資料3-3 法科大学院の定員・設置数に関する意見(第4回検討会議での議論)

第1 統廃合など組織見直しの必要性について

  • 法科大学院の定員の削減や整理,統廃合などの組織の見直しをすることが最も重要な課題。少なくとも累積合格率7割ないし8割を目指して,その上で,法曹人口との兼ね合いを考えながら,定員と設置数の規模を検討していくというのが一つの方向ではないか。
  • 一定程度の合格率を維持するために,統廃合,定員削減はやらざるを得ない。他方で司法試験の合格者率は合格者数によって左右されるのであり,合格者数と定員をいたずらに全部縮小していく考えには反対。 

第2 組織見直しを促進するための方策について

1 公的支援の見直し・人的支援の見直しに留まらない措置の必要性について

  • 公的支援の見直しにより自主的な改善を促すと一連の手法は厳しいものであり,法科大学院も真剣に取り組んでいると見られることから,その成果を基本的には見守っていく必要がある。しかし,なかなか結果を出せない法科大学院が一定程度存在するとすれば,更に踏み込んでいく必要がある。
  • 公的な支援を削減するというのは,文部科学省の在り方として非常に踏み込んでいるが,スピードという意味では問題があり,今のような危機的な状況では,更なる方策を考える必要がある。
  • 公的支援の見直しだけで,今極めて厳しく問われている法科大学院制度に対する信頼を取り戻せるだけの数に絞り込めるか疑問である。
  • 補助金の削減というのは体力のない法科大学院に撤退を促す手法であり,必ずしも必要なものに絞るということを意味しない。また,効果が現れる時期が不確定であり,スピードの点で問題が残る。そこで,自主的改善努力を踏まえつつも,法令上の措置に基づいて速やかに統廃合を実施することが必要。
  • 法科大学院全体の規模が非常に過剰であり,公的支援の問題・人的支援の問題だけで対応できるのか。何らかの法的な措置を講ずる必要があるのではないか。
  • 合格率が非常に低い状況で,法科大学院という名称を与えていることに疑問がある。自浄作用で是正,改善していくということは,もう不可能ではないかと思われ,強制的な何らかの枠組みを作る必要があるのではないか。
  • プロフェッショナルをつくるということは,教育,育成であって,学問をすると言うこととは別であり,規制があって当然。

2 具体的に考えられる方策について

  •  統廃合の基準の一つとして認証評価制度を考えるべき。認証評価をより厳密化するとともに,三つの評価機関の評価基準の一体化あるいは公正化を高めることにより,統廃合に資するような内容の認証評価制度になり,法令的な措置の一つの根拠ともなっていくのではないか。
  • そもそも審議会意見書の中でも,法科大学院が全て受験資格を持つということではなく,適切な第三者評価によって適格認定を受けた法科大学院の修了者に受験資格を認めるという枠組みを考えていたのであり,一定の水準のところに受験資格を付与するということを参考にして,いろんなバリエーションを考えていけばいいのではないか。
  • 統廃合については,法的な裏付けを持って行う必要がある。例えば,合格率等の一定の要件を満たさない法科大学院に関しては,その修了者に対して司法試験受験資格を与えないというようなものが考えられる。
  • 法科大学院の認可を文部科学省が取り消す方法と,法務大臣が受験資格を認めないという二つの方法が考えられる。ただ,いずれも課題があり,詰めた議論をすべき。

3 組織見直しの促進に当たって留意すべき点について

 (1) 地域適正配置・夜間法科大学院について

  • 地方で仕事をし,子どもや高齢者を抱えながら頑張っている人にとっては,地元に法科大学院があったから弁護士になれたという声は少なくない。多様性を確保する観点からも,法曹になる途を指し示す制度設計を考えるべき。
  • 法科大学院の地域適性配置は,地方への法の支配の浸透や司法過疎の解消に資するという見地から重要な意味を持っており,当該地域における存在意義や改善努力の状況等を総合考慮した上で,必要があると認められる一定の地方法科大学院には,統廃合等の判断に当たって,時間的猶予を与えるなどの特例措置を認めるべき。また,夜間法科大学院についても,同様に,時間的猶予などの特例措置を認めるべき。
  • 法科大学院が,過度に一極やあるいは数極に集中するのは望ましくない。地域に一定の法曹を志す学生がいる限り,最適なバランスを考えながら,それぞれの地域に一定の確保は必要ではないか。
  • 適正配置の問題は,道州制の問題で議論されている地域割りを単位とすることも検討すべきではないか。
  • 地方にあるからといって例外扱いするのではなく,地域適正配置の本当の趣旨を考えるべきである。最終的には弁護士過疎の問題であり,そのような地域で弁護士が定着して法的サービスを提供することが最終目標であり,そのために何をしなければいけないかという発想で行うべき。

 (2) 大規模校の定員削減について

  • 法科大学院の大幅な定員削減によって合格率の向上を図るためには,大規模校の定員の削減が必要。
  • 大規模校の多くは,かなり良質の教育を提供している。大規模校も教育の質を維持する観点から定員の見直しを行うべきではあるが,全体の事情で一律に大規模校の定員を削減し,学生に良質な教育を受ける機会を減らしていいのか疑問である。
  • 統廃合を進めた結果,有力の十数校に教員人材も学生も集中するということは,審議会の意図したものと違う。全国にどう適正配置した,バランスのとれた法科大学院の設定をするのかということが,今問われている。

 (3) その他

  • 定員・設置数を考えるとき,司法試験の結果のみで評価されがちになるが,法科大学院で学んだ学生が司法試験に合格しなくても,社会的に評価されるような指標も一方でしっかり持っておくべき。
  • 議論のスタートは,法曹人口の問題。司法試験の合格者数をどの程度にするかというところがベースで,その上で法科大学院修了者の7割,8割が司法試験に合格するというところで議論すべき。

第3 組織見直しを促進するための方策の検討方法について 

  • この検討会議では,新たな枠組みで,どう法科大学院の定員・設置数を絞り込むのかという制度的なメッセージを出す必要がある。
  • この検討会議で,法的な措置について,どのような措置が講じられるか,それによって具体的にどんな問題が出てくるのかということも含めて,具体的な検討をしていく必要があるのではないか。
  • この10年間に蓄積されてきた様々なデータを踏まえて,議論するだけでなく早急に具体的な回答を得ていくべきである。 
  • 学生数や合格率をどのくらいにするのかというのは大変難しいが,プロジェクトチームを作って検討すれば結論が出るのではないか。

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