大学教育部会(第28回) 議事録

1.日時

平成26年9月8日(月曜日)15時~17時

2.場所

文部科学省3階3F1特別会議室

3.議題

  1. 大学の質保証の充実等について
  2. その他

4.出席者

委員

(部会長)佐々木雄太部会長
(副部会長)黒田壽二副部会長,谷口功副部会長
(委員)浦野光人,高橋香代,長尾ひろみの各委員
(臨時委員)金子元久,川嶋太津夫,小畑秀文,佐藤弘毅,島田尚信,濱名篤,美馬のゆりの各臨時委員
(専門委員)安部恵美子,鈴木典比古,長束倫夫,山田礼子の各専門委員

文部科学省

(事務局)吉田高等教育局長,河村生涯学習政策局長,德久総括審議官,藤原私学部長,德田生涯学習政策局審議官,中岡初等中等教育局審議官,義本高等教育局審議官,佐野高等教育局審議官,浅田大臣官房総務課長,森高等教育企画課長,里見大学振興課長,永山私学行政課長,水田主任視学官,田中高等教育政策室長,高見教育制度改革室専門官,君塚大学振興課課長補佐,白井大学振興課課長補佐,片柳高等教育政策室室長補佐 他

5.議事録

(1)今後の大学教育部会における審議事項について,文部科学省から資料1に基づき説明があり,その後,意見交換が行われた。

【佐々木部会長】  それでは,所定の時刻になりましたので,第28回の大学教育部会を開催いたします。本日は久しぶりの会合でございますが,御多忙の中,御出席いただいて,ありがとうございます。
 また本日は,前回から期間も経過しておりますので,いろいろな課題が山積しております。ですから,議事進行が非常に窮屈なのですが,どうかよろしく御協力いただきたいと思います。
 まずは,今後の本部会における審議事項について,事務局から説明いただきます。その後に,短期大学の在り方,それから,認証評価の在り方,そして,教育再生実行会議の第5次提言等を踏まえた検討事項について順次審議を進めてまいりたいと思います。また,最後には,先の通常国会で成立しました学校教育法等の一部改正について御報告,御説明いただく予定にしております。審議にどうかよろしく御協力いただきたいと思います。
 それでは最初に,今後の本部会における審議事項について,資料1に基づいて事務局から説明願います。
【田中高等教育政策室長】  それでは,失礼いたします。資料1を御覧ください。本日の会議におきましては,この後,資料2以降の個別の事項につきまして審議をお願いしたいと考えているところでございます。ただ,大学教育部会,かなり時間が空(あ)いたということもございます。このため,これまでの審議状況について改めて確認をさせていただきますとともに,これからの審議事項について改めて整理をさせていただいたというのが資料1でございます。
 それではまず,1ぽつのこれまでの審議状況について御覧ください。こちら,昨年8月の本部会の会議で配付させていただきました本部会の検討課題に関する資料も,参考資料4として付けさせていただいております。
 今期の大学教育部会におきましては,これまで大学教育の質的転換,特に大学の質保証の充実という観点から,大学設置基準あるいは認証評価制度の改善などについて審議を行っていただきまして,大学設置基準などの制度改正について成案を得たものにつきましては,大学分科会の方で諮問・答申としてあげた上で必要な制度改正を行ってきたところでございます。
 また,24年8月の質的転換答申を踏まえまして,短期大学の在り方について検討を行うために,大学教育部会の下に短期大学ワーキング・グループを設置いたしまして,短期大学の機能の充実,教育の在り方などについて議論を行ってきたところでございます。また,第7期の大学分科会におきましては,大学のガバナンスの在り方について審議する組織運営部会,あるいは大学のグローバル化の促進について審議するワーキング・グループを新たに設置いたしまして,大学教育に関連する事項についても審議を行っているところでございます。
 一方,教育再生実行会議におきましては,学制改革に関します第5次提言を取りまとめまして,それを踏まえまして本年7月には文部科学大臣より新たな諮問が行われているという状況にあるところでございます。
 このような状況を踏まえまして,2ぽつでございますが,今後の審議事項と致しましては,大きく分けて四つに整理できるのではないかと考えているところでございます。まず1番目と致しましては,大学の質保証の在り方をはじめといたしまして,本部会におけるこれまでの審議事項,そして,2番目と致しましては,他の部会などを中心に審議が進められている事項で本部会にも関係がある事項,そして,3番目と致しましては,先ほど説明させていただきました教育再生実行会議の第5次提言を踏まえて行われました7月29日の文部科学大臣諮問事項,そして,4,その他必要な事項と整理できるかなと考えているところでございます。
 具体的な今期の審議事項と致しましては,大学教育の質的転換という観点から,特に大学質保証の在り方について検討いただいているというものが1点目でございます。後ほど説明をさせていただきますが,これまでも認証評価制度の在り方ということにつきましては特に議論していただいたところでございます。そうした中で本日は,認証評価制度,特に省令改正という観点からどのようなものを行うことが適当かということを御議論いただきたいと考えているところでございます。
 続きまして,2ページ目をお開きください。2ページ目の一番上でございますが,短期大学の機能の充実につきましては,先ほど申し上げましたとおり,本部会の下にワーキングを設けまして,本年8月に審議まとめを頂いたところでございます。それを踏まえまして,本日は短期大学ワーキングの審議まとめを踏まえまして,短期大学の在り方について御審議いただきたいと考えているところでございます。
 そして,2,他の部会の関係でございます。まず大学のグローバル化に関するワーキング・グループにおきましては,教育再生実行会議の第3次提言を踏まえまして,特にこれまでジョイント・ディグリーの制度化について議論をしてきたところでございます。そして,その議論を踏まえまして,本年6月に大学分科会におきまして大学設置基準の諮問,答申を行ったところでございまして,今後,大学設置基準の改正を行う予定でございます。さらに,大学のグローバル化に関するワーキング・グループにおきましては,大学のグローバル化に関しまして更に審議を行う予定でございますので,必要に応じて本部会でも審議をお願いしたいと考えているところでございます。
 次に,組織運営部会でございます。組織運営部会におきましては,大学のガバナンスの在り方について審議を行い,本年2月に大学分科会として審議まとめを取りまとめたところでございます。この審議まとめに基づきまして後ほど説明をさせていただきます学校教育法等の改正を行ったところでございますが,法律改正以外にもその審議まとめにおきましては,大学設置基準の改正につながる事項,例えば高度専門職の設置やSDの義務化などが提言されているところでございます。このような大学設置基準の改正を今後検討いたしまして,必要に応じまして本部会でも審議をお願いしたいと考えているところでございます。
 次に,高大接続特別部会でございます。高大接続特別部会は,平成24年9月から大学入学者選抜を始めとする高大接続の在り方について審議を行っているところでございます。その審議の中では,例えば認証評価に関しましては,学習成果等の認証評価の充実という提言のほか,認証評価における大学入学者選抜の評価の充実などについても提言を行うべく検討が行われているところでございます。そのような高大接続部会におけます認証評価をはじめとする関連の事項についても踏まえつつ,認証評価制度については審議を行っていただきたいと考えているところでございます。
 そして,3でございます。本年7月の文部科学大臣からの諮問事項,これにつきましては後ほど詳しい説明をさせていただきますが,大きく分けて2点ございます。まず1点目と致しまして,グローバル化に対応した大学及び大学院における入学資格の在り方ということでございます。これは外国の学校を卒業した者に対する入学資格の在り方ということで,現行,12年あるいは16年の課程の修了要件が課せられているところでございます。グローバル化の進展の中で,外国の学校を卒業した者の入学資格の緩和ということについて検討をすることが求められているというのが1点目でございます。
 そして,2点目は大学への編入学ということでございます。この大学への編入学につきましては二つございます。1点目は,これは中央教育審議会のキャリア答申等から提言をされているものでございますが,高等学校専攻科の大学への編入学あるいは単位互換でございます。そして,2点目と致しまして,こちらは第6期の大学教育部会におきまして,単位認定,単位互換につきまして制度改正を御審議いただいたものでございますが,職業能力開発大学校等のいわゆる省庁系大学校の編入学の在り方でございます。この2点,細かく分けますと3点につきまして,本年7月に文部科学大臣から諮問が行われておりまして,本部会において審議を行った上で,必要なものにつきましては大学分科会に上げていきたいと考えているところでございます。
 その次のページでございます。別紙と書いているものが,ただいま申し上げた事項につきまして大まかなスケジュールという形で整理をさせていただいたものでございます。特に,下の方でございますが,本中央教育審議会の第7期の任期が2月中旬までとなっているところでございます。そのため,次期,いわゆる第8期も視野に入れながら審議を進めていくことが必要ではないかなと考えているところでございます。そのような観点から,第7期中,そして,黄色のところでございますが,第8期という区分も設けまして整理をしているものでございます。
 大きく分けて二つございますが,一つはこれまでの審議事項,質保証関係と,それから,7月29日の文部科学大臣諮問の関係でございます。上の質保証関係と致しましては,特に認証評価につきましては,平成23年度からの第2サイクルを踏まえまして,各認証評価団体が取り組んでおります学修成果の評価あるいは評価結果のフォローアップにつきまして,それを国の制度としても制度化していく,いわゆる省令改正をしていくということをこれまでも議論いただいたところでございます。そのこれまでの議論を踏まえまして,必要な制度改正を年度内に行いたいと考えてございます。そのためには,今後集中的に認証評価制度の第2サイクルにおける取組を制度化するという観点からの審議を行っていただきまして,大学分科会にも上げた上で必要な制度改正,省令改正を行っていきたいと考えているところでございます。
 ただ,認証評価,さらには大学教育の質的転換という観点から,認証評価にとどまらない学修評価ということにつきましてはこれまでも意見を頂いたところでございますし,そういう観点からの意見もこの第7期,これからの会議でも頂きたいと考えてございます。そうした議論につきましては,認証評価のサイクルが平成30年度から第3サイクルに入っていくということを予定しているところでございます。この第3サイクルに向けた認証評価制度の改正につきましては,第8期におきましても引き続き議論をしていく必要があると考えてございます。第7期において頂きました,省令改正にとどまらないような認証評価制度全体の在り方の御意見,検討ということにつきましては,適切に第8期に引き継ぎまして,平成30年度からの認証評価の第3サイクルに向けた制度改正につなげていきたいと考えているところでございます。
 そして,二つ目でございますが,大学設置基準等の関係につきましては,これまでも設置基準の中で抽象的過ぎるものについてはその具体化を行う,質保証の観点から具体化していくという観点から,サテライトキャンパスや別置キャンパスについて御議論いただいたところでございます。これは本日は資料としては準備ができておりませんが,今後準備ができた段階で,質保証の観点からの大学設置基準の関係についても議論を行っていただきまして,可能なものは大学分科会で諮問,答申を行っていきたいと考えているところでございます。また,第7期中に審議が尽くせなかったものにつきましては,第8期に引き続き引き継いでいきたいと考えているところでございます。
 そして,3番目でございます。短期大学につきましては,ワーキングの報告がまとまってございますので,そのワーキングの報告を基に本日の大学教育部会,更に大学分科会全体でも議論いただきたいと考えているところでございます。
 そして,下の方でございますが,7月29日の文部科学大臣諮問の関係につきましては,まず真ん中の12月のところでございますが,中央教育審議会総会で答申と書かせていただいております。これは例えば小中一貫教育をはじめといたしました初等中等教育関係のものも7月29日の文部科学大臣諮問には盛り込まれてございまして,それは別途,初等中等教育分科会等で審議が行われる予定でございます。その上で,この7月29日の諮問事項につきましては,中央教育審議会全体と致しまして12月の総会で答申を行うということが予定されているところでございます。
 そのため,特に大学への編入学等の在り方をはじめといたしました高等教育関係の事項につきましては,この12月の答申に盛り込むべく集中的に今後審議をお願いしたいと考えているところでございます。物によりましては,小中一貫教育とはじめといたしまして,法律改正,次期通常国会への法律の提出が必要となるというものもございます。そうした中では,特に小中一貫教育との関係もございまして,高等学校の専攻科につきましては,後ほども説明をさせていただきますが,特に集中的に審議をお願いしたいと考えているところでございます。
 ただ一方,職業能力開発学校等の省庁系大学校の編入学につきましては,こちらは第6期の大学教育部会で一度御議論いただきまして,質保証の観点から様々な意見を頂いたところでございます。また,単位認定の在り方,単位認定の実績等を踏まえた上で編入学の在り方を検討するということに第6期の大学教育部会でもなっていたところでございます。また,省庁系大学校につきましては,各省庁との調整も必要でございます。検討結果を何らかの形でこの答申にも盛り込んでいくことが必要でございますが,省庁系大学校の在り方については,審議いただいた上で,状況によっては第8期にも検討を引き継いでいく,そういうことも必要ではないかなと考えているところでございます。
 また,編入学以外の,外国の学校を卒業した者に対する入学資格につきましては,これは法律以外のいわゆる省令とか告示レベルでの改正も考えられるところでございます。これにつきましては,具体の制度改正について議論いただいた上で,できればこの答申の中にも盛り込んで,第7期での結論を得た上で年度内の制度改正を考えていきたいと考えているところでございます。
 資料1の説明は以上でございます。よろしくお願いします。
【佐々木部会長】  ありがとうございました。
 ただいまの御説明について,もし意見がございましたら,ここで伺います。いかがでしょうか。
【谷口副部会長】  1点だけ。意見ではないのですけれども,大学の教育の質の転換,質保証ということでいろいろ議論して,答申案というのがきちんと出て,後は基本的には各大学の責任において教育改革等を行っておられると思いますけれども,この教育改革の実績に関してのフォローをしていくというようなことについては何かあるのでしょうか。後はもう大学の責任だからそこで行うというのももちろん一つの方法だと思いますし,それでもよいと思いますけれども,それを何かでチェックするというようなことはする,しない,その辺りは何かお考えがありますか。
【田中高等教育政策室長】  一つは大学教育の質的転換の中で,認証評価をはじめとする大学教育の質保証も議論されておりますので,認証評価制度だけではなくて,大学教育の質的転換という観点を踏まえて,御議論いただきたいと思います。その中で制度改正が必要なものについてはできるだけ早くしたいというものもございまして,その部分についてはその部分に特化して議論を頂くこともあるかと思いますが,大学教育の質的転換という観点で様々な事項について御議論をこの部会でも引き続きお願いしたいと思っております。
 それから,御指摘ございましたフォローアップということにつきましては,質的転換答申に特化して何らかの調査を今行っているということは正直ございません。大学教育の質的転換答申が出た後も,例えば大学教育地域フォーラムを継続して実施して周知をするというような取組を行っていましたが,何らかの調査を今,実施する予定があるということではございません。
 ただ,大学改革状況調査とか,それから,大学生の学修時間ということにつきましては答申の際にもデータを盛り込んでございますが,その更なる調査を今,国立教育政策研究所の方で実施しようとしてございます。そうしたものにつきましては,大学教育の質的転換という観点から,必要なものについては,先ほどの国立教育政策研究所の調査などにつきましてもある程度の結果がまとまったようなものがございましたら,この部会の中でも提供させていただきまして,いわば骨太の議論といいますか,そういうものもしていただきたいと考えてございます。
【佐々木部会長】  往々にして答申の出しっ放し,審議のまとめっ放しで終わってしまうことが多いので,この点を私も懸念しておりまして,質保証に関しての各大学の具体的な取組を吸収しながらフォローアップを是非行っていくべく,本部会でも議論を続けたいと思います。

(2)短期大学の今後の在り方について,佐藤委員,事務局から資料2-1,2-2に基づき報告および説明があり,その後,意見交換が行われた。

【佐々木部会長】 続いて,報告にもありましたが,今期,短期大学の今後の在り方についてワーキング・グループを設けて御審議いただいております。佐藤委員に座長を務めていただいて,8月にその議論のまとめが整っておりますので,まず佐藤委員からその御報告を頂き,その後,事務局から説明を加えていただきます。お願いいたします。
【佐藤委員】  ありがとうございます。佐藤でございます。御報告申し上げます。恐れ入りますが,お手元の資料2-2を後ろから1枚おめくりいただけましょうか。28ページ,29ページをお開き願いたいと思います。29ページにございますのが名簿でございます。佐々木部会長によりまして,当部会から安部恵美子委員と私が指名をされまして,そのほかに8名の様々なバックグラウンドを持つ委員の方々が委嘱されました。不肖私,部会長から座長を仰せつかってスタートいたしました。
 昨年の12月下旬に第1回を開催いたしまして,都合8回の審議をしたわけでございます。お隣の28ページが日程と主な議題でございます。この間,所属委員によります短期大学の特徴あるいはその課題ということにつきまして様々なプレゼンテーションをしていただきました。また,外部の有識者,研究者によるコミュニティ・カレッジについての事例発表などを交えまして,今後の短期大学の在り方について様々な角度から大変精力的に,かつ実り多い活発な議論が行われたものと感じております。
 議論の進捗に伴いまして,社会ニーズを踏まえた短期大学の在り方の検討の必要性が改めて浮かび上がりました。また,新時代の生き方として,地方公共団体や産業界との連携を一層強化すること,あるいは社会人等の多様な学生の受入れ環境を整備することなど,短期大学を巡る様々な課題が明らかになってまいりました。それで,これらの課題などを基に積極的に論点整理を行いまして,その論点に沿って活発な意見交換を行い,今般,「短期大学の今後の在り方について」と題した審議まとめを取りまとめるに至った次第でございます。
 審議まとめの概要と致しましては,資料の冒頭に目次がございますように,こういう構成でまとめた次第でございます。
 始めに,短期大学の特徴として,学位が取得できる唯一の短期高等教育機関であることなど6点について整理いたしました。
 続きまして,今後の短期大学が担って立つべき機能につきまして,四つに主なものを絞り込みまして議論を進めました。その四つとは,専門職業人材の養成,二つ目が地域コミュニティの基盤となる人材の養成,三つ目として知識基盤社会に対応した教養的素養を有する多様な人材養成,そして,四つ目として多様な生涯学習機会の提供,この四つの機能を強化することを中心に議論を進めました。
 そして,国は,それぞれの短期大学が特色に応じたこれらの機能別分化を推進し,そして,自ら機能を選択することを促し,先導的な取組を行う短期大学に対しては積極的な支援を行うことを当面の振興方策として掲げております。今後,国におかれましては,機能別分化に向けて,あるいは機能の強化に向けて自らの改革に取り組む短期大学に対しまして,より積極的な支援をお願いしたく存じます。そして,これらの短期大学の取組が,この審議まとめでも言及しておりますように,地方創生あるいは女性の一層の活躍,それから,高等教育の機会均等の確保という課題の解決に向けて貢献していくことを期待しているところでございます。
 審議まとめの詳細につきましては,この後事務局より説明してもらいたいと思いますが,私ども委員と致しましては,この審議まとめを活用することによりまして,様々な関係者におかれましては短期大学の更なる充実に向けまして大いに議論を起こしていただく,このことを切にお願い申し上げる次第でございます。
 私からは簡単に報告申しました。では、事務局から,詳細を説明してもらいたいと思います。
【佐々木部会長】  佐藤委員,ありがとうございました。
 それでは,事務局からお願いします。
【君塚大学振興課課長補佐】  それでは,資料2-1と2-2につきまして説明をさせていただきます。
 資料2-2の2ページを開けていただきたいと思います。第1章として,短期大学の現状ということで,これまでの経緯が記されているところでございます。詳細については省略させていただきます。
 続きまして,2ページ目の短期大学における人材養成の実績でございます。平成5年には人文系がピークでしたが,最近は教育系が突出しているというような状況でございます。
 続きまして,短期大学の特徴ということで3ページ目でございます。こちらの方は2-1の概要の方に6点絞って書かれております。基本的な特徴はこの6点のとおりなのですけれども,4ページ目の真ん中にございますが,4年制大学の編入学につきましては,編入学者のうち短期大学の占める割合が53.5%というところが特徴となっているところでございます。また,4番目の小規模できめ細やかな教育を行う高等教育機関ということで,5ページ目から6ページ目にかけまして,短期大学の教育の特徴を示させていただいているところでございます。また,アクセスしやすい身近な高等教育機関ということで,自県からの高校生の入学者と,また就職者について自県に就職するというところが短期大学は非常に特徴があるということがございます。
 続きまして,短期大学の課題ということで7ページ以降記させていただいているところでございます。いわゆる大学と専門学校とのはざまで短期大学の位置付けをどう明確化するかというのが非常に大きな課題であるということでございます。
 続きまして,10ページ目以降,第2章,今後の短期大学の役割と機能ということでございますが,基本的には2の1の概要に示されているような4点に分かれて記載しているところでございます。1点目が専門職業人材の養成ということで,社会の基盤維持・向上を担う職業人材の育成でございます。10ページの下から三つ目の丸のところですけれども,短期大学卒業生の占める割合が非常に高い幼稚園教諭,保育士,また栄養士や介護人材,社会福祉に関する人材の養成機能については,地域のニーズに照らし合わせた上で機能の充実に努める必要があるというところでございます。
 2点目は地域コミュニティの基盤となる人材の養成というところでございます。こちらの方は,いわゆる修業年限が比較的短く,学費の負担が軽いということ,また,地方都市に多数設置されているという短期大学は,アクセスしやすい,多様な職業教育や大学の編入機能を備えた地域密着型の高等教育機関としての役割を果たしていく必要があるということでございます。
 3点目,11ページの(3),いわゆる高等教育のファーストステージとしての期待と可能性ということでございます。下から三つ目の丸にございますように,実際生活に必要な技能・知識の育成が目的の一つとなっているということもございますし,人文・社会科学,芸術等の幅広い教養の育成を通じて,21世紀型市民の人材育成機能を担う機関としての役割も期待されているということでございます。
 またさらには,その下の丸ですけれども,編入学や学位授与機構の認定を受けた専攻科での学士の取得とその後の大学院への進学が可能となっているというところでございまして,セカンドステージへの移行など,学習機会の選択の幅を広げて多様な学びの機会を求める人々の期待に応える可能性を持っているということでございます。
 続きまして,12ページ,生涯学習機能の充実ということです。こちらの方についても,12ページの一番下になりますけれども,特に短期大学が地域に数多く輩出してきた幼稚園教諭,保育士等の人材や,例えば出産,子育て等を機に離職した潜在的有資格者に対して短期大学が再就業に必要な知識や技術を習得する場として活用されることも期待されるということでございます。
 こちらの方が,次の短期大学における機能別分化の推進ということで,機能別分化のまとめに入ります。14ページに具体的にその四つの機能について,機能分化の推進ということについて記載させていただいているところでございます。内容については重複しますので,省略させていただきます。
 第3章,15ページ以降が機能別の振興方策ということでございます。それぞれ四つの機能につきまして,短期大学が取り組むべき方策をまず15ページ以降18ページまで掲げさせていただいているところでございまして,それぞれのいわゆる機能強化に取り組むべく記載をさせていただいているところでございます。
 続きまして,19ページ以降が国による支援方策ということでございまして,この四つの機能別分化に対して国が支援する方策についてまとめていただいた次第でございます。(1)として基盤的経費の充実ということでございまして,私学助成等の充実に努めるべきであるということの記載がございます。2点目が競争的資金の充実というところでございます。これは現在ありますような大学教育改革の補助金等を活用いたしまして,短期大学のそれぞれの機能に対して適切な先進的な取組を行う短期大学について支援を図っていくべきであるということでございます。1点目が産業界,自治体等と連携して,専門職業人材を地域に輩出する短期大学の支援,2点目が地域創生のリード役となる短期大学の支援,3点目がいわゆるファーストステージ教育を行う短期大学の支援ということで,大きく分けますとこの3点の支援のスキームを使いましてしていくことが必要であるという形でおまとめいただいている次第でございます。
 21ページ以降は,学生の経済的支援の充実というところでございます。特に22ページの丸二つ目にありますけれども,24年度の調査でございますが,短期大学の昼間部の学生における奨学金の受給状況は53.4%と高い率になっていることも含めまして,学生への支援の充実というのは引き続き必要だということだということについておまとめいただいている次第でございます。
 (4)は短期大学の広報の充実ということでございます。基本的には大学と短期大学が情報提供として一緒に扱われているということもございますので,その辺も含めて,短期大学の特徴又はデータ等の発出についてもやはりしっかり位置付けをした上で広報等を充実させるということが必要であるということでございます。
 続きまして,大きな3で23ページ,地方公共団体による支援方策ということです。国だけではなくて,先ほど申し上げたとおり,地域の基盤となる人材養成を図るという観点からも,地方公共団体からの支援も期待されるという形でおまとめいただいている次第でございます。
 4点目は,短期大学関係団体等が取り組むべき方策ということでございます。
 以上が,推進方策と支援方策でございまして,最後に,積み残しといいますか,中長期的な検討課題ということでございます。特にこの中で大きなところで,上から三つ目でございますけれども,短期大学についてもいわゆる高等教育政策全体の中で再構築することが必要であるということも含めまして,中長期的検討課題をまとめていただいた次第でございます。
 少し雑駁(ざっぱく)な説明になりましたけれども,以上でございます。
【佐々木部会長】  ありがとうございました。恐らく短期大学の現状から,さらに今後の在り方を含めて包括的に御議論いただいたというのは,これはめったにないことではなかったのかと思います。ですから,この審議のまとめについては,時間の制約なしに十分に議論を頂くという機会が欲しいと思います。ですが,今日は後がつかえていますので,差し当たり,今後これをどういうふうに議論していくか,どんな方向で議論していくかということに関して,あるいはただいまの御報告,説明に関わる御質問に限って本日伺いたいと思いますが,いかがでしょうか。
 【長尾委員】  8ページのところに書いてある「日本版コミュニティ・カレッジ」という言葉ですけれども,これは今,我々が使っている短期大学全てを,ジュニア・カレッジじゃなくてコミュニティ・カレッジという言葉を意図的に今後使おうというようなことがあったのか,そして,保育士であるとか資格中心の短期大学と,教養教育あるいは地域創生のための教養教育的な,今,機能別分化の中で語っていただきましたけれども,このような違う2年制大学が出てくるとしたときに,教養教育的なものをアメリカ型に似て,日本版コミュニティ・カレッジという名前をあえて使うことができるようになるのか,その辺り,議論されたのかどうかお聞きしたいと思います。
【佐藤委員】  長尾委員,ありがとうございます。確かにコミュニティ・カレッジという特定の言葉を使っていくかどうかということにつきまして,慎重に議論の対象になりました。言われているように,例えばアメリカのコミュニティ・カレッジは圧倒的多数が公立でありますし,それから,それぞれの州の政策の中で高等教育全体の構造あるいは役割分担などが整然と整理されております。そしてまた,移民が増加する国らしく,新しい米国民を養成するという機能なども含めて,それは全部ひっくるめて地域に根差した,地域による,地域のためのコミュニティ・カレッジということが定着しているわけでございます。
 それに対しまして我が国は,当然のことながらも全く違う設置基盤である短期大学が大多数でありますし,それから,何よりも大学の一つの類型として位置付けられておりますので,必ずしも諸外国におけるコミュニティ・カレッジあるいはその他様々な呼称がありますカレッジと同じ基盤の上に成り立っているものでないということでございます。
 しかしながら,短期大学がこれからのこの国社会に十分に貢献していくためには,何よりも地域に根差した,地域に立脚した,地域のきめ細やかな教育ニーズに対応し,地域が必要とする人材を輩出するという,これを最も大切な役割として持ち続けるために,コミュニティ・ニーズに準拠したという意味合いにおいて,引き続きコミュニティ・カレッジという言葉を使用してもいいのではないかというような見解でこの言葉をあえて使わせていただいております。日本版と称しましたのは,当然諸外国における固有名詞としてのコミュニティ・カレッジとは違う意味合いでという思いを込めたものでございます。
 また併せて,専門と教養ということは,この面の機能分化をうたっているわけでございません。当然大学でございますから,教養教育を基盤としながら様々な専門職業教育を展開するという短期大学の特質からして,専門教育と教養教育を分離分化しよう,特化しようという思いは一切ございません。
 併せて,専門教育という意味合いですけれども,これは昭和25年に暫定的な制度として発足したときから,短期大学は専門的職業教育を行う大学であるというような命題を与えられております。それが今日までずっと,学校教育法の整備と相まって,職業又は実際生活に必要な能力を授ける非常にユニークな学校種として位置付けられております。
 職業教育ですけれども,専門職業教育のことばかりを取り上げるのではなく,確かに今,説明ありました幾つかの資格,国家資格につきましては,これに関連する学科の卒業生のほとんどがその分野に就職するということで,短期大学の卒業生のうちの58%がそのような専門的な職業に就いております。
 そういう意味からしても専門職業教育は非常に重要な柱ですけれども,残り40数%の学生は,そういう専門資格ではなく,様々な人材ニーズに応じましていろいろな業種の企業等への就職機会を頂いており,多様な職種に就いております。そういう40数%の学生のこともしっかり意識しながら,汎用的職業能力の育成ということをベースにしてやっていくという構えでございます。
 併せて申すならば,専門学校との差異をしっかり持つためにも,それぞれの資格の指定規則,多くは厚生労働省等他省のルールでありますけれども,それに準拠していればいいという専門学校等との違いを明確にするためにも,そのような専門的資格を取ろうとする学生に対しても汎用的な職業能力をしっかり身に付けさせようと,もちろん教養もというようなスタンスで,お尋ねの教養,専門教育,職業教育,こういうことを整理しているところでございます。長くなりましたが以上です。
【佐々木部会長】  ありがとうございました。
 【山田委員】  21ページに大学に進学することを前提としたファーストステージ教育を行う短期大学の支援とございます。三つ目のぽつのところに,「ファーストステージとして機能するためには,4年制大学における編入学の機会について一層拡大することが課題であり」と書いてございます。そのとおりだと思っておりますし,4年制大学にとっても,短期大学からの学生たちを受け入れるということは非常に大事だというのは,誰もがこの学生人口が減少している中で認識していることだと思っています。
 それに関連いたしまして,確かに先ほど佐藤委員からの御説明がございましたように,50%ぐらいが職業資格を持ってそういう専門的職業に就いていき,残り40何%が様々な職業教育に就いていくということを御説明いただきましたが,実際に現在の短期大学の状況を見ていますと,やはり資格あるいは専門的職業の方は非常に需要があるということで,感覚としてなのですが,4年制大学に本来編入してくる短期大学生はもう少しいてもいいような感じがするのです。しかし,そういう資格化あるいは職業的なコースというのはそれだけで完結してしまうので,逆に言いますと,4年制大学との間のアーティキュレーションが非常に難しくなるのではないかなというように考えるところであります。
 そうしたアーティキュレーションということを考えたときに,例えばどういうような支援の仕方があるのかとか,仕組みがあるのかということもこれからお考えになっていくのかなということを思いました。例えばアメリカなどでしたら,短期大学と4年制大学との間でのアーティキュレーションの制度みたいなものがあるのですけれども,そういうものはまだ日本ではなかなかないものですから,ないといいますか,仕組みとしてなんですけれども,そういうところはどんなものなのかということをお伺いしたい。
【君塚大学振興課課長補佐】  御発言のとおり,確かに仕組みというところで,例えばこのワーキングでも議論があったんですけれども,日本の場合,編入学が定員で定められているというところもございますし,その辺りのところの枠をもうちょっと拡大すべきではないかということや,実際にいわゆる接続教育を行うための例えば競争的資金等を活用した財政的な支援も含めて検討しているところでございます。
【佐々木部会長】  ただいま出ました二つの論点,提示いただいた点についても,これで議論がおしまいというわけにはいかない部分がたくさんあるのだろうと思います。ですから,審議のスケジュールでは必要に応じて検討するとなっていますけれども,いずれ部会若しくは分科会でこの審議のまとめについてしっかり議論ができるような機会を作っていただくことは可能ですか。
【田中高等教育政策室長】  もう一度立てていけば可能でございます。
【佐々木部会長】  本日は立ち入って議論するという時間の保証がございませんので,残り1,2名で次の議題へ移りたいと思います。
【美馬委員】  すみません,質問2点ございます。資料2-1を御覧いただいた方が分かりやすいと思うんですが,機能別分化ということで1,2,3,4,とても分かりやすくまとまっていると思います。
 1点目の質問は,この機能別分化として4点挙げられたものと,その後に書かれている国による支援として3点ありますが,この3番目が,これは大学に進学することを前提としたファーストステージ教育を行う短期大学の支援ということで,機能別分化のところにはこの話は全く入っていなくて,もう一つこういう機能を持たせるということなのかどうかという点をまず1点お伺いしたい。
 それから,一番下の矢印で,これらを行うことによって地方の創生,女性の活躍,高等教育の機会均等の確保とありますが,本文を読んでも,この大きな矢印とここの三つにどうつながっていくのかというのがちょっと分かりにくいと思いました。地方の創生というのは地方でそういう人材を養成するということと,女性が短期大学は多いということで女性の活躍は分かりますが,高等教育の機会均等の確保というのは,これは短期大学に進学する学生が,4年間なかなか行きにくくて早く就職したいという,そういう経済的に困っている人が多いので,そこを増やすという,そのような意味なのでしょうか。2点よろしくお願いします。
【佐藤委員】  実際に資料2-1は,審議まとめから事務局が非常に要領良く図式化してくれたものでございますので,その表現方法につきましてまた事務局からお話もあろうかと思います。
 今,美馬委員の御指摘になった大学への編入学は,これは短期大学の強化すべき機能かどうかという話に通ずると思います。ただ,このことにつきましては,短期大学という学校種,大学の1類型の存在そのものが,初めから大学編入学の道を一つの当然の道として示しておりまして,改めてこれを強化するというような意識は余り強くは持っていないところでございます。
 しかしながら,第2点のことと関係ありまして,高等教育の機会均等を確保するという意味は,多様な国民層の中で,今,委員は経済的な事情のことを御指摘になりましたけれども,そのほか経済状況以外にも,それぞれの地方,地域から離れ難い様々な事情を持った家庭層が相当あると想定されます。中小零細の商工業者の子女をはじめですね。そうすると,そのような方々が地元を離れて大都会の4年制大学にいきなり入ることについてはなかなか難しい。
 その点,短期大学は中小の都市を含めて全国に非常にあまねく存在している。そういう意味からも,大都会の大学進学が難しい国民層に対して細やかな高等教育進学への機会を提供しているのが現在の短期大学であるし,これは今後もしっかりその役割を担って立ちたいという思いもあり,また国の方もそれは支援したいというようなお気持ちから,この図式になったと私は理解しております。
 高等教育の機会均等というのは,もう一つこの本章の中で是非おくみ取りいただきたいのは,短期大学という学びの場は,必ずしも学位課程だけが全てではなく,むしろその後の人生の様々な場で学び直しをするにふさわしい,全国規模で展開している短期大学がそういう機能を担って立てる,またそうであらねばならぬということを書いております。その意味も含めまして,恵まれております大都市の住民だけではなくて,より多くの国民層に対して高等教育の機会均等を確保したいと,そのような思いも込めているところでございます。
【美馬委員】  ありがとうございます。
【君塚大学振興課課長補佐】  概要の表現で,四つの機能分化を推進するのですが,その支援スキームとしては, 1対1ではなくて,この三つの支援スキームを使ってこの四つの機能分化を進めていくということでございます。例えば2番の2の地域創生のリード役となる短期大学につきましても,地域コミュニティ,機能分化の方の2番と,あと,4番の生涯学習機能を兼ね合わせたような形で支援をするなど,そういうようなイメージでおりまして,必ずしも機能分化の四つの視点と支援スキームの三つというのが1対1で対応しているものではないというところを御理解願います。
【美馬委員】  ただ,支援の3番目についてはどの機能にも入らないような気がするのですが。こう書くと,要するに,新たな機能をこれに持たせるというふうに見えますが,違うのですか。
【君塚大学振興課課長補佐】  新たな機能を持たせるというよりは,この四つの中で,例えばファーストステージとして,例えば地域コミュニティの基盤となる人材を養成する際にも3番の支援スキームを使って支援をするとか,そういうようなイメージでございます。
【美馬委員】  何かつながりがよく分かりませんけれども,もう少し補っていただけないでしょうか。
【里美大学振興課長】  すみません。おっしゃっている御趣旨は,基本的には3番の機能ですか。
【美馬委員】  そうです。
【里美大学振興課長】  3番の機能は同じように3番に対応していると見ていただいたらよろしいと思います。基本的に短期大学ですから2年間で,特に教養的な部分を中心に行うような場合はその上に編入学を通じた専門課程が想定し得るということですので,機能的には教養をイメージしているのが中心ではあります。もちろん専門職業人課程であっても,その上に3年制,4年制という編入学をした上で更に高度に専門職になるということも想定され得ますので,3番を中心としつつ1番の機能というような感じでイメージをしております。
【美馬委員】  ありがとうございました。
【佐々木部会長】  本日このアジェンダをどんと据えて議論いただいた方が良かったなという印象を持っているのですが,そういうわけにもいかず,しばらく間がありましたので,今後のこの部会の課題の全体をサーベイしようというのが今日の課題設定でありましたので,少し議論が中途半端で終わりますけれども,それは御勘弁いただきたいと思います。
 安部委員,何か付け加えることがありましたら。
【安部委員】  この8回の審議の中で,今おっしゃったようにいろいろな論議が出てまいりましたし,この大学教育部会でも是非私どもがまとめましたことに関して,御意見を頂戴したいと思います。
 今の美馬委員の大学の進学を前提としたファーストステージ教育を行う短期大学の機能に関しては,これは機能別分化の四つ全てに入るものだと私は理解しております。専門職業人の養成機能がございますけれども,大学に進学することによって更にレベルの高い資格を取ったり高度な技術を身につける。幼稚園教諭養成を例に取りますと,短期大学で第二種免許を取り,更に高い専門知識の習得を目指す者は第一種免許状を取得するために大学に進学する。あるいは教養を深めていく機能。その教養を深めるために,一度社会に出てからまた学びたい社会人の学生に対して,知識基盤社会に応じた職業人あるいは社会人を育成するという機能。そして,現在生涯学習の機関として多様な非学位課程等がございますので,そこで学んだ人がまた大学に進学したいと思うように働き掛けていく機能があります。
 今般まさに地方の創生が国のテーマになっておりますけれども,短期大学が地域コミュニティの人々の全ての人に高等教育を授ける機関になるためにどうすればいいかというような検討をしてまいりたいと考えておりますので,是非御意見を頂戴したいと思います。以上でございます。
【佐々木部会長】  それでは,近い将来に部会若しくはこれ,大学分科会でもいいと思うのですけれども,短期大学の今後の在り方について少し総括的な討論ができる機会をお願いしたいと思います。今日はこれで切らせていただきます。

(3)認証評価制度の見直しに伴う細目省令等の改正の方向性について,文部科学省から資料3-1,3-2に基づき説明があり,その後,意見交換が行われた。

【佐々木部会長】  次も,これは場合によっては議論になってしまうのではないかなと思うのですが,教育の質保証と関わって残されていた課題が評価の問題だったと思います。認証評価だけではなくて,それぞれの大学が学修の成果についてどう評価するか,評価のためのツールの開発も含めていろいろ御提言がありまして,そこへきちんと踏み込む前に審議のまとめに掛かってしまったと,こんなふうに私は記憶しているところです。
 この認証評価を含めて,今後,質保証についてどういう評価の制度を整えていくかと,このようなことが課題になっております。これについて,資料3に基づいてまず事務局から御説明を頂きたいと思います。
【田中高等教育政策室長】  それでは,失礼いたします。資料3-1と3-2を御覧ください。まず資料3-1と3-2の趣旨でございますが,先ほど資料1で説明をさせていただきましたとおり,これまで本部会におきましては,大学教育の質的転換の中で大学の質保証の在り方,その中で認証評価制度をどう見直していくかということを御議論いただいたところでございます。
 この資料3-1につきましては,そのようなこれまでの議論を踏まえまして,制度改正,特に先ほど説明させていただきましたとおり,年度内に向けた細目省令の改正に向けまして特に考えられる事項をこれまでの議論を基に整理したところでございます。ですので,資料3-1は,特に1枚目は,省令改正という非常に限定したものにつきまして整理をしているということでございます。本日は,この省令の改正の方向性について御議論いただいた上で,今後制度改正等について検討してまいりたいと思っております。
 ただ,先ほど佐々木部会長からもございましたとおり,質的転換の評価というものは,認証評価のみならず,いわゆる学修成果の在り方,特に学修成果を認証評価に基づいて各大学の取組を促すのみならず,各大学が実際にどのような取組をしていくか,いわゆる評価の手法とか評価人材の育成,そういうことも広い意味での評価の在り方として課題になると考えられますし,これまでも御議論いただいたところでございます。
 そうしたことにつきましても本日を含めまして御議論いただきまして,そして,それは省令の改正という制度改正以外の事項と致しまして,特に平成30年度からの第3サイクルに向けた認証評価全体の在り方,あるいは質保証の全体の在り方の議論に第8期も含めましてつなげていきたいと考えているところでございます。
 そのような前提の下に,資料3-1のまず1枚目を説明させていただければと思います。この資料3-1は,先ほど説明させていただきましたとおり,細目省令,いわゆる省令改正によって対応が考えられる事項について整理をさせていただいた事項でございます。
 まず,(1)の学修成果や内部質保証を重視した評価の在り方につきましては,これは平成24年8月の中央教育審議会答申におきましても,大学評価について学修成果あるいは内部質保証を重視した評価に改善していくことが必要だということが提言されているところでございます。現在,認証評価制度につきましては,教育研究環境,教員数とか施設設備などのいわゆるインプットを重視した評価という仕組みになっているわけでございますが,これを大学教育の質的転換等の観点から,教育研究活動の状況あるいは学修成果,内部質保証などのアウトプット,アウトカムを重視した評価に変えていくことが必要ではないかということが趣旨でございます。
 そのようなものの第一歩と致しまして,現在,評価を行うに当たっての認証評価制度の認証評価団体の評価基準が,その下に参考にございますとおり省令で決められているところでございます。その内容は,そこにございますように,いわゆる教育研究環境,インプットを重視した評価基準になっているということでございます。
 ただ,先ほど申しましたような趣旨も踏まえまして,平成23年度からの第2サイクルにおきましては,資料3-2の2ページから4ページにございますように,各認証評価団体の独自の取組と致しまして,学修成果や内部質保証,いわゆるアウトプット,アウトカムを重視した評価ということも取組が行われているところでございます。こうした中で,そうした学修成果あるいは内部質保証を重視した評価に改善していくという第一歩と致しまして,省令で位置付けられております評価項目の中に学修成果などを位置付けていくというものが1点目でございます。
 そして,その下,2点目でございますが,評価結果を改善につなげる仕組みということでございます。これは現在,認証評価制度につきましては,評価を行うということまでは制度として規定をされているところでございますが,その後のフォローアップの仕組みが制度上位置付けられていない。大学教育の質的転換という観点から致しますと,評価のみならず,それを実際に各大学の教育改善につなげていくと。先ほどの学修成果などの教育の中身,アウトプットを重視した評価に変えていくとともに,それを実際の各大学の取組の改善につなげていく,そのようなフォローアップの仕組みも充実させていくということが課題となっているところでございます。
 そうした中で,資料3-2の8ページにございますように,各認証評価団体におきましては,国の制度,法令による制度とは別の取組,各団体の独自の取組と致しまして,再評価や追評価などのいわゆるフォローアップの取組を実施しているところでございます。各大学の教育改善に評価をつなげていくという観点から,国の制度,省令においてもこうしたフォローアップの仕組みを省令上位置付けるというものが2点目の内容でございます。
 そして,3点目と致しましては,認証評価の社会的認知度を高めるとともに,高等学校関係者を始めとする幅広い関係者の声を評価に反映するために,高等学校や自治体あるいは産業界など幅広い関係者の意見を聞くことを省令上位置付けるというものでございます。
 そして,4点目と致しましては,評価の質の向上に関する取組ということでございます。資料3-2の14ページにございますように,現在,認証評価団体におきましては,大学評価の充実のための調査研究を実施しているところでございます。このような取組を促進いたしまして,先ほども部会長からも話がございました学修成果の把握のための手法,そういうものの充実などにもつなげていくために,各認証評価団体が評価の質の向上に関する取組を継続的に行っていく,そういうことを制度上も位置付けていくというのが4点目でございます。
 続きまして,2ページ目を御覧ください。2ページ目の上の方,2番目は運用により改善が可能と考えられる事項,いわば運用による取組を各認証評価団体に求めてはどうかという事項でございます。
 まず1点目は,情報発信ということでございまして,これは二つのことを記載しております。一つは,資料3-2の16ページにございますように,各認証評価団体におきましては,評価の取組を通じまして,各大学の特色ある取組などを把握し,それを指摘するというような取組も実施しているところでございます。そうしたことを踏まえまして,各大学が改革に取り組む。これはある意味では広義の評価のフォローアップの一つとも言えるかと思いますが,そうした各大学の改革につなげられるよう,認証評価を通じて把握した特色ある取組などを認証評価団体が積極的に情報発信するということ。そして,2点目と致しまして,認証評価制度についての社会的認識を高めるために,認証評価機関自体の活動全体についても情報発信をしていく。そうした二つの情報発信を進めていくということでございます。
 そして,その下,(2)でございますが,評価の効率化ということでございます。これは評価を受ける大学あるいは評価を行う認証評価団体の方からも,評価の効率化ということは,こういう声は聞かれるところでございます。そうした評価の効率化の観点から,公表資料あるいは既存資料を活用していく,さらに本年度から稼働予定の大学ポートレートあるいは国立大学法人評価との連携などを考えていくというものがその内容でございます。
 その下,3でございますが,法令改正も含めて引き続き検討が必要な事項ということでございます。これはこれまで本部会で頂いた御意見の中で,いわゆる省令改正では対応が難しいものなどを中心に整理をしたものでございます。これにつきましては資料1でも御説明をさせていただきましたとおり,省令,法令という枠をはめるのではなくて,法令改正も含めまして,あるいは運用も含めまして幅広く御意見を頂いた上で,まずは省令改正につきまして年度内に実施をしたいと考えておりますが,法令改正事項も含めまして幅広く御議論いただき,必要なものにつきましては更に第8期も含めて議論をし,平成30年度から第3サイクルへの改善につなげていきたいと考えているところでございます。
 そうした前提で,最初の丸でございますが,機能別分化の進展に対応した取組ということでございます。機能別分化あるいは各大学の特色ある取組への評価の視点からの支援という観点から,現在,資料3-2の26ページあるいはその下の参考にございますように,各認証評価団体におきましては,法令に基づいて共通に行う評価に加えまして,例えば地域貢献に関する評価あるいは国際化に関する評価,職業教育に関する評価などをいわゆるオプションのような形で実施するという取組を開始しているところでございます。
 こうした機能別分化の進展あるいは各大学の取組,特色を支援する評価の推進も求められるところでございまして,こうしたものにつきましては引き続き御議論いただきたいと考えているところでございます。その際,特に法令に基づく共通の評価に加えて,オプションとして評価が実施されているということになっているわけでございますが,これは評価を受ける大学の側(がわ)からすれば二重負担ということもございます。そうした際にこうした特色ある評価を受ける際に共通の評価項目の方を例えば簡素化するというようなことも考えてはどうかというようなことを,これまでの部会でも御意見としていただいているところでございます。そうした特色ある評価を行った場合の共通の評価項目の扱い,いわゆる特例的な扱いも含めまして,今後とも御意見を頂ければと思っているところでございます。
 そして,その下,下から4番目の丸でございますが,これは認証評価の性格そのものについての御意見を頂いているところでございます。具体的には現在,認証評価制度につきましては,大学設置基準等の共通の基準に基づく一律の評価あるいは外形的な教育環境を中心とした評価となっているところでございます。こうした評価につきまして,各大学の改革を支援するための評価と致しまして,各大学が自ら掲げる目標,水準に対する評価,いわゆる達成度評価というようなものを重視してはどうかという御意見も頂いているところでございます。このような観点から考えられることは,先ほどの学修成果の評価あるいは内部質保証の評価ということも考えられると思いますし,それから,機能別分化の進展に対する評価ということもこのような観点から考えるところではございます。そうしたものも含めまして,認証評価制度の性質,在り方も含めて御議論いただければと考えているところでございます。
 そして,下から3番目の丸でございます。不適格判定を受けた場合の措置などにつきましては,これは法令上あるいは認証評価団体のルールにおきましても明確な取扱いが規定されていないという部分も指摘があるところでございます。そうしたものも含めまして,評価結果の活用の在り方について御議論いただければと考えているところでございます。
 そして,下から2番目の丸でございますが,認証評価機関に対する評価の在り方。こちらは認証評価機関の認証につきましては,一度認証を受けた場合には再度チェックするという仕組みがないところでございます。これまでのこの部会の会議の中でも,認証評価機関に対する定期的なレビューが必要ではないか,あるいはいわゆるアクレディテーション団体の認可とか,団体相互の情報交換,交流あるいは公募などを行うといたしましてアメリカにはCHEA(Council on Higher Education Accreditation(全米高等教育機関基準認定協議会))という組織がございます。そうしたことも踏まえながら,認証評価機関に対する評価,いわゆるメタ評価についても検討することが必要ではないかという御意見を頂いているところでございまして,そうしたことも踏まえまして御議論いただければと考えているところでございます。
 一番下の丸でございますが,認証評価のサイクル。これにつきましては,7年,5年という期間の長短,あるいは諸外国で見られるような,優れた評価を受けた場合には次回評価の特例を設けるなどのいわゆる弾力化の取扱い,そのサイクルの期間と弾力化ということにつきましてこれまでも御意見を頂いているところでございまして,そうしたことも含めまして御議論いただければと考えているところでございます。
 特に本日,さらには第7期におきましては,資料3-1の1枚目にございますような省令改正で対応していくというものにつきまして集中的に御議論いただいた上で,それに限らずに認証評価全体の在り方について,資料3-1の2枚目にあるような事項も含めまして幅広く御議論いただければと考えているところでございます。
 資料3の説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
【佐々木部会長】  ありがとうございました。
 それでは,資料3-1についてただいま御説明いただきましたが,これについて御意見,御質問ございますか。
 【濱名委員】  大きな方向についての考え方は分からなくはないのですが,そもそも論のところが完全に抜け落ちているということを申し上げたいと思います。
 質的転換答申を御覧いただきたいと思うのですけれども,質的転換答申の中で,5ページのところに双方向の意見公開や客観的なデータ重視の視点ということで,こちらの答申を見ていただきますと,ある程度データベースできちんと議論していくというポイントが1点。それと何よりも,15ページのところに,上から7,8行目になるかと思いますが,なお書きのところで,大学としての学位授与の方針に対してとともに,全学ディプロマ・ポリシーということがこの答申に書かれています。更に言えば,17ページの下から5行目に,「その成果をプログラム共通の考え方や尺度(「アセスメント・ポリシー」)にのっとって評価し」というのが出てくるのですね。
 内部質保証システムというのは,実は全学の学位授与の方針に基づく学部・学科単位,もう既に省令の中に学部・学科のディプロマ・ポリシーやアドミッション・ポリシーについては書かれてあるのですけれども,規定が義務付けられていない全学ディプロマ・ポリシーを前提として各学部・学科のディプロマ・ポリシーとかアドミッション・ポリシーを見ていこうという話になっています。それにもかかわらず,それが省令に盛り込まれないまま今日に至っているというところを考えますと,やはり全学学位授与に対する大学としての考え方と,それとアセスメント・ポリシーはわざわざ質的転換答申の中に入れたわけですし,アセスメント・ポリシーというのはまさにそれぞれの大学の特色と到達目標がどういうふうに達成できるかということについて見るための用語として作り出したわけですから,そのことが省令にないままにもかかわらず,そのディテールのところを省令で規定するというのは違和感があります。私はやはりそもそものところをまずやらなければ話にならないのではないかと思います。
 残念ながら現行の規定が省令としてそこまでしか書けていないので,認証評価団体の内部質保証に対する評価基準を見ると,もちろんのことながら,全学ディプロマ・ポリシーとかアセスメント・ポリシーとは全くかけ離れた形での,4団体とも全部そうですね。ですから,やはりそれはそれぞれの大学の個性と責任を持った到達目標を設定して,それをいかなるアプローチで評価するのかということは一番初めに規定しなければいけないのではないかと思います。
 ちなみに,たまたま今日は原稿執筆の関係で「大学教育のアウトカム」というIDEの2014年5月号の特集を見ていると,やはりかなり現実は厳しいですね。これは大学振興課が実施している調査ですけれども,どういう形で学修成果を評価するのですかと聞くと,ポートフォリオというのがせいぜい8割,ほかの共通テストとかルーブリックとかはまだ5,6割しか出てこなくて,中には,学生と面談しているから質保証はできているとか,そういうことが文部科学省に対する回答のフリーアンサーで出てくる状態です。
 それはやはり明らかに内部質保証の仕組みとしては,まずはポリシーを明確化してもらう。それは各大学の責任というところからスタートしていかないと,申し訳ないですけれども,今日出てきているのは,それがあった上で初めて機能するようなディテールではないかと思います。
【田中高等教育政策室長】  この資料番号3-1の細目省令は認証評価に関する省令を想定していまして,御指摘は,いわゆる認証評価の省令ではなくて,大学設置基準そのものの方を変えていき,大学の方の取組につなげて,それを評価するものにしなければ,認証評価の方だけを規定しても実質化が図れないという趣旨ではないかなと受け止めております。
 先ほども申しましたとおり,大学教育の質転換の下の大学の質保証というのがこの第7期の御議論の検討課題でございますし,設置基準の改正につきましても,これまではサテライトキャンパスとかそういう議題でございましたが,設置基準の改正も審議事項ではございますので,そういう観点からの御意見も頂ければと思います。
 ただ,認証評価の関係につきましては,認証評価団体が既に第2サイクルの中で取組をしている中で,その取組を生かしていくという観点から,認証評価制度の細目省令の改正にまず着手をさせていただけないかということでございます。その認証評価制度の省令の改正とともに,設置基準の改正ということも必要に応じて御議論いただき,検討させていただきたいとは思っておりますが,認証評価制度につきましては,第2サイクルで評価をする側(がわ)の方の取組,評価機関の取組を更に充実させるためにこのような資料3-1のような提案の仕方をしているところでございます。
【濱名委員】  よろしいでしょうか。やはり内部質保証の評価基準を議論するときに,そもそも前回の答申の中で盛り込まれていたものが棚上げされた状態で認証評価の仕組みのところだけ触るとする場合,現行の基準を見ても,やはりそのことに対して全く影響力がない。答申が答申として棚ざらしされているという一つの例になってしまっていて,自己点検評価の基準自体が明確ではない。これは大学振興課の調査結果を御覧になってそういうふうにお感じになっておられないのかとむしろ伺いたいぐらいなのですけれども,そことセットで変えないとやはり機能しないのではないかと思うのです。ですから,そこのところについては是非併せて御検討いただくというようにお願いできればと思います。
【金子委員】  私は少し違う観点ですが,先ほどの御説明で,評価がインプットからアウトカムの方にだんだん視野を広げてきているという説明がありましたが,私はそれはそのとおりだと思います。ただ,私はこの時点でそろそろインプットももう1回考え直すべきではないかと思うのです。特に教員1人当たりの学生数というのは,これは教育条件を測る上での非常に基礎的な比率でありますけれども,ここでは省令の中にも含まれていません。
 それから,大学設置基準を見ますと,大学設置基準で設定されている学生数の基準は相当緩い。社会科学系で1,000人ぐらいの学部ですと,教員1人当たり70人とかそういう形になります。実質的な歯止めは,科目の配置があって,それに必要な教員を配置するために,小規模大学では実質的には教員1人当たりの学生数は相当少なくなるのですが,大規模大学では実際この歯止めはほとんど掛からない状態です。
 それで,これは私は大学ポートレートで大学横並びのデータを是非入れてくださいと申し上げたのですが,なかなか入れていただけない。データベースで基本的にやはりなければいけないと思うのですが,ある調査で見ましたらば,社会科学系で,教員1人当たりの学生数が40人を超える大学が社会科学系の大体半分,学生数で数えますと半分です。やはりこの条件が非常に大きな問題です。
 これは今までタブーだったと思うのです。やはり日本の大学,高等教育がここまで大衆化してくるときには,学生数を増やして対応しなければいけなかった。ただ,これからやはり質的な改善をしていくためには,こういう条件についてもやはり正面から考え直さなければいけないのではないかと思います。
 こういう問題を申し上げますと,やはり国立大学と私立大学の差が大きいという話になるのですけれども,確かにそれはそれで,国立大学は恵まれているので,それはそういう条件を生かさなければいけないことは事実ですが,しかし,むしろデータを見ていてよく分かりますのは,私立大学の中でもばらつきが非常に大きいです。一般的には,大規模大学の特に社会科学系での教員1人当たりの学生数が非常に大きい。これがかなり高質な教育をできる条件を作っているのかどうか,やはり私は非常に大きな問題だと思います。それからもう一つは,やはり1991年に設置基準が緩和されて以降,非常勤教員が非常に大きくなって,今,常勤教員の1.4倍ぐらいになっています。
 こういう状況をかなり外形的に把握できるもの,しかも大学間を比較できるものについても正面からやはり議論を行うべきだと思います。例えばアメリカなどは,大学に関する基本情報としては,やはり教員1人当たりの学生数というのが出ているわけであります。そういう意味で,本当にできるのか。それから,接続も問題になっていますが,今の教員と学生比でもってきめ細かい接続ができるはずがないわけでありまして,そういう意味で,基本的な外形的基準,インプットに関してもやはりきちんと正面から問題にすべきだと思います。以上です。
【佐々木部会長】  ありがとうございました。
 【川嶋委員】  何点かあります。1点,濱名委員のフォローをすれば,大学設置基準が,大学あって学部なしというか,学部・学科を基盤としてそれぞれ今の教員数等も作られているという,そういう仕組み自体がそもそも大学としてどういう方向を示すかとか,どういう方針を作るかというところに非常に難しいところがあるという,これはもう常々言われてきたことだろうと思います。それは設置基準を見直してほしいということはこれまでも審議会等でも何人かの委員の方々から出てきたかと思うのですけれども,非常に大きな仕事になるものですからすぐにはできないという対応だったと思います。
 それは置いて,認証評価についていえば,一つは,実際に携わってみて幾つか問題があるのは,例えばいわゆる研究型の大規模な大学でも,大学院についての評価というか点検が非常に甘い。学士課程というのは幾つか答申が出てきて,教学マネジメントについても,あるいは学修の実質化,単位の実質化についてもかなり各大学認識して改革を始めているのですけれども,大学院課程については,リーディング大学院とか大学院に関する答申が出ても,まだまだ学士課程に比べると教育の実質化,体系化というのは進んでいない。全ての認証評価団体の基準を周知しているわけではありませんが,ある団体ですと,言い方が悪いですけれども,学士課程に付け足しみたいな形で行われている。だから,学士課程のマネジメントは全学的に行われていても,大学院課程については全学的なマネジメントは行われていないという,それが1点。
 それに関連すれば,大学院課程については分野別の評価をどう認証評価で入れていくかというところですが、修士課程相当の専門職大学院は既に分野別がありますけれども,大学院のレベルでの分野別というのは,やはり世界的な評価を得るためにはこれから必要ではないかというのが1点。
 それから,2点目は内部質保証システムについてです。これはいろいろ研究者によっても団体によっても捉え方は違うかと思いますが,内部質保証システムを重視した形での第三者評価に変わっていくとすれば,内部質保証システムがそもそも機能しているかどうかということを具体的な例えば分野なり学位プログラムを取り上げて見ていくということが必要です。大学基準協会は従来,学部ごとに評価されていましたけれども,第2サイクルからはそれはやめられたということもあるのですけれども,やめられた事情はどういうことかということを含めて,内部質保証システムが機能しているかどうかの確認を,やはり特定の学位プログラムをサンプリングした上で,本当に機能しているということを大学は自ら証明していく,そのような認証評価の在り方に変えていく必要がある。
 最後ですけれども,フォローアップについてはまた,認証評価の今の仕組みが7年以内に1回,文部科学省から認証を受けた評価団体のどれかから評価を受ければいいという仕組みになっていて,やはり受ければいいから,評価団体も評価すればいいという,そのようなやりっ放し,受けっ放しになります。その辺をアメリカの地域団体のように,地域アクレディテーションのようにメンバーシップ制にするのかどうかということも含めて考えていかないと,やはり受けっ放し,評価しっ放しということになってしまうのではないかと思います。以上です。
【浦野委員】  今かなり基本的なところの議論があって,私もそこのところの理解は非常に乏しいのですけれども,大学関係者以外の目から見たときに,こういう評価自体が誰のために必要かという部分です。もちろん大学の自己改革のために,内部質保証のために必要なのだというのは大前提なのですけれども,やはりここへ来て,それ以外のステークホルダー,例えば海外から日本の大学に留学しようとしている人たち,あるいは一般企業とか一般の国民の目線,あるいは受験生とか,そのような目で見たときに,やはり認証評価ということだけではなくて,例えば毎年行われるであろう法人評価や,あるいは大学の中では達成度評価みたいなことも行っているでしょうし,今後ガバナンスの中で学長の業績評価とかそういうこともあって,やはりステークホルダーによって求めるものが違うと思うのです。
 そういう意味で大学ポートレートがある意味非常に期待されていて,今言ったような評価をある意味ポートレートの中でも見えるような形にしていただかないと,結局,大学関係者以外の外部から見たときに,この評価が何のためにされて,どのように利用されていくか非常に分かりにくいと思うのです。そのような意味で,先ほど金子委員がおっしゃったような部分を含めて,大学ポートレートにいかに結び付けていくのかというところも是非御議論いただければと思います。
 今日の資料3-1の最後の方,3の法令改正も含めて引き続き検討が必要な事項というのは,我々外部の目から見ると,是非これを進めていただいてですね。こういうものがないと,なかなか外部からは大学を見る目が欠けてくるということですので,是非多様な評価に耐えられるようなものを作っていただければと思います。以上です。
【黒田副部会長】  ありがとうございます。認証評価のこの問題,今,第1サイクルが終わって,第2サイクルに入って,相当の認証評価機関が今までの評価の在り方というのは余り好ましくないと思っています。ただ評価を受ければそれでいいのだ,その結果がどうであれ関係ないということになっていたわけです。第2サイクルに入って,各大学の持っている特徴,特色をしっかりとやはり見ていく必要があるだろうと。それから,学修成果,質保証の問題も見ると。そのためには,各大学が計画を立てている目的に向かっての自己点検評価がどこまで進んで,それが実質的に内部で機能しているかどうかということを見るようになってきているわけです。これは第2サイクルの各評価機関が今行っている内容だと思うのです。
 第3サイクルに入るための評価の在り方というのはまた今,検討に入っているわけですけれども,その中で一番問題になるのは,各評価団体がどちらかというと法令的に何にも制約もないところで今動いているわけです。しかし,それが外に分からなくなってきているという。各評価団体が行っている内容というのがそれぞれの評価団体で違ってきているわけです。これは評価団体の調整会議なんかで今,調整を行っているのですが,非常に難しい面があります。
 特に私立大学の場合は,いろいろな大学がいろいろな目的を持って行っていますし,建学の精神がそれぞれありますので,それに基づいた計画を立てて行っている。その計画をどう評価するかということになるのですね。したがって,ここで言っている認証評価制度の見直しに伴う細目省令というのは,私は是非,早いうちに作る必要があると思うのです。
 一番問題になるのは,学部教育の在り方,これは,学士課程ということで行っているのですが,学士課程で学位に基づくプログラムを作られている大学がどれぐらいあるのだろうかというと,ほとんどないのではないかと思うのです。在籍する先生方の科目を並べて,これが何々学科ですというところが多いわけです。それを評価するときに非常に困るわけですね。設置基準ではそれできちんと達しているわけですが,プログラムを見たときに,これでいいのだろうかということがあるのです。現時点で学位に基づくプログラムを厳密に評価すると保留や不適合が出たりします。
 それのフォローアップを一応行ってはいるのですが,これは法的責任がありませんので,大学と話合いでフォローアップの仕事をすることになります。これは評価機関にしてみると余分な仕事ですけれども,そこまでやらないと実際には大学のためにならないと思います。とにかく大学のためになる評価を行っていきたい。その結果をきちんと記者会見で公表もしていますし,ホームページでも載せるという,そういうところまで行っているのですが,いかんせんこれが一般社会にまでまだ見えてこない。見せるためにはポートフォリオというものが今度できるわけですが,そちらの方ともうまく連携をしていけたらなと思います。
 ですから,先ほど問題にありました,設置基準が,組織としての大学の規定からプログラムとして学位課程に基づくプログラムが作れるような方向にやはり指導していただかないと,なかなか改革が進まない。その改革を進めるために今度,学校教育法の改正まで行ったわけですけれども,是非ともそれは早く進めていただきたい。この認証評価の制度の問題としては,今言ったような,各評価機関が行っていることの裏付け,これが公に公認されるような格好で是非細目の規定を作っていただくことが大事だろうと思っています。
【佐々木部会長】  ありがとうございます。
【濱名委員】  少し付け加えさせていただきますと,分野ごとの差は,これは大学振興課が行っている調査のデータで見ると,理学と人文・社会科学が問題だと指摘しています。さきほど金子委員が言われたように,人文・社会科学の分野については様々な大きな問題を抱えている。大学設置基準の見直しをしなければ,大学設置基準はスケールメリットを保証する仕組みになっていますので,大規模大学になればなるほど実は学部数が増える。学部数は増えるけれども,全学としての基準やスタンダードを作ることを要求していなければ,当然のことながら大学全体の質保証のチェックの仕組みを認証評価でみることは難しい。
 ですから,今,黒田委員がおっしゃったように,細目を作っていくときに,いわば規制緩和の後,それぞれの大学で学部数が増えていますから,認証評価を1大学7年に1回受けるにしても,十何学部の大学と単科の大学が,現状としては同じ基準で,なおかつばらばらに作られているとか,あるいは省令で求められていないということについては,それぞれ認証評価団体ごとの多様性まで含めてみるとチェックのしようがない。ですから,その辺りについては,認証評価の基準だけの改正で,制度的なコントロールはできないというスタートラインに立っていただく必要があるのではないかと思います。
 やはりこの後を考えていきますと,高等教育が直面する状況というのは,学校ごとにものすごく多様性が出てくるわけです。まだ定員の管理も行っていないわけですから,定員の管理も行ってなくて,政令都市でもその地域の中の入学定員を入学者が下回るというところがもう出始めているわけですから,そこまで考えていくと,やはり全体のシステムとして考えていくときに,恐らく認証評価に関する省令だけではなくて,そもそもの基準を見直していただかないと,これは全体の仕組みを機能させることは難しいです。幾らガバナンス改革で学長に権限を集中しても,十何学部の学部があるところの学長の権限を担保するだけでは,恐らく実質的には省令や設置基準で規定したものに基づかなければリーダーシップは発揮できないのではないかというところがありますので,その辺を是非併せて御検討いただくように重ねてお願いしたいと思います。
【佐々木部会長】  よろしいですか。私は,本部会の基本的なアジェンダは大学教育の質保証,教育の改善というところにあって,これは黒田委員がおっしゃった,学位プログラムに基づく課程教育としてこれをどう定着させるかということが課題であったわけですね。私はその質保証を進めていく方法として,認証評価制度を取り出してこれを改善していくということは一つの手法だとは思うのです。しかし,濱名委員が指摘されたように,実はそのためにも,それぞれの大学が質保証の評価がきちんとできるような制度,仕組み,ツールを持っていなければいけない。そこで恐らくこの答申でまとめるための議論が終わっていたと思います。ですから,そこを少しフォローアップする必要があるという御意見はごもっともだと思うんです。
 加えて,金子委員あるいは黒田委員の御意見もそうだと思うのですが,教育の質保証のために,入り口のところでやはり基本的な外形的な基準も含めた点検が要るのではないかと,こういう問題も提起されました。
 このように,この問題の議論の仕方,入り方というのはもう少し精査をして組立てをしながら取りかかっていかないといけないように思います。この部会の審議スケジュールでもこの評価の問題はかなり優先順位で位置付けられていると思いますので,次回に,質保証のための評価制度全体の問題の中で,認証評価制度はどういう意味を持っているか,あるいは各大学のアセスメント・ポリシーを促していくためには何が必要か等,そもそも論を少し事務局の方で整理して提示していただく必要があるのではないかと,このように今この場の議論を伺って考えるところです。
 本日はいずれにしてもこの問題でこの先議論を進めることが時間的に不可能ですので,認証評価制度の見直しについてはそういうところで一応議論をまとめさせていただいて,次回以降に送りたいと思います。
【鈴木委員】  佐々木部会長がそのようにおっしゃるので,私も発言をよそうかなと思っていたんですが。私は今,皆さんがおっしゃったことは誠にそのとおりだと思うのです。細目の省令に関しても行っていかなければいけないと思うのですが,例えば先ほど濱名委員が最初に,アセスメントのポリシーが全くないのではないかとおっしゃり,あるいは金子委員が,アウトプット,アウトカムということをおっしゃったけれども,インプットのことが私大の社会科学系に関していえば大変多いのだということ等いろいろ聞いてくると,この議論とはちょっとかけ離れているように思うのですが,要するに,教育に掛かるコスト,お金というのが日本の場合には余りにも少な過ぎるというふうな印象を私,非常に持っております。
 これ,言い古されて,誰でも言っていますが,例えば私が今,学長を務めている大学で3年生は全員海外に出すのですけれども,例えばアメリカのリベラルアーツの大学に1人学生を出しますと,向こうは授業料を4万ドル,400万掛けているわけです。うちは学生の単位互換は1対1でやっていますから,学生はこちらの授業料払って4万ドル,400万の授業を受けて,向こうは400万の授業料払ってこちらの70万の授業を受けているわけです。
 こういう6分の1ぐらいの授業料の差があるところで,我々,質の保証やら,質やら,インプットやら,アウトプットということを話しているということなのですけれども,この数値的な現実を本当に見ないと,あるいは見直さないと,どうも議論が全く上滑りだけでいく可能性があると。それで,これの細目も決まってきて,結局は現実に実際に何も生じないのではないかと。そう言うのも言葉が過ぎますが,そういう数値的な現実があるのだということをよほど考えないと,アメリカではこのように行っています,だけど,4万ドルを取っているのですよということが認識としてはあると思います。
【佐々木部会長】  御意見ありがとうございました。
次回以降,議論の仕方を事務局と打ち合わせて,取りかかり方,これを少し工夫したいと考えます。大変申し訳ありませんが,時間が迫っておりますので,この評価の問題については次回に持ち越させていただきたいと思います。

(4)中央教育審議会総会(7月29日)における諮問内容について,文部科学省から資料4-1,4-2,4-3に基づき説明があり,その後,意見交換が行われた。

【佐々木部会長】 さて,次に,教育再生実行会議の第5次提言及び文部科学大臣からの諮問事項について,確認の上,審議するというスケジュールになっているのですけれども,恐らくこれについて審議をする時間を本日は取ることはできないと思います。少なくとも今回は,教育再生実行会議の第5次提言及び文部科学大臣の諮問事項について,その内容を事務局から御説明いただいて,審議については次回以降に重ねてまいりたいと思います。
【白井大学振興課課長補佐】  失礼いたします。教育再生実行会議第5次提言の関係でございますけれども,大きく分けまして2点,こちらで御審議いただきたい点がございます。資料4-1の方が国際化に対応した大学・大学院入学資格の見直しというもの,それから,資料4-2の方が高等教育機関における編入学の柔軟化に向けてというものでございます。
 先に資料4-1の方を御説明させていただきます。教育再生実行会議第5次提言の中で,高等教育機関における編入学等の柔軟化という項目の中に,学制の異なる国からの留学生受入れなど国際化に対応できるよう大学及び大学院入学資格において課している12年又は16年の課程の修了要件を緩和するという御提言がございます。これに基づいて,現在,文部科学大臣の方から中央教育審議会に対して諮問が行われているという状況でございます。
 この入学資格に関する現行の制度でございます。2番のところですが,現行制度においては,外国の学校を卒業した者が我が国の大学・大学院に入りたい場合には,主に大きく二つの枠組みがございます。一つは,課程の修了等要件でございます。大学学部への入学の場合ですと,外国において学校教育において我が国と同じように12年の課程を修了していることということが求められています。大学院博士課程前期においても,同様に16年の課程を修了していることが求められております。一方で,博士後期課程についてはこういう課程の修了要件はないという状況でございます。
 もう一つは年齢に関する要件でございまして,現在,各大学では各学生の個別の学修履歴等を判断して個別入学資格審査というものが可能になっておりますけれども,そのような場合には,大学段階では18歳,大学院博士前期では22歳というような年齢の要件が掛かっているという状況でございます。
 なぜこのような要件を課しているかということでございますけれども,それぞれの国,諸外国の制度を尊重して,学校教育における教育内容の相当性に立ち入らずに我が国との接続を担保するという観点から,便宜上こういう課程年数をとっていたり,あるいは相互の円滑な制度的接続を担保するために年齢の要件を課しているというような状況でございます。
 次に2ページにお進みいただきたいと存じます。現在こういう制度をとっているということから,課題としましては,例えば諸外国においては,高等学校卒業までの教育課程が我が国や多くの国と比べて短い10年や11年であったりとか,あるいは大学卒業までの教育課程が14年15年であるというケースも生じてございます。
 こういう場合に現在どうしているのかということですけれども,例えば外国の大学・大学院,その国の大学・大学院に進学をしていただいて12年,16年の教育要件を満たしていただくとか,あるいは我が国における準備教育課程に進学をしていただいてから所定の課程を修了するとか,あるいは年齢が上がるのを待っていただくとか,いずれにしても一定の待ちの時間が生じてしまったりとか,なかなか便宜が良くないという問題がございます。そのために実際に日本の大学への進学を諦めるということも生じてございます。また,個別入学資格審査とか飛び入学とかもう少し緩やかな要件のこともございますけれども,特に大学によって入れていたり入れていなかったりということもございまして,外国人の方にとってはハードルが高いというような状況がございます。
 こういう中でも我が国においてグローバル人材育成のために,大学の国際化,留学生交流の推進ということが求められており,5次提言についてもこういう観点からの御提言であるというふうに捉えております。
 ちなみに,後ろの方の資料を御覧いただきたいと思いますが,資料の参考1を次の次のページにお付けしてございます。横表のようになったものでございますけれども,諸外国における教育課程の年数についてという表を全体の4ページ目に載せてございます。この表で見ていただきますと,主に12年,16年の課程というのがございますが,両方満たしているもの,片方しか満たしていないもの,あるいは両方とも満たしていないものというように四つのパターンに分けられます。
 主要な国から見ていきますと,例えばパターン1,12年の高等学校までの課程,それから,大学の学部が4年間中心のものでございますけれども,こういうものが一番多いパターンでございます。例えばアメリカやメキシコあるいは中国,韓国は,日本と同じように基本的には12年プラス学部の4年という形になってございます。
 一方で,パターン2の場合でございますけれども,マレーシアでは高等学校までの教育課程が基本的に11年間ということでございまして,日本の大学に直ちに進学するということはできない状況になっていることがございます。
 あるいは,パターン3でございますけれども,主なところとしましては例えばフランスやフィンランドなど,高等学校までの卒業課程は12年ございますけれども,大学の学士課程が3年であるパターンが多いということから,16年の課程の方は満たさないというようなことがございます。
 それから,パターン4,例えばロシアやウクライナなどですけれども,大学の学部教育は4年間あるのですが,高等学校までの卒業までの課程が11年しかなくて,結局,12年課程を満たすことができず,また大学院に進学する段階においても11年プラス4年のトータル15年しかないということで,こちらも満たすことができないというようなことが生じてくるというのが現状でございます。
 次の参考2のところに,学生支援機構のデータでございますけれども,各国からの留学生の出身国の状況が出てございます。主に今,アジア地域が非常に多くなっているという状況でございます。
 その次のページでございますけれども,各国の留学生の状況が出ております。中国が全体の60%,また韓国が約11%ということで,この2国が非常に圧倒的に多いという状況になってございますけれども,今,日本政府としては特に東南アジアとか,あるいはロシア,旧CIS諸国を重点地域として,このような国からの円滑な留学生の受入れということを考えているところでございます。例えば先ほどの資料にございましたけれども,マレーシアとか,あるいはロシア,ウクライナというような国もまさにこの12年,16年の教育課程を緩和するとより多くの留学生が期待できる地域かなというところでございます。
 この件についての説明は以上でございます。
 話が急に変わりまして大変恐縮でございますけれども,資料4-2の方にお進みいただきたいと存じます。高等教育機関における編入学の柔軟化に向けてという御提言をもう一つ,この教育再生実行会議から頂いております。「国は,高等学校専攻科修了者について,高等教育としての質保証の仕組みを確保した上で大学への編入学の途(みち)を開く。国は,省庁の枠と越え,意欲ある学生が更なる学びの機会が得られるよう,職業能力開発大学校・短期大学校における学修を大学の単位認定の対象とするとともに,これらの職業能力開発施設から大学への編入学についても途(みち)を開くよう検討する」という御提言を頂いておるところでございます。
 高等学校専攻科あるいは職業能力開発大学校等につきましては,第6期の大学教育部会大学分科会でも御議論を頂きまして,現在では,職業能力開発大学校・短期大学校等における学修について,大学における単位の認定の対象にする学修ということが認められているところでございます。ここでは特に編入学についても言及がございますけれども,現行制度についてでございますが,現行では大学への編入学についてはかなり限られてございまして,短期大学,高等専門学校若しくは一定の要件を満たす専門学校,この三つの類型からの編入学しか認められていないという状況でございます。
 一方で単位認定につきましては,先ほど申し上げましたように,職業能力開発大学校とか,あるいは学位授与機構の課程の認定,これは大学と同様に学士あるいは修士等の学位を授与できるということについて課程認定を授与機構の方から受けている省庁系大学校,例えば防衛大学校とございますけれども,そういうところにおける単位については大学の単位として認めるということになったところでございます。
 次の2ページにお進みいただきたいと思います。2ページの上に表を掲載してございます。この表の中では,一番上から単位認定,編入学,それから,学位授与機構による課程認定というように掲載してございます。また,上の横の欄でございますけれども,短期大学・高専・専門学校,それから,省庁系の大学校,高等学校専攻科というふうに並べてございます。
 現在,この単位認定のところで,省庁系大学校のところ,一番上の段の真ん中の辺りですけれども,この三つの丸が,これまで従前駄目だったものがこれまでの大学教育部会の議論を踏まえまして今回丸になったものでございます。
 今回検討課題とされておりますのが,省庁系大学校から大学への編入学,それから,高等学校専攻科については,大学における学修の対象とする単位として認めるかどうかも含めて編入学までどうするのかということでございます。
 2ページの下の方,見直しの必要性というところでございます。第6期の大学教育部会におきましても,省庁系大学校における学修の単位認定に関する議論におきまして,様々な教育機関における多様な学修機会が確保されるとともに,教育機関相互における流動性の高い接続の仕組みを構築していくことが必要という指摘があるところでございます。現在,高等学校専攻科とか,あるいは職業能力開発短期大学校を終えた学生については,大学に編入学を直接することができないがために,新たに大学1年次からやり直さなければいけないという状況でございます。そういう方にとっては,現在,進路変更等に当たっての阻害要因となっている部分もあるということでございます。
 前回の大学教育部会の議論におきましても,今後の検討に当たっては,特に編入学についてはどういう要件が必要なのか,とりわけ編入学の対象とする機関の教育目的や教育内容等の大学相当性とか,あるいは教育課程の組織性,体系性はちゃんと確保しているのか,教育の質を保証するためにどういう仕組みがあるのかと,そのようなことについても十分に配慮しながら議論してはどうかという御指摘を頂いているところでございます。
 この件について,説明は以上でございます。続いて,初等中等教育の担当の方から説明がございます。
【高見教育制度改革室専門官】  それでは続きまして,お手元の資料4-3を御覧ください。高等学校専攻科から大学への編入学についての資料でございます。
 まず1ページを御覧ください。大学への編入学につきましては,短期大学,高等専門学校が従来認められたところでございますが,平成10年の学校教育法改正に伴いまして,修業年限が2年以上で全課程で1,700時間以上等の要件を満たす専修学校の専門課程,いわゆる専門学校修了者の大学への編入が可能となっているところでございます。
 一方, 2ページ目の上の図にありますように,高等学校専攻科から大学への編入学については現在認められていない状況にございます。今回,先ほどの説明にもあったように,教育再生実行会議において,学修者が目的意識に応じて自らの学びに柔軟に発展させるとともに,様々な分野に挑戦することができるように進路変更の柔軟化を図ることが必要との考えの下,高等学校専攻科修了者について,高等教育としての質保証の仕組みを確保した上で大学への編入学の途(みち)を開くこととされたところでございます。それに従って今回御審議をお願いするものでございます。
 少し飛ばしまして,3ページの下の方を御覧ください。高等学校専攻科につきましては,学校教育法におきまして,精深な程度において,特別の事項を教授し,その研究を指導することと規定されており,修業年限は1年以上,入学資格は原則,高等学校等を卒業した者となっております。専攻科を設置する高等学校につきましては,平成24年度で138校,約8,000名が在籍しているところでございます。専門分野別では看護が最も多く,次いで水産,工業となっているところでございます。
 続きまして, 4ページの上の図は,専攻科における教育の実施例を示したものでございます。図にありますとおり,例えば看護の分野につきましては本科3年で准看護師の受験資格を,専攻科2年で看護師の受験資格を得ることができることになっておりますが,本科2年と専攻科2年の養成課程修了者は,4年制大学の1年次に入学するという状況になってございます。
 その後,5ページから6ページのところまでは,高等学校専攻科の生徒数,教員規模別の学校数,施設の状況などを示したものでございますが,学校によって様々な形態がある実態となってございます。
 6ページは,高等学校専攻科の修業年限と実施授業数の状況でございます。こちらを見ていただきますと,修業年限につきましては,法令では1年以上とされていますが,実際にはほとんどの学校で2年に設定しているという状況でございます。また,総授業時間数についても1,700単位時間,年間授業時間数についても800単位時間を超えるものが大半を占めているという状況でございます。
 続きまして, 7ページの上の表でございますが,専修学校専門課程と高等学校専攻科の具体的な事例を比較したものでございます。大学への編入学が認められている専修学校専門課程に比べまして,例えばここに示している学校ですと,生徒数,教員数,教員の体制などで高等学校専攻科の方が手厚いものとなっている場合も中にはございます。また,その教育内容についても,そこの下に示しているとおり,大学と,高等学校3年と専攻科2年ということで,教育内容もかなり近いものを行っている例もございます。
 8ページ目は高等学校専攻科に対して編入学のニーズがどれぐらいあるかということのアンケート調査を行ったものでございます。半数以上の専攻科でニーズがあるという回答を頂いている状況でございます。
 また,8ページの下の方ないし9ページ目以降ですけれども,これまでの中央教育審議会の部会,また各種検討会による提言の中でも,高等学校専攻科からの大学への編入学について検討を進めることが記載されているところでございます。
 私からは,簡単でございますが,以上でございます。
【佐々木部会長】  以上の説明について,本日は問題の所在ということを御認識いただくと,そのように考えておりますが,何か御質問があれば伺います。
【浦野委員】  質問というか意見になるのですけれども,今の高等学校の編入学の方ですね。それで,資料4-3の2ページの上の図を見ていただくと,高等学校から始まって大学までのいろいろな線が示してあるわけですけれども,ここで言っている高等学校は主に専門高等学校のことですね。この専門高等学校に入る人たちというのは,中学校から職業意識というか問題意識を抱えた上で入っている人がかなり多いです。その中で,従来であれば高等学校を卒業して社会に出るということが一番多い路線だったのですけれども,やはりこの高等学校3年の中でかなり勉強意欲に目覚める人たちも多いわけですね。そういう方々が高等教育の方に行くというのは,社会全体としても私はいいことだと思っています。
 そのような流れの中で専攻科も設けられてきた経緯があるのですけれども,さらにそこからの勉学意欲によって大学に行きたいという場合に,先ほど来述べているような壁があるということなのです。私は現行の特に看護を中心にしたところというのは,専修学校で認めていた要件はほとんど満たしていると思うのです。もちろん大学の質保証の関係もありますので,ここのところは厳密に見ていかなくてはいけないのですけれども,是非,改めて専攻科の中身を見直すという機会をこの場面で設けていただいて,新たに専門高等学校の専攻科から編入学という複線化の道を開いていただくと,非常に日本全体も活性化してくる。学問の世界においても,再チャレンジというか,新たにやり直すということを認めていくような社会が出来上がると思いますので,是非大学への編入学というのは,質保証を前提にしながら複線化ということをこの際考えていただければと思います。以上です。
【佐々木部会長】  今,説明を頂いた三つの案件については,これは順次,今後この部会で審議をいたします。その前提として,今日は問題の所在を明らかにしていただくということなのですが,何かほかに御質問ございますか。
 それでは,この課題については以後逐次御審議いただくと,こういうことをお約束させていただきたいと思います。

(5)学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律等について,文部科学省から資料5に基づき説明が行われた。

【佐々木部会長】 それでは続いて,学校教育法及び国立大学法人法の一部改正について,説明をお願いしたいと思います。
【白井大学振興課課長補佐】  失礼いたします。それでは,資料5に基づきまして,学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律について簡単に御説明をしたいと思います。
 本法案につきましては,去る6月の国会において成立,公布されているところでございます。その趣旨でございますが,1枚目の資料を御覧いただきたいと思います。大学運営における学長のリーダーシップの確立等のガバナンス改革を促進するために,今回大きく5点の改正点を設けてございます。
 学校教育法の改正の関係が2点ございます。1点目が副学長の職務に関するものでございます。副学長については従来,学長を助けるという学長の補佐職として位置付けられてきたところでございますけれども,今般,学長を助け,命を受けて校務をつかさどるというようになりまして,学長に代わって学長の指示の下で大学の校務についての最終的な処理ができるというふうに権限が拡充されたところでございます。
 それから,2点目が教授会の役割の明確化という点でございます。教授会については従来,重要な事項を審議するというように非常に簡単な規定でございましたけれども,今回は第93条をかなり詳細に書き込みました。教授会は,学長が教育研究に関する重要な事項について決定を行うに当たって意見を述べることとする,あるいは教授会は,学長及び学部長等がつかさどる教育研究に関する事項について審議をして,また,学長等の求めに応じて意見を述べることができることとするという形で,教授会の審議事項が教育研究に関する事項であることを明らかにするとともに,学長等に対して意見を述べる関係にある,決定権は学長等にあるということが法律上も明確にされたところでございます。
 それから,2点目が国立大学法人法の改正でございます。国立大学法人法の改正の1点目が,学長選考の基準・結果等の公表についてでございます。従来国立大学法人においては学長選考会議が学長の選考を行うということでございましたけれども,特に学長選考会議が学長選考の基準を定めるという任を課しているということ。それから,このような基準を定めたとき,あるいはその選考の結果等については,遅滞なく公表するということで,透明性の高い学長選考を行うということが定められてございます。
 また,国立大学法人においては,学長の審議機関として,経営面では経営協議会,教育研究面では教育研究評議会が置かれてございます。この経営協議会については,特に学外を始め社会の様々な声をより反映するという観点から,経営協議会の委員の過半数を学外委員とすると。従来は2分の1以上となっていたものについては,過半数を学外委員とすると改正されたところでございます。また,学校教育法の改正に伴って副学長の職務が拡充されましたけれども,それに伴って教育研究評議会の委員として,学長から命を受けた教育研究に関する校務をつかさどる副学長が置かれた場合にはこの方を評議員とするというような改正も行われているところでございます。
 また,直接の改正ではございませんけれども,附則におきまして,この法律の施行の状況,さらに今後の国立大学法人を取り巻く社会経済情勢の変化等を勘案して,今後,国立大学法人の組織及び運営に関する制度について検討を加え,必要があると認めるときは所要の措置を講ずるというように,国立大学法人制度についても今後検討を加えていくということに明確化をしているというところでございます。
 この法律の施行については来年の4月1日ということになってございます。
 詳細については,この資料の3ページ目以降から施行通知におきまして,この法律のそれぞれの条項に関する解釈とか,さらに特にこの施行通知の中では,今回手厚く改正の基本的な理念,基本的な考え方を施行通知の8ページ以降で入れておりまして,特に権限と責任の一致した大学のガバナンスの在り方について重視した記述を置いているところでございます。また,施行通知の10ページからは,内部規則について各大学でこの施行期日までにしっかりと総点検,見直しを行っていただきたいということも記述をしているところでございます。
 また,この資料の最後の方になりますけれども,内部規則の総点検・見直しの実施について,後ろから2枚目になるかと思いますけれども,事務連絡を掲載しているところでございます。各大学にはチェックリストもお配りしておりまして,この法律の趣旨が適切に各大学の内部規則総点検・見直しにおいて反映されるように,今,文部科学省高等教育局からも各大学に対して御依頼をしているところでございます。
 こちらからの説明は簡単でございますが,以上でございます。
【佐々木部会長】  これについてはもう既に各大学に通知が行っていることでありまして御承知のことと思いますが,何か御質問があれば,御質問に限って伺います。いかがですか。よろしいですか。
 それでは,これについては御承知おきいただきたいと思います。
 本日は,用意しました案件,少しごたごたいたしましたが,以上であります。本日の審議はこれまでとさせていただいて,いろいろ御意見のあった件については,もう一度整理をして次回以降の部会に提案をさせていただきたいと考えております。
よろしいでしょうか。
【金子委員】  この会議の冒頭に事務局から,国立教育政策研究所で学生の学修行動の調査を行うということが紹介されましたが,私は,それを定期的に行えば,認証評価の在り方あるいは大学自体の改善に関しても非常に大きな意味を持つと思います。本来は大学教育部会で議論した上でそのようなことを進められるべきかもしれませんが,私はもうそれは国立教育政策研究所が行われるのであればどんどん進めていただいて,それをここでの議論に結び付けていくことが必要だと思います。そのような意味では是非積極的に進めていただければと思います。
【佐々木部会長】  御意見ありがとうございました。
 それでは,本日の部会はこれで終了いたします。御協力ありがとうございました。

 

―― 了 ――

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