大学院部会(第100回) 議事録

1.日時

令和3年2月2日(火曜日)10時30分~12時00分

2.場所

WEB会議

3.議題

  1. 大学院におけるリカレント教育について
  2. 第10 期における審議の整理
  3. その他

4.出席者

委員

(部会長) 有信睦弘部会長
(副部会長) 村田治副部会長
(臨時委員) 大島まり、加納敏行、神成文彦、小長谷有紀、小西範幸、佐久間淳一、高橋真木子、田中明彦、塚本恵、沼上幹、濱中淳子、堀切川一男、宮浦千里の各委員

文部科学省

(事務局)西大学振興課大学改革推進室長 他


5.議事録

【有信部会長】おはようございます。所定の時間を若干過ぎてしまいましたが,第100回の大学院部会を開催したいと思います。御多忙の中,御出席いただき誠にありがとうございます。
本日も,新型コロナウイルス感染症対策のために,Zoomによるウェブ会議として開催し,傍聴者にも公開しております。会議資料,音声など御準備はよろしいでしょうか。一応確認はさせていただいていますが,こちらの声が聞こえないとか,何か不都合があれば御指摘いただければと思います。
本日は,池尾委員,川端委員,迫田委員,髙橋修一郎委員,波多野委員,福留委員,湊委員が御欠席と伺っております。菅委員は1時間ほど遅れて御参加ということのようです。
それではまず,事務局から会議に当たっての連絡などをお願いしたいと思います。

【西大学改革推進室長】事務局でございます。
会議に当たって,何点か御連絡申し上げます。
WEB会議を円滑に行う観点から,御発言の際には,挙手のボタンを押していただきまして,部会長から指名がありましたら,お名前をおっしゃっていただいた上で御発言いただきますようにお願いいたします。御発言の際は,通常よりも少し声を大きめに御発言いただきますとありがたく存じます。
また,発言時以外はマイクをミュートにしていただきますようにお願いいたします。
資料につきましては,議事次第に記載のとおり,事前に委員の方々にはメールでお送りをしております。画面投影が間に合わない等ございますので,お手元の資料を中心に御確認いただければと思います。
なお,本日,WEBで傍聴者の方々にも同時配信をしてございますけれども,文科省のホームページにまだ資料が上がっていないという不手際がございまして,今,大至急調整をしております。傍聴の方には大変申し訳ございませんけれども,取りあえず画面に投影する資料をご覧になって傍聴いただければと思います。
その他,システムの状況によって不都合がありましたら,また御連絡いただければ,できるだけ速やかに対応いたしますので,御協力のほど,よろしくお願いいたします。
また,文部科学省側で,前回から今回にかけまして人事異動がございましたので紹介をさせていただきます。
令和3年1月1日付で大臣官房審議官高等教育局及び科学技術政策連携担当に森田正信が着任をいたしております。
以上でございます。

【森田大臣官房審議官】今御紹介いただきました,1月1日付で審議官に着任いたしました森田でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

【有信部会長】それでは,議事に入りたいと思います。
議事次第を御覧ください。本日は議題が主に2つということで,早速,1つ目の議題であります,大学院におけるリカレント教育についてということで進めたいと思います。前回の大学院部会では,履修証明プログラムについて大学院の単位授与を認めるという方向性については了承させていただきましたが,そもそもの履修証明制度やリカレント教育についても様々な御意見がありましたので,少し議論の場を設けて理解を深めるということで進めていければと思いますので,まずは事務局から説明をお願いしたいと思います。よろしく。

【西大学改革推進室長】前回の第99回におきまして,履修証明プログラムの大学院における単位化について御了承いただいたところでございますけれども,その際,社会人,とりわけ実際に企業等で活躍中の方々のニーズにマッチしたリカレント教育の在り方と,それに対して大学院がどう応えていくべきかという点について御意見をいただきました。そのため,本日は改めて大学院におけるリカレント教育について,委員各位のお立場から御意見をいただければと思ってございます。
お手元の資料1を御覧ください。資料1は,本日御議論いただくに当たって,事務局のほうで便宜的に御用意をさせていただいたものです。
この表は,横軸に学修時間,縦軸に職業志向と教養志向と位置づけをいたしまして,例として左側に単発的な公開講座,学修量少な目志向ということで置いてございまして,右側に,もう少し時間の長い講習などというものを置いてございます。あくまで例示ということでございますけれども,学士や修士といった学位プログラムは,もっと点線の右側ということで位置づけております。
一枚おめくりいただきまして,2枚目の資料ですけれども,右側に現在の学校教育法で言うところの特別の課程と位置づけられている履修証明プログラムを置いております。いわゆる履修証明プログラムということでございますけれども,通称があまり適切ではないのかもしれませんが,学校教育法には学位プログラムとは別に,大学は特別の課程を置くことができると規定をされております。
これは,もともとの由来ですけども,各大学で自由に講習や公開講座等を実施していただいて,「●●講座」の修了証ですとか,「●●マイスター」といったような受講証や認定証を発行していたことはもとより可能ではありますが,公開講座を一定程度まとまった形にして,体系的な学修ができる形にまとめるという意味で,学校教育法上に特別の課程という枠組みを設けたということがもともとの由来でございまして,かつては120時間以上,一昨年からは60時間以上の学修量が必要とされております。
この点について,既に企業等の最前線で働いている方などにとっては,資料の左上に記載してございますとおり,スキルアップのために学びたいことが明確でありまして,かつ,短い期間で効率的に学びたいというニーズが想定されます。その視点で考えますと,現在の学校教育法上の履修証明プログラムのように,学修者に体系的に学んでもらいたいというメニューを大学が組み合わせて,かつ60時間以上求めているというのは過剰でありまして,科目等履修生などであっても週に90分を15週間といったような期間が長過ぎるということになってまいります。
なお,現状の制度の御紹介という位置づけで,3枚目をさらに御参考として御用意しております。3枚目の資料は,厚生労働省が職業スキルの獲得等の観点で,教育訓練給付制度というものを持ってございます。職業にきちんと結びつくということを前提にしておりますので,文部科学大臣が職業実践力育成プログラム,BPと略称で呼んでおりますけれども,これに認定したような履修証明プログラムであれば,厚生労働省の給付金がもらえるような学び直しの支援策が存在します。
このうち,一番ハイレベルな専門実践教育訓練給付の対象は,例えば経営大学院におけるMBAですとか,正規の課程ですとか,BPのうち1年以上2年未満のものというような,結構ハイレベルで学修量もかなり多めのものが対象になっております。
一番ライトな一般教育訓練給付の対象は,各種の技能検定など,通学制で50時間,通信制で3か月以上というものが対象となってまいります。この辺りは大学院というより,むしろ専門学校などが強みを発揮できる分野かとも思いますけれども,このような制度の立てつけとなってございます。
さらに,参考でございますけども,この3つの教育訓練給付制度の詳細なものを4ページ目に,この3つの区分分けとして御用意をしてございます。
今回、オンラインでも議論がしやすいように御参考として御用意しました。資料の2ページ目などを中心に御議論いただければと存じます。
事務局からは以上でございます。

【有信部会長】どうもありがとうございました。
まず,村田委員から問題提起をしていただければと思いますが,村田委員,よろしいでしょうか。

【村田副部会長】ありがとうございました。
今,文科省のほうから御説明があったこと,私自身はまさにこのとおりなんだろうなと思います。
前回の議論は,この履修証明プログラムを含めて,いかにそれを単位化するかという議論で,単位化すること自体に対しては,私は全く問題ないと思っております。その問題と履修証明プログラムを,今60時間になっているもの,ここを少し考えておかないといけない。前回,川端委員からもありましたように,アメリカ等ではMOOCs,これは15分単位で授業が行われるようなものをやっているわけです。前回も言いましたけれども,リカレントのところでの社会人と大学院のマッチングの共同研究といいましょうか,関西生産性本部での各企業のニーズをヒアリングしておりますと,やはりかなり短い時間で,ある特定の分野を学んでいきたいというニーズもあります。
一方で,そういうものを集めて単位とし,認定し,将来的には大学院に進んでもらう,あるいは進みたいという人ももちろんいるんですが,そこはちゃんとターゲットを分けておく必要があります。いわゆる履修証明プログラムは単位を少し小さめにしておいても,それを積み上げていけば単位を認めていっていいわけで,一定の単位になるわけですから,そこが機動的に動けるような形にしておけばいいのかなと。
先ほど文部科学省さんのほうからも御説明があった専門実践教育訓練給付,これはもう完全に大学院を想定しているもので,履修証明プログラムの単位数と,今,60時間で直接結びついていないわけですから,もう少しここを小さくして,履修しやすい履修証明プログラムにしておくことが必要かなと思います。
それでは,前回30時間とは言ったんですが,例えば1単位を考えて,15時間のような形で履修証明プログラムを考えるということも一つかなと思ってございます。
私から以上です。

【有信部会長】それでは,今の村田委員の御意見も含めて,少し意見交換をさせていただければと思いますが,どなたからでも結構ですので,御意見,御質問等あれば,またよろしくお願いします。
村田委員の今の最後の御説明は,15時間で1単位を基本的に履修証明プログラムの単位と考えたらどうかという話と,それから,履修証明プログラムを単位化するための条件として一応60時間を超えるという話と,これはうまく整合しているんだっけ。また元の木阿弥になってしまうような気もするんだけれども,この履修証明プログラムの60時間と,単位で言っている15時間というのが同じ時間数と考えていいんですよね。

【村田副部会長】私が申し上げているのは,履修証明プログラムそのものを15時間にしてはいかがですかということなんですね。

【有信部会長】だから,一応,今60時間という形になっているのを15時間にしたらどうですかという,こういう話ですよね。

【村田副部会長】そうです。

【有信部会長】何か意見はありますか。

【西大学改革推進室長】事務局でございます。
ある程度,履修証明プログラムも120時間から60時間に短縮したということもありますけれども,ある程度,決めの問題といいますか,既存の授業だけで言えば科目等履修生というので15時間という枠がありますけれども,それでは企業とか社会人のニーズに応え切れないという意味で,例えば大学院であれば一つのテーマについて集中的に週3時間掛ける3週間で9時間やって,次の3週間で3時間掛ける3時間やって,トータル15時間以上のものとか,30時間になれば1単位,2単位というものを組み合わせて,そういった小さなものを組み合わせた形の履修証明プログラムというのも考え方としてはあろうかと思います。

【有信部会長】その積み上げは,一応今回の話の中に含まれると,そういう理解でいいわけですね。

【西大学改革推進室長】リカレント教育の,大学院としてどうあるべきかという。

【有信部会長】という見解ですが,ちょっと分かりにくいことは分かりにくいんだけれども,質問,御意見。

【村田副部会長】よろしいでしょうか。

【有信部会長】どうぞ。

【村田副部会長】今,履修証明プログラムの話と,科目等履修生制度が出てきたんですが,文科省は御存じのように科目等履修生制度と履修証明プログラムは,もともとオリジンが違うんですね。履修証明プログラムというのは,まさに社会人がこれをちゃんと取りましたよという形で,企業に,それぞれの社会に,自分の組織に持っていったときに,それが証明されているということですが,いわゆる科目等履修生というのは,これは科目として,いわゆる聴講ではなくて単位として認めるので,それを集めていけば,特に大学院というよりも学部に関して,学位授与機構でそれを最終的に集めれば学位となります。もちろん大学院でもそれは使えるんですけれども,大学側のほうの学位を認めるための制度です。その点,履修証明プログラムは社会人が,それぞれの企業に対して,こういうものを学んだという自分のスキルをアピールする手段ですから,そこは違うので,すみ分けを考える,そこは別のものだとして理解をしておいたほうがいいと思います。今,西さんがおっしゃるように,幾つかのものを集めて,最終的にそれを単位とするのは大事だと思いますけれども,少なくとも履修証明が出る最終の単位を小さくしておかないと,ニーズがなかなかないのかなというので御発言させていただいております。

【有信部会長】そこのところはおっしゃるとおりで,もともと履修証明プログラムというのは,大学でサーティフィケーションという形で,こういう内容をきちんと習得しましたという証明書を与えて,これは企業の要望にも応える,あるいは企業の中で働く人たちのリカレント教育としての機能も充実させる,そういう観点でつくられてきたもので,村田委員がおっしゃるように,科目等履修生は,もともとつくりつけの,動機も違いますし,そういう意味では違うものだけれども,今回は履修証明プログラムについて,大学院サイドで認めるのであれば単位を与えましょうと,ここまでは了承をされています,ということだと思いますので,御意見,御質問等。
堀切川委員,どうぞ。

【堀切川委員】堀切川です。
過去,何度か社会人の皆さん相手にリカレント教育の仕事をさせられた立場でのコメントです。
実は,受講生の方々は,ほとんどが企業のほうからは了解が得られなくて,自腹を切って参加している人が圧倒的に多かったです。自分のお金を払ってでも聞きたいという方々は,実は時間が長いプログラムを希望しています。どうせ自腹を切るんだったらしっかり教わりたいということで,ただ,逆に企業の経営側からすると,長く拘束されるようなものに会社のお金を使って派遣するというのはなかなか厳しいということなのかなと理解しています。
この問題は大学側と企業側という簡単な区分けではなくて,受講する人が,自分の意思でお金を出してでも聞きたいという人は,実は長い時間,しっかり勉強して履修プログラムでいきたいという人も多いという実態を踏まえて考えたほうがいいのではないかなと思います。
しっかりした企業さんが企業として派遣しやすいプログラムと,企業側の人が,自分で勉強したいという希望とでは,どうもちょっと方向性が違うと私は思っているので,この議論がかみ合わない一つは,ここにもあるかなという気がいたしました。
以上でございます。

【有信部会長】どうもありがとうございます。
それでは,塚本委員,よろしく。

【塚本委員】ありがとうございます。塚本でございます。
前回の議論に参加していないので,ずれているかもしれないのですが,2点、企業の立場からコメントさせていただきます。
1つが,2ページ目のニーズのところですが、短時間で学修したいというのはそのとおりですが,コロナ禍において,少なくとも週1くらいはテレワーク等になっているところもあり,フレキシブルに学修をしたいという要望も増えているのではないかと考えます。内容によっては,堀切川委員もおっしゃっていらしていたように,時間はかかってもフレキシブルに学修できれば,もっと企業の人たちも大学院における学びなおしに興味を持つのではないかと思います。
2点目は、今回の議論のスコープではないかもしれませんが、この4象限の下にある教養的なものについてコメントです。このエリアも、社会人の中にニーズがあると考えます。厚生労働省からの補助のみならず、企業の福利厚生のカフェテリアプラン方式になっていると、領収書を提出することにより、自己啓発資金として、会社が福利厚生の一環として支払うところもあります。もしも大学側でこういうようなものをやっていらっしゃるとしたら,よりすそ野を広げ、興味を持つ人を広げるための入り口的な一つのマーケティングツールになるのではないかと思いました。
以上です。ありがとうございました。

【有信部会長】そういう教養講座みたいなものの需要は多分ありそうだと思いますが,それでは,田中委員,よろしくお願いします。

【田中委員】どうもありがとうございました。田中です。
この議論はリカレント教育全般について,この部会としての意見を取りまとめる過程だろうと,審議の結果のところを取りまとめる過程だろうと思って発言させていただくんですが,まず,村田先生がおっしゃったような履修プログラムについて,できるだけフレキシブルにするというのは,私は賛成であります。やっぱりいろんなニーズがありますし,また,大学側が供給する立場に立っても,いろんな大学があるわけですから,大学によっていろいろなメニューをつくれるという形を整えていくのが大事じゃないかなと思います。
ここの,先ほど示していただいた4象限にあるように,様々なニーズがあるので,それに応えられるメニューを,日本の大学は,とりわけ大学院レベルのオファーとして十分柔軟に用意していくのが望ましいと私は思っております。
ただ,そういった上で,先ほど堀切川委員が言われたことともちょっと関係しますけれども,この4象限の図からすると,どうも学位プログラムが右端の4象限の中に入らなくて,よっぽど暇と時間と意欲のある人たちだけが学位プログラムのほうに行くような絵になっておるんです。私は,やっぱりリカレント教育といっても,その中で学位を取る,修士号を取る,あるいは博士号を取るということをもうちょっと強調していただきたいと思います。これは,日本社会の現状プラス,それから,ある種,現代文明の特徴からして言えるんじゃないかと思うんです。
まず,日本社会のことからすると,今までの審議過程でもいろいろ言われているように,日本社会は,その他のいわゆる先進工業社会と比べても学位を持っている人が少ない低学歴社会なんです。ですから,これを学部から順番に上がっていく人たちだけで修士号,博士号を持っている人を増やそうというのでは間に合わない。今,もう社会に出ている人に,もう一回,修士号を取ったり博士号を取ったりしてもらわなきゃいけないということ,この辺をもうちょっと強調しなきゃいけないと思っています。
それから,もう一つは,幾分か,これは私の個人の文明論的な意見でありますけれども,現代のSNS中心というか,トランプさんが出てくる,世の中の事実と事実でないものは分からない,全てはみんな言いたい放題,フェイクニュースだというような時代において,何がフェイクであって,フェイクでないのか,どういう情報は信頼できて,できないのか,こういうある種の情報評価という知識というか経験,こういうものが現代社会には必要とされていると思います。
その際に,後での議論とも関係してくるかもしれませんけれども,自然科学,工学系の知識も大変重要でありますが,やはり何が事実で,事実でないかということを評価するに当たっての,人文科学,社会科学的な学問というものはますます必要になっているのではないかというのは,自分が社会科学をやっておるものですから,やや我田引水でありますけれども,そういうふうに思われるわけです。ですから,その面で言うと,日本社会だけという意味じゃなくて,世界全体から見ても,やはり人文社会科学的な大学院教育のクオリティーを高くしなきゃいけませんが,人文社会科学的な大学院教育を受けるような人々が,社会に出てから後でも学位が取れるという形になっていくのが望ましいと思っておるわけで,その面で言っても,リカレント教育の中での,とりわけ人文社会科学系の修士号,博士号を取るようなプログラムをぜひ数多くつくっていただきたいと思っており,大学院部会での審議の中に,こういう意見も反映させていただけると,私としてみるとありがたいと思って発言した次第です。
どうもありがとうございました。

【有信部会長】どうもありがとうございます。
履修証明プログラム等々が出てきたバックグラウンドの一つとしては,日本は戦後ずっと,いわゆる実力主義というんですかね,学歴無用論に代表されるような,そういう精神風土の中で,企業の雇用が進められ,企業の中での人事評価も進められてきた。これは形式的にという意味で,実質的にはそんなことはないという意見は多々あります。
その中で,国際社会を見ると,ほとんどの国は,やっぱり資格だとか,ある種の証明だとか,そういうものを基準にその人の能力資質を図る,これが一般的であります。ここのところに大きな落差があって,日本人がだんだん国際社会で活躍しようとするときに,こういうところが問題になるというような議論もあります。そういう意味で,いわゆる高等教育の修了者の数がOECDの国々の中で日本は決して多くはないというのが,国際社会の中での日本人の活躍をも制限しているという状況になります。
ということも含めて,さっき田中委員が御指摘になったように,もっともっと大学院の修了者を増やす,あるいは様々な資格につながるような履修証明,サーティフィケーションを増やしていくというのが非常に重要なことのような気がします。
ほかに御意見ありますでしょうか。加納委員,よろしく。

【加納委員】加納です。
時間の話になっているんですけれども,最終的には,私は村田委員の御提案に賛成です。
最近,コロナになって,授業もほとんどオンラインで実現されていると。もっと言うとオンラインじゃなくて,ビデオをダウンロードして授業を聞くというケースが結構多くなっているわけすね。学生と話をすると,ほとんどの学生,実は3倍速ぐらいで授業を聞いていると。彼らは若いので,実は吸収能力がものすごく早いわけですよね。
リカレントに入ってくる方がどの程度の年齢層の方かというのにもよりますけれども,やはり社会人を経験すると,かなり高い吸収能力を持たれると,これはすぐにではないと思うんですが,いずれはこの時間概念ということが,恐らく将来はなくなっていくのではないかなと思いました。
そういったときに,何を履修して,何を知識として吸収したのかというところがポイントになるということが重要視されるようになって,アメリカではMOOCsがまさにそれなんですね。時間じゃなくて何を修了したかといったところがポイントになっていると。
ということで,時間的な考え方で証明書を出すという概念は,将来的にはどんどん消えていくような気がするんですが,まず,この過渡期としては,やはりもうちょっと時間を細分化して,フレキシビリティーを持たせるという形にしたほうが,企業人としても非常に参加しやすい,最近はほとんど企業人の社会人ドクターが入っているんですけれども,ほとんどオンラインで授業を受けたり,あるいはビデオを視聴して授業を受けたりしていますので,徐々にこの方向性というのは変わってくると思います。
そういう意味でも,やはりフレキシビリティーというのを,塚本委員もおっしゃったようにもっと増やしていくべきだなと思いました。
以上です。

【有信部会長】ありがとうございます。いわゆる時間で履修証明を出すということではなくて,むしろ何を身につけたかというクオリティーの側で証明を出す方向に移るべきだと。これは全く正論だと思いますが,そういう方向に徐々には進んでいくんだろうと思います。
佐久間委員,どうぞ。

【佐久間委員】先ほど田中委員から人文社会系のリカレントということでご意見がありましたが,私もぜひそういう方向が実現すればいいと思っているんですけれども,ただ,その際に,社会科学系はともかく人文系は,学位が何を意味するのかもうちょっとはっきりさせてからでないと,結局思い描くようなリカレント教育にはならないのではないかと思っております。ということで,よろしくお願いします。

【有信部会長】一般的な話をすると,人文系,社会科学もスコープに入りますけれども,そういう部分の,ある種きちんとした知識が,例えば企業等でもトップマネジメントに行けば行くほど必要になってくるというか,バックグラウンドとして重要になってくるところがありますので,今後そういうところも踏まえて,人文社会系の履修証明プログラムへの参加者数は恐らく増えてくるんだろうと思います。
どうもいろいろありがとうございました。大学院におけるリカレント教育については,様々な観点から御意見をいただきましたが,みんな重要な御意見なので,なおかつリカレント教育を促進するという方向は変わらないという観点で,今回いただいた御意見や,あるいは次の議題での議論も踏まえて文部科学省のほうで引き続き検討をお願いしたいと思いますので,よろしくお願いします。
それでは,議題(2)で,第10期における審議の整理ということで議論に入りたいと思います。
まずは,事務局から説明をお願いします。

【西大学改革推進室長】議題(2)についてでございます。
前回,委員の皆様には,第4次大学院教育振興施策要綱の素案としてお示しをさせていただいて,御議論,御意見をいただきました。その際にも御紹介を少し申し上げましたけれども,素案は一昨年に大学分科会での審議をまとめた,「2040年を見据えた大学院教育のあるべき姿」をベースにしたものということで作成しておりました。
しかし,この1年間のコロナ禍によって状況が大きく変わる中で,現在,総理のもとに置かれる教育再生実行会議において学事暦の在り方ですとか,教育のDX化といったような,大学の在り方そのものにも関わるような議論が進められております。
このほかにも,中教審の大学分科会のほうでは,参考資料の1に概要を添付しておりますけれども,「教育と研究を両輪とする高等教育の在り方について」の議論ですとか,参考資料2に一部抜粋を添付しておりますが,こちらも総理のもとに置かれる総合科学技術・イノベーション会議の専門調査会が令和3年度からスタートします「第6期科学技術・イノベーション基本計画」の案について議論を進めているところであります。
この科学技術・イノベーション基本計画におきましては,世界に伍する研究大学の成長ですとか,博士課程学生の支援のために10兆円規模の大学ファンドを創設するといったことが提言されておりますけれども,具体的な制度設計は,なお決定していないという状況にあります。
このような大きな動きがある中で,これまで大学院教育振興施策要綱は5か年として策定しておりましたけれども,このタイミングで次の大学院教育振興施策の在り方について文科省として決定するというのが,タイミングとしては適当ではないというような判断に至りました。
そのため,前回の当部会で素案としてお示しをして,御議論や御意見をいただいた内容については,資料2-1,第10期大学院部会での審議の整理といった形でまとめさせていただいて,前回の御意見などについては,この黄色のハイライトの部分で加筆修正などをさせていただいております。
この資料の大きな柱立てとしては6つございまして,括弧にくくっておりますけれども,四つの人材養成機能と三つの方針に基づく大学院教育の推進,この中では,大学院教育の質保証などについての議論をいただいております。
2番目には,優秀な人材の進学の促進と修了者の進路の確保,キャリアパスの多様化,3番目には,大学院におけるリカレント教育の充実,まさに今御議論いただいたようなところでございますけれども,さらなる議論が必要かと思っております。
4番目には,人文科学系や社会科学系大学院について,5番目には,大学院教育のグローバル化と魅力ある教育研究環境の整備,6つ目には,ウィズコロナ,ポストコロナ社会に向けた教育研究の在り方の3つで構成をしてございます。
第10期の大学院部会の先生方におかれましては,これまで大学院教育振興施策要綱の策定を念頭に御議論をいただいておりましたけれども,このタイミングで一旦保留とさせていただくことになりまして大変申し訳ございません。一旦,仕切り直しという形にさせていただきたく存じますけれども,この議論の審議の整理,この資料だけに限らず,この際,委員の先生方がふだん感じておられるような大学院教育の課題ですとか,問題点などについて幅広く御意見や御議論をいただければ幸いでございます。
どうぞよろしくお願いいたします。

【有信部会長】どうもありがとうございました。
急に思いもよらぬ様々な状況が発生し,なおかつ中教審以外からも,大学,大学院に対する様々な施策が打ち出されると,こういう状況の中で,今,事務局から説明があったような判断をせざるを得ないということであります。
今の内容も含めて,今回が第10期最後の大学院部会ということになりますので,次期に引き継ぐべき事項についてということを踏まえて,委員の皆様方から御意見を伺いたいと思います。
本日は,最後なので,全員から意見を伺いたいと思いますが,なかなか時間の制約が厳しくて,できれば1人2分以内で御意見を順次いただければと思います。
それでは,手元にある名簿から順番に指名させていただきますが,最初に村田委員から,どうぞよろしく。

【村田副部会長】ありがとうございます。
有信部会長もおっしゃっていますように,大学院の教育を考えるときには,理系と文系をまず分けること,それから,文系でもリカレント,社会人と学生,この3つに分けて議論しておかないと,理系と文系を混同して議論すると話にならないと思いますし,今回,社会人のリカレントに焦点を絞るのか,あるいは大学生が大学院に行かない,文系の大学院の修士をこれから取らないといけないと思うんですが,それをどうしたらいいか,これは恐らく大学のほうの教育内容の問題でもあるかと思いますが,少しそこを分けて考えておく必要がある,これが1点目です。
それから,2点目は,先ほど文科省からも御説明ございましたように,イノベーション関連の法律も変わりまして,人文社会科学系の知見が必要だ,さっき田中委員からも御発言があったように,その辺り,どういうふうにして入れているかということも今後考えていくことが必要と考えます。
最後に,今日議論にもなりましたように,企業からのニーズといった場合に,先ほど堀切川委員からもございましたように,かつては企業から,なかなか企業が大学院に行くことを認めなかったものですから,企業に黙って行っていたケースが多く、今でも続いているわけで,そこのところ,やはり企業のニーズをより具体的にマッチングしていって,企業が社内研修で大学院レベルのいろんな研修をしている中に,各大学が教員を大学院のプログラムとしてどう派遣できるかということを検討していくことから始めていく必要も,いわゆるマッチング,一番重要な課題だと思いますから,そこをどうするかということも検討していく必要があるかと思います。
私からは以上です。

【有信部会長】ありがとうございました。
それでは,次に,大島委員よろしくお願いします。

【大島委員】大島です。よろしくお願いいたします。
私からは3点ございます。
1点目は,大学院を通して履修プログラムをどうするかなど,今後のリカレント教育について多様な形で議論はされてきました。
1点目は,先ほど村田委員からございました,理系と文系はやはりディシプリンが違うので,それをある程度理解したプログラム開発が必要である一方,やはり社会的な課題を考える際には横断した視点というのも必要なので,それをどうやって横断していくかということも結構大学院教育で課題なのかなと思っております。なので,理系,文系を考えながら,一方で横断した地点を含めた授業をどうやっていくのかということが1点目だと思います。
あと,2点目は,やはりこのコロナでオンラインということが非常に盛んになってきて,オンラインというのは,今オンデマンドも含めて,やはり時空を超えて授業が履修できるということなので,その利点を最大限生かすような柔軟なプログラム開発,これは特に企業の方を通じて必要になってくるかと思います。
一方で,これからコロナが収束してきますと,オフラインということも入ってきますので,やはり時空を超えたオンラインとオフラインをどうやっていくかということで,プロジェクトベースドラーニング的な,体験型というものを含めて,そういう授業をどうやって構築していくかということも必要かと思います。
3点目は,先ほど時間の問題が出てきたと思います。ただ,一方でオンラインは時空を超えて履修ができるということになりますと,時間の管理ではなくて,やはりどうやって何を修了したかということの評価軸になりますと,今後,大学院における履修に対しての評価をどうやっていくかというのが,ちょっと時間の関係上,そういう議論が余りなされていなかったのかなと思いますので,大学院の授業における今後の評価というものを考えていく必要があるんじゃないかなと思います。
以上です。

【有信部会長】どうもありがとうございました。
それでは,加納委員,よろしく。

【加納委員】前回も,私,お話しさせていただいたんですけど,やはりコロナという機会で,今回,教育というものに対するいろいろな課題が見えてきていると思います。
特に大学院となりますと,単なる座学で知識を吸収するだけではなくて,いろいろな現場の場面を通じて,あるいは人との交流や,特に海外との交流を通じて,自らをセルフディベロップメントするという,そういう教育が中心になってくると思います。
これを,実はオンラインなり,従来の延長線上でICT化することによってオンラインでできるよという世界ではなくて,新たな学びの仕組みだとか,それから,新たな自己開発の仕組みだとか,こういったものの仕組みの構築といったものが今後必要になってくるのかなと思います。
これはやはり一番時間がかかるような気がしていて,制度だけではなくて,その制度を支える技術の研究開発といったものにも関わってくることで,かなり時間のかかるものかなと思います。
こういったところを中心に,未来というとあれですけれども,未来の大学院教育といったところの在り方,こういったものの議論をさせていただければいいかなと思います。
以上です。

【有信部会長】ありがとうございました。
それでは,神成委員,よろしくお願いします。

【神成委員】神成です。
私の意見は,このコロナ禍での教育を経てピンチをチャンスにという考え方であります。
議論の中にもありましたように,理系と文系というのは持っている課題が違うと思います。大学院教育において、私もリーディング大学院などをやっている経験から,理系の場合には,やはり人文系の教養にあふれる理系というのが,大学院教育においてこれから取り組まなくてはいけないポイントであると思います。一方、人文系の場合には産業界で活躍できるようなスキルを備えた人文系の学位取得者というのが必要になってくると思います。
しかしながら,こういった教育を,自分の研究科の中にきちんとそろえるというのは教員の負荷もありますし,かなりカリキュラム上の構成自体が難しいのが現実問題です。 コロナ禍の間につくり上げたアーカイブの利用というのは非常に有用で,一つにはリカレント教育に使うという手もあるんですけれども,同じように,大学院の中で,文系,理系の間でこういった通常のカリキュラムでは補足できないところを補うためのコースとして,あるいは副専攻としてつくり上げるということを,各大学が工夫すべきではないかなと思います。それは大学院の設計の上における各大学の特徴になるわけで,文科省のルールがそこにおいて足かせとなって,設計の幅がせばまらないようにすべきだと思います。リモート講義の単位の場合には上限何単位とかという設定をもって,設計が難しくならないように各大学のフレキシビリティーを奨励して,お互いに競争していくような形での大学院教育の再構築というのが重要ではないかなと思います。
以上です。

【有信部会長】どうもありがとうございました。
それでは,小長谷委員,よろしくお願いします。

【小長谷委員】小長谷です。
今日,資料1で,今までの経緯をまとめて分類してくださったわけですけれども,これによって人文系に対する偏見がよく見えていると思います。
他者からの偏見だけじゃなくて,自分でもそう思っているのかもしれませんが, 人文系も現在のコロナ禍によって方法論自体も変わっているし,内容もすごく変わっています。例えば今日的なメディアリテラシーはなかったものをつくっていっているわけです。新しく誰もが学び直さなくちゃいけない領域を担っていることも念頭に置いていただきたいと思います。
特に理系と文系をクロスするような形で, なかったことをつくっていくという形で,また審議していただければありがたいと思いました。
以上です。

【有信部会長】ありがとうございます。
それでは,小西委員,よろしく。

【小西委員】小西です。
4つの人材養成機能の2番目の高度専門職業養成,これについて,通常の大学院マスターコースと専門職の境界線がちょっと曖昧になっているのかなと思っています。
専門職大学院の視点からお話ししますと,一般的な社会人をターゲットにするのか,それとも公認会計士などの専門職をターゲットにするのかという,ターゲットの違いが明確に,一般大学院と専門職大学院とでは違うと思っています。
この会議の直前に公認会計士協会の会長と打合せを行っていたのですが,そこでは資格取得前教育と資格取得後のCPEという継続的専門研修とを連携させようという試みの相談です。これからの会計士には,例えば,データサイエンスの知識が必要になっていて,会計あるいは文系の分野を超えた授業が必要になってくると我々は考えています。その意味で,履修証明プログラムというのは非常に弾力的なプログラムが,公認会計士協会との相談の下で組めるので,使い勝手がいいなと思っています。
つまり,社会ニーズに沿ったカリキュラムが弾力的につくれるような,そういう枠組みというか,制度をつくっていくということが一番大事だと思っています。
以上です。

【有信部会長】ありがとうございます。
それでは,佐久間委員,よろしくお願いします。

【佐久間委員】よろしくお願いします。
人文系に関しては,やはりいろいろ問題を分けて考えないといけないと思っております。
先ほどリカレントのこともありましたけれども,もう一つ,学部から修士へ進んだ場合のそこからのキャリアパス,そこも課題になっているわけです。その場合も養成する人材像という点では問題は同じで,先ほどリカレントのところでも申し上げましたが,修士号を持った学生がどういう人材なのかということをはっきりさせる必要があって,それに合わせて教育内容も当然変えていかなければならないと私は思います。
一方,その先,後期課程,博士課程にいく場合については,これも研究者以外のキャリアパスを見つけなきゃいけない,ということが言われています。それはもちろんそうなんですけれども,それなら,研究者へのキャリアパスは機能しているのかというと,最近はそれすら機能していないというのが実際のところです。
一方で,大学院が充足していない,博士号を取るのに時間がかかり過ぎている、という指摘もあります。それも御指摘のとおりなんですけれども,そこら辺の数多な問題を,全て一遍に解決しようと思ってもなかなか実際には難しくて,それでお手上げ状態になってしまっているというところがあります。ですからそこはやっぱり順番を決めて,ここからまず解決するということでやっていかないと,結局事態は改善しないと思います。
これはあくまで私見ですけれども,私は研究者養成に関しては,この際,少数精鋭でいくしかないんじゃないかと思っています。それはともかく,とにかく順番を考える必要があるだろうと。そうしないと結局何も解決しないと思います。
もう一つは,先ほど,文系,理系クロスということがありました。それはもちろん,そういうことも進めていかなければいけないと思うんですけれども,一方で,そういうことになると,人文系の先生が理系の学生も教えなきゃいけないし,自分のところの学生も教えなきゃいけない。その上,研究も,ということになると,なかなか手いっぱいになってしまうということがあるわけですよね。そこら辺を解決するには,学内でもそうですし,場合によっては大学間であっても,授業の提供に関して連携していくということが非常に重要になってくるんじゃないかと。そうじゃないと,なかなか新しい教育の実現も難しいと考えております。
いずれにしても,人文系に関しては,特に構造的な問題も絡んでいるので,ある種,構造改革にも手をつけざるを得ないんじゃないかと思います。構造改革とか言うと何か人文系にはトラウマがあって,ちょっと波紋を呼ぶかも知れませんけれども,何らかの構造的な改革は不可避と考えているところです。
以上です。

【有信部会長】ありがとうございます。
それでは,高橋真木子委員,よろしくお願いします。

【高橋(真)委員】ありがとうございます。
2つほど,第10期の議論を通じて感じたことなんですが,私自身の経験は極めてマイノリティーだなと思うことが多かったです。多様性を提供するという意味で申し上げます。
1つは,これまでの先生方の御議論,今日の議論でもありましたが,理系か文系という区分で今後の議論を続けてよいのかということを疑問に思うところです。
同様の違和感は,「企業が」というときの文脈なんですが,2000年代初頭までの自動車,電機,素材,エネルギーインフラなどの,いわゆる一流製造業系企業を言外に念頭に置かれているのではないか、という点です。私が日頃接している学生さんたち,金融、サービス,GAFAを含む外資IT系の社員の持つ意識というもののギャップを,先生方のコメントの背景として随分感じておりました。
私が接点の多い現在の三,四十代以下の世代というのは,フレッシュマンで社会に出るとき既に、将来の転職を自分のキャリアのプラスの機会として折り込んでいる感じがしまして,そこに関して,私たちがどう対応していけるのかということは今後の課題だと思っています。
最後に,今後の議論の進め方について,若干テクニカルなんですが,私自身が各委員の先生方のコメントを伺う際に,どんな時間軸でお話をなさっているかということに,時として疑問を覚えました。例えば短期の話,コロナの中でのオンラインの話というのと,中長期的なMOOCsがデファクトになっていく世界に関しての話とは,やはり区分して議論することの方が効率がいいのかと思った点も付け加えさせていただきます。
以上,2点です。ありがとうございました。

【有信部会長】どうもありがとうございました。貴重な御意見だと思います。
それでは,田中委員,よろしくお願いします。

【田中委員】どうもありがとうございました。
先ほど発言したことともちょっと関係させながらお話し申し上げたいんですけども,私は,まず最初に,理系,文系の二分法というのは全くナンセンスだと思っております。今の学問体系は様々でありますし,理と分けた中だって全然違うやり方をやっていますし,文と分けた中だって全然違うやり方をやっている。それから,理文問わず同じやり方をやっているものもいっぱいあります。
理のある部分で使っている数学と,文のある部分で使っている数学,ほとんど同じ数学を使っているということもありますし,ですから,私はこの理文で二分法をするのは全くよろしくないと思っております。
それでいて,やはり大きな課題は,小長谷先生や佐久間先生がやや自嘲的におっしゃっているところで,人文学のうちの,いわゆる歴史,哲学,文学,それから,やや部分的に人類学,この辺りの大学院教育というものが,ややステレオタイプで言うと徒弟奉公,修行的なものになっていて,これだと,その修士プログラムに徒弟奉公の体系の外から入ってくる人たちにバリアがとても多いということがあると思うんですね。
ですから,リカレントで,私がさっき申し上げたように,人文学のトレーニングというのは大変大事だと思うんですね。データで計算できない不確実性の高い中でどうやって判断し,決断し,世の中に意味を見いだしていくかという,そういう試みというのは,正解はありませんけれども,おおむね人文学の伝統の中で人類がこれまでこれを育んできたわけなので,これがフェイクニュースあふれる世の中で必要でないわけないのであります。
その際,やっぱりそうなると,人文学の歴史,哲学,文学,人類学等々で,どうやって修士課程のカリキュラムを今後つくっていっていただくかというところが大きな課題となるんだと思うんです。
これは,将来的には博士課程の研究者養成につなげなきゃいけませんから,ベーシックをすっ飛ばすわけにはいかないので,資料批判をちゃんとやり,現地調査をちゃんとやりという,そういうところを抜け落とすわけにはいかないんですけれども,ただ,あんまりそればっかりだと,よそからの参入バリアがとても高くなっちゃうんです。
ただ,そういって,ここのところで参入バリアを全部外すとどうなるかというと教養講座になるんです。実際,先ほど来のお話があったように,世の中における教養講座へのニーズというのはとてつもなく高いんです。ですから,論語の話にしても,インド哲学の話にしても,それからアフリカの民俗学の話にしても,これを90分でそれなりに易しくお話ししてくださると,そういうのが聞きたいと,こういうのをやっぱり経営者も知らなきゃいけないというふうに思ったりするわけです。
ただ,この教養講座を修士課程に持っていけば,それで人文学の修士課程ができるかというと,そんなことはない。ですから,そこのところのチャレンジが,人文学の修士課程,博士課程は相当実質的なトレーニングが必要ですから,そう簡単に根幹は揺るがずに,できないと思いますけれども,修士課程でもうちょっと研究者養成にもつながり,しかし世の中に開かれ,しかし教養講座だけにとどまらないものをどうやってつくり上げていただくかというところ辺りが大きな課題になっているのかなと思っております。
よその分野について余計なことを申し上げたような気もしますけれども,印象は,人文学系の先生方はどちらかいうと自嘲的なお話が多いので,もうちょっと前へ出ていただきたいと思います。人文学系の先生方はクリエーティブであることは間違いなくて,私は特に日本の人文学の水準は,世界的に見ると相当高いと思うんですね。私も幾つかの賞の審査をさせていただいていますけれども,世界的に見て,とてつもなく高いことやっている人たちが多いのに,その大学院教育が何かよそと比べると大したことをやっていないように言われるというのは,やはりちょっとおかしい。ただ,そうはいっても,先ほど佐久間先生がおっしゃったように,幾分かの改革をやって,研究者にとどまらない多様な社会の人々たちが入れる修士課程,博士課程というのを,何というんでしょうか,幾つかの大学でパイロットコースみたいなのをやっていただいて,試みてもらうのがいいのかなという感じがしております。

【有信部会長】どうもありがとうございました。

【佐久間委員】佐久間ですけれども,まさにそのとおりだと思います。ありがとうございます。

【有信部会長】それでは,塚本委員,よろしく。

【塚本委員】ありがとうございます。1点だけお話しさせていただきます。
3ページにあった大学院教育のグローバル化と魅力ある教育研究環境の整備ですが、先生たちが御指摘になったように,ウィズコロナ,ポストコロナで,オンライン学習や留学というのがノーマルになってくる時代になり、77億人が論理的には市場となり、日本の大学院に入っていただく可能性があると考えます。他方、逆に考えると、日本人が日本以外の世界の大学院に出てしまう可能性もあるということで,チャンスにもリスクにもなり得るのではないかと思います。
デジタルの活用が日本は遅れているといわれておりますが、教育のDXも,やはり進んでいるとはいえないと考えております。
すでに補正予算等で対応を始められていますが、今のまま進めていくと、それぞれの大学ごとにシステムが構築され、まさに現在問題となっているばらばらの自治体のシステムみたいになるのではないかと少し懸念しています。もう少し全体で共通化できるところだけ,大学院,高等教育のDXを準備すれば、システムのメンテ的なところにかかる人員や費用が軽減され、教員の労力や予算がより大事なところに使えるようになり、日本の教育,大学院教育の優れたところがより出せるようなって,エッセンシャルなものになるのではないかと考えました。
以上です。

【有信部会長】どうもありがとうございました。
それでは,沼上委員,よろしく。

【沼上委員】私のほうから,最近,この前も申し上げましたけれども,経済産業省のほうでやっている委員会のところで受けている印象を少しお話しさせていただきたいと思います。
これは全ての企業に当てはまる話ではないんですけれども,また,全ての大学に当てはまる話でもないんですが,トータルで言うと,やっぱり3分の2しか就職できないとか,6割しか就職できないドクターコースというのが,いろいろ大きな問題として存在をしているわけですが,いろいろ調べていくと,やっぱり多様な悪循環が作用していて,例えばサイエンスベースドの産業がなかなか育たないから,ドクターの学生の就職先がなかなか育たなくて,しかし,ドクターがいっぱい出ていかないからサイエンスベースドの産業が育たないとか,現場のすり合わせをすごく重視する,そういう会社がいまだにある程度あると,全部じゃないですけれども,そうであるがゆえにドクターを出た少し変わった人というのをなかなか採用してくれない,そういうような特徴を持っているので,その結果,優秀な学生が大学院にドクターまで進まず,その結果としてまた取れないという,そういう悪循環が発生していたりするというところをいろいろ見ていくと,大学院の問題というのは,大学院だけ,文科省だけの問題ではなくて,日本の産業構造とか,日本の社会全体の問題だなとつくづく感じております。
それは逆に言うと,恐らく文科省側のこの議論を通じて,実は日本社会の大きな問題を,オセロの白が真っ黒になるとか,黒が真っ白になるとかという大きな転換を,ここの議論でイニシアチブを取ってやれるというチャンスなのかもしれないと思っていますので,今後ここで議論がしっかりと進んでいくことを期待しております。
以上です。

【有信部会長】ありがとうございました。
それでは,濱中委員,よろしく。

【濱中委員】濱中でございます。ありがとうございます。
大学院教育を今後どうするのかということを考える視点については,いろいろなものを挙げることができますが,大きく2つの側面から考えていくべきではないかという気がしております。
一つが「社会制度としての大学院の在り方」という側面,もう一つは「大学院教育の機能向上」の側面でございまして,後者の「大学院レベルの機能向上」については,これまでの議論でも,本日の議論でもそうでしたけれども,これだけニーズが多様で,働き方も多様で,キャリアも多様で,大学の先生方も多様で,大学自体も多様でという中で,それぞれのマッチングを促すための,そして各先生方や大学の強みを生かすための制約をいかに外していくのかという観点が挙げられるかと思います。とても大事な観点であることはたしかで,今回の履修証明プログラムの話も同じ文脈に位置づけられるのだと思われます。
けれども他方で,前者の「社会制度としての大学院の在り方」をどうするのかという側面も大事です。今回の第10期の部会が始まったとき,3つの方針をどうするのかということも挙がっておりましたが,外部への対応という点で捉えると,こうしたことは「社会制度としての大学院の在り方」問題につながる論点だとみることもできるのでしょう。ただ,表現を選ばずに言えば,多様なまま見せるのではなく,いかにすっきりした分かりやすい制度として整えるのかということこそが,「社会制度としての大学院のあり方」を考えるうえでは大事なのかもしれません。
今回の第10期の議論は,改めて振り返ってみて,分かりやすさ,いかに外から見て分かりやすいものにするのかというところが,ちょっと薄かったかなという印象を持っております。
先ほど,小西先生が境界線の話をされていらっしゃいましたけれども,やはり大学院という教育が,ほかとどう違うのかというのは大事な観点です。学部教育とどう違うのか,大学院って何なのか,専門職大学院って何なのか,さらにいえば専門学校と一体何が違うのかということをクリアにしていく。大学関係者にはその答えを持っている方もいるのかもしれませんが,少なくとも外部からみたとき,その境界線は決してクリアではないはずです。まだまだ見えにくさというものが残っているのではないかという気がします。分かりにくさが残っている以上,修了者の評価はどうしても難しくなりますよね。
多様性というのは,大学の世界,研究の世界にとって不可欠な要素です。ただ,多様であるほど見えにくくなってしまうところがあるということを考えますと,標準化という言葉は大学院教育にはふさわしくないような気もするのですが,大学院レベルの教育が一体何なのかというようなことを,もう一度整理し直す時間が必要なのではないでしょうか。私も,最初,ここに参加させていただいたときは,もっと情報を発信していくべきだということを申し上げたような気がしますが,多様だと,きっとどれだけ発信しても,分かってもらえないところが残ってしまうような気がします。改めてそういう観点も加えるべきではないかと思った次第です。
以上です。

【有信部会長】どうもありがとうございました。重要なポイントを指摘いただいたと思っています。
それでは,堀切川委員,よろしく。

【堀切川委員】堀切川です。
まず,ウィズコロナ,ポストコロナ社会に向けた教育研究の在り方という,一番最後のところに関係する意見です。嫌なことはいっぱいあって,つらいこともいっぱい続いていますが,数少ないいいこともないわけではないので,そこら辺のお話をすると,コロナになって,いっとき研究活動もフリーズした時期が,昨年ありましたが,そのときには,産学連携で研究している企業さんと月1回以上のペースで,オンラインで打合わせ会議をやりました。そこには,大学院生も参加させました。出張だと,なかなか授業があって連れていけませんが,時間だけ空けると参加できます。
結論は,学生の基礎研究に企業さんが異常に反応して面白がってくださいました。逆に,今度,学生は自分の研究成果を企業さんはこういうふうに使おうとしているんだという理解ができました。
そういう意味で,オンラインをやらざるを得なかったコロナ禍の社会の中では,結局は産学連携が単なる研究プロジェクトを進めるだけじゃなくて,大学院生の教育に非常に効果があるというのと,企業側の人たちに基礎研究の大切さを理解させるという、いいきっかけになったと思っています。ここを何か進めていければありがたいなと思います。
あと,結果的にはオンラインの授業が異常に増えているわけですが,オンラインの授業については,私の周りも,ほかの大学の人たちの話も聞くと,完全にひどいという授業と,すごくいいという授業に二極化しているような感じがしております。それで,ひどい理由を言うつもりはありません。すごく評判のよかった授業については,なぜよかったかをちょっと調べることを各大学がやられて,オンラインの授業のレベルアップをしていくべきではないかと思っています。そこら辺を支援してくれるような事業メニューがあったら,すごくいいのではないかなという気がした次第です。
オンラインの授業のもう一つは,リカレントに関連して,社会人の方が授業を聞きやすくなるというメリットは確実にあると思っていました。そういうところでいくと,オンライン授業を併用することで,世界一のリカレント教育をさらに進めていくきっかけになればいいなと思います。
なお,そのときなんですけど,今でもそうかもしれませんが,女性の立派な教員をどんどん増やせと,各大学,文科省の号令もあって頑張りましたが,しょせん,いない人はいいわけで,活躍できる女性を増やすには,やっぱり将来活躍できる大学院生の女性を増やしていかないといけないと思っています。そういう意味で,女子学生が大学院に行きたいというのを,文系理系問わず,何かそういうメニューがあってもいいかなと思いました。
さらに言うと,社会人のリカレント教育でも女性の人が参加しやすくなるので,女性の社会人の人が参加しやすいメニューづくりというのも必要かなという気がします。
ちなみに,履修プログラムの60時間問題でございますが,企業の経営者の人も派遣しやすくて,実際に派遣される企業の人も行きやすいという環境をつくるとしたら,60時間でも,非常に昔に比べればハードルは下がったとは思いますが,あえて数字を言うとすれば,30時間で大体大学院の1科目分のイメージかなと思うので,30時間までハードルを下げて,派遣側もやりやすいというのを,ぜひ検討するのがよろしいのではないかと,個人的には思うところであります。
何か数字を言わないと前に進まないような気がしておりますが,30時間というのは一つのユニットで,大学院のドクターでいくと240時間ぐらい,8科目というのが大体のサイズなので,8分の1ぐらいだと大学院の1科目分,30時間という辺りまでハードルを下げるというのは,検討の可能性があるのではないかと思いました。
以上です。

【有信部会長】どうもありがとうございました。
それでは,最後に宮浦委員,よろしく。

【宮浦委員】宮浦です。
いろいろ議論させていただいてありがとうございました。幾つか議論にも,方向性が難しい点があると思います。
まず,理系,文系の問題なんですけれども,やはり大学院のそれぞれの専攻の分野を深くやるのを,例えば70%程度だとか,文理融合といいますか,分野を超えた教育を30%程度とか,ある程度の目安があったほうがいいのかなと思います。そうしませんと,それぞれの専攻の深掘りの学問というのが見えにくくなってしまったり,どこを見ても同じようなことをやっているということは避けるべきではないかと思ったところであります。
もう一つは,理系と申しましても,ウエット系とドライ系でかなり状況が違いますので,一概に理系とか,文系とか,融合領域とかいう議論ですと,それぞれの委員の方とか,教員のバックグラウンドが反映した気持ちになってしまうので,一度ゼロ設定をしたような議論もあってもいいんじゃないかなと思ったところです。
あと,大学院と一口に申しましても,やはり修士課程と博士課程,博士後期課程,全く状況が違うと思いますし,例えば工学系などは,分野によっては80%,90%,修士課程が当たり前になっていて,全国どこを見回してもそうだと思います。
一方で,修士課程への進学がさほど高くない分野もあると思いますので,その辺りも,議論の際には加味をして議論していくことが重要かなと思っております。
博士後期課程につきましては,大きく3つのカテゴリーがあると思うんですけれども,やはり博士後期課程は修士課程から直接上がってきた学生と,また,社会人学生,かなりの割合と,あと留学生ですね,その3つのポピュレーションを考えますと,これもまた彼らの状況がかなり違いますので,それを何について議論をするかというポイントを押さえて議論していく必要があると思います。下から上がってくる博士後期課程の学生は,やはり出口が非常に重要でありまして,産業界に進むのか,あるいはアカデミアや研究者になるのか,両方非常に重要なんですけれども,やはり出口は,これもよく議論になりますけれども,産業界の皆様のほうで,給与体系が,我が国では修士課程プラス3年分というようなことになっているケースが多いので,やはり付加価値を御理解いただけないケースがまだまだ多いんじゃないかなと,そういう状況に,非常に学生は敏感ですので,その辺りの改革も非常に重要だと思っております。
このように,大学院の議論は非常に幅広ですので,ある程度,今回はこれを徹底議論とか,そういう方向性が非常に重要かなと感じていたところであります。
以上です。

【有信部会長】どうもありがとうございました。
様々,貴重な御意見をいただきましたが,少し振り返ってみると,例えば小西委員,濱中委員から御指摘があった制度の問題で,特に修士課程と専門職課程の問題は,専門職大学院の議論の中で,かなり議論をした上で,修士課程という制度をもうやめてしまうと,修士課程を全て専門職課程にしてしまうという方向の制度化まで,なかなか詰め切れなかったというところがありますので,そういうことも含めて,来期以降,もう少し議論をということと,それから何人かの委員の方々から指摘がありましたが,学部と大学院の問題,大学院教育の問題も重要で,もう学部と大学院を一緒に議論するのは無理だと思うんですね。つまり学問を体系的に教えることと,いわばカレントにどんどん進んでいく,新しい知識をどう体系化し,それを知識として若者に引き継いでいくというプロセスと,明らかに学部と大学院でやることは違う話になります。
そういう流れの中で,人文社会科学系と理系という分け方がありますけれども,これも,そもそもそういう分け方にどれだけ意味があるか,田中委員からも御指摘がありましたが,例えば学問の方法論ということで考えれば,文系,理系,全く同じ方法論でやっているものがあると思います。したがって,議論の視点を,従来の文系,理系ということではなくて,違う側からスポットを当てるという案もありかなという気もします。
それから,企業に関しても,これは高橋委員からですかね,我々がどうしても企業というと,従来の大企業をベースに,その中で行われてきたことを頭に描きながら議論してしまうんだけれども,最近の,いわゆる新しい企業群というのは全く従来とは違う雇用形態にもなっている。その中で,若者が実際に働いているということも踏まえつつ議論する必要があるというのは,これは重要な御指摘だったように思います。
それぞれ貴重な御意見をいただきましたので,これは文部科学省のほうで整理をしていただいて,次期に引き継ぐということと,今までの審議も含めて,今日いただいた御意見も含めて新しい施策への取組,施策への取組についても幾つか提案があったと思っていますが,そういうことについても引き続き進めていただきたいと思っています。
貴重な御意見,いろいろありがとうございました。本日の議題はこれで全てであります。
最後に森田審議官から御挨拶いただければと思いますが,よろしくお願いします。

【森田大臣官房審議官】審議官の森田でございます。
第10期の最後の大学院部会でございますので,御礼の御挨拶を申し上げたいと思います。
第10期におきましては,大学院における「三つの方針」の策定・公表の義務化等複数の制度改正,それから大学院のグローバル化,リカレント教育等,多岐にわたる事項について御審議いただきましたことに御礼を申し上げます。
大学院をめぐりましては,政府全体で大きく改革を進めている状況でございます。そういった状況を踏まえて,文部科学省としても大学院教育の振興方策について引き続き検討してまいりたいと考えております。
科学技術・イノベーション基本計画の議論におきましても,博士課程学生が研究力向上の基盤として重要な存在であることが示され,また,リカレント教育のように,研究の推進,高度人材の養成両面から,大学院に対する期待は高いものがあると考えております。
他方で,今期御議論いただきましたように,大学院教育の改革について,なお課題が残っていると認識をしております。こうしたことについて,来期以降も引き続き御議論をお願いする必要があると考えているところでございます。
有信部会長をはじめ,委員の先生方におかれましては,本部会において貴重な御議論を進めていただきましたことに改めて厚く感謝を申し上げます。
大学院教育の今後の在り方について,引き続き御指導,御助力を賜りたいと考えておりますので,今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
ありがとうございました。

【有信部会長】どうもありがとうございました。
珍しく時間内に議論が終わるという,第10期の最後の大学院部会としては時間内に終われてハッピーだと思います。
それでは,これで第10期の大学院部会を終了とさせていただきたいと思います。
委員の皆様方には熱心に御議論をいただき,部会長としても感謝申し上げたいと思います。
どうもありがとうございました。

── 了 ──
 

お問合せ先

高等教育局大学振興課大学改革推進室

大学院第一係
電話番号:03-5253-4111(内線3312)