏まえまして,具体のものをお出しするときに,また御意見をいただければと思います。
  1点,APに関しまして,資料1-1の2ページ目でもお示しいたしましたように,ここの部分に,ディプロマ・ポリシー,カリキュラム・ポリシー等,1本でつながるか,あるいはアドミッション・ポリシーは少し外れるのかというところはあろうかと思います。こちらは実際に,一つの学位プログラムに1個の対応した入試があるというよりは,大学として一つの形態で入試を行うというような形,入学者の選抜を行うという形もあろうかと思います。それは,まさに大学として,どの単位が適当かを御議論いただいた上で御検討いただくべき話なのかというところも考えるところでありますし,あるいは一つの学部の中で,このポリシーが分割されるということ,これは先ほど前田委員の御質問でもお答えしたように,あろうかとは思います。ただ,それはやはり大学の中で,要は単位というものが適当なのかが議論の第一にあって,その後に具体的に作っていただくということが必要なのかなと考えているところであります。
  教養と専門の在り方につきましては,まさにおっしゃるとおりでございますので,また具体の文書を出させていただくときに御意見いただければと思います。
【鈴木部会長】    篠田委員,どうぞ。
【篠田委員】    2点だけ御意見を申し上げたいと思いますけれども,少し違った見方なのかもしれませんが,こういう形でのガイドラインは,個別のやり方を一律に求めるというのではないというか,そこのところに配慮しなきゃいけないという点で言うと,以下のような点を例えば留意することが考えられるということで四角の中に例示をしているという書き方になっていますので,最終的な文はどうなるのかあれなんですが,こういう幅のある言い方は,私としては非常にいいのではないかなと思います。
  その点から見ますと,資料1-2の冒頭の書き出しで,ガイドラインの位置付けというところがあります。ここの位置付けのところに,資料1-1で示したカラーの図の一番上のタイトルですね,大学教育に関する内部質保証の取組は,大学内部の自律的な活動が原則だという大原則のところが書かれているんですけれども,このあたりを少し丁寧に書き込んでいただけると,よりガイドラインの位置付けがはっきりするし,この制定した精神というのも伝わるんじゃないかなと思いました。
  それから二つ目には,同じく資料1-2の4ページで,三つのポリシーの運用に当たり留意すべき事項ということで,冒頭に,1番で全学的な教学マネジメントの確立ということが提起をされておりまして,三つのポリシーを起点とするPDCAサイクルということで,ポリシー単位ごとにマネジメントを動かすということと合わせて,全学的な規模での教学マネジメントを確立することが必要だとなっておりまして,非常に重要な提起だと私は思うんです。つまり,実際にこの三つのポリシーを,成果を挙げて運用していくためには,この確立がなければいけないということなんですけれども,中身は具体的には書いていないし,余り具体的に書くべきではないとも思うんですが,やはり全学的なマネジメントという点で言うと,前回の質的転換答申のところで,かなり詳しく教育の質的な転換のために,今,学修時間ということを視点として,まずPでは体系的な教育課程,Dでは組織的な教育,Cでは学修成果,教育評価というような流れについて具体的に論じていて,それを進めるための学長,副学長のリーダーシップや組織の在り方について展開をしている。つまり,全学的な教学マネジメントについての一つのイメージを出していますので,具体的に書く必要はないと思うんですが,質的転換答申をちゃんと見てというか,ベースにしてということを,押さえてやるということを入れておけばイメージが湧くというか,大学に浸透させるときに役に立つのかなという印象を持ちました。
  以上です。
【鈴木部会長】    何かお答えすることはございますか。
【北岡大学振興課課長補佐】    御指摘を踏まえまして,次回資料で,また御議論いただければと思います。
【鈴木部会長】    美馬委員,どうぞ。
【美馬委員】    どうしても分かりにくいのが資料1-1と1-2の関係です。資料1-1の図の1ページ,2ページとも,例えば,いろいろと四角い枠囲みがあります。これは誰の視点で,主体が誰なのかということです。ここに書いてある,四角とか丸とか矢印とか色付けがありますが,これは全て意味のあるものですね。情報表現の話だと思いますが,なぜこういう色を使って,こういう形の箱にしているのか。
  ここに出てくる言葉,資料1-1の1ページ目,2ページ目と,それから,資料1-2で出てくる言葉と,レベルの統一とか見出しやタイトルをきちんと見ていくと,合っていて,これがこの絵を見れば大体の内容が分かるというようにならないと,それぞれの言っていることがばらばらのようで,タイトルからしても,結局この図で何を言いたいのかということが分かりません。ここで議論している我々には分かるかもしれないですが,今後この絵をもっていろいろなところへ説明に出ていかれると思うので,是非そこをもう一回整理していただければと思います。
  以上です。
【北岡大学振興課課長補佐】    御指摘を踏まえまして,次回整理させていただきます。
【鈴木部会長】    濱名委員,お願いします。
【濱名委員】    度々で申し訳ありません。
  資料1-2の1ページ目のところで,アセスメント・ポリシーのことを書いていただくのは大変有り難いのですが,この文書は非常に分かりにくいのですね。2行目ですが,その方針というのは,学位授与の方針に従ったプログラム全体の中で個々の授業科目や能力育成のどの部分を担うかを担当教諭が認識し,その次,他の授業科目と連携し関係し合いながら組織的に教育を展開すること,その次,また「その」が出てくるのですけれども,その成果をプログラム共通の考え方や尺度にのっとって評価し,と続くのですが,よく見ると,最初の「その」は多分学位授与方針を指すのですけれども,このアセスメント・ポリシーに関するプログラム共通の考え方,尺度にのっとって評価するのは何かというのが非常に不明確なのですね。普通の読み方をすれば,恐らく組織的に教育を展開しているに掛かるというふうに読むのだと思うのです。だけど,本当はアセスメントというのは,以前使われていたポンチ絵から言えば,学位授与の方針ができているかどうかが最も重要なポイントだと思うので,だから,ここをこのまま文書を長く続けていくよりは,ちゃんと文書を切っていかなきゃいけないし,結局一般の方々はアセスメント・ポリシーとは何なのか,いまいちはっきりしないままなのです。
  私は前回の意見を申し上げた段階で,とにかくアセスメント・ポリシーというのは,それぞれのポリシーが,定めた主体である各大学が目指しているとおりやれているかどうかということを評価して検証することが主たる役割であると,アセスメント・ポリシーというのは,その方針だと申し上げて,そのこと自体については特に御異論は出なかったと思うのですけれども,そうすると,ここの書きぶりもアセスメント・ポリシーという言葉が出てくるのが,1-2ではここ1か所なので,使い方であるとか意味を明確にした方がいいと思います。
  先ほど来の学位プログラムの話も同様なのです。残念ながら,学位プログラムの考え方も定着していません。それで方向性は二つあって,先ほど二宮委員が想定されていたのは,同じ,例えば文学部の中で複数の学科があって,全部学位,学士(文学)というふうな,どちらかというとトラッドなタイプの学位プログラムイメージのことを言われたのですけれども,昨今の届出改組が頻発している状態の中で言うと,同じ学位の中で違う学科を併設して,言ったら悪いですが,募集のことを考えて,似たようなカリキュラム内容で,似たような学位のものを,届出によって定員を分離する形でやっているものについて言うならば,実は考え方をもう一度問わなきゃいけない部分,つまり,学位プログラムの考え方に対して,大学としてのポリシーを明確にするというメッセージを明確に出さないと,相変わらず複数,二元論的な意識があるのですね。要するに,学部を中心として学位プログラムを考えている場合と,募集単位である学科を中心として,学位プログラムということを意識しないで学科を作っている場合とかがあるので,そのことについて,この機会に明確にしていく。つまり,ポリシーの単位が,大学としての責任を持って教育する単位であるということを,明確に意識してポリシーの作り方を考えなさいということを明確に伝える必要があるのではないかと思います。だとすると,少し丁寧な説明が要るのではないかと思いますが,いかがでしょうか。
【北岡大学振興課課長補佐】    まず1点目につきましては,質的転換答申の文言をそのまま引っ張ってきているところでございまして,実際の本文を作るときには誤解のないようにきちんと書かせていただこうと思います。2点目についても,きちんと本文の中で,そのような考え方,これは当然,また文書を御議論いただくことになると思いますが,我々としての考え方も可能な限りお示ししたいと思っております。
【鈴木部会長】    金子委員,どうぞ。
【金子委員】    学位と学部学科の関係は大問題で,まだここではほとんど議論をしていないので,これを直接入れるのは,まだ難しいんじゃないかと思います。
  ただ,私なりに,どこが分かりにくいのかだんだんと分かってきたんですけれども,やっぱり資料1-1なんですが,この三つのポリシーというところで,どうしても議論が進んでしまうので,全体の質的維持のために何が必要かという背景を少し忘れてしまわれているところがあって,PDCAと三つのポリシーがそのまま結び付くというふうにこれでは読めてしまうのですが,どうも私はそうではなくて,実は二重の問題だと思うんですね。
  ここで,特に2枚目に書いてあるのは,目指すべき学修成果目標,それから,CPはそれを実施する方法,その方法の一部として,学生の学修成果の評価の指針,それから学位,それがDPに結び付くということなんですが,これは言ってみれば,大学の教育方針の基本的な構造だと思うんです。これは,今まで余りきちんと書いていなかったけど,どこだってある程度は持っているはずの理念だと思うんです。これはこれで一つの塊で,一種の体系性を持たなきゃいけないという議論は,これでこれなんですが,PDCAで言われているのは,そこで想定されているような仕組みが働いているかどうかをチェックしなさいと,モニターしなさいということを言っているわけです。それは,このようなものを一応,これはこれで作るにしても,これが想定されているものが実際に働いているかどうかを,もっと客観的な,大学側の意図として何を配置しているかというだけではなくて,それが結果として,どのような結果を生んでいるのか,学生がどのようにそこで学修しているのか,あるいはどのようなことを学生が考えているのか,あるいは卒業後どうなったのか,そういうことをチェックする。それが,この仕組み自体,この三つのポリシー自体をチェックして改善することに結び付くと,そういう論理だと思うんです。だから,実は二重の論理が入っているので,2枚目だけを見てみますと,例えば客観的なデータでもって何が起こっていて,どこが悪いのかをチェックする。その部分が,ここには見えないんですね。二重であるということは,私は非常に重要だと思います。要するに,ポリシーという言葉が出てきたために,そもそも考えられていたPDCAが,大学の改善を考える上で重要だということが少しぼやけてしまったのではないかなと。その二重の構造になっているんだということを意識して書いていただくことは非常に必要だと思います。
  そういう意味で,アセスメントという言葉は大学の外からの評価にも使えますが,ここで出ているのは追跡をするためのアセスメントのところが非常に多いわけで,一般的には例えば大学全体のPDCAのことをしゃべるときには,エバリュエーションとか結果のモニタリングとかいう言葉を使うわけですね。そういう意味では,二つの段階を明らかに区別して議論していただきたいと思います。
  それで私自身は,このポリシーという,その間の整合性も重要ですけれども,現実に何が起こっているかということを客観的な指標を用いてチェックするといいますか,モニタリングするということも非常に重要であると思います。
  それから,二つあるとすれば,学校教育法に書き込むときもどこに関連して書き込むかという問題があって,目的と教育方法に関しての部分であれば,大学教育の目的というところに関連したものとして捉えられますし,そうでなくて,客観的にデータでもって,そういった仕組みが機能しているかどうかをチェックするといいますか,それから,客観的な成果をモニタリングするというのであれば,自己評価とか認証評価とか,そういうところに関連して盛り込むべきではないかと思います。ですから,学校教育法に関連して書き込むにしても,幾つか,その地点によって掛かるところは違ってくると。私は,それぞれ別の項目にしろとは必ずしも言いませんが,そこら辺は意識した方がいいのではないかと思います。
  以上です。
【北岡大学振興課課長補佐】    御指摘を踏まえまして,少し整理させていただきます。
【鈴木部会長】    三つのポリシーに関しまして,具体的な姿,あるいはイメージが,だんだんと出てまいりまして,それだけに委員の先生方の御意見も,かなり具体的な,あるいは抽象的なものがあって,事務局の方も,それをもう一回考えることが必要かなという感想を持っておりますが,まだ何かございましたら,お願いいたします。
  二宮委員,どうぞ。
【二宮委員】    簡単に。先ほどのこの図ですが,資料1-2の2枚目の方になるんですが,これを見ながら今の話を聞いていて,各大学はDP,学位を定義すると,基準を定めるということなんですが,左側の目指すべき学修成果目標というのは,これも汎用的な能力などに代表されるように,大学教育全体を通じて,是非こういう力を本学は付けたいと言っているわけですね。
  それから他方で,先ほどの政治学とか数理学などがありましたけれども,あれは学問の,経済学書等と中身は同じ,基本的にはコアカリキュラム論でいけば,あるいは学位の認定からいけば,同じようなものなんですね。ところが,左の方の身に付けるべき資質,能力というのは時代の変化とともに,あるいは建学の精神とともに,非常に個性のある,特色あるもの。だから,資質,能力ということと学位が証明する共通性といいますか,その中にできる能力が入っているかどうかは別ですけれども,またそこに政治学がコアというものを明確にしていますので,それがきちんと身に付いた人が政治学だということを言っているのであって,各大学がディファインしていいものと,ディファインしてはいけないものというか,設置基準もありますので,審査を受けていますので,その辺をもう少し上手に使い分けていけば,大学が是非明らかにして,責任を持ってもらいたいという部分はどこの部分なのかということについて,冬休みの宿題になりそうですけど,よろしくお願いします。
【鈴木部会長】    宿題,よろしゅうございますか。
【北岡大学振興課課長補佐】    承知しました。
【鈴木部会長】    前田委員,どうぞ。
【前田委員】    今,二宮委員がおっしゃったこととほとんど重なると思うんですけれども,大学によって,大学の全体のポリシーを立てているところがあるんです。そういうところは,学部なり学科のポリシーにいけばいくほど,専門のことしか書かなくなっていきます。こういう場合は,学科なり,学部なりに,ポリシーの点検をさせると,例えば,大学全体のところで書いてある教養を身に付けなければいけないということが抜ける可能性があるんですね。つまり,学位とプログラムが合っているかというときに,抜けていく可能性があるんです。そのところは,どこかできちんと書いておくことが必要かなという気がいたしました。
【鈴木部会長】    金子委員,どうぞ。
【金子委員】    これに関しては,日本学術会議が作った参照基準にどの程度拘束されるかが問題で,この参照基準というのは,御存じのようにイギリスでこのようなものを作りまして,その発想が日本学術会議に依頼したときの一つの背景だったと思いますが,イギリスは三十幾つか,ほとんど専門の領域が決まっていて,それから余り逸脱していないんです。そのそれぞれのところで参照基準を作るのと同時に,教え方の講習をするということが,一時,政策的にやられたので,比較的対象は安定しているといいますか,そういった意味で参照基準を作っているのですが,日本の場合は,今おっしゃったように,大学全体の目的と,それから学部での,あるいは学科での教育目的の二重三重の構造がかなり明確に分かれていて,しかも同じ学部でも,例えば教養学部は,専門分野は何をやるかということも非常に問題なわけです。
  それで,その際にどうやって書くのかということですが,私ははっきり言って,ガイドラインですが一律的なモデルを作るのは非常に難しいと思っています。大学全体でそういったものを作れるところもあるでしょうが,例えば非常に大きな総合大学として,何を参照基準としているかというと,学校教育法のどこかに書いてあったみたいに,どうしても抽象的な表現にとどまらざるを得ないですが,ですから,私は構成要件として,例えばその理念,何か身に付ける方法,そのための方法というものについて,少なくともここについては触れる。それから,あとは日本n学術会議の参照基準のようなものがあるので,これはあくまでも参考にとどめるという言い方にするべきだと思います。ここを余り細かく,ガイドラインに沿ってでないと書けないという状況にするのは,技術的に非常に難しいですし,私は,それは大学の御認識に任せるべきところだと思います。
【鈴木部会長】    ありがとうございます。美馬委員,どうぞ。
【美馬委員】    今,議論で出てきたような,どの学問領域にも共通するものと,それぞれのものというのがあると思うんですね。私は,この日本学術会議の参照基準の作成では情報学,まだ情報学は最終的な答申が出ていませんが,議論をしている中で,コンテンツナレッジ,あるいはコンテンツスキルといって,その学問領域に特定のものと,メタナレッジ,メタスキルというのをわけて出てきています。それは多分,参照基準が全ての分野が出てきたところで結構共通しているものがあると。そういうものと,今回のCPの中,あるいはDPの中で共通しているものがあると思うので,そこはきちんと分けて,両方あるということを書く必要があると思います。
  実際にPDCAを回していく中では,CPのところだと思うのです。つまりAPとDPというのはそれほどに頻繁に変えるものではない。社会の変化とか学生の質がいろいろ変わってきたときにこそ教育の方法を変えつつ,内容も変化していくというところでいうと,さっきの一番初めのときに,濱名委員がおっしゃった資料1-2の4ページの四角囲いのカリキュラムを構成する科目の目標,内容,ここに教育方法というのがしっかり入って,その方法と内容を見直していくということではないかと思うので,是非そこは強調して入れていただければと思います。
  以上です。
【鈴木部会長】    どうぞ,長谷山委員。
【長谷山委員】    前回の繰り返しになる部分もありますので申し訳ないんですけれども,この資料1-2,三つのポリシーの策定と運用に関わるガイドラインを今後決めていくということなのですが,今,骨子の素案で拝見していますけれども,例えば,これがそのまま問題点等指摘された部分については修正が行われて,そして,文言として定着していくということなのか,そうではなくて,審議の必要上こういう形の文書になっているけれども,ガイドラインとしては,それらしい文書というものが別途に作られるのか,その辺を伺いたいんですね。と申しますのは,やはり資料1-3の最後の方で,ガイドラインの策定主体についてということがあって,こちらについては,前回いろいろお願いしましたこと等が,私から見れば反映されたように見えますので大変有り難いんですけれども,やはりここにあるように,各大学の建学の精神や強み・特色を生かしながら自主的に行う。それから,文部科学省,行政機関が決めるのではなくて,そういう現場を知っている者がガイドラインについて決め,これを規則化していくんだと,この2点はとても有り難いし,こうすべきだという原則だと思います。
  そのような目で,もう一度本日の1-2のガイドラインを見ると,その原則とどうも合ってないんじゃないかという気がするんですね。つまり,大学の教育改革で一番重要なのは,大学の機能分化,多様性,教育の内容も多様性,育成しようとする人材も多様性,これを目指すということで,そして,大学の主体的,自律的な改革ということですから,キーワードはやはり多様性と自律性ということでしたね。この二つがまず担保されている必要があると思います。
  それからもう一つ,このガイドラインというのは,やはり普通は理念を定め,その理念にのっとった原則的な内容を定め,それを実行するための方法を定めると,この大枠を定めるということですね。そうしますと,それにのっとってどう行われたかという評価の問題は全く別の話なので,先ほど金子委員が指摘されましたけれども,この評価の問題というのは少し次元が違うんじゃないかと思います。PDCAもむしろ評価というときに入ってくることですので,私もそれは次元の違う問題だと思います。
  最後にやはり,今のままの骨子の素案ということが,このままガイドラインになっていくとすると,この委員会で積み上げてきた原理,原則的な部分と少しそぐわないような気がしますので,こうした議論を踏まえて,文言については,次回以降,恐らくガイドラインとしての原案をお見せいただけると思いますから,そこでまた白紙で拝見して,いろいろ意見を申し上げたいと思います。ですから,その機会があるということを担保していただきたいのです。これが少し修正されて,そのままガイドラインになっていくというのは少し避けていただきたいというのが希望です。
【鈴木部会長】    いかがでしょうか。
  はい,どうぞ。
【北岡大学振興課課長補佐】    本日お示しいたしましたのは,まさに骨子ということで,ガイドラインで考えられる大枠の部分をお示しするものですので,本日頂いた御意見を踏まえて,実際ガイドラインという文章,別の形でお示しをして,それをまた御審議いただくというプロセスは踏ませていただこうと思っております。
【長谷山委員】    ありがとうございます。
【鈴木部会長】    それでは,本日頂きました御意見等を踏まえて,もちろん本日が最終ということではなくて,引き続き議論をしてまいりたいと思いますので,御発言あるいはコメント等をお願いいたします。
  それでは,三つのポリシーに関しての議論は本日は以上とさせていただきます。


(2)認証評価制度の改善について,事務局から資料2-1~2-5に基づき説明があり,その後意見交換が行われた。

【鈴木部会長】    続きまして,認証評価制度の改善について審議を進めてまいります。本件につきましては,前回の意見交換の際に認証評価制度と他の質保証制度との関係性と問題点について整理をしてほしいといったような御意見も頂いております。つきましては,事務局からの説明の中で,その点についても併せて説明いただきながら,本日は少し具体的な改善の方向性について審議を進めていきたいと思います。
  それでは,事務局から説明をお願いいたします。
【伊藤高等教育政策室長】    それでは,お手元の資料2-1に基づきまして御説明申し上げたいと思います。
  認証評価制度に関する改善すべき事項について(案)ということで,まず前回個別の論点のみならず今回の認証評価制度改善の全体の基本的狙い,基本的な考え方を整理すべきという御意見を頂きました。そのため,これまでの御意見を踏まえまして,まずこの資料2-1の1ページ目に基本的な考え方を整理しております。
  基本的な考え方として,一つ目の丸に関しましては,これまでの経緯を整理しております。16年度から始まりました認証評価制度によって,現在第2サイクルまで入っているということで,評価制度が根付きつつあること,また,このような取組,特に第2サイクルから認証評価制度におきましても,内部質保証というところは各評価団体で,視点としてお取り組みいただいています。そういったものの結果も含めて,各大学におきましては,自主的,自律的なPDCAサイクル(内部質保証)の確立・改善に取り組み始めているということ,まずこれを経緯として整理させていただいております。
  そのような中で,現下の教育課題ということで,二つ目の丸を整理させていただいています。高大接続改革におきまして,従前から指摘されている学修成果に係る評価の充実や,また,ただいま御議論いただきました三つのポリシーに基づく大学教育の質的転換が求められているということ,こうした状況を踏まえまして,認証評価制度におきましても,三つのポリシーを取り入れた各大学の内部質保証機能の向上,そして,学習成果の評価を重視した評価への発展・移行を図っていくことが必要であると。今回の認証評価制度改革の基本的な方向性をここで書かせていただいております。
  そして,それに併せてということで,四つ目の丸にさせていただいておりますが,内部質保証が有効に機能していると判断される大学に関しましては,更に評価の一層の効率化を進めていく一方,課題が見られる大学におきましては,大学の自主的,自律的な改革を基本としてそれを後押しするという認証評価制度の基本的な性格は維持した上で,さらなる質の維持・向上を図るという観点から,評価機関におけるフォローアップ体制の整備・充実を推進するということを改革の柱として書かせていただいております。
  その他改善事項といたしまして,最後の丸でございますが,これまでの実践と諸外国における制度の動向も踏まえまして,大学の特色の積極的評価や,ステークホルダーをはじめとした社会との関係強化,評価の効率化,また,他の質保証制度との接続,こちらについても改善を図るといった点を全体としての基本的な考え方ということで整理させていただいております。
  次に2ページ目をごらんいただければと思います。具体的な改善事項ということで,二つ大きく柱を立てさせていただいております。一つは,「大学教育の質的転換や全学的な改革サイクルの確立を推進するための評価の在り方」ということで,記載の方向性の下,これまで御審議いただいておりました各改善事項を整理させていただいております。まず,改善事項の最初といたしまして,「(大学評価基準の項目に係る改善)」につきましては,大きく二つ柱を立てさせていただいております。
  一つは,各認証評価機関共通でお取り組みいただく大学評価基準に共通に定めるべき項目の追加ということで,これまでも御審議いただいておりますような観点,三つ整理しております。
  一つは,内部質保証の取組について,これを共通に定めるべき項目の追加ということで考えております。
  2点目として,三つのポリシーに基づく大学の取組について,それぞれ評価する観点に関しましては,これまでの御意見を踏まえて例示で括弧の中にそれぞれ記載させていただいております。
  3点目といたしまして,設置計画履行状況等調査におけます指摘事項を認証評価においても引き継いで評価をしていくこと,この3点につきまして,共通に実施していくべき項目としての追加案ということで御提議させていただきたいと思います。
  また,二つ目の柱,(2)でございます。重点評価項目の設定ということで,評価におきまして,これまでも大学における自らの自律的,自己改善であります内部質保証が原則であると,御審議の中での御意見が多数ございました。そのような何を重点的に進めていくのかというところを評価においても明確にしていくという観点から,例えば内部質保証の機能等重視すべき事項を法令上新たに明確に設定するということも案として整理させていただいております。
  これによりまして,例えば,評価全体の総合評定のときに,特に重視すべき点が明確になるということや,また,評価のめり張りに資すると考えております。
  次に,評価方法の改善についてでございますが,1番目のぽつにございますとおり,これまでも客観的なデータ・指標等も活用した多面的な評価や,また,重点評価項目における段階別評価の実施というよりきめ細やかなPDCAサイクルを促す評価の推進という御意見も頂いておりますので,このような形で評価方法の改善の案ということで御提議させていただきます。
  二つ目の丸に関しましては,今申し上げましたとおり,重点評価項目ということで,内部質保証の機能を位置付ける場合,前回評価で内部質保証の機能に関する評価が高い場合に関しましては,評価のめり張り,効率化といった観点から次期の評価の弾力化,例えば訪問調査や評価項目の簡素化,このようなものも含みながら検討していくということを改善案として書かせていただいております。
  また,3ページ目になりますが,2ぽつ目にございますとおり,法令遵守事項に関します評価方法について,これまでもできるだけ簡便な方法で評価方法においてはめり張りを付けていくという御意見も頂いておりますので,その旨記載させていただいているところでございます。
  また,評価結果の活用に関してでございますが,2点。一つは,フォローアップ体制の確立というところでございます。こちらに関しましては,認証評価制度の基本的な考え方を踏襲しまして,大学の求めに応じて,評価機関側におきますフォローアップ体制をしっかり法令上位置付けていくということで,フォローアップ体制の確立という記載にさせていただいております。
  また,もう一つ,活用といった観点でございますが,評価結果の資源配分への活用というのも,これまでこの部会でも賛否御意見を頂いてきました。
  今回の案に関しましては,基盤的経費についての活用に関しましては慎重な御意見等も頂いてきたところでございます。そういった観点から,より大学の優れた取組を重点的に支援するような補助金におきます申請要件という部分に関しましては,今後,認証評価において「不適合」の判定を受けていないことを設定するというように,こういった取扱いについての活用を広げていくということを案として記載させていただいております。
  引き続き,大きな柱,2ぽつ目です。認証評価制度の運用の改善・充実についてでございます。こちらに関しましては,これまでも御審議の中で,例えば認証評価機関の評価の質の向上ということで,評価機関側も自己点検を図っていくというようなこと,また,有識者による定期的な評価の在り方,確認が必要ではないかという御意見を頂いております。今回,そのような御意見を踏まえまして,このような記載にさせていただいております。
  また,評価における社会との関係の強化という部分でございますが,ステークホルダーを評価へ参画させる仕組みを義務化していくと。評価における実施の仕方として義務化していくということを位置付けさせていただいておりますが,手法に関しましては,括弧,例というような形で,いろいろやり方等あるかと思います。これまでの御意見ということを例示で整理させていただいているところでございます。具体的にどのような形で実施すべきかという点につきましては,更に御意見を頂戴できればと思います。
  4ページ目,引き続きのところとしまして,社会との関係の強化という部分でございますが,上から2ぽつ目のところでございます。各機関における評価結果の特に優れた取組を分かりやすく発信していくこと。修了者の進路把握・公表状況を積極的に評価していくということもこれまで御意見を頂いておりますので,ここに記載をさせていただいているところでございます。
  評価人材の育成に関しましては,これまでも評価機関側の自主的な取組として,各種セミナー等も実施していただいているところでございますが,この部会におきましても,体系的な人材育成の場の確立ということと,そして,修了認定の仕方というところもより人材育成の観点で工夫していくべきではないかという御意見も頂いておりますので,その旨,例示と合わせて記載させていただいているところでございます。
  また,積極的に評価人材について育成していくという観点から,人事交流や業績評価における積極的な評価の推奨ということも御意見で頂いておりますので,その旨記載をさせていただいているところでございます。
  評価の効率化の部分でございます。1点目は先ほどの再掲でございますけれども,その他評価の効率化の取組といたしまして,国立大学法人評価等他の評価結果を取り入れた評価を一層促進するということ,そして,四つ目のぽつになりますが,大学ポートレートの取扱いということで,これはある意味公表情報の積極的活用という文脈で御審議いただいておりますけれども,評価にすぐに活用するというよりも,大学ポートレートそのものにつきましては,まずは情報項目の充実,機能の拡充が必要というのがこちらの部会でも多く意見を頂いたところでございますので,その旨を記載させていただいているところでございます。
  最後に3ぽつ,他の質保証制度との連携等についてでございます。こちらは,前回他の質保証制度との関係,そして課題についてより抜き出した形での整理が必要という御意見を頂きました。資料といたしましては,資料2-2と資料2-3ということで御用意させていただきましたので,併せてこの資料もごらんいただきながら説明を聞いていただければと思います。
  資料2-2は文章で,認証評価制度と設置後の各種質保証制度との関係を整理したものでございます。
  資料2-3はそれを図示,イメージ図で整理したものでございますので,この資料2-3に基づきまして御説明申し上げたいと思います。
  まず,大学の設置後の質保証についての原則でございますが,大学自身におけます質保証の取組を基本とするということで,左端上にございます各大学における内部質保証を基本とするということで赤で記載をさせていただいております。そして,認証評価制度については青で記載させていただいておりますが,設置後の質保証,その他の質保証に関しましては,緑で記載をさせていただいているところでございます。
  認証評価制度と,そして,それぞれの関係で今回改善を図るべきと考えられますところを,ゴシック調の文字に対して黄色で縁取りした部分を改善点として記載させていただいております。認証評価制度と,まず内部質保証,この赤いところとの関係でございますが,先ほど論点資料で御説明申し上げましたとおり,今回各大学の内部質保証が確立しているというところを重視して,その取組を一層促進していく旨で評価制度を改善していくということで共通の大学評価項目において明確に位置付けていくという方針で,この内部質保証の一層の確立に向けて評価制度を改善していくというのが論点の一つでございます。
  また,緑の右上端でございますが,この認証評価と,国立大学法人評価との相互の評価において,評価資料,評価結果について,活用できるものに関しましては積極的に活用していくと,評価の効率化で改善を図っていくということで記載させていただいております。
  また,左端下の部分の大学設置・学校法人審議会の中の設置計画履行状況等調査との関係でございますが,設置計画履行状況等調査で評価の結果が付された意見等の対応状況の継続的な改善という部分に関しましては,認証評価で評価項目に位置付けて継続的に確認,評価していただくということで,改善点として今回御提案し,黄色のような形で記載させていただいているところでございます。
  このように,他の質保証制度との関係について併せて資料でも御用意いたしました。御確認いただければと思います。
  最後に,資料2-1の4ページ目の3ぽつ,最後のぽつに戻っていただければと思います。専門職大学院を設置する大学に関する機関別評価と分野別評価の合理化の検討という項目がございます。こちらに関しましては,現在専門職大学院のみを設置する大学に関しましては,各々機関別評価と分野別評価両方受審していただくという形に制度上なっております。
  この点に関しましては,今後大学院部会の下に,専門職大学院ワーキングが設置されますので,この機関別評価と分野別評価の在り方というのは,この評価制度,第2サイクルを回しまして,合理化の余地もあるのではないかという御指摘もございますので,こちらの専門職大学院ワーキングでしっかり御議論いただくという予定でございます。ですので,今回の認証評価制度の改善の事項としては,検討事項ということで,現時点の課題として記載をさせていただいているところでございます。
  以上でございます。
  あわせて,前回,引き続きの質保証の全体像,イメージ図は資料2-4,そして,関係の制度の概要及びデータに関しましては資料2-5ということで御用意しておりますので本日の御審議の参照にしていただければと存じます。
  どうぞよろしくお願いします。
【鈴木部会長】    ありがとうございます。それでは,最初に説明のありました資料2-1の論点も複数ございますので,ここでは論点ごとに御意見,あるいは御質問いただければと思います。
  まず2-1の1ページ目に「基本的な考え方」,それから,2ページ目に「具体的な改善事項」がございまして,その中の1ぽつ,「大学教育の質的転換や全学的な改革サイクルの確立を推進するための評価の在り方について」ということがございます。これについて御発言のある方は札を立てていただいて,御発言をお願いいたします。
  篠田委員,どうぞ。
【篠田委員】    まず,基本的な考え方の丸の三つ目のところなんですけれども,これは中身というよりも表現の問題なんですけれども,以前もたしか,評価の総括か何かの文書で同じような表現が出ていて,私,大学教育部会の最初のあたりの会議のときに発言させていただいた同じ趣旨なんですけれども,認証評価機関は,今までは法令適合と最低限の質の確認をしていて,それでは駄目なので質保証の向上とか学習,成果の評価を向上した評価への発展とか移行が必要だという表現だと,今までやっていないのでやれというようにとれるんですけれども,これは2ページ目の冒頭に明確に書いてあるように,「各認証評価機関では第2サイクルに当たり,評価項目に内部質保証や学修成果といった観点を導入しているところであるが」とありますので,評価機関に関係している立場から申し上げますと,やっていないというよりも,もう少し改善し,充実していくという方が正確なのではないかなと思います。
  それから,丸二つ目のところのフォローアップの体制なんですけれども,これもただ評価をするだけではなくて,その評価結果に基づいて,きちんと改善を促していくというところまで評価機関が関与するということについては非常に大切なところだと思いますけれども,評価機関の仕事としては非常に大きな変化がある,評価で終わりのところから評価の結果,改善のところまでフォローアップするということになると,人の面でもお金の面でも,どのようにしていくのかということも,十分よく検討していかなきゃいけないなと思っております。その点で言うと,もちろん評価を受けた当該大学に費用負担を求めるということもあるんですけれども,当然評価結果について前向きなところもあれば,問題点のあるところは必ずしも評価結果について十分納得がされないというか,問題点を前向きに改善していかなければいけないと自覚されないところも当然あると思いますので,それでも私は改善事項についてはきちんと強く改善を求めていくということが必要だと思いますので,そういうような事情も考えると,どのように人の面とかお金の面を対応していくのかというのは少し実効的に取り組んでいく上では重要なところなのかなと思います。
  それから2ページ目の1のところなんですけれども,内部質保証と三つのポリシーに基づくということで,大学評価基準の項目に関わる改善ということで挙げられておりますけれども,これと合わせて,この中に入っているということで言えば入っているのかもしれませんけれども,先ほどの第1の議題のところで挙げた三つのポリシーに基づく教学改善ということになると,一番真ん中に,三つのポリシーに基づく全学的な教学マネジメントの確立ということが位置付けられていて,内部質保証にしろ,三つのポリシーにしろ,ここのところが実際に確立していくということがなければ実効性がないので,そのあたりのところも全学的な教学マネジメントの確立だとか,PDCAサイクルの実質化だとかいうようなことについては,柱として位置付けた方がむしろ適切なのではないかなと,このような御意見です。
  それから,同じく項目で,3ぽつ目の設置計画履行状況等調査における指摘事項を認証評価においても引き継いで評価を実施するとなっておりますけれども,先ほどの御説明でも連携が不十分だという御指摘があって,その点は確かにそういうことがあるし,設置認可時点で問題のあった点について認証評価機関が引き継いでいくというのは,私は非常に重要なところではないかと思います。ただ,引き継いでいくといっても,指摘をしたのは別の機関で,連携をするというのは独立した機関同士の話なので,自動的に引き継いでいくというような表現がふさわしいのかどうなのかということについては,もう少し検討していただいた方がいいんじゃないかなと感じました。例えば,認証評価においてもそういうことを踏まえて評価をしていくという表現ならばいいと思うんですけれども,自らが決定したことではない指摘事項を自動的に自分たちの評価の機軸として引き継いでいくということになると,どこまで責任を持つのかという問題があります。やはり指摘をしたところが最後まで責任を持つというのが基本で,それを認証評価機関は当然流用をしながら評価をしていくというような関係なのではないか,そんな印象を持ちました。
  以上です。
【伊藤高等教育政策室長】    例えば,既に第2サイクルにおきまして,各評価機関の努力ということで内部質保証であり,又は学修成果の評価に関しまして実施されているという部分が,冒頭の基本的な考え方のところに十分記載されていないなど,表現ぶりに関しましては次回の論点整理のときにはしっかり書かせていただきたいと思います。
  その他の項目につきましては,また御審議を踏まえて,次回以降に反映させていただきたいと思います。
【鈴木部会長】    ありがとうございます。小林委員,お願いします。
【小林委員】    今の篠田委員でほとんど同じことを指摘されているので,簡単に申し上げますが,一方で,ペナルティーというか,そういうものがないということは現在の大きな問題ですので,それをどうするかということで出てきたと思うんですけれども,例えば改善状況について毎年報告させて,その改善について公表するという仕組みを作るということも一つでしょう。しかし,篠田委員が御指摘のように,それは負担を増やすわけですから,片方で簡素化も必要だと。この両方のバランスが必要だということが第1点です。
  もう一点は,これももう既に御指摘されたんですけれども,後で申し上げようと思ったんですけれども,今出たので,資料2-3の矢印のことなんです。これは非常によく整理していただいたと思うんですけれども,これが組織レベルの話なのか,連携ということで言っているのか,それとももう少し組織レベルで,例えば協議会のようなものを作るような,そこまで行くのか,それとも単なる情報提供で,こういうことを言われましたよと,あとは考えてくださいとなるのかというのは全然違う話なので,そこは今後,もう少し検討をしていく必要があるのではないかと思います。
  ただ,一つ,ACとの関係だけ申し上げますと,ACは完成年度までしかありませんので,そこから先ができないというのが非常に大きな制約ですので,それを認証評価機関に引き継いでもらうというのは一つの考え方だろうと思います。
  以上です。
【濱名委員】    関連して,よろしいでしょうか。
【鈴木部会長】    前田委員の後に濱名委員,お願いします。前田委員,どうぞ。
【前田委員】    申し上げたいことは全く同じ箇所なんですけれども,考え方としては,例えば今の評価機関におけるフォローアップのこととACのことはやっていかなければいけないだろうと思います。ただ,フォローアップに関してなんですが,例えば四年制大学でしたら大学は三つの評価機関のどこを受けてもいいわけで,次どこを受けるか分からないのにフォローアップをしなければいけないというのは,本当はどうなのかなという気はします。現在でもフォローアップを重要と考えてやっている認証評価機関もありますが,制度としてフォローアップをせよという制度はどう考えればいいのかということについて整理が付いていません。評価機関というのはフォローアップもするものなんだとすればいいのかもしれませんが,それもどうかと思っています。
  履行状況の件に関しましては,認証評価機関が無視していいというわけにはいかないと思うんですね。外部から何か言われたことに関して改善しているか改善していないかというのは,当然評価の対象に入ってくる事項ではないかなと。ただし,結論が同じかどうかは分からない。それは大したことではないとして無視するかもしれません。
  以上です。
【伊藤高等教育政策室長】    ありがとうございます。まず,1点目のフォローアップの部分についてでございますが,現時点での案の書き方でございますけれども,原則は大学の求めに応じてフォローアップができるように,そのフォローアップ体制を整備することというような案の記載にさせていただいております。これは現状,各評価機関で既に一部お取り組みいただいているものについて,それをある意味,発展,充実させていくという観点での記載でございますけれども,評価機関に関しましては,大学が評価機関を自主的に選択ができるということは原則としつつも,評価後の7年間の取組の中で,大学の自主的な改善,充実をどう後押ししていくのかという部分につきまして,評価をした評価団体がその7年間の間,フォローアップで後押しをしていくという取組を今,一部機関でしていただいていることを更に充実していただくために,こういう記載の仕方にさせていただいているところでございます。
  また,設置計画履行状況等調査の部分についての書きぶり,位置付けにつきましては,先ほどの小林委員の御指摘と併せて回答させていただきたいと思いますけれども,この矢印の仕方のうち,内部質保証と履行状況調査の部分に関しましては,自主的な連携というよりも,各認証評価機関で確実に対応いただくため,共通評価項目と位置付けていくという御提案にさせていただいているところでございます。ただ,評価・評定の付け方は,おっしゃるとおり,評価機関が最終的に御判断される部分だと思っております。
【鈴木部会長】    濱名委員,それから金子委員,お願いします。
【濱名委員】    さっきACの話が出たときに,完成年度までと小林委員が言われたのですけれども,実際は完成年度で機械的に離していないのですね。AC審査機関を延長し続けているというケースがあるのですけれども,現状としては,延長し続けている対象が認証評価を先に得ているというのが問題なのです。つまり,完成年度に達していないのに,認証評価は適合判定を出してしまったケースがあるわけですね。
  そこらのところを考えていったときの関係は,要するに,内部質保証と国の評価と第三者評価の関係をどうするのかということについての書きぶりは大変難しいところだと思うのです。ポンチ絵はかなり工夫をしていただいたのですけれども,そこで少し確認をしておきたいのは,2-3の中で,オレンジ色が濃いのと色が薄いのは何か意味があるのですかというのが一つ。
  2-1の4ページ目のところで,他の質保証制度との連携等についてというところで,これは官僚の書き分けがきっとあるのだろうなと思いながら見ているのですが,3の他の質保証制度との連携等について,設置計画履行状況等調査における指摘事項を認証評価においても引き継いで評価を実施と言い切っていらっしゃるので,これは要するに,ある種の義務付けとか,そういうイメージで書いていらっしゃるのかな。その場合,先ほど言ったみたいに,設置計画履行状況等調査の重たい指摘については,それが問題解決しているかどうかということを評価項目に加えると。つまり,それがまさに認証評価を得るための条件という位置付けに近い,そういう扱いを想定してこの書き方をされているのかということが一つです。
  それに対して,二つ目の国立大学法人評価等の他の評価結果を取り入れた評価を促進。通常,促進という話になると,義務付けではなくて推奨しているという言い方なので,書きぶりに大分開きがあって,三つ目については,これは先ほど口頭でも言われていたのですけれども,検討ですから,これはまだ何もしないかもしれないという力の入れぐあいとか,本来,そこらの書きぶりには,かなり行政的なさじ加減の意図を含めて書いていらっしゃるのかということについて確認させていただきたいのですが。
【伊藤高等教育政策室長】    最初に御指摘いただきました資料2-3の矢印の色付けの違いについての部分から御説明申し上げたいと思います。御指摘のとおり,意図があって色分けをしております。濃いオレンジに関しましては,今回,先ほどから申し上げています大学評価基準に共通の項目として制度上位置付けるという制度的担保をする観点で,矢印を濃くという形でさせていただいております。それが一義的な改善の部分です。
  また,それに準じて,より評価の中でも活用していくというような改善が併せて行われる部分に関してもオレンジの色を濃くしておりまして,それは国立大学法人評価と認証評価との関係の部分,ここは効率化を推奨していく部分でございますけれども,改善を図っていく,推奨していくのでオレンジにさせていただいています。
  そのほか,薄いオレンジの部分に関しましては,実は現在におきましても実施している取組について現状を書くにとどまっておりますのを,薄いオレンジの矢印という形の記載にさせていただいているところでございます。
  そして,2点目の御指摘の資料2-1の部分,今の説明で重なる部分もございますけれども,4ページ目の3ぽつのところ,三つのぽつの違いというところに関しまして,最初の1ぽつ目,設置履行状況等調査における指摘事項という部分に関しましては,大学評価基準の共通項目ということで位置付けて,どのような指摘を受けて,その後改善したかというのを評価機関で評価していただくということを御提案させていただくので,評価の実施を案とさせていただいております。
  次に,2ぽつ目の他の評価制度の評価の活用という部分に関しましては,評価機関によって,また,評価制度によって,もともとの制度の成り立ちであるとか評価基準は多様であります。ですので,各評価機関が自身の大学評価基準と照らして同様の観点で見られる評価基準でもって評価しているということが確認できる場合は,資料及び結果を積極的に活用していただくという選択が,まずあるべきではないかということでありまして,ここの部分に関しては,そのような評価の取り入れを促進していくということで書きぶりをとどめさせていただいております。
  3番目のぽつに関しましては,先ほど御指摘いただきましたとおり,今後検討という部分でございますので,そのような記述にとどまらせていただいております。
  以上です。
【濱名委員】    ということは,一番上は,要するに改善できているかどうかの検証を義務付ける,それに近い形ですよね。
【伊藤高等教育政策室長】    はい,そうです。各評価機関に評価をしていただくということを御提案させていただきます。ただ,1ぽつの括弧の中に「その際」ということで,またこれは御審議いただきたいと思っておりますが,設置計画履行状況等調査におきます指摘事項は様々でございまして,その他意見のレベルから,改善を至急するべきこと,早急に是正をすべき是正意見,そして警告というように様々ございます。ですので,どの意見,どのレベル以上を引き継いでいくかというのは,また御審議を踏まえて方針を出していただければと思っております。
  以上です。
【鈴木部会長】    金子委員,どうぞ。
【金子委員】    私は,認証評価制度それ自体が第3期に向かってどこが一番弱いのか,どこを強化すべきなのかということが一番重要ではないかと思うんですが,その点から考えてみますと,理念等々はあるとしても,大学が実際にどのようなプロセス,例えば授業を出して,どのように学生が学修していて,その結果,どのような成果が上がっているのかという点を客観的に把握するプロセスが,今の認証評価制度では一番弱いのではないかと思います。
  その点から考えてみますと,ここに書いてあることは余りその点に触れていなくて,DP,CP,APの三つのポリシーに基づく転換が求められるということですけれども,さっき申し上げたように,ポリシーはポリシーですから,中でなるべく明文化して論理的な整合性があるということは重要ですけれども,それが実際のカリキュラムの配置,あるいは学生の学修行動,さらに,学修の成果に結び付いているのかということが十分に把握されなければ,質的な改善に結び付いた評価はできない。その部分は,これまでの評価においては非常に不十分だったと思います。今までの認証評価機関の評価基準を見ても,大体,設置基準に沿って書いてあって,具体的にどのようにして,どういう点を見れば具体的な質の把握ができるのかというところに対するアプローチが非常に少ないと私は思います。
  そこをどう考えていくのかというのは,今度の改善に関しては一番ポイントになる点で,今いろいろとお話しになっていたことは,それはそれで重要だろうと思いますけれども,その点がほとんど書かれていないのは私は非常に残念だと思います。唯一書かれているのは,4ページの下の方に大学ポートレートの情報項目の充実及び機能の拡充を要望すると書いてありますが,これでは余りに弱過ぎるのではないかと感じます。
  認証評価が力のある評価になるためには,単に評価する委員がどう考えたか,どう感じたかということだけを言うだけではなくて,客観的にどのようなことが行われて,どこに問題があるのかということを把握していなければできませんし,あるいは,自己評価においてもそれだけのデータを出しているかどうかが私は非常に重要だと思います。さらに,各大学が出しているデータがほかの類似大学と比べてどのように違うのかということも,判断の上では非常に重要な論点になると思います。しかも,そういった根拠がなければ,低い評価を実は出し得ない。形式的に相当おかしいところでないと,厳しい評価はできないということになると思います。
  その意味で,客観的な評価,アウトカムとかプロセスですね。アウトカムだけと言っては問題だと思いますが,実際,何が大学の中で起こっているのかということに対する把握,それに基づく判断,あるいは評価というものが必要であるということをもっと盛り込むべきであろうと思います。
  以上です。
【伊藤高等教育政策室長】    事務局の本日の資料2-1の記述が十分でないという点に関しましては,また本日の御意見を踏まえて次回,記載を充実させていただきたいと思います。
  ただ,現時点で客観的なデータ,指標についての記載の部分について御紹介,説明させていただければと思いますが,資料2-1の2ページ目の評価方法の改善という項目の一番上のぽつの部分です。大学のよりきめ細かなPDCAサイクルを促していく評価の促進ということで,今,金子委員が御指摘いただきましたような大学の自己評価におけるときの客観的なデータ,指標の活用状況を,また,それを判断するために,例えば従前からこの審議会の中でも,全国的な学修動向調査というような評価機関側の評価を行う際の評価環境の整備の必要性も御指摘いただいているところでございます。そういった含意も含めまして,現時点で,この例,客観的なデータ・指標も活用した多面的な評価の促進という記載にさせていただいております。
  また次回以降,本日の御意見も踏まえまして,記述の工夫をしたいと思います。
【鈴木部会長】    金子委員,どうぞ。
【金子委員】    今のお答えはそのとおりだと思います。ただ,ここに書いているところも見ても,そういったものがあり得るということを書いているだけで,お答えの中でおっしゃっていたように,大学の内部でやるチェック,あるいはモニタリングと,大学の外でやるといいますか,客観的な全国的な評価,それを組み合わせないと力が出てこないと私は思いますので,そのような点も文面上,きちんと書いてあることが望ましいと思います。
【鈴木部会長】    事務局,どうぞ。
【義本高等教育局審議官】    金子委員の御発言に関連してなんですけれども,三つのポリシーの中でも,委員から御指摘頂きましたような,結局それを回していくためのエビデンスとか,あるいは判断の軸みたいなものをどうするかという問題とも関連する話だと思います。恐らくはこの認証評価制度だけの話ではなくて,三つのポリシーも含めて国としてどのような支援をしていくのか,方策を考えるのか,それと,認証評価ないし三つのポリシーを回していくということをどう関連付けていくのかということと多分関連いたしますので,そこは国としてどこまでやるのか,あるいは評価機関の自主性,自立性ということ等も含めて整理させていただいて,次回としてはお示しいただくような形にしたいと思います。
【鈴木部会長】    ありがとうございます。
【金子委員】    今おっしゃったとおりにしていただくということでよろしいと思うんですが,諸外国の例を見ても,情報公開,評価は,評価機関とかなりしっかりとした情報公開のデータベース,二つの組合せで成り立っているわけですね。それがやはり,認証評価機関が効果があるものになるために非常に重要な条件だと思います。
【鈴木部会長】    では,濱名委員,お願いします。
【濱名委員】    意見だけ言わせていただきますけれども,三つのポリシーを取り入れたという形で2-1に書かれているのですけれども,僕は,究極的に言えばDPだと思うのです。さっき美馬委員が言われたようにCPは変えていけるし,CPが行われているかどうかとか,あるいはAPを掲げたとしても,APどおりの選抜で定員が満たせたかどうかというようなことについては,実は悩ましい問題が出てくる。その三つのポリシーの構造を考えると,究極的にはDPが達成できているかどうかというところが最も重要ではないか。
  更に言うと,2ページ目のところに出てくる三つのポリシーに基づく大学の取組についてというので,策定の一体性とか組織での体系的な教育の実施,学生の学修成果の評価等になっているのですけれども,私は,学位プログラムとしての目標が達成できているかというのがまず筆頭に上がっていくべきで,学生の学修評価の細かいディテールのところでシラバスの記載がどうか,それも大事なのですけれども,最終的にはサマティブな評価のことがメッセージとして最も強く伝わるということを優先するべきではないかと思います。その点については少し考えていただければと思います。
  以上です。
【鈴木部会長】    ありがとうございます。それでは,安部委員,お願いします。
【安部委員】    3ページの社会との関係の強化というのももっともだと思うんですけれども,ただ,ステークホルダーを評価に参画させる仕組みの義務化に関してなんですけれども,認証評価に関しては,ピアによる評価がベースになって,社会のステークホルダーに参画してもらって評価をするということに対しては,義務化の中身をもう少しピアでやる部分と,例えば企業とか,あるいは入り口の方の高等学校の関係者だとか,そういう社会のステークホルダーの評価の内容のバランスを考えていただきたいなと思います。
  ここで言うのが適当かどうか分からないんですけれども,実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の構想の中では,社会との連携というのを,ステークホルダーの一つである企業との連携をすることがあります。教育課程を編成したり,教育課程の内容や運用方法,あるいは教員の研究についての連携が求められています。例えば学位授与審査の方法等に関する評価とかは,ピアによる評価を充実させていくということを前提として,ステークホルダーの参画ということを考えていただきたいなと私は思います。
  それともう一点,評価人材に関してなんですけれども,これは私ども短期大学では,評価というと評価疲れというか,評価を行うことによって非常に負担が大きくなっていると思います。その原因の1つには,評価委員としてやったことが,職員や教員の業績になかなか結び付いていかないところがあると思います。また,今,大学職員を高度専門職だとか,IRだとか,そういう人たちを育てていくということ,そして,本格的な教職協働という意味においても,評価人材の育成をしっかりと,第3クール目以後,確立していくということを,是非改革点として書き込んでいただければと思います。
  以上です。
【鈴木部会長】    ありがとうございます。それでは,前田委員,どうぞ。
【前田委員】    一つだけ,余り出ていないことで,2-1の4ページの下のところで,専門職大学院を設置する大学に関する機関別評価と分野別評価の合理化の話なんですけれども,これは大事だとは思うんですが,専門職大学院大学というのがあります。あれが,場合によっては,分野別ではよいけれども,機関別では,おやという場合があったりしますので,この辺のところをどう考えるか。専門分野の方を中心に考えると,抜け落ちる部分が出てくるかもしれないというのをお気を付けいただきたいと思います。
  以上です。
【鈴木部会長】    ありがとうございます。
  時間があと5分ぐらいしかございませんが,続いて,先ほどの資料の2-1の具体的な改善事項の2ぽつのところで,認証評価制度の運用改善・充実,3ぽつ,他の質保証との連携等についてに関する御発言がございましたらお願いいたします。
  篠田委員,どうぞ。
【篠田委員】    議論する時間は多分ないと思いますけれども,3ページの下のところの認証評価機関の質の向上で,認証評価機関自身の自己点検・評価,これも非常に重要なところだと思いますけれども,定期的な確認とか,審査会による確認とかというふうな中身,このあたりのところも,どのようなことをどこまで求められるのか,確認の中身をよく提示していただきながら議論をしていかないといけないんじゃないかなと思います。それから,ステークホルダーの参加も重要な要素だと思いますけれども,前回のときでしたか,黒田副部会長からの御発言もあったと思うんですが,個別大学の評価までそういうのを加えるというのはなかなか実際的には難しいと思います。ただ,ステークホルダーを適切な形で評価機関の中の評価の中に加えるというのはもちろん重要なことというか,必要なことだと思いますけれども,加え方とか,認証評価機関の自主性といいますか,主体的なところに任せられるのか,この辺の参加のさせ方ということについても,是非慎重な議論というか,しっかりした議論をお願いできればと思います。
【鈴木部会長】    そのほか,いかがでしょうか。二宮委員,お願いします。
【二宮委員】    ありがとうございます。金子委員の,どういうことかは少し難しいんですけれども,特に大学ポートレートとの関係でデータが整理されていけば,一般にいろいろ取り上げられているように,大学の中におけるポジショニングというものに大変関心を持たれている評価のように受け止めましたので,そもそも評価ってそういうものなのかということを思うんですね。A大学が全体の中においてどこに位置するかということを,自己点検評価の中で自ら置きながらどうこうという相対化したような議論ではなくて,本来の大学評価のときもそうだったと思うですけれども,今より少し良くなるという伸び率の改善の努力の質の問題について,もっと積極的にその大学を評価していこうというのがそもそものスタートラインじゃなかったかと私は記憶していますので,ポートレートが出来上がっていく中で,といっても,各大学が自分で書くわけですけれども,相対的に自分の位置をよくわきまえて,強み弱みとか,あるいは何とかということが分析されて,Fランクの大学だとか,そういった意識にまで大学を追い込む必要があるのかどうか。もし私が金子委員のおっしゃっていることを誤解したんであれば訂正することはやぶさかでもないんですけれども,随分,退場を願う的な感覚に議論としてはどんどん進んでいるんじゃないかなという印象を何回かこの会に出て持つようになりましたので,その辺は国としてもしっかりとした姿勢を示しておいてもらいたいと思います。
【鈴木部会長】    どうぞ,金子委員。
【金子委員】    これはまさに私はポイントだと思うんですが,認証評価も第3サイクルになって,今おっしゃっていたように,改善したかどうかということを,ある意味で言葉の上で表現することによって,認証評価とか質的保証制度だけで成立するという時代はもう過ぎていると私は思います。現実の日本の大学教育の現在を見ても,改善した云々(うんぬん)すれであれば,どこかに改善している部分はあるんでしょうけれども,しかし,決定的に改善していないところも相当あると思います。質的改善が議論されてからもう20年近くたっているわけですけれども,実質的な改善というのは非常に限られていると思います。
  それから,比較といいますと,すぐどこかが悪いということを明らかにして退場に結び付くというように議論されるわけですけれども,最初に,基本的に競争は必要だと思います。質についての前向きの競争は必ず必要だと思います。それをどうやって作っていくかが一番重要なところではないかと思います。
  しかし,具体的に言って,例えば100人以上の講義が経済学部でどれくらいあるのか,今まで受けた単位の中で100人以上の講義が何%ぐらいだったのかというのを見てみますと,よく言われているように,中小規模の大学の方が悪いということはありません。むしろ非常に大規模大学において問題が多いところが多い。そのようなことを客観的に把握しなければ,前向きな質的な評価とか改善は私はあり得ないと思います。これを明らかにすると非常にまずいところが出てくるという形で恐れていたのがこれまでの十数年間の議論の最大の障害であって,もちろん,悪いところだけ端的に出てくるような方法は避けるべきだと思いますが,できるだけ客観的に,非常に重要なところはなるべく誰にも見えるようにする。その上で,大学が改善していただくというのが今の時代の最大の課題だと思います。そういう転換をしないと,日本の大学教育の質的転換というのはあり得ないと思います。
  以上です。
【鈴木部会長】    美馬委員で最後にいたしましょう。
【美馬委員】    今の金子委員,二宮委員の御意見についてなんですが,その中で,先ほど長谷山委員がおっしゃったことは重要だと思うのです。つまり,客観的な評価といいながら,そこに多様性をどのように担保していくのか。それぞれの大学が地域,あるいはどういう学生が来ているか,あるいはその分野にあってそれぞれ違うわけです。その中で,それぞれの工夫があって,編み出してきた教育方法とか独自性があって,それをいかに客観的という言葉で見える化していくかというのはかなりチャレンジングなことだと思いますし,実は小さい大学,あるいは地方の大学の中にこそ,ほかにも転用できる,すごく面白い試みが起こっているのではないかと思います。そこで,周辺を多様にしておくこと,また,周辺の多様なものにいかに表に出して見える化して,みんなで共有していくかということだと思います。
  以上です。
【鈴木部会長】    これは対立した意見のようにも聞こえますが,しかし,高等教育の向上ということでは志を同じくしておりますので,なお,この議論につきましては,引き続きお願いしたいと思います。
  時間を少し過ぎてしまいましたけれども,ありがとうございました。本日頂きました御意見を踏まえた形で,次回は更に具体的な改善の方向について御審議いただきたいと思います。
  それでは,これにて本日の審議を終了いたします。
  ありがとうございました。

──  了  ──

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