資料2-3 「法科大学院公的支援見直し加算プログラム」見直しについての主な論点

1.検討の必要性

  • 法科大学院の公的支援については、平成24年度からその在り方が見直され、平成27年度からは「法科大学院公的支援見直し加算プログラム」の形で実施されている。同プログラムは平成28年度も継続実施されることが決定済み。
  • この間、各法科大学院において自主的な組織見直しが行われ、入学定員についは、平成28年度は2,724人と、ピーク時(5,825人)から約55%減少する見込みであるが、志願者の減少もあり、法科大学院全体での定員充足率は69%、競争倍率は1.87倍(ともに平成27年度)という状況。
  • 本年6月の法曹養成制度改革推進会議決定において、
    • 平成27年度から平成30年度までの期間を法科大学院集中改革期間と位置付け、法科大学院の抜本的な組織見直し及び教育の質の向上を図ることにより、各法科大学院において修了者のうち相当程度(※)が司法試験に合格できるよう充実した教育が行われることを目指す。
      ※地域配置や夜間開講による教育実績等に留意しつつ、各年度の修了者に係る司法試験の累積合格率が概ね7割以上
    • 文部科学省及び法務省が実施している公的支援の見直し強化策及び教員派遣見直し方策は、法科大学院の組織見直しの進捗状況を踏まえつつ、平成28年度以降においても継続的に実施する。また、最高裁判所においても教員派遣見直し方策の実施が継続されることが期待される。
    • 我が国におけるあるべき法曹像を踏まえ、海外展開や国、地方自治体、企業などの組織内法務、福祉分野等への対応をはじめ、社会のニーズに応えて様々な分野で活躍できる法曹の養成に有意義と認められる先導的な取組を支援する。
      ことなどが決定された。
  • 法曹養成制度改革推進会議決定を踏まえ、法科大学院全体の体質強化、教育の質の向上を図るため、平成29年度以降の公的支援の在り方について検討することが必要。

2.現行プログラムの概要

 以下の方法に基づき、基礎額及び加算額の算定率を計上した上で、両者の合計が見直し対象の公的支援の額(国立大学法人運営費交付金のうち法科大学院に係る教員経費相当額、私立大学等経常費補助金の特別補助/法科大学院支援における専任教員に係る補助額)の範囲内となるよう調整を行う。

基礎額算定率の設定方法

  • 以下の4指標に基づき、3つの類型に分類し、基礎額を設定。
    • 司法試験の累積合格率
    • 法学未修者の司法試験合格率
    • 直近の入学定員の充足率
    • 法学系以外の課程出身者の直近の入学者数・割合、又は社会人の入学者数・割合
  • 上記分類を行った際、第3類型に該当した法科大学院については、地域性や夜間開講の取組に配慮する観点から、以下の指標を加えた5指標の合計点数に基づき、類型を見直す。
    • 地域配置の状況、又は夜間開講の状況

加算額算定率の設定方法

  • 各法科大学院から提案された取組のうち、優れた先導的な取組と評価されたものに応じて加算率を算出する。その際、競争倍率が2倍未満の場合は加算率を減ずる。

3.考えられる論点

現行プログラムについて、以下の点を検討してはどうか。

基礎額算定率の設定方法

○司法試験の累積合格率

  • 司法試験に概ね7割以上合格できるよう充実した教育を目指すインセンティブとして、現行は「累積合格率が全国平均以上」が満点となっているところ、一定の累積合格率を達成した場合に更に加点するなどの措置が必要かどうか。

○法学未修者の司法試験合格率

  • 現行では「直近の合格率」で評価しているが、法学未修者数が減少し、合格率の変動が大きくなっているとの指摘や、全体の合格率は累積だが法学未修者の合格率は直近とすることの整合性についての指摘を踏まえ、見直しを行うことが必要かどうか。

○競争倍率

  • 本年3月の認証評価に関する文科省通知(以下「認証評価通知」)において、競争倍率が2倍を下回っている場合には、「競争的環境の下での入学者選抜が十分に機能しているとは言い難いなど、入学者の質の保証への影響が懸念される」とされているが、平成27年度の競争倍率の平均は1.87倍にとどまっている。
  • このため、現行では加算率の減額要因として活用している競争倍率を、基礎額の指標として導入することについて検討が必要ではないか。
  • なお、進級判定の運用度合いを併せて導入することについては、法科大学院ごとにカリキュラム編成や学生の学習到達度が様々で、運用度合いの厳格性を客観指標のみで判断することは難しく、困難ではないか。

○入学定員の充足率

  • 基礎額の指標に競争倍率を導入することとした場合、入学定員の充足率の指標を一定程度緩和することが必要かどうか。
  • 認証評価通知において、入学者数が10名を下回っている場合には、「教育組織として規模が小さくなりすぎているなど、法科大学院としてふさわしい教育環境の確保への影響が懸念される」とされていることを踏まえ、10名を下回る場合は扱いを異にすることが必要かどうか。

○法学系以外の課程出身者の直近の入学者数・割合、又は社会人の入学者数・割合

  • 重要な指標であり、このまま継続してはどうか。

○地域配置の状況、又は夜間開講の状況

  • 重要な指標であり、このまま継続してはどうか。

加算額算定率の設定方法

  • 教育の質の向上の観点から法科大学院間の連携・連合の取組は効果的と考えられることから、連携・連合の取組に対しては、加算率を通常の取組より大きくしてはどうか。また、地域適正配置の観点から、特に、大都市と地方における取組については、更に、加算率を大きくしてはどうか。

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