資料2‐5 法科大学院全体の体質強化を目的とした組織見直しの促進に関する論点(案)

1 検討の背景

  • 「法曹養成制度改革の更なる推進について」(平成27年6月30日 法曹養成制度改革推進会議決定。以下「推進会議決定」という。)では、
    • 法科大学院の抜本的な組織見直しを図ることなどにより、地域配置や夜間開講による教育実績等に留意しつつ、修了者の概ね7割以上が司法試験に合格できるよう充実した教育が行われることを目指すことや、
    • 法曹人口について、当面、毎年1,500人程度は司法試験合格者が輩出されるよう必要な取組を進め、更にはこれにとどまることなく関係者が最善を尽くし、より多くの質の高い法曹が輩出され、活躍する状況を目指すこと
    が記載されている。
  • これまで法科大学院については、入学定員と実入学者数とのかい離を縮小する観点から、文部科学省において数次にわたり公的支援の見直しが強化され、入学定員の削減など自主的な組織見直しが進められてきた。この結果、平成28年度の入学定員はピーク時から約55%減少する見込みとなり、校数は本年6月末現在において約40%減少するなどの成果が挙がっているところである。
    (平成27年6月末現在の組織見直しの進捗状況)
     【入学定員】ピーク時5,825人(平成17~19年度) → 2,724人(平成28年度見込み)
     【入学者数】ピーク時5,784人(平成18年度) → 2,201人(平成27年度)
     【校数】ピーク時74校 → 45校
     (特に、現行の仕組みを公表して以降、学生募集停止を表明した法科大学院は21校)
  • 法科大学院の自主的な組織見直しが進む一方で、法科大学院の志願者の減少とも相まって、入学定員と実入学者数の縮小が繰り返されている現状を踏まえ、今後、文部科学省等による組織見直しを促進するための施策が法科大学院全体の体質強化に結びつくよう、どのような改革を推進していくべきか、検討が必要な状況となっている。

2 今後の組織見直しの促進に関する考え方

  • 推進会議決定における法曹人口の在り方を踏まえ、法科大学院全体の体質強化を実現するための適正な入学定員の規模について、どのように考えるか。
  • 法科大学院全体の規模を検討する前提として、例えば、
    • 充実した教育環境の下、質の高い教員により多彩な教育が展開される、制度を牽引する法科大学院
    • 連携・連合等を通じて、相互に弱みを補完しつつ、特色ある強みを更に強化する法科大学院
    • 地理的事情や開講形態に鑑み、特別な措置や配慮が必要な法科大学院
    など、将来の法科大学院全体の姿について、どのように考えるか。
  • 抜本的な組織見直しが避けられない場合において、法科大学院によって培われた教育資産を継承しつつ、社会のニーズに応えていくための改組転換等を促進していくことについて、どのように考えるか。
  • 今後、上記の将来の姿を実現するための施策として、
    • 公的支援の見直しの在り方について、どのように考えるか。具体的には、基礎額の設定方法や加算の考え方において、例えば、
      • 入学者選抜における入学者の質の保証の厳格化(競争倍率の取扱い)
      • 法科大学院同士の連合・連携の更なる促進(現時点では、地域が近い京都大学・同志社大学、沿革が近い千葉大学・金沢大学が連携を実施)
      • グローバル化の進展、超高齢化、社会経済活動の多様化など新たな課題に対応した特色ある取組の促進
      などの観点から、工夫の可能性について、どのように考えるか。
    • 入学定員、教員スタッフ、科目構成など、標準的な法科大学院の在り方を定量的に示し、それを公的支援等に反映させることは可能か。

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(高等教育局専門教育課専門職大学院室法科大学院係)