資料3 「中央教育審議会大学分科会大学院部会審議まとめ(案)」に関するパブリックコメント(意見公募手続)の結果について

「中央教育審議会大学分科会大学院部会審議まとめ(案)」に関するパブリックコメント(意見公募手続)の結果について

1.  意見募集の概要
  (1)    募集期間 平成27年7月27日(月曜日)~平成27年8月20日(木曜日)
  (2)    告知方法 ホームページ
  (3)    受付方法 電子メール、郵便、ファックス

2. 意見総数
   10通(すべて個人)
    (意見内容別件数:31件)
  <内訳>
    (職業)大学教員:2名、大学研究者:1名、大学院生:1名、不明:6名
    (年齢層)20代:1名、50代:1名、60代:1名、不明:7名

3. 主な意見の概要
  【はじめに-検討の経緯、大学院教育の改革の進捗状況と大学院を巡る国内外の情勢について】

  • 中央教育審議会の推進してきた大学院改革の戦略のどのような点に問題があったのか、さらなる分析が必要。
  • 我が国の発展を考える上で、ソフトパワーという観点がさらに強調されると良い。その担い手として「知のプロフェッショナル」を位置づけるなら賛同する。
  • リーディングプログラムは、規模が大きすぎて過度の投資が集中しており非効率。21世紀COEプログラムのようにPIが10人~15人規模が最適ではないか。
  • ポストドクターの問題の解決を最優先すべき。大学の教員ポストを増やすための財政支援を行うことは、教員一人当たりの学生数を減少させ、より質の高い教育を行うことが可能になり、ポスドク問題の直接的な解決にもつながる。
  • 国際的にみて博士号取得者数が少ないのは、人文・社会・理学の三分野であり、分野毎の状況を踏まえたきめ細かい施策を希望する。「役に立たない」と見做されることが多いこの分野の博士人材を増やすには、産業競争力につながるという論理への国民的理解が必要。
  • 「各国において、新しい知や社会的価値が生み出す高度な人材こそが、各国の発展の原動力として期待されている」という認識が正しいのか、その認識が日本の産業界と共有されているのか。シリコンバレーとは異なる方向に日本の産業界の将来があるという可能性も排除できない。
  • 海外の大学院の方がキャリアで有利になることや、日本の大学院は金銭的負担が大きいことにより、一番優秀な層が海外の大学院に行き、日本の大学院に来る学生のレベルが落ちていることが問題。
  • 以前は、ポストに余裕があり、若手研究者は有力なシニア研究者の庇護のもと、機材、人材、研究費のサポートを受けてその力を存分に振るうことができたが、現在は有力なシニア研究者に余裕がなくなり、自分のリソースを使って若手をサポートすることが難しくなった。国内の若手の独立ポジションは、海外大学に比べて魅力がないため、力のある若手研究者ほど日本に帰国しない傾向が顕著になっている。

  【体系的・組織的な大学院教育の推進と学生の質の保証】

  • 学部4年生の段階で研究室や研究テーマが決定してしまう。コースワークの実施や、インターンシップ等への参加機会の充実を図るような教育課程の編成・実施はとても魅力的であり、多くの大学院で取り組んで欲しい。
  • 米国の大学院入試では、GREという共通試験が活用されている。日本でも、大学院の入学者の質やグローバル化等の観点から、日本版GREのようなものを大学院入試についても実施するというような議論は可能ではないのか。
  • 教授や准教授が一方的に話すだけの授業がかなり多いのが現状であり、大学院教育レベルでのFDの機会の充実が図られることは賛成。教員の教育業績や能力が適切に評価されることは重要である。


  【産学官民の連携と社会人学び直しの促進】

  • 社会人学生をより多く学校に取り込むべき。目的意識と向学心がある社会人学生が増えることにより、大学内に社会人としての知見を持った人間の意見が入り、研究も学生も活発化するのではないか。


  【大学院修了者のキャリアパスの確保と可視化の推進について】

  • 高学位取得者が増えないのはキャリアパスが開けないから。これは大学院教育の内容と質の問題であると同時に、活用しようとしない産業界の体質の問題でもある。
  • 日本以外の国の博士課程修了者も雇用している企業人に、日本の博士課程修了者をどう評価し、どのような教育を日本の博士課程に期待しているかを汲み上げるべき。
  • 「3年間の学費を払っていても、10年~20年程度かければ何とか見合うだけの賃金」が得られるのであれば、もっと博士号を取得する人が増えるのではないか。企業側に博士の価値を見出し積極的に登用するよう引き続き働きかけることが必要。
  • 高度技術者、経営者、企業OBによる研究指導への協力、インターンシップのコーディネート等には、人件費を伴うものであり、大学に対する財政支援策が必須。
  • 博士課程リーディングプログラムは素晴らしい事業であるが、宣伝が不足している。各大学の学生、企業に対して積極的に発信することで、博士課程への進学者や博士課程雇用が増えるのではないか。
  • 30代の研究者の雇用・テニュア化を促進すれば、20年後にまた高齢化傾向を生む。その繰り返しを避けるための雇用システムを明らかにすべき。
  • 学部時代に教職課程をとっていない博士号取得者等が、再訓練を受けて中高の教員へ転向できるよう、教職専修コースを設けてはどうか。


  【教育の質を向上するための規模の確保と機能別分化の推進について】

  • 小規模専攻への指摘は重要。特に学問分野の教育単位の小規模化がより本質的な問題である。学問毎に複数の大学院が連携することを推奨・支援する必要がある。
  • 博士課程の定員が多すぎる。生物系などでは博士レベルと言い難い人材が学位を取得し、常勤職を得られないために、キャリアパスが不安定に見えている。博士課程の定員を撤廃し、研究費やフェローシップを受けられる者だけにしてはどうか。
  • 研究は縮小させず、大学院の乱造をやめて適正規模まで減らすことが必要。定員割れ、大学院で学んだ知識・技術を用いる仕事で活躍できる人が少ない大学院は、学生数を削減又は廃止すべき。


  【博士課程(後期)学生の処遇の改善】

  • 科研費から大学院生の給料をもっと柔軟に支出できるようにすること、基盤B以上の研究費では給与をカバーするに十分な額とすることが必要。
  • 私立の大学院生が安心して勉学に集中できるような経済的援助(TA・RA制度)の充実を希望する。優秀な大学院生を教育研究に貢献させ、キャリア開発を支援することにも意味を持ち、進学率の向上につながる好循環を引き起こすことになる。


  【「卓越大学院(仮称)」の形成について】

  • 「卓越大学院」は、一大学の事業ではなく、複数の大学が協力し、産学を横断し、また国籍も問わず、最優秀の研究者が所属機関を一時的に離れ、卓越大学院での研究プロジェクトに従事するという形式を採るべき。
  • 「卓越」と「知のプロフェッショナル」というキーワードが何を意味し、これまで掲げてきた高度専門人材やグローバル人材とどのように異なる内実を持つか明らかにすべき。
  • 「産学官からなる検討会」が提唱されていることは重要。その際、グローバル採用の現場に関わっている中堅企業人の声を汲み上げることを希望する。
  • 社会人を経験し卓越した能力と意志を持った者が大学院に戻ることを容易にするため、1年のみの修士または博士課程での修了の枠を拡大していくべき。
  • 「卓越大学院」は、国公私の大学院が適切な割合で採択されることを希望。


お問合せ先

高等教育局大学振興課大学改革推進室

大学院係
電話番号:03-5253-4111(内線3312)

-- 登録:平成27年09月 --