大学教育部会(第3回) 議事録

1.日時

平成23年7月29日(金曜日)16時~18時

2.場所

文部科学省東館3F1特別会議室

3.出席者

委員

(部 会 長)佐々木雄太部会長
(副部会長)谷口功副部会長,黒田壽二副部会長
(委員)安西祐一郎,浦野光人,金子元久,長尾ひろみ,宮崎緑の各委員
(臨時委員)川嶋太津夫,佐藤弘毅,林勇二郎,吉田文の各臨時委員
(専門委員)荻上紘一,高祖敏明,篠田道夫,鈴木典比古,田中愛治,長束倫夫,納谷廣美,濱名篤,山田礼子の各専門委員

文部科学省

清水事務次官,金森文部科学審議官,磯田高等教育局長,河村私学部長,小松高等教育局審議官,伊藤生涯学習政策局審議官,池原大臣官房国際課長,髙橋大臣官房会計課長,義本高等教育企画課長,藤原大学振興課長,内藤専門教育課長,榎本高等教育政策室長,石橋大学振興課課長補佐,西川高等教育政策室室長補佐 他

4.議事録

(1)大学キャンパスに求められる機能・役割について,文部科学省から資料1の説明があり,その後,審議が行われた。

【田中委員】 このご議論の最初のところ,スタートの認識ですが,(参考1)にありますご議論ですが,特区という考え方です。昨年,平成22年3月25日の構造改革特区推進本部決定で,できるだけ速やかに全国化を行うことを政府がお決めになったということですから,特区を全国化するということはある意味では抗えないことかもしれませんが,その運用については我々が考えることができると思うので,教育について特区を適用する,アプライすることの意義を少し考えるべきと思います。
 特区の考え方は非常に経済的合理性の高い考え方で,自由競争の中では質の悪いものを提供したところは淘汰される。市場原理によってユーザーによって淘汰されるということです。ですから,教育も同じだと考えて,建物が狭いとか息苦しいとか,学生にとって満足できないものを提供したところはいずれ淘汰されるから,それでいいというお考えですが,それが本当に教育に完全に適用できるかどうかということは,まずはこちらの大学教育部会で議論すべきだと思っております。
 例えば医療について特区を適用できるかということです。例えば,あそこの病院の治療は非常に悪い,リスクが高い,患者が亡くなるかもしれない。でも,特区だから競争させればいい,患者が行かなくなるからいい,あの病院はつぶれるからということが言えるのか。人の生命を守るときにその理論が適用できるのかということで,教育もそれでよいのか。
 例えば,4年間を過ごす学生が入ってしまったときに,その学生は4年間そこでつぶすわけです。教育に関しても本当に自由競争の原理をやって,よくない環境を提供したところはいずれ競争でつぶれる,10年後にはつぶれるのだからほっとけばいいという市場原理をそのまま提供するかどうか。大学教育部会の考えることは,まずそこが最初の出発点だと思います。
 政府のお決めになったことについては抗えないかもしれませんが,それを認識した上でどのような運用をするかというところ,それが今回の代替措置のご提案だと思うのですが,やはり根本理念をなおざりにしてテクニカルな議論だけ進めても,あまり最終点が見えないのではないかと思います。
 教育に特区の考え方というものを適用することの妥当性,その幅のこともまずご議論いただければと思っております。私はそこは妥当しないと思っているわけです。経済原理は完全には適用できないと思っております。

【佐々木部会長】 重要なご指摘といいますか,議論の進め方にかかわって重要だと思います。ですから,特区制度化の論理といいますか,ここにきちんと反論ができなければ,我々の議論が通るはずはないわけでして,そこを踏まえるというご指摘,大事な点だと思います。

【佐藤弘毅委員】 大分論点が整理されてきたと思います。代替措置についての条件というものがある程度整理されて,これから具体的に議論が進展することが期待されます。
 ただ1点,前回の会議で多くの委員が指摘しておりました,私も申し上げました,大学といってもこれだけ多様になり,しかも学位課程を中心に整理をしていこうという私たちの姿勢からすると,大学という1つのくくりだけで空地や運動場について論ずることは危険であると思います。学位課程において,とりわけ学士課程あるいは短期大学士課程というような基礎的な学位を授与する課程においては譲れないところがあるのではないかという話が随分出てまいりました。
 資料1の「3.大学キャンパスに求められる機能・役割について」の3つ目の○で「加えて,学部段階の教育においては」ということで備忘録的に出てはいるのですが,これから議論の中でもう少しこのことを鮮明にして,中教審としての議論あるいは見解を示すことはできないのかと思います。そして,それは最終的には政治的なことに結びつくのだと思いますが,文部科学大臣はじめ文科省の首脳部の方々の覚悟で,かつては大学と言って一言で片づけられていたものを学位課程の目的に応じた議論の巻き返しができるものかどうか,やってほしいわけですが,そのための立論はどうあるべきかということを議論できればと思います。

【川嶋委員】 今の佐藤弘毅委員の話とも多少関連するのですが,これまでも繰り返し指摘されてきたように,大学設置基準で課題なのは,高度な教育研究を行う大学という機関の設置に関する規定と,教育課程に関する規定が明確に区別されないままであることだと思います。特区にかかわらず,大学を設置するというときに,大学はそもそも教育だけではなくて研究も行っているわけですから,校舎,校地のあり方を考えるときにも,教育空間としてだけではなくて,研究の場としての一定の要件も含めて考慮する必要があります。
 大学設置基準に見る限り,第43条以降に書いてあるのですが,研究室が必要と書いてあります。やはり大学として設置するからには,教育に必要な空間,キャンパスのあり方だけではなくて,研究にも必要な空間という観点が必ず必要だと思います。
 そこで,今回お示しいただいている論点整理は,基本的には教育,先ほど佐藤弘毅委員のお話からしますと,特に学士課程に明示的ではないにしろ焦点を絞って書かれていると思うのですが,空間としての大学の在り方は国によっても考え方が違います。例えば,キャンパス的な大学というものはアメリカ的な考え方であって,必ずしも広い運動場があったりというのは世界共通ではないと思いますが,大学という教育研究機関という観点からすれば,どの国の大学であっても共通に必要な空間ということがやはりあると思います。
 そういう観点で,「3.大学キャンパスに求められる機能・役割について」の四角の中の2つ目の○で「具体的」以下の中に黒ポツが3つあるのですが,私の整理としては,最後に「公共空間」とありますが,1つ目の黒ポツは,学術空間として必要な施設・設備です。ただし,ここには研究活動に関する観点が欠けている。2つ目の黒ポツはいわゆる社会空間です。教員と学生,教員同士,学生同士がさまざまに交流し合う場としての大学キャンパスのあり方,社会空間としての大学キャンパスのあり方です。3つ目が,書いてあるとおり公共空間としての大学キャンパスのあり方という形で整理できるのではないかと思います。
 そこで,先ほど申したように,1つ目の黒ポツのところには,研究と教育を含んだ学術空間として必要な要件を書くべきではないかということです。それで結局冒頭の話に戻るんですが,大学設置基準が,大学そのものの設置の基準なのか,教育課程を定める基準なのかというところが,どうしても整理が今後必要になってくるのではないかと思います。

【荻上委員】 初歩的なことを確認したいのですが,これ全国化するということは,設置基準を改正しないといけないのですか。

【石橋大学振興課課長補佐】 はい,設置基準の改正になります。

【荻上委員】 そういうことですね。非常に大きいことだと思います。

【長尾委員】 初歩的な確認ですが,(参考1)にある3つ目の○のところの「できるだけ速やかに,全国化を行うことが決定」ということは,先ほど田中委員がおっしゃったように,これが前提で,その方法論をここで考えるのか,あるいはもう一度これ全体,設置基準も含めて一から考えることができるのか。そこのところがわかりませんので確認したいです。

【石橋大学振興課課長補佐】 (参考1)を見ていただきますと,3つ目の○のところで平成22年3月25日の構造改革特区推進本部決定というものがありまして,この中で,既にこの特区を全国化するということは政府の決定として決まっております。
 ただ,そのときに,具体的な予防措置のことをその下の○のところに書かせていただいておりますが,具体的な予防措置については,文部科学省及び中央教育審議会において検討して策定し,特区委員会に報告をするということになっておりますので,今その議論をいただいているという状況です。

【佐々木部会長】 特区委員会への報告に基づいて,中央教育審議会なり文部科学省の意向が通るという可能性はあるのですか。

【石橋大学振興課課長補佐】 具体的な予防措置に関しては,専門的な見地がある中央教育審議会の議論の上で策定をするということは,特区評価委員会の中でのご議論の中でありましたので,まずそれを,大学教育部会,大学分科会でご議論いただいたものを特区評価委員会に報告することになりますので,基本的には,こちらでつくる代替措置が今後の全国化のときの整理ということになります。

【荻上委員】 同じことを言うことになりますが,これがもう決定されているということは,自動的に設置基準は改正されてしまうということになりますか。それから,設置基準を改正するためには中教審の議論が前提だと理解しておりましたが,中教審の議論がなくても設置基準は自動的に変わる,中教審としては代替措置を提案するところまでしかできないということでしょうか。

【藤原大学振興課長】 大学設置基準の改正については,当然,この中教審に対して必要な諮問事項になっておりますので,ここでのご議論を踏まえた改正を行うということになるわけです。
 一方,資料1の(参考3)にありますように,現在の特区制度の中でどのように規定されているかということを改めて見ていただきたいと思いますが,下線を引いている部分です。空地それから運動場ともに,そうした適当な空地を有することにより得られる効用と同等以上の効用が得られる措置を当該大学が講じている場合に限り,これは認められるという構成です。
 これは運動場も同様でして,この同等以上という措置をどういう形で具現化するかということが,まさに今回ご議論の対象と考えているところです。

【黒田副部会長】 もう既に決まっていること,予防措置という非常に難しい言葉を使っています。代替措置なのか,特区で言われているようなことをやるといろいろな事故が起きるので,それを予防する措置を講ずるということでいいのか。その辺が少し分かりにくいと思うのです。
 前回も議論になったと思うのですが,大学という一くくりで議論されていますが,先ほどから話が出ていますように,学部段階の教育と大学院の段階の教育,それから,今特に街中でやられている専門職大学院,社会人対象の大学院,こういうものは全く様相が違うのです。それを一くくりにして議論しますと,また構造改革,規制改革からそういうところを突つかれて,また元に戻されるという可能性があるのです。社会人を受け入れている大学院に対して,なぜ空地や運動場が必要なのかという話にまた戻ってくると思います。
 ですから,その辺,こちらも切り分けて,しっかりした土台をつくっておかないと,予防措置というのは機能しないだろうと思います。特に,ここで言われる問題というのは学部段階です。学士課程の教育の中で一番空地とか運動場というのが重要であると思います。それからまた研究の話も出ましたが,そういう研究を重点的にやっているところの大学院においても,実験・実習のための空地が必要かもしれません。
 そういうことが,どういうふうに切り分けて規定して,予防できるのかというところを少し具体的に落としていただいたほうがいいのではないかと思います。

【鈴木委員】 私も黒田委員がおっしゃることを考える必要があると思います。それで,特区,全国区ということがイメージとして,あるいはそれが示唆しているのは,要するにe-ラーニングといいますか,そういう手段を用いて教育を行うということを想定していると私は理解しておりますが,教育をデジタルな方法で行うということと,伝統的といいますか,やはり人間を対象にして教育を行っているわけですから,完全にデジタルで4年間,教員と学生が全く相対せず,フェース・ツー・フェースで会わずに,それで卒業証書を出すということが,先ほど黒田委員がおっしゃっていましたが,どこでそういうことが問題になるかというと,やはり学部のところで問題になると思います。
 大学院あるいは専門職大学院,社会人を対象にしたところではそういうことがなくてもいいのかもしれませんが,やはり豊かな人間性を涵養するという,豊かな人間性ということは知識だけではないと思うわけで,知育,体育あるいは徳育,そういうものを総合したものという観点からしますと,特に体育,徳育,そういう観点は学部教育においては非常に重要な意味を持っているということです。
 要するに,先ほどが川嶋委員が,学術空間とおっしゃったことです。社会空間それから公共空間,どうしても社会空間というところに行きますと,空地が必要なわけで,学術空間ということならば,スクリーンを通してでもよろしいでしょうが,社会空間あるいは公共空間からしますと,どうしても完全にデジタル化はできない。
 これは,先ほど佐藤弘毅委員が文部科学省に覚悟を持ってということをおっしゃいましたが,私も,やはり学部の教育においては完全デジタル化というのはできないのだと思います。そのくらい人間を教育するということの本源にかかわることだということを,この大学教育部会で言う必要があると思います。だから,そこをしっかりと確認する必要があると思っています。

【佐々木部会長】 私も全く賛成でして,大学には学生と教員との,あるいは学生そのものの共同性といいますか,コミュニティーが必要なのであって,そのための空間というのは決して無駄な空間ではなくて,必要な空間だということをぜひ強調したいと思います。

【谷口副部会長】 (参考3)のところに中略とあって,その後,「学生が休息その他に利用する」となっているのですが,いかにも,この「空地」というものは,まずは休息のためと読めるように書いてあるところが問題なのではないでしょうか。今,皆さんのお話にあるように,「空地」の本来の役割はそうではないのですね。休息のためというのはあるかもしれないけど,「その他」のほうが重要なわけです。規則に記載された「その他」の中に何が入っているのかわかりませんが,これを普通に読むと,「その他」は「休息」よりももっと大したことのない内容というような,そういうふうにも読めます。むしろそうではなくて,学生さんが,豊かな人間性の涵養とか言われましたが,能力開発したり,学生さんが何か人格形成することに役立つということです。
 受け身ではなくて,その場が教育にとってポジティブに非常に必要であるということをやはりはっきりと出さないと,休息する場所があったらいいのだということになりますから,おかしいことが起こってくると思います。代替の地が要るということは,本来,これこれこういう目的をきちんと果たさないといけないということを明記しておけば,大分「空地」に関する中身の理解が違ってくるのではないかということを思います。

【佐々木部会長】 例えば,省令の第6条に「休息」とあるから,ここに依拠してこういう文にしようという,それが有効であればともかく,しかし,谷口副部会長がおっしゃるように,やはりもう少しポジティブに空地,運動場の意義ということを定義し直すということのほうが重要ではないかと思います。

【田中委員】 代替措置の今ご指摘の部分を盛り込んでいただければいいと思います。専門職学位課程の場合には少し異なるとか,それから代替措置が休息のためではなくて議論の場であるとか,そういうことを明確にしていただくことがよろしいと思います。
 もう1点,少し違う視点で,最初に私が申し上げたことを補足しておきたいのですが,特区に経済原理を入れることが教育に不適切であると申し上げたのは,誤解を招くといけませんので補足しておきたいのですが,中教審の大学教育部会が非常に後ろ向きな議論をしていると言われることは非常に心外だと思っておりまして,経済原理を入れてもいい場合もあると思います。
 例えば,文部科学省が進めていただいている科学研究費の単年度会計を変えてきて,プールにできるということを改革していただいておりますが,そういうことはかなり重要だと思っています。大学の責任で経営的なところを考えていくということはまさに経済原理が適用されるべきであって,私はもっとそこは自由化するべきと思っています。
 国立大学法人運営費交付金であっても単年度会計でなくて,残ったものを翌年度に繰り越してでも使うという,いかに活用していくかということに関してはもう少し自由度があってもいいと思っています。経済原理を使いながら,ほんとうに大学がサバイバルを考えながら質の高い教育を提供するというところでは,経済原理を入れることは別に間違いだと思っていません。
 ただ,先ほど医療の例をとりましたが,教育の人間の質,人間の置かれる環境を,非常に苦しい状況にいつまでもしておいてよいのでしょうか。例えば,被災者がいつまでも避難所にいていいのかということと同じでありまして,非常に苦しい状況を3年,4年放置することの問題があるということを申し上げたいわけでして,経済原理を全部入れるべきではない,教育は別なんだという後ろ向きな議論をしたいということではないことは申し上げておきたい。

【林委員】 大学の責務,教育・研究・社会貢献と言われていて,今の議論は大学が預かった学生教育という意味から空地が大事だという議論です。同時に社会貢献という意味からいうと,知の拠点と言われていて,知の拠点である空間が重要であるという考え方は,福地桜痴の社会の語源からいうと,社会という「社」という空間が律令時代にあって,神社の「社」ですが,その「社」のもとに人が集まって,学生が集まって,老若男女が集まって,そこで神聖な行事,いろんなコミュニティーがあって,そこで文化が生まれたという意味で,人がその空間に出会うという意味での社会という言葉ができているのです。
 今,そういう意味からいうと,空間がいかに大事かということは,知の拠点という高等教育を言う以上は,空間なくしてどこに知の拠点があるのだという考え方がどうしても必要だと思います。
 そういう感じがするのと,もう1つ,教育は時間がかかります。時間がかかるから,簡単に制度,組織は変えられないという面がありますが,ただ,変わった後,時間がたってみると,これはやはり違ったということが多々あると思うのです。
 1つは,教養教育の重要性は,平成3年度設置基準の大綱化の中で,必ずしもこれは教養教育を消せと言ったのではないですが,それが組織的な大きな変更の中で,やはり今改めて教養教育は重要だという流れが出てきていますし,それから,規制緩和の段階の中で,いわゆる計画的な教育機関の設置がいわゆる社会政策誘導の形に変わってきたけれども,それは競争原理を入れて民間活力ということで,それがいいよということです。
 だから,事前規制ではなくて,後で事後チェックという流れがあったが,やはりあまりよくないという声が少しずつ出てきた政策的に決定した制度は,やはり時間がたってみると,おかしかった場合にはやはり襟を正すべきだと思っています。
 そんな意味で非常に重要なものが,先ほどから4年間の学生の質をどう保証するのかという問題があるとすれば,そういう問題については,さらにつけ加えるならば,きちんとした情報を出すべきだと思います。この大学にはこれはないということを非常に強いスター印ぐらいつける。それが代替措置と思っていますので,あの手この手もあって,その上で今の議論があればいいのかなと思います。

【濱名委員】 意見の方向性は,大体コンセンサスができていると思うのですが,文部科学省にお尋ねをしたいのですが,この特区委員会の状況認識では,既に株式会社立の大学がとられた措置をかなり肯定的に見ています。具体的には,大学を株式会社立でつくられたものが八王子等々に運動場があるとか別地を用意されたものを見て,それで問題がないという判断をされた。それに基づいて,特区委員会がこういう認識を示してきたということに対して伺いたいのは,どこまでの範囲を想定しているのか。特区の中だけにとりあえず大学をつくり始めることを想定して我々は議論しているのですが,設置基準がこれに合わせて,黒田委員がおっしゃったみたいに,すべての大学に適用する基準としてなっていった場合には,私は,考えようによっては別地に運動場を持っている大学も,同等にこれに見なされるような形になるのだろうと思うのです。
 例えば千代田区内で,先生方の大学の中にもありますが,隣接地にグラウンドはなくて,離れたところにグラウンドを設置されている場合も,そうすると,代替措置を利用している大学であることを公表するというような形で,適用せざるを得ないというか,そうでないと,新設の段階でなかったところに対してだけこれを求めるのかというところについて,設置基準というのは本来,設置認可のときの基準であるわけで,最低基準として設けられるので,こういう議論になると思うのです。そのあたり,そうすると,運用の問題等々も含めたときに,このあたりの考え方,情報の公表の徹底と書かれているのですが,どういう措置をしていく原案なのか,方向性についてはよくわかるんですが,具体的な運用ベースまで教えていただければと思います。

【藤原大学振興課長】 今直ちに明快な回答という形にはできないかと思いますが,先生がおっしゃいましたように,設置をする段階の質の保証の措置と,それからそれを継続的にどう担保していくのかという話が2つありますので,ここではそこを情報の公表という形で書いただけですが,これで十分なのか,それをもう少し担保するのは別途の措置が何かあるのか,必要なのかということもあわせてご議論いただければと思います。

【納谷委員】 進め方のことですが,例えば,資料1の(参考2)に条文があります。これはもう決まっている,しっかりしたものです。そこの第34条に「教育にふさわしい環境をもち」が入った上に「休息その他」という言葉があるわけで,これとの整合性で新しくつくっていくということになるわけです。
 ですから,もう少し言葉を足すか,足さないかはこれからの話です。私は,田中委員,佐藤弘毅委員もおっしゃられているようなことは大切だと思っている上で,これから議論をしたいと思っています。
 それで,今,資料1の(参考1)のところをみますと,これは,あくまで政府の政策方針決定です。政府がこういうぐあいにしたいということを決めただけのことで,だから,この政策に対して,どういうぐあいに我々は対応するか,ということを考えていけばいい。非常に難しいことはわかりますが,果たして特区構想をつくったときの考え方が正しかったかどうかということを,もう1回きちんと出すチャンスは多分あるのではないか,そういうぐあいに私は読んでおります。
 ただ,それでいいのかどうかは,皆さんにも少し考えてみていただきたいのですが。その上で,(参考3)をみますと,これは平成15年です。これは,多分規制を緩和したときの特例で,こういう文言を入れた。
 問題は,今の時点で,この(参考3)のところを直すという作業なのか,その段階も1つ必要ですが,根本的には,政府決定のほうに対して,皆さんがいろいろ議論していることがあって,もう1回見直してほしいということを言うチャンスがあるのか。この中教審のほうで出せば,もちろん方向を聞いて云々という,この注がありますから,論理的には可能,理屈の上ではそうだけれど,実際は難しいというだけの話なのか,そこのところを教えていただきたい。

【藤原大学振興課長】 この特区の推進本部決定というのは,このままの形で閣議決定にもなっていますので,そういう意味で,私ども政府としてはそれを踏まえた対応を考える必要があるということが1つです。
 それから,冒頭来さまざまなご意見をいただいておるわけですが,既にこの特区制度がこういう形で存在して,それに基づいて学校,大学が設置をされているわけですが,そこで規定されているような同等以上の効用が得られる措置ということが,本当にきちんと講じられているかということが大きな問題と思っておるわけです。
 したがって,私どもとして非常に強く意識しておりますことは,運動場や空地,確かにこれがあることが一般的に望ましいわけですが,そうしたものがない場合というのが一定程度既にある,あるいはそうしたことがあっていいのではないかという意見に対して,こういった形のものが代替措置としてもっとしっかり措置されるべきではないかということを,むしろしっかりと要件を明示していくということが必要なのではないかという観点を持っていまして,そうした意味で,今お示ししているような代替措置,これが十分なのか,さらにもっと必要なものがあるのではないか,そこをお願いしたいということです。

【納谷委員】 それで,代替措置としてここに書かれている文言で十分かどうかということですが,私も代替措置は当時の時点では必要だとは思っておりますので,そのことはやむを得ないとは思っているのです。ただ,かなり原則に近い形のものに戻す表現が必要と思います。そのぐらいはやはりここで提言しないとまずいので,皆さんが心配なされていると思います。
 法律家から見れば,最後は法律で決めるなり,きちんとしていくことができるわけですから,閣議が決定してもそのときの政府の政策を変えてもらうための実質的な理由があれば,やはり提言していくのが中教審の仕事だと思っている。きちんと元へ戻す必要があるなら戻せばいい特区で,実際失敗している例もあるし,実際6つしか出ていない。そういう特区での状態を考えると,果たしてこれを一般化していいものなのかどうかということは,やはり今は,相当反省すべき時期に入っている,重要な時期ですから,そういう政策提言もしていけばよろしいと思います。
 今の藤原大学振興課長の話の中で,さっき閣議決定というのは,要するに特区を置いたときに将来そういうことを全国展開したほうがよろしいのではないかということを言っただけのことです。理屈のいろいろなやり取りはあると思います。けれども,これは政治的な方向付けの決定で,私たち中教審のほうから見たら,そういう決定に対してもう1回考えてほしいというやり取りをするほどの重要な局面に入っているかどうかということだと思います。
 それが代替措置でほとんど同じようにとれるのだったら,そういう文言をうまく使って,この(参考3)にあるような言葉を,先ほど言ったように,「休息」だとかそんな形でとられるようなものではなくて,きちんとこれから人格の陶冶とか,そういういろんなことの,短大も含め,学校教育では絶対に必要なことだということをきちんと押さえ込むような文言がここへ入り込むべきかどうかということだけの問題なのかという感じがしています。

【小松高等教育局審議官】 状況としてはどう見ているのかという部分についてのみ,少し申し上げさせていただきます。まず1つは,藤原大学振興課長も申し上げましたように,構造改革推進本部決定ということですが,閣議決定と考えて下さい。
 その次に,それはその時々のもちろん政権ということはあるわけでが,状況がどうなっているかということを申し上げますと,政権交代があったわけですが,その前の段階で,(参考1)を見ていただきますと,平成14年,それから平成16年とさまざまな動きがございました。
 ここでこういう形で進めようということがかなりあり,その後はしばらく,その形の実験が続いておるわけですが,それが政権交代を経て,昨年の3月,ごく直近に至って,平成21年3月25日に決定をしているということから考えますと,行政の継続性の観点から,根本的に違う方向で措置を考えることはなかなか難しいと事務的には思っております。これが1点です。
 それから,全くできないかどうか,納谷委員がおっしゃられたように,法令的に見たときに,ぎりぎりどう考えるかということは当然残りますが,事務的には,そこを踏まえて,立ち行くように対応しなければいけないと思っております。
 その際,ほかの案件ですと,大抵,他の審議会でもう1回検討するような考え方でプロセスを考えるということは,まずないですが,これについては中教審の意見をよく聞いて対応していくということになると考えています。専門性の観点や,ほかの案件と違うだろうということが理解をされておりますので,そういう意味では,今のような本質的なご議論をしていただき,それを,今度は事務局で,いわば法令,省令,設置基準のようなところに反映するものと,その考え方の基礎になる根拠として,中教審としてご議論いただいたものをどう整理していくかという説明と,それから運用に関しての,例えば通知といったようなものでどう共通理解を得ていくかということを最終的に決めなければいけないと思っています。
 ただ,法令が中心にありますので,そこを中核にご議論いただいて,もし仮にこういう形で事務的に先ほど申し上げましたように,自由とは思えませんが,こういうところが議論の足りないところとして,中教審で議論してくれと言われたところとして,それを押さえてやるべきことは,委員の先生方がおっしゃられたように,規定の仕方も相当な工夫が要るかもしれないと考えております。

【高祖委員】 (参考1)の最後の○のところに「具体的な予防措置の内容については」云々と書いてあります。その上の点線で囲んであるところも「弊害の予防措置については」云々と書いてあります。先ほど黒田副部会長からご指摘があったのですが,予防措置と代替措置というのは同じことではないと私は思うのです。予防措置のほうがもっと意味は広いのではないかと思います。
 代替というのは,予防の中の考えられる可能性の1つであって,もしこの予防措置について論じるのであれば,一番最初に田中委員がおっしゃられたような,この決定そのものがどういう危険性を持っているかということも予防措置の中に入れて論じてもいいのではないかと私は思います。
 ですから,話をすぐ代替措置に持っていってしまうと,もう決められたことであとはこれを現実化するだけだという話になってしまいます。今日ここで出されている委員の皆様のいろんな意見は,今,小松審議官がおっしゃったことでいきますと,法律の背後にある考え方のところが,実はこのまま行ったら危ないというか,おかしいのではないかという懸念だと思います。そうした対応は教育をむしろだめにするのではないかという指摘だと思うのです。
 ですから,予防措置ということの中に幾つかの層があるのだと思います。特区の考え方を全国化するということにはこういう問題がある,それは教育にはなじまないんだということを,論点を押さえて1つ言う必要があると思います。
 代替措置として考えれば対応はこうかもしれないと思えるのですが,こちらのほうの議論がまだ十分詰められていないという指摘が随分あると思いますので,そこはもう少し議論させていただきたいと思います。

【佐々木部会長】 今こもごもご意見をいただいた特区に反対をする論理や対応の方策などについてはまた事務局のほうで整理をしていただいて,次回の大学教育部会でもう一度ご議論をいただきたいと思っています。

 

(2)大学教育の主要課題について,文部科学省から資料2-1の説明があった。また,大学における教育情報の活用と公表に関する中間まとめ(素案)について,鈴木委員から資料2-2に基づいて説明があり,その後,意見交換が行われた。

【鈴木委員】 それでは,どういう状況あるいは段階にあるかをご報告したいと思います。
 この教育情報に関する協力者会議では,国立・公立・私立の4年制大学あるいは短期大学の各団体の代表が出席しております。そのほかにも機関別の認証評価機関の代表,それから高校の方,それから企業やマスコミの方等に参加いただいており,国内外の状況を確認しつつ,今後の方向性を検討している段階です。
 大学教育部会からは金子委員が参画されておりまして,それから,山田礼子委員にはヒアリングでアメリカの情報公開の動向を紹介していただいたところです。
 小規模な大学をはじめ,多くの大学が地域に根ざした特色ある教育を行っており,各大学の特色を発信していくことが必要であるということが認識されております。また,グローバルに展開する大学の海外への情報発信も一層重要になってくるということも共通認識として持たれております。我が国の大学の多様性を踏まえて,国内外を含めて,大学の強みや特色を発信するという観点から,データベースが必要ということも共通の認識になりつつあります。
 このデータベースの構築と運営については,特定の機関あるいは組織だけが行うということではなくて,大学コミュニティーが連携して取り組むということが重要であるということが議論されております。
 それから,学生数あるいは教員数など基礎的な情報も想定されますが,それは画一的なものというよりも,規模,分野,地域,目指す方向性,例えば地域密着の大学,あるいはグローバル重視の大学など,大学のグループごとに発信するということが考えられます。
 それから,大学の事務の負担です。この情報を発信するということに関して,事務の負担が大きなものになっているわけですが,この負担を軽減するということも必要であるということを論じております。ある公立大学では,官民合わせた恒常的な調査,あるいは情報提供の依頼が年間150件以上もあるというふうなことも報告されており,データベースがあったほうがよいという意見が強いです。
 こうしたさまざまな要素を勘案しながら,できるだけ速やかに中間まとめを取りまとめたいと考えている次第です。

【山田委員】 一度この会議に呼んでいただいて,アメリカのデータベースなどもご紹介させていただきました。今日は,先ほど鈴木委員がおっしゃったように,グローバルに展開していく大学にとって,いかにグローバルに情報を発信するかということが大事だとおっしゃいましたので,その点の要望といいますか,議論の中に入れていただきたいという点を申し上げたいと思います。
 これは非常に難しいところですが,情報発信は,例えば日本の大学がこういうカリキュラムを,魅力的なカリキュラムあるいはコースワークを提供している。そして,卒業時にはこうしたコンピタンスをつけているというような,ある意味,質の保証という側面も非常に大事ですが,実は大学院ということになってきますと,非常に優秀な,あるいは魅力的な留学生を日本の大学がいかにグローバル市場から獲得するかということも大事になってまいります。
 そうしたときに避けて通れないのは,いかに,どうやってグラントが,留学生が払うべき学費,リビング・エクスペンスも含めて,全体でそういうものがどれぐらい相殺できるかとか,そういう情報も実は教育情報といいますか,グローバルな展開の中では大事になってくるかと思います。
 実は,なぜこういうことを申し上げますかといいますと,この間ずっと大学の国際化ということを調べなければいけないことがあり,ヨーロッパの大学生,そしてカナダ,そしてアメリカの学生が,大学院に行くときに何をもとに選ぶかということで,優秀な学生になればなるほどグラント1つなんです。
 ですから,私には考えられなかったことで,一昔前だったら考えられなかったのですが,ドイツの有名な大学の学生さんが大学院で学ぶときに,通常でしたら非常によいプログラムを持っている大学ですから,そのまま上に行くかと思うのですが,ベルギーの大学に行く。どうしてそういう選択をするかというと,グラントということになりますし,カナダからアメリカ,あるいはアメリカからカナダというように,そういうリビング・エクスペンスとグラント,そして学費というもののセットで発信することが大事になってきていると思います。
 このあたりはまだまだ日本のホームページというのは,例えば英語版にしたときに,単に翻訳したというようなことで,魅力的にもなっておりませんし,やはりグローバルに留学生を日本は獲得,学士課程段階もそうだし,大学院も避けて通れませんので,いかに獲得するかという視点から,そういう情報も,議論の中に入れていただきたいということです。

【谷口副部会長】 これも要望になると思いますが,発信する情報を記載するにあたっての基準をきちんと決めていただきたい。要するに大学間によって,同じ項目でも表現の仕方が違うというのだと各大学の情報を比べられないということが起こりますので,その基準をしっかりしたものにして,情報を出す側から言えば,誰が記載しても同じ内容になるような基準をきちんと整備していただくようにお願いしておきます。

【佐々木部会長】 質問ですが,一番最後に大学のミッション,そこで大学コミュニティーが自主的・自律的に運用するものとして構築という,これは非常に大事なことと思うのですが,どういう構想,どういう議論がここの部分ではなされているのでしょうか。

【鈴木委員】 これは今のところ,おっしゃるように議論がなされている最中でして,大学コミュニティーあるいは大学関係団体という言葉も使っております。国大協,公大協,私大連合等がありますし,それから認証評価機関もありますし,もう既に,例えば私立大学連盟あるいは公立大学協会等はいろいろなデータを公表する,そういうときのモデルはこういうことが考えられないかということも言っているわけで,あるいは大学評価・学位授与機構のデータベースもあるわけで,そういうことが既に出ているのも踏まえながら,大学コミュニティーという,これがどういう範疇であるかというのはまだ議論の余地がありますが,今申し上げましたような認証評価機関とか,あるいは大学関係団体とかいうものをすべて含んだコミュニティーであると私は理解しております。

【納谷委員】 法律でようやく公表項目が決まったばかりです。そこのところをうまく共通化して,まずきちんとやることが先決です。今,山田委員の言っていることとか,そういう必要なことをさらに付加するかどうかというのは努力目標で幾つかあったと思います。それらの項目につき,すべての大学が公表するほうへ持っていくべきかどうか,こういう議論はやはりしていく必要があると思います。
 今の段階ではともかく,まず,法的に義務化された項目の公表を定着して,大学人はもちろんマスコミも含めて,あの中身をきちんと読んで,きちんと対応していただけるような状況になっているかどうかを検証したうえで,次に具体化するということが,今の段階は必要ではないかと思います。あまり拡散しすぎると,制度自体がまたぼわっとしたものになるので,そこをしっかりと見えるようなものにしていくという作業をぜひ,まず第一にやっていただきたい。
 それとは別問題ですが,作成資料が,大学評価・学位授与機構など,それぞれでばらばらの保持になっているのですが,今,法令で公表すべき項目が決まっているのですから,そこでデータ的に統一するということが可能かどうかということをまず詰めるべきです。それで足りないものが海外との関係であるとか,学内,マスコミの関係者からももう少し欲しいとの要請があるなら,そこの公表がやれるか,やれないかの議論をしていくことがまず必要なのではないか。これが1つです。
 もう1つの問題は,そのデータをどこで管理するかということが次の大きな問題でして,今のところ,いろいろ議論はあるとは思うのですが,将来的には法律で決まった公表事項の管理・公表は文部科学省の仕事だと思っています。ただ,今,いろいろな事情で別に頼んでいますが,やはり責任を持って,国としてここまでのデータはきちんと押さえ出すということをはっきり示したほうがいいのではないかと思います。
 もし文部科学省でできないのだったら,設置形態が違う人たちが集まった第三者機関のもとで,安心して管理できるような保管と運用を決めていくように議論していただければと思っております。そんなことを少し考えながら,やっていただければと思っております。

【高祖委員】 教育情報について今,議論をし,よく説明していただいて,大体の概要はわかったのですが,常々,この教育情報の公表に関連して疑問に思っていることの1つは,教育を行っていく場合には財務的な裏づけがどうしても必要なことです。今回,教育情報の公表で義務づけられているのは,教育の中身のほうの話で,それを裏づけているはずの財務については一応別立てになっているのです。
 それで,今配られた資料2-2を見ますと,私立大学団体連合会の場合は財務情報と教育情報の両方を出していきましょうというスタンスで例示されているようなのですが,すぐこの議論が無理だとしても,財務の裏づけがなければ教育情報の公表は,信頼性の問題も含めて,あまりインパクトがないのではないかという気がします。
 その辺のことを今どのように議論していらっしゃるのか,またこれからどういうふうにそれを議論されようとしていらっしゃるのかお伺いしたいと思います。

【榎本高等教育政策室長】 今回取り扱っておりますのは教育情報ということで,広くは昨年来からの質保証システム部会での議論の続きのことを主に対象としております。財務情報に関しましては,設置形態ごとに取り扱いが違っている,また根拠となる法律も違っているという中で,私学については,私学としての教育,財務を含めた中間取りまとめを昨年出していただいていると思っております。
 設置形態ごとにいろいろな取り扱いがある中で,教育情報に関してまず設置基準を改正したところであり,そこは高祖委員のご指摘のとおり,その周知を図り,できるだけわかりやすい形で定着が進むということを期待しております。
 そういった議論と連動しながら,こういった情報をどのようにしたらいろいろな方により見てもらえるようにするか,あるいは昨今課題となっておりますIRにどのように生かせるかといったことで議論はいただいていると思っております。

【義本高等教育企画課長】 設置形態によって公費の投入の状況も違いますし,逆に国立大学については税金で賄う大学としてかなりの財務情報については公開が義務づけられている状況です。
 ですから,設置形態によって状況が違いますので,まずは,先ほど納谷委員からお話ありましたように,昨年,学校教育法施行規則を改正した際の9項目のいわゆる教育情報というものを中心に,どのような形で全体で公表し,活用あるいは仕組みについて大学全体の中で考えていくかということをまず議論させていただきました。そういう議論を今,教育情報に関する協力者会議でやっていただいております。

【高祖委員】 設置形態の違いという面から入っていきますと,おそらく日本における大学の在り方の根幹にさわることになり得ます。これは,高等教育に対する国費支出が少ないことから始まって,大学制度の根幹に関連してくるのですが,そういうものを視野に入れた議論をしておかないと,何か表面的なところでお茶を濁しているということになりかねない。ですから,今回そこまで議論が深まらないにしても,そういう課題があること,そしてそういうものについての議論がいずれ必要になるというような点は押さえておくことが必要ではないかと私は思います。

【佐々木部会長】 いろんな場で白井委員や川口先生は「私学を忘れるな」とおっしゃいますし,我々のような公立大学は公立大学で,国私の間で忘れられていて,国からお金をいただいていないものですから,「忘れるな」と言ったりしております。おっしゃることはごもっともだと思います。

 

(3)履修証明制度について,佐々木委員から愛知県立大学の取組事例の説明があり,その後,意見交換が行われた。

【佐々木部会長】 今日は,社会人をはじめとする幅広い年齢層の学生の大学教育の提供,こういう仕組みの1つとして履修証明制度がつくられたわけです。
 この制度については資料2-1の13ページに概要が示されておりますが,例えばそこに,14ページで紹介されております私の大学,愛知県立大学の事例でいいますと,社会人学び直しニーズ対応の教育プログラムの1つとして,医療分野におけるポルトガル語,スペイン語の教育というプログラムを提案して,採択されました。これは確かに一面では社会人の教育ニーズに応えるプログラムですが,もう一面大事な側面は,愛知県の地域の特殊性に根ざした地域のニーズなのですね。愛知県の定住外国人が8万人を数えて,とりわけ豊田市や犬山市は特定の地域には集住地域ができております。
 そういう集住地域では,例えば医療機関でのコミュニケーション・ギャップが非常に大きな問題になっています。これは言葉の問題もありますし,文化の問題もあります。そこで私どもは,大学にスペイン学科がありまして,ラテンアメリカ研究などもこれまでずっと携わってきたということと,それから一部の教員・学生が集住地域に入って,コミュニケーション支援をずっと続けてきたという伝統がありましたので,これを生かしたプログラムを提案しました。
 主として看護師・保健師を対象とするもの。一方は,本学のスペイン学科を卒業した市民を対象するもの。看護師・保健師には専らポルトガル語,スペイン語の教育をする。それから,特に医療分野にある程度限定したスペイン語,ポルトガル語の教育をする。スペイン学科の卒業生には,医療にかかわる基本的知識と,それに必要な言語を教育するという,こういうプログラムを進めてまいりました。
 1年間で70時間ですから,2年間初級・中級と受講しますと,履修証明の条件を満たすわけです。これまで非常にニーズが高くて,実はGPとしての助成が終わった後もやめられなくて困っているのです。
 今度はご本人,受講生から受講料を取って,この2年間続けてきておりますが,そういう中で,2年間かかって履修証明を取って,これを授与するのですが,実はそれが社会的に認知されていないという問題があります。例えば,一生懸命120時間を費やして研修をしたにもかかわらず,看護師の病院での待遇には全く跳ね返らないとかあります。
 それから,助成が続いている間は無料で受講できたわけですが,年間3万円何がしの受講料を払って履修したにもかかわらず,証明書をもらったにもかかわらず,何ら待遇には跳ね返ってこない,という問題がありまして,多方面,医師会,看護師協会,それから自治体等々に働きかけてはいるのですが,もうひとつ我々大学の力足らずで,社会的にそれを認知させるまでに至っていません。これをかねてから文部科学省にも申し上げて,何とかいい方向へ,これが意味のあるものにつながる方向でご検討願いたいと考えていたところです。
 何かこれにかかわって,あるいは社会人の多様な学習機会の提供という点にかかわって,ご意見がありましたら伺いたいと思います。

【濱名委員】 まず,これはおもしろい制度で,使いようだと思うのですが,先に確認させていただきたいのですが,対象は,社会人までということです。
 例えば,これは高等教育の伝統的な層から考えると,社会人に伸ばすことと下の高校生に伸ばすことが両方可能性としてある制度と思うのです。それともう1つのかかわり方としては,従来の単位制とか,あるいは資格制度とどう連動させるつもりなのかを文部科学省はどう考えているのか。私はこれはものすごく,可能性としては幾らでも上げられると思っています。
 これは今の高等教育のスキームでいえば,例えばショート・ステイ,ショート・ビジットをやっていますが,外国から来た人たちが3週間,1日8時間やると,3週間分で5単位,では,これはこれで来た人たちがその大学にショート・ステイしている間,5単位取って帰るというプログラムを同時につくるのだったら可能になると思いますし,同様にインテンシブにやるのだったら,高大接続で,初等中等教育局と対岸からまだ物を言っているような感じがあるのですが,アドバンスト・プログラムとして学んでいくことが接続の問題を小さくしていくという可能性ももちろんあると思います。社会人だけで生涯学習政策局との関係でいうと,今の日本の社会人は,学習することはただということです。要するに供給されるものであって,それは自治体から供給されるものと思っているものとの,そこの調整をしていけば可能性としてあると思うのですが,そのあたりの基本的な資格や体制とのかかわりと,その対象の範囲をどこまで想定してスタンスを構えておられるのか。
 私は,そういうふうに使っていけば,社会人の顧客というか,対象数を増やしていくというよりは,高等教育の持っている生涯学習とか初等中等教育とのリンケージであるとか,あるいはグローバル化対応までかなり幅としては広いメニューであり,それを集中でやるのか,あるいは通常のレギュラープログラムに入れるのか。
 私どもの大学ではコンソーシアムでやっておりますが,レギュラープログラムに社会人の方は来ていただくとなると,大学院ですね。専門職大学院とかそういうところ以外になかなか,学士課程教育の中で受け皿としては非常に小さいような気がするのですが,そのあたりについて情報をいただければと思います。

【藤原大学振興課長】 失礼いたします。履修証明制度の対象については社会人に限定されるものではありません。
 それから2点目,おっしゃるように,非常に多様な利用の仕方というのはこれからさまざま考えていく必要があるんだろうと思うのですが,おっしゃったような単位としての取り扱いをどうしていくのかという話,そこは現在は科目等履修生制度があるわけですので,基本はそういうもので対応しているということだと思います。
 それからもう1つは,濱名委員ご承知のように,単位というのは15時間の学習の前後にそれぞれ15時間があって,45時間の学修という成り立ちになっておりますが,この120時間というのは純粋に大学で学ぶレクチャーの時間ということになるわけですので,そうしたものをどう整合させるのかというところは当然あろうかと思うわけです。
 それから,高大接続みたいな話もあり,アドバンス・ツー・プレースメントみたいな考え方も当然あるわけですが,そこら辺も含めて,現段階で今の制度を超えてこれということはないわけですが。そうしたものも含めて,この履修証明制度,あるいは科目等履修生のあり方,そうしたものを拡大,広げていくような余地があるのかどうかということを考える必要があると思います。

【濱名委員】 そこらの制度的な整合性,例えば単独大学だけではなくて,私はコンソーシアムの理事長をやっていますから,大学間連携と組ませていくのだったらば,もっといろんな可能性が出てくる。
 紹介をすると,実学習時間で120時間だとすると,さっき計算したみたいに,3週間の毎日のインテンシブプログラムで実時間は行けるのです。だけど,それが単位を伴わないと,なかなか高校生であったり,外国人がサマープログラムで5単位取って帰れるのと,ただスカラーシップは出しますけれども,あとはご自由にというやり方とでは,さっきの山田委員の発言ではないのだけれども,日本というのはそういう点では,来ると,滞在で,アコモデーションがものすごい高くつく。事業仕分けでJASSOの留学生会館も閉じられて,大体短期ステイで皆さん困られるのは,どこへ泊めるかということが最大の問題ですから。
 そういうふうに考えていくと,そういう制度間のつなぎをもう少し考えていただかないと,アイデアはそういうふうに私なんかでもいくらでも出てくるのですが,そこらのつなぎを考えていかないと,今ある履修証明制度を活用するということをどうするかというよりは,そういうふうに活動していただけるとありがたいです。

【小松高等教育局審議官】 制度的な位置づけについて,今のお話に沿った形で若干補足いたしますと,まず履修証明制度は,平成19年にできた制度です。資料2-1の12ページに,各大学の教育サービスについて様々な制度的なことが一覧表にしてありますが,赤枠で囲っている履修証明制度の学校教育法105条と書いてあります。この表の一番上の学位のところは104条と書いてあります。
 学位に関する学校教育法,法律そのものの規定の次にこの規定を置くということで,新機軸が打ち出されたわけですが,これは,先ほどの設置基準というのは大きなものですが,文部科学省令でありますので,法律の下の政令の下の省令ということになりますが,これ自身は法律そのものですので,結構大きな改正だったのですが,これはまさしくこの当時の中教審で,平成18年ぐらいに,こういうことをやろうという話があったので,それを踏まえて法改正をやったという位置づけになっております。
 そういう意味では非常に大きな位置づけがあるのですが,まだ年齢が若いということもあり,各大学で手探りをして取り組んでいただいている状況です。これだけのものがあるので,せっかくのご議論でできた制度がもう少し実質化していけないかという議論は常にある,こういうことがまず1つです。
 そこで,この履修証明制度の位置づけですが,一応便宜的に,この表に事務的にはまとめておりますが,濱名委員おっしゃられたように,科目等履修生,聴講生,公開講座,いろいろな制度と並列して並んでいるかのように書いているのですが,それは少し違っており,次の13ページのところにその運用が書いてあります。例えば120時間以上であるとか,大学が履修証明書を交付するなどです。
 ここで学習している大学がこれだけの実力があるということを証明する際に,そこで学習されたものが,例えば単位にするか,しないかはここでは問われておりませんので,どちらもあり得ます。つまり,任意の学習活動でもあり得るでしょうし,単位に位置づけるということもあり得ます。
 あるいは,別途言えば,12ページに戻りますが,公開講座でもあり,このコースの一部として認定することもできるというふうに,必ずしも並列で独立に並んでいるわけではなく,オーバーラップがいろいろできる非常にフレキシブルな制度として設計されております。
 その背景は,今,佐々木部会長からお話がありましたように,社会人の学び直しという文脈があって,経済的にも非常に問題があって,中高年の方が苦しいとかいうこともあり,新しい転職をするとかスキルを身につけるときに,証明力があって,かつ4年もかからない,2年もかからないというにはどうしたらいいかという議論の中から出てきたものですから,イメージ的には社会人中心という議論があったりしますが,柔軟にやったほうがいいというので,制度としてはほかと相矛盾するものではなくて,様々な相互の位置づけでとにかく120時間やっていきましょうということになっております。
 しかし,それだけに何となく正体がよくわからないのかもしれませんが,社会的には,佐々木部会長がご指摘のように,なかなか認知が得られないところがありまして,そうであれば,もう少しやり方をご議論をいただいて,使い勝手のよいもの,あるいは効果のあるものにしていったらどうかということが背景になるのではないかと考えます。

【山田委員】 私もこの履修証明制度を深く知ったのは初めてですが,随分もう十何年以上前になると思うのですが,やはり大学に社会人をもっと流動化して入れて,そして大学自体を活性化する1つの考え方として,たしかアメリカの継続教育ユニット単位というものがありまして,コンティニューイング・ハイ・エデュケーション・ユニットというのがたしかあると思います。
 そのもともとの発想というのは非常にこれに近いもので,120時間を履修すると単位として認めるということでありまして,その場合は,ただ,1つのプログラム,教育課程の中ではなくて,例えば,その社会人がある大学である科目を120時間なり学んでいき,そして積み重ねていって,例えば転勤でほかの地域に行って,ほかの大学で同じような科目を履修していくことで,企業の中でも認められるような継続教育ユニットという形で,例えばその人の技術の証明になるとか,そういう形で使われているものと考えておりました。
 ですから,ある意味で,産業界との連携ということになりますと,今,濱名委員おっしゃったように,コンソーシアムとか,いろんな大学間の連携というのが現在進みつつあるわけですから,そういう中で大きなフットワークとしてのプログラムというのができ上がっていたとしたならば,ある大学でこの時期にしか学べなかったけれども,別の大学で学びという積み重ねです。いわゆる大学評価・学位授与機構がしている単位累積加算制度に近いところもあるかと思いますが,そういう使い方もあって,それがいわゆる継続教育単位という形で積み重ねていくと,産業界との連携もしやすいというような感じも持ちます。

【長尾委員】 この制度に関する質問ですが,母体は日本の大学であっても,海外と連携してプログラムを展開するとしたときには,それは一部分的にでもディスタンス・ラーニングというか,フェース・ツー・フェースではなくても,そういうものもここは受け入れることは可能なのでしょうか。

【藤原大学振興課長】 そこは,先ほど濱名委員からもお話ありましたが,こういった履修証明については大学の枠を超えて共同でやるというスキームで組んではいないのです。共同学位課程という形では省令改正をして,今は共同でできるという形をとっているわけですが,履修証明みたいなものを大学を超えて共同で運営できるというようなスキームとは,今後検討が必要ではないかという議論はあるかと思います。

【納谷委員】 明治大学も実はGPをとって大学でやっているのです。それはそれなりに成果を上げていますが,今,佐々木部会長からご紹介いただいた事例では,入学料,授業料をとりながらこの制度を利用していくというのでしょうか。
 ただ,それでは,既存のそれとの間の違いがわからなくなって,非常にやりにくかったので,我々はそれは外して対応してみました。ですから,どっちの行き方でやるかということが,これからのこの制度を設計するときに運命を決することになるだろうという感じはしています。
 もう一つ,質の保証という問題があり,やはり立派な先生でなければならない。単なる120時間では済まない話があります。先生方もこれこれの中身で体系的にきちんと教えるとなれば,それはそれで別の問題が出てきます。
 従来の制度とのすり合わせをどうすべきか。プランを考えるとき,非常に難しい問題が1つあるのは,入学料という概念,それから授業料という概念,これが今までの制度の上に乗っかっているようであるし,乗っていないような,あいまいさが非常に大学のカバナンスとやるときに難しいところです。
 ですから,ここで議論していただきたい。ぜひ私どもはやろうと思って今一生懸命取り組んでいるんですが,どうも使い勝手がいまいち難しかったと思います。また,それをどういうぐあいに社会にアピールしていくかということも。ただ履修したということの証明制度だけで,何と言われて,いや,単位をあげるとかいうのなら,これも1つの解決策でしょうが,そこら辺のところが非常に難しいことは事実なので,どうしたらいいか,もう少しご意見をいただけたらうれしいと思っているところです。

【佐々木部会長】 少し補足しますと,私どもは,GPの助成が続いていた間は丸々そこに依拠して講師の手当もそこからやっていましたから,無料でやっていたのです。しかし,それが切れた後は,一部の方々は大学で行う正規の授業に科目等履修生という形で受け入れました。
 他方,街中でサテライトで受講したいというグループについては,別途その講座を設置して,受講料を取っています。
 だから,今は二重の制度をつくって,結果だけはそれで120時間を履修した者に履修証明を与えるということで運用しております。

【黒田副部会長】 私のところは,履修証明制度が始まる前から外国人の受け入れで大学独自の証明書を出していました。
 これは外国人に(3週間来るわけですが)出しますと,その証明書を持って帰ると,向こうできちんと待遇が受けられて,職位が上がっていくのです。ところが,日本はいろんな企業の方と話していても,履修証明書をもらったって,それは全然影響ない,関係ないと言われるんです。それよりも,学位が取れるような方法をやってくださいという感じが多いのです。
 ですから,これ,社会的に履修証明をもう少し国内でPRして受け入れてもらえるような土壌ができてこないと,これは国内では普及しない。それよりも外国人の短期での履修のほうが,外国に対しては効果があるという感じを受けました。

【納谷委員】 私どものところでも同じような履修証明書を出しています。相手方のほうで単位化するならばそれで結構ですということは,やらさせていただいているのですが,それ1点だと,どうもここのつくった制度のときとは少し違う感じがしているので,黒田委員が今おっしゃられたようなことを何らかの形で認知してもらわないと,これ制度として育っていかないという感じはしております。

【川嶋委員】 社会人の履修者を増やすということについては,第5期の中教審でも議論になり,その時に,社会や受け入れ側の問題と大学側とにそれぞれに課題があったと思います。
 1つは,一番大きな課題だと思いますが,特に企業が,正規の学位にしろ,こういう履修証明書にしろ,今,黒田委員のお話があったように,それが昇進・昇格にほとんど考慮しないというような金子委員による調査の報告がありました。大学側の問題は,特に正規課程の場合はやはり授業料,入学金の高額さが問題です。履修証明書は,わりと安価で証明書が得られるということですが,もう1つの課題はやはり,社会人のアクセスといいますか,要するにどういう時間帯に授業を受けられるかということです。
 失礼ながら愛知県立大学さんの例を見ますと,金曜日の朝10時からという時間割が,サテライトキャンパスでアクセスはいいのですが,時間帯という点からいくと,やはり社会人の方は,なかなか履修しにくいのではないかと思いました。最終は日曜にされているようですが,やはり大学側で考えないといけないことと社会や企業の側できちんと考えないといけないという,それぞれ課題があると思います。
 そこで提案ですが,1つの可能性としてまず大学で始めてはどうかということです。つまり大学のFD,SDでこの履修証明書を発行してはどうかということです。今,大学教員の教育者としての資質を向上させるということで,ヨーロッパでは教授資格をスタートさせています。特にイギリスではすべての新任教員には一定のプログラムを受けないと大学教員に採用しないという動きになっているわけですが,大学自ら大学教員のFDあるいは職員のSDにこういうプログラムをつくって,そこできちんとそれぞれ教員や職員の能力開発をすると同時に,それに対してきちんとディプロマを与えて,それを大学がきちんと評価して,昇任や昇格につなげていくという,まず大学が「かいより始めよ」ではないですが,そういう取り組みを始めるというのが,社会に対してこういう仕組みの有用性を示すには必要ではないかと思います。

【佐々木部会長】 私どもの金曜日については,看護師の特殊性がありまして,交代勤務の中でその時間を都合してみんなやってくるのです。

【宮崎委員】 前半の特区の議論とも関係してくると思うのですが,大学はどういう場かということを考えた場合,例えば,ある一定の目的のためにある一定の期間,履修証明が出るようなことをやったということが,市中のカルチャースクールに行ったこととどう違うのかという部分をきちんと出していかないといけないと思うのです。
 それは,やはり学術の場であり,人間形成の場でありという大学の使命をいろいろ考えた場合に,同じようなテーマでいろんなチャンスがあると思うのですが,それを大学で行ったことによって,その結果どうなるかというところがもう少し見えるというのが大事かなと思います。
 だから,ある種の免許的なものであるとか資格的なものであるとかの構成要件にするというか,今,お話が教員のFDとかに使うというのがありましたが,そういうことでもいろいろあると思うのですが,その辺のところがきちんと見えてくると,もう少しわかりやすくなるのではないかと思います。

【佐々木部会長】 これはかなり厳しく最終試験をやっています。ですから,15人~20人ぐらいの受講生の中で,やっぱり2~3人は落第するのです。それは病院というか,医療現場ですから,軽々に証明を出すわけにはいかないというので,厳しくはしているのですが,現場では認知してもらえないというジレンマがあります。

【谷口副部会長】 先程話がありましたように,いわゆるカルチャースクールとの違いということはきちんとしないといけない。例えば,かなり質が高いとか何かで保証しないと,県とか市とかの企画など,これに近いことはたくさんやっていますから。本当にこういうプログラムで履修証明を出すというのは,プログラム内容が世の中の役に立っていますということが保障されたものでないと,なかなか社会で認知してくれないということになるのではないでしょうか。
 先程の話も医療現場で本当に役に立っているなら,認知してもらっているはずなのです。だから,各プログラムがどのように社会の中で役に立つのかということが明確にならないと,この制度は,本当には定着はしないのではないのかという気がします。カルチャースクールとの違いを明確にしないといけないと思います。

【納谷委員】 明治大学でやってみてわかったことは,先生方が社会のニーズをキャッチする努力をしたこととか,そういうことに対してどういうように教えていくかということとか,いろんなことで学内の改革には非常に役に立つ制度です。そこへ参加していくということは学内では非常にインパクトは出てきて,既存の教育とか,そういうところにも影響が出てきていることは事実です。佐々木部会長のところのような,医学分野のそういう場で,きちんと成果が出るようなものははっきりしている。
 ただ,それだけだとひょっとしたら既存の教育課程の中でもしっかりやれば済む話かなというところも若干ありますので,そこの使い方はまだまだこれからいろいろ検討してみたいと私は思いました。

【義本高等教育企画課長】 本日の議論は大変参考になったご示唆があると思いますが,この制度の趣旨からしますと,結局,かなり緩やかな制度を設計し,そこはかなり柔軟に使えるということをベースにしてこれまでまいりましたし,それから資料2-1の14ページ以降で紹介しています社会人の学び直しということで,いわゆるGPで予算をつけてそういう実験を各大学でやっていただく,その成果を普及してきたわけです。
 今日の議論を参考にさせていただいた上でですが,そういうメニューを紹介し,普及するというだけではなくて,今日,濱名委員からお話ありましたように,もう少し制度的にアイデアがないのかどうかとか,単位とか学位との関係について,あるいはほかのところとの使い勝手のよさということについて,ある程度ルール化する,あるいは考え方を整理していくという点はないのかどうか。あるいは海外との連携とか,その辺の形をもう少し整理させていただいて,それから質の問題にしても,公開講座とかいろいろありますが,逆に大学としての質保証という観点からすれば,今お話にありましたようなインターフェースを考えれば,それは当然出てくる話ですので,その辺のルール,あるいは海外との整理ということについてももう少し私どもとしては課題として受けとめたいと思います。

 

(4)事務局から,大学教育部会の次回以降の日程について資料3の説明があった。

 

── 了 ──

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-- 登録:平成23年09月 --