参考資料2 |
平成15年6月 |
新たな留学生政策の確立に向けて |
日本私立大学団体連合会 |
1. | 継続的で一貫性のある新たな留学生政策の確立
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2. | 日本人学生の海外派遣の促進 留学生政策を「国策」として、国家戦略的見地から考察すると、留学生の受入れだけでなく、我が国から諸外国へ、明確な目的を持った学生を積極的に派遣する制度の充実も等しく重要な施策である。 これまでは、「知的国際貢献」という認識が示すように、留学生10万人計画のもと留学生の受入れが政策の中心にあった。しかし、近時、日本の高校卒業直後に海外の大学への進学志向が高まりつつあることも踏まえ、海外への留学生派遣に対する政策的な対応が検討されるべきである。学生を海外に派遣することにより、日本文化等を海外に伝え、相互理解の促進にも寄与する。留学した日本人学生が、日本発の「架け橋」となることが期待されるのである。 なお、派遣にあたっては地域を配慮し、欧米偏重になることなく、特に現在我が国で専門家が少ないアフリカ、中近東、南アジア、ラテン・アメリカなどへの留学を積極的に奨励する必要がある。 |
1. | 新たな経済支援制度の確立 新たに誕生する独立行政法人日本学生支援機構の理念に示されている、統一的視点からの支援政策の推進にあたっては、私費留学生にも重点をおいた新たな支援制度の確立が強く望まれる。 特に奨学金制度については、真に留学生の利便性に強く配慮した内容とともに、返済までのフォローにも着目した制度の考察が必要と思われる。 |
2. | 授業料減免学校法人支援事業の拡充 本事業は、私費留学生の授業料を減免した学校法人に対して、授業料の3割を上限として支援するもので、私立大学に対する固有の支援制度であり、既に世界的に認知された公約となっている。 昨今は、留学生受入れ数の飛躍的な増加に対して、充分な経済支援がなされないのが実情である。制度開始時には、申請に対して100%支給されたものが、現在では約40%と大幅に低下している。その結果、留学生が等しく援助を受けるための不足分は、学校法人の負担となっている。学校法人は、その原資を捻出するためには、教育研究費への支出を制限し、日本人学生からの授業料から捻出するなどして対応している。このため国策に沿って留学生を受入れることが、私立大学にとって財政的に大きな負担増となるような現状は、早急に改善される必要があろう。 私立大学としても、真に修学を目的とした留学生の要望に応えられるよう、魅力ある大学構築への努力が必要である。 |
3. | 学習奨励費の拡充 経済的に困難で、かつ成績優秀な留学生に対し毎月一定額の奨学金が支給される本制度は、安定した経済支援の上からも、また留学生の勉学意欲を喚起する点においても非常に大きな意味を持っている。よって支給対象者と支給率を拡大する方向で、抜本的な見直しが急務である。 |
4. | 宿舎の確保 留学生にとって最も難しい問題は良質かつ低廉な宿舎の確保である。特に施設が乏しい私立大学にとって、留学生用の宿舎確保は財政的に大きな負担となっている。そこで、国際交流会館など留学生宿舎の新設に対する建設費補助は、日本学生支援機構として独立行政法人化した後でも、継続、拡充されねばならない。 しかし、留学生だけの宿舎は留学生を「出島」に閉じ込めることになり、次善の策である。留学生と日本人学生が共同して生活ができる混住型の宿舎が理想形であり、建設費補助の対象を拡充すべきである。 また、宿舎の提供に協力している個人や企業等に対する、資金面及び税制面における優遇措置にも配慮の必要がある。 |
5. | 新たな生活支援制度 留学生にとっても最も身近な生活に密着した部分への支援の充実が重要である。 例えば、留学生への公営バスや地下鉄のフリーパスの支給、さらには、留学生に正しい日本文化を理解してもらうために、公設の博物館や美術館等への入館が容易に可能な環境を整備する必要がある。 |
6. | 特色ある留学生支援施策を講じる学校法人に対する援助 今後の留学生政策をさらに推進するためには、大学自身の戦略の一環として留学生支援施策を積極的に取り入れている学校法人に対する新たな支援、援助方策の開発が必要である。 特に私立大学の中には、建学の理念のもと、国際協力や国際相互理解をミッションにかかげて多くの留学生を受入れ、派遣を行うことにより国際人養成を推進している大学が少なからずある。特色ある留学生支援施策を講じている学校法人を援助し、成功事例を拡大することは、他の大学にも大きく影響を及ぼし、ひいては国策としての留学生政策の発展に大いに寄与するものである。 そのために、これまでの予算とは別の枠組みで、学校法人に対する援助を新設すべきである。 |
1. | 「留学」の在留資格 現在の在留期間(最大で2年間)は、欧米諸国と比較して短く、個々の学生の予定在学期間に応じて認められることが望ましい。 |
2. | 「短期滞在」の在留資格 現在の在留期間(最大で90日間)を、例えば、4年以上大学に在学し、学士号を取得した留学生で、在留期間の延長を希望する者に限っては、その期間をあらかじめ最大で180日間とするなどの、柔軟な対応を可能とすることが望ましい。 |
3. | 就労ビザ 卒業後、我が国で就職を希望する留学生を、強力なマンパワーとして認識し、就労ビザへの切り替え手続きを簡素化、その取得を容易にする。 |
以 上 |