資料4 法曹人口の在り方に基づく法科大学院の定員規模について(案)

平成27年11月   日             
  中央教育審議会大学分科会
法科大学院特別委員会      

 

  1.    法科大学院定員規模の設定に当たっては、本年6月の法曹養成制度改革推進会議決定(以下「推進会議決定」という。)を踏まえることが必要である。推進会議決定では、法曹人口や司法試験の累積合格率について、以下のとおり記載されている。

     

    • 現行の法曹養成制度の下でこれまで直近でも1,800人程度の有為な人材が輩出されてきた現状を踏まえ、当面、これより規模が縮小するとしても、1,500人程度は輩出されるよう、必要な取組を進め、更にはこれにとどまることなく、関係者各々が最善を尽くし、社会の法的需要に応えるために、今後もより多くの質の高い法曹が輩出され、活躍する状況を目指すべきである。
    • 各法科大学院において修了者のうち相当程度(地域配置や夜間開講による教育実績等に留意しつつ、各年度の修了者に係る司法試験の累積合格率が概ね7割以上が司法試験に合格できるよう充実した教育が行われることを目指す。

       

      (参考)法科大学院関連データ
      • 入学定員と入学者数

        年度

        入学定員

        入学者数

        平成26年度

        3,809人

        2,272人

        平成27年度

        3,169人

        2,201人

        平成28年度

        2,724人(見込み)

      • 平成27年司法試験までの累積合格率 50.3%

          

  2.    累積合格率7割の達成を前提に、1,500人の合格者輩出のために必要な定員を試算すると、以下のとおりとなる。
    • 法科大学院では厳格な進級判定や修了認定が実施されており、これまでの累積修了率は85%であること。
    • 予備試験合格資格による司法試験合格者は、平成26年は163名であるが、うち103名は法科大学院に在籍したことがあると推測されること。
      上記2点を考慮した計算式:
      (1,500 - 163) ÷ 0.7 ÷ 0.85 + 103 ≒ 2,350
    • さらに、法科大学院を修了しても司法試験を受験しない者がこれまでの累積で6%存在すること。
      上記3点を考慮した計算式:
      (1,500 - 163) ÷ 0.7 ÷ 0.85 ÷ 0.94 + 103 ≒ 2,493

        

  3.    ただし、1,500人を前提に定員規模を設定することは、より多くの質の高い法曹の輩出を目指す推進会議決定の趣旨に必ずしも合致しない。また、過度な定員削減は教員数の減少による教育力低下を招く可能性があること等※1にも留意が必要である。
       一方で、実際の入学者数※2についても考慮することが必要であり、以上を踏まえると、目指すべき定員規模としては、当面2,500人程度とし、併せて、適切な入学試験競争倍率の維持や教育の質向上のための取組によって累積合格率の向上を図るとともに、法科大学院志願者増を図ることとすべきである。更に、推進会議決定の趣旨に鑑み、社会の法的需要に適合するよう、今後とも、適切に定員規模の設定を行っていくことが必要である。

    ※1)現状では、累積合格率7割を達成している5校の法科大学院であっても、定員充足率94%(平成27年度)にとどまっており、必ずしも定員どおりの学生数を確保できていない。
    ※2)実際の入学者は、上記の表にもあるとおり、平成27年度は2,201人。

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