資料3 適性試験の在り方に関する検討について(たたき台)

  • 法科大学院適性試験(以下「適性試験」という。)は、平成13年6月の司法制度改革審議会意見書を踏まえた制度設計の下、法科大学院の入学者選抜に当たり、入学者の適性を適確かつ客観的に評価するため、法律学についての学識ではなく、法科大学院における履修の前提として要求される判断力、思考力、分析力、表現力等の資質を試すものとして、平成15年度から平成22年度までは独立行政法人大学入試センター及び適性試験委員会の各機関によって、また、平成23年度以降は適性試験管理委員会によって実施されてきた。
  • 適性試験については、これまで、中教審法科大学院特別委員会において、
    • 適性試験を課している制度趣旨を無意味にするような著しく低い点数の者を入学させないよう、統一的な入学最低基準点の設定する観点から、入学後の学修状況や司法試験合格状況等を考慮し、入学最低基準点を総受験者の下位から15%を基本として各法科大学院が設定することや、
    • 文部科学省においては、入学者の質の確保を一層強化する観点から、適性試験管理委員会と協力しながら、適性試験の結果と法科大学院入学後の学内成績や司法試験の成績との相関関係を含め、その内容等について検証し、必要に応じて改善に向けた取組を促すこと
       などが提言されてきた。
  • このため、文部科学省としては、適性試験管理委員会と協力しつつ、適性試験の成績と司法試験の合否との関連性の検証等を行い、平成24年12月に開催された法科大学院特別委員会では、適性試験の成績と司法試験の合否に一定の関連性があることなどを示す結果が適性試験管理委員会から報告されるなど、適性試験を活用した入学者選抜の改善に向けて具体的な検証等を進めてきた。
  • 一方、法科大学院入学者について、平成27年度は過去最低の2,201人(対前年度比マイナス71人)、うち法学未修者は770人(対前年度比マイナス41人)となるなど減少傾向が続く中、2015年適性試験志願者数(速報値)も対前年比10%以上の減となった。
     法曹養成制度の安定化に向けて、法科大学院志願者の回復は喫緊の課題となっているところ、近年、志願者の減少等により、適性試験受験者が少ない地域では、その実施回数が2回から1回に減らされる、あるいは、実施が見送られるといった事態が生じてきている(平成27年度の試験地区は全国14地区)。
  • 上記のような厳しい状況を受けて、政府の法曹養成制度改革顧問会議においては、入学者選抜における適性試験の存在意義・有用性など在り方に関して改めて検討すべきといった指摘がなされているほか、中教審法科大学院特別委員会においても、多くの人にとって法科大学院を受験しやすくする観点から、適性試験の内容や時期を含め、その在り方について検討すべきといった指摘がなされているところである。
  • 以上を踏まえ、法曹養成制度の安定化に向けた改革方策の一つとして、入学者選抜の改善を図ることを通じ、法科大学院入学者の質をより適切に確保するとともに、法科大学院志願者の増加にもつながるよう、別紙のとおり、適性試験の在り方について、法科大学院制度の創設以降、これまで約13年間にわたり、継続的に実施され果たされてきた入学者選抜機能に係る実績を勘案しつつ、改めて検討を行うべきではないか。

別紙 具体的な検討課題(案)

1.適性試験の有用性について

  • 法科大学院における履修の前提として要求される資質を試すという適性試験の目的は、入学者選抜において、法学既修者及び法学未修者について、どの程度達成されているか。
  • 適性試験の結果と法科大学院入学後の学修状況や司法試験の成績との相関関係を改めてどのように評価すべきか。
  • 法科大学院志願者が急激に減少する中、総受験者の下位から15%を基本とする入学最低基準点を各法科大学院が設定することの妥当性をどのように考えるべきか。

2.適性試験の実施状況について

  • 多くの法科大学院において、入学者選抜が8月下旬から12月にかけて実施されている、あるいは、適性試験実施会場の減少等に伴い、交通費をはじめ、地方在住者が適性試験を受験するための費用の増加が懸念される現状を踏まえ、法科大学院受験に際し、適性試験の実施時期や回数があい路となっている可能性をどのように考えるべきか。
  • 多様な人材が法科大学院を経由して法曹を目指しやすい環境を整備する観点から、適性試験の在り方や入学者選抜の実施方法をどのように考えるべきか。

3.今後の検討の進め方について

  • 法科大学院志願者の回復に向けた方策を速やかに講じるため、現行において法学既修者と法学未修者の双方を対象としている適性試験の在り方について可能な限り早期に結論を得ることができるよう、どのようなスケジュールや体制の下で検討を進めるべきか。
  • 今後の検討に資するため、更にどのような情報を収集することが望ましいか。

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高等教育局専門教育課専門職大学院室法科大学院係

(高等教育局専門教育課専門職大学院室法科大学院係)