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資料3-1 認証評価制度の充実に向けて(骨子案)

1.検討の背景・経緯

○ 大学の質保証については,従来,設置認可制度が中心となり,設置後の質保証は各大学の取組に委ねられていたが,国際化の時代の中で質保証システムの強化の必要性や,規制改革における「事前規制から事後チェックへ」との考え方等を踏まえて,平成16年度に第三者評価制度である認証評価制度が導入された。
○ これにより,各大学は7年ごと(専門職大学院の評価は5年ごと)に評価を受けることが義務付けられ,現在は2巡目(7年ごとのサイクルとして2回目)の評価が実施されている。
○ 認証評価制度の導入により,日本においても評価が根付きつつあり,各大学においても,評価結果(評価における指摘等)を活用した大学教育研究活動の改善に取り組み,一定の成果が挙がっているところ。
○ また,認証評価機関においては,大学設置基準をはじめとした法令改正にも対応させながら,2巡目の評価の実施に当たっては,1巡目の評価活動や国際的な質保証の動向を踏まえ,評価項目の見直しや簡素化など評価の改善に取り組んできている。
○ 一方で,現在の認証評価制度に対しては,依然として,法令適合性等の外形的な評価項目等が多く,必ずしも教育研究活動の質的改善を中心としたものとなっていないこと,評価結果を教育研究活動の改善に生かす仕組みが十分ではないこと,また,大学が認証評価以外にも,様々な評価・調査業務への対応に追われるなどのいわゆる「評価疲れ」の問題,制度導入後10年以上経過したものの,社会一般における認証評価制度の認知度は十分でないこと,などの指摘もなされている。
○ 折しも,高大接続改革等においては,大学教育の質的転換の断行が求められ,また,本年度には,大学のガバナンス改革に関する学校教育法等も施行され,急速な社会への対応に自らの機能を発揮するための大学のガバナンス改革が不可避となる中,中央教育審議会をはじめとした各種有識者によって構成される会議体からの提言等(※1)においても,認証評価制度に関して,大学による学生の学修成果の評価や全学的な教学マネジメントの下,内部質保証の確立を重視した評価への転換が繰り返し指摘されている。
○ こうした状況や平成30年度から3巡目の評価が始まることを踏まえ,第7期の中央教育審議会大学分科会大学教育部会のもとで認証評価制度の改善に向けて検討を開始し,審議を実施してきたところである。

(※1) 「学士課程教育の構築に向けて」(平成20年12月24日中央教育審議会答申),「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて」(平成24年8月28日中央教育審議会答申),「新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育,大学教育,大学入学者選抜の一体的改革について」(平成26年12月22日中央教育審議会答申),「高大接続システム改革会議『中間まとめ』」(平成27年9月15日高大接続システム改革会議)等

2.認証評価制度の改善に向けた具体的方策について

【基本的な考え方】

○ 教育研究活動の質的改善を中心とした認証評価に転換する観点から改善を図る。その際,大学の質保証においては,多様な大学が自ら掲げる目標に向けて教育研究活動を行う中で,各大学における自主的・自律的な質保証への取組(内部質保証)が基本であることを踏まえ,各大学の自律的な改革サイクルとしての内部質保証機能を重視した評価制度に転換。
○ また,評価項目・方法についても,高大接続改革等において指摘されている学修成果に係る評価の充実や,三つのポリシー(ディプロマ・ポリシー,カリキュラム・ポリシー,アドミッション・ポリシー)に基づく大学教育の質的転換など,各大学の取組を促進するような評価制度へと改善・発展させていくことが必要。
○ こうした制度の発展に伴い,内部質保証が有効に機能している大学に対しては評価の一層の効率化を進めるなど,今後の認証評価制度が安定的に運用されるよう,これまでの評価経験に基づく知見も最大限活用しながら,評価の効率化への取組を加速させることが必要。
○ 一方で,評価結果において課題が見られる大学については,大学において教育研究の質の維持・向上のため,自主的・自律的な取組が求められるところであり,認証評価機関においても各大学における取組を促進するようなフォローアップ体制の整備・充実を進めることが必要。
○ また,第2サイクル(平成23年度~)までの評価の実施状況や諸外国の制度の動向も踏まえ,大学の特色の積極的評価・明確化,評価における社会との関係強化,評価の効率化,他の質保証制度との連携についても改善を進めていくことが必要。
○ 上記のような考え方に基づき,大学の質の維持・向上については,より実効的かつ効率的な認証評価制度へ改善されることを期待。

【具体的な改善事項】

(1)全学的な改革サイクルを確立するとともに大学教育の質的転換を推進するための評価の在り方

(大学評価基準の項目に係る改善)
1 大学評価基準に共通に定めるべき項目の充実
○ 大学における質保証は,各大学が自ら行うことが原則であるが,こうした各大学の全学的な内部質保証機能の向上を推進する観点から,認証評価制度においても,内部質保証の取組について,その学内体制や,取組が適切に行われ,機能しているのかどうかについて,認証評価機関において共通して評価すべきものとして明確に位置付けることが必要。
○ また,この内部質保証の評価を行うに当たっては,PDCAサイクルのP(計画)としても重要となる三つのポリシーについては一体的なものとして策定されているかどうか,組織的な議論を重ねた上で策定されているかどうか,その上で教育研究活動が実施されているか,などの観点から評価を行うことを明確に位置付けることが必要。

2 重点評価項目の設定
○ 各大学における内部質保証の取組は設置後の大学の質保証の基本かつ要であり,この内部質保証が適切に機能している限りにおいては,大学としての教育研究活動の質は一定程度担保されていることが見込まれ,逆にそうでない場合は質の担保が不十分である可能性が見込まれる。こうした点を踏まえ,評価を行うに当たっては,内部質保証に関する評価を重視したものとすべきであり,法令で定められている認証評価の評価項目においても,重点評価項目として明確に位置付けることが必要。
○ また,重点評価項目は,その評価内容を大学や社会に対して情報をより分かりやすく示すことが特に求められる。そうした観点からは,各認証評価機関においては,評価結果を段階別に示すなどの取組も有効。
○ このような方法を導入することに伴い,重点評価項目の評価結果が優れているなど大学の内部質保証が有効に機能していると判断される場合については,次回評価の中で評価内容・方法を弾力化・効率化することも考慮。

(評価方法の改善)
○ 大学や社会に対して情報をより分かりやすく発信していく観点からは,大学における自己点検・評価の段階から客観的なデータや指標を積極的に活用し,認証評価機関においても,可能な範囲で定量的な評価に取り組んでいくことが望まれる。なお,大学の機能が多様化していることに鑑み,画一的な評価指標とするのではなく,多様な評価指標でもって評価活動が行われるべきであることに留意。
○ また,大学教育の質的転換を促進していくためには,大学教育を通じて,学生が「何を学んだか」ではなく「何を身に付け,何ができるようになったか」という観点を重視して学生の学修成果の把握・評価を行い,どのような評価に基づき大学として学位を授与したかについての説明を果たせるようにすることが重要である。このため,例えば,大学が学生の学修成果をどのように把握・評価しているかという点について,評価を行うことが有効。
○ 大学設置基準等の法令遵守事項については,大学が質保証すべき当然の事項であり,引き続き評価・確認を行うことは必要であるが,例えば,大学が行う自己点検・評価書の記載の確認や,項目に応じたチェックシートによる確認を行うなど,方法を簡略化していくことも期待。

(評価結果を活用した改善の促進)
○ 第三者機関である認証評価機関からの指摘なども含む評価結果を積極的に教育研究活動の改善に活用することは,大学の質の向上はもちろん,認証評価制度をより意味のあるものとし,今後も制度を安定的に運用していく観点からも重要。
○ あわせて,認証評価制度は,評価結果をその後の教育研究活動にどのように反映させていくかを含め,各大学の自主的・自律的な質保証を促すための制度であり,今後ともその基本的性格を踏まえることが適切。
○ 一方で,第三者である認証評価機関からの指摘は,大学の質の改善に向けた重要な指摘であることから,各大学においては指摘を踏まえ改善に取り組むことが望まれる。また,認証評価機関において,指摘を踏まえた改善に取り組む大学に対して,改善の促進に資するようなフォローアップ体制を整備することが重要であり,その旨を明確に位置付けることが必要。
○ さらに, 大学の優れた取組を重点的に支援する補助金(「大学教育再生戦略推進費」等)については,認証評価において「不適合」の判定を受けていないことを事業の申請要件とするなどの活用について,今後検討。

(2)安定的な評価制度の構築に向けた評価基盤の充実

(認証評価機関の評価の質の向上)
○ 社会の変化が激しい現代において,大学を適正に評価し続けるためには,認証評価機関においても評価体制の充実,評価手法・指標の開発の取組など,評価機関としての評価の質の向上が必要。
○ このような観点から,認証評価機関においても自らの評価活動についての自己点検・評価に取り組むことが重要であり,その旨を明確に位置付けることが必要。
○ また,認証評価機関においても大学と同様に,機関としてPDCAサイクルを確立・機能させるためには,自らの視点とは別の視点も取り込みながらC(評価)機能を働かせることも重要であり,中央教育審議会大学分科会の下で認証を受けるに当たっての審査を受けていることも踏まえ,同様の場で評価を受けることも必要。

(評価における社会との関係の強化)
○ 大学関係者以外の社会一般に対しては,認証評価制度の周知が不十分であることも度々指摘。
○ 特に,大学と密接な関わりを持つ高校関係者や企業関係者を中心に,評価において公表される大学の活動状況を周知する取組は,大学自身のみならず,認証評価機関や文部科学省においても積極的に取り組むべき。
○ 認証評価機関においては,各大学の特色ある教育研究活動を進展させるような評価に取り組むとともに,評価結果の記載方法の工夫等により当該評価結果を社会一般に対して分かりやすく発信していくことが必要。
○ さらに,社会における大学の役割が多様化する中,評価のプロセスにおいて,何らかの形でステークホルダー(高等学校関係者,企業関係者,自治体関係者,学生等)の視点も取り入れ,幅広い視野に立った評価とすることは重要であり,その旨を明確に位置付けることが必要。

(評価人材の育成)
○ 今後も安定的に認証評価制度が運用されるためには,評価に係る人材の育成は非常に重要。
○ 一方で,評価者として認証評価機関の委嘱を受けて,大学の教職員が評価業務に従事することに対して,例えば,学務の軽減措置や,当該活動の人事評価等への反映などの配慮がなされているようなケースはごくわずかにとどまっている。
安定的な認証評価制度の運用は,大学の質の向上に不可欠のものであることから,大学においても一定の配慮がなされることを期待。
○ 認証評価機関には,評価者への研修等の必要な措置の実施が法令上課されているところであるが,評価に共通した知識の向上や経験別に応じた研修については,各評価機関が連携して実施するなどにより,テーマ(評価倫理,内部質保証など)や評価における役割(評価統括者,評価実施者など)に応じたきめ細かな研修の実施を期待。
○ 大学側における評価人材の育成に関しては,認証評価機関との人材交流が有効。

(評価の効率化)
○ 評価に係る大学側の作業負担等「評価疲れ」が指摘される中,大学の質の維持・向上のためには,評価制度の安定的な運用も重要であり,評価の効率的な実施が必要。
○ そのため,(1)でも触れたような,大学の内部質保証の機能に関する評価が高い場合の次回評価の効率化をはじめ,国立大学法人評価などの他の評価における教育研究に関する評価資料・結果も活用した評価に取り組むことに期待。
○ 評価の効率化を進める上では,常に大学が対外的に広く情報を公開することによって社会から評価される環境を整備することは重要。この情報公開については,「新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育,大学教育,大学入学者選抜の一体的改革について」(平成26年12月中央教育審議会答申)において,高等学校の生徒に対して大学の教育内容等をより積極的に公開することが求められ,また「未来を牽引する大学院教育改革」(平成27年9月15日中央教育審議会大学分科会審議まとめ)においては,大学院を含む大学の卒業者の進路を把握し,公表することの重要性に加え,情報公開の状況についても積極的に評価すべきことが提言されており,各大学における情報公開の一層積極的な取組に期待。
○ 大学ポートレートは,大学のアカウンタビリティの強化,教育情報の分析・活用によるIR機能の強化,そして,評価や調査に係る大学の負担軽減を目的として構築されたものであるが,評価への活用の観点からは,現時点においては,生徒等にとって有益な情報項目数が不十分であることや,経年的なデータが蓄積されていないことなどの指摘がある。そのため,大学ポートレートが設立の趣旨を踏まえ,認証評価機関の意見も加味しながら,ユーザー目線に立った必要な機能の拡充が図られることを要望。
○ なお,年度により評価を受審する大学数に大きな偏りが生じており,認証評価機関にとって大きな課題。認証評価制度の安定的な運用のため,認証評価機関においては,大学側に受審年度を変更するインセンティブを与えるなど,年度間の評価校数の平準化に向けた取組にも期待。

(3)他の質保証制度との連携等について

○ 大学設置後の質保証については,各種質保証に係る調査・評価が役割分担のもとそれぞれの観点から実施されているが,必ずしも制度間の連携が十分に図られていない。
○ まず,設置審査等を経て新設された学部等に対する設置計画履行状況調査との関係であるが,当該調査は,原則,学部等の完成年度までの間,認可又は届出時の留意事項への対応や,設置計画に基づく教育研究活動がなされているかを確認するものであり,計画の履行状況等によっては指摘事項(※)が附せられる。こうした指摘事項は飽くまで設置計画の履行状況に対するものであるが指摘事項に対する当該大学の取組については,認証評価制度においても引き続き確認の上,評価を行うことが重要であり,その旨を明確に位置付けることが必要。
(※)指摘事項のうち改善意見,是正意見までの取組を確認することを想定
○ また,上記以外の評価・調査との関係についても,(2)で述べた評価の効率化の観点から,連携の強化を期待。
○ なお,同じ認証評価制度の中の問題として,大学全体を組織体として評価する機関別評価(少なくとも7年に1度実施)と専門職大学院に課せられている分野別評価(少なくとも5年に1度実施)との関係についても検討が必要。専門職大学院のみを設置する大学にあっては,分野別の評価を行う際に,大学全体としての見るべき観点を追加し,短い5年のサイクルに合わせて評価を実施することで,大学として質を確保することも可能ではないかという指摘もある。
こうした点については,現在,大学分科会大学院部会の下に設置されている専門職大学院ワーキング・グループにおいても,評価の合理化によって専門職大学院の質が確保されるかについて議論がなされているところであり,当該検討の状況を踏まえ,今後適切な対応が必要。

(4)その他

○ 国際化が進む今日,工学分野などの特定の分野においては,国際的な枠組みの中での質保証が進められている。こうした国際的な潮流も踏まえ,各大学においては,日本学術会議が策定を進めている分野別参照基準なども参考としつつ,各分野における大学教育の質の維持・向上に取り組むとともに,必要に応じて,分野別の評価や特定テーマに対応した評価を受審し,更なる教育研究の質の維持・向上に取り組むことが求められる。
○ 認証評価機関をはじめとする各種評価機関においては,各大学の多様な取組を促進する観点から,可能な範囲で,分野別評価や特定テーマに対応した評価など,認証評価制度の枠にとらわれない評価も積極的に展開していくことに期待。

お問合せ先

高等教育局高等教育企画課高等教育政策室

(高等教育局高等教育企画課高等教育政策室)

-- 登録:平成28年01月 --