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資料5

千葉工業大学キャリア形成支援プログラム(事例)

宮川 博光

 学校教育の成果は、個人に帰属されると同時に、個人の人格と知的能力を通して、職業をはじめとする社会や産業界の領域で広く還元されて成立するものと考え、平成9年度よりキャリア支援プログラムのカリキュラム化(単位化)を検討し、平成11年4月よりスタートしました。
 入学から卒業に至るまで学生個人が、年次ごとに自己の個性や適性を考慮した「キャリアデザイン」を視野に入れ目標を設定し、学生自らの意思決定で進路や職業選択ができる段階的なキャリア支援を目的とします。

1. 学生の行動基準
  最近の若者たちの行動基準や価値観は、経済至上主義の価値観がより個人という視点で歪曲し、利己的な価値基準で行動する傾向が強まっている。
 
社会面: 他人に迷惑をかけても、権利は権利として主張したい。
職業面: 自分の能力を生かすために積極的に転職をしたい。
「労せず、お金を稼げる職業に就きたい」(就労意識の希薄化)。
価値基準: 「損得やかっこ好さ」で、「善悪」では無くなっている。
  就職活動
   自分で適職や企業を見付けようとせずに、「私と企業を結びつけて」と他力本願的な行動をとり、就職のキューピット(天使)役を求める。
 
企業選択のキーワードは「ANGEL
 
A(amenity 仕事をする上で、快適な環境志向
(設備・制度・人間関係など)
N(near by 地元・近隣都市志向
(親元で生活基盤を確保・パラサイト)
G(group 集団行動志向
(皆が良いという企業に集中・リスク分散)
E(economical 省エネ志向
(努力や苦労を避け、他人に同調し依存)
L(looks 知名度(ブランド)志向
(自分にとってカッコ好いか)

2. キャリア形成支援の目標
  「良い会社選びする能力ではなく、どんな組織でも存在感を持って活躍できる能力」
  就職支援から学生生活総合支援
「自立」 自己理解から自己実現イコール自分で考え、自分で行動できる

3. キャリア形成支援の具体的視点
 
1 いい会社へ就職 何処に行っても成長できる人材育成
2 就職スキル支援 キャリア形成プログラムの導入
3 キャリアセンター主体 全学連携体制
4 就職講座 低学年よりのキャリア教育、授業へ組み込み
5 知的スキル優先教育(IQ) 情動形成・体験学習の導入(EQ)
6 学内教育者優先 各界で活躍する人材の活用
7 授業中心 学内外で学生主導の就職イベントを企画運営
8 教室中心 企業・外部組織等のハードの活用

 
ティーチング
(教育)
カウンセリング
(相談)
コーチング
(支援)

4. 人材育成目標
 
1 スペシャリストタイプ
  高い専門知識を保有し、独創・想像力を持ち、新技術や新商品を設計・開発する人材。
2 コンサルタントタイプ
  特定の業界や・業務知識を基に、戦略的ビジネス展開や実践による課題解決法を提案する人材。
3 プロジェクトマネージャータイプ
  顧客・業界の知識を踏まえて、計画策定、要員など必要な資源の調達やプロジェクト体制の確立、予算・納期・品質を統括する人材。

5. 就業能力(人間力)開発
 
1 個人(対自己)
  常に学び続け、エネルギシュに行動しながら、目標に向かって、自分をコーディネイトしていく能力。(学ぶ方法論と習慣が身に付いているか)
 
社会性、積極性、モラル、環境適応力、ストレス耐性など
2 組織(対人)
  自分を主張するだけでなく、まず相手を理解すること。相手と知識の交換や共有ができ、知識を持ち寄りまとめて行くコラボレーション能力。
 
他者理解力、説得力、育成力、状況理解力、コミュニケーション力など
3 課題(対課題)
  自分で目標や課題を設定して、そのために何をするか、自分で決め行動する能力。
 
情報収集力、問題分析力、計画力、判断力、意思決定力など

6. キャリア形成支援の基本フレーム
 
1 キャリア準備期:
  1〜3年次生を対象に、ガイダンスや就職カリキュラム(自己表現法:1年次生・進路を考える:2年次生・社会と大学:3年次生)を通して、論理的思考と問題解決法などを学び、低学年から進路選択への取り組みを図る。
2 キャリア養成期:
  3年次生を対象に、具体的な進路決定ための準備(自己分析・企業研究・履歴書の作成・一般常識および専門知識の確認・マナーの習得など)やインターンシップやボランティアへの参加など実践的な行動を体験させ、自己の適性が生かされる職種を理解させて、業界や企業の絞り込みをさせる。
また、大学院進学希望の学生にも、専門・研究分野を視野に入れたキャリアデザインを考えさせる。
3 キャリア実践期:
  3年次後期から4年次生を対象に、自己の適性を理解した上で、希望する職種・業界・企業の情報収集や分析を基に就職活動をさせ、活動履歴よりカウンセリングをして、目標や問題点を理解させる。また「自ら判断で就職して行く」行動が計画的に進めるよう情報収集・実行方法・意思決定と実践的な行動をとらせる。

7. キャリア形成支援カリキュラムおよびプログラム
 
1 「自己表現法」
  (1年次生、前期、選択、2単位)
  コミュニケーション力(コミュニケーション・ディスカッション・ディベート・プレゼンテーション)を通して、情報収集力・分類、実行方法の問題点を明確にし、かつ優先順位をつけ処理する論理的思考をベースに問題発見型の思考を身につけさせる。
2 「進路を考える」
  (2年次生、後期、選択、2単位)
  エンジニアとしての物造りに携わる際に、必要とされる創造力・独創力を設計開発・製造技術・生産管理などの職種を通して現状や課題を把握させ、職業からの視点で自己目標や学習目標の意識を持たせ、柔軟で適切な判断が出来る仮説検証的思考を身につけさせる。
3 「社会と大学」
  (3年次生、前期、選択、2単位)
  社会において、学習した専門分野の知識と能力を十分に発揮するため、企業人として重要とされる「就業観(仕事)」の形成と、組織の中で必要とする判断・意思決定力を体験させ習得させる。ポジティブシンキングをベースにモチベーションを高め、「自己の進路設計」の意識と習慣性を身につけさせる。
 
1 マネジメントスキル
  人材育成にも注力しながら、プロジェクトを管理運営していく能力。
2 テクニカルスキル
  専門知識や業務に必要な資格などに関わる能力。
3 業務遂行スキル
  メンバーと協力し、非定型的な仕事でも、方法論やツールを用いて、効率的に職務を遂行する能力。
4 ソシアルスキル
  人間関係構築力、対人渉外力、コミュニケーション、プレゼンテーションなどの能力。
4 ベンチャー・モノづくり支援
  在籍する学生が、在学中に得た知的財産を生かし、ベンチャー企業の創設やモノづくりを希望する際、一定の審査をして社会的貢献度の高い提案に対しては、その実現に向け1年間支援をする。
これにより、学生に夢を与え学内を活性化させると共に、勉学意欲の向上を図る。また、技術的サポートとして専門分野の近い教員も参加させる。
平成12年よりスタートし、14名の学生社長が誕生している。
 
  施設支援: 20平方メートルの部屋(学内:机、ネットワーク含む)。
  資金支援: 1事業につき、100万円

以上


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