ここからサイトの主なメニューです
資料3

学士課程教育の現状と課題
(重要な論点の例)

1  ユニバーサル化への基本認識等

 
1  グローバルな「知識基盤社会」やラーニング・ソサイエティの時代の到来、少子化に伴う人口減少、大卒・高卒の雇用機会や賃金の格差をめぐる状況、諸外国の趨勢を踏まえ、ユニバーサル化をどのように捉えるべきか。

2  現在の我が国の学士課程教育の質をどのように総括的に評価すべきか。
高等教育の規模の拡大に伴い、「教育の多様化」と「教育の質」との関係をどう考えるのか。学士課程教育は、社会の発展の共通基盤としての役割・機能を果たし、信頼を得ているか。卒業生の質をめぐる企業等からの評価はどうか。「入易出易」とも言うべき状態の発生をどう考えるか。国際的な通用性や競争力はあるのか。

3  大学の個性化・特色化を推進していく上で、個々の大学が、学生の視点に立ってディプロマ・ポリシー、カリキュラム・ポリシー、アドミッション・ポリシーを明確にし、それらを相互に関連付けて運用していくことが重要ではないか。個々の大学間の競争を促進すると同時に、大学間の自主的・自律的な連携・協働を活性化させる環境整備が大切ではないか。

2  学修の評価、学位の授与(ディプロマ・ポリシー等)

 
1  大学全体や学部・学科等の人材養成の目的、学生に身に付けさせるべき学習成果
 (Learning Outcome)が明確になっていないのではないか。大学として、学士課程で身に付けさせる専門分野を越えた汎用的能力(Generic Skills)を具体的に示す必要があるのではないか。さらに、分野別評価の在り方(例えば、到達目標、ベンチマーク)について、どう考えるか。

2  国際通用性の観点から、日本の学士課程教育に関する枠組みづくりについて、どう考えるか。
汎用的能力に関する到達目標を明確にしようとする国際的な動向(米国、欧州、豪等)や国内の動向を踏まえて、どのように対応するか。機能別分化が進むとしても、学士課程として、あるいは各学問分野ごとに最低限の共通性があるべきではないか。学士課程教育で育成しようとする「21世紀型市民」(平成17年中央教育審議会答申)の内容は不明確ではないか。学士の付記名称の多様化は、通用性を阻害していないか。

3  「出口管理」の強化、経済社会からの需要とのマッチング、教育における産学連携教育の強化、大学院教育との接続の在り方についてどう考えるか。経済社会との関係において、大学の自主性・自律性の在り方についてどう考えるか。
大学と経済社会との人材需給のミスマッチがあるとすれば、それぞれの立場で考えるべき点が何か。経済社会の求める人材像、能力は明確化され、大学や学生に正確に伝えられているか。大学や学生は、企業の発する情報を正確に把握・理解しているか(例えば企業の「即戦力」志向の言説をめぐる誤解はないか)。

3  教育内容・方法等(カリキュラム・ポリシー等)

(1) 教育課程の編成・実施等

1  教育課程や履修指導が、学習成果(Learning Outcome)の観点から見て、体系性、順次性を欠いているのではないか。教養教育科目が減少し、専門基礎科目や資格取得などの実務教育科目が増加する傾向にあるが、どう考えるか。教養教育・専門教育というような区分に拘らず、4年一貫した学士課程教育の構築を目指すべきではないか。

2  学士課程教育として確保すべき「学習の幅」について、どう考えるか。正副専攻制など学生の幅広い学習を確保する仕組みが十分に普及していないのではないか。入学時から専門分化する学部の組織構造の一般的な在り方についてどう考えるか。

3  コミュニケーション能力の育成について、十分な成果を上げていると評価できるか。読む・書く・聞く・話すの4技能のバランスはどのようになっているか。特に、英語教育の改善策はどうか(例:ライティングセンター、卒業時の到達目標設定など)。

4  キャリア教育や資格課程の教育課程における位置づけや関係について、どう考えるか。
初年次教育を含め、キャリア教育は学士課程教育と有機的に結びついたものとして捉えるべきではないか(単なる就職支援でなく、「持続的就業力」等の育成が重要ではないか)。インターンシップ等を教育課程内に位置づけて単位認定を行う場合の留意点は何か。外部委託をめぐる問題点をどう考えるか。専ら資格取得に特化した教育は問題ではないか。卒業後の就職状況の把握や支援をどう考えるか。

5  学生の豊かな人間性をはぐくむ観点から、課外活動の充実・活性化の方策についてどう考えるか。

6  教養教育の改善充実に先導的に取組む「教養教育重点大学(仮称)」の重点的支援(平成14年中央教育審議会答申)についてどう考えるか。

(2) 教育方法

1  学内・学外での一定の学習時間を前提としている単位制が形骸化しているのではないか。単位制の実質化に向けて改善すべき点は何か。
学生の学習時間の確保に向けた配慮・取組は十分か。各セメスターにおける履修科目の数・種類は適切か(例えば、3単位科目の普及は考えられないか)。事前学習の指示など適切なシラバスの作成を進めるべきではないか。履修ガイダンス機能の強化が必要ではないか。

2  知識観・学力観の転換、学習成果(Learning Outcome)の重視などを踏まえ、教育方法の見直しが必要となるのではないか(少人数指導、学生の主体的な学習を引き出す教授法(アクティブ・ラーニング)の推進、eラーニング等のITを活用した教育の推進、様々な体験活動(奉仕体験、サービス・ラーニング、フィールドワーク、海外体験学習)など)。

3  TAの数や活動の範囲は十分か(例:授業での指導への関与が少ないのではないか)。

(3) 教育評価

1  成績評価基準の明示が不十分ではないか。GPA制の普及促進やキックアウト制についてどう考えるか(その場合、国際通用性の観点からGPAの標準的な在り方、GPAを機能させる基本条件をどのように考えるか)。

2  学期末試験のみならず、多様できめ細かな評価の在り方についてどう考えるか(学生の学習ポートフォリオ、学期中の小テストなど)。

3  厳格な成績評価ときめ細かな指導を促進するための方策についてどう考えるか(大学に対するインセンティブ、成績優秀な学生へのメリットの付与など)。

4  卒業までに、自らの学び、知を総合化するような仕組みを積極的に取り入れ、評価していくべきではないか(例:到達目標に照らして、自分自身の能力向上やキャリア形成について自ら証明するポートフォリオを作成させ、評価すること等)。このために、4年次の学生の学習環境への一層の配慮が望まれるのではないか(例:企業の採用活動の在り方など)。

4  入学者選抜の実施(アドミッション・ポリシー)など

(1) 入学者選抜

1  アドミッション・ポリシーが、当該大学の個性・特色、ディプロマ・ポリシーやカリキュラム・ポリシーを踏まえたものとして明確に定められているか。それらは客観的な基準として示されているか。

2  当該大学で学習するために必要な基礎学力を的確に測る観点から、アドミッションポリシーに基づく学力試験、高等学校の履修科目指定などが適切に実施されているのか。

3  選抜方法の多様化、特に推薦入試・AO入試の普及拡大をどのように評価するか。

4  学力試験の内容について、知識の量を問うものから、総合的な学力、PISA型の学力を評価するものへと移行させていくこと等についてどう考えるか。

5  ユニバーサル段階において、大学が個別に実施する試験と共通的・標準的な試験との関係、役割・機能の在り方についてどう考えるか。

(2) 初年次における教育上の配慮

1  ユニバーサル段階における初年次教育や導入教育の教育的意義や必要性、有効なプログラムの在り方についてどう考えるか(学びの動機付けや習慣形成など)。成熟社会においては、学校間や学校・社会間の移行問題への対応が一層重要になってくるのではないか(例えば、組織間の情報共有の仕組みが必要になるのではないか)。

2  補習教育(リメディアル教育)についてどう評価するか(教育システムの効率性の観点などに照らしてどうか。上記(1)2と関連)。教育課程外の活動として明確化すべきではないか。

5  教職員の職能開発(ファカルティ・ディベロップメント等)

 
1  上記2〜4の改善を図るための環境整備として、とりわけ教職員の職能開発、ファカルティ・ディベロップメント(FD)等を通じた教員の教育力の向上が重要ではないか。
人材養成目的、各種ポリシーを明確にした上で、教員団が情報を共有して組織的に取組むことが必要ではないか。また、学習成果重視の流れの中で、教育方法改善(ペダゴジー改革)が重要になっているのではないか。実務家教員の登用が進んでいるが、その教育力向上も不可欠ではないか。

2  FDは、多くの大学に普及したが、必ずしも実効が上がっていないのではないか。その原因や問題点、改善策は何か。
多くの教員(専任あるいは非常勤講師)の参画がなされているか。ワークショップの導入、教員の相互参観や相互評価などの取り組みが遅れているのではないか。授業評価の組織的な活用、教員の教育面の業績評価(例:ティーチング・ポートフォリオの導入など)も不十分ではないか。ペダゴジー改革を先導する専門的人材の養成・確保が必要ではないか。機能別分化、明確化された人材養成目的に対応した教員評価の構築が必要ではないか。

3  様々な調和のとれたFD推進方策(例:行政レベルと自律的活動レベル、一般FDと専門FDなど)はどうあるべきか。FDの拠点としての「大学教育センター」やコンソーシアム等への支援、ネットワーク化についてどう考えるか。

4  大学院における大学教員の養成機能(プレFD)は十分か。ユニバーサル段階の大学教員としての備えはなされているか。TAの教育力向上のための組織的な訓練、他大学におけるインターンの仕組みなどについてどう考えるか。

5  教員の教育研究活動を支援する体制が質・量ともに不十分ではないか。専門性の高い事務職員、大学アドミニストレーターの養成・研修(SDなど)、そのための環境整備(例:検定制度)が必要ではないか。

6  その他

 
1  学士課程教育の質保証システムは、十分に機能しているか。
大学設置の基準・認可、認証評価制度の在り方についてどう考えるか。認証評価を機能させる前提となる自己点検・評価の実施や結果の公表は適切に行われているか。大学の教学面のガバナンス(教授会等)は、教育の質を自律的に保証する上で機能しているか。評価機関間の連携協力など、大学関係者の自主的・自律的な質保証の協働体制についてどう考えるか。

2  国際的な質保証をめぐる動向に対して、どのように対応していくか。アカウンタビリティの観点からも、国際的に遅れている情報ネットワーク(情報ポータル、大学別の教育情報データベース等)の構築を急ぐべきではないか。

3  現行法令上、大学、大学院、学部といった用語の使われ方が整理されていないのではないか。学士課程の位置づけが不明確ではないか。基準を合理化する余地があるのではないか。

4  学士課程教育の現状や課題を的確に把握し、大学の自主的改善や政策立案に反映させるため、各種の実証的な調査分析を進めるべきではないか(例えば、学生の生活実態・意識・価値観・学習状況のアセスメント、大学教育の経済効果や経済社会とのレリバンスの調査分析等)。

5  学士課程教育と大学院教育との関係、接続の在り方についてどう考えるか。



大学教育改革(PDF:102KB)


ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ