資料1-3 大学分科会大学教育部会において御審議いただきたい事項

1.三つのポリシー関係
(1)三つのポリシー(※)の策定及び公表に係る法令上の義務付けについて
 (※)「学位授与の方針」(ディプロマ・ポリシー),「教育課程編成・実施の方針」(カリキュラム・ポリシー)及び「入学者受入れ方針」(アドミッション・ポリシー)

◆高大接続システム改革会議「中間まとめ」(抄)
○ 各大学に対し、上記の三つのポリシーを一体的に、かつ明確な内容を持つものとして策定することを求めるに当たって、その法令上の位置付けについて明確化する。
○ この点について、現行法制上、「入学者に関する受入方針」の公表が各大学に義務付けられているが 、本「中間まとめ」で述べているアドミッション・ポリシーを法令上位置付けるに当たっては、高大接続システム改革の背景と目的を念頭に置き、従来の「入学者に関する受入方針」に関する規定は削除した上で、新たな規定を設ける必要がある。また、本「中間まとめ」で述べているディプロマ・ポリシー及びカリキュラム・ポリシーについても、これまで規定は設けられていない。「授業科目、授業の方法及び内容」 、「学修の成果に係る評価及び卒業又は修了の認定に当たっての基準」 を公表することとされているが、これらはディプロマ・ポリシー及びカリキュラム・ポリシーの概念と一致するものではない。
○ 今後、ディプロマ・ポリシー、カリキュラム・ポリシー、アドミッション・ポリシーの三つのポリシーを各大学が一体的に策定し公表することを法令上義務付けることについて、中央教育審議会において具体的な検討を進め、平成27年度中を目途に法令改正を行うべきである。あわせて、三つのポリシーは学生の入学から学位の授与に至るまでの一貫した方針を具現化するものであり、これらを策定するに当たっては、各方針の関連性や一貫性が確保されるよう、三つのポリシーを一体的に策定し公表することの趣旨を各大学が十分理解する必要がある。 

  1. 現行規定の意義及び規定の見直しの観点
    ・ 現行規定では,どのような点に対応できていないのか。また,どのような点を改善すべきなのか。
    ・ ディプロマ・ポリシー,カリキュラム・ポリシー及びアドミッション・ポリシーは,それぞれどのように定義すべきか。
  2. 三つのポリシーの関連性や一貫性の確保
    ・ 三つのポリシーそれぞれの関連性や一貫性を確保することを法令上義務付けるに当たって,どのような点に留意すべきか。
  3. 三つのポリシーと「アセスメント・ポリシー」との関係
    ・ 三つのポリシーと「アセスメント・ポリシー」との関係をどのように整理すべきか。

(参考)
◆中央教育審議会答申「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて」(抄)
学長を中心として、副学長・学長補佐、学部長及び専門的な支援スタッフ等がチームを構成し、当該大学の学位授与の方針の下で、学生に求められる能力をプログラムとしての学士課程教育を通じていかに育成するかを明示すること、プログラムの中で個々の授業科目が能力育成のどの部分を担うかの認識を担当教員間の議論を通じて共有し、他の授業科目と連携し関連し合いながら組織的な教育を展開すること、プログラム共通の考え方や尺度(アセスメント・ポリシー)に則った成果の評価、その結果を踏まえたプログラムの改善・進化という一連の改革サイクルが機能する全学的な教学マネジメントの確立を図る。学長を中心とするチームは、学位授与の方針、教育課程の編成・実施の方針、学修の成果に係る評価等の基準について、改革サイクルの確立という観点から相互に関連付けた情報発信に努める。特に、成果の評価に当たっては、学修時間の把握といった学修行動調査やアセスメント・テスト(学修到達度調査)、ルーブリック、学修ポートフォリオ等、どのような具体的な測定手法を用いたかを併せて明確にする。 


(2)三つのポリシーのガイドラインについて

 ◆高大接続システム改革会議「中間まとめ」(抄)
○ 三つのポリシーについては、既にその策定に取り組んでいる大学も多い一方で、その内容については、抽象的な文言にとどまるものや、相互の関連性が意識されていないものなども多く、全体として、大学教育の指針として十分な役割を果たしているとは言い難い。また、三つのポリシー、 さらにはアドミッション・ポリシーと入学者選抜方法との関係が不明である大学が多く見られる。
○ 大学教育の充実のためには、各大学における三つのポリシー、及び入学者選抜方法を 一体的に、充実したものとして策定することが重要であり 、そのためには、三つのポリシーについて、その策定を法令上義務付けることとあわせて、国において三つのポリシーの策定と運用に関するガイドラインを策定することが効果的と考える。
○ 当該ガイドラインについては、平成27年度中を目途に策定に取り組むべきである。その内容については、中央教育審議会において具体的な検討がなされるべきであるが、例えば次のような方向性を示すことが考えられる。
<総論>
・ 当該大学におけるディプロマ・ポリシー、カリキュラム・ポリシー、アドミッション・ポリシー、及び入学者選抜方法の間の緊密な関係が外部者に理解できるように表現すること
・ 当該大学に関心を持つ人、入学希望者、社会人、外国人等、三つのポリシーを理解しようとする多様な人々が十分理解できるような内容と表現であること
<ディプロマ・ポリシー>
・ 当該大学が卒業生を社会に送り出す上で、どのような能力を身に付ければ学位を授与するのかという方針を具体的に示すこと
・ 大学教育の質を担保し、授与される学位の信頼性を高めるため、当該大学における学修成果の可視化を図るとともに、在学の水準に合わない学生の退学の基準等、具体的な基準を示し、それに基づく厳格な成績評価・卒業認定を行うこと
・ カリキュラム・ポリシー、アドミッション・ポリシーとの関係を具体的に示すこと
<カリキュラム・ポリシー>
・ 当該大学におけるディプロマ・ポリシー及びアドミッション・ポリシーを踏まえたカリキュラム編成、そのカリキュラムによる学生の学修方法・学修過程の在り方等を具体的に示すこと
・ 上記において特に、主体性を持つ多様な学生に対して、個々の学生が「自分がどうすれば何を身に付けられるのか」を理解することのできる、カリキュラム編成、学生の学修方法・学修過程の在り方等を具体的に示すこと
・ 主体性を持つ多様な学生の入学・在学を前提として、ディプロマ・ポリシー及びカリキュラム・ポリシーとも関係し合う教育を、カリキュラム編成、学生の学修方法・学修過程の在り方等に具体的に位置付けること
・  多様な入学者のそれぞれが自ら学修計画を立て、学修の実践に入っていくための初年次教育を具体化すること
<アドミッション・ポリシー>
・  ディプロマ・ポリシー及びカリキュラム・ポリシーを踏まえるとともに、「学力の3要素」を念頭に置き、入学前にどのような多様な能力をどのようにして身に付けてきた学生を求めているか、入学後にどのような能力をどのようにして身に付けられる学生を求めているか等を、具体的に示すこと
・ 入学者選抜において、多様な入学希望者に対してアドミッション・ポリシーに明示された様々な能力や入学者に求めていること等の水準を判定するために、どのような評価方法を多角的に活用するのか、それぞれの評価方法をどの程度の比重で扱うのか等を具体的に示すこと

 

○ (中略)特にアドミッション・ポリシーに関しては以下の点について重視する必要がある。
・ 高大接続改革答申において提言された以下の「学力の3要素」について、具体的にどのような能力をどのレベルで求めるのか。
(ア) 知識・技能
(イ) 思考力・判断力・表現力
(ウ)主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度
・ 上記の三つの要素を大学入学者選抜において適切に評価するため、入学者選抜においてどのような多様な評価方法を組み合わせ、それらの方法についてそれぞれどのような水準を要求し、どのような比重を置いて評価するか。評価方法としては、例えば次のようなものが考えられる。
1.「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の結果
2.自らの考えに基づき論を立てて記述させる評価方法
3.調査書
4.活動報告書(個人の多様な活動・ボランティア・部活動・各種団体活動等)
5.各種大会や顕彰等の記録、資格・検定試験の結果
6.推薦書等
7.エッセイ、大学入学希望理由書、学修計画書
8.面接、ディベート、集団討論、プレゼンテーション
9.その他
○ このような内容とそれらの間の関係や比重等を各大学がアドミッション・ポリシーに明示し、「学力の3要素」の多面的・総合的な評価方法を提示する。これを通して、個別の大学がディプロマ・ポリシー、カリキュラム・ポリシーに合うと考えられる多様な入学者を選抜できるようにするとともに、入学希望者にとっては、大学入学者選抜を、人生の最終目的に見立てるのではなく、卒業後の自分の人生を開くに値する大学かどうかを見極める有意義な手段にできるようにする。

  1. ガイドライン策定の観点
    ・ 現在,各大学が策定しているポリシーには,どのような観点の記述が不十分であるのか。
  2. ガイドラインの内容
    ・ ガイドラインに盛り込むべき事項として,どのようなものが考えられるか。
    ・ 各大学が三つのポリシーを策定し,運用するに当たって参考となるものとするため,ガイドラインはどの程度の具体性を持った内容とすべきか。
    ・ 各大学が策定する三つのポリシーに基づき実施される取組の実効性を確保する観点から,ガイドラインにおいてどのような点に留意すべきか。


2.認証評価関係
(1)三つのポリシーに関する認証評価における対応について

 ◆高大接続システム改革会議「中間まとめ」(抄)
○  大学教育が新たな時代に向けて実効性をもって質的に転換していくためには、一体化した三つのポリシー、それを直接反映した新しい大学入学者選抜方法・実践、三つのポリシーや社会との関係も踏まえた各大学の教育への取組についての新しい評価が必要である。
○ 現在の認証評価制度では、大学は、法令適合性等の観点からの大学設置基準等に基づく教育研究環境(教員組織、教育課程、施設設備等)の確認・評価と、認証評価機関が定める基準に沿った評価を受けることとなっている。認証評価については、今後は、大学として求められる最低限の質の確認のみならず、大学教育改革や大学入学者選抜改革、さらには改革後の大学の教育研究機能の高度化に、より積極的な役割を果たすものとすることが重要である。あわせて、大学についての情報を社会に明確に伝え、その実態に即した適正な社会的評価の確立にも資するものとすることが重要である。
○ 認証評価は、平成16年度の制度化により、各大学には7年ごとの受審が義務付けられており、今は第2サイクルの評価が実施されているが、現在、中央教育審議会において、平成30年度から始まる次期サイクル(第3サイクル)に向けた制度全体の在り方について審議が進められている。
○ ついては、中央教育審議会においても、高大接続システム改革の議論と連携を図りつつ、例えば次のような観点を踏まえた検討を進め、認証評価制度改革を実現する必要がある。
・ 高大接続システム改革の目的と内容を実現する新しい認証評価制度の具体化
・ 新たな時代潮流を見据えた各大学の大学教育改革や大学入学者選抜改革の取組を適切に評価し、更なる取組の充実につなげるための評価方法の具体化(特に、各大学の三つのポリシーが、国のガイドラインも踏まえ適切に策定されているか、各ポリシー間の整合性や一体性が確保されているか、大学入学者選抜方法がアドミッション・ポリシーの求める学生を選抜する具体的な方法になっているか、大学教育や大学入学者選抜の実態が各ポリシーに即したものとなっているかなど。)
・ 学修成果や内部質保証を重視した評価への発展・移行
・ 地域社会、国際社会、産業界、高等学校等からの多様な視点を取り入れた評価の具体化
・ 評価の結果の効果的な発信や活用
○ 中央教育審議会における認証評価制度改革に関する審議を踏まえ、国は、認証評価に関する法令について平成27年度中を目途に必要な改正を行うとともに、認証評価機関と連携して、高大接続システム改革の目的、内容が具体化されるように、適切な評価を実施するための方策に取り組む必要がある。

  1. 認証評価における三つのポリシーの位置付け
    ・ 各大学における三つのポリシーの策定及び三つのポリシーに基づく取組の状況については,認証評価においてどのように評価すべきか。特に,各大学における三つのポリシーの策定の有無を確認することのみならず,三つのポリシーに基づく取組の状況について評価するとした場合には,どのような点に留意すべきか。
    ・ 上記の論点について,認証評価に係る法令上の位置付けはどのようにすべきか。
  2. 認証評価制度の改善の視点
    ・ 学修成果や内部質保証を重視した評価への発展・移行を実現するに当たって,どのような課題があり,どのようにして改善を図るべきか。
    ・ 地域社会,国際社会,産業界,高等学校等からの多様な視点を取り入れた評価を具体化するに当たって,どのような課題があり,どのようにして改善を図るべきか。
    ・ 評価の結果の効果的な発信や活用のためにはどのような施策を講ずるべきか。

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高等教育局高等教育企画課高等教育政策室

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