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法科大学院特別委員会(第62回) 議事録

1.日時

平成26年5月28日(水曜日) 10時30分~12時30分

2.場所

文部科学省3階東館 3F2特別会議室

3.議題

  1. 法科大学院教育の改善・充実について
  2. その他

4.出席者

委員

(臨時委員)有信睦弘、井上正仁、土井真一の各委員
(専門委員)磯村保、笠井治、樫見由美子、片山直也、鎌田薫、木村光江、椎橋隆幸、杉山忠昭、田中成明、土屋美明、長谷部由起子、日吉由美子、松下淳一、松本裕、吉崎佳弥の各委員

文部科学省

吉田高等教育局長、中岡高等教育局審議官、今泉大学設置室長、牛尾専門教育課長、今井専門職大学院室長、佐藤専門教育課課長補佐、真保専門職大学院室専門官

5.議事録

【井上座長】  
  所定の時刻ですので、第62回中央教育審議会大学分科会法科大学院特別委員会を開催いたします。
 まず、事務局から配付資料について確認をしてください。

【今井専門職大学院室長】  
  失礼いたします。
 それでは、会議資料、議事次第を御覧いただけたらと存じます。資料1は、前回第61回の議事録(案)を用意させていただいております。続きまして、資料2は、日本弁護士連合会でこのたび作成されました「弁護士になろう!!☆8人のチャレンジ☆」というパンフレットを配付させていただいております。また、資料3は、法科大学院教育と司法試験予備試験との関係について(委員意見の整理案)、続きまして、資料4は、飛び入学等を活用した法曹養成のための教育期間短縮の考え方(案)、資料5は、法科大学院における司法試験に関連する指導方法等の具体的な取扱いについて(案)、そして、資料6は、法律実務基礎教育及び法科大学院の継続教育機関としての役割の充実に関する論点(たたき台)、そして、最後に、資料7、ジョイントディグリー(JD)制度の導入についてを配付させていただいております。なお、参考資料1、2、3につきましては、その関連する資料を整理させていただいたところでございます。
 資料の説明は以上でございます。

【井上座長】  
  不足等がありましたら、お申し出ください。
 議事に入る前に2点御報告があるということでございます。まず、司法修習における導入修習について、吉崎委員からお願いします。

【吉崎委員】  
  失礼いたします。司法研修所の吉崎でございます。報告が中途半端になっておりました導入修習の関係について、現状を御報告申し上げたいと思います。12月にこの委員会で話題に上っておりました修習の冒頭段階における導入修習につきまして、その後、最高裁の司法修習委員会において議論が進められまして、かつ司法研修所の教官室などとも協議した結果、この秋に始まります第68期司法修習生から、導入修習の開始を決めたという状況でございます。
 内容につきましては、12月の段階で御説明した内容と特に変わりはございません。確認させていただきますと、修習の冒頭段階におきまして、司法研修所において集合形式で導入修習を実施するということ、その目的としましては、修習開始の段階で司法修習生に不足している実務基礎知識、能力に気付かせ、かつより効果的、効率的な分野別実務修習が円滑に行われるようにということ、また、期間としましては、前後の移動期間を含めまして約1か月にわたって行うということ、以上の点でございます。
 そして、この15日間のカリキュラムにつきましても、詳細について随分検討が進んでおります。その点についてこの場で御報告するのは割愛させていただきますが、内容としましては、各科目の起案を1件行うこと、それについての講評を行うこと、そのほかに、民事系、刑事系の教官が一堂に会しまして、教壇に並び、コラボレーションで講義、講評を行って、その後の実務修習に向けての学修の方向性を示すカリキュラム、さらには、現状において、法科大学院教育で受けた実務基礎教育について忘れ去っているところ、あるいは勉強が足りなかったということに気付かせた上で、実務修習に臨ませるといったことを企図したカリキュラムを予定しているという状況でございます。
 私からの報告は以上でございます。ありがとうございました。

【井上座長】  
  ありがとうございました。
 次に、日本弁護士連合会から、「弁護士になろう!!☆8人のチャレンジ☆」というパンフレットが配付されておりますので、これは事務局から御説明をお願いします。

【今井専門職大学院室長】  
  それでは、事務局より御説明させていただきます。
 こちらのパンフレットにつきましては、このたび、日本弁護士連合会におかれまして、「弁護士になろう!!☆8人のチャレンジ☆」と題した、これから弁護士を目指す、そういった学生に対しての広報用ということで、今回作成されたものと伺っております。内容につきましては、表紙を1枚おめくりいただいたところにもございますように、弁護士の職務の御説明とともに、真ん中でございますが、それぞれ法科大学院で学び、修了して弁護士になられた方々、若手の弁護士の方々の御紹介が出ております。その中では、法科大学院で学ぶということ、また、今の仕事を選んだこと、仕事の魅力、そういった学生に対してのメッセージを8人について、整理されているということであります。また、弁護士になるための学びのポイントとして、一番後ろのページに、法科大学院に入学して学んでいくといったことが書かれているパンフレットということでございました。日本弁護士連合会におかれましては、このパンフレットを学生の方に配って、普及啓発に努めていかれたいということでございました。
 簡単ではございますが、御報告をさせていただきます。

【井上座長】  
  どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明について、もし何か御質問等がございましたら、御発言ください。
 どなたからも御発言がないようですので、議事に入りたいと思います。
 今後検討すべき法科大学院教育の改善・充実に向けた基本的な方向性等に基づき、更に検討を深めるべき事項として、本日は、前回に引き続きまして、3点、一つ目は、法科大学院と予備試験との関係、二つ目は、飛び入学等を活用した法曹養成のための教育期間の短縮、三つ目は、法科大学院における司法試験に関連する指導方法等でございますけれども、これらを取り上げるとともに、昨年12月に一度御議論いただきましたが、四つ目として、法律実務基礎教育及び法科大学院の継続教育機関としての役割の充実についても、改めて取り上げたいと思います。
 各事項について、これまでに委員の皆様から頂いた御意見等を踏まえ、事務局の方で修正してくださった資料をお配りしておりますので、これについての説明を伺った上で、意見交換を行いたいと考えております。
 まず、一つ目の法科大学院と予備試験との関係についてでございますけれども、事務局から資料の説明をお願いします。

【今井専門職大学院室長】  
  失礼いたします。それでは、資料3に基づいて御説明させていただきたいと存じます。
 法科大学院教育と司法試験予備試験との関係についてでございます。前回この資料を配付させていただきまして、極めて多くの御意見を頂いたところでございました。先生方から頂きました意見を、今回標題にも書かせていただいておりますように、(委員意見の整理案)という形で、事務局でたたき台を用意させていただきましたので、そういった観点で本日御議論いただけたらと存じます。なお、未定稿ではございますが、資料1に、前回第61回の会議の議事録もございます。ページ数は16ページから28ページがその該当箇所でございますので、適宜御参照いただきながら、御議論いただけたらと存じます。
 それでは、前回からの変更点について御説明いたしますが、1ページ目は大きな変更はございません。ポイントといたしましては、一番下の行のところで、「法科大学院教育の観点から、予備試験の在り方について検討を深めることが必要である。」ということで、字句の修正をさせていただいたところでございます。
 1枚おめくりいただきまして、2ページ目以降を御覧いただけたらと存じます。前回御議論いただきました資料は、検討の視点ということで整理させていただいておりましたが、委員の方々から活発な御意見を頂きましたので、2番につきましては、まず、その際の基本的な考え方を整理させていただいた上で、それぞれ(1)、(2)、(3)の論点について、頂いた御意見を整理させていただいたという構成にしております。まずはその基本的な考え方、丸五つについて御説明したいと存じます。
 まず、一つ目の白丸、二つ目の白丸は、司法制度改革の理念に基づきまして、法科大学院が、プロセスとしての法曹養成の中核的な教育機関として機能するため、まずは、法科大学院における日々の教育の向上、また、組織見直しといった抜本的な取組を進めることがまず急務であろうということを明記させていただいております。その中には、例えば二つ目の白丸にございますように、共通到達度確認試験(仮称)の導入などを含めて大胆な改革に取り組むことが不可欠であるということを確認しております。そういった法科大学院で取り組むべきことを二つ明記し、それを前提とした上で、点による選抜からプロセスとしての法曹養成へという司法制度改革の当初の理念に立ち返って、法科大学院と予備試験との関係について、制度創設時の経緯とともに、実際に運用され始めてからの現状分析を踏まえた検討が必要ではないかということで、三つ目の白丸を書かせていただいています。
 その検討といたしまして、四つ目、五つ目の白丸でございます。前回の御議論の中でも、予備試験の改革以外でも手当てできるような取組もあるのではないかという御指摘もございましたが、まずは、予備試験の在り方についての制度的な検討や、運用上、御検討いただけることがあるのではないかということを整理させていただいて、(1)、(2)、(3)につなげさせていただく構造にしているところでございます。
 続きまして、その(1)、(2)、(3)についての御説明でございます。まず、(1)は2ページ目の下段からでございますが、プロセスとしての法曹養成における予備試験の位置付けについてであります。ここは大きく二つ整理をさせていただきました。一つ目の黒ぽつは、法科大学院につきまして、大学院レベルの正規の教育課程を通じて、法曹関係者も参加して将来の法曹を育てる仕組みとして機能させるためには、試験を通じて能力判定を行う予備試験との関係やその在り方について検討していくことが望ましいのではないかということで、整理をさせていただいております。
 また、二つ目の黒ぽつでございますが、その予備試験の合格者数の増加につきましては、これまで実績を上げている法科大学院を中心に影響が出ておりまして、現在、法科大学院の改革が進捗するさなかに、このまま増加し続けることについては懸念があることから、制度的な見直しの検討とは別に、当面の試験の在り方についても検討していただくことが望ましいのではないかということで整理をさせていただいております。
 続きまして、(2)でございます。法科大学院教育と予備試験の内容等についてでございます。ここは二つの論点整理をさせていただいておりまして、一つ目は、法科大学院教育の科目等との関係でございますが、法科大学院教育につきましては、そもそも司法試験で課されている科目以外にも、模擬裁判等の法律実務基礎科目、政治経済といった隣接科目、外国法、先端的な法律科目といった幅広い学修をしているということとの関係で、予備試験の試験科目について検討していくことが望ましいのではないかということで整理をさせていただいております。
 また、二つ目につきましては、その法科大学院を経て法曹を目指す方の学修の経緯でございますが、そもそも学部教育を前提に適性試験を受けて入学し、3年間の教育課程の中でGPAなどの厳格な進級判定や修了認定が行われている。その一方で、予備試験では基本的な法律科目を中心とした科目に関する試験によって判定されていることが「同等」とされていることについて検討していくことが望ましいのではないかということで整理をさせていただいております。
 そして、(3)でございますが、法科大学院教育に与える影響についてでございます。予備試験の受験者及び合格者の中に、学部在学生や法科大学院在学生といった本来プロセス養成を経て法曹を目指すことが期待されている層が大きな割合を占めていることについて学部教育や法科大学院教育に与える影響、また、予備試験の受験資格も含めて、その在り方を検討していくことが望ましいのではないかということで、整理をさせていただいたところでございます。
 資料の説明は以上でございます。御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。

【井上座長】  
  それでは、ただいまの説明を踏まえまして、御意見、あるいは御質問等がございましたら、どなたからでも御発言をお願いします。

【松本委員】  
  1点よろしいですか。

【井上座長】  
  どうぞ。

【松本委員】  
  基本的な考え方の2ページの一番下のところで、予備試験の合格者数の増加の点で、「当面の試験の在り方についても検討」というのは、これは試験の中身、内容についてということでしょうか。それとも、予備試験の合格者数の、今、増加していっておりますけれども、その合格者数について検討が必要だということでしょうか。

【今井専門職大学院室長】  
  失礼いたしました。今の御質問でございますが、ここはその一つ目の黒ぽつと二つ目の黒ぽつに分けて整理させていただいておりますので、二つ目の黒ぽつは、正に合格者数の増加に対しての懸念として、前回御指摘を頂いたものを整理したつもりでございました。ですから、ここの「当面の試験の在り方」というのは、制度的なものではなくて、正に運用上の合格者数についてのことでございましたので、疑義があれば修正をさせていただきたいと存じます。

【松本委員】  
  よろしいでしょうか。

【井上座長】  
  どうぞ。

【松本委員】  
  ありがとうございます。予備試験が資格試験だと言っておきながらなのですけれども、予備試験の合格者数の増加というところが、やはりプロセスの中核であるロースクールに与える影響というのは無視できないのではないのかなと思っておりますので、もし問題意識というものが共有化できるのであれば、その点は明確に指摘をしていただければと思っております。
 以上でございます。

【井上座長】  
  ほかの方はいかがでしょうか。

【片山委員】  
  今、御指摘いただいた点ですけれども、私も、前々回、前回と予備試験合格者数が2倍、あるいは1.5倍に増えてきていることの持つメッセージ性が非常に大きいと考えます。やはり予備試験があくまでも法科大学院でのプロセスとしての法曹養成制度での教育が受けられない環境にある者に対する特例措置、例外であるという点を重く見て、当面の試験の在り方について検討することが望ましいとされる中身として、合格者数の増加の問題、すなわち合格者数についての検討が含意されているという点を確認できればと存じます。

【井上座長】  
  今の点、現行の司法試験制度の建前との関係で微妙な問題を含むところがありますけれども、例えば合格最低ラインとか、そういうものは発表されているわけですので、そういうものを見る限り、下がっているのではないかと思います。そういった点を含め運用の在り方について慎重な検討が必要だと、そういう趣旨であるならば制度の建前とも整合するかと思いますから、そういったところの表現ぶりは検討させていただきたいと思います。

【鎌田委員】  
  松本委員の御質問は、この2ページの五つ目の白丸でしょうか。

【松本委員】  
  一番下でございます。

【鎌田委員】  
  一番下ですか。はい、分かりました。五つ目の白丸の「予備試験の運用の見直し」ということの内容は、今のこの一番下の合格者数をどうするかというのが一つの内容ですけれども、もう一つ、3ページ目の(2)の上では、予備試験の試験科目について検討していくということがあります。これは、制度的な改正なのですが、私は、今の制度の中でもやはり出題方法とか、何を試験で問うのかというのは、今は司法試験とほぼ同じコンセプトでの試験をやっているのだけれども、やはり予備試験はもっと、例えば時間をかけて1科目についてじっくりと検討させるとか、法科大学院教育と、もう少し連続性を持ったような試験の出題、採点の方法に改めるというようなことも考えるべきではないかと思っております。私は、今の2ぽつの五つ目の丸の中にそれは読み込めると思っているので、あえて文章の修正まではお願いはしませんけれども、そういうことも重要だろうというふうに考えております。

【松下委員】  
  同じく2ページの下の方の(1)の一つ目の黒ぽつですが、少々文章の意味をとりかねているのですけれども、飛ばし飛ばし読めば、法科大学院をしかるべき仕組みとして機能させるためには、試験を通じて能力判定を行う予備試験との関係やその在り方について検討をしていくことが望ましいと、こうなろうかと思うのですが、これは予備試験との関係というのは、法科大学院教育と予備試験との関係、在り方について検討ということでしょうか。何を検討するのか、必ずしもはっきりしないような印象を受けるのですが、どういう御趣旨なのか、もう少し御説明いただけると有り難いです。

【井上座長】  
 (1)の最初のぽつですね。

【松下委員】  
  はい。

【今井専門職大学院室長】  
  失礼いたします。頂いた御意見を事務局でまとめたときに、少しまとめ過ぎている感があるのかもしれないのですが、私どもとして書かせていただきましたのは、法科大学院というものを中核的な教育機関としたプロセス養成において、ここで対比をさせていくべきだったのは、委員の御指摘の中でもありましたように、大学院レベルでの教育課程を通じて育てるということ、これがやはり前提なのだろうと。それを機能させるために予備試験の方の在り方、つまり、教育課程とは別に試験を通じて能力判定を行っている予備試験との関係、その在り方をある意味総括的にきちっと検討していくべきではないかという御意見があったものを書き下ろしたところでございまして、どういう方向かというところは、確かにこの中では書かれてはいないのですが、教育課程と試験との関係でどうなのかという御議論を前回多数頂いておりましたので、それを明記させていただいて、本日御議論いただければと思って出させていただいた次第でございます。

【松下委員】  
  そうすると、司法試験の受験資格を得られるという点では同等である法科大学院の修了資格と予備試験の合格、これはイコールフッティングであるべきで、法科大学院というのは大学院レベルの正規の教育課程なのだから、予備試験の能力判定もそれに相当するものであるべきだと、そういう含意というふうに理解してよろしいですか。そこまで強い意見ではない。もうふんわりした話なのでしょうか。

【今井専門職大学院室長】  
  事務局で最初にたたき台を作らせていただいた意図といたしましては、現在の制度は当然現在の制度として前提にしなければいけないと思っておりますので、そういった意味では、今の司法試験法に基づいて、法科大学院の修了生に受験資格が与えられているのと同じように、予備試験についてもその同等性を認めた上で、その試験に合格された方には、司法試験の受験資格が与えられているというものでございます。ただ、そういった仕組みが今、実際に運用されていく中で、この特別委員会の中でも、実際に運用してみたところで、やはり大きな問題があるのではないか、課題があるのではないかという御指摘があったことを、ある意味、どうここで取り上げていくのかというので、こういう資料を整理させていただいたというところでございます。
 悩ましいと思っておりますのは、当然予備試験というのは、司法試験法体系の中での制度でございますので、法科大学院教育の観点からどういうふうにそういったところについて、この特別委員会で御議論いただくのかというのは、正に皆様委員の先生に御議論いただければと思っているところでございます。

【井上座長】  
  そうですね。この(1)の最初のぽつと、その次の(2)の内容の関係が少々不分明かなという感じがしますね。法科大学院における教育内容について、(2)の二つのぽつで書いているのですけれども、これと(1)の最初の丸ぽつとの関係ですね。その辺についても含めて御議論いただければと思います。どうぞ、笠井委員。

【笠井委員】  
  今、出ました議論と大分重なるところもありますが、例えば3ページの(2)の法科大学院教育と予備試験の内容等についてという項目です。法科大学院教育の側(がわ)から見た予備試験の内容等といった場合に、黒ぽつが二つある、試験科目の問題等があります。それは当然に予備試験の試験問題の内容だけではなくて、制度的な問題も視野に入ってくると考えられます。2ページの基本的な考え方の白丸の最後につき、先ほど事務局の御説明があり、当面の予備試験の運用の見直しによる対応策を、委員会の議論のたたき台として提案されたわけですが、もう少し広げて、その上にある制度的な抜本的な対応策ということについても是非とも議論すべきではないかと思います。
 先ほどの法科大学院教育と予備試験の内容の(2)のところですが、予備試験通過者で本試験に合格した方たちの意見等を聞くと、法律実務基礎科目について非常にいい教科書があるというのです。自分たちは、その教科書を学んですぐに予備試験を通り、それから、本試験にも通ったと言っています。つまり、実務基礎科目と言いながら、座学で十分に試験通過が可能であることを意味しているのだろうと思うのですね。単に読むだけの教材・テキストが、法科大学院教育における模擬裁判やリーガルクリニック等の、シミュレーションも含むような臨床系の科目に代替することは、本当はないはずなのですが、予備試験は座学で容易に通過できるものになってしまっているのではないか。それは予備試験に出題される問題の内容だけではなくて、本質的には、制度的に視野を置いて議論すべき問題ではないかなと思いました。

【井上座長】  
  ありがとうございました。さっき鎌田委員が言われた基本科目についても、それと別の話ではない。クリニックとか、臨床系科目だけではなくて、法律基本科目についてもやはり差があるわけで、それを試験だけで測れば済むということではないのだろうと思うのですね。

【木村委員】  
  よろしいでしょうか。

【井上座長】  
  どうぞ、木村委員。

【木村委員】  
  ちょっと一つ前の議論に戻ってしまうかもしれないのですけれども、(1)のプロセスの話の一つ目のぽつのところで、これ、必ずしもなくてもいいかもしれないというようなお話、先ほどあったのですが、教育機関である法科大学院を経ているか、経ていないかというのは、やはり決定的に重要だということを示す意味では残しておく必要があるのではないかなと思いました。

【井上座長】  
  この趣旨をもう少し明確にしてですね、(2)とのすみ分けみたいなものをきちっとした方がいいと思うんですね。ほかの方、いかがでしょうか。
 どうぞ、有信さん。

【有信委員】 
 予備試験の内容が具体的にどういうものかというのは詳しく分かりませんが、基本的な問題は、大学院における特定の目的を持った教育訓練が十分に身に付いているかどうかということも、いわば試験で見られるわけですけれども、それと、いわゆる予備試験による1回の試験が同等であるかどうかということで、ここの議論は、実は、その次の予備試験の内容の議論にもみんなかかってきているのだと思います。現実に言うと、2年ないし3年の教育訓練、笠井委員もおっしゃいましたけれども、臨床的なことも含めた教育訓練が、一度の試験で測れるために、一度の試験と同等であることを保証するためには、その試験の内容を十分に詰めなければいけない。もしもそれができないのであれば、その試験はもうやめてしまうしかないというのが一番極端な意見だと思うのですけれども、やはり法曹というのは極めて重要な専門的な職業人でありますので、その準備をするのに、本当に1回の試験だけで済ませられるかということの内容をかなりここには踏み込んで書かれてあるので、もう少しきちんと分かりやすく整理すればいいと思います。

【井上座長】  
 ほかの方、どうぞ、日吉委員。

【日吉委員】  
  今まで出た意見と重なるところもあるし、また、新しいところもあろうかと思いますが、この(1)の「プロセスとしての法曹養成における予備試験の位置付けについて」というタイトルなのですが、恐らく「プロセスとしての」というのを付けてしまうと、予備試験はプロセスではないわけです。現時点の予備試験はプロセスではないわけですから、明らかに例外的な措置というニュアンスで打ち出していくということになろうかと思います。しかし、ここで位置付けを語るのは、我が国のプロセスによる教育をうたう中核的な教育機関である法科大学院制度と、プロセスではない、1回の試験で判定する予備試験という二つの仕組みで成り立っている一つの法曹養成制度の中の法科大学院制度と予備試験制度の関係といいますか、位置付けをきちんとここで整理をするということなのではないかというふうに、私が読んだときは思いました。
 その点におきましては、私の理解では、我が国の法曹養成制度における、法科大学院制度と予備試験制度というのは、いい意味での補完関係というものが必要であって、究極的には有意な、我が国にとって必要なインフラ、社会的インフラである法曹養成をできるだけいろんな人にチャンスを与えて、間口を広げて救い上げていくという制度にするために、法科大学院と予備試験という二本立てになっているということではないかと思いますので、今、問題としてやや顕在化しているあたかも競い合うような、あるいはもっと誤解を恐れずに言えば、法科大学院制度が、法科大学院の教育システムが予備試験制度によって何か食われているような、そういう形になってしまっているという問題点の認識がここでやはり少し出るということが重要ではないかというふうに感じました。
 それと、もう1点なのですが、3ページの(2)の予備試験の試験科目についてというもの、これはもちろんタイトルが「内容等について」となっておりますので、予備試験の内容がどうあるべきかということがここの資料テーマかと思いますが、試験では、もちろん科目の数だとか、あるいはそれぞれの科目での問いの設定方法だとか、そういうことももちろん含まれるでしょうけれども、もっと根本的な制度を見直すという観点からは、この予備試験制度というのも、本当に一過性、1回の試験でなければ本当にいけないのか。それとも、例えばある程度試験になじむ科目については、試験をしておいて、例えばですけども、そこで1回絞った人間をリーガルクリニックだとか、模擬裁判だとか、試験では問えないような教育を更に受けてもらうために、その限られた人数の、1回合格した段階の人間を、予備試験の人間を、例えば法科大学院の教育に短い期間入ってもらって、受けてもらって、その部分に関しては、例えば奨学金などで手当てをする。例えばですが、そういうふうなことだって考えられるということからすれば、もう少し幅の広い記載の仕方、いろんなことが考えられるというような、抜本的な制度改革という観点からの打ち出し方にしておいた方がいいのではないかというふうに感じました。
 以上です。

【井上座長】  
  ほかの方、いかがでしょうか。

【片山委員】  
  すみません。今の日吉委員の御提案なのですけれども、誤解があればお許しいただきたいのですが、一方では反対、一方では賛成させていただきます。まずは、予備試験制度の位置付けです。今の日吉委員の御説明によりますと、基本的にはロースクール制度と予備試験制度が対等な制度であって、共に法曹養成の中で二本立ての制度として相互に補完し合うという御見解でしたが、それは少なくとも私の理解とは若干違っておりまして、私の理解からしますと、ロースクール制度は、プロセスとしての法曹養成制度が基本にあって、あくまでもそれが一本立てだということです。ただ、その制度に乗っかれない方がいらっしゃるので、予備試験制度はその方々のための例外的な制度として位置付けられているという認識は明確にしておく必要があると思います。その点から、敢(あ)えて反対させていただきます。
 他方、賛成の点です。やはり予備試験で1回の試験だけで十分に測定できない部分があるならば、例えばロースクールの科目をその後で履修させる等の御提案がありましたが、この点は賛成です。ロースクールもCLEとして、既に法曹として活躍されている方々を対象に更に専門性を高めるという趣旨での継続的な教育を行うことが、これからの必要な任務だとされています。予備試験合格者の方についても、そのようなロースクールの継続教育であるとか、あるいはOJTの中で不十分な点を補えるような教育システムをきちんとフォローすることを考えていくべきではないかと思っている次第です。その点は大賛成ということでございます。

【日吉委員】 
 すみません。私の説明の仕方が不十分であれば訂正いたしますが、補完的と申し上げましたのは、対等という意味では必ずしもないのですけれども、法科大学院に、例えば経済的理由で行けないけれども、優秀な人材だとか、あるいはそこまで時間を掛けなくもいいのではないかと思われる人にもう少し簡易な道をというような、実務経験のある方というような、もう一つの道を準備するという意味で互いに補完し合うということで、50対50という人数でいいとか、そういうふうな意見ではございません。あくまでもプロセスとして法科大学院の、私も教育を受けた人間ですけれども、その正規の教育をきちっとした上で、それを主軸に据えるということは揺るがない、そういう位置付けで結構かと思います。

【井上座長】
 相互にというところの趣旨ですけれども、メインのコースに何らかの事情で乗れない人たちに拡(ひろ)げるという意味での補完という趣旨であるように私などは受け取りました。

【日吉委員】  
  はい。

【井上座長】  
  松本委員、何か。

【松本委員】  
  すいません。予備試験の合格者の数と関連するところでございますが、前回規制改革の閣議決定についてお尋ねをして、議事録の案でいいますと、25ページから26ページにかけて、土井先生とか、片山先生とか、磯村先生が問題意識を述べられたという経緯がございます。法曹養成制度改革顧問会議におきましても、この点について顧問から問題意識が表明されているという状況にございます。現にその規制改革推進会議の閣議決定、均衡を図るという閣議決定が存在する以上、それについての問題意識というところをこの中に織り込んでいただければと思います。
 以上でございます。

【土屋委員】  
  私も、今の松本さんの意見と同等でありまして、やっぱりあの閣議決定がネックになってしまっているのですね。均衡を図るというような大枠が定まってしまっているために、その枠の中で動かざるを得ないのが今の予備試験の現状ということだと思いますので、前回、私、司法試験委員会の委員もしている関係もあって、発言は差し控えましたけど、実はそれが今のにっちもさっちもいかない状況の根っこだと私自身は思っております。予備試験を制度的に根本的に改革するためには、その閣議決定のところから考え直す。均衡を図るという考え方が正しいと私は思っておりませんので、そこから考え直す必要があるということをやはりここで書いておきたい、そういう気持ちであります。
 以上です。

【井上座長】  
  それでは、樫見委員。

【樫見委員】  
  まず、(1)の点ですけれども、ここに書かれてあることを私流に理解すれば、やはり司法制度改革の結果、国が求める法曹というのは、いわゆる旧司法試験のように、試験一本で合格するような人材が法曹になるのではなくて、しかるべき期間、教育機関で教育を受け、そこには法律、知識だけではなくって、様々な科目、(2)で書かれてあるような教養なり、あるいは幅広い知識を備えた様々なバックグラウンドを持った方がなるものだと。だから、それがまず原則的な法曹養成の筋道であるということを、その(1)でまずうたっていただきたいということ。その上で、予備試験の場合には、これは発足のところで、法曹になるのにそういった教育機関を経由することが経済上非常に困難であるという方に対しても、やはりチャンスを与えるという趣旨で設けられたものであるという位置付けは大事であろうかと思います。閣議決定の点は少々置いておきまして。それが第1点です。
 それから、(2)の点ですが、法科大学院教育と予備試験の内容等について、その「等」のところなのですが、ここでは法曹が備えるべき知識として必要な科目のことですとか、あるいは司法試験の内容について少し踏み込んでいるのですが、できれば、予備試験の受験者の資格についても、この委員会が果たして言えるのかどうかという点があるのですが、原則が法科大学院の教育というので、なぜ予備試験に道を開いているのか。やはり経済的な困難というのがあるのであれば、現在のその法科大学院を受けている学生であるとか、あるいは非常に年少者で受けるというのは、本来の予備試験の在り方からしてやはりおかしいのではないかと。ですから、この委員会として言えるのかどうかという、その役割のところがあるかとは思いますが、単なる試験の内容だけではなくて、やはり資格の点にも何らかの形で言及をしていただきたいというのが第2点です。

【井上座長】  
 お気付きだと思うんですが、全体としてこの文章は、検討していくことが望ましいのではないかというふうな調子になっていますが、それは、本委員会の所掌範囲がどこまでも及び、したがって、どこまでのことが言えるのかという点での苦慮を表したものでありまして、最終的にこういう文章でよいのかどうかということをも含めて、検討しないといけないと思うのですけれども、今、出された御意見についても、どこまで取り上げるべきなのか、あるいは何らかの表現の工夫という形で反映させるべきなのか、そういった点についても検討させていただきたいと思います。
 では、土屋委員。

【土屋委員】  
 基本的な考え方の丸の四つ目ですけど、2段目に、「例えば、奨学金制度の充実など」というふうにくくられております。その部分に、私は、授業料免除も入れてほしいと思うのです。これまでこの委員会で何度も授業料免除の意味合いが大きいと、経済的に苦しい学生にとってはその枠を広げる必要があるということを何度も言っておりますので、前回は改めて言わなかったのですが、それを入れてほしいと思っております。
 というのは、法科大学院への進学をためらう理由として、やはり学費負担の大きさがあるわけですね。奨学金の拡充というのはいいですけれども、これはいずれ返さなきゃならない借金でもありますね。ところが、給付型の授業料免除であれば、これは返済しないで済みます。そうすると、経済的な負担の重さとしては格段に違うわけですね。私、学生時代に授業料免除を受けた経験がありますので、その立場から言うと、受ける側(がわ)からしましたら、奨学金の拡充というのと授業料免除枠の拡充というのは意味が違います。そこが広がっていけば、法科大学院に進んでしっかり勉強しようという学生も増えてくるのだろうと思います。法科大学院の魅力を増すことになるだろうと思うのですね。このあたりは予算措置が必要な話ですが、1人の学生で100万円ぐらいと見れば、どの程度の予算が取れるか悩ましいところではあるかもしれませんが、私の希望を言わせていただければ、1億円ぐらいの予算を取って、毎年100人ぐらい授業料免除だけでも新たに法科大学院で抱え込む、そのぐらいの大胆なことをやってもいいのではないかと思っておりますので、是非ここのところは授業料免除も入れてほしいと思います。
 以上です。

【井上座長】  
 土井委員。

【土井委員】  
 私は、その2ページの基本的な考え方の五つ目の丸について意見を述べさせていただきます。私自身は、制度的な対応、抜本的な対応策を検討していくことが重要だと思っております。受験資格の問題、あるいは試験科目、出題の在り方の問題等々検討をすべきだろうと思います。受験資格については、3ページの方にも書かれていますけれど、学部教育、あるいは法科大学院教育などの教育段階と、予備試験をどのように関連付けていくのかという問題を含んでいますので、正にプロセスとしての法曹養成の在り方と予備試験との関係に関する問題ですから、しっかり検討する必要があると思います。
 それから、科目出題の在り方は、予備試験の基本な位置付けに関わるもので、予備試験の科目出題をどうするかで、基本的には法科大学院を経ない人たちに対して、何を学んでもらうかということを決めることになると思います。原則として法科大学院と同等の学識等を身に付けてくれと言っている以上、法科大学院での教育と密接に関連付けて、科目、あるいは出題の在り方を検討していただくということが筋なのだろうと思っております。
 ただ、予備試験の実施回数の問題もありますし、予備試験を受けて司法試験を受験している回数の問題もありますので、今後、その受験生、あるいは学生の動向がどうなるのかということもしっかり確認しないといけません。それから、法科大学院修了者と同等の能力ということを考えるにしても、法科大学院教育の改善が今、進んでいる中ですから、それが一定の成果を出した段階でしっかり考える必要があると思います。また、別に共通到達度確認試験等々もここで審議することになると思いますので、その内容、在り方等とも関連してくると思います。さらに、受験資格の制限については、技術的な問題もございましょうし、受験者への影響というのもあるだろうということは、現実問題として考えないといけないということになると思います。
 そこで、この種の問題について、できる、できない、このやり方だったらできる、このやり方だったらできないということを拙速に決めてやるという話でもないと言われれば、そのとおりだろうと思います。しっかり議論しないといけませんし、試験をそうころころ変えるわけにはいかないわけですから、きちっとやる必要がある。そうすると、できるできないということを拙速に決めるのではなくて、しっかり議論をしないといけないということを前提にすると、まずは運用の方をどうするのかという問題が出てくる。そこをしっかり見極めてやってほしいということだと思いますので、この点を明確にした上で、我々としても、予備試験の在り方は、法科大学院教育との関連になるわけですから、じっくり議論させていただいて、方向性を出していくべきだと思います。
 以上です。

【井上座長】  
 どうぞ、椎橋委員。

【椎橋委員】  
 ニュアンスの問題というか、読まれ方の問題なのかなと思うのですけど、整理案において、基本的な考え方としては、あくまでもプロセスとしての法曹養成、そのための継続的・体系的教育ということが基本であり、予備試験はその例外だということは出ていますし、他方で、現実に予備試験というものがあり、問題が多く指摘されているわけですから、それについても制度的な見直しを含めて考えていかなければいけないということは、当然かつ正当な指摘だと思います。ただ、そのときに抜本的な対応か、当面の運用の見直しかということについて、この当面の見直しということが、どういう検討のされ方をしていくのか。全体を見ると、基本を踏まえた上で運用の在り方を考えるべきだということはよく分かるのですけれども、突き詰めて言うと、本当にプロセスとしての教育と予備試験というのが両立し得るのかどうかということは、すごく難しいところがありますので、例えば予備試験がロースクール卒業生と同等に見られるかというところをかなり中心に考えると、もっと試験科目数を多くすればいいのではないかとか、後で研修を受ければいいのではないかというようなことになって、万一、予備試験が結果的に温存される方向での議論が強くなっていくというようなことになると、それは本来の予備試験を設けた趣旨とは違うので、そこで議論されていたのは、あくまでも経済的な事情から法科大学院に進学できなかった者や、相当な社会人の経験がある者について、法曹への道を閉ざしてはいけないということがあった訳です。法曹養成の中核的機関は法科大学院で、そこではプロセスとしての法曹養成、そのための継続的・体系的な教育というのがあるので、そういうことから考えると、予備試験は、例外というよりも、むしろ例外の例外というようなニュアンスというか、読まれ方をするというか、そのぐらいのより強い線が出せるといいと思いました。感覚的なものかもしれませんけれども、そんな感じがいたしました。

【井上座長】  
 ありがとうございます。
 そろそろ次に移りたいと思いますので、長谷部委員が最後ということにさせていただいて、よろしいですか。

【長谷部委員】  
 恐れ入ります、貴重なお時間を頂きまして。
 私も、今、椎橋委員がおっしゃったことと同感でありまして、法科大学院教育が予備試験と同等であるということ、本当に同等なのかということについて疑問を感じております。3ページの(2)のところには、法科大学院教育について、科目を幅広く学修していること、法科大学院生が適性試験を受けていること、GPA等に基づく厳格な進級判定や修了認定が行われていることが指摘されています。予備試験との違いとしては、これらのことももちろん大事であると思うのですけれど、もう一つとても大事なことは、プロセスとしての法科大学院教育の中で、例えば法曹として身に付けるべきコミュニケーション能力であるとか、あるいは依頼者、紛争に関わって悩んでいる人たちに対してどういうふうに接したらいいかとか、そういった職業人としてのエチケットといいましょうか、あるいはプロフェッションとしてやっていく上で非常に重要な能力、資質を磨くということもしているわけで、その点は予備試験とは決定的に異なるのではないか、予備試験の科目を増やすとか、合格者に研修を課すというだけで果たして代替できるのかと思えるわけです。そのあたりの御指摘もしていただければよいのではないかと思った次第です。
 以上です。

【井上座長】  
 ありがとうございました。これで、この話題についての議論は終わりというわけではありませんので、本日の段階ではこれぐらいにさせていただき、また、頂いた御意見をも含めて、全体をブラッシュアップしていきたいと思っております。
 続きまして、二つ目の話題である、飛び入学等を活用した法曹養成のための教育期間短縮の問題につき、まず、事務局から資料の説明をお願いしたいと思います。

【今井専門職大学院室長】  
 失礼いたします。それでは、資料4に基づいて御説明させていただきたいと存じます。
 資料4、飛び入学等を活用した法曹養成のための教育期間短縮の考え方(案)でございます。前回この資料を御説明させていただきまして、委員の先生方から幾つか御指摘を頂いておりますので、その修正点について御説明させていただきたいと存じます。
 まず、1ページ目の1ぽつにつきましては、御意見としてではないのですが、四つ目の白丸の最後の言い方について、語尾の修正をしています。「対応してはどうか」というところがございましたが、「積極的に対応することとする」と修正させていただいたところであります。
 続きまして、2ページ目でございますが、3ぽつ、飛び入学や早期卒業を活用した教育期間短縮の考え方としておりまして、一つ目の白丸、先ほどと同じ文言の修正をした上で、二つ目の白丸でございますが、ここでは委員の先生方の御指摘いただいた、その早期卒業と飛び入学の考え方の違いをきちっと明記して整理すべきではないかという御指摘がございましたので、ここでは、まず、早期卒業については、基本的に通常の学部卒業生と同様の方法で既修認定を行うことが可能と考えられるが、飛び入学については、学部を卒業するために必要となる単位を全て修得しているわけではなく、そして、入学資格の認定は法科大学院が行うということから、各法科大学院において入学者の質の確保を図ることがより重要となるということを明記させていただきました。特に、通常の学部生と同様の方法で既修者認定を実施するのかどうかということについては、各法科大学院において判断することとなるが、下記に掲げる事項に留意しつつ、質保証、質の確保を適切に図ることが重要であるということで、この二つ目の白丸を修正させていただいたところでございます。
 そして、3ページ目でございますが、最後の白丸でございます。この点についても、若干御指摘を頂いておりまして、その分野を更に明らかにするためでございますが、2行目以降におきまして、法曹に必要な資質として求められる豊かな人間性や幅広い教養、人間・社会に対する深い洞察力等を養う観点から、学部段階で期待されている教養教育がおろそかになるのではないかということで、その趣旨がもう少し明確になるように文章を修正させていただいたところでございます。
 前回から御報告させていただいたものとしては、以上でございます。御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。

【井上座長】  
 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明をも踏まえて、御意見、御質問等がございましたら、どなたからでも御発言願います。前回頂いた御意見は修正に反映しているかと思いますけれども、その点でも結構ですし、更に新たな視点から御意見を頂いても結構だと思いますが。どうぞ、椎橋委員。

【椎橋委員】  
 早期卒業にしても、飛び入学にしても、そういう形で入った学生が法科大学院の教育に入っていくのに、まだ、数は少ないですけれども、無理なく対応しているということが数字によっても示されているということで、少しこれは安心材料だと思うのですけれども、一般に日本の法曹教育は長いという指摘がありますので、その観点から教育体制のどこかで教育期間を1年短縮して、同時に、組織的、継続的なシステムは継続して一貫した法学教育をするということは非常に大事だと思います。また、今、予備試験に流れている法科大学院の学生についても、これは早く法曹になりたいという希望があるわけですから、その希望にも応えられます。しかも、実際に法科大学院の学生が予備試験を受けて法曹になる場合にも、これは通常より1年早いというだけですので、そういう意味では、1年を前倒しでうまく活用すれば、院生たちのニーズにも合っているということがありますので、そういう意味では、この飛び入学、早期卒業というのを活用するという、このまとめ方は、私は、今までの議論を正しく反映しているし、個人的にも良いことだと思っております。
 ただ、注意しなければならないのは、3ページの丸だと思うのですけれども、早期卒業や飛び入学によって受験勉強が早くなって、早い時期から、学部の1年生のときからもう受験勉強を始めるというようなことになってはいけないので、そういう意味で、法科大学院の入学試験ではどこまで求めるのか。基礎的な法的思考力というものを求めるというようなことにするとか、プロセスとしての法曹養成の理念に沿う様々な方策が考えられると思いますし、また、学部の教育についても、一般、教養、外国語、歴史、哲学といったような科目を勉強した上で法律学の基礎を学ばせ、そして、法科大学院につなげるというような学部との連携を考えることも重要だと思われます。

【井上座長】  
 ほかの方、いかがでしょうか。どうぞ、磯村委員。

【磯村委員】  
 資料の2ページのその一番下にある留意事項というところは非常に重要なポイントの一つではないかというように考えています。従来の飛び入学、あるいは早期卒業での入学者というのが非常にいいパフォーマンスを示しているというのは、データから明らかですけれども、これは今、御発言がありましたように、ある意味では、入学の時点で非常に限定を加えているからこそ、こういう成績が示されているということも言えるので、原則と例外を転換して、飛び入学を一般的に認めるということになると、このデータとは異なる結果になるという危険もあるのではないかと思います。
 それとの関係において、3ぽつの二つ目の丸の中で、前回も申し上げた点ですが、早期卒業者の場合と飛び入学の場合とで入学資格要件を変えるかどうかというポイントについては、私は、基本的には早期卒業者と同じ取扱いをする方が制度の運用としては望ましいのではないかと考えています。早期卒業者というのは、標準修業年限を短縮するかどうかにかかわらず、卒業に必要な全部の単位を修得して修了要件を満たした人ですが、その人が既修者として入るときには、普通の卒業者と同じ試験を受けて入らないといけないにもかかわらず、修業年限が短く、かつ、早期卒業者よりも少ない単位しか修得していない方が、かえって、既修者として入学しやすい要件になるというのは、逆転現象であるという気がします。したがって、ここのところは、短い修業年限の中でしっかりしたパフォーマンスを法科大学院入学前に示しているということが共通の要件になるということを確認することが重要ではないかというように考えています。
 以上です。

【井上座長】  
 片山委員、どうぞ。

【片山委員】  
 今回、教育期間の短縮については、飛び入学等を活用するなど、アドミッションの段階での期間短縮というのが主に議論されています。それはそれで非常に重要な点だと思いますが、教育期間の短縮については、ロースクールの中での柔軟な期間の設定についても、この機会ではないにしろ、少なくとも別な機会で検討すべきではないかと考えております。
 例えば今は3年原則で2年の短縮が認められるわけですけれども、例えば9月入学等を柔軟に活用するとしたならば、2.5年であるとか、あるいは場合によっては1.5年ということも検討すべきではないかと考えております。前回も若干その点は言及いたしましたけれども、反映されていないということですので、恐らくそれは今回の課題ではないということだと思いますが、将来的な課題としては考えていく余地が十分にあろうかと思います。

【土井委員】  
 いいですか。

【井上座長】  
 どうぞ、土井委員。

【土井委員】  
 前回から磯村先生と3ぽつの二つ目の丸では意見のやりとりをしているわけですけれど、基本的には事務局で出していただいた原案がよろしいのではないかと思います。磯村先生のおっしゃる点も、分からなくはないですけれど、それだったら、全て早期卒業にして飛び入学を認めないという制度にすればよいのであって、早期卒業以外に飛び入学という制度を各法科大学院の側(がわ)で認めるとした以上、それをどう取り扱うかということについて、各法科大学院で判断をすることになると思います。ただ、その質の確保については留意することになるわけですし、今回は飛び入学等の問題だけですけれど、認証評価の在り方を検討する際に、当然法科大学院としてのパフォーマンスをどう見るかといったような問題が出てくるはずです。そちらの方できちんと評価ができることになれば、必ずしも十分な質を確保しないままに早期卒業、あるいは飛び入学を認めていけば、それは問題があるということになるわけですから、トータルとして質の確保をどう考えるかということを踏まえて検討すればよいと思います。それから、先ほどの議論にありましたように、やはり予備試験との関係で教育に掛かる期間をどのように短縮していくかということは重要な問題になっているわけですので、その辺は各法科大学院の責任と、事後的にチェックを受けることを前提にして、ある程度可塑性を認めていくという、この原案がよろしいのではないかと思っています。
 以上です。

【井上座長】  
 磯村委員、何か更にありますか。

【磯村委員】  
 今の御意見そのものについては、もう考え方の相違だと思いますので、むしろ、私は、片山委員の御指摘に対して少し懸念を表明したいと思います。
 法科大学院に入るまでのその期間を短縮するという問題と、法科大学院の教育期間を短縮するというのは、次元の違う問題であると考えています。基本に立ち返って、プロセスとしての教育を重視するということは、やはりそれなりの年数が充実した教育のために必要であるということが出発点になっていて、司法試験に合格するだけの力を付けるのに十分かどうかという観点のみで考えると、1.5年というのもあるかもしれませんが、プロセスとして、非常に優秀な人であったとしても、試験に合格する実力を付けるだけではなくて、もう少し将来の法曹としてどういう力を付けてほしいかという観点から法科大学院教育を考えるのであれば、少なくとも2年間という教育期間は、そのプロセスを充実したものにするために必要なのではないかというように考えています。
 短縮ありきという発想でいくと、かえって法科大学院教育のもともとの理念を見失うことになりかねないという懸念を強く抱いておりまして、制度全体の中でどこまで、法科大学院を含めた法曹養成期間を短縮するかを考えていくというのが重要なポイントではないかと思います。

【井上座長】  
 法科大学院の期間の在り方については、前にも申し上げたのですけど、私も今の議論の傾向に懸念を持っています。養成に時間がかかり、実務家としてのスタートが遅くなり過ぎているということが言われる。しかし、諸外国を見ても、養成期間に長短はあれ、実務法曹としてのスタートは20代後半であるのです。試験にさえ通れば、20歳そこそこでも法曹になって大丈夫だというような感覚は欧米ではない。その前にいろんなキャリアを積んだり、異なった分野の勉強をしたりした上で、3年なら3年集中して法律を勉強し、法曹となっていく。そういうモデルになっているわけです。それと比べると、最近よく言われるような、できるだけ教育ないし養成の期間を前に圧縮すべきだというのは、大分、基本的理念なり考え方が違っていると思っています。
 確かに今、まだまだこれまでは、飛び入学とか、早期卒業の制度はあっても、それを活用して十分な実力のある人に短い期間で効率的に法曹資格を得させるという適用例が少なかったので、それを拡大していくという方向性は望ましいとは思うのですけれども、それが持つメッセージとして、誰についても、養成期間は短ければ短いほどよい、できるだけ早く試験に通りさえすればよいというふうに受け取られると、すると、磯村委員が懸念されるような、現行の法曹養成制度の基本理念をないがしろにしてしまうことになると思います。
 それは結局、この前も申し上げましたように、プロフェッションとしての法曹の専門性とか、それに必要な高度の専門的能力、そして、その涵養(かんよう)に要する期間というものについての基本的な考え方を崩してしまい、法曹自らを軽いものとしてしまうのではないかという感じが懸念されます。例えばお医者さんの世界での議論に比べますと、そのような感じが強くしますので、養成期間の短縮、短縮ということに過度に傾かないように注意が必要だと思うのです。
 ほかの方、いかがでしょうか。どうぞ、鎌田委員。

【鎌田委員】  
 早期卒業と飛び入学ですけれども、私、現状を必ずしも正確に把握してないかもしれませんけど、早期卒業というのは、大学の学部の方でやることで、どこの大学でもやっているわけではないので、したがって、大学院側のイニシアチブでできる飛び入学との、この併用は不可避だというふうに考えています。
 それから、もう1点は、3ページの最後に出てくる、法曹養成のための期間とコストをいかに短縮させるべきかというのは、非常に一部では強く言われていることで、ここにあるような、書かれているような考え方でいいと思うのですけれども、それだったら、予備試験を受けるというルートが用意されていると、こういった配慮は全て元も子もなくなるということなので、先ほどの議論に戻りますけれども、予備試験は果たしてどういう形で運用されていくのが法曹養成制度全体を健全に発展させるために望ましいのかということも、やはり引き続き御検討いただければと思っています。

【井上座長】  
 この問題については、そろそろよろしいでしょうか。
 それでは、続きまして、三つ目のトピックである、法科大学院における司法試験に関連する指導方法等について御議論いただきたいと思いますが、これについても事務局で資料の整理をしていただきましたので、まずそれについての御説明をお願いします。

【今井専門職大学院室長】  
 失礼いたします。それでは、資料5に基づいて御説明させていただきたいと存じます。
 資料5、法科大学院における司法試験に関連する指導方法等の具体的な取扱いについて(案)でございます。前回この資料について御説明をさせていただきまして、委員の先生方より御指摘いただいた点がございましたので、その修正箇所について中心に御説明を申し上げたいと存じます。
 1ページ、おめくりいただきまして、2ページ目からでございますが、2ページ目の真ん中ぐらいに、(法科大学院における教育指導)というふうに記載させていただいているパートがございます。このうち、実は、一つ目の白丸を今回明記させていただいております。この一つ目の白丸、法科大学院は、法曹養成に特化した専門職大学院であり、試験で問われているような将来の実務に必要な学識及びその応用能力等を学生に身に付けさせ、司法試験の合格に資するような教育を行うことは、法科大学院の本来の役割であるということを明記しております。
 ただ、二つ目の白丸でありますが、「しかしながら」を追記させていただいておりまして、この後、単なる受験技術優先の指導に偏った教育には弊害があることからということを明記しております。そこで、これとの関係でございますが、4ページ目でございます。(2)番で黒丸が五つございましたが、前回御説明したものからは、実はその一つ目の黒丸が削除されております。その一つ目の黒丸は何だったかと申し上げますと、授業において、司法試験の過去問のみを使って受験指導を行ったり、時間を区切って事例問題・司法試験過去問の答案のみを作成させたりするなど、試験での解答の作成方法に傾斜した技術教育や理解に伴わない機械的な暗記をさせるなどの受験指導に過度に偏した教育を行うことというのがございました。この点につきましては、委員の先生方から御指摘がありましたのは、やはり今、法科大学院の中で当然、例えば小テストや中間テストなど様々な形でそういった問題を通じて学生に指導するということをやっているので、そういったものが例示をされていることによって、止められてしまうのではないかというような御指摘があり、懸念が示されていたところでございましたので、ここでは、まず、法科大学院が正に行っている教育との関係では削除させていただいたところではございますが、先ほど御説明したようなところも含めまして、その受験指導に過度に偏したものは何かということが明確になるような形で修正をしてはどうかということで、(案)を整理させていただいたところでございます。
 そして、最後、3ページ目でございますが、司法試験の具体的な取扱いの考え方の真ん中から下のところでございますが、当初司法試験の過去問、過去論文式を題材の一つとしていたものにつきまして、その「等」ということを追記させていただいたというところでございます。
 前回からの修正点は以上でございます。審議のほどをよろしくお願い申し上げます。

【井上座長】  
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明を踏まえまして、御意見、御質問等をお願いします。
 どうぞ、笠井委員。

【笠井委員】  
 前回事務局が用意されたこの(案)について、構成、内容ともに賛成だと申し上げながら、今更こんなことを言うのは何なんですけど、4ページの(2)の黒丸3のところですが、これは前回(案)とほとんど変わらないかと理解しております。ここで、上の黒丸二つは、授業においてという状況が前提であり、三つ目は、授業の時間内、時間外を問わない。黒丸4は、専らその経費負担というのか、費用負担の問題というふうになっていております。黒丸三つ目の特徴は明らかですが、そこでいう法科大学院内の施設を使い、専ら司法試験受験指導を目的とした団体や個人が主催する答案練習とは、例えば修了生で司法試験合格者等、あるいはそれに限らず、業者とつながりのない先輩等が、時間外に法科大学院の教室を使って答案練習的なことを行うことの禁止を含んでいるのでしょうか。一概に否定し、禁止するのは難しく、ここにこのように記述するのは、余り適切でない部分もあると思えたものですから、質問させていただきました。

【井上座長】  
 この文章の趣旨ということですね。

【笠井委員】  
 はい。

【今井専門職大学院室長】  
 失礼いたします。ここで、念頭に置いて、事務局として提案させていただいたのは、専ら司法試験受験指導を目的とした団体や個人ということに着目をしておりますので、端的に申し上げれば、今、先生から御指摘のあったような、こういうことを目的としてない方がやったときにどうなるのかというのは、多分個別の事例ごとで見ていくしかないのかなというところがございまして、ここで明記させていただいているのは、専らそういった指導目的、受験指導を目的としたところということになりますので、個別の個々の案件まで、ここで読み込んでいるか、読み込んでないかと言われれば、そういったものを今は対象にはしていないということで考えているところではございます。

【笠井委員】  
 あえてどうしろというふうに、文章の修正は非常に難しいと思いますが、そこら辺をうまく表現していただきたいと思います。

【磯村委員】  
 ちょっとよろしいですか。

【井上座長】  
 どうぞ、磯村委員。

【磯村委員】  
 むしろ、笠井委員に対する御質問かもしれませんが、今の黒丸のところの2行目から3行目にかけて、試験での解答の作成方法に傾斜した技術的教育や理解を伴わない機械的な暗記というのは、いわば、定性的な要件として加わっているわけですが、これが加わっていたとしてもやはり疑問なのでしょうか。

【笠井委員】  
 確かに定性的にこのような受験指導に過度に偏した教育という限定付けがありますので、それでいいと言えばいいんですが、ただ、目的でも縛っているというところがあるので、まあ、いいのでしょうかね。質問を撤回しても構いませんが。

【井上座長】  
 今の点でも結構ですし、ほかの点でも結構ですが、御意見等ございましたら。

【椎橋委員】  
 すみません。よろしいですか。

【井上座長】  
 どうぞ。

【椎橋委員】  
 この4ページの上の方の括弧の中に書かれている司法試験考査委員経験者については、遵守事項を守るべきとの所ですが、現役の考査委員が試験の公平さに疑念を抱かせる行為をしてはならないのは当然ですが、考査委員経験者が守るべき遵守事項がどこまでなのかわかり難(にく)いので教えていただきたいのです。この遵守事項というのがかなり広いというか、厳しいというか、経験者は何年たってもそこに含まれるというふうに読めると思うのですけども、これについては、相当辞めてから期間がたっていても同じだという、そういうことでしょうか。それは変わってないのですかね。

【井上座長】  
 松本委員、いかがですか。

【松本委員】  
 ありがとうございます。今、議論していただいている取扱いとの関係で司法試験考査委員の先生にお願いしている遵守事項を何か変えろというふうには聞いておりませんので、この遵守事項の取扱いは、従前のとおりという理解でおります。

【井上座長】  
 私もそういうふうに理解しています。何年経とう明かしてはいけないことはやはりあるわけで、それを自校の生徒だけに明かしたり、活用したりするのは、不公正、不公平になりますので、許されないだろうと思うのですね。無論、どういう事項について何時(いつ)まで守秘義務を負わせるべきかについては、見直しの余地があるかもしれませんが、それは、司法試験委員会の方でお考えになるべき事柄でしょう。

【椎橋委員】  
 これは、出題の意図はどうかとか、配点はどうかとかですね。

【井上座長】  
 最近では公表されているはずですが。

【椎橋委員】  
 それは分かりました。それでは、過去の司法試験の問題について解説をするというか、それはまずいということですかね。

【井上座長】  
 それは本委員会でどうこうということは言えない事柄ではないでしょうか。

【椎橋委員】  
 わかりました。それでは、司法試験考査委員経験者は、3年生の科目は持つべきではないと、これも変わってないのですかね。各法科大学院のポリシーの問題でしょうか。

【井上座長】  
 松本委員、いかがですか。

【松本委員】  
 現在の司法試験委員はということですね。

【椎橋委員】  
 経験者はいい?

【磯村委員】  
 経験者はいい。

【井上座長】  
 過去に試験委員を経験した教員が3年生の授業を持てないということになりますと、教員が不足してしまうことになるのではないでしょうか。

【磯村委員】  
 質問してよろしいですか。

【井上座長】  
 どうぞ、磯村委員。

【磯村委員】  
 すいません。3ページから4ページにかけてのところと、それから、今、問題となっている※の「上記記載に関わらず」という箇所ですが、これが、どの部分まで及ぶのか、その趣旨が分かりにくくて、授業の時間外でそれをやるというのは当然おかしいと思うのですが、授業の時間内において、過去の司法試験委員が、自分が担当した司法試験過去問を扱うというのは適当ではないと思うのですが、独自に作成した問題について、場合によってはその授業の中で添削指導するということまで禁じられると、逆に授業の運営に支障が生じ得るということにもなりそうです。どこまでが認められ、何が許されないのかというイメージが、この範囲でちょっと分かりにくいなという気がいたしました。

【今井専門職大学院室長】  
 失礼いたします。事務局からでございますが、実はこの括弧につきましては、正に司法試験考査委員会の先生方のその取扱いということに、遵守事項ということになりますので、この原案を作るときには、様々各所からいろんな御示唆や御助言を頂いておりますので、場合によりましては、大変恐縮でございますが、この遵守事項との関係で、ここをどう記載するのがいいのか。今、磯村先生の御指摘も踏まえて、よく相談をさせていただいて対応したいと思います。
 我々も、その遵守事項というのがあるということは存じ上げていますが、それがどういうところまで示しているのかというところは、やはり司法試験考査委員の管理されているところとよく御相談していきたいと思っておりますので、整理させていただけたらと存じます。

【井上座長】  
 どうぞ、樫見委員。

【樫見委員】  
 先ほどお話がありました4ページのところの黒丸の三つ目のところですが、この文章を読むと、四つないし五つくらいの要件がありまして、その中で、過度であるとか、傾斜とか、非常に裁量の余地もありそうな言葉が使われております。大都市とは異なり、地方では司法試験向けの予備校があるとは限らず、法科大学院の学生の求めに応じる形で、授業時間外においてある程度実施せざるを得ない状況もあり、司法試験の受験指導に該当するかどうかの判断が困難であります。他方、法科大学院における認証評価の上でもこうした点の判断が難しく、認証評価基準に抵触するかどうかの判断に迷うということを付け加えておきます。【井上座長】  そろそろよろしいでしょうか。
 それでは、四つ目ですけれども、法律実務基礎教育及び法科大学院の継続教育機関としての役割の充実というテーマにつきまして、事務局からまず資料の説明をお願いしたいと思います。

【今井専門職大学院室長】  
 失礼いたします。それでは、資料6に基づいて御説明させていただきたいと存じます。
 資料6、法律実務基礎教育及び法科大学院の継続教育機関としての役割の充実に関する論点(たたき台)でございます。それぞれ2点の大きな論点について整理をさせていただきました。
 1ぽつでございます、法律実務基礎教育の充実についてでございますが、この内容につきましては、昨年6月に取りまとめられました政府に置かれていた法曹養成制度検討会議において、このかぎ括弧の中にございますように、法科大学院の実務基礎教育の内容にばらつきがあるということを踏まえて、法科大学院における実務基礎教育の質の向上をさせることによって解消を図るべきであるということが御指摘を頂いております。こういったような状況の中で、私どもとしては、2ページ目以降でいろいろと調査をさせていただいた中、やはり開設の形態にばらつきがあり、全て法科大学院の中でいろいろ取り組まれていること、様々な実態がございましたので、そういったことを踏まえて、今後、その充実を図るためには、例えば四つの白丸にあるようなものを検討していったらどうかということで、論点のポイントを整理させていただきました。
 一つ目は、共通到達目標モデルに基づく教育カリキュラムの改善の徹底。この法律実務基礎科目群に対しての共通到達目標モデルにつきましては、司法修習委員会からもいろいろお考えをまとめていただいたものを基に作られていると理解をしておりますので、そういったものが各大学の教育カリキュラムにしっかり取り組まれているということになれば、そういった充実は図れるのではないかという観点であります。
 また、二つ目の白丸でございます。指導に当たる教員の在り方やその教育指導力向上のための取組の充実ということでございます。特に2ページ目の資料でございますが、上段の方に、法律実務基礎科目の現状について丸1と題したものの2ぽつ、担当教員について、一応調べさせていただいたところ、ある意味、当然という面ではございますが、法律実務基礎科目の様々な必修科目、選択必修科目、選択科目といったものの多くは、法曹三者である実務家教員に御担当いただいている。おおよそ9割近く、9割以上はそういった状況がございますので、そういった実務家教員の方々との間での教育指導力の向上という観点で、そのばらつきを抑えていくということは考えられるのではないかという趣旨でございます。
 そのほか、三つ目、四つ目にありますように、各大学の状況に応じまして、エクスターンシップ、リーガルクリニックの積極的な実施。また、臨床科目等の充実に向けて、その関係や連続性について考えていくということが必要ではないかということで論点を書かせていただいております。
 続きまして、2点目、法科大学院の継続教育機関としての役割の充実についてでございます。これも同じく検討会議におきまして、法曹に対して先端的分野を学ぶ機会、これを積極的に提供し、司法修習修了直後の法曹有資格者に対する支援、そういったことを法科大学院が行っていくということをもって、継続教育機関としての役割を果たしていくことが期待されているところであります。
 継続教育について、現在、21の大学が何らかの形で取り組んでいただいておりますし、今後その取り組みの可能性も含めますと51大学ということで、多くの大学で取り組もうとしていただいているところであります。そういった中、例えばでございますが、下の白丸三つにありますような取組を進めていくことが必要ではないかということで論点を整理させていただいております。
 一つ目の白丸にございますように、展開・先端科目群授業への積極的な受入れや、法科大学院教育で培われたノウハウを研修の中に織り込んでいって、そういったものを法曹の方々に提供していくというのはあるのではないかということであります。また、それを特化した形で、有資格者を対象として、ビジネスロー、外国法といった応用的な授業科目の提供というのもあるのではないかと思われます。そういうところも含めて、研究会や研修の場というものを積極的に提供していくということがあるのではないかと考えているところです。
 事務局からの資料の説明は以上でございます。御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。

【井上座長】  
 それでは、この点についても、ただいまの御説明を踏まえまして、御意見等をお伺いしたいと思います。どなたからでも御発言願えればと思います。

【松本委員】  
 よろしいでしょうか。

【井上座長】  
 どうぞ。

【松本委員】  
 法科大学院の継続教育機関としての役割の充実というのは、法務省司法法制課長の立場として非常に有り難い取組でございます。法曹有資格者につきまして、今、知財、あるいは海外の中小企業支援等の視点で日本の法曹をもっと戦略的に活用する必要があるのではないのかという議論がなされておりまして、法務省におきましても、端的に言いますと、在外公館に、弁護士を派遣する仕組みにつきまして、外務省と協議をしているところでございます。そういう中でも、ここの丸で記載されておりますように、外国法等々、ロースクールでのそういう点の教育が非常に重要だという指摘を多々受けておりますので、こういうところを非常に充実させていただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

【井上座長】  
 ほかにいかがでしょう。どうぞ。

【笠井委員】  
 法律実務基礎科目に関係する問題ですが、事務局の調査によると、法曹三者である実務家教員が担当しているのは約93.4%という記載があります。そのうち、特に、刑事実務基礎科目や、法曹倫理科目に関して、法曹三者のうちの、例えば弁護士だけ、検察官だけ、あるいは裁判官だけが単独で当該科目を教えているのか。三者で教えるようになっているのかといった調査はしておられますか。

【今井専門職大学院室長】  
 失礼します。今、手元に詳細なその調査の結果がないのですが、そこまでのところは調査できていないようでございますので、基本的には、各大学において実務家教員としてお越しいただいている先生方に御担当いただいていると。確かに各法科大学院において、例えば正に現職の派遣を頂いて、判事の実務家教員や検察官の実務家教員を受けられているところもありますが、一方で、大学によっては、弁護士の先生だけでそういったものを賄われているというのも、当然に例としてはございます。今、手元にデータがないですが、大体50大学とか、40大学が多分実際に派遣をされていて、それ以外は弁護士の先生というのが実態だと思います。ただ、その弁護士の先生の中に、例えば元判事であったり、元検察官であったりされた方がいるということをもって対応されているという例も聞いておりますので、このあたり、必ずしもどの大学にも、判事、検事の派遣がおられるという状況じゃないということ。ただ、各大学の御判断で弁護士だけではあるのですけれども、それまでの経歴も含めて御対応されているというのはあろうかと思いますので、そういったことを含めてここで書かせていただいているということでございます。

【笠井委員】  
 これは意見で、認証評価の問題とも言えますが、例えば刑事実務基礎科目の中で、刑事弁護を派遣検察官が教えるというようなことは到底できるはずがない。 弁護士である実務家教員が検察官の立場に立って実務基礎科目を教えることは、可能かもしれませんが、逆は不可能であると、認識しています。法曹倫理について、先ほど言及しましたが、それぞれの倫理があるという意味ではなくて、統一した法曹倫理の中で、立場の違う、固有の問題がある。組織の中で生きる検察官とそうでない弁護士、弁護士も組織の中で生きる方というの、いろいろな在り方があるので、それを弁護士だけ、あるいは検察官だけ、あるいは裁判官だけという形で担当するというのは、充実した実務科目教育を提供しているとは言えないと思います。その点、統計調査もあるとおっしゃっておられましたが、手間でなければ、より調査していただきたく、そのような法科大学院教育は、望ましいものではないとの認識を確かなものにしていただきたいと思います。
 意見です。

【井上座長】  
 多分それを、別個にやるというのは大変なので、毎年文科省で各校から実情について報告を求めていますので、その中にそういう項目を入れるとか、あるいは認証評価の各大学のデータが公表されていますが、それを丹念に拾えばある程度のことが分かると思います。ただ、各実務家教員個々のバックグラウンドは、判事又は、検事を辞めて弁護士になった人と、弁護士経験しかない人がいて、なかなか難しいところはあると思います。また、地方によっては、アヴェイラブルな人が余りいないという実情もありますので、そう簡単な問題ではない。そういうこともお分かりの上での御発言だと思いますけれども、文科省の方でも調査できるかどうかを今後御検討いただければと思います。そういうことでよろしいですか。

【笠井委員】  
 結構です。

【井上座長】  
 ほかに。どうぞ、片山委員。

【片山委員】  
 すいません。それでは、2番目の継続教育に関して二つほど意見を述べさせていただきたいと思います。
 今、各委員の先生方からの御意見にもありましたとおり、プロセスとしての法曹養成という意味では、法科大学院の持つ継続教育の機関としての役割の重要性というのは、恐らく今後、ますます増えていくと思うのですけれども、その点に関しまして、まず、第1点は、御案内のとおり、例えばアメリカですと、いわゆるJD、ロースクールを出た後に、同じロースクールの中にLL.Mというのがあって、例えばタックスを勉強したり、IPを勉強したりという場合に、そのLL.Mで学位を取って、更に専門性を高めるというルートがあるということでございまして、是非日本においても、JDと別に、例えば1年ぐらいでそういう専門性を高めるようなコースといいますか、そういう学位に結びつけばそれにこしたことはないと思いますけれども、そういったものについて、本格的に検討していく必要があろうかと思っているというのが第1点でございます。
 それから、もう1点は、2年、3年のロースクールの間に、非常に先端的な科目もいっぱいあるわけですけれども、その全てを履修できるわけではないということですので、ロースクールの2年、3年でやることと、それから、出てから後、法曹資格を取った後での教育といったものは分けていくという意味からしますと、先ほどの議論からしますと、ロースクールの在学期間の問題、短縮化の問題や、あるいは予備試験の合格者の対応といった問題にも関連してくる問題ではないかなというふうに考えているという点を御指摘させていただきたいと思います。

【杉山委員】  
 2ぽつの二つ目の白丸ですけれども、可能であればのお願いですけれども、「法曹有資格者を対象とした」という文言を削除できるかという検討です。この検討会議の書かれている文章が、法曹有資格者に対する支援というふうに限定しているというふうに解釈するのか、そうでないのか分からないのですけれども、法科大学院を卒業された方で、いろいろな理由で資格を取得されずに社会に出て法律の役に立っている方、大勢いらっしゃると思います。そうした意味で、やはり資格者以外にも門戸を開いていただきたいという意味の御提案でございます。

【井上座長】  
 例えば「等」というのを入れればよろしいですか。

【杉山委員】  
 お任せします。

【井上座長】  
 分かりました。工夫させていただきます。
 それでは、土井委員。

【土井委員】  
 ここは法科大学院特別委員会で、法科大学院のことを検討する場なので、ペーパー自体はこれで結構かと思います。
 ただ、法曹有資格者の継続教育機関は、法科大学院に限定されるわけではなく、その有資格者が資格を取られてかなり経験を積まれると、研究中心でということから、法学研究科等に入っていただき、論文を書かれれば、法学博士号が出るというやり方もあります。多分各大学によって事情が異なり、法科大学院と法学研究科は別組織の大学もあれば、一つの研究科のもとに専攻として持っているところもありますので、全体として考えていただくときは広く見ていただきたいと思います。ここは法科大学院特別委員会なので、この点について言及するだけにさせていただければと思います。

【井上座長】  
 日吉委員、どうぞ。

【日吉委員】  
 2の継続教育についてですが、一つ意見です。私の出身ロースクールも、ビジネスローセミナーという継続教育の努力をしてはいるのですが、やはり発信力というのですかね。情報の発信がどうしてもなかなか行き届かないという悩みが常にございまして、時々相談を受けるわけですが、先ほど法曹有資格者だけではないというお話も、私も大賛成ですけれども、いろいろなところで仕事をしておられる、社会に点在しておられる方を対象に、ここのロースクールがこういうすぐれた法律関連教育を行っていると。それで、門戸が開かれているというような情報がいろんな立場の人に隅々まで届くような、何らかの形の情報ネットワークのようなものがいずれは必要なのではないかと。またそれが大事なのではないかと。それを整備することによって、法科大学院の継続教育機関としての機能、あるいは顧客もますます集められるということなのではないでしょうか。意見です。

【井上座長】  
 恐らく各校ともそういう努力はされていると思いますし、弁護士会ですとか、経営法友会ですとか、あるいは法科大学院協会からも発信はしてきていますけれども、さらに、そういうことに力を入れることが必要なのだろうと思いますね。せっかくいいセミナーを開こうとしても、お客さんが集まらないということもあると思いますので、それは課題ですね。
 ほかに。よろしいでしょうか。
 以上、議論していただいた四つの点につきましては、これからも継続して検討していき、本委員会としての取りまとめに結びつけていきたいと思います。本日の議論についても、それに活(い)かせるよう、事務局の方で整理し、資料として配っていただいたものを更にブラッシュアップした内容にしていただければと思います。
 議事としては以上ですけれども、もう一つ、前回からの持ち越しで、国際連携教育課程制度の検討につきまして、前回、私の方から事務局に対し、法科大学院との関連で特に問題となり得る点を整理してほしい旨お願いしておりましたが、それに基づいて、事務局で資料を用意してくださいました。それについての御説明をお伺いし、皆さんから御意見を頂ければと思います。

【今泉大学設置室長】  
 それでは、失礼いたします。
 資料7を御覧ください。 今、座長から御説明ありましたとおり、前回このジョイントディグリーについて御説明申し上げました。このジョイントディグリーについては、中央教育審議会のグローバルワーキングでこれまで議論してまいりまして、今、グローバルワーキングの座長一任の状態となっているものでございます。その際、論点が幾つかございました。この法科大学院を含めて、我が国の特定の人材養成を目的とした医学部等の学部とか、また、この法科大学院、こういうものについては、資格所管省庁や、また、関係団体との調整が必要でございました。これまで本件については、この特別委員会及び法務省内閣官房、さらに、日弁連等について調整を進めてきたところでございます。
 前回この説明をさせていただきまして、検討すべき論点を整理するようにという御指示を頂きました。2ぽつを御覧ください。検討すべき論点は、恐らく細かい点で言えば、多々あるかと思います。ただ、大きな論点としては、以下のとおりと考えております。大きく4点に分けさせていただいております。
 まず、総論部分でございますが、外国の大学と連携した人材養成を目的とするジョイントディグリー制度、これについては、国内法曹養成を主たる目的とする我が国の法科大学院の制度趣旨と合致するかどうか、これは大きな論点かと思います。その点について考えてみますと、まず、いい点としては、ジョイントディグリー制度では、外国の大学との連携によりまして、日本の大学では提供できない教育機会を学生に与えるものでございます。また、将来的にそのダブル・ライセンス等の潜在力も秘めております。そういう意味で、質、量ともに豊かな法曹養成に資する可能性がございます。
 その反面、難しい点としては、言うまでもございませんが、この法曹については我が国の司法権を行使する人材であって、専ら我が国の域内での活躍が期待されている人材養成でございます。そういう意味で、法科大学院は、法曹養成の制度の中核的な役割を担っていることを考えますと、例えばほかの学問分野とは違って、同列に論ずるものではなくて、よりその地域性というものが重要な観点として上がってくるだろうというふうに考えているところでございます。
 次の論点でございます。今の点を踏まえて、もし仮にそのジョイントディグリー制度の対象として法科大学院を考える場合、司法試験等のほかの法曹養成制度との関係で不都合は生じないのかという論点もあるかと思います。この点について、いい面としては二つあるかと思います。一つ目は、そもそもこのジョイントディグリー制度自体が大学のグローバル化に対応して、外国との連携を進めるものでございますので、それ以外の法曹養成制度そのものとは次元がそもそも違っております。既存の法曹養成制度に制度的な不都合を生じさせるものではないのではないかと考えております。また、もう一つ、いい点としては、外国の大学との連携によりまして、カリキュラムの国際化が図られ、国際的素養のある法曹養成に資するのではないかという点が挙げられます。これは法科大学院が目的としているプロセス養成の趣旨にも資するのではないかと考えております。
 次のページを御覧ください。その反面、慎重に対応すべきところとしては二つあるかと思います。一つは、現時点で幾つか課題のある法科大学院というのが存在している中、法科大学院教育の改善・充実の着実な推進が必要であって、そこのプロセス養成の好循環への転換に支障を来すおそれがあるのではないかということ。また、同じ点ではございますが、現在は法科大学院の質の課題の解決こそ先決すべきことであって、この段階のときに、外国の大学とのジョイントディグリーを設けると、本来やるべきことを見失ってしまうのではないかと。そういう意味で時期尚早じゃないかという観点があるかと思います。
 また、個別、具体の論点としては、二つ挙げさせていただきました。一つ目は、法科大学院の卒業に必要な修了要件単位数について、これをジョイントディグリーの制度に当てはめて、連携する外国の大学の最低限の必要単位数を換算すると24単位と計算しております。最大で取れるので46単位分を取れる形と制度設計することを考えておりますが、そうした場合に、司法試験や質保証の観点で課題がないかどうかという観点があるかと思います。この点につきましては、もちろん法科大学院については、司法試験への合格を見据えたカリキュラム編成というのが当然に不可欠でございます。そのため、このような法科大学院におけるジョイントディグリーの設置認可申請があった場合、この設置認可審査においては、当然ながら人材育成目的とか、カリキュラムの整合性、そういうものを踏まえて、果たして本来のその目的である我が国の法曹養成ということをきちんと確保できているのかどうか。それを当然に設置認可審査において審査することになります。
 そうした場合、現在でも30単位以下までは単位互換が認められておりますし、そこの部分については、何ら政府の関与なしに各大学の御判断で単位認定しているところでございます。ジョイントディグリーに関して言えば、これまでできていた単位互換に比べれば、更にその政府の保証があった上で行えるという、そういう利点はあるだろうというふうに考えております。また、先ほど申したとおり、司法試験等の法曹、ほかの法曹養成制度とは次元の違うものですので、その点も大丈夫かと思います。
 二つ目の論点でございますが、学生にとって果たして学修の負担、履修上の負担・時間の負担・金銭的な負担が生じるのではないかという観点がございます。法科大学院については、もう言うまでもございませんが、幾つかカリキュラム編成上の制限がございます。その中でもしこのジョイントディグリーを設ける場合、連携する外国の大学が提供する科目というのは、展開・先端科目の構成科目として整理されることになるだろうと考えております。そうすると、先方の卒業要件との関係もありますので、我が国の法科大学院の93単位を超える卒業要件単位数というものが設定されることが十分に考えられます。そうすると、必然的に時間的・金銭的な負担はかかっていくだろうと思われます。
 また、今の話と関わりますけれども、現実的に学生への負担増となるため、本当に現段階でジョイントディグリーを法科大学院において設ける必要性、利点というのが決して必ずしも多くないのではないかというふうなことが思われます。現在、既存の単位互換制度等もありますので、国際的素養というのは、そういう意味でも達成し得るのかなという論点もあるかと考えているところでございます。
 冒頭申し上げたとおり、幾つか個別論点はあるでしょうし、この論点の設定の仕方についても、御議論あるかと思いますが、今日御議論いただきたいのはこの点ではなくて、次の3ぽつの点でございます。今後、法科大学院について、このジョイントディグリーを導入するか否かの判断のときに、三つの方策があり得るかと思います。例えば法学部や法学研究科と同様に、法科大学院についても、もう初めからこのジョイントディグリー制度の対象にしてしまうというのが一つ目の案。二つ目の案は、今、申した論点が幾つかございますので、引き続き、そのジョイントディグリーの制度導入については、検討をする時間を設けるというものでございます。他分野の活用状況とか、効果、問題点、そういうものを見極めた上で、また、法科大学院の課題整理をした上で導入するかどうかを検討する。そういう意味で、当分の間は認めない、つまり、設置基準上の本則では開いておいて、附則で閉めるという形が二つ目の案でございます。三つ目の案については、そもそもジョイントディグリーの対象外にしてしまうというものでございます。
 ちなみに、これまで関係省庁、又は関係団体と話したところでは、医・歯・薬・獣医については、それぞれこの丸2の案でという形になっております。また、日弁連との調整においても、制度としては、本則では開いておいて、ただ、附則において当分の間閉めておくということで、調整が続いているところでございます。
 案の2と案の3は、正直、効果としては、閉じるという点では同じでございます。ただ、丸2については、全く可能性を閉ざすというものではなくて、当分の間、除くという形で、その当分の間は当然ながら他分野の部分を見ながら、検討を進めていくというものでございます。先ほどの継続教育機関としての法科大学院の話もございました。そういうことも考えると、丸3のように、はなから制度として閉じるのではなくて、制度としては開ける余地を残しつつ、当分の間検討していくというものがいいのではないかと、事務的には考えているところでございます。
 以上、3ぽつの点について御意見を頂ければと思います。

【井上座長】  
 ただいまの説明に基づきまして、御意見等をお願いしたいと思います。

【有信委員】  
 よろしいですか。

【井上座長】  
 どうぞ。

【有信委員】  
 大学院教育と学部教育とで多分違うというところはあると思いますが、大学院教育に関しては、平成17年度に大学院答申が出て、これはグローバル化をにらんで、その中で教育の質保証というか、大学院が教育をやるべきところであるというところの認識から始まって、グローバルに同等であるべきであるということで、様々な施策が出されて、その結果を踏まえて、平成22年に再度答申が出されています。実際に医・歯・薬・獣というふうに言っていますけれども、例えば獣医学部では既に欧州での標準に日本の獣医学教育が全く合ってないという指摘が、2000年に学術会議からなされて、それに合わせて、文部科学省で様々な施策を打って、現在、山口大学と鹿児島大学とで、ジョイントでプログラムが作られたり、北大と帯広畜産大とで作られたりしています。それから、医学部に関しては、現実に日本の医学部における教育が、例えば米国の医師国家試験の受験資格を満たさないということで、医学部の中で追加の様々な講義が行われるようになっています。
 そういう状況の中で、例えば法学に関して言うと、ここに書かれているとおり、我が国の、例えば裁判官等々を含む司法の専門家を育てるという目的はあるけれども、産業界の立場から見ると、いつまでも法曹がそういう形でいいのかという問題はあるわけです。例えば一番深刻な問題は、米国でクラス・アクションを起こされて、それへの対応を図ろうとすると、米国の弁護士に頼らざるを得ない。それから、クラス・アクションに対して様々な準備をしようとしても、日本の弁護士が役に立たなくて、アメリカの弁護士に頼って、大枚のお金を払うというような状況は現実にあるわけですね。そういう状況を踏まえた上で、もう少し単純に、狭い範囲で考えるのではなくて、もう少し広い視野に立った国際的な同等性というところで考えてほしいというのが一つ希望としてあります。
 それから、もう一つは、例えば国ごとに当然法律に関することですから、違いがあって、米国では、ロイヤーがカバーする範囲に特許まで含まれていて、これはこれで、日本で言うと、弁理士がカバーしなきゃいけない。ところが、一方で、特許高等裁判所というのができて、そこに対して様々な制度設計がなされていますけども、これが果たして十分かどうかという問題もありますし、特許になった途端に突然日本だけの問題ではなくなって、全世界的な問題になってしまう。こういう状況があります。
 ということもあって、私は立場が違うんですけれども、是非法律の関係者の方々にはより広い視野で議論をしていただければと思います。

【井上座長】  
 ありがとうございます。どうぞ、鎌田委員。

【鎌田委員】  
 早稲田大学では、創立以来、交換留学制度を使っておりますので、これまでに在学中に1年間アメリカ、ヨーロッパ、アジアへ留学した人が30人既にいて、アメリカの場合にはLL.Mの制度がありますから、その期間中に学位を取って、これまでで既にLL.Mだけじゃなくて、ニューヨーク州弁護士の資格を取った人が15名、この人たちは、最近は知りませんけれども、未修が大部分ですから、未修クラスの場合には留年せずに卒業ができますし、ニューヨーク州弁護士資格の資格を在学中に取った人たちも、全員ではないかもしれませんが、大部分日本の司法試験も一発で合格しているということですから、こういうものがあっても今の法科大学院生が使うだろうかという点では、数は少ないかもしれないけど、使う人はいるだろうし、実績も上がってくるだろうと思います。
 むしろ逆に、本学では海外から100人ぐらい受け入れていますけど、この人たちは単位は取れるけれども、学位はなしに帰しているわけですね。要するに、非常に片務的な関係になっているというところの方が問題ですので、こういう制度を作ったときに、アメリカですと、日本の大学にABAの認定する授業というものがないと、向こうの卒業資格を取って、向こうの弁護士試験にチャレンジできないものですから、そういうものがしっかり用意ができて、場合によっては、短期間で学位を与えるというふうなこと、先ほどの片山委員の御発言とも関連しますが、それを用意しなきゃいけないと思います。あるいはアジアから来た人にとっても、日本のロースクールへ来て勉強したいのだけれども、大部分は学位をもらえずに帰っていかなきゃいけないというふうな、こういう現状をどういうふうにして打開するかというときに、日本版LL.Mみたいな構想というのもあり得るかなというふうには思います。それにはJDがいいのか、ダブルディグリーでやっていけば足りるのかという点については、なお、検討の余地はあるかと思いますけれども、最初から入り口を閉めてしまうというのはいかがなものかと思います。

【井上座長】  
 片山委員。

【片山委員】  
 私も、今までの議論に基本的に賛成で、(案)でいいますと、丸3はやはりここでは避けていただいて、丸1か丸2でお願いしたいということであります。ただ、丸1は恐らく難しいと思います。基本的にジョイントディグリーということになりますと、新しい学位を提携校との間で作るということになりますので、それが日本の法曹資格に結びつくのかという問題、パートナー校のJD取得者も、日本の法曹資格を与えられるのかという問題が出てきますので、直ちに今の段階でジョイントディグリーが導入可能であるとまでは言えないとは思います。そういう意味で、当面の、法務博士におけるグローバル化は、ダブルディグリーの方向で図っていかざるを得ないのかなと思います。ただ、先ほどもありましたとおり、例えば10年後の議論としましては、留学生にも学位をというような議論も出てくると思いますし、継続教育の中で、外国法とか、渉外関係の法曹教育が不可欠になってくると思います。そうしうますと、日本の中で、1年で取れるような学位、例えば、法務修士のようなものを創設するということになれば、正しくジョイントディグリーによって、様々な国との提携が可能となるのではないかと思います。
 それは、法務博士の話ではないので、ここで議論すべきではないということになってしまいますと議論ができなくなるのですが、是非、広い意味での法科大学院教育の一つとして、継続教育も含めてジョイントディグリーについても議論すべきだと考えておりますので、案2の線でとどめておいていただければと思います。

【井上座長】  
 法科大学院制度を作るときに、そういう議論もしたのです。法科大学院制度が定着し,余裕ができたらということであったのですけれども、LL.Mのようなものを法科大学院の方に併設することも考えたらどうかという議論をしました。
 法科大学院については今お話のあったような可能性を閉ざすべきだという御意見は多分出ないでしょうから、基本的には、今、事務局から御提案のあった方向、丸2の線でいくとして、個々の点については、本日出していただいた意見、あるいはその他関連する点について、なお検討をさせていただく。本日委員の皆さんから出していただいた御意見につきましては、事務局からワーキンググループの方に伝えていただいて、ワーキンググループの方で、適切に文言等を調整していただければと思います。
 予定した議事は以上ですので、今後の日程等について、事務局からお話しください。

【今井専門職大学院室長】  
 失礼いたします。次回の法科大学院特別委員会の日程につきましては、現在7月に開催をさせていただく方向で調整させていただいておりますが、詳細の日程については、また改めて御相談させていただきたいと存じます。

【井上座長】  
 はい。では、これで本日の会議を終了いたします。ありがとうございました。

お問合せ先

高等教育局専門教育課専門職大学院室法科大学院係

(高等教育局専門教育課専門職大学院室)

-- 登録:平成26年09月 --