資料5 大学の質保証に関する提言等(抄)

【教育振興基本計画】(平成25年6月14日閣議決定)

基本施策9 大学等の質の保証

【基本的考え方】 
○学生の保護や国際通用性の観点から,大学等の質を保証し,基本施策8等における教育の質的転換の取組等とあいまって,その向上を促進するため,制度の改善や制度間の連携強化,教育研究活動の可視化促進などを図る。

【主な取組】
9-1 大学教育の質保証のためのトータルシステムの確立
・大学設置基準等の明確化や設置審査の高度化などを図るとともに,質保証に関係するシステム(設置基準,設置認可,認証評価等)間の相互の連携を進め,大学における質保証の徹底を図る。

9-2 大学情報の積極的発信
・認証評価機関や大学団体等が参画した自律性の高い主体を設けて運営する「大学ポートレート(仮称)」(※)の積極的な活用を促進する。その際,それぞれの大学がその機能や特色に応じてどのような教育に取り組み,成果を上げているかについての数値以外を含む情報を国内外の様々な者に提供することにより,社会において従来の偏差値等に偏したランキングとは異なる実態に即した大学像の共有が図られるように努める。
※データベースを用いた教育情報の活用・公表のための共通的な仕組みのこと。

9-3 大学評価の改善
・各認証評価機関の内部質保証(※)を重視する動きを踏まえ,全学的な教学マネジメントの下で改革サイクルが確立しているかどうかなど,学修成果を重視した認証評価が行われるよう,それぞれの大学の特徴がより明確に把握できる客観的な指標の開発,大学がその機能を踏まえて重点を置いている教育活動や研究活動に着目した評価,企業や地域社会等の多様なステークホルダーの意見の活用,評価に関する業務の効率化を促進する。
※高等教育機関が,自らの責任で自学の諸活動について点検・評価を行い,その結果をもとに改革・改善に努め,教育の質を自ら保証すること。

9-4 分野別質保証の取組の推進
・高度専門人材の育成に向けて,大学及び高等専門学校における分野別質保証の構築・充実に向けた取組を促進する。
・また,日本学術会議において審議が進んでいる「分野別の教育課程編成上の参照基準」は,各大学における改革サイクルの確立に際して重要な参考となるものと考えられるため,各大学や認証評価機関の活用を促す。

9-5 国際的な高等教育の質保証の体制や基盤の強化
・日中韓における質の高い大学間交流を拡大させる「キャンパス・アジア」の取組を推進する。また,高等教育の質保証に関する国際機関の取組や国際的な共通枠組み形成に貢献するため,我が国及び諸外国の高等教育制度に関する情報の収集・発信機能,国境を越えた教育連携・学修の評価等を担う体制を整備する。

9-6 専門学校の質保証・向上の取組の推進
・専門学校については,教育の質保証・向上のため,基本施策13-3に記載した取組を進める。

基本施策8 学生の主体的な学びの確立に向けた大学教育の質的転換

【主な取組】
8-4 「プログラムとしての学士課程教育」という概念の定着のための検討
・現行の大学制度は大学や学部・学科,研究科といった組織に着目して構成されている。こういった状況をふまえ、「プログラムとしての学士課程教育」という概念の定着のために,望ましい大学制度の在り方等について検討を進める。 

【教育再生実行会議 これからの大学教育等の在り方について(第三次提言)】(平成25年5月28日)

5.大学のガバナンス改革、財政基盤の確立により経営基盤を強化する。

上記に述べた提言の実現は、各大学が学内で意思決定し、改革に踏み出すかどうかにかかっています。意欲ある学長がリーダーシップを発揮して果敢に改革を進められるよう、大学のガバナンス改革を進めるとともに、改革を進める大学には官民が財政面の支援をしっかり行うことにより、経営基盤を強化する必要があります。

○我が国の高等教育の大部分を担っている私立大学が、多彩で質の高い教育を展開するとともに、グローバルな視野を持つ地域人材の育成や、飛躍的に増大する社会人の学び直しに積極的に対応できるよう、国は、財政基盤の確立を図る。その際、建学の精神に基づく教育の質向上、地域の人づくりと発展を支える大学づくり、産業界や他大学と連携した教育研究の活性化等の全学的教育改革を更に重点的に支援する。また、大学設置基準等の明確化や大学設置審査の高度化、必要な経営指導・支援や改善見込みがない場合の対応など、大学教育の質を一層保証する総合的な仕組みを構築する。 

【大学設置認可の在り方の見直しについて】(平成25年2月4日、大学設置認可の在り方の見直しに関する検討会)

1.運用の改善などにより早期の実施が期待される事項

以下に示す具体的な見直しについては、運用の改善や基準の明確化などにより速やかな対応が可能と考えられ、早期の実施が期待される。 

(1)学生確保等に係る審査基準の明確化 
  大学として社会の要請に応え、安定的、継続的な運営が確保できるよう、学生確保の見通しや社会的人材需要等を十分に考慮することを審査基準上明確化する。

(2)審査の充実
(大学新設に係るもの)
○1全体構想審査の実施
○設置構想全体が社会的ニーズ等を反映し、現実性が十分に認められるものであることを確認できるよう、大学新設の際には、教育課程や教員等の内容の審査に入る前に、理事長(予定者)及び学長予定者を直接面接し、設置の理念を含む設置構想全体について説明を求める機会を設ける。
○大学と地域との関係は重要であるため、大学新設の場合について、自治体として大学に期待することや地域にとっての意義、大学との連携への意識等を確認する。特にキャンパスの誘致等があった場合については、大学に対する支援内容等を重点的に確認する。 
(認可を要するすべての申請に係るもの)
○2学生確保の見通し等の審査体制の充実
学生確保の見通しや社会的人材需要等が現実的なものであるか等を十分に確認するため、地域社会の人材需要等に詳しい者を専門委員等に加えるなどの審査体制の充実を図る。 
○3リスクシナリオの確認
学生が計画通りに確保できなかった場合でも安定的な大学運営が求められることから、対応方針(企業等でいう、いわゆる「リスクシナリオ」)について審査の過程で確認する。  

2.速やかな具体化に向けた検討が期待される事項

以下に示す見直しについては、さらに具体的内容の検討が必要であり、また、実施に際して一定の準備期間を設けることが適当なものも含まれているため、中央教育審議会や大学設置・学校法人審議会において具体化に向けた検討に速やかに着手することが期待される。

(1)設置基準等の明確化
基準の解釈を明確にし運用の透明性を高めるため、平成15年の準則化の際に廃止された細則的基準のうち、その後の社会変化等に照らし必要なものを規定し直すなど、抽象的基準を明確化し、基準の一覧性をさらに高める。

(2)学校法人のガバナンスの確保
公共性の高い学校法人の適正な管理運営を確保するため、適切なガバナンス(内部統制やコンプライアンス等(設置認可後を含む))の確保や財務情報の公開について、審査基準において明確化する。

(3)審査スケジュールの見直し
より充実した審査を行うために審査期間を延長するとともに、認可後に余裕をもって学生募集が行えるよう、認可時期の早期化を検討する。

(4)申請書類の作成方法の明確化
審査に必要な情報を的確に入手できるようにし、かつ、申請者側、審査側双方の事務負担を軽減するため、財産目録等の申請書類について、作成方法の詳細なルール化やマニュアル化を一層図る。 

(5)設置に必要な財産確保の徹底
設置計画に係る財務計画の妥当性を十分確認することが重要であるため、寄附金等に係る提出書類の充実などにより、実態を伴った寄附であるかどうかを厳格にチェックする。同時に、虚偽申請や認可後の不適正な状況があった場合等のペナルティを強化する。  

3.大学の質の向上のため、設置認可の見直しと併せて継続的に改善、充実を図っていくべき事項 

 以上の見直しに加え、大学の質の向上のため、以下のような事項についても設置認可の見直しと併せて継続的に改善・充実を図っていくべきであると考えられる。 

(1)認可後の事後チェック機能の強化を含む、質保証のトータルシステムの確立

(2)大学の閉鎖等の場合の学生保護の仕組みなど、退出の制度設計

(3)学生や保護者の立場に立った情報公開の一層の促進

 

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