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.平成6年:「国立大学の組織・運営に関する調査研究会」における意見の概要
(大学審議会組織運営部会(第39回)〔H6.12.15〕資料4より)


検討項目 調査研究会における委員の意見
   助手制度の実態
   我が国における助手は性格が曖昧であり、研究者であり教員であると同時に事務上の処理まで担当している場合がある。また、その職務の内実は文系と理系、所属する学部・学科等でも異なる。助手の位置付けを明確にしていく必要があるのではないか。

   昭和53年の国大協の実態調査によれば、特に人文社会系の分野で、助手のポストを使い、教官の補助的作業として、コピー取りや資料集めなどに従事する事務助手を置く場合が多い。

   日本の助手の平均年齢は35.7歳とあり、そのうち半分近くが35歳以上であるが、この年齢構成は予想以上に高く、制度的に問題があるのではないか。

   助手制度の在り方
(現行制度の見直し)
   助手の採用の際に一定の研究業績を要求するとともに、助手の教員としての位置付けを明確にすることを検討してはどうか。また、アシスタント・プロフェッサーのような職を新たに設けることも検討してはどうか。

   専らセレクタリーとして働くことのできる事務助手の制度は考えられないか。

   助手といっても事務助手のようなものから教授、助教授に準じるものまでその実態は多様であるにかかわらず、待遇面では同じ俸給表となり、実態を反映していない面がある。

   極めて多様な内容を含み得るフレキシブルな点がむしろ助手制度の利点である。一律に内容を定めて画一化してしまうことは望ましくなく、そもそも不可能ではないか。

   若手研究者の「たまり場」的な場を確保することが今日困難になりつつある。この観点からも今後の助手の在り方を検討してみることが必要ではないか。

(他制度との関係)
   日本学術振興会の特別研究員制度は大変恵まれた制度であるが、助手との関係を考えていく必要があるのではないか。

   助手、ティーチング・アシスタント、教務職員、技術職員、大学院学生等との概念の整理が必要である。


.平成10年:大学審議会(第76回、第77回)における意見の概要

検討項目 主な意見
・助手制度の在り方
   外国にはアシスタントという名称は通じないので、例えば、リサーチ・アソシエイトやアシスタント・プロフェッサーなどの名前を使っている。はっきりとそういう名称に変えた方がいい。

   問題の一つは、学校教育法に、助手は教授・助教授を助けるということだけで自ら独立してやるとは書いていないため、教授の指示を受けて色々と手伝わないといけないということである。

   優秀な人は独立して仕事をしていくというシステムを作り、独立していることが明らかな名称を考えてやるべきである。

   現在の教授は忙しく、仕事を代行してくれる助手が必要。

   ある大学で全学で一斉に助手をなくしたら、理学部では、博士を取った人が技官的なポジションに着くということとなった。理系の場合、助手というポジションは必要ではないか。

   助手制度を廃止する方向で検討していった方がいい。RAやTAを積極的に活用し、現行の助手ポストに就く人は助手とは呼ばないようにしてはどうか。

   それぞれの仕事の性格に応じ、現行の助手を分解してはどうか。助手は何にでも使えて便利だという意識がある教員にとってみれば不便だが、それは覚悟の上で実行しないと整理がつかない。

   色々な助手がいるので、助手は助手として残しておき、キャリアパスの人には、講師なりアシスタント・プロフェッサーなりの新しい名称を与え、独立して研究ができるようにしてはどうか。

   せっかくPD制度を作ったので、PDが大学の教員のキャリアパスになるような制度を考えていかないといけない。

   教授、助教授、助手という制度をなくし、「教育主務者と教育補助者を置くことができる」ということだけ法律で規定し、名称は各大学に任せてはどうか。

   国際的に見ても、プロフェッサーシップというものは一定の業績を挙げて、一定の資格をもった教授に相応しい人物に与えるべきである。教授、助教授という制度がなくなると非常に混乱する。





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