法科大学院特別委員会(第55回) 議事録

1.日時

平成25年7月11日(木曜日) 11時~12時30分

2.場所

文部科学省中央合同庁舎7号館東館3階 3F2特別会議室

3.議題

  1. 政府における法曹養成制度に関する検討結果について
  2. 入学定員・組織見直しに係るこれまでの施策の実施状況等について
  3. ワーキング・グループの設置について
  4. その他

4.出席者

委員

(臨時委員)井上正仁、土井真一の各委員
(専門委員)笠井治、樫見由美子、片山直也、鎌田薫、木村光江、椎橋隆幸、杉山忠昭、田中成明、長谷部由起子、日吉由美子、松並孝二、山本和彦の各委員

文部科学省

(事務局)常盤高等教育局審議官、内藤専門教育課長、今井専門職大学院室長、佐藤専門教育課課長補佐

5.議事録

【井上座長】
 皆さんおそろいですので、会議を始めたいと思います。第55回となりますけれども、まず事務局から配付資料について説明、確認をしていただきます。

【今井専門職大学院室長】
 それでは、失礼いたします。議事次第を御覧いただけたらと存じます。
 まず配付資料1といたしまして、前回54回の特別委員会の議事録案を用意させていただいております。内容を御確認の上、修正箇所等ございましたら、事務局に御連絡いただけたらと存じます。
 次に、資料2-1、法曹養成制度検討会議の取りまとめ。資料2-2、法曹養成制度検討会議において提言された各論点と中央教育審議会におけるこれまでの提言内容等を整理した資料でございます。
 続きまして、資料3-1、法科大学院における平成25年度の入学者選抜の状況等について。資料3-2、各法科大学院の入学定員の推移について。資料3-3、入学定員・組織見直しに係る施策の実施状況等について。資料3-4、法曹養成制度検討会議取りまとめ(関係部分抜粋)でございます。資料3-5、「公的支援の更なる見直し」の強化に関する主な論点(案)について。資料3-6、法科大学院の組織見直しを促進するための公的支援のさらなる見直しについて、昨年9月に発表させていただいた資料でございます。
 そして、資料4、ワーキング・グループの設置について(案)でございます。
 なお、資料番号は付しておりませんが、前回の会議で御説明させていただきました平成25年度の状況で、大学から若干修正がありましたので、修正箇所にアンダーラインを付した資料を付けております。随時、御確認いただけたらと存じます。

【井上座長】
 それでは、議事に入ります。最初に、政府における法曹養成制度に関する検討結果についてでございますが、政府における法曹養成制度の在り方に関する検討が進められてきていることについては、前回も報告していただいたとおりですけれども、その法曹養成制度検討会議における検討結果が取りまとめられました。これに関する資料について、まず事務局から御報告をお願いします。

【今井専門職大学院室長】
 資料2-1、資料2-2を御覧いただけたらと存じます。
 まず資料2-1に基づいて御説明させていただきたいと存じますが、前回の法科大学院特別委員会の会議で中間的取りまとめについて御説明をさせていただきました。今回、取りまとめが正式にまとまりましたので、中間的取りまとめから大きく変わったポイントを、この資料に基づいて簡単に御報告させていただきたいと存じます。
 なお、法科大学院関係につきましては、別途資料2-2で、より細かく整理させていただきましたので、そのときに御説明させていただけたらと存じます。
 それでは、資料2-1を御覧いただけたらと存じます。まず3ページ目でございます。第1「法曹有資格者の活動領域の在り方」についてでございますが、特に一つ目の白丸のところの3行目からでございますが、中間的取りまとめから変わりましたポイントといたしましては、新たな検討体制を置いて、さらに議論していくということが示されたところでございます。そういったところの意味で、ここにございますように、新たな検討体制の下、各分野の有識者等で構成された有識者会議を設け、その下に企業、国、地方自治体、福祉及び海外展開等の各分野別に分科会を置くべきであるということに示されて、それに基づいた修正が、それぞれ出されているような状況でございます。
 続きまして、7ページ目を御覧いただけたらと存じます。7ページ目は第2「今後の法曹人口の在り方」についてでございます。中間的取りまとめのときにも御説明をさせていただきましたが、司法試験の年間合格者数を3,000人程度とすることを目指すべきとの数値目標を掲げることは現実性を欠くというのが検討会議での御提言でございます。そして、上の箱の白丸、三つ目でございますが、さらに当面このような数値目標を立てることはせずに、次のパラグラフの「そのため」のところでございますが、新たな検討体制の下、その時点における法曹有資格者の活動領域の状況及び法科大学院、司法修習や弁護士に対する継続教育等の法曹養成制度の状況・規模等を踏まえ、法曹人口についての必要な調査を行うとともに、その結果を2年以内に公表すべきであるというような形での提言が最終的になされたところでございます。
 続きまして、11ページ目を御覧いただけたらと存じます。11ページ目は、第3「法曹養成制度の在り方」のうち、1番の法曹養成制度の理念と現状でございますが、(3)では、二つ目の白丸でございます。司法修習生に対する経済的支援の在り方につきましては、貸与制を前提とした上で、経済的な事情によって法曹への道を断念する事態を招くことがないようにするため、次の措置を実施すべきであるという整理がされた上で、3点、その具体的な措置が明記をされたような形で提言がなされているところでございます。
 続きまして、法科大学院のところは割愛をさせていただきまして、18ページを御覧いただけたらと存じます。3番の司法試験についてでございます。18ページの(1)の四角の中でございますが、受験回数制限制度につきましては、これを維持した上で、法科大学院修了又は予備試験合格後5年以内に5回まで受験できるよう、その制限を緩和すべきであるとの提言が最終的に取りまとめられたところでございます。
 続きまして、19ページでございます。(2)方式・内容、合格基準・合格者決定でございますが、四角の白丸にございますように、司法試験の短答式試験の試験科目を憲法・民法・刑法に限定すべきである。それに加えまして、論文式試験の試験科目の削減につき、選択科目の廃止を含め、その在り方について、予備試験との関係に留意しつつ、新たな検討体制において検討し、2年以内に結論を得るべきであるとの提言がまとめられたところでございます。
 続きまして、19ページから20ページにかけまして、(3)予備試験制度についてでございます。この20ページの一番下の黒丸の下から5行目あたりを御覧いただけたらと思います。そこで、4行目あたりでございますが、予備試験の在り方については、法科大学院修了者と同等の能力を判定するという位置付けを踏まえ、新たな検討体制において2年以内に検討し、結論を得ることとすべきであるということが最終的な取りまとめとして整理をされたところでございます。
 続きまして、21ページを御覧いただけたらと存じます。司法修習についてでございます。法科大学院教育との連携、司法修習の内容に関連しまして、四角の一つ目の丸の2行目からでございますが、現在、法科大学院の実務基礎教育の内容にばらつきがあることを踏まえると、各法科大学院において実務基礎教育の質を向上させることによって、その解消を図るとともに、司法修習の早い段階においても、同様の観点から、より一層実務に即した効果的な分野別実務修習を実施できるよう、司法修習生に対する導入的教育をさらに充実させることが求められるとされております。
 また、二つ目の白丸にございますように、最高裁判所においては、司法修習生に対する導入的教育や選択型実務修習を含め、司法修習内容のさらなる充実に向けた検討を行うことが求められるということで提言がまとめられたところでございます。
 続きまして、23ページを御覧いただけたらと存じます。5番、継続教育についてでございます。上の四角の箱の2行目からでございますが、法科大学院におきまして、各法科大学院の特色を生かした先端的分野等を学ぶ機会を幅広く提供したり、また司法修習終了直後の法曹有資格者に対する支援を行うなど、必要な協力を行い、継続教育の一層の充実を図るものとするべきであるとの提言がまとめられたところでございます。
 そして最後に24ページでございますが、第4といたしまして、「今後の法曹養成制度についての検討体制の在り方」について、新規で追加がされたところでございます。四角の箱でございますが、今後、本会議で結論が得られた施策については着実に実施し、残された検討課題については着実に検討を進めていくべきであり、これらを省庁横断的にフォローアップしつつ、検討課題について速やかに結論を得ることのできる新たな検討体制を整備するということで提言が整理をされたところでございます。
 以上、簡単ではございますが、検討会議取りまとめで中間的取りまとめから変わった主なポイントを御説明させていただいたところでございます。
 そのような中で、法科大学院について、本日特に御議論をいただけたらと思うところを整理させていただいたところでございまして、資料2-2を御覧いただけたらと存じます。「法曹養成制度検討会議において提言された各論点と中央教育審議会におけるこれまでの提言内容等の整理」と題しまして、資料の構成は左側に事項、それから法曹養成制度検討会議における提言内容を整理させていただきました。そして、特に本日は真ん中にございます、今後に向けた主な検討事項のたたき台を事務局で整理をさせていただきましたので、このあたりにつきまして、今後の中央教育審議会でどういう議論をしていくことが考え得るのかというところで御議論いただけたらと存じます。
 なお、右側の欄には、これまで中央教育審議会におきましても、ここで示された事項について、やはり様々な提言、報告等をおまとめいただいております。その中の代表的なものを抜粋させていただいておりますので、これまでの中央教育審議会、この特別委員会での御議論等も併せて御検討いただけたらと思います。
 それでは、内容について簡単に御説明をさせていただきます。まず1点目は、法科大学院の主に組織、また量についての課題についての提言でございます。事項は整理をさせていただいておりますが、入学定員の見直しについての提言でございますが、法曹養成制度検討会議におきましては、アンダーラインを付してあるところでございます。現在の入学定員と実入学者数との差を縮小していくようにするなどの削減方策を検討・実施し、法科大学院として行う教育上適切な規模となるようにすべきであるとの提言を頂いております。こういったことを踏まえまして、今後に向けての主な検討課題のたたき台といたしましては、真ん中の欄にございますように、その入学定員を削減するための具体的な方策、また法科大学院全体や授業クラスに関する適正規模などについての学生数の在り方に関しての検討をしていただくことが必要なのではないかと考えているところでございます。
 2点目に、公的支援の見直しについてでございます。検討会議におきましては、アンダーラインでございますが、現行の施策の効果を見極めつつ、これをさらに促進する方策を加速・強化する必要があるとの御提言が出ております。こういったことを踏まえまして、今後に向けての主な検討課題といたしましては、まずは公的支援の見直しの入学定員の削減、促進のためのこれまでの施策の効果の検証をしていただくとともに、公的支援の見直しのさらなる強化に関しまして御検討いただくことが必要なのではないかと考えているところでございます。
 続きまして3点目でございますが、上記施策が有効に機能しなかった場合の対応として、認証評価の厳格化も含めた検討が求められているところでございます。検討会議におきましては、この欄の一つ目の黒ぽつの上から3行目からでございますが、ただいま御説明した入学定員の見直し、公的支援の見直しといったこと、こういった施策を講じても一定期間内に組織見直しが進まないときは、課題が深刻で改善の見込みがない法科大学院について、法曹養成のための専門職大学院としての性格に鑑み、組織見直しを促進するため必要な法的措置を設けることとする。また、二つ目の黒ぽつにございますように、認証評価による適格認定の厳格化といった認証評価についての関係性も留意しながらという御指摘を頂いておりますので、今後の主な論点といたしましては、真ん中の欄にございますように、まずは現在行われております認証評価、2巡目に入っておりますが、この実施状況等における検証、また、その認証評価のさらなる改善、さらにはプラスして必要となる施策について御検討いただく必要があるのではないかと考えているところでございます。
 そして4点目でございますが、法科大学院の浮揚策についてでございます。検討会議におきましては、この欄にございますように、アンダーラインでございますが、法科大学院の浮揚に向けた総合的方策を展開することが必要であるとの御提言がございます。
 具体的には、真ん中にございますように、主な検討としては、法曹養成のための充実した教育ができる法科大学院に対する特色ある先導的教育の推進方策に関する検討、また二つ目の黒ぽつにありますように、教育資源を有効活用した大学院の連携・連合の促進方策に関する検討といったものが必要なのではないかと考えられているところでございます。
 続きまして、1枚おめくりいただければと存じます。2枚目のペーパーにつきましては、今度は法科大学院における教育の質向上の観点から御提言が出ているところであります。上の欄でございますが、一つ目といたしましては、共通到達度確認試験など成績評価・修了認定の厳格化についてでございます。検討会議の提言といたしましては、一つ目の黒ぽつにありますように、中央教育審議会で御議論をしていただいて、ワーキング・グループとしての報告はまとまっておりました「共通到達度確認試験(仮称)」の導入を早期に実現することを目指すべきであるとの御提言を頂いております。また、二つ目の黒ぽつにございますけれども、こういった共通到達度確認試験(仮称)の性格付けをしっかりと整理をした上で、真ん中あたりでございますが、これを法学既修者にも活用できるものとして整備することを検討。また、法律基礎科目の試験については、その結果に応じて司法試験の短答式試験を免除することを想定して適切に制度の整備を進めるべきであるとの御提言を頂いております。このような御提言を踏まえまして、真ん中の欄でございますが、中央教育審議会におきましては、法曹養成制度検討会議の取りまとめを踏まえて、「共通到達度確認試験(仮称)」などを含めた、この到達度確認の仕組みに関する基本的設計について御議論いただくことが必要なのではないかと考えられているところでございます。
 続きまして、真ん中二つ目でございますが、法学未修者教育についてでございます。検討会議におきましては、アンダーラインでございますが、法律基本科目をより重点的に学ぶことを可能とするためのシステムの改善を検討することが求められているところでございます。そういうことも含めまして、真ん中にございますように、法律基本科目を学ぶことができる仕組みの見直し、そういった検討に着手していく必要があるのではないかと考えているところでございます。
 以上が法科大学院についての量、質について直接的に御提言いただいた箇所でございますが、実は検討会議の報告書の中には、他の箇所でも法科大学院に関係する御指摘を幾つか頂いております。それが最後の箱三つ目でございますが、その他法科大学院の教育に関する事項でございます。
 まず一つ目としては、検討会議の中の提言の黒ぽつ一つ目でございます。法科大学院におきまして、エクスターンシップ等の取組を充実させていく中、またそういったことも含めて、法曹有資格者の活動領域拡大に向けた積極的な取組を行うべきであるとの提言を頂いております。
 また、二つ目の小さな黒ぽつでございますが、これは時間的なコストがかかるのではないかという御指摘の中で、検討会議といたしましては、法学部教育も含めた養成期間の短縮、例えば飛び入学等の積極的な運用が考えられるのではないかということでの御提言を頂いております。
 また三つ目の黒ぽつでございますけれども、司法修習との関連におきまして、法科大学院において実務基礎教育の質を向上させることによって、その内容のばらつきを解消していくことを図るべきではないかという御提言を頂いているところでございます。
 また最後の小さな黒ぽつでございますが、法科大学院において、各法科大学院の特色を生かして、継続教育機関としての役割を果たしていくことが期待されるということでの御指摘を頂いております。
 こういったことを含めまして、今後の中央教育審議会におきましては、法曹有資格者の活動領域の拡大、それから飛び入学、場合によっては早期卒業も含めて、そういった時間的短縮の議論、また法科大学院における実務基礎教育の質の向上、また継続教育への関与の仕方といったことについて御検討いただけたらと考えているところでございます。
 事務局からの説明は以上でございます。御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。

【井上座長】
 ありがとうございました。法曹養成制度検討会議のこの取りまとめにおいて指摘されている論点の中には、これまで本委員会としても検討してきた、あるいは提言してきた内容と重なる部分がかなりありますが、それとともに、今後新たに検討していく必要があると思われる部分も少なからずあります。
 ただいまの事務局からの説明に対する御質問、あるいはこの資料2-2に対する御意見がありましたら御発言いただければと思いますが。

【片山委員】
 慶應大学の片山でございます。つい先頃、本年度の適性試験の受験者数のデータが公表されまして、昨年度から比べますと、ほぼ1,000人減という非常にショッキングな情報が伝えられております。このような言い方は、良くないかもしれませんが、制度として、かなり破綻状態にあるという認識を非常に強くいたしました。やはりスピーディーに、きちんと再生の青写真を提示する、そういう必要があるのではないかと改めて感じたところでございます。
 基本的に今回の法曹養成検討会議では2年を目安にという御意見ではありましたけれども、国民の目から見ますと、この2年という期間はいささか長すぎるという印象を受けたのではないかと推察しております。
 それからもう1点は、やはり、仮に再生をしていくということでありますと、明確な数値目標が必要ではないかと思います。例えば入学定員の見直し等に関しましても、最終的な司法試験の合格者数がまだ明確でないという点はあるのかもしれませんけれども、法科大学院全体としまして、最終的な司法試験の合格率を、例えば80%を目指し、そのために入学定員を日本の全国のロースクール全体として何人にすべきであるというような形での、ある種の数値目標を今後議論して明確にしていく必要があるように思います。

【井上座長】
 後者の数値目標については、なかなか難しいところがあって、御承知のように、今の司法試験制度は、数を決めて合格者を決めているということではなく、あくまで試験の結果に基づいて一定の水準以上の力がある人を合格させるという仕組みなものですから、例えば2,000人なら2,000人に必ずしろというふうには言いにくいところがあります。
 スピード感の点については、今後どういう体制が組まれて、どういう工程に従って進めていくのかは、まだ分からないところです。まだ関係閣僚会議で決定がなされておらず、検討会議の報告が出たという段階なので何とも言えないのですけれども、今、片山委員がおっしゃったような見方をする人がかなり多いだろうと思います。その意味で、2年以内とはされていても、実際には、スピードアップして作業が行われる可能性も大きいというふうに私は見ていますけど。

【笠井委員】
 私も片山委員のおっしゃった数値目標ということについては、強くこれを必要とするんじゃないか、こだわるべきだと考えています。といいますのは、全体的に、法曹となろうとする者、そういう意欲を持つ者の法曹界への参入の意欲が乏しくなってきている、志望者数が急激に減っていることに鑑みると、例えば8割合格、75%合格といった数値を具体的に明示して、かつ、それとの関係で入学定員の数字を出していくことが受験者、法曹となりたいと意欲する者にとっての心強い指標となると考えるからです。
 例えば韓国については具体的な数値が示されています。それが全面的に成功しているかどうかは別の問題でありますけれども、少なくとも日本の現況を評価をしつつ、韓国として採用できる方法をとっている点に照らしてみると、日本においても、数値目標を立てて具体的に努力していくことが、むしろ必要なんじゃないかと思います。
 先ほどの座長がおっしゃった点もよく分かりますが、あえて座長のお言葉に逆らうとすれば、むしろ数値目標を立ててやっていくべきだと考えています。

【井上座長】
 私自身が、そういう考え方をとっているというわけではなく、現行の制度はそうなっているということを申しただけです。ですから、そこの考え方を大きく変えないと、なかなか難しいのではないかということです。
 また、韓国のことですが、確かにロースクールは全体で1学年2,000人の定員で弁護士資格試験では年1,500人受からせることにして、実際にもそれに近い数を合格させているのですけれども、これは75%を超える合格率です。しかし、受からない人が累積してきますと、その合格率はどんどん低下するだろうということにも留意する必要があると思います。それに、去年、法科大学院協会と向こうの法学専門大学院協議会とが共催した共同シンポジウムで、韓国法務部(日本の法務省に相当)の担当課長からお話を伺いましたけれども、この数字は、新制度に切り替えたばかりなので、試験結果のどの辺を合格ラインとすればよいのか分からないため、とりあえず何年間かは、この数字でやってみて、その実績を踏まえてあるべき合格ラインを定め、そこからは、絶対的な評価にしていくことを考えているということでした。従って、未来永劫にこの数字が続くということでも必ずしもないということをお含みおきください。
 ほかの方、いかがでしょうか。

【樫見委員】
 1枚目の一番最後の法科大学院の浮揚策の中に、教育資源を有効活用した大学院の連携・連合ということが検討事項にありまして、左側の法曹養成検討会議の中では、教育資源を有効活用した改組転換、こういうことも含められていまして、ここら辺のところは法科大学院、独立大学院という枠組み、あるいは現存する研究科といいますか、大学院組織の改組みたいなところまで一歩踏み込んだことも含んでいるのでしょうか。
 つまり、法科大学院は、やはり一定規模の学生さん、教員、専任教員、抱えていますけれども、それらがだんだん入学定員を減らしていきますと、地域の法科大学院というのは、なかなか独立した法科大学院として存立させることが、かなり厳しい状況になるかと思うんですね。
 そういたしますと、現在の法科大学院、独立的な在り方というところまでも一歩踏み込むというか、検討の中に入るんでしょうか、そういう在り方そのもの。そこまでは踏み込まない。結構微妙な問題かとは思いますが。

【井上座長】
 独立した部分を見直すというのは、どういう御趣旨でしょうか。

【樫見委員】
 通常の従来の大学院、研究者養成でありますとか、社会人のリカレントとか、様々な形での大学院もございますが、それとは独立した形で、通常の大学院ですと学部の教員と兼任という形がございます。ところが、専門職大学院の場合には、学生は法曹養成に基本的には特化して、教員も基本的にはそこでだけ教えると。つまり、ほかの大学院とは切り離した形で独立運営というのが当初からの基本的な発想なんですけれども、この点については従来どおりで、そこは踏み込まない。

【今井専門職大学院室長】
 今の樫見先生の御指摘、よく分かる部分がございまして、恐らく、まずは専門職大学院制度そのものの起因している部分といたしましては、やはり高度専門職業人を養成するという観点から、教員組織、またその大学の教育組織としては、他の専攻とは独立をした形で維持することが制度の趣旨となっております。
 そういった意味で、例えば教員のダブルカウントなどは、その制度が安定的になるまでは認めておりましたけれども、一応なくしたという意味で、かなり独立性の高い組織を作るということで進んでいるのは、全体としてございます。
 一方、そことうまくつながるかどうかというのは、まさにいろいろ検討していかなければならない部分ではあるのかもしれませんが、ここで出ている浮揚策とか、教育資源の有効活用のイメージといたしまして、資料3-1を御覧いただけたらと思います。また後ほど事務局から全体的には御説明いたしますが、その資料3-1の一番最後のページでございます。この資料3-1自体は、実は法曹養成制度検討会議、この5月、6月に開かれたときに、私ども文部科学省から状況御報告等も含めて提出した資料でございますけれども、一応、法科大学院浮揚のための具体的なイメージということで、こういったことを考えていかなければならないのではないかということを御提案したようなところでもございます。
 その中で、この大きな絵の中の、現状が大変規模が縮小し志願者が減少していくという悪循環にあるのではないかと。これを脱却するためには、一つはトップ層、若しくは、そもそも法科大学院が狙っていた先導的な教育、特色あるものを引っ張り上げていく必要があるんじゃないかという観点とともに、今の御指摘は教育資源の有効活用というところで、例えば今の教育資源、教員の先生方をうまく集約した形で運用、法科大学院の教育の質の向上に資することができないかということで、例示のところでございますけれども、実績のある教員の派遣などを通じて、法科大学院全体としての教育の充実・強化を努めるような取組が考えられないか。
 若しくは二つ目の丸にございますように、理論と実務に通じた大学教員の養成とか、そういった供給機能の強化みたいなことで、その資源をうまく集約していくようなイメージをこれから練っていこうということも提案としてございますので、今の制度でどうこうということと、まさに運用とかを含めた取組をどうマッチングさせるかというのは、まさに御議論の中で是非御指摘いただけたらありがたいかなと思っているところでございます。

【井上座長】
 ほかの方はいかがでしょうか。どうぞ。

【日吉委員】
 多分これから我々がいろいろと検討していかなきゃいけないことの一つなのではないかとも思うんですけれども、今までやってきた、急いで何とかしなきゃいけないといって入学定員の見直しをしたり、公的支援の見直しを、その項目を増加させたり、組み合わせを考えたり、そういうことを既にやってきております。それの、とりあえず目指してきたことは、端的に誤解を恐れずに言えば、とにかく合格率を何とか上げなきゃいけない、成果を出さなきゃいけないといったような方向性で働いてきた要素がすごく、そういう要素を選んできたと言えるんじゃないかと思うんです。
 ところが、今、まさに資料3-1でも浮揚のためのいろんな具体策を考えていかなきゃいけないというふうに考えたときに、結局は法曹を目指す人にとって魅力的なシステム、魅力的な制度、魅力的な教育を盛り込んでいかなきゃいけないということが、多分ここに書かれています。
 そうしますと、今まで公的支援を見直すときの要素、それから定員を見直して、ある意味で言うと入り口を締めるようなやり方、そういったことと魅力を盛り込んで人を引き付けるようなものを法科大学院に特色として持たせていこうという方向とは、ちょっと相入れないのではないか。少なくとも今までの要素では、例えば認証評価の評価基準であったり、公的支援の見直しの要素であったり、そういう人を引き付けていく新しい魅力というものを外に向かってアピールしていくような要素はあまりなかったのではないかと思っております。
 ですから、もし改めて今後また公的支援の見直しを考え、入学定員の見直しの規模をどう考えるか、あるいは浮揚策をどう考えるかというときに、認証評価の項目も含めて、これからの法科大学院が、もちろん、その中には合格率を改善しなきゃいけないというような、基本的な教育をきちんとしなきゃいけないという要素を残しつつも、どれだけ魅力的な教育という観点から、今、法曹を目指す若者からそっぽを向かれそうになっているところを改善していくような要素を盛り込めるかというところを、これより以上に心を砕いて入れていかなければいけないのではないかと感じました。
 感想です。すいません。

【井上座長】
 恐らく、矛盾はしていなくて、これまでやってきたことは、社会その他関係方面から、法科大学院の教育を中心に様々な御批判があり、当たっているものもあれば当たっていないものもあると思うのですけれども、それに対してミニマムのレベルを保っていかないと社会の信頼を勝ち得られないと考えられることから、そういうところに焦点を当てて公的支援の見直しを含め抜本的な改善を促そうとしてきた。しかし、それだけでは、法科大学院、さらには法曹全体としての魅力というのは回復せず、ますます失われていくわけです。それは法科大学院だけの問題ではなく、これまでこの問題をめぐって、例えば弁護士資格を得ても就職難であるとか、収入が下がったとか、もう満杯で若い人は要らないとか、そういうことが法曹、特に弁護士自身の間から盛んに言われてきた。そういうこともあって、世間の人たちから見ると、法曹界ってそういうところなんだというイメージが形づくられてきていて、それが若い人、あるいは御家族も含めて、この方面に進学したり、進ませようという気を失わせてきているというところがあるように思うのですね。
 それに対して、いや、ちゃんとやっているところはちゃんとやっているし、法曹というのはこんなにやりがいがあるプロフェッションですよということを発信していかないといけない。それに向かって一生懸命努力する、あるいは特色ある教育をしようとするというところに、お金ですとかいろんなものを支援していこう。そういう趣旨だと思うのです。
 ですから、認証評価にそれがなじむかどうかはなかなか難しいところがあって、これに絡めることができるのかは、慎重な検討が必要だと思います。

【笠井委員】
 日吉委員と樫見委員がおっしゃったことと関係しますが、これまで我々が議論してきた公的支援の見直しは、言葉は悪いけれども締めつけと見られないわけではありませんね。そして、法科大学院の制度の全体的な問題状況としては、規模の縮小、志願者減という悪循環に陥っている状況がある。悪循環を絶っていくには、むしろ法科大学院相互の連携強化によって教育資源を有効に活用する、全体の質向上に資する必要がある。これは資料3-1にありますけれども、このようなことを念頭に置いて、同時にこれを実行していかなきゃいけない。
 例えば入学定員の見直しをとっても、その中では法科大学院相互の連携強化、質の高い教育をやっている法科大学院からの援助、温かい手の差し伸べというものも関わりをもっている。むしろ全体として法科大学院の制度の浮揚を念頭に置いて、法科大学院における教育を向上させ、全体としての制度にとりプラスに作用する方策を積極的にとっていかなければならない。これらを、全体の施策の中でそれぞれ関連付けて、法科大学院を個別にも、その結果全体的にも積極的に押し上げるプラスの施策と、他方、改善が期待できない法科大学院が対象になる、マイナスというか残念ながら厳しい施策、そういう意味で硬軟取り混ぜた非常に多面的な政策をとる必要があるんじゃないかと思います。

【長谷部委員】
 資料2-2の2ページ目の一番最後の箱のところなのですけれども、二つ目の黒ぽつのところでございます。法学部教育も含めた養成期間の短縮ということがあります。例えば飛び入学等の積極的な運用も考えられるというところなのでありますが、そもそも法曹養成期間の標準的な期間が何年が適切なのかということを本来、もう少し議論するべきなのかなと思うのですが。未修者教育についてこれまで指摘されていますように、3年標準が必ずしも効果を上げていないのではないかということを考えますと、一体現在の3年というのがロースクールでの適正な養成期間と言えるのかどうかと、そういう問題もあると思うのですが、そこのところは議論しないという御趣旨なのかということが一つであります。もう1点は、「例えば飛び入学等」とあるところです。「等」と書いてありますけれど、検討事項の中では「飛び入学」と書かれているのですが、法学部も含めた養成期間の短縮ということでいえば、現在3年次卒業なども導入しているところは結構ありますので、それもあり得るはずでありまして、飛び入学だけ特にここで取り上げるのはなぜなのかなと。この2点について伺えればと思います。

【今井専門職大学院室長】
 まず、こちらの二つ目の小さな黒ぽつのところは、基本的には法曹養成制度検討会議の取りまとめの中では、やはり志願者を回復していくためというところの考え方の中の、例えば時間的な制約等をどう考えるのかというパーツの中で出てきた指摘を引っ張ってきて出しているだけでございますので、流れとしては、そういうことではございました。
 ただ、やはり、このとき考えなければいけないのは、今、学部4年、それから法科大学院標準コースが3年、さらに既修認定を受けた者は2年ということでの議論をどういうふうに組んでいくのかは、確かに議論があろうかとは思います。ただ、検討会議の御指摘としては、時間的なコストをどうするかという観点でのポイントだったというのを一つ御紹介をさせていただきます。
 その上で、この「飛び入学等」の「等」は当然、まさに早期卒業のことを書いておりまして、何もそれを排除するつもりはなく、まさに大学院側がそれを受け入れるのか、若しくは学部側で、3年で卒業できるようなカリキュラムを組んでいくのか。そこについての検討をさらに進めていくことができるのではないかと思っているところでございます。

【井上座長】
 今の第1の点との絡みで申しますと、未修者については3年でも無理なんじゃないかという議論もありました。ただ、それは人によって違ってくる。未修者についても、4年にすればいいのかというと、全員が全員それに適合しているとも思えない。ですから、カリキュラムの中身については、個々の人のニーズに応じて、もっと柔軟化を図るべきで、もっと時間を掛けた方がいい人は時間を掛けるし、もっと早くできる人は早くした方がいいのだろうと思われるわけです。
 その早くした方がいいのは、未修者だけじゃなく、学部を早期に修了ないし飛び級して法科大学院に進む人を増やすということも一つ考えられることだろうと思います。
 このように多様なニーズがあるので、それに合わせた柔軟な仕組みを、考えていかないといけない。そういう意味では、統一した考え方になっていると思います。
 鎌田委員、何かございますか。

【鎌田委員】
 今の点に関しましては、やっぱり法曹を目指す若者が大幅に減っている原因をいろいろ探る中に、時間が長過ぎる、費用が掛かり過ぎるというのが一つの要素としてあるのではないか。そこを、ちょっと短縮する方策を考えてはどうかというふうな御提言があって、それに対しては、既に飛び入学、早期卒業で一定の対応をしているんだということを、もうちょっと一般的に御認識いただくのが大事だと思います。
 非常に派生的なことなのかもしれないんですけれども、座長がおっしゃられたように、法科大学院に進んできて、法科大学院の中で学ぶ人にも、すごくいろんなタイプの人がいて、未修者であっても非常に早い、短い期間で大きな成果を上げて、既修者をしのぐ成績で卒業していく人もいれば、やっぱり、じっくりと時間掛けないといけない人もいる。
 そういう中で一つ、だんだん全体が既修者重視に変わってきている中で、これがいいことか、悪いことかの評価に違いはあるかもしれませんけど、既修者のクラスで、法学部で早期卒業、飛び入学をした人は既修者クラスに入れるべきでないという申し合わせが発足時にあって、我々もそれに従って運用もしてきたんですけれども、今のような状況を前提にすると、少なくとも早期卒業した人、場合によっては飛び入学をした人でも既修者クラスに入れてもいいのではないかということもあって、その辺で発足当初のやや抑制的な部分も緩めていいということも、この中の一部には入っているというふうに私は認識をしているところでございます。

【井上座長】
 私の記憶では、正規の取決めとか申し合わせというまでのものではなかったと思いますが、特に飛び級については、学部を修了していないので、未修の方に入るべきというふうに考えられていたことは、そのとおりだと思います。早期修了の方は、学士号を取っていますので、未修の方に入らなければならないという理由は必ずしもない。しかし、飛び入学については未修者に入るべきだという認識が共有されていたことは事実だろうと思います。
 以上御議論いただきました検討会議の取りまとめにつきましては、関係閣僚会議が近く開催され、政府として一定の結論が示される予定だと伺っておりますが、本委員会におきましては、政府における検討結果や政府に設置されるとされている新たな検討体制との関係にも配慮しつつ、本日御指摘のあった御意見をも踏まえ、引き続き法科大学院教育に関する必要な改革の具体化に向けて、さらに検討を進めていきたいと考えます。
 次の議題ですけれども、今御議論いただきました法曹養成制度会議における指摘事項の中でも特に早急に検討を進める必要がある事項として、法科大学院の組織見直しのさらなる促進方策というものがありましたので、これについて御議論いただきたいと思います。
 その取りまとめにおいては、課題を抱える法科大学院の自主的な組織見直しを加速させるためにも、公的支援の見直しの方策をさらに強化すべきである旨の指摘がなされているわけで、当委員会としても、その点についての基本的な考え方を整理する必要があると思われますので、本日は、委員の皆様からも自由討議の形で御意見を伺えれば幸いです。そのための資料を事務局の方で用意していただいておりますので、まずは、それについて事務局より御説明をお願いしたいと思います。

【今井専門職大学院室長】
 それでは、事務局より説明させていただきたいと存じます。
 資料は3のシリーズでございますが、まずは資料3-1を御覧いただけたらと存じます。これは法曹養成制度検討会議の第13回、第14回で、文部科学省より説明をさせていただいた資料でございます。
 まず1ページ目でございますが、まず平成25年度の入学者選抜の状況を、前回のこちらの法科大学院特別委員会でも御説明いたしましたように、赤い四角で囲ってあります平成25年度のデータにつきましては前年度、またピーク時と比較いたしましても、大変厳しい数字の状況になっているということが見てとれるかと考えております。
 そして、1枚おめくりいただきまして2ページ目でございますが、こういった中で特に入学定員、それから入学者、まさに実入学者数でございますが、近年の制度発足時以来の経緯、経過を整理したグラフでございます。平成18年、平成19年あたりでオレンジ色の入学定員、それから小豆色の実入学者数、それぞれピーク時がございました。ただ、こういった非常に規模の大きいものに対しましては、上の箱にございますように、入学定員の削減の議論につきましては、この中央教育審議会でも平成21年度にお示しいただいた上で、平成22年度から、全ての法科大学院が入学定員の削減にまず着手しましたので、現在は約30%のピーク時からの減になっております。また、競争倍率をしっかり維持して、入学者の質保証を確保しようということで、競争倍率の確保という政策も打ってまいりました。このため、合格者数を抑制し、実入学者数も大幅に減少してきたという傾向にありまして、現在は50%強の減となっております。その上で、例えば昨年の公的支援のさらなる見直しで、入学定員の充足率の確保といったものを取り組むことで、定員の削減について促してきたところでございまして、そういった政策が様々効いた上で、この経緯になっているのだろうと考えております。
 ただ、平成25年度のデータを御覧いただけたらと存じますが、入学定員の減につきましては、また後ほど御説明いたしますが、4,261人というところで、近年少し、そのスピードが落ちております。一方で実入学者数につきましては、その減少傾向に歯止めが掛からない状況が続いているということで、現在、入学定員4,261人に対して実際の入学者数が2,698人ということで、その乖離が非常に大きくなっております。また、この傾向が止まらなかった場合には、やはり平成26年、平成27年、平成28年と、今後さらにどういった状況になるのか、そういったことも視野に置いて、しっかりとした対策をとっていく必要があるのではないかと考えております。規模縮小と志願者減の悪循環を脱却して、制度安定化に向けて法曹養成基盤の確立に向けた検討が必要ではないかということを検討会議にも私どもの方から御説明させていただいた次第でございます。
 こういった現状の中で、3ページ目でございますが、現在取り組んでいる組織見直しの方策についても御報告をしております。
 一つ目は、公的支援のさらなる見直しに基づきまして、26年度の入学定員の見直しの実施を進めていること。また、二つ目には、この特別委員会の下にワーキング・グループを置いていただきまして、教育改善などを通じて、場合によっては、そういった組織見直しの取組まで促進をする、そういった取組をしてまいりました。また、三つ目でございますが、全ての法科大学院に対しまして、文部科学省から現在の厳しい状況等の情報提供、また入学定員の適正化、組織見直しを含めた検討も要請をする、そういった取組を進めてきたということでございます。
 ただ、こういった数に対して厳しく取組を促していくという取組とともに、先ほど御覧いただきましたように、現状、大変厳しい状況で進行しているという観点の中から、併せて4ページ目にございますように、法科大学院の浮揚のための具体的な方策。言うなれば、厳しく相対する政策と、一方で、この制度自体が安定化し、さらに良き制度になるように、浮揚のための具体的な方策も考えていかなければいけないのではないか。そういった観点から示させていただいたものでございます。内容は、先ほど御説明しましたように、特色ある先導的教育として、例えばグローバル化対応、また民間・公務部門での人材育成、また継続教育といった特色ある先導的教育の推進。また一方で、底上げという観点では、教育資源の有効活用ということで、大学院の例えば連携・連合の促進なり、教育資源の高度化ということを考えていくべきではないかと。そういったことを通じまして、制度安定化によって法曹養成基盤を確立する。ひいては、優秀で多様な人材を法曹への確保を目指していくと。そういったことに取り組んでいく必要があるのではないかということを、検討会議の場で御報告をさせていただいたところでございます。
 こういった中で、特に資料3-2を御覧いただけたらと思いますが、この入学定員の、特に規模の部分での見直しの状況についてです。
 公的支援のさらなる見直しの仕組みの中で、平成26年度の見直し内容を事前に、この6月の末までに各大学から文部科学省へ回答頂くような仕組みを設けておりました。その結果が判明しましたので、まず御報告をさせていただきたいと存じます。
 入学定員の平成26年度、これは予定でございまして、各法科大学院から文部科学省に報告されたものでありますので、今後変更の可能性もあるかもしれませんが、おおよその数字が把握できました。一番下のラインを御覧いただけたらと思いますが、平成26年度の予定で、前年度比で452人の減を、各法科大学院から頂くことになりました。その結果、平成26年度の予定ではございますが、入学定員は、このままいけば3,809人ということで、4,000人を切る数字になるのではないかということでございます。ピーク時から見ますと2,000人の減が、入学定員ベースでできたということでございます。
 この資料を横目で御覧いただきながら、資料3-3を御覧いただけたらと存じます。現在、平成26年度の入学定員減が、こういった形で見えてきたものでございますが、こういった入学定員、それから組織見直しの施策が今までどういう形で進捗してきたのかを時系列、政策と並べながら整理をした資料が3-3でございます。
 真ん中の平成19年の一番真ん中、入学定員でございますが、ピーク時は5,825人でした。これに対しまして、この入学定員をどう下げていくのかという検討を、平成21年の施策の欄でございますが、中央教育審議会におきまして、この入学定員の見直しについて提言を頂いたところでございます。
 この平成21年の提言を踏まえまして、入学定員の欄で申しますと平成22年、平成23年でございますが、それぞれ対前年度比で856人の減、それから平成23年度で申し上げると338人の減、おおよそ1,200人の減ということで、各法科大学院全てに、この入学定員の減に取り組んでいただいたということでございます。その結果、平成23年の段階で4,570人まで入学定員の減を図ることができたという状況でございます。
 さらに併せて、若干上に戻っていただきますが、平成22年の9月には「公的支援の見直しについて」のスキームを発表させていただきました。ここでは、司法試験の合格率、それから入学者選抜における競争倍率を指標とした上で、自主的、自発的な組織見直しを促していく。そういった枠組みとして公表させていただいたわけでございます。ちょうどその平成22年の頃からでございますけれども、学生募集停止として、初めて姫路獨協大学法科大学院が募集停止を公表され、そして平成23年、平成24年と、ここに書いてございますように、それぞれの各大学で募集停止を表明されるといった動きが生まれてきたわけでございます。
 そういった中で、入学定員自体につきましては、その平成23年から平成24年にかけまして、少し定員の削減のペースが落ちております。前年度比で87人の減ということでございます。さらに、平成25年度におきましては前年度比223人の減ということで、それまでの平成22年、平成23年の減に比べては少ないところでありますけれども、若干加速をしているといったデータになっております。
 なお、この平成25年の前年度比223人の減というのは、実は、右側の学生募集停止をされた大学のうち、大宮法科大学院大学、それから明治学院大学、駿河台大学、神戸学院大学がそれぞれ25年4月から募集停止をしたということでございまして、それぞれの募集停止の数字、合わせますと173人でございます。結局、この223人のうちの77%は、募集停止で生み出されてきた人数ということになっております。
 そういった流れの中、平成24年度の施策の欄を御覧いただけたらと存じますが、昨年9月に「公的支援の更なる見直しについて」を公表し、この中で特に大きな改革としては、入学定員の充足率という指標を新たに加えたことでございます。また、この平成25年、本年度に入りまして4月、5月、6月にかけまして、文部科学省から、全ての法科大学院に対しまして、先ほどのような形での入学定員の見直し、また組織見直しの検討の着手もお願いをさせていただいているところでもございます。
 最終的には平成26年の入学定員の欄でございますけれども、先ほど御報告した452人の減。恐らく来年には3,800人台での入学定員の規模になることになるのではないかと考えているところでございます。なお、この452人の減のうち、募集停止という観点で減になるのは、東北学院大学、それから大阪学院大学からの60人でございますので、残り約400人弱は、各法科大学院がそれぞれ御検討いただいた上での入学者の減、定員の減になっているという状況でございます。
  その後、資料3-4を御覧いただけたらと存じます。こういったような形で、それぞれの政策、また入学定員の進捗の状況が見えてまいりました。一方、法曹養成制度検討会議の取りまとめにおきましては、繰り返しになりますが、抜粋を用意させていただいております。
 上から黒ぽつ二つ目でございますが、ここに、いわゆる法科大学院の入学定員の削減の方向性について、現在の入学定員と実入学者数との差を縮小していくようにするなどの削減方策を検討、実施すべきであるという提言でございます。平成25年度ベースでは、先ほど御説明しましたように、入学定員4,261人に対して実入学者数2,698人です。その差は1,563人ということで、大変大きな開きがあるという状況です。ただ、平成26年度入学定員が、先ほど出ましたように450人の減となっております。ですから、来年の実際の入学者数がどうなるのかというところにもよりますけれども、こういった実入学者数と入学定員の差をどう埋めていくのか、それが大きなポイントになろうかと考えております。
 また、上から三つ目の黒ぽつにございますように、現在、公的支援の見直し、これを実施しておりまして、これまでに8校が募集停止、またそれを公表している状況でございますが、検討会議の見立てといたしまして、やはり、まだ深刻な課題を抱える法科大学院は存在するだろうということで、現行の施策の効果を見極めつつ、これをさらに促進する方策を加速・強化すべきであるという御提言を頂いているところでございます。
 こういったエビデンス、また検討会議での大きな指摘を踏まえまして、資料3-5でございますが、この法科大学院の特別委員会におきまして御検討いただきたいと考えておりますのが、「公的支援の更なる見直し」の強化に関する論点整理でございます。ここは、あくまでたたき台として本日用意をさせていただいておりますので、ここに示したもの以外でもいろいろあれば御指摘いただければと思いますが、大きな論点は3点ほどあるのではないかと考えているところでございます。
 主な論点は、丸1番でございます。減額の対象額に関しまして、現行は法科大学院の設置時に措置した額、学生経費相当分を除いた上で、これを考慮して減額調整をするという仕組みになっております。ただ、これを強化する観点から、こういった減額方法、金額でいいのかどうか。その考え方、方法について、見直しをどう考えていくべきなのかというところで御議論いただけたらと存じます。
 二つ目のポイントは丸2番でございます。抜本的な組織見直しを強く促していく観点から、例えば、平成27年度以降、学生募集停止、改組といった抜本的な組織見直しを決定した法科大学院に対して、仮に今回考えなければならない「公的支援の更なる見直し」の強化策について、その適用の在り方に関して何か工夫をすることで、その抜本的な組織見直しを促していくことができないかということで、御検討いただけたらと考えております。
 また三つ目につきましては、近年の入学者数の減少傾向が大変歯止めの掛からない中、一方で入学定員の見直しをしっかり行うべきであるという強い要請が出ております。そういった中、特に公的支援の見直しの仕組みの中では三つの指標を組み合わせておりますが、そのうち入り口の指標でございます競争倍率、入学定員充足状況等のこの指標の扱いについて、さらに検討していくことが何かできないかどうか。そういったあたりで御検討いただけたらありがたいと考えています。
 こういった主な論点三つに加えて、さらに、それ以外に考えられるものといたしましては、丸4番、丸5番にございますように、例えば減額の方法、現在、合格状況と競争倍率の指標が重なった段階が一番厳しい減額とした上で、それから指標の該当状況に応じて2分の1ずつ減額する取組をとっておりますけれども、強化する観点から、こういったやり方がそのままでいいのかどうかという点での御議論。また、「公的支援の更なる見直し」を強化した場合には、ある意味、極めて厳しい措置になることも考えられますので、こういったものをどういった形で適用を進めていくべきなのか。そういったところでの考え方の整理をしていいただく必要もあるのではないかと考えているところでございます。
 事務局で用意したたたき台が、この資料3-5でございますが、この場で御議論を是非いただけたらと考えております。
 なお、資料3-6は、これまでの公的支援の見直しの昨年9月に発表した資料でございますので、適宜御参照いただけたらと存じます。
 
【井上座長】
 それでは、ただいまの説明等も踏まえまして、法科大学院の組織見直しのさらなる促進方策について、御意見あるいは御質問等を頂ければと思います。ただいま事務局から示された論点をも意識しつつ、御意見を賜ればと思います。どなたからでも。

【笠井委員】
 中身の問題ではなくて、議論の方法としてどうするかということだと思うんです。
 次の議題にもワーキング・グループの設置等の提案もあると思いますので、各検討項目については、それぞれのワーキング・グループが設置されることになると理解しているんですけれども。
 親委員会である法科大学院特別委員会とワーキング・グループとの関係について、意思疎通が頻繁に図れることを期待しています。ワーキング・グループの委員になられる方もいらっしゃるかと思いますが、それのみならず、親委員会の委員もそこに積極的に参加し、それから親委員会全体としてのフリートーキングの場も頻繁に設けていただきたいと思っているところです。
 内容的には、また議論する機会があるかと思いますので、検討の場、形式について、ちょっと私なりの希望を述べておきたいと思いました。

【井上座長】
 全体での議論の仕方、あるいはワーキング・グループが設けられたとして、そのワーキング・グループ自体の検討の仕方や、ワーキング・グループと全体との行ったり来たりということについても御意見をも踏まえて考えさせていただきたいと思います。
 ほかの点でも結構ですけれども、御意見があれば。

【片山委員】
 公的支援の措置に関しましては、ここまで文部科学省及び関係法科大学院が大変な努力をされて、一定の成果を上げてきたということができるでしょうが、他方、この点だけで、制度を良くするのも難しいところだと思います。その意味では、この公的支援の措置の見直しに関しては、既に一定程度の機能を果たしているという肯定的な評価をした上で、これ以上強化については慎重に対応すべきではないかと考えます。今、実際に学生がそこで学んでおりますので、その学生に対する影響、質の低下も懸念されます。むしろ、後に出てくる法的な措置を一体どのような形で行うのかというビジョンを早い段階で提示して、それを目標に各法科大学院が努力を重ねていくことの方が適合的ではないかという印象を持っております。

【鎌田委員】
 今の御意見ももっともだとは思うんですけれども、一つは、法的措置ってどんなものがあるのかが、まだ具体的なイメージがないんですけれども、できる限り、やはり法的措置に頼る前に状況が改善するということを目指した方がいいと思いますし、仮に法的措置をとられるとなっても、どんな場合に法的措置をとるかというと、その指標を作るときには、やっぱり、これと似たような考え方がとられざるを得ないのかなと思いますので、ある連続した考え方で誰もが納得できるような基準を作っていって、その基準に反した場合には公的支援の打ち切り、あるいは削減ということを通じて、法的措置をとるに至る前に、自主的な対応ができることが望ましいのかなというふうにも考えているところです。
 ただ、一つ、現実の状況に照らしたときに、その競争倍率が2倍を確保するということは、実際には非常に難しくなってきているんじゃないかと思います。先ほど片山委員からも御指摘ありましたように、本年度の適性試験の延べ受験者数じゃなくて実受験者数が四千七、八百ぐらいですかね。ここから下位15%を除くと、実質4,000人ぐらいしかいないという状況になるので、そうなると形式的な定員と比べることは、もう今日、あまり意味がないと思うんですけれども、入学定員と比べると、全国平均で一点ゼロ何倍とかいう、そういう数字になっている中で、実質的に合格率2倍を確保するというふうになると、やっぱり入学定員の多分半分ぐらいのところで入学者を打ち切らなきゃいけないような状況になってきたと。
 これは、今後、永続的にそんな状況になるんだとしたら、それに合わせて入学定員も絞りましょうということになるのかもしれませんけれども、私はまだ、もっと、やっぱり志願者は増えるんだという夢は持ちたいし、入学者をうんと絞って、そして、その大部分が合格するという、ある意味での医学部型を目指すんだとすると、大胆に、個々の法科大学院の定員を何割かずつ減らすのではなくて、設置数を大幅に減らす以外にないんだと思います。他方で、やはり、この間、一貫してやってきたように、分母を小さくすることによって合格率を上げるということだけではなくて、分子をどうやって増やしていくか、合格者数をどうやって増やしていくか、ママ合格者数が増えても、なお現状での様々な問題を克服するにはどんな制度を作ったらいいかということも併せて検討していく必要があるんじゃないかなと思っています。現実的には、実質競争倍率2倍未満というのと、定員充足率50%未満という基準の両方を現状に照らして維持し続けると、かなりのところが減額対象になってしまう。それはそれでいいのかということは、なお再検討の余地はありそうな気がするということだけ申し上げておきたい。

【井上座長】
 最初に片山委員がおっしゃった点、検討会議、あるいはそれを取り巻く関係方面の意見の状況としては、これまで文科省が一生懸命やってきたことについても手ぬるいという意見が強く、文科省の方からはその方策をさらに強化するということも言っていただいたのですけれども、それでは手ぬるく、待ってはおれん。法的措置を直ちに講じろという意見がさらに強かった。そういうことも御理解いただければと思います。
 その法的措置というものについては、鎌田委員がおっしゃったように、何を意味しているのか、どこまでのことが本当に可能なのかというのは、まだこれから、次の検討体制で恐らく検討されることになるんだろうと思いますけれども、場合によっては非常に強権発動的なことになり得るわけですね。それは、教育機関という性格からすると、必ずしも好ましいものではないわけなので、その辺も含んで対応していかないといけない難しさがあるということだろうと思います。
 2番目は、鎌田委員がおっしゃったところがポイントなのですけれども、これまで行ってきたこととの整合性を保ちながら、現実にどう合理的に対応していくかという難しい検討をしないといけない。それでないと多くの納得は得られないということだと思うのです。

【笠井委員】
 先ほどもちらっと申し上げたつもりではあったんですけれども、公的支援の見直しの中で、その指標として、資料3-6として平成24年9月7日の資料が出ております。そこで3番目の指標が付け加わった。入学定員の充足率50%未満も指標として取り入れるということですが、それ以前に、3年間の司法試験の合格率の問題、それから直近の入試競争倍率2倍の問題があったわけです。
 この入試競争倍率2倍の問題は、鎌田委員がおっしゃったように、最近の志願者数の極端な減少という点からすると、入学定員との関係でも非常に深刻な状態になっている。歩留り率を考慮すると、この問題は一層深刻です。この傾向も、現状を直視するならば、直ちにV字回復させることは難しい。1年以内に戻ることは恐らくない。2年ならどうかという問題もありますが、直ちには回復し得ないという見込みに照らすと、公的支援の見直しも、一方では、しかし厳格化つまり強化を図りつつ、他方で、こうした指標としての直近の競争倍率2倍未満という点については、これは現実的でないと見られる。これについての適用をもう一度考え直してもよいのではないかとも思われます。
 我々、改善状況調査ワーキングで幾つかの大学をめぐり、競争倍率2倍は極めて重要であると指摘をしてきたという点に照らすと、ここで緩和しようという方針をとるのは、いささか矛盾があるようにも受け取れますし、そのように申し上げてきた各ロースクールには大変申し訳ないとも思いますが、現状を直視した場合に、法科大学院制度としての体力をこれ以上弱めることなく、回復させていくという観点からすると、当面の期間に限り、例えば入試競争倍率の指標の適用をもう少し柔軟化すると。つまり、他方で強化しつつ、他方でやわらかくするようなやり方があり得るんじゃないかと思います。

【井上座長】
 ほかにいかがでしょう。どうぞ。

【山本委員】
 今の鎌田委員、笠井委員の御意見は、法科大学院に身を置く者として大変よく理解できるところはあるんですが、事は公的支援という、国民の税金を使うという話なので、国民に対して、それがどの程度説得力を持つんだろうかということを一国民の立場に立って見ると、やはり少し問題があるような気がしました。
 最初に、この2倍というのを設定したのは、その法曹になるべき能力を持っている人をきっちりと選抜するという観点からすると、やはり2倍、2人の中から1人ぐらいを選ぶのでなければ、きっちりとした選抜はできないという判断があったのだろうと思います。
 その状況が今変わっているのか。この志願者数が減っているのが、こう言うとあれですけれども、要するに下の部分が減っていて、上の層だけが残っているということであれば、競争倍率を減らすことに説明は付くんだろうと思うのですけれども、客観的に見たときに、私は、やはり、そうとはなかなか言い切れないところがあって、もちろん上の層だけが減って、予備試験に行っているとは言いませんけれども、その上の方にぶれているという感触は余りなくて、少なくとも均等に減っているのではないかというところからすると、競争倍率を下げてもいいんだということを合理的に説明でき、それでも、仮にこれを1.8とか1.5にしても優秀な人材が採れているんだということを社会に向かって説明することは、おっしゃるように、なかなか難しいような気はしています。
 今のは倍率についての私の感想ですけれども、もう一つ、この論点についてのところでは、論点の丸2のところにある、その一定の抜本的な組織見直しを決定した法科大学院についての適用の在り方という部分は、これは私は考慮すべきことなのかなと思っておりまして、この措置を導入した目的は、まさに、そういう抜本的な問題を抱えている法科大学院に対して抜本的な組織見直しを促すという観点であったことからすれば、そういう決断をした法科大学院に対する、この措置の適用の在り方については、十分それを考慮して、この抜本的な組織見直しに向けたインセンティブを与えていくような政策的な判断、これは私は十分説明が付く話ではないかなと思っております。
 以上です。

【井上座長】
 ほかの方いかがでしょう。どうぞ。

【田中座長代理】
 今、山本委員が公的支援の社会的納得の問題とおっしゃったことに関連してですが、公的支援の見直しも、問題の多い法科大学院への支援を絞るという方向での意見ばかり前面に出てきているのですが、あれこれ指標を設けて支援額を削減しても、本当にどの程度効果があるのかよく分からないところもあり、法科大学院の教育の質の向上にとっても組織の見直しの促進にとってもあまり生産的ではないと思われます。公的支援の仕組みというのは結構複雑で、よく分からないところがあるのですが、世の中の人は、なにかばく大なお金が、法科大学院に公的支援として注ぎ込まれているように見ているのかもしれませんが、そう大した金額でもないと思うんですね。
 基本的な考え方として、公的支援を削減することじゃなくて、公的支援の仕方を見直すことのほうが重要ではないかと思われます。例えば法科大学院へ進学することについて経済的な問題がネックになっているという意見もあることから、法科大学院の授業料を他の研究科より高く設定している現状を是正するとか、公的支援の対象を、各法科大学院じゃなくて、法科大学院に学ぶ学生へもっとウエートを置くとか、公的支援の仕方が、法科大学院の教育の充実だけじゃなくして、優秀な人が法科大学院に来るインセンティブになる形にすることも考える必要があると思われます。従来の公的支援のスキームの中で、単にそれを減らすということだけでやっていても、社会的な納得を得るためには、ある程度効果はあるかもしれませんが、法科大学院の基礎的な体力の充実強化、浮揚という表現は余り良い言葉じゃないと思いますけれども、それにはほとんど意味がないという感じがしております。公的支援の仕方そのものを工夫する必要を、以前から気になっているので、今、山本委員が税金をつぎ込むことの社会的な納得ということにふれられたので、この際少し考え方を改めたらどうかということも一言。

【井上座長】
 そこも、さっきのプラス・マイナスに関係してくると思うのですけれども、今、政策として打っているのは、公的な資金をつぎ込むことの正当性がなかなか説明できないというか、正当化され得ないような状況になっているようなところについて、それを削減するなり、見合わせるということなのです。ですから、それ自体として浮揚させていくというものではない。
 それと、さっきの浮揚策、「浮揚」というのはあまり良い言葉じゃないかもしれないですけれど、プラスのところに公的な資金を使うようにすることを今後考えていくというのとは矛盾しないと思うのです。それの一つの使い方として、授業料ということも、もちろん視野に入るのだろうとは思いますけれども、恐らく、それだけでは法科大学院として、経営という意味で維持できなくなる、あるいは非常に困難になるというところも結構出てき得る。田中先生が言われるほど、それがなくても全然構わないということにはならないのではないかなという気がしますけれども。

【樫見委員】
 同じく、この2番目のところの話なんですが、工夫ということで言えば、文字の上から見ると、大学そのものに対する、あるいは組織に対する適用の在り方についての工夫ということなのですが、これ、現に学生募集停止なり統廃合された大学に在学している学生、数年間いる可能性があるわけですけれども、こういった学生たちは、そういった見直しなり、国の施策については、ある意味でいえば脇に置かれていて、いきなりの形で言い渡されると。これは学生の立場からすると、ようやく自分たちが積み上げてきた努力に対して何ら彼らの救済策を考えていないと。全体とすれば法科大学院協会というか、教育の質の向上というところで資するわけですけれども、ここに在学している学生に対して、やはり、その学生の、せっかくここまで公費なりを投じて育ててきた学生の将来なり、工夫というのであれば、税金の使い道として何か、この学生の行き先なり進路なり、あるいは彼らのさらなる教育の質の向上に資するような形での公的支援、プラス面での、若干ファクターはないのかと。
 先ほどからお話をお聞きしていて、マイナスだけではなくて何かプラスというお話があって、ちょっと論点が違っているのかもしれませんけれども、組織だけではなくて、そこに現にいる学生に対して何か支援ができないのか。そういう点、工夫という言葉の中に入ってくるのかどうか。もし入れることができるのであれば、それこそが、さっきおっしゃったような税金の使い方として、人材養成、あるいは法曹養成であるとか、そこに資するのではないかなと、ちょっと思いました。

【井上座長】
 どうぞ、長谷部委員。

【長谷部委員】
 今の点も含めてですけれども、学生の募集停止をしたようなところについて、残っている学生をどこかほかの法科大学院が受け入れるということであれば、そちらの法科大学院に少し公的支援をするということは、それはあり得るかとは思うのですけれど、統廃合を促進する、インセンティブにするために少し緩やかにするのは、それは税金の使い道ということで、本当に正当化できるのかなというところが1点でございます。
 もう1点は、先ほどの競争倍率、山本委員が、2倍を切ってしまうのは税金の使い道でどうなのかということをおっしゃったのですが、この2倍につきましては、一つの正当化理由としては、定員を削減するための手段として、2倍をキープできないんだったら、その定員が多過ぎるんでしょうということで、そちらに機能するということであるのかなと思うのですが、現状でそれが機能しているかといいますと、例えば非常に問題があると言われている法科大学院で、入学者数が一桁しかいないというところでも、競争倍率は意外と2.0以上をキープしている。それはどうしてかといいますと、複数入試をやっているからであって、そこはかなり人為的に2.0を超えるということは可能なのでありまして、定員削減にも必ずしも役に立っていないと、そういう指標であると思います。
 ですから、そういう意味で、1.8にしていいのかということですけど、実際、複数入試していれば、実情は1.8になっているのと、それほど変わりないわけでありまして、そういう意味では、2.0は、確かに志願者が多かったときには当然だったかもしれませんけれども、現在これを維持した上で、それを公的支援を削減するために、かなり重視している。充足率50%未満でなくても、競争倍率が2倍を切ってしまいますと、そちらにみなすという措置がありますから、これはかなり重要視されている要素でありますけど、先ほど申しましたような理由で、あまり機能していないとすれば、ここはちょっと見直していただいた方が良いのかなと思います。

【井上座長】
 どうぞ、土井委員。

【土井委員】
 競争倍率が今後2倍を維持していった場合に困難が出てくるというのはそのとおりなのですが、その緩和を考える際に重要なのは、今年の実入学者数2,698をどう考えるかという問題だと思います。競争倍率については、長谷部委員がおっしゃるように、複数試験を実施したりした場合に少し技術的に問題が生じるのは確かなのですが、しかし、ここのところを強化していった結果、やはり実入学者数をここまで抑え込んでいるのも事実でして、これを緩和することになると、実入学者数が増加に転ずることになろうかと思います。
 法科大学院の統廃合を進めていく上での目標値が議論にありましたけれど、それをどの程度に置くのかということを想定しませんと、緩和して、増加させて、さらに入学定員を絞るという非常に困難なことをやることになりますので、そこを十分検討する必要があるんだろうと思います。
 ただ、各委員御指摘のように、今後、志願者数の減が続きますと、なお2倍を維持し続けることになると、さらに、この実入学者数が減っていくことになるわけで、その意味では、統廃合を実施する時間的余裕はそれほどないわけで、現在の時点を想定しながら、非常に速いペースで進めていくことをやらないといけないと。非常に難しいことかもしれませんけれど、それぐらいの状況なのだと認識する必要があろうかと思います。
 ついでに申し上げますと、私がぱっと手元で数えただけなので、少し数値に誤りがあるかもしれませんが、この資料3-2を御覧いただいて、平成25年で、実入学者数が50人以上の大学は、もう15校しかない状態で、30人以上でも20数校しかないんですね。その20数校で2,000人を超える定員を維持しているという状態になってきているわけで、いわゆる問題を抱えて入学者数が一桁というようなところは、数は多いですけれども、集めても、それほどの数にならない状態になってきているわけで、ここに対して、先ほども申し上げましたように、競争倍率2倍というのは、非常に効果を持ってきたわけですから、この点について早期に問題を解決していくのが筋で、それが終わって、志願者数の増に向けて様々な効果が出てきた頃に、2倍をどうしていくのかという次の問題になるのではないかと思います。それまでの間は、厳しい状態ではあると思いますけれど、この基準を維持しながら措置を迅速にとっていくのが適切ではないかと私自身は思います。

【井上座長】
 まだ御意見がおありになると思いますが、予定された時刻を超えつつありますが、今日のところはこれくらいにさせていただきます。今後は、今日の御議論などをも踏まえ、既存の仕組みとの整合性にも配慮しつつ、法科大学院に対する公的支援の見直しの強化に向けた基本的な考え方のたたき台を事務局で作成していただき、それを一つの手がかりとして、審議を進めていきたいと考えますが、よろしいでしょうか。
 あともう一つ議事がありまして、資料4のワーキング・グループの設置についてお諮りしたいと思います。
 法曹養成制度検討会議の取りまとめにおいて、法科大学院に関し、専門的な検討を要すると考えられる提言が幾つかなされております。そこで、この特別委員会の下に新たなワーキング・グループを設置して、集中的な審議を早急に行っていきたいと考えております。
 このワーキング・グループの設置に関して、事務局で資料を用意していただきましたので、それについて御説明をお願いします。

【今井専門職大学院室長】
 それでは、資料4を御覧いただけたらと存じます。ワーキング・グループにつきましては三つ、設置について御提案をさせていただけたらと存じます。
 一つ目は1ページ目、組織見直し促進に関する検討ワーキング・グループの設置について(案)でございます。その1ぽつを御覧いただけたらと思いますが、所掌事務でございます。法曹養成制度検討会議取りまとめにおける提言等を踏まえ、法科大学院の組織見直しを促進する観点から、法科大学院間の連携・連合等のネットワーク化の推進方策とともに、適格認定の厳格化など認証評価の改善や組織見直しを促進するため必要な措置の在り方等に関し、専門的な調査・分析・検討を行うワーキング・グループを設置してはどうかということでの提案でございます。
 続きまして、2ページ目を御覧いただけたらと存じます。2ページ目にございますのは、二つ目のワーキングでございます。共通到達度確認試験等に関する検討ワーキング・グループの設置について(案)でございます。一つ目、1ぽつの所掌事務でございます。本特別委員会の下に置かれたワーキング・グループの提言でございますが、法学未修者教育の充実方策に関する調査検討結果報告や法曹養成制度検討会議取りまとめにおける提言等を踏まえ、法科大学院教育全体の質保証を図る観点から、「共通到達度確認試験(仮称)」の基本設計や、法学未修者が法律基本科目をより重点的に学ぶことを可能とするための仕組み等に関する専門的な調査・分析・検討を行うワーキング・グループを設置してはどうかということでの御提案でございます。
 最後に、3ページ目を御覧ください。3ページ目は、法科大学院教育の質の向上に関する改善状況調査ワーキング・グループの設置について(案)でございます。一つ目の1ぽつ、所掌事務でございますが、法科大学院教育の質の向上のための改善方策等についての報告、平成21年の報告でございますが、この提言等を踏まえ、法科大学院に対して教育の質の向上に向けた改善を継続的に促していくため、法科大学院における改善状況の調査・分析を行うワーキングを設置したらどうかということでの御提案でございます。事務局から説明は以上でございます。

【井上座長】
 ありがとうございます。ただいまの御説明について、何か御質問等ございますでしょうか。3番目のワーキング・グループは、これまでもやってきた改善状況調査の継続ということで、1番目と2番目が今回、早急に検討しなければならない事項について専門的な議論を行っていただく場です。こういうことで設置をお認めいただけますでしょうか。ありがとうございます。
 委員等の構成につきましては、今後、関係の方々とも御相談の上、速やかに選定し、できるだけ早期に検討に着手していただけるよう準備を進めたいと思っておりますので、御了承いただければと思います。
 ほかに、この際、何か御発言がありましたら。よろしいですか。
 それでは、本日予定された議事は以上でございます。事務局から今後の日程について御説明をお願いします。

【今井専門職大学院室長】
 次回の法科大学院特別委員会につきましては、現在、日程調整のお願いを差し上げているところでございますが、詳細が決まり次第、事務局より改めて御案内させていただきたいと存じます。

【井上座長】
 それでは、本日の議事は以上でございます。ありがとうございました。

お問合せ先

高等教育局専門教育課専門職大学院室法科大学院係

(高等教育局専門教育課専門職大学院室)