中教審大学教育部会(2011年12月9日)説明資料
関西国際大学 濱名 篤
(1)「目標に準拠した評価」のための「基準」つくりの方法論であり、学生が何を学習するのかを示す評価規準と学生が学習到達しているレベルを示す具体的な評価基準をマトリクス形式で示す評価指標である。
(俣野秀典の作成した定義をもとに濱名が修正したもの)
(2)学習者の「パフォーマンスの成功の度合いを示す尺度と,それぞれの尺度に見られるパフォーマンスの特徴を説明する記述語で構成される,評価基準の記述形式」として定義される評価ツールのことであり,アメリカにおいて先進的に開発され,数多くの高等教育機関が導入・活用している。 (吉田武大「アメリカにおけるバリュールーブリックの動向」関西国際大学教育総合研究所研究叢書4号、2011年3月)
(3)レベルの目安を数段階に分けて記述して、達成度を判断する基準を示すものである。学習結果のパフォーマンスレベルの目安を数段階に分けて記述して、学習の達成度を判断する基準を示す教育評価法として盛んに用いられるようになった。これまでの評価法は客観テストによるものが主流を占めていたが、知識・理解はそれで判断できたとしても、いわゆるパフォーマンス系(思考・判断、スキルなど)の評価は難しい。ポートフォリオ評価などでルーブリックを用いて予め「評価軸」を示しておき、「何が評価されることがらなのか」についての情報を共有するねらいもある。
(熊本大学WEB「学習指導・評価論」より)
(4)「ルーブリック評価指標」は「それぞれの尺度に見られるパフォーマンスの特徴を示した記述語(descriptor)」と「達成の度合いを示す数値的な尺度(scale)」で、評価指標を設定しようという考え。「記述語」というのは、評価の視点、或いは観点にあたるもので、「尺度」というのはレベル、段階的水準ともいえるもの。学校現場では、「評価規準」と「評価基準」という用語がよく使われているが、その用語の使用法と似ているところがある(高浦勝義『絶対評価とルーブリックの理論と実際』黎明書房、2004年より)
(5)OECD/PISA等の国際調査「生徒の学習到達度調査」や文部科学省/国立教育政策研究所「教育課程実施状況調査」等でもルーブリックは一部導入されている
(6)個別機関もしくは個別の授業での活用にとどまらず,機関を越えて活用可能なルーブリックの開発・運用が全米カレッジ・大学協会(Association
of American Colleges & Universities,以下,AAC&Uと略記)の下で進められている。AAC&Uでは,「リベラル教育とアメリカの約束」(Liberal
Education and America’s Promise,LEAP)という取り組みが進められており,その一部にバリュープロジェクトが位置づけられている。そしてこのバリュープロジェクトの下で,バリュールーブリックの開発がなされてきた。
バリュープロジェクトは,学士課程教育段階における基本学習成果(Essential Learning
Outcomes)についての学生の達成度を定義づけ,記述し,評価することを目的に、全米の多くの高等教育機関の協力の下、下記の15領域についてバリュールーブリックVALUE
RUBRICを完成させた。
15領域は次の通りである。
(7)ルーブリック評価のメリット
ルーブリック評価は、被評価者と評価者の双方に評価規準と評価基準をあらかじめ提示し評価の観点を可視化することから、パフォーマンス評価に有効であり。評価者ごとのズレの発生を抑制し、被評価者への答案やレポートのフィードバックを促進する上で有効である。
高等教育局高等教育企画課高等教育政策室