資料3-3 吉田委員からの資料

0. 教授と学習の関係

  • 教育には、「教授」と「学習」の両面がある。
  • 教育の成果は、「学習」の成果によって測定。
  • 「学習」の成果には、「教授」が必要。しかし、「教授」が「学習」に直結するわけではない、という関係がある。
  • それを前提にして、教育の両面を分けて議論する必要がある。

1. 「教授」の問題:カリキュラムが体系的に構築されていない

  • さまざまな小道具が導入されてきた。しかし…
    シラバス、GPAなどの装置は、科目ごとに適用できる。
    科目区分(共通or教養、専門)、科目の必修・選択などは、単位数をもとに決定。
  • すなわち、学位(学士(○○))を、「xxを履修しyyができるようになる」ものとして説明してこなかったことが問題。そこで…
     「学士力」:学士(○○)のうち、「学士とは、yyができるようになる」を論じた。
     「参照基準」:学士(○○)のうち、「○○は、xxを履修しyyができるようになる」を論じている。
    Cf.「学士力」と「参照基準」との関係:学士力は、○○という専門以外にも教養教育などを含んだ包括的なもの。詳細は、参照基準のレポート参照
  • 「学士力」や「参照基準」を実質化するためには…
     a.学位授与にかかわる組織(学部、学科など)で、「学士力」・「参照基準」を考える
     b.科目間のシーケンスをつくる(科目間の序列化)
     c.同列科目間の調整をする(同名科目、同列科目間の内容調整)
     d.専門教育と教養教育との関係を踏まえ、それらを総体として学士課程教育を構築
  • そのためには教員間の議論と調整が不可欠。(それを促すガバナンス。)
  • 大学を動かすための外部からの仕掛け(支援や評価)をどのようにつくるか。
    Cf.「学士力」や「参照基準」は、あくまでも指針。そのうちどれを選択し、どのレベルで設定するかは、大学の自由裁量(⇒機能分化)。最低基準でもなければ、テストで一律に測定するものでもない点に注意。

2. 「学習」の問題:学生が学習していない=単位制の理念が活きていない

  • 学習させる仕組みがない
     予習・復習の課題を出していない。
     課題をチェックしていない(できない)。
     成績向上が大きなインセンティブにならない。
  • 学習に時間がとれない
     就活の早期化・長期化:民間企業(3年後期~4年前期)、公務員試験(4年5月~9月)、(教育実習、教員採用試験)
  • 「学習させる仕組みがない」を解消するためには…
     a.少人数ゼミ
     b.TAによるセッション
     c.1週間に複数回開講する授業(集中学習)
  • 「学習に時間がとれない」を解消するためには…
     a.就活の見直しを求めていく(学生が何社にエントリーシートを出し、何社の会社説明会に出ているかなどの現状を踏まえた議論が必要)
     b.1週間に複数回開講する授業(就活に多忙な時期は履修をしなくてもすむ)
  • 中教審として議論し、制度的対応や財政予算できるものは何か?
     1週間に複数回開講する授業を行う場合の現行の設置基準との関係。また、TAによるセッションを開催するとして、その補助をすることなど。

3.学習成果を求める議論の先行に対する懸念

  • 学習成果の測定(AHELOなどの卒業テスト、ルーブリック)により、学生の学習が実質化するというのは幻想。テスト導入は、テストに向けた教育課程編成につながる。

 

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