博士号教員の活用について

平成21年5月18日
秋田県教育委員会

1 博士号教員活用の背景と経緯

(1)大学入試センター試験における、本県の理数系教科科目が低迷していること。
(2)産業振興のため、地域に根ざした独自技術の開発を支える人材の育成が求められていること。
(3)外部委員からなる「県発展戦略会議」において、博士号取得者などの優れた人材を教員として採用し、児童生徒はもとより、教員にも刺激を与えてはどうかとの提案がなされたこと(平成19年度)。

2 博士号教員要請派遣事業の目的

(1)児童生徒の意欲や関心の向上を図る
 小学校・中学校・高等学校において、高い専門性に裏付けられた知的世界に触れる機会を提供することを通して、児童・生徒の夢を育み、意欲や関心の向上を図る
(2)生徒の学力向上と教員の授業改善に資する
 専門的な実験や演習を通して、最新の高度な知識や技能を生徒や教員に伝え、生徒の学力向上を図ったり、教員の授業改善に資する

3博士号教員採用選考の状況

(1)選考方法
・第1次選考…書類審査(志願書類、研究業績書、志望の動機と抱負)
・第2次選考…論文、面接
(2)選考の状況

採用年

志願者

1次
合格

2次
受験

最終
合格

備考

平成20年

57

18

18

6

1名は非常勤

平成21年

12

3

3

2

1名は辞退

4 博士号教員の派遣状況

・平成20年度 合計61回
内訳:小学校10 中学校12 高等学校19 その他20

5 博士号教員採用をめぐるQ&A

Q.マニアックな専門家が生徒指導などできるのか?
A.県教委による選考(教諭としての資質能力)を経て採用されており、問題はない。生徒、教員集団に溶け込み、今すぐクラス担任を任せてもよい状況である。

Q.最先端知識だろうと授業の雑談のネタ以上の用途はないのでは?
A.幅広い土台を持ち、同じ内容でも違った切り口から指導できるなど、優れた教科指導力を持っている。また、児童生徒の科学的探究心を刺激し育み、未来のイノベーションを担う人材育成にも貢献している。

6 博士号教員派遣の成果と課題

成果
(1)出張授業を受けた児童生徒の感想から明らかなように、着実に理数系分野への興味関心を高めている。
参考HP(http://www.daino-h.akita-c.ed.jp/hakase/hakase.html)
(2)校内においては、授業はもとより、課題研究や補習授業、科学部の活動等においても指導力を発揮している。農業や工業における専門的な力量は、特に、課題研究等に深みと広がりを与えている。
(3)出張授業の他に、各種セミナー等における自身の進学体験を踏まえた講話も、多くの生徒を前向きにし、夢に向かって挑戦させている。
(4)出身大学や赴任していた国との交流の架け橋となり、高大連携や国際交流の内容や規模が拡大している。

課題
(1)博士号教員の人件費等は、現在は、県単独予算で措置されている。財政難の折、県単予算の継続的措置は困難になってきている。
(2)博士号教員の派遣費用も、事業予算として措置されており、今後何年継続できるか課題である。
(3)出張授業の準備のための予算も特別に措置されているわけではない。中には、自ら懸賞等に応募して資金を獲得している博士号教員もおり、財政的な支援体制をどのように確保拡充するかが課題である。

お問合せ先

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-- 登録:平成22年02月 --