法科大学院特別委員会(第42回) 議事録

1.日時

平成22年9月16日(木曜日) 16時~18時

2.場所

文部科学省東館3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. 平成22年新司法試験の結果について
  2. 共通的な到達目標の在り方に関する検討について
  3. 法科大学院の改善状況調査について
  4. その他

4.出席者

委員

(臨時委員)有信睦弘委員
(専門委員)磯村保、井上正仁、小山太士、笠井治、笠井之彦、鎌田薫、椎橋隆幸、杉山忠昭、土屋美明、永田眞三郎、長谷部由起子、松村和德、山本和彦の各専門委員

文部科学省

小松高等教育局審議官、澤川専門教育課長、中野専門職大学院室長、小代専門教育課課長補佐

5.議事録

【井上座長代理】
 それでは所定の時刻になりましたので、第42回中央教育審議会大学分科会法科大学院特別委員会を開かせていただきます。本日は田中座長が所用のため欠席されておりますので、座長代理である私が進行役を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。まず、議事に入る前に、委員の異動があったということですので、事務局よりご紹介をお願いしたいと思います。

【中野専門職大学院室長】
 本日付で、花王株式会社法務部長の杉山忠昭委員が就任されましたので、お知らせいたします。

【杉山委員】
 花王株式会社の杉山でございます。ひとつ宜しくお願い申し上げます。

【井上座長代理】
 宜しくお願いします。それでは、まず事務局の方から配布資料の確認をしてもらいます。

【中野専門職大学院室長】
 お手元の議事次第、配付資料一覧がございまして、資料としては1から5までございます。まず資料1でございますが、前回の第41回、7月27日の特別委員会の議事録案でございます。こちらにつきましては、恐縮ですが9月27日月曜日までに内容ご確認の上、ご連絡頂ければと思います。宜しくお願いいたします。次に資料2ですが、2-1から2-4までございます。2-1が平成22年新司法試験の結果で、本題が法務大臣官房人事課と入っているものでございます。資料2-2が、A3のカラーで1枚の資料でございます。それから資料2-3が、A4白黒の1枚の受験状況という資料で御座います。それから資料2-4が、これもA3のカラーで、各年度修了者の平成22年までの新司法試験合格状況という資料でございます。次に資料3が、共通的な到達目標の在り方に関する検討結果というもので、第2ワーキング・グループからの報告書でございます。資料4は、各法科大学院の改善状況に係る調査結果という事で、第3ワーキング・グループからの資料でございます。最後に資料5でございますが、クリップ止めしておりますけれども、平成22年9月16日文部科学省と入っております、法科大学院の組織見直しを促進するための公的支援の見直しについてという資料でございます。本体の他に、参考1という3枚組みの資料、それから参考2という1枚ものの資料がついております。その他机上資料といたしまして、机上配布資料1というもの、これは事前に先生方にお送りいたしました、座長談話でございます。なお、机上資料といたしまして、もう1種類ございますけれども、後ほど配布をさせて頂きたいと思います。資料につきまして、落丁等がございましたら事務局までお願いいたします。

【井上座長代理】
 よろしいでしょうか。過不足がありましたらおっしゃっていただければと思います。それでは議事に入らせて頂きます。まず先週9日に平成22年新司法試験の結果が法務省より公表されましたので、小山委員からご説明いただければと思います。お願いします。

【小山委員】
 はい。職務上の関係がございますので、今回の新司法試験の結果についてご説明します。まず資料のご紹介がございましたが、この資料の2-1というのは、法務省のホームページに掲載されております、今回の試験の結果の資料となります。それから資料2-2でございますが、これまでの平成18年からの新司法試験の結果についての基礎的なデータをまとめたもの。2-3が本年の新司法試験の受験状況。それから資料の2-4は、各年度の修了者が今年までの新司法試験にどのように受かっているか、その累積等を見たものでございます。
 では順次ご説明をします。資料2-1の1枚目でございます。これは総括的なものですが、今回の合格者数は、昨年2,043人より31人多い2,074名で、新司法試験としては、最も多い合格者数となりました。しかしご承知の通り、司法試験委員会が公表しております今年の合格者数の目安となる概数、これは2,900人から3,000人程度という事でしたので、この目安を大幅に下回る結果となってしまいました。受験者数は8,163人でしたので、合格率は25.4%でございます。5回目の試験でございまして、既修・未修別、修了年度、受験回数が異なる等、受験者層はかなり多様化しています。ですから、過去の試験結果と単純に比較して、これがどうかという事は出来ません。それからまた、今後詳しく内容を分析しませんと、はっきりした事は言えないと思いますが、この機会ですので、いくつか目立った点についてご説明したいと思っております。資料2-2をご覧下さい。これは法科大学院別の合格者数でございます。上から、国公立大学を先にしまして74大学を並べております。まず合格者数の傾向でございますが、まず1番右端の平成22年の「合格者数」をご覧下さい。この中でピンクに色づけしてある所は、50人以上の合格者数を出した法科大学院で、全部で11校ございました。あと色はつけておりませんが、合格者数が5人以下の法科大学院は18校ありました。うち2校は0であります。合格者数が50人以上の11校で、全合格者の59%に相当する1,233人の合格者を出しているという事です。次に合格率を見て頂きますと、1番合格率が高かったのが50.42%の慶応でございまして、下は合格者0人、0%のところもございました。その次は、3.61%、表で32番の学校でございます。かなりのばらつきがあるところでございまして、全体の合格率が25.41%ですので、それより上の数値の学校を「合格率」のところでのピンク色としてあり、19校ございました。その19校で全合格者の67%にあたる1,384人の合格者を出しているという事です。このように合格率のばらつき傾向と言うのは、昨年と似た所があるのかなと考えております。次にですが、まず既修と未修の問題が目下の問題でございますが、これも資料の2-2で続いてご覧下さい。平成22年の右下の方に本年の既修未修別の合格者、合格率が記載されています。右端右下の方の水色の所に37.02と書いてあるのが既修者の全体の合格率です。ちなみに去年は38.67%でございました。その右側のベージュ色の所に17.30とありますが、これが未修者の全体の合格率でございます。これは昨年度は18.87%でございました。全体の合格率は、やはり、既修者の合格率に対して未修者の合格率が相対的に低いという状況です。それからですね、資料の2-3をご覧下さい。下の方の修了年度別を見て頂きますと、いつの修了者がどういう風に受験、合格したというのが分かるようになっておりまして、右の方に最終的な合格率が記載されています。これを見て頂きますと、既修者、未修者ともに、修了してすぐの受験者、今年でいうと、「平成21年度修了者」という欄が下から5番目の段にあると思いますが、この修了直後の受験者が合格率が高く、修了後年数を経た人ほど合格率が下がるという傾向が、それも例年の傾向としてございます。この傾向自体は、法科大学院の教育成果が端的に表れたところでありますから、望ましい傾向だろうと考えております。しかしここでも、法科大学院別で見るとかなりのばらつきがあるという事で、それを見て頂く為に資料の2-4をご覧下さい。この1番右側に、平成21年度の修了者、今年の3月に修了された方の受験者数が書いてあります。その青色に色づけさえた中にあるピンク色の学校が、対受験者の合格率が50%以上のところで6校です。一方、直近修了者の合格率が10%未満のところは、16校あります。そのうち、0%が結構目立っておりまして、7校あります。その7校のうちの2校は、修了者全体としても1人も受からなかった法科大学院ですが、いずれにしても、直近修了者の合格者が0というところも7校あるという事です。次に累積の合格者数も資料2-4でご説明します。今回は、平成19年度の修了者が初めて受験した平成20年から数えて3回目の試験という事になります。資料2-4の「19年度修了者」の「修了者数」の1番下を見て頂きますと、3回受験が可能であった今回までで合格者が2,161人です。4,910人修了されて、合格されたのは2,161人ですので、44%が合格されているという事です。それからその左隣の平成18年度を見ますと、49.1%に相当する2,167人、更に左隣の17年度の修了者ですと、修了者の69.8%の方が累積で合格されているという事です。もちろん、修了者は17年度を除いて多くが4,000人台になっておりますので、実数との割合が違うところもあります。それから言葉は悪いのですが、三振などと言われる、司法試験を3回受験して合格出来ずに受験資格を喪失した方が、今年新たに872人いらっしゃったという事です。これは旧試験からのカウントもございますので、旧試験と合わせて3回受験した方を含みます。ちなみに、法科大学院修了者の全てが5年間で3回受験するというわけではなく、3回受験されないままに5年間経過してしまう方もいらっしゃいます。平成17年度の修了者につきましては、今回の試験で5年間経過しましたので、受験資格を使い切ったと思われる方もいらっしゃると思われます。872人というのは、実際に3回受けて受験資格を使い切ったということで、受験資格を使い切らずに5年間経ってしまった方は含まれません。私からは以上でございます。

【井上座長代理】
 ありがとうございました。以上のご説明について、何かご質問ご意見等がございましたらご発言下さい。

【笠井(治)委員】
 昨年も小山委員にですね、お答えになるのが難しいと言う事を重々承知の上で質問した事があるんですが、元々先ほど目安とされた数字の事を仰いまして、それになかなか到達しようとしないという数字が3か年に渡って表れて来ているわけですね。非常に残酷な事を申し上げて申し訳ないんですけれども、新司法試験、新しい法曹養成試験につきまして、ロースクール教育につきましては色々指摘されるところを改善しつつあって、その教育内容も次第に高まってゆく。まあその学校格差という事は確かに指摘されている事も事実ですけれども、変わっているという事の中で、私の実感としてもそこの修了生の質と言うのは、旧試験に比べて、低いと言う風には到底見る事が出来ない。そういう中で、新司法試験の合格率が今回のように全体通して25.4%という風な低迷に陥っているという事については、到底理解出来ないとあえて申し上げたいと思います。その観点から言いまして、これも昨年度お尋ねして大変申し訳ない事しましたけれども、司法試験委員会が新司法試験考査会議の議を経て合否の判定をされるという事になっているかと思うですけれども、その合格の審査というのか、基準というのが、どうもどういう議論がされているのか良くわからない。本当はもっと受からせて良いのではないかと言う風に私、正直言って思っているわけです。その辺の事はもう差し支えのない範囲で、何らかのどういう議論が行われてどういう風にして決定するのかと言う事についてですね、分かる範囲での情報を差し支えない範囲の情報をお教え頂けると、大変ありがたいと思っております。

【小山委員】
 私自身、その考査委員会議や司法試験委員会の取り次ぎをしておりませんのでお答え出来る事はないんです。でも今、笠井先生からご説明のあった通りの仕組みでございまして、実際に試験の採点をした委員の方々の会議の中で、合格者を決めたわけです。ですから、それは実際の試験問題を作られ、採点をされた各考査委員の方の採点実感というものを踏まえて決められているはずでございます。逆に言えば役所の方でお願いして決定したわけではなく、こういう数字になっているわけです。ですから、ものすごく良く出来ているという採点実感であれば、本来は沢山受かるはずでございまして、そうでないのは、やはりこの人数の採点実感なんだろうかなという風に感じております。全体のプロセスがあまり明らかになっていないのではないかというのは、日弁連等からご指摘がある所ではございますが、今のところはこういう仕組みであって、採点等も含めたプロセスですので、普通はあまりオープンな場の中でやらないものだという風には思います。それでも、ご承知の通り、採点にあたった方たちの採点実感を公表したりしているので、ある程度はご理解頂きたいなと思っているところでございます。よろしくお願いいたします。

【井上座長代理】
 司会の立場から離れて少しコメントさせていただきますと、この7月までやっていました法務・文科両省の法曹養成検討ワーキングチームの中で、私自身、新司法試験の在り方についても果たして適切なものとなっているかどうか見直してみる必要があるのではないかという指摘をさせていただいております。どういう点が検討を要するのかといいますと、例えば、いま採点実感の話をされましたが、それぞれの科目の委員の個人的な採点実感を基に、全体の合格者数を決めるというようなやり方は果たして合理的なのかどうか、その合格ラインの引き方が、新司法試験が法曹資格を認めるのに最低限の能力を図るという趣旨に適合したものになっているのか等々です。そういう視点からの検討の余地もあるのではないかということです。

【長谷部委員】
 先ほどのご説明にありました既修と未修の合格率に差があるということは、以前から言われておりますが、たしか昨年ぐらいまで男性と女性の合格率にも若干差があるということが言われていたように思います。今年で見ますと、短答のところでは少し合格率に差があったようですが、最終合格はそれほど変わっていないようです。他に例えば、年齢によって少し合格率に差があるといった、そういった統計はとっておられるかという点と、それから選択科目、あるいは基本科目についても、どの科目が出来ないとそれが合否と相関すると言うような関係があるものなのかどうか、その2点についてお伺い出来ればと思います。

【小山委員】
 年齢についてですが、ちょっと手元には資料がなく調べたかどうかも承知していないところでございます。それから選択科目別の合格者数は資料2-1の中に出ておりますが、どの科目が合否に相関があるかというような分析を、全体として行っているかどうか承知しておりません。科目別の資料の中にも得点の分布というようなものは示しておりますけれども、最終的には総合点で決められておりますし、配点割合も民事系科目が多いわけで、選択科目が1番少ないわけですので、そこのところの分析が綺麗にできるかどうかというのは、ちょっと今はお答えできる状況にないです。申し訳ございません。

【井上座長代理】
 他の方いかがでしょうか。

【土屋委員】
 すいません、私、司法試験委員会の委員をしておりまして、説明しなければならない立場かと思うのですが、皆さんご存知の通りこれは守秘義務がございます。そういう意味では中身をですね、全部お話するという事はとても出来なくて申し訳ないと思うんですが、今回初めて考査委員の会議にも出席させて頂いて、色んな方のお話を伺いました。非常に多彩な意見の方がいて、昨年までの考査委員の会議の判定の仕方と今年は違っているという風に事務局からはうかがいました。委員の皆さんの考え方がより反映されるような判定をするという方式に変わったという風に了解しております。一応目安として、本年度3,000人程度と言う合格者数、2,900人から3,000人と言う目安が出されてはおりましたけれども、それとの関連で合格者数を決めるというような発想はあまり取られていなかったように私は受け止めました。私の感じです。あくまで委員の皆さんがこの結果でもって、法曹資格を与えるに値するかどうかという事を非常に慎重に議論されていらっしゃる。受験者の中身を見ようという風に皆さん考えていらっしゃったという事が言えるかと思います。私の感想は以上です。

【井上座長代理】
 他にご発言なければ、次に進ませていただきたいと思いますが。どうぞ。

【笠井(治)委員】
 すいません。司法試験委員会の問題と言うよりも、司法試験そのものの問題なのかも知れませんけども、今年はこれまでほぼトップランクにいた一橋大学のロースクールでもですね、未修者の合格率と言うのは極めて、これは低迷と言って大変失礼ですけども、良い状態の数字ではないかなぁと言う風に思うわけですね。既修者の合格率というのも、今年のトップの数校を見ても漸く50%を超えるという程度でございますので、果たして、なんと言うのでしょうか。問題の質と言うのが本当に法科大学院教育と適合しているのかどうなのか、一般的な評価はですね、ほぼ適合していると言う評価が多いかと思うんですけれども、もう一度良く検討、検証してみる必要があるのではないかと言う事を1つ思います。それから、未修者にやはりかなり不利なその意味で、非常に荒っぽい議論しますと、従来の旧試験回帰に近いような問題内容になりかけてる、なり始めてるのかなぁというような気がしますけれど、先ほど井上座長代理がおっしゃった様な事も含めまして、再度、新司法試験の内容を検証するというのか、改めて検証していくという事を考えて行くべきだと、持続的に考えて行くべきだという風に思っています。この場でこう言う事言うのは、この場が適切かどうか全然分かりませんけども、改めてそういう感じがしたので、意見として申し上げたと言うわけです。

【井上座長代理】
 ここで審議をするという事柄ではないと思うのですけれども、関係者も何人かこの場におられますので、そう言う声があったと言うことは何らかの形で伝えていただけるのではないでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、本日はこの新司法試験の結果を踏まえて、田中座長の名前で座長談話というものを発表したいというのが座長のご意向です。田中座長御自身は本日ご欠席ですが、事前に田中座長から事務局の方でお預かりし、予め各委員にお目通しいただいていると存じますので、その内容を披露をさせていただきたいと思います。事務局の方から談話の内容のご紹介をお願いします。

【中野専門職大学院室長】
 お手元の机上配布資料1をご覧頂きたいと思います。これは先ほど座長代理からもありましたように、事前にお送りしたものと同じものでございますけれども、ご紹介と言う事で読み上げをさせて頂きたいと思います。

中央教育審議会大学分科会法科大学院特別委員会座長談話
平成22年9月16日、中央教育審議会大学分科会法科大学院特別委員会座長、田中成明

1.本年9月9日に発表された平成22年新司法試験の結果によれば、合格者数は2,074人であった。司法制度改革審議会意見書で提言され、閣議決定にも掲げられた「平成22年頃には新司法試験の合格者数の年間3,000人達成を目指す」との目標が本年までに実現に至らなかった事は誠に遺憾である。加えて、新司法試験の合格率が全体で25.4%と前年にも増して低い水準となったことも、事実として重く受けとめなければならない。

2.このような状況の背景には様々な要因があると考えられるが、法科大学院においては、教育の充実に取り組み、優れた法曹として社会に貢献すべき質の高い修了者を社会に排出していくことは求められている。

3.本委員会は、昨年4月に法科大学院教育の質の改善方策を提示したが、その後も、本年1月に第3ワーキング・グループによる教育の改善状況に関する調査結果を公表し、3月には組織見直しの促進方策についての意見を整理するなど、各法化大学院に対し、それぞれの状況を踏まえた抜本的な改善を促してきた。

4.その結果、各法科大学院が入学定員の見直し等に真摯に取り組み、教育の改善が一定程度進んでいるが、一部の法科大学院において、以下のような状況が見られることも事実である。(1)平成22年度の入学者選抜における競争倍率が2倍にも達しなかった法科大学院が40校に上るなど、質の高い入学者を確保する意識が不十分ないし薄弱な法科大学院がある。(2)授業内容、教育体制等に深刻な課題を抱えているにもかかわらず、組織の在り方の抜本的な見直しについて検討にすら着手されていないなど、現状認識が極めて甘い法科大学院が一部にある。

5.法科大学院教育を新司法試験の結果のみで評価する事は必ずしも適切ではないが、法科大学院ごとの合格率に相当の差があることや、3回受験の結果、新司法試験の受験資格を喪失した者をはじめとして、多数の修了者が法曹資格を取得できていない状況を踏まえれば、合格率が低迷している法科大学院は法曹養成機関としての責任を自覚し、速やかに、あらゆる改善策を講じて教育の質の向上に取り組む必要がある。

6.法科大学院を巡る状況は一層厳しさを増している。各法科大学院は、現状を真摯に受け止め、強い危機意識を持って、入学定員の削減や組織の見直しをはじめとした教育の改善に引き続き取り組んでいただきたい。

 以上になります。

【井上座長代理】
 ありがとうございます。以上のような談話を座長として公表したいということでございます。座長の談話ですので、内容についてここで議論すると言う性質のものではないのですけれども、何かご質問とか、ご発言があれば。よろしいでしょうか。それでは、この談話を文部科学省において全ての法科大学院に対してお伝えいただければと思います。よろしくお願いします。
 次に、4月に開催した本委員会におきまして、第2ワーキング・グループおよび第3ワーキング・グループの仕事について審議を行いましたが、第2ワーキング・グループでは、法科大学院修了者の共通的な到達目標の在り方について検討していただき、また第3ワーキング・グループでは、平成22年度の入学者選抜の結果を踏まえた各法科大学院の改善状況について審議していただくということを決定したのでありますけれども、この2つのワーキング・グループにおきまして、精力的に作業を行って下さり、それぞれ一定の結論が得られた、まだ最終的な結論ではありませんけれども一定の結論が得られたとのことでございます。そこで、両ワーキング・グループの主査から、それぞれ、これまでの検討結果について報告をいただきたいと思います。まず、第2ワーキング・グループの主査である磯村委員より、法科大学院修了者の共通的な到達目標の在り方に関する検討結果についてご報告をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【磯村委員】
 それでは、お手元の資料3をご覧頂きながら、お聞き頂ければと思います。まずこの共通的な到達目標の在り方に関して、どういう経緯で検討したかという事が1.でまとめてございますが、ご案内の通り、この法科大学院特別委員会が平成21年の4月にとりまとめました、いわゆる特別委員会報告におきまして、修了者の質の保証のための改善方策の1つとして、全ての法科大学院における共通的な到達目標を策定する必要があると言う提言をしておりました。これを受けた形で、研究者教員及び法曹関係者が共同いたしまして、文科省が提供している高度専門職業人養成教育推進プログラムと言う財政支援を頂きまして、調査研究が行われました。その調査研究におきましては関係各方面の意見も踏まえ、本年の3月には、その具体的なモデルとしての、共通的到達目標モデル、第二次案、以下もさらに第二次案と呼ばせて頂きますが、そういうものが公表されております。机上資料として、積み上げられている1番下のファイルにその第二次案が配布されておりますので是非ご参照頂ければと思います。しかしこのモデル案が公表された以後におきましても、法科大学院の関係者、あるいは法曹関係者間において、この共通的な到達目標と言うのが法科大学院教育において、どう言う位置づけを持つのか。さらにはその共通的な到達目標が認証評価とどのような関係にあるかという事については、なお完全に近い地点という事には至っておりませんでした。そこで今、座長代理からご紹介頂きましたように、本年4月の特別委員会におきまして、第2ワーキング・グループでこの第2次モデル案としての第二次案を参考にしつつ、共通的な到達目標についての一般的な検討を行うと言う課題が与えられたと言う事でございます。
 2.が具体的な検討結果と言う事でございますが、第2ワーキング・グループにおきましては、この第二次案、それから関係者からのその第二次案に対するご意見等を参考にしながら、2つの点について検討を行いました。その第1が、共通的な到達目標の法科大学院教育における位置づけの問題であり、もう1つが共通的な到達目標が認証評価とどういう関係にあるかと言う問題であります。これからご紹介いたします審議結果を踏まえて具体的な共通的な到達目標については関係者のさらなるご尽力を頂いて、最終的な案が策定されると言う事を強く期待したい、と言うように考えております。資料3ページをおめくり頂きまして、(1)でございますが、共通的な到達目標の法科大学院教育における位置づけと言う事につきましては、特に特別委員会報告が提言しておりました通り、この共通的な到達目標と言うのは、法科大学院の修了者がその法科大学院如何を問わず、共通に備えておくべき能力を明確にし、それにより修了者の質を保証すると言う事を目的とするものであります。したがって所謂ミニマム・スタンダード言う性格を持つわけですが、その性格の結果とりわけ以下の4つの点に留意をする事が必要となります。第1に各法科大学院においては、このミニマム・スタンダードとしての共通的な到達目標を踏まえた上で、それぞれの教育理念に則って各到達目標を設定すると言う事が必要となりますし、さらには、自主的、自律的にこの共通的な到達目標を超えるような、より高い到達目標を設定すると言う事が強く期待されると言う事になります。第2に、各法科大学院において、このように設定した到達目標の内容につきましては、授業及び自学自習の双方を通じて、修了時までに学生に確実にこれを修得させると言う事が必要と考えられます。これとは別に各法科大学院が達成を求めると言う、あるいは確実な修得を求めると言う到達目標とは別の意味で、一種の努力目標と言うような形での達成目標を定めると言う事は、考えられるところであります。第3に授業で取り上げる事項と自学自習を通じて学習する事項をどうするかと言う、その決定については、これは一律ではなくて、各法科大学院が授業の種類・性質、あるいは在学する学生の資質・能力等に十分配慮しながら、それぞれ適切に判断すると言う事が必要となります。まだ、以下を定めた分配の仕方についても学生の到達状況を見極めながら、不断にその在り方を検証すると言う事が必要と考えられます。さらに最後に第4でございますが、自学自習に委ねる内容についても、その自学自習に任せると単に言うのではなくて、その学習方法等に関して、適切に指導・助言するという事が必要と考えられます。従来、両方の問題として、共通的な到達目標というのを「コア・カリキュラム」と言う事が、比較的頻繁に行われておりましたけれども、第2ワーキング・グループの中の一部の認識としてこれは授業内容を意味するのではないかと言う事もございましたので、用語としては、ここではむしろ共通的な到達目標と言う事に統一し、コア・カリキュラムと言う表現については、どういう言い方が適当かと言う事をさらに検討する必要があると言うように考えております。これは誤解を避ける為のなお書き的な意味かと思います。もう1つ大きな柱、(2)「共通的な到達目標」と認証評価との関係、でありますが、各認証評価機関はこの共通的な到達目標に関しては、認証評価に対して、以下の通り各法科大学院の取り組みについて評価すると言う事が期待されます。3点に及びますが、まず第1は、各法科大学院がその学生が修了時までに確実に修得すべき知識・能力の内容・水準として、適切な到達目標を設定しているかどうかという事を評価するという事が期待されます。その際、ミニマム・スタンダードとしての共通的な到達目標に照らしますと、少なくともそれと同等、あるいはそれを上回るような到達目標になっているというかどうか、という事を評価するという事が適切と考えます。第2に、各法科大学院が設定した到達目標を踏まえて、適切に教育課程が編成されているか、学修指導が実施されているかという事を評価する事が期待されます。その際、組織全体として到達目標を踏まえた授業計画の作成・実施を担保する為の措置が講じられているかを確認する事が適切であると考えられます。また、先ほど報告で出ましたけれども、授業で直接取り上げない、しかし共通的到達目標、あるいは到達目標に掲げられる事項については、学生に対して自学自習を促進・支援するための適切な手段を講じているという事を確保する事が適切となります。最後に3番目でございますが、自学自習を通じて学習する内容を含めて、各法科大学院が設定した到達目標に対する学生の到達レベルを測定する為の適切な手段を講じているかを評価する事が期待されます。その際、組織全体として到達目標を踏まえた成績評価、あるいは修了認定の実施を担保するための措置が講じられているかを確認する事が適切であります。別紙で、参考という事でありますが、これは第2ワーキング・グループで第二次案を参考として進める事で、抽象的に議論するという事は生産的ではありませんでしたので、第二次案を検討した際の、その検討の結果を資料としてここにまとめているものであります。第2ワーキング・グループの検討結果そのものとしては、別紙を除く部分という事でご理解を頂ければと思います。以上でございます。

【井上座長代理】
 ありがとうございました。それではただ今のご説明につきまして、ご質問ご意見等がございましたら、どなたからでもご発言いただければと思います。

【小山委員】
 よろしいですか。この2ページ目の「コア・カリキュラム」と言う名称が、ちょっとよろしくないのではないかというご指摘については、確かにそうだなと思いました。それで私の思いつきなんですけども、このペーパーを拝見してもですね、ミニマム・スタンダードと言う言葉が、何回か繰り返し使われておりまして、このミニマム・スタンダードという言葉に近いような言い方を工夫して頂くのが良いのではないのかなという気がちょっといたしました。以上でございます。

【井上座長代理】
 何か具体的なアイデアがありますか。

【小山委員】
 いやいや、ミニマム・スタンダードでもよろしいのかもしれませんが。

【磯村委員】
 むしろその大学院としては、端的に、「共通的な到達目標」そのもので、この内容を言い表しているというように考えておりまして、逆にそれをコア・カリキュラムと言う言い方で合わせて呼ぶという事を避ける方が無難ではないかと言うように考えた次第でもないです。

【小山委員】
 ごもっともです。ただちょっと心配したのは、「到達」と言いますと山を登りつめたようなですね、非常にこう高いもののような感じもするものですから、個人的にはこのベースであるイメージの方が、若干良いのかなという気がした次第です。

【磯村委員】
 ちょっとすると微妙な違いですが、「達成目標」の方が今の小山委員の趣旨から言うと、よりニュートラルになるという感じですか。

【小山委員】
 そうかも知れませんね。ちょっと難しいですね。

【井上座長代理】
 「達成」と言うと、それで終わってしまうような響きもありますね。

【有信委員】
 特に認証評価との関係という所に関してですけれども、通常の認証評価の観点から考えると、達成目標あるいは到達目標と言うのが、普通で言えば大学でいうところの人材育成目標のようなものになるわけですが、それとは多少違うと言う事を前提にした上で、少なくともそのミニマム・スタンダードを実際に達成出来る学生に対してどういう構成になるかと言うと、まずアドミッション・ポリシーによってそれを達成できる学生を選別して、ここで言われているコア・カリキュラムによって、その学生を、到達目標を最低限として育成し、さらに育成した学生の達成度を評価するということになります。これはここに書かれた内容にある通り、その評価するのは、通常で言えばディプロマ・ポリシーと言うことですね。そういう構成の中で、ただそれが揃っているだけでは機能しない。形だけでは実は機能しなくて、チェックアクションというアクションの部分へのフィードバックのところが必要になるわけですね。したがって、ここのところを到達目標の検討委員会のところで、そこまで検討頂くかどうかという問題がありますが、何らかの形で達成度の評価結果が具体的にフィードバックされると言うところまで本当は認証評価で評価をしなければ、実際に法科大学院のシステムとかが完成しないということになるものですから、何らかの形でそこの部分を練りこまれると良いという風に感じました。

【磯村委員】
 私どもの認識としては、とりわけ資料の3ページ目の3のところで、自学自習も授業も含めて各法科大学院が設定した到達目標について、学生がそこに至っているかどうかという事についての適切な手段を講じるべきであると言うところで、今ご指摘頂いた問題を受けているつもりではあります。これとはちょっと不十分ということでしょうか。

【有信委員】
 多分、これだと言わばディプロマ・ポリシーのところまでの話という風に理解をされる可能性が非常に強い。つまり認証評価の視点から言うと、学位基準として学位を与えたんだけれども、学位を与えられた人が具体的に学位にふさわしい仕事をしていけるかどうかというところが重要になります。つまり、入学条件を満たした人を育成して卒業条件を満たした人間が、本当にその目的を達成してるかどうかっていう所の部分の評価が入らないと実は唯我独尊で、例えばここでその「コア・カリキュラム」っていうかたちで非常に詳細に全体の構成が作られていますけども、これを作って具体的にこういう事を、教育をしましたという事なんだけれども、した結果が少なくともここに書かれている内容だと、した人たちによって評価をしたところで終わっているわけですね。非常に難しいけど、そこの部分について簡単に言うと、例えば、司法試験の合格率のようなものを参照しながら、逆に今のシステムの有効性を検討するというような具体的なやり方もある。非常に安直に考えてですけども。そこまでその単純化しないでもう少し何らかの、自分達がやってる事自身を評価をしながらそれが改善される、企業で言えばPDCAという言い方をしますけども、そのPDCAによってシステムそのものが改善される仕組み、これが認証評価機関によってチェックをされないと、法科大学院が改善していかない。いかないと言うのは言いすぎですが、不断に改善する仕掛けをどこかに埋め込むと言う事が必要な気がしたものですからそういう風に申し上げた次第です。

【永田委員】
 今の件なんですが、認証評価機関がどのように扱っておられるかその作業を把握しておりませんが、評価機関によっては、その成果、チェックの部分を強調してこの問題の成果が上がっているか、あるいは、司法試験に結びつけたような、そういうチェック項目を設けて、そういう事で、それで良いかどうか分かりませんが、その成果が上がって社会で本当に役立つ法曹が出来ているかかどうかという問題、そこまではまだもう少し時間をかけて経験しないと、評価は出来ないと思っています。各評価機関はそういう到達目標をたててそれから十分に最終的な修了に向かって成果をあげているか、あるいは司法試験の成果と結びついているか、というような項目は設ける、あるいは設け始めておりますので、そういう意味で「C」の部分は少し。本当の意味で社会の役に立っているかという所はまだ出来ていませんけれども、それを掲げたそういうカリキュラム、あるいは教育目標を分析して、その成果と結びついているかという項目を設けている。あるいは設け始めているという事が言えるかもしれません。そういう状況です。

【井上座長代理】
 ここでは共通的な到達目標と評価機関による評価、その局面に限った検討の結果という趣旨なのですね。それ以外に、法科大学院全体にとってのアウトプットと言うか成果、つまり本来の目的を果たしているかどうかということ、それは司法試験の合格率と言うのが1つの指標ではありますけれども。その辺のいくつかの視点をどう有機的に組み合わせ、それをまた到達目標だとか教育内容に反映させていくのか。それが上手く機能すれば仰ってるような形になるかと思いますが。ここでは、ある局面を切り出したような形の議論しているということではないでしょうか。

【有信委員】
 それはよく分かります。それは非常に良く分かるんですけど、その全体の到達目標そのものの正当性がどこで担保されるか。そういう事が、どういう事かとお聞きしたいというところなのですが。

【井上座長代理】
 恐らく、その到達目標の中身自体と検証の仕方なども、不断に検証し、見直していかなければならないので、その際、アウトプットを1つの手がかりにしてフィードバックしていく、そういうことになるのではないかと思います。私自身良く分からないところがあるのですけれども、共通的な到達目標はあくまでデファクトなもので、御上がお墨付きを与えてたり、こうしろと命じるようなものではない。関係者がこういうのでいいだろうと合意する、そのようなものであり、それを認証評価機関が参考にして評価を行いそれぞれの法科大学院もそれを採用してもよいし、それを超えるものや、これとは別に独自の適切な到達目標を定めてもよい、こう言う位置づけでよろしいのですかね。それともう1つはこの1番最後の所がやや分かりにくいと思うのですが、授業の中で到達目標を全部カヴァーするわけでは必ずしもないということだと思うのですけれども、期末試験というものは通常、わけですよね。授業でやる事は、授業でやったことをきちんと修得しているかどうかをチェックするものなのに授業でやらない所も含めて、到達レベルがどの程度か適切に評価するための手段を講じなさいということになっている。この部分の趣旨はどういうことなのでしょうか。

【磯村委員】
 典型的にやはり考えておりましたのは、期末試験等で例えばある授業科目について授業コマの授業があるという時に、その授業コマで実際に取りあげた授業だけが試験範囲に入ると言う発想ではなくて、恐らくその分野全体を試験の対象として扱う中でどの問題をどういう形で出すかというのも法科大学院及び教員の判断である。そうするとその総合的な評価の中で、そこで例えば単位認定をする時に、こういう観点から見るとどうかという事が、3の所では強く意識されていた問題という事が言えるかと思います。それから前半のご指摘の所は、まさにデファクトと言う事で、例えば具体的なモデル案がどこかの関係機関においてもそれが唯一無二のものではないという事はその通りで、しかし、2つのテンパランスになりうる。そうすると、抽象的に言えば、本来どの法科大学院でもこれだけはやって欲しいという、規範的な意味でのレベルというのがあって、そのレベルをどう具体化するかというのは色んなバリエーションがあり得るだろう。しかし、現在実際にそのモデル案として出ているのが、その沢山生い立ちがあるというわけではないとすると、それが事実上のテンパランスとして機能するという可能性が高いと、そういうような認識でおります。

【井上座長代理】
 他にご意見は。今日の段階ではこれくらいでよろしいでしょうか。ありがとうございました。本委員会としては、この第2ワーキング・グループにおける検討結果を踏まえ、速やかに法科大学院修了者における到達目標が法科大学院関係者自身によって作成されること、しかもそれが共通的なものになるのが最も望ましいわけですので、そうなることを期待したいと思います。また、文部科学省においては、各認証評価機関に対しても、第2ワーキング・グループの検討結果について、十分伝えて下さるようにお願いしたいと思います。
 次に、第3ワーキング・グループの検討結果について、主査である永田委員よりご報告をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【永田委員】
 第3ワーキング・グループの主査を務めております永田でございます。本日は4月23日開催の本法科大学特別委員会の審議を踏まえまして、本ワーキング・グループが実施した、改善状況調査についての結果をご報告いたします。資料4になります。この内容をかいつまんでポイントをお話ししときますと、本ワーキング・グループでは、第1回調査結果、昨年度ですが、それを平成22年1月に公表致しました。個別の法科大学院に対しまして、改善が必要な事項を指摘しました。その際に平成22年度入学者の入学者選抜の結果等の法科大学院を巡る状況も踏まえながら、引き続きフォローアップを実施する事としたところです。入学者選抜での競争性の確保につきましては、昨年4月のこの特別委員会報告で競争倍率が2倍を下回る状況は、入学者選抜での選抜機能が十分に働いているとは言えないとし、このような状況にある法科大学院は質の高い入学者を確保する為、早急に入学定員を見直すなど、競争的な環境を整える事が不可欠であると提言しておりました。本ワーキング・グループでも、入学者の質の確保に対する意識が低いのではないかと懸念される法科大学院がある事を第1回調査結果で指摘いたしました。しかし残念ながら、平成22年度の入学者選抜の結果、競争倍率が2倍未満となった法科大学院の数が40校にも上りました。このような状況を踏まえ、本ワーキング・グループとして第1回調査結果で、継続的または重点的フォローアップを実施する必要があると指摘した法科大学院に対しましては、調査結果を踏まえた改善の取り組みについて調査を実施する事にいたしました。また今年度の入学者選抜の結果から、課題があると考えられる法科大学院に対しましては、入学定員の見直し等に関する、入学者の質の確保の為の取り組みについて調査を実施するといたしました。
 調査の概要ですが、本ワーキング・グループでは調査方針及び内容について審議した結果、報告書の別紙にお示しした通りでございますが、45校に書面調査、38校にヒアリング調査を実施いたしました。書面調査は具体的にはまず各法科大学院の改善状況を把握するため、昨年度継続的または重点的にフォローアップを実施する必要があるとした法科大学院に対して、第1回調査結果でのワーキング・グループからの指摘を踏まえて改善した事項及び今後改善を予定している事項等について調査を実施いたしました。次に、今年度、平成22年度の法科大学院入学者選抜の結果、競争倍率が2倍未満となった法科大学院や適性試験の点数が著しく低い者を合格させた法科大学院に対して、その理由や入学定員の見直しを含めた競争性の確保に向けた今後の取り組みについて調査を実施いたしました。この書面調査に対する各法科大学院からの回答を分析いたしまして、審議を行いました結果、第1回調査結果での本ワーキング・グループの指摘を踏まえた調査については、今後の状況の推移を加えまして検討するため、引き続き調査を継続する事といたしました。次に平成22年度の法科大学院の入学者選抜の結果、競争倍率2倍未満となった法科大学院については、平成23年度、来年の入学者選抜の実施に向けた喫緊の課題である事が考えられることから、入学者の質の確保を中心にヒアリングの調査をする事にいたしました。具体的には報告書で示したとおりでございますが、競争倍率が2倍未満となった法科大学院について、わずかに下回った法科大学院を除きましてヒアリングを実施いたしました。入学者の質の確保の為の取り組みや、今後の運営方針等について聴取するとともに、23年度以降の入学者の質の確保を促す事といたしました。またこれに加えまして、競争倍率が2倍をわずかに下回るにとどまるものの、入学定員の規模が大きい為、入学者の質の確保が十分に図られているか確認する必要がある法科大学院や、審議の結果、書面調査の回答に関して確認する必要がある法科大学院等につきましても、ヒアリングを実施する事といたしました。
 次に調査の結果でございますが、それについてご報告いたします。最初にご理解頂きたい事は、今回の調査結果は、第1回調査とは異なりまして個別の法科大学院に対して継続校、重点校といった、個別に指摘を行うと、そういうものではないと言う事です。現段階では、あくまでこの入学試験の状況をみまして、法科大学院からの回答を分析した結果を取りまとめまして、各法科大学院での改善をして頂きたいと言う事を報告書にまとめまして目的としているものでございます。本ワーキング・グループとしては、各法科大学院の入学者の質の確保に関する今回の調査結果で、次の様な所感を得ました。平成22年度の入学者選抜の結果、競争倍率が2倍未満となった理由については、多くの法科大学院は、その法科大学院の入学者、出願者数の減少を挙げました。また、競争倍率が2倍を相当下回る結果になるとしても、入学定員を満たす入学者を確保する事を優先して合格者を決定している法科大学院や、あるいは合格発表後、追加合格者を出したために競争倍率をさらに下げた法科大学院もありました。しかし、これは一定の入学者数を確保出来たとしても、最終的に修了出来ない者や、修了しても新司法試験を受験する事を見送らざるを得ない者、合格するに至らない者を多数出してしまう結果となるわけであります。入学者選抜の段階から入学者の質の確保を図る事は極めて重要であります。各法科大学院は入学者選抜にて、競争倍率2倍以上の競争性の確保を徹底し、その結果として入学定員未充足の状況が継続する場合には、入学定員の見直しをさらに検討する、さらなる抜本的な改善に取り組む必要があるだろうということです。また、適性試験の成績が著しく低い者を不合格としているという事、あるいは前年度までの入学者選抜に比べて合格水準を下げていたわけではないということで、競争倍率も2倍以上確保していなくても、入学者の質は確保出来ていると説明する法科大学院も見られました。しかし、この点につきましては、適性試験の最低基準点を設定しさえすれば、直ちに入学者の質が確保できると言うものではないこと、あるいは従来どおりの合格水準を維持していれば、質が確保されていると言う事は当然いえないことから、いずれも競争倍率2倍以上の競争性の確保に取り組むと言う必要性を減じる理由とはならないという風に考えます。さらに入学者選抜の方法に関連して、入学者選抜の厳格化よりも、むしろ厳格な成績評価の実施により入学後に適性を判断してる、ですから入学選抜は比較的その緩やかにして入学後でその適性を判断する。適性のない者には進級・修了させないと言う事によって、対応すべきであると言う意見も見られました。しかし、法科大学院は法曹養成機関としての役割を果たす為には、高度の教育や厳格な成績評価、修了認定の前提として入学者の質を確保するという事は極めて重要であり、当然の事であります。従いましてこの点につきましても、入学者選抜での競争性の確保を図るとともに入学時の成績と入学後の成績の相関関係について分析し、その結果を入学者選抜方法の改善に役立てるなど、選抜機能の強化に取り組む事が必要であると考えます。
 最後に、適性試験の最低基準点の設定の報告書の問題になりましたが、その必要性に関しましては、適性試験の最低基準点を設定する予定はない法科大学院もごく一部でありますが、一部にあった事から、これらの法科大学院においてはすみやかに設定に向けた検討が行われる事を望みたいと思います。以上が報告ですが、今後の取り組みといたしましては、入学試験の状況でありますけど、調査結果を踏まえまして、今後はただ今発表のありました平成22年度の新司法試験の結果等も踏まえながら、第1回の調査結果後の各法科大学院での改善状況について、引き続きフォローアップを実施し、その結果について随時法科大学院特別委員会に報告していく予定でございます。以上でございます。

【井上座長代理】
 ありがとうございました。ただ今のご説明につきまして、何かご質問、ご意見等がございましたら、どなたからでもご発言願います。今回、継続校・重点校については、前に本委員会として指摘した事項に関し、どのような取組の状況になっているかご報告頂いたのですけども、その点は尚今後の状況を見た上でさらに調査をするという位置づけで、今回は入口の問題に絞って、入学者選抜の競争性の確保等について書面での調査と、ヒアリングを行った、その限りでの結果のご報告ということであります。これは、その点はこれから各校で行われる来年度の入学者選抜に適切に反映していただく必要があることから、この時期にその点での調査結果を報告していただいたということでございます。一言だけ付け加えれば、私もワーキング・グループのメンバーとしてヒアリング等をさせていただいたのですけれども、前回あれだけはっきり指摘をさせていただいたにもかかわらず、大学人のこれまでの習性的な考え方がまだ根強く残っているのか、入学定員を充足させることを優先して入学者選抜を行う。一般の大学入試では、そう言う考え方でやっていると思いますし、実際、大学についてのいろんな評価において定員充足率が低いマイナス評価を受けるということもあって、そちらの方に頭がいってしまい競争性の確保という視点はどうしても後回しにされる。しかし、法科大学院に関してはそうではない。入口の質の確保、競争性の確保は必須のことであり、その結果として入学者数が定員を下回るとしてもしかたがない。ただ、大幅に下回る状態が続くとすると、その定員が果たして適正であるのかが問題になり、見直しを行う必要が出てくる。そういうことのはずなので、その辺のところは、今回、ヒアリングを通じて改めて指摘させていただきました。

【有信委員】
 ここの最後に書いてある4ページの最後の丸のこの上の3行で、選抜における競争性の確保を図るとともに云々の下りですが、入学時の成績と入学後の成績の相関関係についてという所があります。結局入学志願者の倍率が少ないところは、入学時の試験の成績が悪いという事と、現在の所は逆にいうとそういう法科大学院の卒業生の資質も全体的には劣っているという前提のもとにこういう調査が始まったと、こういう事で考えて良いわけですよね。ですから、その上でもう一度その相関をとると言う時は、恐らく選抜の方法と、それからその中の育成と先ほどのミニマム・スタンダードとの関わり合いも出てきますけども、そういう努力も含めてもう少しきちんと検討をする必要があったろうという気がして、ここのところは非常に重要だと思います。

【永田委員】
 この部分は、その上にあります意見に対する対応なんですね。緩やかな評価の中で選抜していく、それでその中で適性を判断したらいいんじゃないかと言う事ですけれども、それに対しまして、やはりこの質の高い法曹を育てるために、質の高い教育を行うというためには、やはり入学から質の確保をしておくという事は必要であろうし、そこから何人かが受かればよいと言うような事では、制度として成り立たないんじゃないかという風に書いておるんですけども、ですから、入学試験をどのようにすれば上手く適性が図れるかというような事を各法科大学院で考えてほしい、そう言う趣旨です。しかしご指摘ありましたようにこれは法科大学院制度全体の問題であって、特に未修者の選抜をどうするか。適性試験がありますが、どういう風にしたら最終的に質の高い者を法科大学院で選抜出来るか、今ご指摘の通り全法科大学院共通の問題意識かと思います。評価等の兼ね合いにつきましても全法科大学院の問題、ご指摘の通りかと思います。

【井上座長代理】
 前の調査結果について報告した中でも述べていたところなのですけども、2倍を競争倍率を確保出来ず競争性が高くないと入学者の質が悪いということに論理必然的になるわけではないかも知れませんが、調査をしてみた実感としては、やはりその競争性の低さというところに1つの兆候が表れており、入学してからの授業のレベルや、成績評価、修了認定の厳しさの不十分さ、修了してからの新司法試験の受控えの多さ、受験する人の合格率の著しい低さといった点に連動し、マイナスの連鎖、あるいはスパイラルになっているように思われるところが多いわけです。もちろん例外的な所はあるかも知れないですけれども、そこはやはり重要な1つの視点だと思われます。また、永田委員が今仰ったことですが、競争倍率2倍を確保していたら問題ないのかと言いますと、そうではなく、それ以上に実質的にも入学者選抜の精度を高めて行かなければならない。これは2倍をはるかに超えてる所についても共通であり、そう言うメッセージも込めているつもりでございます。

【鎌田委員】
 今の4ページ目の2つ目の○のところですけれども、これは入学時点であまり競争倍率の高くないところについての話ですよね。 2段落目の最初の4行に書かれているみたいな修了要件を厳しくする考え方を全否定されて、どんな法科大学院も入学させた人は全部修了させろという風な形で言われると大変困るのでその辺のところをご確認頂きたいと思います。

【井上座長代理】
 今回、調査の対象にさせていただいた法科大学院の一部からこういう意見が強く出されたのですが、競争倍率1倍に非常に近い状態であったものですから、入学させてからも厳しく成績評価し修了認定するのはもちろんとして、入口のところでも質のコントロールをしておかないと全体としての質の確保ということは難しいということを強調したものです。

【鎌田委員】
 これは、あまり大事な事ではないのかも知れないですけども、前の方では競争率2倍以下のところにヒアリングをしたという風な書き方になっているが、その後ろについている表を見ると2倍を超えているところもヒアリング対象になっている。なぜでしょうか。

【永田委員】
 ポイントは適性試験の問題がございまして、今回やはりどこがどうだっていう事がやはりこのラベリングでの結果となりますので、そう言う事ではなくて、この最終的な我々の判断と言いますか、正直な意見として司法試験の結果を見てから言う事で考えてるわけです。当面は今、井上先生が仰ったように、入試について改善させて欲しいよという事を言うためのその競争倍率という事でございます。そういう意味で、あまり厳格にこれは表にラベリングが出来ないのですが。例えば、ある法科大学院は2倍を確保している。しかしながら著しく適性試験について点数を低い者を何人か入れている。その結果、定員の2倍近く、1.8倍とかの人を入れている。これどうですかというような事もヒアリングします。ですからそれが結果として、こういう風に指摘された大学という事で残るとちょっとまずいと思いますけれども、そういう事も含めまして我々は課題を抱えている法科大学院について調査したということで、あくまでそれは総合的に調査したという事でございます。ご理解頂きたい。あまりこれを強調しますと、ここでの段階での第1回調査からの継続校・重点校という指摘をすることとはちょっと違う。そういうところでご理解いただきたい。

【井上座長代理】
 この資料で数値を出しているのは競争倍率だけです。適性試験の成績につきましては、公表出来ない数値ですので、今、永田委員は慎重な物言いをされたのですけれども、かなり適性試験の成績が低い人も合格させているのではないかと懸念される所についても拾い出した。確認のためのヒアリングですので、問題があると言う認定をした訳ではなく、心配があるので、確認すべきだという趣旨でヒアリングの対象としました。

【磯村委員】
 今の4ページの2つ目の○の趣旨の確認なのですが、第2段落の最後の2行で、また法科大学院に対する入学者の信頼を損なうという、そのフレーズの意味なのですけれども、そこの主体がどちらかというのがちょっとよく分からないのですが、これは「入学者自身が」と言う意味なんでしょうか。「入学者に対する信頼」とも読めるものですから。

【永田委員】
 そんなつもりで入れてくれたのかと言うんじゃ困る、と言う意味じゃありません。ちょっと表現を考えて、修文を考えます。そこの法科大学院の質ということになるかと思います。

【磯村委員】
 分かりました。

【永田委員】
 ちょっと説明を。4ページの○は一部の法科大学院の説明なんで、きちっと真面目にお考えになって回答されているとは思うんですけれども、さきほど小山委員から御説明のありました今年度の司法試験の結果と相成りまして、じゃあそれで成果を挙げているのかと言ったことは我々はどうなのと思っているという事ですが、あえてそういう事があるのでこういうコメントをつけたという事で、基本的にはもっと大きな問題を抱えているという状況です。以上です。

【井上座長代理】
 よろしいでしょうか。この件につきましては先ほどの座長談話にもありましたとおり、法科大学院を取り巻く状況が非常に厳しい中で各法科大学院においては一層の改善に取り組んでいただく必要があると思われます。第3ワーキング・グループにおかれましては、今回の新司法試験の結果を踏まえて、引き続きフォローアップをお願いします。よろしくお願いします。
 それでは次に、法科大学院に対する公的支援の見直しについてという議題に移りたいと思います。本委員会では本年3月に、深刻な課題を抱えているにも関わらず組織見直しが進んでいない法科大学院の見直しを促進するため、そのような法科大学院に対する財政支援の見直しが必要と考えられるので、文部科学省において検討すべきである旨の提言を取りまとめたことはご記憶の通りですが、本日は文部科学省の方でこの検討結果について報告があるということですので、報告をお願いしたいと思います。

【中野専門職大学院室長】
 はい。お手元の資料5をご覧頂きたいと思います。資料5をクリップ止めをしておりますけれども外して頂きますと、本文の他に参考1と言うものと、参考2と言うものがございます。まず参考1について簡単におさらいになりますけれども説明いたします。ただ今座長代理からございましたように、今年の3月に法科大学院における組織見直しの促進方策についてと言う事で、本特別委員会においておまとめを頂いたものでございます。2ページ目になりますけれども、大きな2の「法科大学院特別委員会における意見の概要」と言うところで、公的支援の見直しについてのご提言がございます。(1)のところで、本年、昨年と実施いただきました第3ワーキングの改善状況調査の結果等を踏まえた、本委員会の審議において、各法科大学院では、本委員会が21年4月に提言した改善方策を踏まえて、教育の改善が進められていると言う事でございましたが、2といたしまして、その一方で、入学者選抜における競争性、授業内容、成績評価、教育体制等に深刻な課題を抱える法科大学院が存在していると。そしてそれらの法科大学院は、ほぼ共通して司法試験の合格状況が低迷しているという事でございました。さらにその3といたしまして、そういった課題を抱える法科大学院の中には、組織の見直し、これは統廃合も含むという事でございますが、その様な見直しの検討に着手をしていないなど現状に対して深刻な認識を持っていない法科大学院が見られるという事でございました。このような状況を踏まえて、(2)といたしまして、これらの課題を解決されないままに放置する事は、制度全体の信頼に関わるため、深刻な課題を抱える法科大学院において、すみやかに抜本的な見直しが実施される事が急務であるという事で、文部科学省はこれらの法科大学院に対する組織の自主的・自律的な見直しを促す為に、法科大学院に対する公的支援の在り方について見直しを検討すべきであるという事でございます。
 その見直しの具体的な観点といたしまして、3ページに参りますけれども、1、2、3という事で、法科大学院に対する国立大学法人運営費交付金及び私学助成における支援の在り方について見直しをする。2といたしまして、見直しの対象となる法科大学院は先ほど指摘した様な、深刻な課題を抱える一部の法科大学院に限定するという事。そして3といたしまして、見直しの対象の選定は客観的かつ明確な基準に基づいて行うと言う事で、文部科学省においてそう言った客観的かつ明確な基準を策定すべきということでございます。さらに(4)で見直しの対象の選定についてという事で、1から3でございます。1が授業内容、成績評価、教育体制に深刻な課題が見られる事。2といたしまして、司法試験の合格状況に大きな問題があること。3は入学者選抜の機能が働いておらず、入学者の質の確保が困難となっている事。こういった事を考慮して、判断するという事が考えられるという事でございます。また、さらにそのうちの2ですけれども、司法試験の合格状況を指標として用いるにあたっては過度に高い指標により、全ての法科大学院を司法試験の合格率競争に巻き込み、法科大学院制度を歪める事のないよう配慮する観点から、合格状況に極めて大きな問題が続いている法科大学院に限定するべきであるというご提言でございました。このような3月の提言を踏まえまして、またさらには、紹介いたしませんけれども、参考2といたしまして今年の2月以降ですね、文部科学省、法務省、両副大臣の主催による法曹養成制度に関する検討ワーキングチームの中でも、こう言った財政支援の見直しと言う事が言われていた事も踏まえまして、文部科学省において具体的な基準を考えたと言う事で、それをご報告をさせていただきます。資料5の本文にお戻り頂きたいと思います。資料5の本文の2の「対象」と言うところで、具体的な指標を報告しますという事でございます。下記の2つの指標の両方に該当する法科大学院と言う事で、指標1、かつ指標2と言う事でございます。まず指標1でございますが、入学者選抜における競争倍率これは先ほど第3ワーキング・グループでもございました。受験者数÷合格者数が、2倍未満であるという事。これは、先ほどのご提言の3を踏まえたものでございます。また指標2といたしましては、司法試験に関する資料でございますが、若干指標が複雑になっておりますけれども、(1)、(2)のいずれかに該当する状況が3年以上継続しているという事。ですので、括弧内にありますように、(1)ばかりが該当すると言う事もありましょうし、(1)、(2)、(1)、というように該当する流れも含まれるという事でございます。まず(1)ですけれども、新司法試験の合格率が全国平均合格率の半分未満と言う事でして、これはいわゆる通常で言う所の合格率という事で、修了年度を問わない、全ての受験者に対する合格者の割合と言う事でございます。今年で言うと、25.4%と言うのが全国平均合格率ですので、その半分未満と言う事が(1)でございます。(2)でございますけれども、直近修了者のうち、新司法試験を受験した者の数が半数未満、かつ直近修了者の合格率が全国平均合格率の半分未満という事でございます。この司法試験の指標でございますけれども、当然先ほどのご提言の司法試験の合格状況と言う対象の考え方を踏まえたものでございますが、また授業内容、成績評価、教育体制に深刻な課題が見られると言う、中身について問題がある、課題がある法科大学院と言うのはほぼ共通して司法試験の合格状況が低迷しているという事でございましたので、法科大学院の教育内容、あるいは修了者の質を反映させる指標という事で設けておりますけれども、(1)の他に(2)と言いますのは、先ほどもありましたけれども、法科大学院の教育の内容をより直接的に反映するというのも直近修了者であろう、という事でその修了者について、各個人が受験するかどうかというのは自由でございますけれども、組織全体として修了者の2人に1人も受験をしていない、かつ受けた方の合格率も低迷しているという事は法科大学院教育、あるいは修了者の質に問題があるということを示しているのではないかという考え方でございます。
 2ページに行って頂きまして、具体的措置でございます。ただ今の指標に該当する法科大学院につきまして、国立大学であれば運営費交付金、私立大学であれば経常費補助金を減額すると言う事でございます。この具体的な減額、どのぐらい減額するかという事につきましては、最終的な決定は予算編成の状況に応じて行うという事ですので、現時点において確定的な事は申し上げられませんし、予算編成の状況で変更はあり得るという事でございますが、現時点での考え方という事で、現在の仕組みの中での考え方という事でお示しをしております。まず国立大学運営費交付金につきましては、法科大学院の設置時に措置した額を考慮して減額調整するという事で、ただし、学生経費相当分につきましては、現に学生さんがいらっしゃるという事ですので、そちらを除いて設置時に措置した額を減額調整すると言う事でございます。また私立大学につきましては、やや複雑な仕組みになっておりますけれども、同規模の国立大学と同程度の額と言う事を目安に減額調整して頂くことを考えております。なお、私立大学の具体的な補助金の配分につきましては、私学事業団の方でお決めいただく事でございます。4といたしまして「実施時期」でございますが、これは、平成24年度予算から対応という事でございます。例が細かいですけども、国立大学法人運営費交付金につきましては24年度の予算編成。また私立大学経常費補助金につきましては予算の仕組上、配分と言うところで対応をするという事で御座います。平成24年度予算からこういった対象について減額をしますという事をこの会議の後、各法科大学院にお知らせをいたしまして、各法科大学院での努力をお願いしたいと言う狙いでございます。平成24年度予算という事ですので、例えばその初年度の平成24年度予算については、指標1、指標2はそれぞれ、平成23年度入学者選抜の結果。平成23年度入学者ですから、来年の4月に入学する方の選抜。実際には今年度にやるものですから、今まさにやっていただいている入学者選抜の結果、競争倍率が2倍未満と言うところが対象になります。かつ指標2としては、司法試験については、平成21年から平成23年、先般の結果、それから昨年の結果、そして来年もう1年の結果が3年連続して低迷していると、(1)、(2)、(1)または(2)に該当する、というところが対象になってくるという考え方でございます。説明は以上でございます。

【井上座長代理】
 ありがとうございました。いまお話のあった措置自体は文部科学省の責任で行われるものですが、ただ今のご説明について、ご質問ご意見等があればおうかがいしたいと思います。

【山本委員】
 質問なんですが、指標2の(2)の直近修了者の合格率の考え方について伺いたいんですけれども。この前半がいわゆる競争倍率、後段は修了者の受験者に対する合格率という事だと思うんですけれども、この両方を基準にしているという事は、私の不理解かも知れませんけれども、その場合100人修了して、そのうち最終的に合格した人が10人いたとして、ただその受験した人が40人だと、合格率が25%、仮にそれが半分未満だとしてですね、そうすると引っかかる。しかし受験した人が20人だったらば、その合格率は20人のうち10人が通って50%になるとすると、これには引っかからないと。そういう事なんだとすればですね、それはどういう考え方になるのかという事なんですが、それは結局、適切に受け控えている言う受験者がですね、そう言う所はこれには引っかからないという事になるという感じになるんでしょうか。その考え方が、ちょっと疑問に思いまして。

【中野専門職大学院室長】
 適切に受け控えていると言うか、まず修了者の質、あるいは法科大学院の質、教育の質という風に言い換えてもいいかと思うんですけれども、それを反映させるという事で考えましたのは、その修了者のうちどのぐらいの方が受けているのか、そして受けた人の合格率がどうなのかという事ですので、先生が仰ったような40人だと引っかかるけれども、20人だと引っかからないというような議論はなかったのですけれども、司法試験の合格率というのは、指標としてそういうご提言を頂いておりましたので、そこを直近修了者の合格率と見るのだろうと。また、受ける方がそもそも少ないという状況も修了者の質に自信を持って修了させてないといいますか、修了した方がその司法試験に受かる実力をつけてないという証にもなるので、こういった2つの指標を組み合わせたという事でございます。ちょっとお答えになってないかも知れませんけれども。

【小松高等教育局審議官】
 今、室長から考え方は示した通りでございますが、基本的には入学者選抜のところと、それから最低限の合格率の面で見た時に、非常に低い状態が継続しているという状態、この2つでよろしいかと私ども思っておりますのですけれども、ただ1つ気になります事は、今回はそれだけでいいと思っているのですが、やっぱりちょっと色々と、様々な事情を抱えておられるようですし、この試験の実際の受験状況をみた時に、一定程度のちょっと無理があるような受け控えと言うような事があった時に、その点も一定は考慮させて頂きますよと言うのが、客観的に線を引くと言う時の限度かと考えまして、やはりその2つを組み合わせるというメッセージとしてこういうことにした次第です。細かいこれらの基準について、変な話ですが、数字だけ何とか逃れようかと思って色々細かくふさいでみても、またそれを数字としては上手く逃げるというのは出来る事でございますし、先ほどの2倍未満でも色んな方法で、資質がなくても受けた方の数が増えるように行動すれば、それも不可能ではないという事なので、その前提には一応法科大学院の司法制度改革があり、その無限に数があるわけではなくて一定の数の法科大学院が存在し、その中で基本的には司法制度改革に関わられる人材養成の大元として、色々工夫ご苦労はあるけれども、きちっとした事をやっていこうという事で努力しておられるという事を前提として、それでもなかなかこれ以上、ペナルティとしてではなくて好機として、特にプラスアルファでずっと抱き続けるという事についてはなかなか疑問があるという所については、あえて自主的な改革なり組織見直しを促す為に支援のあり方を見直すべきだと言う考え方に沿っておるものです。そうしますと、その考え方は先ほど申し上げましたが、そういう改善を積極的にしていただくと、そういう大学院の集まりであるという事を前提として検討をし、指標1と指標2として、その指標2を見た時には考え方として2点の要素を盛り込んでやらせていただきますということです。後はその極端な例があれば、それは外に見える事でございますし、メディアその他の方でご覧になった事もあるでしょうから、出来るだけ自律的にそういう事も報告していきながらやるというバランスの中で、このようなところではないかという風に行政としては考えたいと、そんなところでございます。

【井上座長代理】
 今、審議官がおっしゃったように、制裁とかペナルティとして行うわけではなくて、あくまで改善をしていただくよう促すものという位置づけですが、そうだとしても、非常に劇薬的な効果を持つと考えられますので、非常に慎重な議論をしていただいているということです。ついでで余計なことかもしれませんが、2倍未満という競争倍率について、今回調査の中で気付いたのですけれども、同じ志願者に同一年度に複数回受験することを認める所では、競争倍率算定の際の分子となる数がその分水増しされることになる。そういうトリックのようなことだって出来なくはないので、そういったことなども気をつけてみていかなければならないと思うのですが、最低限客観的な数字でこの程度は確保してほしいということなのでしょうね。

【小松高等教育局審議官】
 その通りです。

【山本委員】
 よろしいですか。私の発言の趣旨は、(2)のような受け控えが問題だと言ってるわけじゃなくて、むしろ私は、受け控えが非常に大きな問題だと思っていて、その法科大学院の教育内容をもっともよく知っている修了生が、しかし、その修了しても自分は司法試験が受けられないというのは、ある意味ではその法科大学院に対する強烈な批判であると、内部からの批判であるという風に見られる訳ですので、そう言う意味ではそれを1つの指標とされるという事は相当なものかなと思うのです。ただ、端的にあるいはその直近の修了者に対する合格者の率というだけでも、まあ良いのかなという事を思ったりしますけれども、ただ、こういうノウハウを使用されると言う事自体は、私は適切なお考えだと思っています。

【小山委員】
 ちょっと確認をさせて頂いてよろしいでしょうか。これ自体は非常に良く考えられたなという風に感じております。ここの指標2の(1)と(2)なんですが、この(1)の方に新司法試験の合格率が「全国平均合格率の半分未満」と書いてありますが、この「全国平均合格率」というのは、「合格者数を修了年度を問わない全受験者数で割ったもの」だと思うんですね。それで(2)もですね、「直近修了者の合格率」が「全国平均合格率の半分未満」となっているのですが、この(2)の「全国平均合格率」は、(1)の「全国平均合格率」とは違って、直近修了者の全国平均合格率という意味でございますよね。それでよろしいですよね。

【中野専門職大学院室長】
 はい、その通りでございます。

【小山委員】
 そうしますとね、もちろん見れば明らかなのですが、(2)の全国平均合格率というのは、普通の全国平均合格率、一般で言われている合格率よりは圧倒的にといいますか、相当に高い数字だと思うんですね。それで、日本語として同じ言葉が出てきて違う意味になっているので、今から直すのは困難かもしれませんが、(1)も(2)も、全国平均合格率という言葉は取ってしまった方がいいのでは。(1)は、「新司法試験の合格率(全国平均の半分未満)」と書く、(2)の方も「直近修了者の合格率(全国平均の半分未満)」と書かれた方が、より分かりやすいというような気もいたしました。趣旨は分かりますけれど、違うように解する人がいたら困るなと思って述べた次第です。

【井上座長代理】
 これは文部科学省の方の問題なので、適切に対処していただければと思います。

【永田委員】
 先ほど報告しました、第3ワーキング・グループの報告で、誤解の無いようにと思います。これの対象校は、私どもが認識してかかった法科大学院に重なるとも思うんですけども、目的はやはり第3ワーキング・グループの方は、これこういう問題も含めますけれども、授業の問題も含めまして、様々な問題を各観点から改善を図るという事で、調査し指摘をしていくという作業でございます。今回の文科省の指標は、それとはかなり重なる部分はございますけれども、基本的に、現在やっている公的支援の継続をする、そういう事も考えるとやはり客観的なこの指標で判断したいということだと考えています。一方、我々第3ワーキング・グループの指標と重なる部分もありますけれども、趣旨が基本的に違うことをご理解頂きたいと思います。

【井上座長代理】
 他にご意見等ございませんでしょうか。

【杉山委員】
 よろしいですか、すいません。企業の立場からなんですけれども、所謂、夜間の法科大学院と言うのがございますね。これは多分、私のように一度社会に出た人間がまた法曹を目指そうという事で行っていると思うんですけれども。具体的にどこの大学って出ちゃうんですけれども、当然ながら多分入学の受験者数に対する合格と言うのを高くして競争倍率が低くなると、ピンポイントでも、時間のないのが目立ってるんで、そういう状態が続くと思うんですけれども。そうすると元々司法改革の1つとして、多様な畑の中から法曹を目指す人をやろうというところがくたびれないかなという心配非常に思ってはみたんですけれども、その辺のなんか救済みたいなものっていうのも無く一律やるという感じなんでしょうか。

【小松高等教育局審議官】
 今、おっしゃられておられる事は、非常に私もですね、こういう対応をする時に非常に重要且つ微妙な問題だと思っております。社会人の方々それから、未修の領域におられる他の分野から入ってこられる方々、さらには地域的なチャンスの問題。こういった問題は司法制度改革の中で法科大学院では非常に重要な問題でございましたので、これらの点について、チャンスが確保されるように工夫を図っていきたいという事は、私ども改めて感じております。と同時に今申し上げましたその公的資金として、法曹養成の中核的な位置付けという法科大学院で、例えば何%台位の方であれば、何%台で未修者の方を入れていれば公的資金を外さないという事は、ちょっと別の問題が生じてきます。そこで、定性的にここを入れるというのはまた法的に強制徴収してる税金の配分という事について疑義を生じてまいりますので、そういう意味では先ほど申しました通り、様々な組織の見直しあるいは改善という事を促す為にどう見ても、質なり公的資金を出している所に様々な事情があるかも知れませんが、さすがにこれをずっと継続してプラスアルファで出し続けていく事については、現時点でなかなか了解が得られるのは難しいだろうという風に考えられるところを行政的に判断をして、その措置をもってするというギリギリの線がどこなのかということを、我々ずっと考えてまいりまして、現時点ではこういう形にしたいという事でございます。今、永田先生からお話のありました第3ワーキング・グループで色々していただいている事、これはそれぞれの質を上げると同時に、例えば各大学毎にそれぞれの特色や理念に照らして、それも合わせてどのように1番良くしていかれるかという事をお考えになって、色々フォローアップされている事と、公金としてどこまで納得を得ながら今やれる、それだったら少しやり方を考えてみる、あるいは共同してやってみる。チャンスを奪わないためのいろいろな工夫というのはあると思うのですけれども、そういった事も含めて真剣に考えた話とはちょっと違いますよと話し合ったのですが、私どもの方で今回こう言う形で措置をしていこうという事と、それからまたその社会人の方々、地域の方々、あるいはその異分野の方々、そういった方たちの為にどのように教育の内容方法あるいはその制度全体としての対応をしていくという事は、非常に深く関係しながらもそれぞれの問題があると思いますので、その課題として合わせて取組む必要があるという風に考えております。そういう中での今考えているぎりぎりの線はこうところであるとご理解頂きたいと考えた次第でございます。ご指摘の点は非常に重要だと思います。

【井上座長代理】
 文科省を擁護する訳ではないのですけれども、ご指摘の点は非常に重要で、私どもも、司法制度改革の趣旨に沿ったような法科大学院が整備されるのが望ましいと思っているわけで、入学者についても、2割3割基準というのを頑なと見えるほど守ってるのもそのような趣旨からなのですけれども、ただ、せっかくそういう風に入って来られても、当該法科大学院の教育のシステムだとか、その内容が本来の目的を十分果たしてないということですと、結局、入って来られた方々が、目的を達成しないで終わってしまう。それは責任ある体制とは言えないので、本来の目的を達成できるようシステムを整備して下さいというメッセージを発しているということなのです。そのギリギリ最低限のところから今回始めるということであり、こんな措置を講じてもらうまでもなく各法科大学院それぞれ自らの責任で考え、適切な処置をしてくださるのが最も良いのですが、なかなかそうはいかないので、苦渋の選択として今回の措置が取られることになった。そのように受け取っていただければと思います。さきほど触れた特別委員会の提言もそういう趣旨によるものでありました。

【有信委員】
 よろしいでしょうか。今回こういう形で、今朝の新聞にも既に「入り」を絞るという形で報道されましたけれども、元々司法制度改革という理念のもとに制度設計がなされたにも関わらず、一部の法科大学院が趣旨に沿っていないという所で、こういう形がある程度枠を持って行って、自主的な改善を望まざるを得ないと言う。はっきり言って、始めからこんな基準なんか作らずに名指しで大学に「こうしなさい」と言えれば1番話は簡単なんだけど、それも公平性の観点からそうせざるを得ないという事なんだと思うんですけれども、ジャーナリズムの報道だとか、こういう「入り」を絞るというようなところの報道の仕方もそうですけども、ある意味で全体的に見るとよってたかって法科大学院がいじめられているような印象を受けますね。それが逆にその法科大学院の構成員の態度をすごく受身にして、対応的にして、もっと積極的に本来は多様な法曹を作るという視点で努力をしてもらわなければいけないのに、逆にならないように今、第2ワーキング・グループ、第3ワーキング・グループ色々検討されているので、そういう事を是非生かすようにしていかないと、大変な事になるという気がしています。というのは1つだけ例を言いますと、ついこの前に日本を代表する大企業の対応方針が発表された中で、要するに国内の採用は決して増えない。だけれども総採用数は大きく増えているんですね。しかも7割くらいが海外の採用だと、こういう事になっていて、要するに国内での対応が遅れている中で、グローバル化と言うものは実際にそこで活動している企業にとってはもう、必死な状態になっているという事がよくわかったと思います。したがって、司法制度改革のある意味ではこの本来あるべき姿を目指してやられていることなので、これもいつまでも、もちろん日本の大学そのものの問題が色々あるんですが、含めて是非前向きになるようにですね、そのジャーナリズム等々含めて前向きにあるべく方向に持って行くように努力する必要があるという気がします。

【井上座長代理】
 どうもありがとうございます。他にご意見等ございますでしょうか。

【笠井(治)委員】
 先ほど永田委員のご説明にもあった部分に関連するんですが、第3ワーキングの活動と、今回の公的支援の見直しの問題と言うのは、全くイコールではなくて、そんな部分もあるけれども必ずしもそうでもない、というお話でそのこと自体は分かるんですけれども、第3ワーキングでこれまで活動してきたのは、要するに教育体制等に深刻な課題を抱えると見られるロースクールについて、そのフォローアップを図ろうかと、こういう観点から活動してきた、されてきたわけですが、その対象校ともされていないものについてですね、今回公的支援の見直しと言う形でひょっとしてその対象校にされるという事があると、その当該のロースクールには一種のサプライズがあると、先ほどラベリングの話が出ましたけれども、レッテル貼りが行われるような事になるとすると、今回の措置というか考えというのが施策というのが逆の意味でとられてしまう。そういうメッセージ性がありますので、その点十分にお考え頂いて対応していただきたいという風に思います。

【小松高等教育局審議官】
 その点承ってやっていきたいと思います。それでこの実施につきましても、片方で法科大学院、有信先生からお話しありましたように、進められている司法制度改革の中核的機関として、きちっと制度が鍛えられて充実していくように私どもとしても一生懸命やりたいと思っておりますが、そういうメッセージを出して行きたいと思いますが、他方で非常に、大変厳しい目も注がれております。それらを含めまして、実施していく時期についても色々判断があるところでございますが、少なくともそれぞれの大学院においてこうしたメッセージをまずは受け止めて頂いて、自主的に様々な努力が出来る様な時期に、その意味では設定をした、そこで今現在開けてみると、びっくりしてそのままアウトとかいうような事にならないように、気をつけながらやって行かなければいけないなという風に我々思って考えております。それには時期を含めたメッセージ性と言うのを、誤解なく伝わるように改めて努力をしたいなと思います。

【土屋委員】
 公的支援の見直しと言うと、非常に冷たい印象を受けてしまうんですね。特に減額という事になりますと。一定の大学院については面倒みないという、そういう受け止め方をされてしまうんで、それは本位ではないのだと思うんですね。法科大学院はもっと良いものにして行きたいと私は思いますし、そうあって欲しいと思うので、まず法科大学院の関係者の方たちに一生懸命ですね、いろいろな方策を講じて頂きたいと思うんです。ここで提案されている公的支援という見直しという事とはちょっと違う話かも知れないんですが、支援の額を減らすという、そういう冷たく見える措置だけでなくて、ある意味で減額、予算の減額になるわけですから、その分を使ってというと変ですけど、返って逆に法科大学院の学生達に対する支援策も同時に打ち出していけば、メッセージとして法科大学院を決して見捨てるような方向のものじゃないんだっていう事も伝わるんじゃないかっていう気もちょっとしたんですけれども。例えば、法科大学院に通っている学生さん達が学費などの負担に苦しむ時ですね、日弁連が発表した調査では、多数の学生さんが何らかの意味で借金を負っている、平均300万円と言う数字が出ていましたけれど、そういう苦しい状態をサポートするというか、そういう意味で例えば学費の減免を拡充する、増やすとか、あるいは奨学金制度を考え直して給付型の奨学金を増やすだとか、あるいは給付型でなくても、一定の職業に就いたらというか、法曹資格を取った後に公的な仕事をすれば返還を免除するとか。そういう新しい学生支援策と組み合わせて文科省で公表して頂ければ、これは決して法科大学院に対して、文科省として冷たくばっかり扱うんじゃないんだよというメッセージになろうかとも思うんですね。学生、社会人らを法科大学院に引き付けるという意味では重要な事なんじゃないかと思うんです。ここで経費節減みたいな話、財政支援削減、打ち切りみたいな話で広がってしまうと、法科大学院を受験しようという学生そのものが減ってしまうということが非常に心配されますので、そういう面も含めて検討していただければと思います。お願いしたいと思います。

【井上座長代理】
 何かお答えできることはありますか。

【中野専門職大学院室長】
 資料のようなものはないんですけれども、法科大学院の学生に対する経済的支援につきまして、大学全体の話なのですけれども、奨学金の充実あるいは授業料免除の拡大について、概算要求によりまして、委員のご指摘のようなメッセージを発するときもよく注意してやるようにしたいと思います。

【井上座長代理】
 よろしいでしょうか。他にご意見なければ、本日の議事はこれまでとしたいと思います。今の公的支援見直しに関しても、その趣旨につき誤解のないよう各法科大学院に周知をお願いしたいと思います。
 それでは今後の日程等について、事務局よりお願いします。

【中野専門職大学院室長】
 次回の日程につきましては、調整の上改めてご連絡させていただきます。

【井上座長代理】
 それではどうもありがとうございました。本日の議事はこれで終了させていただきます。

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高等教育局専門教育課専門職大学院室法科大学院係

(高等教育局専門教育課専門職大学院室)