資料2-3 大学設置・学校法人審議会大学設置分科会長報告

8月答申に当たって[大学設置・学校法人審議会大学設置分科会長報告] 

 このたび、当審議会は、本年4月に諮問のあった平成28年度開設予定の公私立の大学の学部等について審議の上、別紙のとおり答申を行ったが、審議を通じた所見について、以下のとおり報告する。

1 昨年11月に諮問のあった大学新設案件を含め、申請案件全体では、3件の申請取下げがあり、また、設置計画の更なる吟味を必要とするという判断から、最終判定を留保し審査を継続することとなった案件が7件あった。これらの案件は総じて準備不足の傾向が顕著であり、設置の趣旨・教育上の目的、教育課程、教員組織、施設・設備等の面で、大学等の設置に関する基本的理解を欠いているのではないかと懸念されるようなものも散見された。このため、文部科学省に対しては、各申請者が、当該専門分野の教員をコアとして構成・計画を練り、十分な準備の上申請を行うよう、周知・徹底をお願いする。

2 本年度の申請の大きな特色の一つは、約40年ぶりの医学部設置案件があったことである。審査に当たっては、医学部という特殊性に応じた「審査の観点」を整理した上で、医学部設置の案件のみを審査する特別審査会を設け、書面審査に加えて実地審査を実施するなど慎重な審査を行い、認可を可とする判定に至った。その上で、今日の医学教育に求められている内容・質が漸次高度化していることを踏まえると、今後さらに教育内容や附属病院の体制等を充実させ、教育研究活動の水準を一層向上させることが期待される。
また、今回新設される医学部は、東日本大震災からの復興と東北地方における医師の定着という、重要な社会的要請の下に設置されるものである。このような社会からの大きな期待に十分に応えるためには、大学独自の取組だけではなく、地域の行政機関や医療機関等、関係機関との連携を深めることが不可欠である。
以上のことから、文部科学省に対しては、設置者が関係機関の支援の下、着実に計画を実施し、所期の目的が確実に達成されるよう、指導・助言をお願いする。

3 認可を可とされた大学等においては、設置認可は出発点であるとの認識に立って、設置計画を円滑かつ確実に履行し、特色ある充実した教育研究活動を展開していくことが期待される。なお、設置計画を履行するに当たって留意すべき事項(「留意事項」)を付されたものについては、完成年度までは「設置計画履行状況等調査」において継続的にフォローアップが図られることとなるが、教育研究活動の水準向上の取組は完成年度以降も不断に行われるべきものであり、その取組を実効性のあるものにするためには、第三者の視点による評価の充実を図ることが重要である。そのため、文部科学省に対しては、当審議会から設置者に対して求めた改善事項やその対応状況を確実に追跡し、加えてその後に行われる認証評価との連携を図り、継続的に改善が図られるようなシステムの構築を要望する。 

平成27年8月27日

大学設置・学校法人審議会     
大学設置分科会長 佐藤 東洋士

 

お問合せ先

高等教育局高等教育企画課高等教育政策室

(高等教育局高等教育企画課高等教育政策室)