法科大学院特別委員会(第75回) 議事録

1.日時

平成28年7月25日(月曜日) 10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省東館15階 15F特別会議室

3.議題

  1. 共通到達度確認試験第3回試行試験の方向性について
  2. 法科大学院公的支援見直し強化・加算プログラムについて
  3. 法学未修者教育の在り方について
  4. その他

4.出席者

委員

(臨時委員)有信陸弘,井上正仁の各委員
(専門委員)磯村保,上田信太郎,笠井治,樫見由美子,片山直也,鎌田薫,木村光江,杉山忠昭,染谷武宣,土屋美明,西山卓爾,長谷部由起子,松下淳一,山本和彦の各委員

文部科学省

義本大臣官房審議官(高等教育局担当),浅野専門教育課長,塩田専門職大学院室長,川﨑専門職大学院室室長補佐,真保専門教育課専門官

5.議事録

【井上座長】
  それでは所定の時刻になりましたので,第75回の中央教育審議会大学分科会法科大学院特別委員会を開催させていただきます。
  本日は,共通到達度確認試験の第3回試行試験に向けた基本的方向性,法科大学院公的支援見直し強化・加算プログラムについて御報告いただくとともに,未修者教育の在り方について議論をしていただく予定としております。本日もどうぞよろしくお願いします。
  まず,事務局の方で異動があったということですので,事務局から報告をお願いします。

【塩田専門職大学院室長】
  6月21日付けで専門教育課の北山浩士が文化庁国際課へ異動となりまして,後任に浅野敦行が着任しております。

【浅野専門教育課長】
  6年ぶりに戻ってまいりまして,また,先生方とともに,何とかこの法科大学院制度を安定できるように努力をしていきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

【井上座長】
  どうぞよろしくお願いします。
  浅野さんは,よほど法科大学院にご縁が深いようですので,よろしくお願いします。
  それでは,事務局の方から配付資料の確認をしていただきます。また,前回,議論を行っていただいた統一適性試験の件が今回,事情により議題に上がっておりませんけれども,この事情についても併せて御説明をお願いします。

【塩田専門職大学院室長】
  それでは,まず,配付資料の確認でございます。議事次第のとおり,資料1が共通到達度の関係でございます。資料2-1が入学定員,2-2が加算プログラム,2-3も加算プログラムの関係でございます。資料3が未修者教育,資料4が法曹養成制度改革連絡協議会の資料が付いております。不備等ございましたら,事務局までお知らせください。
  また,統一適性試験につきましては,前回,御議論いただきまして,その際の御議論を踏まえまして,文部科学省から各法科大学院にアンケートを実施させていただいたところでございますが,適性試験管理委員会の方でも,各法科大学院に対してアンケートを実施されておりまして,現在,その集計作業中とお伺いしております。
つきましては,次回の特別委員会におきまして,文部科学省のアンケートと併せて,適性試験管理委員会事務局が実施されたアンケートの結果も踏まえまして御議論いただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

【井上座長】
  いまご説明がありましたように,統一適性試験の在り方につきましては,次回,改めてご審議をお願いするということにさせていただききます。 それでは,議事に入りたいと思います。最初の議題は,共通到達度確認試験第3回試行試験の基本的方向性についてワーキング・グループの方で取りまとめがなされたということですので,ワーキングの主査である山本委員の方から御報告をお願いします。

【山本(和)座長代理】
  それでは,私の方から概略を報告し,事務局の方から補充を頂ければと思います。資料1をごらんください。これが第3回,来年の3月に実施が予定されております試行試験の基本的な方向性というものでございます。前回,第2回,今年3月にやったものと異なる大きな点としては,3点ぐらいあろうかと思います。第1に,3ページを見ていただきまして,2の対象者・試験科目というところの試験科目であります。これまでは,今年の3月にやった第2回では1年次,2年次,双方対象にして,憲法・民法・刑法の3科目で行っていたわけでありますが,来年3月の第3回については,それに加えて,2年次については民事訴訟法・刑事訴訟法・商法・行政法を加えた7科目で実施をするということになります。
  それから,第2点としましては,同じ3ページの3の出題範囲・難易度というところで,(1)の憲法・民法・刑法についてでありますけれども,最初の黒ぽつで,1年次学生と2年次学生で共通の問題と学年別問題を組み合わせた試験とするということで,第2回は1年次,2年次でやったわけですが,全て共通問題で行いました。今回はそれに加えて学年別問題,1年次と2年次で違う問題を組み合わせて行うということにしました。
  それから,第3点としましては,2ページに戻っていただいて,1の第3回試行試験の主目的というところの最後の黒ぽつですが,問題の作成に当たっては,科目の特性も踏まえつつ,法曹三者の協力を得ることとするということでございます。第2回までには,一部については弁護士会等の御協力も得ていたわけでありますが,今回,第3回については      このような形で,必要な部分について法曹三者の御協力を得られることになったということであります。
  あと,細かな点が幾つか変わった点がありますが,大きなところはそのようなところだと思います。今回,第3回の試行試験でありますけれども,試行試験は全体で4回,予定をされております。つまり,来年度,もう一度,試行試験をやって,再来年度からは本格実施になる予定ということでございます。もう1回,試行試験があると言いましても,最後の試行試験は,恐らく本格試験の実施に向けた一種のリハーサル的なものにならざるを得ないのではないかというのがワーキング・グループ全体の認識でございまして,そういう意味では,本当の意味での試行というのは,今回が最後になる可能性もございまして,そういう意味で,今のような幾つか変えて実施をしてみて,その結果を見て,本格実施の際にどのような枠組みでやるかということを恐らく今後,ワーキング・グループでは本格的に検討するということになろうかと認識をしております。
  私からは大体以上で,事務局の方から。

【塩田専門職大学院室長】
  それでは,補足説明をさせていただきます。まず,同じ資料の2ページで,先ほど主査からも御指摘ございましたけれども,今回より法曹三者の協力を得るということで追記させていただいております。点検委員といたしまして,裁判官と検事の先生にも御参画いただけるということになりました。この場を借りて御協力に感謝申し上げたいと思います。
  続きまして,3ページの2の対象者・試験科目につきましては,先ほど御説明ありましたように,2年次については7科目でございますけれども,実施結果を踏まえまして,本格実施の際の在り方を検討するとなってございます。
3ぽつでございます。憲法・民法・刑法については,第2回は共通問題でしたけれども,第3回については共通問題と学年別問題を組み合わせるということでございます。この点につきまして, 4ページの下の方の(1)をごらんいただきたいと思います。憲法・民法・刑法についてとなってございます。ここに書いてございますように,1年,2年で同一の問題を使用する方が到達度の差異を把握しやすい面があるという一方で,2年次終了時点で修得しておくべき知識,思考力は1年次終了時点のそれとは異なると考えられるために,2年次終了時点の到達度測定のためには,1年次終了時点とは異なる観点からの出題が効果的という指摘もあります。
次のぽつでございますけれども,試行段階であることに鑑みれば,学年別問題を使用し,効果的な把握が可能か検証することが必要となってございます。
  また,次の次のぽつですけれども,問題の割合につきましては,上記趣旨を踏まえるとともに,作問の負担を考慮しつつ,検討チームで適切に判断するというようになってございます。
  続きまして,3ページに戻っていただければと思うんですけれども,(2)でございます。4ページでございますけれども,新規4科目については,出題範囲につきましては,科目ごとの判断に委ねるということで,範囲を限定する場合は適切な時期に周知するとなってございます。この点についての考え方は,5ページの(2)のところでございますけれども,新規4科目につきましては,多くの法科大学院が2年次までの履修範囲に含めていないといった部分が見受けられるために,こうした部分は除外することも考えられる一方で,次のぽつのとおり,問題作成が難しくなることや,その部分は勉強する必要がないというメッセージになってしまうといったような事情がございます。そういうことを踏まえまして,次のぽつのとおり,こうした事項は,科目によっても事情は異なるということで,科目ごとの判断に委ねることが適当と結論してございます。
続きまして,6ページの4ぽつでございます。枠囲い3つ目の黒丸のとおり,各法科大学院において,短答式試験の合格状況と確認試験の結果との相関関係を分析できるようデータを保管するということを追記してございます。
  また,次のページの5ぽつでございます。第3回の実施時期でございますが,各法科大学院に対するアンケート結果で,一番参加ができるという回答が多かった3月16日に実施するということになってございます。
  6ぽつでございますが,2つ目の黒丸にありますように,受験生の利便性に鑑みまして,今回から試験の解答・解説につきましては,試験当日に公表するということにしてございます。
  最後に,7ぽつでございますけれども,科目が新規4科目が追加されることに伴いまして,運営を担う大学に神戸大学に加わっていただいているということでございます。
説明は以上でございます。

【井上座長】
  ありがとうございました。ただいまの御説明につきまして,御質問,あるいは御意見等があれば,どなたからでも御発言をお願いいたします。どうぞ。

【笠井委員】
  先ほど問題作成の作問について,法曹三者の協力が得られるようになったということの報告がございましたけれども,これは大変望ましいことだと思っています。事務局の御説明ですと,点検委員については裁判所,法務省の御協力とおっしゃっていたわけですが,作問委員そのものについては,協力を得られたのか否か,そこはどうであったのでしょうか。

【塩田専門職大学院室長】
  これは検討チームの方でも御議論いただいているところなんですけれども,まずは,点検委員という形で法曹三者に御参画いただいた方が全ての問題を見ていただけますし,より良いのではないかということで,今の段階では,点検委員という形で御参画いただくということでお願いをしているところでございます。

【笠井委員】
  もろもろの事情から,現状としては,点検委員についての協力を頂けるということにとどまるとしても,方向性としては,全体のに関わるということについて,それが望ましいということは確認できるのかどうなのかですが。【塩田専門職大学院室長】  済みません。そういう意味もありまして,この基本的な方向性の中には,2ページの1ぽつの黒丸でございますけれども,「問題の作成に当たっては」ということで,若干ぼかした形といいますか,どちらでも取れるような形にしておりますが,第3回につきましては点検委員という形で御参画でございますけれども,今後の状況を踏まえまして,もしかすると,笠井先生がおっしゃったように,そういうこともお願いするということはあるかもしれませんが,現時点では,点検委員という形で今,お願いしているという状況でございます。

【山本(和)座長代理】
  よろしいでしょうか。

【井上座長】
  どうぞ。

【山本(和)座長代理】
  前回の試験においては,弁護士の委員に御参画を頂いて,点検の委員としても御参加を頂いて,その実施チームの検討チームの見解としては,点検委員として御参画いただいたことは非常に有意義であったというようなことが言われました。そこで,今回は点検委員という形で,弁護士のみならず,裁判官,検察官の方にもお入りを頂いて,それでどういう結果になるかということを見てみようということでございます。
  それで,もしその中で更に点検委員に加えて実際の作問の段階からお入りいただいた方がいいんではないかというような御意見がまた出てくるようであれば,恐らくはワーキング・グループにおいても,更にその点について検討をしていき,また,実際に御協力を得られるかどうかということは,また別問題ですけれども,検討をしていくということは必要になってくるのではないかとは認識をしております。とりあえず,先ほど室長が言われたような形でやってみて,どういうようなことになるかということを考えてみたいということです。

【笠井委員】
  了解しました。

【井上座長】
  ほかには御意見等ございますか。どうぞ。

【鎌田委員】
  この共通到達度確認試験の導入という点については,私の記憶では,あれは法曹養成制度検討会議でしょうか,そこで法科大学院教育の質の向上,とりわけばらつきがあることの問題点が指摘されたことに対して,こうした形で,高い質で,どこの法科大学院を出た人でも一定の水準に達している,こういう制度を導入してはどうかということがきっかけだったと記憶しておりますが,その趣旨に沿って何回かの試行試験も繰り返し,制度の整備がなされて,現時点で考えられる最も理想的な形へ近付いていると思うんですけれども,その一方で,法科大学院生は日常的な授業を通じて教育を受け,検証され,各学期の試験,それから,厳格な進級判定,修了判定ということがなされている上に,この共通到達度確認試験まで経ているわけですけれども,司法試験の前では,たった1回の予備試験を受けた人と全く同等の取扱いということでは,これだけ念入りなプロセスを経て教育され,その水準を確認された学生たちが時間とコストを何のために費やしているのかということについての説得力に欠けるんではないか。それは受験生だけではなくて,法科大学院も,また国も相当の負担をするわけでありますので,是非これは要望でしかないのかもしれませんけれども,こうしたプロセスを経た人たちが最終的な法曹資格の認定の上で,それ相応の処遇が受けられるような制度とセットにしないと,これだけのことをやる意味が社会的にも説得力を欠くんじゃないかという気がしますんで,是非そちらの方向での御検討をお願いしたいと思います。

【井上座長】
  現段階では,御意見として承っておくことでよろしいでしょうか。
【鎌田委員】
  はい。

【井上座長】
  一つ確認ですけれども,実施時期が3月16日となっていますが,この実施時期というのは,とりあえず3回目の試行に限った話で,本格実施の時期については,本格実施までに検討するというふうに理解してよろしいでしょうか。

【山本(和)座長代理】
  はい。

【井上座長】
  この点は,いまの鎌田委員から御発言があったこととも関連するのですけれども,現状でも学生の負担は相当厳しいものになっており,やっと期末試験から解放されたと思ったら,また試験を受けなければならないことになる,そのような時期でもあるわけですが,他方,進級判定などに将来的に結び付けていくとなると,かなり時期的に限定されることになる。その辺,検討に当たっては十分御配慮いただければと思います。

【山本(和)座長代理】
  まさに実施時期の点は,今後,第4回の試行試験の際,本格実施の際には非常に大きな問題になると認識をしておりまして,前回のワーキングでも若干の御議論を頂いたところですけれども,やはり進級判定に利用するということになると,現在のこの時期は遅過ぎるということで,2月に実施する必要があるのではないかということですけれども,他方,2月は,法科大学院期末試験があり,さらには,私立の大学の入学試験等もあって,場所の確保の問題,あるいは職員の確保の問題等もある。あるいは,さらに有職者の学生がいることを考えると土・日に実施すべきではないかということになってきまして,そうすると更に日程が限定されるということで,現在,ぎりぎりのところで,どこが実施可能性,フィージビリティーが一番高いかということを検討しているということです。
  第4回をどうするかというのは,本格実施がある時期になるとすると,やはり第4回の試行試験は先ほど申し上げたリハーサル的なところがあるので,同じ時期,特に土・日にやる必要があるのではないかという考え方が一方にあり,他方では,なかなか事務職員の体制とか,そういうことを考えたときに,試行試験を土・日にやるということが可能かという問題もあって,その点は,まだワーキング・グループでは十分に議論が煮詰まっていないところですけれども,今後,更に検討していきたいと考えています。

【井上座長】
  ありがとうございます。ほかに御意見等ございますでしょうか。どうぞ。

【土屋委員】
  問題作成の関係で司法試験の作問委員との重複の問題も出てくるのではないかと思うのですけれど,今のところどういうふうに考えていらっしゃいますか。司法試験の問題漏えいとか,不祥事があったものですから,その辺りの事情について、それは、この共通到達度の確定,確認という問題と質の違う話だということは分かるのですが,実際に司法試験の作問に当たる考査委員の先生がこちらの方にも関係するということに関しては,若干議論が出る可能性もあろうかなと思いますので,お伺いしてみたいと思います。

【山本(和)座長代理】
  現段階は,御承知の司法試験の考査委員,作問委員ともに基本的には法科大学院の人は外れている,実際に教えている人は外れているんで,現段階においては重複というのはないということだと思います。ただ,今後,もし司法試験の作問の委員等に法科大学院の教員が復帰するというか,そういう状況になった場合には,おっしゃるように重複ということは考えなくてはいけないとは思っています。
  ただ,現実には,その負担の観点から,同じ先生に両方お願いすると,私だったら絶対断りますし,普通はそうだろうとは思っています。ですから,現実には,それが重複ということにはならないのではないかと。どちらかといえば到達度試験の方の作問委員は,司法試験より若い方にお願いするということになっていますし,今後もなるのではないかと思っておりますけれども,御指摘の点はまことにそのとおりだろうと思っています。

【井上座長】
  ほかによろしいですか。この第3回試行試験については,本日の議論も踏まえて,更にワーキング・グループにおいて検討を進めていただくようにお願いしたいと思います。
  次に,法科大学院公的支援見直し強化・加算プログラムにつきまして,各法科大学院に対し提案書提出の依頼がなされたということですので,事務局の方から御報告をお願いします。また,来年度の入学定員の見込みについても,取りまとまったということですので,これも併せて御報告をお願いできればと思います。

【塩田専門職大学院室長】
  それでは,先に資料2-2から,お手元によろしくお願いいたします。この資料2-2をもちまして,各法科大学院に見直し強化・加算プログラムの提案書の提出をお願いしているものでございます。
それのページをめくっていただきまして,後ろの方に別添2というのが付いてございます。「審査の判定基準及び加算率について」ということで,当プログラムの審査委員会の名義で出された資料が別添2でございます。この1ぽつにつきましては,従来やっている基準に大きな変更はないんですけれども,ページめくっていただきまして,2の加算率のところをごらんいただければと思います。これは本委員会での御議論を踏まえまして,連携・連合の取組についての加算率をここにごらんいただけますように,通常の取組よりも加算率を上げている。この具体的な数字を示しております。さらに,都市部と地方の組合せの場合は更にそれを上げるということで,このような対応をさせていただいております。
  加算対象となる連携の趣旨でございますけれども,枠囲いにございますように,単に法科大学院同士が連携して何かやればいいというわけではなくて,司法試験の合格率等について,法科大学院のばらつきの拡大等に対応するための取組だということでございまして,こうした趣旨の場合は加算率を上げるということを考え,こうした趣旨に合致しない連携や取組の場合は,通常の加算率で評価するとなってございます。
  3ぽつでございますけれども,先ほど申し上げましたように,枠囲いのあるような,趣旨とは異なる連携の場合,そういった取組を複数校で行う場合は,参加校全てが同様の提案をするということではなくて,取りまとめ担当校が代表して申請を行うことが望ましい,こういったような記載をしてございます。
  続きまして,資料2-3でございますけれども,これは従来も御説明しておりますけれども,法曹人口の1,500人といったような数字を踏まえまして,当面,目指すべき法科大学院の定員規模を2,500人としたということでございまして,その2,500という数字を達成するために,加算プログラムを29年度以降も継続して実施するというような趣旨を書いているものでございます。
  この資料の後ろから3枚目辺りの別表1というのがあるんですけれども,別表1をごらんいただければと思います。これは基礎額の指標になってございます。今回から競争倍率というのが入っているということと,あと,これは4で充足率というのを求めておりまして,こういった形で充足率を求めることによって,定員規模の自主的な見直しを促進しているということでございますけれども,米印の2というのがございまして,その下の方に書いてございますけれども,入学定員見直し後の数値を用いて算出するとなってございます。
  見直し後の数字というのが資料2-1になります。資料2-1の赤の枠囲いのところです。平成29年の予定ということでございますけれども,ここにございますように,六大学が定員の見直しを行うということを予定されていて,募集停止となる2大学がございます。その定員分を含めまして,一番下のところでございますけれども,来年度は2,566人になる見込みということでございます。ということで,先ほど御説明しましたように,目標値として2,500人程度ということを掲げておりますので,数字がほぼ達成されるというような状況になってございます。
  加算プログラムにつきましては,自主的な組織見直しの促進ということと,各法科大学院における優れた取組を支援すると,こういったような目的で実施しておるわけでございますけれども,目標値である2,500人という数字が達成されるということでございますと,今後,基礎学の指標の取り方を含めまして何らかの修正を加える必要があるのかなとは認識してございます。
  説明は以上でございます。

【井上座長】
  どうもありがとうございました。ただいまの御説明につきまして,御意見等があれば御発言をお願いしたいと思います。

【井上座長】
  鎌田委員,どうぞ。

【鎌田委員】
  都市部の法科大学院と地方との連携を強力に進めるということですけれども,何が都市部で,何が地方なのかよく分からないんで,2-1で言うと,地方の法科大学院と言われるのは,どの法科大学院になるのか,網掛けのところを外して,ちょっと教えていただければと思います。

【塩田専門職大学院室長】
  一応,資料2-2に定義は書いておりまして,資料2-2の最後のページの米印の1というのが枠囲いの下にございまして,ここで都市とは,都市部の高い教育力を有する法科大学院とは何だということを説明してございますが,都市部というのは,基本的には7大都市圏であり,かつ28年度審査結果で第一類型とされた法科大学院が存在する都市圏を想定している。高い教育力を有する法科大学院というのが28年の審査結果で第一類型とされた法科大学院を想定しているということにしてございます。

【鎌田委員】
  どこと提携を組めばいいのか,あらかじめ分からないとですね。

【塩田専門職大学院室長】
  そうですね。これを作る過程で事務局において,整理しているので,後ほど御紹介したいと思います。

【井上座長】
  後ほどということでよろしいですか。

【鎌田委員】
  結構です。

【井上座長】
  ほかに御質問とか,御意見等ございましたら。どうぞ。

【片山委員】
  質問になりますが,資料2-3の一番冒頭のページ,下から二つ目のパラグラフで,この加算プログラムは平成29年度以降も継続して実施するということでありますけれども,当初は,平成30年が法科大学院の改革集中期間ということで,それを目標に,各法科大学院が様々な取組をやってきました。ここで平成29年度以降と書いておられる趣旨は,平成30年以降ということなのか,その辺りを確認できればと思います。いかがでしょうか。

【井上座長】
  いかがですか。

【塩田専門職大学院室長】
  法科大学院集中改革期間におきましては,少なくともこういった形のプログラムをするということになると思うんですけれども,ただ,先ほど御説明しましたように,定員目標値との関係もございますので,その在り方については,考えながらやっていく必要があるかなと思います。

【井上座長】
  よろしいですか。

【浅野専門教育課長】
  補足で。

【井上座長】
  どうぞ。

【浅野専門教育課長】
  定員の今の状況等を踏まえて,このプログラム,来年度以降,どういう基準を持って何を目的としてやっていくのかということについては,また改めてこの委員会で御相談させていただければと思っております。

【井上座長】
  どうぞ,磯村委員。

【磯村委員】
  今の問題ともちょっと関係するのですけれども,この公的支援をどうするかという工夫の中で,こういうプログラムの問題があると思うのですけれども,例えば平成27年度に非常に重要な加算プログラムの実施を決めた法科大学院がその翌年度に,また違うプログラムを作って申請するというのは,状況としてはかなり難しいと思います。そうすると,重要なプログラムで認められたものについては,新たな申請よりも,そのプログラムがどう実際に実現されていくかということを評価するというような方式も組み合わせていただくといいのかなというように感じているところです。

【井上座長】
  ほかにいかがでしょうか。それでは,このぐらいにしたいと思います。
次の議題に移りたいと思います。未修者教育の在り方については,本委員会においてワーキング・グループを設置するなど,議論を重ねてきたところですけれども,未修者コース修了者と既修者コース修了者との間には,依然として司法試験合格率に大きな差が見られるのが現状であります。本特別委員会としては,未修者教育の在り方について,今後,更に議論を行っていく必要があるのではないかと考えております。
今回は議論の最初ということで,事務局に,現状やこれまでの取組についてまとめた資料を用意してもらっていますので,まず,この資料の御説明をお願いしたいと思います。

【塩田専門職大学院室長】
  それでは,資料3でございます。最初に,検討の背景・現状ということで書いてございます。これはもう皆さん御存じのことばかりだと思うんですけれども,司法制度改革,審議会意見書で掲げられた,まず理念というのを御説明しまして,次の丸でございますけれども,その理念を実現するために,未修者や社会人経験者を一定割合以上入学させるべきだということで,これを3割以上となるよう努めるということが規定されているという状況でございます。
  三つ目の丸がデータ的なものでございます。法学系課程出身者でない者と社会人経験を有する者というのが今どうなっているかということでございますけれども,入学者全体に占める割合というのが,28年度は25.7%ということになってございます。また,更に未修者コース入学者に占める割合と,そういった方が占める割合というのもどんどん減っている。米印のところで実際のデータを書いてございますけれども,例えば法学系課程以外の出身者というのは,34.5%いたのが今,14.4%と。社会人経験者も48.4%いたのが19.5%ということでございます。未修者コースの方でございますけれども,非法学部の方が49.1%が27.2%,社会人が51.3%から32.6%ということで大きく減少しているという状況になってございます。
  一方で,夜間開校を行う法科大学院も近年,増えていたりもしますが,6校存在するということで,そういった環境整備は行われているということでございます。
  次の4つ目の丸でございますけれども,先ほど御説明あったように,既修者コースと未修者コースの合格率に大きな差があることが背景の一つではないかということで,これまでも数回にわたって取組をしてきているということですが,顕著な改善に至っておりません。
  昨年6月の法曹養成制度改革推進会議決定におきましても,そういった問題点が指摘されているという状況でございます。
  ページをめくっていただきまして,2ページでございます。これまでの本委員会で御検討いただき,文科省で執ってきた施策でございます。平成22年度のところにございますけれども,1年次について,36単位を超えて,基本科目を6単位増加させることを可能としたということでございます。成績評価・進級判定・修了判定が厳格化ということで,標準修了年限の修了率は低下しているということでございます。
  24年度には,特別委員会の下に未修者教育のワーキング・グループを設置していただきまして,こういった共通到達度確認試験の取組を含めた御提案を頂きまして,26年度におきまして,更に法学未修者を対象とした法律基本科目の単位数を増加させた場合に云々(うんぬん)とあって,1年次と2年次で合わせて10単位程度まで増加させるということで,44単位程度まで履修の上限の適切な範囲内であるということを通知したということでございます。
  また,十分な実務経験を有する者につきましては,展開・先端科目に代えまして法律基本科目を2から4単位程度履修することも可能だというような話でございます。
  共通到達度確認試験は,未修1年次を対象として,まずは試行を開始すると。27年度におきまして,現在の見直し強化・加算プログラムをやっているという状況だということでございます。
  3ページでございますけれども,これが公的支援見直し強化・加算プログラムで加算対象となった各大学の取組を簡単に御説明したものでございます。ここにございますように,一橋大学,これは別途後ろに資料を付けてございますけれども,これが一番評価が高い取組でございまして,進級試験をやるということと,法律文書作成ゼミというのをやっておられる。また,若手弁護士による学習アドバイザーの拡充,担任制を導入,こういう取組をされているということでございます。
  未修者教育充実のための取組内容ということで,一番下で,今,毎年,文科省が各法科大学院にこういうことをやられていますかということでアンケートをとっているんですけれども,こういった各AからFについての回答は頂いているということでございます。
  ページをめくっていただきまして,4ページでございます。24年度に設定された未修者教育のワーキング・グループの提言というのを簡単にまとめたものでございます。最初の丸が厳格な到達度判定の仕組みということで,共通到達度確認試験を導入といったことが提案されてございます。
  二つ目の丸が基本的な法律科目をより重点的に学ぶことを可能とするための取組ということでございます。
  三つ目の丸が未修者に対する入学者選抜の改善の検討ということで,小論文や面接試験の工夫などの改善ですとか,司法試験との相関関係をちゃんとセットしてくださいと,このような提言をされているところでございます。
  次の丸でございますが,法科大学院を目指す者に対する入門的な教育機会の提供ということで,教材の作成ですとか,法学講座の配信についての検討ですとか,法学部との連携も視野に入れた取組,こういったようなことが提言されてございます。
  次が,入学が内定している者に対する事前の学習支援ということで,内定者に対するガイダンスですとか,基本書の紹介,こういったことが提言されています。
  次が未修者に対する教育内容の改善ということで,ここに書いてございますような,教育課程の見直しですとか,補充的な演習科目の設定,法文書作成に係る授業科目の設定,こういったような取組が提言されている。
  また,次が法学未修者に対する教育方法の改善ということで,講義形式の授業を取り入れたらどうかとか,ICTを活用してはどうかとか,チューター制の活用というようなことも提言されてございます。
  ページをめくっていただきまして,5ページでございます。修了生に対する支援の充実ということで,どうしても未修コースの方は修了した後でもちょっと長いチャレンジが続くというようなこともございますので,修了生に対してしっかりと支援していってはどうかということでございます。
  また,教員の資質能力向上のための取組ですとか,未修者が学修しやすい支援体制の整備,夜間コースの開校を含めてということでございます。これが未修者ワーキングでの提言の概要でございます。
  また,これまでに法科大学院特別委員会で関連する御発言として,どういう御発言があったかということをおさらいとして書いてございます。最初の丸でございますけれども,研究者教員の授業と若手法曹による補習授業を組み合わせて単位認定できることとしてはどうか。その際,厳しい教員資格要件は課さない方向でどうかという御指摘,また,入学者の実態を踏まえて,未修者が基本であるという前提を法学部の在り方と併せて見直すべきではないかというような御指摘,未修者コース,既修者コースという枠組みを考え直すべきではないかというような御指摘,また,学部と法科大学院の教育を一体的に捉えて,法学部生については学部においてしっかりと基礎教育を行うべきというような御指摘,また,未修者については,基本科目の学力を集中的な学修で伸ばし,既修者については幅広い分野に展開するというカリキュラムもあり得るのではないかという御指摘,最後が未修者については,法学部以外の出身者や社会人のみに限定するという方向性を打ち出すべきじゃないかというような御指摘がございました。
  次のページ以降は,データでございます。
  入学者数の推移で,法学系課程関係ということでございます。ここにございますように,最初の三角が未修者コースに占める非法学部の割合ということでございます。49.1%というのに始まって,今,27.2%まで下がってきているということでございます。法学未修者のうち,法学系課程出身者数と法学系課程以外の推移を棒グラフで並べてございまして,法学系課程以外出身者数は今,173人というような状況になっているということでございます。
  次のグラフが社会人経験者関係ということでまとめたものでございまして,最初の三角は,社会人割合ということで,社会人割合は御覧いただけるように,右肩下がりというわけではなくて,最近は安定してきているということでございます。ただ,数的には,ここに棒グラフにありますように,どんどんと下がってきている,こういったような状況がございます。
  続きまして,次のページでございます。進級率の推移ということでございまして,進級率はここにございますように,例年,厳格化しておりますが,26年から27年にかけては,ちょっと数字が上がっているという状況がございます。
  7ページが標準修業年限修了者数・修了率の推移ということでございますけれども,だんだん厳格化が進んで,最近は,横ばいのようであります。
  続きまして,最後の8ページでございますけれども,これが司法試験合格率の推移ということで,これは修了年度別のものでございます。法学未修者が既に受験を終了しているところを見ると49.4%,42.0%,42.4%,43.7%,48.0%と大体半分弱ということが例年でございまして,ここにありますように,法学既修者とはなかなか差が縮まらないという状況が見て取れるかと思います。
  最後に,一橋大学の未修者教育を充実させるための取組というのを御参考までに付けてございますので,お時間のあるときに見ていただきたいと思います。
  説明は以上でございます。

【井上座長】
  ありがとうございました。この未修者教育につきましては,度々いろいろな点が指摘されてきたところでありますが,さっきの資料にありました推進会議でも教育課程の抜本的見直しということが言われていることもあり,本委員会におきましても,腰を据えてしっかりした議論を行っていきたいと思います。
  きょうは,最初でもあり,少し時間を取って,皆様から忌憚(きたん)のない御意見を伺い,それを整理して,次にはもう少し特化した議論を行うということにさせていただきたいと思います。どなたからでも御自由に御発言いただければと思います。どうぞ。

【上田委員】
  質問なんですが,今頂いた資料の7ページ目に進級率の推移というのがございます。未修,1年次から2年次の進級率なんですが,これは26年から27年にかけて,ぽんと上がっております。先ほどの説明だと,厳格な成績評価の反映ではないかという御指摘があったんですが,厳格な成績評価というのは,第三者評価機関の認証評価でもずっと言われてきたことであって,別にこの年度に限ったことではないんですけれども,何かここでぽんと上がっている理由というのはあるのか,どの辺りにあるのか,分かれば教えていただきたいんですけれども。

【井上座長】
  事務局の方で分かりますか。

【塩田専門職大学院室長】
  済みません。まだ,分析できていません。

【井上座長】
  今後,更に詰めたいと思います。ただ,おそらく,母数がそれほど大きくないため,ちょっと動くだけでパーセントがこの程度上がるということではないかという感じがしますけれども,ともかく数字の中身をまた検討していただければと思います。
ほかに御意見,どうぞ。

【笠井委員】
  私も質問です。先ほどの御説明にあったように,未修者,とりわけ非法学部出身者についての入学の志願傾向が極端に減っているということや,学部と法科大学院との関係も含めて,未修者教育は,法科大学院において,実は学部レベルと同程度のことを実際にはやっているだけではないか,大学院とは言えないんじゃないかという疑問すら湧くような状況に立ち至っているかと思います。そういう状況の中で,大学院と学部との関係や,学部の中における法学的な素養のある者についての者とそうでない者との関係等を踏まえた場合に,非法学部出身の者の司法試験合格率が未修合格者の内でどのくらいの割合を占めているのかというような点についてのデータというのはあるのでしょうか。

【井上座長】
  そのデータはあるのでしょうか。

【塩田専門職大学院室長】
  済みません。非法学部生に特化したデータは取っておりませんで,現状ではない状態であります。

【井上座長】
  未修か既修かという区分けだけですね。多分,司法試験委員会レベルでも,そういうデータをとっているのか分かりませんけれども,各法科大学院単位では取っているところが多いように思います。それを集計したものがあるかどうかですね。

【笠井委員】
  どこまで改革の手を広げるかという問題があるとは思いますが,そうしたデータがもし取れるものであれば,今後,是非関心を持って集計していただけないかなと思います。

【井上座長】
  網羅的に完璧なものが取れるかどうかは別として,各法科大学院の御協力を得られれば,大づかみのデータは取れるように思いますけれども,更に検討させていただきます。司法試験サイドとしては,そこまでバックグラウンドを細かく仕分けたデータを取ったものないでしょうね。

【西山委員】
  ないと思います。

【笠井委員】
  分かりました。それから,法学部教育がどうなっているのかも視野に置いて法科大学院教育を考えるべきであると思います。そうした点からすると,法学部に他学部出身者が学士入学しているケースなどもあり,そういうケースの場合と,いわゆる本当に純粋未修という場合との違いがあるのかということも,直接的な因果関係を持って測ることは難しいのかもしれませんけれども,そこら辺のデータは取っていますか。

【浅野専門教育課長】
  医学部はほとんど,十数年前にメディカルスクール構想が一時期,話題になったときに,学士編入学をとりあえず各大学の医学部で進めようということで,学士編入学を進めた経緯がございます。それもあって,毎年,医学部については,各大学の学士編入学の数を網羅的に集計をしておりますが,法学部については,今現在,そういうデータはありませんので,それもこちらで検討させていただきたいと思います。

【井上座長】
  西山委員,どうぞ。

【西山委員】
  済みません。ちょっと安易にないと思いますと答えてしまいましたが,訂正させていただきます。この前,当方と文科省でやっています連絡協議会で改めて作った資料がございまして,それで平成27年度の司法試験合格状況の中で,既修と未修,それぞれ法学部,非法学部というのを分けたデータを出しております。これは公表の資料でもございますので,改めてまたこちらに御提示することはできます。これはちなみに平成27年度について改めて調べたということです。

【井上座長】
  そうでしね。私も見たはずですが,すっかり失念していました。

【鎌田委員】
  成績まで調べたことがある。成績は,法学部出身の未修が一番悪いとか,数年前にそういうデータを出したことがあるように記憶します。

【西山委員】
  分類で出しているのは出願者,受験予定者,受験者,それで,短答式の合格者,それから最終的な合格者です。それと率について出しています。済みませんでした。

【井上座長】
  いいえ,こちらこそ失礼しました。鎌田委員,体験的にはそんな感じですか。

【鎌田委員】
  何年か前に出しましたね。

【井上座長】
  よろしいですか,それで。

【片山委員】
  やはり他学部,他研究科,それから,社会人の方々,様々なバックグラウンドを持った方々に大勢、法曹になっていただくというのが法曹養成制度改革の一つの大きな理念でありまして,それは何とか実現できる形で考えていく必要が今後ともあろうかと思っております。一つには,もう少し広く門戸を広げると同時に,やはり入学時の適性判断というのは非常に難しい。点だけでの適性判断というのは難しいと思いますので,時間を掛けて,1年ぐらいの時間を掛けながら,適性をプロセスで判断していけるという形が望ましいとは思っております。
  他方,笠井委員からも御指摘がありましたとおり,この12年間,法科大学院制度を進めてきましたが,やはり一つの大きな問題点が法学部を残しながら,法学部と併存する形で法科大学院の教育を進めてきたということがございます。その中で,未修者における教育と学部での教育との関係,重複関係といったものを,今後どう整理していくのかというのが一つの大きな課題かとも思っております。
  その意味では,ロースクールの未修者教育というものが今までの学部教育と全く同じというわけではなく,むしろ内容としては同じ点はあるかもしれないが,メソッドという点では大幅に改善が図られたということはあろうかと思いますので,今後,学部教育の方にロースクールの未修者教育におけるメソッドを広く還元していくという視点から,再度,学部教育の在り方とロースクールの在り方,その双方の関係を本格的に検討していくということが必要になってくると思っております。
  その意味では,一橋大学等でこの厳しい進級判定の様々な試みがございますが,これも共通到達度確認試験との連動ということが議論されておりますけれども,併せて既修者コースへの入学試験との連動ということも再度検討していくことが必要になってくるかと考えます。
  その意味では,やはり未修者教育,既修者教育での二つの教育の質がかなり違っているという現実を前提とした上で,再度,未修教育と学部教育の役割分担を本格的に検討していく機会を持つようにしていただければとは思っております。

【井上座長】
  ありがとうございます。どうぞ。

【上田委員】
  一つだけ質問なんですが,まさにこの一橋大学の取組が紹介されておりますが,1年次の終了時に進級試験を課しているということなんですが,山本委員にお伺いなんですが,ここはどれぐらいの通過率なんでしょうか。

【山本(和)座長代理】
  正確なデータを手元に持っていませんが,私どもの進級試験というのは,法科大学院創設当時,最初に2年か3年ぐらいやって,学生の間からは,余り評判が良くなくて,非常に大変だと。期末試験をやった後にこの進級試験をするというのは大変苦痛であるということがあって,一旦は廃止をしました。
  ただ,その後,実際に弁護士になられた,合格した人とかの意見を更に聞いてみると,実はあれが良かったと。あそこで全部をもう一度,前期の科目も含めて復習する機会があって,それで2年生になって,ある程度自信を付けて2年生に臨むことができたと。よくあることですが,修了してからいいと思ったと言う学生のパターンですけど,いろいろ意見を伺って,それで2年ぐらい前から再度復活をさせたということです。
  お尋ねの合格率というか,通過する率ですが,私の承知している限りではほとんど落ちていないと思っています。一人か二人,落ちたケースはあったかもしれませんけれども,現実には,もちろん進級試験も再試験というのがございますので。例えば去年,某民法の先生,厳しい先生がいて,最初の試験ではかなり落ちたんですけれども,しかし,再試験ではほぼ合格していたと記憶しております。実際には,余り落ちていないけれども,学生の方の気構えとしては非常に重要なものと位置付けられているというのが私の認識です。

【井上座長】
  厳しい進級判定というよりは,むしろ,学生に総括して復習する機会を与えることにより学習を促進させる,そういう働きを持っているということですか。

【山本(和)座長代理】
  私どもの位置付けとしてもそういうことでやっているという認識でいます。

【井上座長】
  先ほど皆さんからも御発言があったのですけど,一口に「未修者」と言っても,かなり多様になってきていて,大きな区分けとしては純粋未修と言われる人たちと法学部出身者がいるわけですけれども,法学部出身者も2種類あって,社会に出てかなり長く過ごし,法学部出身とはいえ,もうほとんど賞味期限を過ぎてしまっている純粋未修に近い人と,学部からそのまま進学してきた人がおり,そのいずれかによっても対応の仕方は違ってくように思いますね。
  また,片山委員がおっしゃったように,未修者教育について,各法科大学院でいろいろなメソッドを開発したり試したりして,それとして良い面があったことは確かだと思うのですが,ここのところの一連の動きを見ると,いろいろ多様な科目を履修してもらうために法律基本科目の単位数を抑えてあったのが,特に未修者の法律科目の学修が不十分だということで,その単位数を逆に増やさざるを得なくなってきた。しかし,それにも限界があるのというのが現実ですので,その面でも学部教育とのすみ分けとか,連携というものを,もう1度根本的に見直した方が良いように,私などは感じています。教育現場で未修者を担当することが多い教員の実感としてはですね。
  どうぞ磯村委員。

【磯村委員】
  今の問題と,山本委員の御発言も含めてなんですけれども,現在の未修者の修得すべき単位数というのは大体上限に来ているかなと。これ以上増やすということは,まずあり得ないのではないかと思いますが,法科大学院に共通する問題なんですけれども,事前学習の重要性ということが非常に強調される結果,毎週毎週の学生諸君の行動パターンは大体,予習が終わって後,授業を終えればそれで終わるという形で,なかなか復習に時間を取ることができないという状況にあるのではないかと思います。
  前任校で,かつて週4回授業をするという経験があったんですけれども,それは8単位の授業を学期の前半と後半に分けて担当するという方式で、教員にとっては大きな負担でしたが、そのときに,月から木曜日まで毎日,授業をして,金曜日にその週の復習をするというような機会を設けると,そのペースに合わせて学生諸君が復習できるというところがありました。進級試験も,全体の1年を通して見直すということでは非常にいい機会だと思うんですが,何より,まず毎夏の授業で1回終わったことをそこである程度積み上げていくという工夫がいろいろ必要かなというように思います。そのときに,ドイツとかフランスで実践されているのですが,教員の授業とTAの補習を組み合わせて,TAが復習の部分を担当するというような形で,単位化する必要なしに,授業の中にそういう復習プログラムを取り込むというような工夫があるいはあり得るのかなと感じています。

【井上座長】
  私が発言し過ぎて申し訳ないのですけど,私なども,復習が大事だということを学生達に常日頃強調しているのですが,それぞれの科目担当の先生がみなさん張り切って,1回,1回のアサイメントが多いため,学生の方はそれをこなしていくだけでアップアップでして,なかなか復習にまで手が回らないというのが現実です。その辺をうまくバランスを取ることが非常に大切だなと思っています。どうぞ。

【長谷部委員】
  未修者をめぐる教育効果の問題は大変複雑でありまして,各法科大学院とも教育方法など本当に工夫されていると思うのですけれども,恐らく1期,2期のときほどは,未修者が合格していないという状況だと思うのです。もちろん,教育方法を充実させる等の工夫をすることは大事ですけれど,それ以外にも経済的な問題もありまして,未修の3年と既修の2年,どちらを選ぶかということとなると,やはりできることなら既修に入りたいとなって,未修に入ってくる人が少なくなってくるということがあると思いますし,特に,社会人経験者にとってはなかなか厳しい問題があると思います。
  それから,未修者のために,例えば先ほど来お話が出ているように,課外でチューターのような教育をするということは大変よいことですが,学業に専念できない経済的事情があって,その時間を捻出できないという人もあるかと思います。そういった経済的な問題を克服できないと,いい人に法科大学院未修者コースに入ってきてもらえないということがあるかと思います。経済的な問題があるために,未修者としての入学を決断できないような人のための財政的な支援ということを考えていただければと思います。

【井上座長】
  ほかの方。どうぞ。

【上田委員】
  意見なんですが,各法科大学院とも既に未修者教育充実のための取組,このデータにも出ていますけれども,相当やっていると思います。加算取組でも,未修者の合格率などが一つの指標にもなっておりますし,死活問題としててこ入れを随分やっていると思います。それでもなかなか合格率が上がってこないというのは,私は,法科大学院教育そのものに内在している問題もあるとは思いますけれども,それよりは,やはりちょっと難しいかもしれませんが,司法試験の方をどこか根本的に変えていくほかないのではないかなと。特に今,4人受ければ3人落ちる試験になっています。あるいは5人受けると4人落ちてしまう試験になっています。そうした中で,いわゆる純粋未修と言われている人たちが3年間で法科大学院のカリキュラムを消化していけば,きっちりと受かるというようなことを司法試験の側で示していかないと,なかなか我々法科大学院教育の携わる者として,特効薬というか,そういうものを見付け出していくというのはもう既に難しい段階に来ているのではないかなとも思います。
それからもう一つ,先ほど山本委員のお話でちょっと思ったのですが,進級試験を一橋が実施している。それから,我々,もう一つ,共通到達度確認試験を導入しようとしているわけですが,この共通到達度確認試験というのは,全体として未修者のレベルを上げていくというものに資するものでなければいけないわけで,先ほどの話を伺って,未修1年次で終わった段階で行われる共通到達度確認試験がもう一度というか,復習にするための良い契機になるようなものとして実施していくということが必要なのかなと思います。
  以上です。

【井上座長】
  どうぞ。

【木村委員】
  今の上田委員のお話にも関係するんですけど,一橋の取組を拝見させていただいて非常に勉強になりました。ただ,今の進級試験の話,議論に出ていましたけれども,元々は学年末試験で本来はかるはずで,進級試験は別に行うべきでないみたいな議論がかつてあったことがあって,それでむしろ望ましくないものじゃないかと個人的には思ってしまっていたんです。ただ,先ほどの山本委員のお話で,未修生としては非常に意味があるというのがよく分かりましたので,そのことは了解いたしました。
  ただ,未修生という意味で言うと,元々到達度試験も未修のてこ入れとして話が始まったはずで,それを既修にまで広げるとか,7科目まで広げるとか,どんどん話が大きくなってきたんですけれども,来年度以降,見直しをされるということですので,そのことも含めて,今までの経緯も含めて,どこまで院生たちに負担させるのかというのは,考え直す必要があるんじゃないかなと思っております。
  以上です。

【片山委員】
  これまでも一生懸命やってきたわけですが、更に未修者の教育を充実させるということは当然議論しなければいけないとは思いますが,そもそもやはり十分に適性を判断し切れないまま未修が入ってきていて,そして,言い方は失礼かもしれませんけれども,どれだけ一生懸命教えても,適性がないために司法試験の合格にはおぼつかないという層がかなりいるということはまた確かでして,それはもちろん司法試験のハードルを下げるという議論はあるのかもしれませんが,今の司法試験のレベルを維持しつつということであるならば,やはり未修に入った人たちが方向転換をきちんとできるシステムが確立していないと,学生たちもなかなか安心して入ってこられないというところはあるのだとは思います。
  そういう意味では,今,未修で例えば進級できないまま2年頑張って,結局,ロースクールをやめてしまうということになると,未修1年勉強しましたということだけでは,学位があるわけでもありませんし,社会的に認知もされない,就職活動もうまくできないという状況になっておりますが、一応未修に当たる教育をしっかりは受けました。いろいろ適性の判断もあって司法試験,法曹の道は断念しました。しかし,そこで勉強したことが生きて,それが学位という形で結び付いて,それで就職活動もできますというような道があれば,もっと大勢の方が安心して入ってこられるのではないでしょうか
  それは例えば学部で言うと,学士入学がそうなのかもしれませんが,そういう形の方向転換の道をある程度確立しておく必要があると思います。今ですと、適性がなさそうでも,本人も自覚をしてはいても,ここでやめるわけにはいかないということで,ずるずる上まで行って,最終的に5回受けても受かりませんという方が増えるというのはいかがなものかと思います。やはりこの制度として何らかの仕組みとして作っておく必要があるのでなないかという印象を強く持っております。

【井上座長】
  どうぞ。

【笠井委員】
  全く同感です。耳にたこができるような話ではありますが,未修者を入学させながら,これほどまで入学志願者が減ったことの背景には,司法試験の合格率の著しい格差があることはこの分析のとおりでもあります。本来,理念的に言えば,質,量ともに豊かな法曹養成ということであったはずのところが,そうした結果を必ずしも招いていないということがよく分かると思います。
  法曹になるように,多様なバックグラウンドを持った方を呼び込むために,いかに法曹というのはすばらしいのかということを宣伝,アピールすることも必要だとは思いますが,それだけでは足りないことが,ここでも明らかではないかと思います。
  他方で,司法試験のレベルを下げることについての適否という問題も当然ありますし,やはり一定の質を持った法曹を生み出さなければいけないという意味で言うならば,司法試験のいわゆる難しさにこだわる議論がどうしても残るということはなかなか取っ払い切れないのではないかと思います。ですから,そのことも踏まえて法科大学院と学部の関係,それから学部の中で,法科大学院の中でも既修と未修の関係というものをもう一度,大局的な視点に立って見直していく必要があると,抽象的な意見ですが,いわせていただきます。

【井上座長】
  どうぞ。

【有信委員】
  お話,かなり専門的な話になっているんですけれども,全体としての話が今の日本の大学院そもそもの問題にもつながるようなところがあって,例えば今の日本の大学院博士課程修了者というか,Ph.D.が先進国に比べて十分に活躍していないという問題があって,ドクターコースに優秀な学生を確保しないとこれからの日本でも大問題だということが言われながら,なかなか博士課程に進学をしない。そもそも入り口のところで本当に適正な選別が行われているのかという問題がまた一方であって,博士課程で今,試みが行われているリーディングプログラムの中では,本来Ph.D.として学位論文を書くに足る資質があるかないかということを途中にクオリファイング・イグザムという試験を導入して,そこで選別をするという仕掛けを入れたんですけど,これが十分に機能しているかどうかということは,これからまた検証しなきゃいけないんですけど,ただ,そういう特別な仕掛けを作って入り口できちんと選別をすると,総体としては割合にいい学生が採れているんですね。
  今も御意見がありましたように,やはり将来的に法曹そのものの魅力がきちんと理解をされて,志望者が多くて,その中で適性の選別が行われれば確実にいい方向に回るんだけど,それが十分回っていない。
今の大学院もこれまたさんざん批判をされているわけですけれども,大学院重点化で定員を大幅に増やしたわけですね。定員を増やしたために,定員充足を文部科学省からいろいろ指導されるものだから,何でもかんでも入れてしまえ,極端なことを言うと,入り口の選別が実はかなり曖昧になってしまっているというようなところがあって,それが大学院生の質の低下を招いていてということで,悪い循環に入っている部分があるんです。
  ドクターコースの場合は,社会人とか,留学生とか,相当程度優秀な学生を積極的に入れるということで,ある程度は改善もされつつあるんですけれども,これも本来正しいやり方ではないわけです。ですから,かなり構造的に深刻な問題があるような気がしていて,少し今言ったように,高度に専門的な知識や技量が要求されるような職業に対して,もっとその重要性を日本の中できちんと位置付けていかなきゃいけないというのと,そこの部分のアピールをきちんとしていかないといけないと思うんですね。これは博士課程にしてもそうですし,法曹にしてもそうですし,今さんざん議論している,いわゆる専門職大学院の問題もそうなんですけれども,そこの部分をどう考えるか。ちょっとここでの議論だけではないんですけど,さっき言ったように,法曹の魅力をきちんと喧伝(けんでん)していくということをもっと広い立場で考えていかないと,今の日本の大学院制度そのものがかなり危ないところに来ているような気がします。

【井上座長】
  ほかに御意見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
未修者教育の在り方についての議論の再開第1回目ということでしたが,本日頂いた御意見等を踏まえまして,次回以降も議論を行いたいと思います。事務局におかれては,本日の議論を整理して,また次回に向けての資料を用意していただくようにお願いしたいと思います。
  もう一つ議題がありますけれども,先日,法曹養成制度改革連絡協議会が開催されたとのことですので,法科大学院と関係の深い事項を中心に,事務局の方から概要の報告をお願いしたいと思います。

【塩田専門職大学院室長】
  それでは,資料4でございます。まず資料4として1枚紙が議事次第でございますけれども,7月8日に第4回の連絡協議会が開催されたということでございます。これにつきまして,議題4で,法科大学院についてということで文部科学省から御紹介させていただいたのが資料4という形になります。
  既に本委員会において御説明しているデータを集めたものでございまして,平成28年度の入学者選抜の状況でございますとか定員の推移ですとか,早期卒業・飛び入学制度を活用した時間的負担の軽減の取組が進んでいるというような話。また,各ロースクールにおける奨学金の取組状況を御説明したものでございます。
  1点だけ,あと,資料4のパワーポイント資料の9ページでございます。「法科大学院教育におけるICTの活用について」というのがございますけれども,これにつきましては,2とございますように,法科大学院教育におけるICTの活用に関する調査研究協力者会議という形で,本委員会の下ということではなくて,文部科学省の局長の下に置かれる協力者会議という形で始めたものでございますけれども,これがキックオフしてございます。
  主な検討課題ということでここに書いてございますように,教育効果要件の適合性に関する一定の指針の必要性があるんじゃないかということでございまして,十分な教育効果が認められるときには,遠隔教育はいいということを言われているんですけれども,それは一体どういうものなのかというようなことについて,今後,詰めていくというような議論がされているということでございます。
  というのが,文部科学省から御説明した資料でございまして,あと,資料4の議事次第の8ぽつの法曹志望者の確保ということでございまして,やはり近年の法曹志願者の減少ということが大きな問題ではないかということで,これに つきまして,特段の資料は用意してないんですけれども,法曹養成に関わる関係者がいろいろと法曹志願者の確保についてしっかりとやっていかなきゃいけないんじゃないかというような意見交換をしたものでございます。
  法科大学院協会にも御出席いただきまして,それぞれの機関における取組状況を御説明した上で,結論といたしましては,関係機関が必要な情報共有を行いながら,各々の取組を進めるとともに,効果的な広報の在り方に関する意見交換会を行っていきたいというようなことになりまして,今後しっかりと効果的な広報のやり方についても議論していきたいと考えてございます。
  説明は以上でございます。

【井上座長】
  ありがとうございました。ただいまの御説明につきまして,御質問,あるいは御意見等ございましたら。よろしいですか。
  どうもありがとうございました。こちらの方で用意させていただいた議題は以上でございますけれども,特に何か。どうぞ。

【松下委員】
  きょうの議題にはなかった統一適性試験の在り方について一言申し上げてよろしいでしょうか。

【井上座長】
  どうぞ。

【松下委員】
  前回のこの法科大学院特別委員会で御報告申し上げた統一適性試験の在り方に関するワーキング・グループに関わった者として,一言申し上げたいことがございます。本日の法科大学院特別委員会で統一適性試験について議題から外したという御事情については冒頭事務局から御説明があり,それについては十分理解できるところなのですけれども,本日,その点について議論ができず,本特別委員会として,任意化如何について態度決定できなかったというのは,ワーキング・グループに関わった者の一人としては極めて遺憾であると思います。
  というのは,申すまでもなく,適性試験を任意化した後,各法科大学院において行う入試についてガイドラインを作成し,それに基づいて入試を行うというのが報告書の内容ですけれども,ガイドライン作成の議論の立ち上げが遅れ,結果,各法科大学院の御意見を伺いながら,よりよいガイドラインを作成するというのに時間的に大きな支障,あるいは遅滞が生じているということになるわけでございます。本特別委員会としては,次回以降議論がされるものと承知していますけれども,充実した御議論を踏まえて適正な入試が実施できるような枠組みを構築できるように,そのような形で議論が進むことを祈念しているということを一言申し上げたいと思います。
  以上です。

【井上座長】
  限られた時間的で集中して検討をお願いしたいとお願いした立場として,申し訳ないと思いますが,先ほどご説明のあったような事情がありまして,1回だけ,先延ばしにせざるを得なかったということでございます。ご理解いただければと思います。
  ほかに御意見ございますでしょうか。どうぞ。

【樫見委員】
  直接はこの会議とは関係ないのですが,先ほどの法学未修者に対する教育のところで,様々な大学からいろいろ御意見が上がっています。その中で,例えば慶應大学のところで,まだ入学前に事前の教育を実施する。そのときにちょっとお聞きすればよかったのですが,例えば事前教育を実施する。それは当然法科大学院入学前の話なんですけれども,そのことを事前教育であるとか,それから一橋における法律文書の作成の問題ですとか,こういうことは従来,認証評価のところで,一歩間違えますとやってはいけないといいますか,それと結構抵触するところがあるかと思うんですね。今回,加算のプログラムのところで,他大学のいろいろな法学未修者なり,いろいろなプログラムを拝見していて,この点は認証評価の現在の基準の下でできるのかというのをかなり考えたことがありまして,その点,どこかの機会で認証評価基準,基本的にはずっと,余りこの点は変わっていない。先ほど未修者教育の充実のために単位を広げたいということは伺っていたんですが,それ以外のところでかなり当初の評価基準と変わってきているのではないかという感じがいたします。その点は,加算プログラムとの関係もございますけれども,やはり少しその点,両者含めてきちんと検討していただきたいなと思っております。

【井上座長】
  確かに,例えば法律基本科目の時間数を増やすような実質を持つようなものであれば,抵触することになると思いますけれども,それとは多分違う趣旨のものなのでしょうね。

【樫見委員】
  はい。

【井上座長】
  その点も,ただいまの御意見をも踏まえまして,機会を見付けてまた議論をしたいと思います。
  ほかによろしいでしょうか。
  それでは,いつも次回の日程について御説明をお願いします。

【塩田専門職大学院室長】
  改めて調整ということは変わりないんですけれども,次は,9月6日に司法試験の合格発表が予定されておりますので,それを踏まえての開催ということで,9月の後半以降ということを考えています。

【井上座長】
  それでは,これで本日の会議を終了させていただきます。ありがとうございました。


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高等教育局専門教育課専門職大学院室法科大学院係

(高等教育局専門教育課専門職大学院室)